みさの観てきた!クチコミ一覧

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Not Wedding But Wedding

Not Wedding But Wedding

Island

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

隠し事からなる展開
結婚式場でのドタバタ劇。
最後場面での花嫁のノーテンキさがなんだソレ!状態!(失笑!)

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

結婚式場の風景ってやっぱ華やかでいいよね。観客のテンションが高くなるような始まり。

イザ結婚式に!っていう矢先に花嫁が失踪してしまう。この時点でどこかの映画じゃないんだから・・・、なんて記憶を呼び戻しながら観てると、花嫁が失踪した原因は自分じゃないか?と手を上げる輩がゾクゾクと出てくる。
どうやら彼らはそれぞれの思い込みによって先走った妄想をしてしまう。
そんな妄想の回想シーンではいちいち花嫁が登場して、回想シーンの場面を四コマ漫画のように演じる(苦笑!)
この場面がコミカルで案外おもろい!^0^)

登場人物の設定も幼女の体が大好きというロリコン男やオカマ風味のカマ男、新郎は自分を好きなんじゃないかと思い込む新婦の姉など、イッチャッテルキャラのオンパレードでコメディとしてはそれなりに楽しめたが、花嫁の伯父・伯母のキャラ立てがさぶっ!寒すぎる。

一方でウエディングプランナー役の島田ミスズの存在感たるや凄すぎる!(^0^)彼女が一番輝いていた気がする。
このプランナーは花嫁が失踪してしまった為に空いてしまった時間をどうするかを考えた挙句、先に披露宴をしちゃう事を提案する。
披露宴では出席者を盛り上げる為に、セーラー服で歌うおにゃんこショーや少年隊、工藤静香のものまねを控え室に居る彼らにやらせる訳よね。(^^;)
しかし・・・なんでおにゃんこの時代を?古いっ。古すぎるけれど素敵!(^0^)そういえば・・会社の忘年会でセーラー服を着ておにゃんこをやった過去を思い出す!(^0^)

そんなこんなで今回のテーマらしきものは、「うそ」だったようで、結婚する二人の間には嘘があってはいけない。という一見、もっともらしいものだが、要するに花嫁が失踪した理由を花婿が解らない、というのはなんなんだ!と行き着くのだが、花婿は「自分たちの間には嘘や隠し事はなかったはずだが、彼女が失踪するような悩みがあったなら、それに気づかなかった自分が悪い。」と自分を責める。
そして、幸せを壊さない為に嘘をつくのと、幸せを壊してでも正直に言うのとどっちが?みたいな究極の選択論にまで発展してしまう。

結局薬局、花嫁は戻って来るが、失踪した理由は、神様の前で誓いの言葉を述べるのに、隠し事があってはいけないと思い、かねてから妊娠したんじゃないか?という疑問を明確にするために妊娠検査薬を電車に乗って買いに行っていた。というオチ!(失笑!)
ばっかじゃね?状態のオチでノー天気な花嫁にイラっ!っとしました。はい。(^^;)

物語の始まりが良かっただけに、しょもないオチでした。このオチは想像の範囲内だったし・・。
まあ、コメディだから、仕方がナイね。みたいな仕方ない感情が残りました。やれやれ・・。
猫の墓-漱石の想い出-

猫の墓-漱石の想い出-

菅間馬鈴薯堂

王子小劇場(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

漱石とその妻・鏡子のお話
この物語は何がどーってことはない。
舞台は、漱石最後の棲家となった早稲田南町七の、夏目家の台所での日常を綴った物語。

何がどーってことはない日常なのだけれど・・やたら笑えた!
何がどーってことはないのだけれど、そこが可笑しいのだ!

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

パンフレットには漱石の年譜ノートなるものが付いていて、それによると舞台は1908年、漱石42歳。

始演前に出演者全員が正座しての配役の説明があってより分かりやすい。これってパンフを見ながら確認できるからワタクシ的には好評だった。

舞台は三女栄子が病気になった場面から始まる。
漱石の家には門下生を始めとして植木屋、車屋、クズ屋、看護婦、下女、占い師などの大所帯で、外目からは裕福のように思われていたが実際の台所は火の車で、漱石の財布の緩さに対して妻・鏡子が締めていた様子も伺え、漱石と鏡子の壮絶な喧嘩のシーンは観もの!(@@!)

