ピースの煙 公演情報 壱組印「ピースの煙」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    煙草の嫌いな人にはお勧めしません
    ピースの煙とは煙草の煙のこと。平和の香りとかけてもいるが、何にせよ舞台では煙草の吸い過ぎ!
    これでもかっ!ってくらい吸われて不機嫌になったワタクシ。

    キャストの演技力は目を見張るほど素晴らしかったけれど、物語の繋ぎは断片的です。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    戦後の時代、昭和21年を舞台に原田家を描いた作品。
    主軸は間組で働く事になった原田兄弟の生き様が主で、中国での戦争での様子や引き上げの様子をも描く。ドンキホーテのような古参兵はわらじに拘りがあって、兵士が履いている軍靴をわらじに履き替えさせるなど、一種の悲壮感も漂わせながら笑いをも誘う。

    中国の陳の親切と背中合わせの裏切りの描写も見事だったし、戦争という大きな傷痕の前では正気とやる気を失った男たちの代わりに、気丈にもパンパンと言われる娼婦になって家族の稼ぎ頭として生き抜いた女たちを抜きにしては語れないのだろうと深く染み入る。
    そういった意味では娼婦の吐くセリフ、「日本の男がだらしないから私たち女がこうやって稼いでるんじゃないのさ!」というのも一理ある。

    パンパンだけでなくヤミ商売や露店商などをとっても、きっと女が戦後の日本を立て直したといっても過言ではない。

    こうして戦後の日本を断片的に見せながら終盤は義理の母親と原田兄弟がピース(煙草)を吸いながら、平和に酔ったふりをするシーンで終わる。

    キャストの殆どが中年以降の方たちばかりでその演技力は重厚さを感じたものの、何故か観た後に満足感の無い不思議な中途半端さが心に漂っていた。この感情は自分でもよく解らないが、もしかしたら、何日か経ってから満足するかもしれないし、そうでないかもしれない。
    足らないものは何か?を考えた時、この物語は戦後の描写のみに徹していて物語性は本当にありきたりだったことだ。

    まるで「昭和21年のあの頃」をTVの画像で見られるような物語だったからだ。演技力といい、他の要素で確かに安心して観られる舞台だったが、居眠りの多い観客の心理状態を見過ごすことは出来ない。

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    2009/07/30 17:12

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