鏡子役の稲川実代子の演技力は流石!としか言いようが無いくらいヌルクナイ(^0^)息もつかぬほどの早口と罵倒で漱石を追い詰めるセリフには頭が下がる思いがした。いあ、あんな風には言われたくないけどね。笑

鏡子が夏目家を仕切っているさまや、甘党の漱石が放つセリフも可笑しく楽しい。出入りの業者と下女が恋仲になる場面や、下女「お房」の失恋の場面も取り入れながら、舞台を魅せる。
提灯を持って出かける占い師とクズ屋の夜の掛け合いもお見事だったし、ちょっとエロ楽しい!(^0^)
その場面の演出もコミカルで祭りの楽しさみたいな雰囲気が充分に伝わってきたのだった。

極めつけは漱石の門下生こと、森田草平はスナフキンみたいな雰囲気があって、酒を飲む言い訳が「中から消毒する。」という。
何かにつけて、スナフキンは「中から消毒。」「中から消毒。」と言いながら漱石の台所で酒を飲む。笑

夏目家で、出入りの業者や下女らが割りに自由にしていた様子が伺え、キャスト陣のキャラ立てもハマっていた。

何がどーってことはない夏目家の台所なんだけれど、やたら可笑しい舞台でした。満足!

タイトルの「猫・・」だけれど、この時漱石は「三四郎」を執筆中で、初代の猫が物置のヘッツイの上で死んでいるのを確認する。でタイトルが「猫の墓」なわけだ。今回の物語とはあまり関連性がなかったような・・(失笑!)




ハッピーエンドクラッシャー

ハッピーエンドクラッシャー

ゴジゲン

シアターブラッツ(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/15 (火)公演終了

満足度★★★★

残された者たち
いつものコメディとはちょっと違った内容。
傷ついた友情の物語。
今回のセットがいいなぁ。縁側の先にある物干し台と庭が懐かしい風景。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


学生の頃、いつもつるんで遊んでいた友達の一人、安部正が自殺した。
彼はセンター試験でカンニングさせてくれと言われ、見せたのがバレて、自殺してしまったのだった。
残った5人は正が自殺してしまった原因は自分にあると自分を責め、そしてお互いを傷つけまいと、会話に気を遣い言葉を選びながらも腹を割って話すことが出来ない。
正の兄・テルも同様、身内を失った心の闇を抱えながら、正を自殺に追いやった5人の友人たちを許すことが出来ないが、表面的にはニコニコしながらも、テルは彼ら5人になかば強要するように年に一回は集まるように命じる。
年に一回の集まりの日に、元気だった頃の正と彼らが楽しんでいた西瓜割りや漫才の練習までも持ち出し、5人を苦しめる。
テル自身も正が死んだ事実を受け入れられず、もがき苦しんでいたのだった。
彼らは一連のテルの行動に「テルさん、許してくれませんか?」と訴え、テルは彼らに「また、来年も来てね。再来年もその次もずっと・・・、待ってるけん・・。」といい放つ。
それまでしんどい思いをしていた彼らは「テルさん、西瓜割をしましょう。西瓜を無事に割れたら腹を割って話しませんか?」と訴える。

そうして彼らは西瓜の代わりに自分の頭を差し出してテルに殴られる。次々と・・。

この芝居はエチュードを取り入れたようだが、友達を思いやる心や傷ついてる人に対する言葉の選び方が絶妙で、哀しくて切なくて温かかった。
誰かを殺したり自殺に追い込んだりしたら、その傍に居る別の誰かのことも、必ず殺すことになり、その負い目を持った彼らはテルに謝罪するが、実はテル自身も彼らと同様に正から逃げていたのだ。
大切な人を失った人たちの物語だったが、それなりに笑いもあり素敵な物語だと思う。

アフタートークでは、松居が「芝居を辞めたい。」なんて愚痴った暴露があり、笑う。松居イワク、「芝居は辛い事が多いし満たされないし、楽しくない。ゴールがないし、芝居が終わったかと思ったら、また、次がある。」

いあいあ、松居くん、仕事だって同じですぞ!っと(苦笑!)





水の王国

水の王国

るぼわーる

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

崩壊していくさま
大好きなるぼわーるの作品だから、すんごく楽しみにしていた(^0^)
巨大な湖に浮かぶ王宮に住まう媛巫女と、それに従う5つの個性豊かな連合国家を「水の王国」と呼ぶ。

舞台セットもその緑豊かさを想像させるような演出で美しかった。
願わくば・・・水の音の導入もあると雰囲気はもっと増したかも。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

平和で美しい「水の王国」に高句麗の国のハモンが密偵として送り込まれる。彼は「水の王国」を内からも外からも滅びに導く為に、媛巫女の那美媛に取り入り、王国の女王・媛巫女の那珂津美媛を信用させて薬を盛り廃人とさせてしまう。
一方でハモンは四の国長・平群に入れ知恵をして他の国長と仲たがいするように仕向ける。こうしてハモンによって食い荒らされた「水の王国」に伍の国長・武彦が帰ってくる。
武彦は一途に那美媛を想い慕い、彼女と王国を守るために6年の間、戦い続けてきたのだった。
しかし、当の那美姫はハモンの術中にはまった時から、妖精の声や自然の声を聴く能力が失われ、その不安と心の弱さからいつも傍にいたハモンなしでは生きられなくなっていた。

やがてハモンの使命に気が付いたそれぞれの国長は武彦に賛同しハモンを倒すことにしたが、那美姫がこれを阻害する。悪魔の心を現したハモンに那美姫は正気を取り戻し、ハモンを刺し殺すが、「水の王国」を滅びに導き、王国の女王を廃人にさせてしまった己の罪を償う為に、武彦に「私を殺して。」と命じる。

密偵によって無残にも引き裂かれた那美媛と武彦と王国の物語。
一人の媛巫女をひたむきに想い続ける武彦の生き様に感動した2時間。
舞台はミュージカル風で妖精たちのバレエが導入され、なんとも素敵な空間でした。

最後に放った武彦の言葉
「かたわらに自分を抱きしめてくれる相手がいるだけで良かった。」

うーーん、感無量。
命を終えるそのときに「幸せだった」って思える人生って難しい・・。
がんばろー・・。
「ロミオとハムレットの夢物語」

「ロミオとハムレットの夢物語」

アイサツ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/09/08 (火) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★

ちょっと幼稚っぽい。
主宰の尾倉ケントはポツドールの演出助手なので、もっと違ったものを見せてくれると期待したのだけれど、ちょっと裏切られた感が否めない。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

舞台の端っこにはゲイマーのような役者がいて、物語が始まる前に彼が「ロミオとジュリエット」「ハムレット」を簡単だけれど解り易く説明する。
やがて舞台は始まるが、なんだかビンボーそうな男子がロミオだってんだから、この小芝居、もしかしたらコメディなんでしょか?
とか思いながら観ていたけれど・・・コメディって程でもない。

程でもないのに、会場にはめちゃめちゃ身内です!ってこれまた男子が少なからず居はって、その中でたった1名のみが・・、公演中、笑いっぱなし!しかも下品な笑い。

な、なんだ、コイツ!(・・!)

首絞めて静かにさせてやろか?!なんつって、ちょっとした殺意を感じながらも、もしかしたらコイツはサクラなんじゃなかろうか?なんて思ったりしちゃって、目の前の芝居そっちのけで、ソイツの笑い声だけが妙に気になって・・気になって・・なんやらドン引き状態!

そのうち、この芝居は劇団員たちの練習風景だと気付く。
な~んだ!練習風景なら家でやってくれる?なんて興ざめしちゃってるのに、それでも会場はソイツの笑い声が高らかに響いていたのでした。

「ロミオとハムレットの夢物語と笑う狂人」のタイトルの方がウケタ!





骨唄

骨唄

トム・プロジェクト

本多劇場(東京都)

2009/09/03 (木) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

い、いかん!好きな芝居はレビューも長い!
どなたでもご存知の高橋長英、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マドモアゼル モーツァルト」「マリー・アントワネット」でお馴染みの新妻聖子、「十二夜」で主演ヴァイオラ役を演じた冨樫真。そうそうたるキャスト陣に心躍らせながら観たエンゲキ!実に素晴らしい世界でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


セットは舞台いっぱいに置かれた白い風車と小屋。
白い風車は舞台の上でカラカラクルクルと回り、それだけで黄泉の世界を思わせる。

虐げられた人々が住む湾岸の長屋が舞台。千本村には「骨唄」とともに語り継がれた風習があった。海を見下ろす山に死者を土葬して風車を差し、掘り出した骨に彫刻を施す。長女・薫は、そんな村の不気味さと、身勝手な彫り物師の父・源吾を嫌っていた。薫はそんな父親と諍いが絶えなかったが、ある日、妹・栞が風車を手に取って遊んでいた近くで、いつものように源吾と薫は言い争って栞にぶつかってしまう。その瞬間、栞の左耳に風車が刺さって栞の左耳は聞こえなくなってしまうのだった。

大人になった栞は、一度は千本村の家を出たものの失踪して故郷に帰ってきてしまう。心配した薫は、妹を探す為に18年ぶりに故郷の千本村に帰って来たのだった。しかし薫は栞の行動の異変に気付く。源吾から、「栞は外傷記憶症という病気にかかっている」という話を聞いた薫は自分が原因で栞の耳が聞こえなくなったことを激しく悔いるのだった。
何度も同じ事を話す栞。村おこしで作られた「エミュウの里」のエミュウを逃がしていても、そのこと自体に記憶が無い栞。
そんな栞を源吾は優しく面倒を看ていたのだった。

「風車を千本飾れば蜃気楼が現れ、悲しみから解放される」という伝承を信じていた栞は白い風車を作り続ける。そんな栞を手伝って不器用ながら風車を作る薫。薫に作り方を教える源吾。二人の息の合った掛け合いが、何か通じるものがあり印象的だ。
この場面がおかしくもあり、悲しくもあり、切なくもあり、豊かでもある。

源吾も薫もエミュウ事件を栞に知られまいと思い遣るが、やがて栞はエミュウを逃がしたのは自分だと気付いてしまう。
愕然とする栞は海の彼方の千坊に蜃気楼を見る。同様に源吾と薫も同じ蜃気楼が見えたのだった。
栞は小屋の見晴台に上がってもっとよく蜃気楼を見ようとする。美しい光景だった。白いシャツを着た栞にだけ光が当たり、その光は神々しくもあった。
風が強くなって、周りの白い風車はカラカラクルクルと勢いよく回りだす。栞は十字架のように手を広げて、今、この瞬間、悲しみから解放されて幸福だとでも言うように満面の笑みを浮かべると、風と共にその白い十字架は後に垂直に倒れて、フッと視界から消えたのだった。
そして、ドンッ!!という鈍い音と共に栞はいなくなった。

こんなシーン、どっかで観たよな・・?、と考えていたら・・・そうだ!「転校生」の自殺のシーンではなかったか。


会場がシーーーン・・となる。


そして栞の葬式が終わると、
源吾は「いいか、薫、お前はババアになるまで生きろ。決して親より先に死ぬなよ。」

「ああ、ババアになるまで生きて妖怪になってやる。」



九州の方言が心地よく、あの世の手前の世界をホーフツとさせる舞台でした。家族の絆を表現した舞台だったと思う。
流石は桟敷童子、素晴らしい舞台に至福感満ち溢れちゃったのであります!


 


トラベリング・オン・ザ・シャーレ

トラベリング・オン・ザ・シャーレ

カムヰヤッセン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★

徹するということ
この物語を見て、いったい北川はどんな事を観客に伝えたかったのだろうか?という疑問にぶち当たる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

バック・トゥ・ザ・フューチャーのような物語。

医師の大坪はマルボウイルスのワクチン開発をしたのは誰か、を知る為に時空交通局の津田に騙されて過去に行く事に・・。
過去の世界では未来から過去に来た人が口出ししてはいけない。つまり、古事不干渉という言葉にがんじがらめにされて、大坪は自分の意見を述べる事も出来なかった。
過去の病院ではマルボウイルスに感染している患者は粗末に扱われ、とりあえず投与される薬を頼りに生きていた。そんな患者たちを診て、大坪は「ワクチンを作って一人でも多くの人を助けたい。」と思うようになる。
やがて、大坪はワクチン開発をしているうちに自らもマルボウイルスに感染している事が解る。

これって、歴史的にも有名だけれど、破傷風ワクチンを開発して、自分も感染症にかかって死んでしまったフランス人医師ガストン・ラモンや他のワクチン開発でも似たような話って多いよね。

結局薬局、未来からやって来た大坪はマルボワクチンの開発に成功したのは自分だった。と気付く訳だけれど、未来から来た人間が過去の世界で亡くなって未来に戻れない。って設定はどうなのだろうか?
こうゆう物語って歴史を変えちゃいけない訳でしょ?それとも芝居だからいいのか?
すると・・、未来の大坪は何処行った?の話になるわけよね。
そんでもって未来での大坪の同僚は大坪という人物の記憶が消されたわけではなくて、ちゃんと覚えてる。
同僚の記憶が消されちゃって、大坪自身は未来では存在しませんでした。ってことなら納得できたのだけれど・・。

腐って人間じゃなくなったけれど命になって旅をする。ってセリフ自体もあまりにもエグイ。
北川の脳裏には大学生の時に友人を亡くした記憶が離れないのだろうか?
更に北川の最後のセリフも聞き取れない箇所があって、それもストレスを感じる。

いあいあ、ワタクシ思うのだけれど・・脚本家と演出家に徹したら?と思ってしまう。あれもこれもやっちゃうと大成しないような気がするよね。老婆心ながら・・。

竹井の若い頃の名前・神原が大坪と関わっていた事実を懐かしむ未来の同僚たちの感情が痛いほど切ない物語でした。

それでも笑える箇所はあり、ニンゲンの滑稽さや狡さをストーリーに盛り込み、2000~1500円の公演料には拍手を送りたい。貧民も惜しみなく観られるというものだ。

個人的には藤沢女医(今城文恵)のキャラが好き!(^0^)






キツネの嫁入り 他短編

キツネの嫁入り 他短編

小櫃川桃郎太一座

atelier SENTIO(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

なんだこれ!
すんごく面白いぞ!っと!(^0^)

アホらしいのに大真面目!バカバカしいのに面白い!

以下はネタばれBOXにて。。



ネタバレBOX

「会談!まんじゅう怖い」

小櫃川桃太郎の一人芝居。
地獄の罪人・与一という男のところに青鬼が訪ねて来た事から始まる物語。
あの世からこの世に精霊馬(茄子の馬)に乗って与一はやってきた。小夜という娘は不倫相手の男に騙されて妊娠してしまう。小夜はこの男を殺したいと思うが、与一の過去に犯した罪と娘のしようとしている罪が同じことから与一は娘の想いを改めさせる。
大きな茄子の馬に乗った与一の仕草や表情は大真面目に演技してるだけにバカバカしく楽しい。


「道具屋」

ぶらぶらして仕事を持たない与太郎はひょんなことから露店の道具売りをする事に。
与太郎役の菊池美里のキャラが凄い!(^0^)
登場しただけで客席の空気をユルクさせる秀逸のノーテンキな雰囲気がありヤラレル!言葉で笑わせる芝居。


「キツネの嫁入り」

新吉は狂人のお恵の面倒を見ながら長屋で暮らしていたが、そこにお狐さんの菊花が現れ、「嫁に貰って欲しい。」と素直に告白する。
あんな巨乳の嫁ならば、ワタクシなどは二つ返事で頷くが(。。)(・・)(。。)(・・)うんうん、そこは新吉のこと・・、密かにお恵に恋心を抱いてるから、認められない。
実はお恵も新吉を好きだったが、新吉はお恵のそんな心持を知りながら、避けてきたのだった。新吉はお恵の父親に拾われて一人前の職人になった矢先、新吉の造った橋が洪水によって流されてしまったのだった。その橋にはお恵と親方(お恵の父親)ら、お恵の許婚が渡っている最中だった。
彼らはいっぺんに流され、助かったのはお恵と新吉だけとなる。
その後お恵は気がふれてしまったが、そんなお恵の傍に居て面倒をみながら新吉はまともにお恵と向き合っていなかったことに気づく。
新吉の気づきを気づかせてくれたのは、他でもない新吉を一途に思う素直な菊花だった。好きな人を好きだと素直に言える菊花に見習って新吉はお恵との暮らしを本気で考えることにする。
菊花の両親役の小櫃川桃太郎と菊池美里の絶妙な会話が面白い!


とにかく全部が楽しい芝居でした。
合間に入る導入音楽も古くて素敵!(^0^)





売り言葉

売り言葉

Hal's Party

d-倉庫(東京都)

2009/09/03 (木) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

壮絶な狂気!
何といっても今回の見所は千恵子が狂人と化した場面かと思う。
猫なで声の千恵子、罵る千恵子、絶叫する千恵子、合間に見せる物悲しい視線。それらの狂気を凛と演じきった姿に鳥肌がたったほど。

今回の物語は「千恵子抄」に対する売り言葉です。。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

視点が違えばこんなにも物語りの内容も逆転するかのような本。
究極の純愛物語と言われた「千恵子抄」自体を覆すような内容に、愕然としつつも、書き手によって、また見方によって文学はどーにでもなるのだ、なんて妙に納得してしまった芝居でした。
今回の芝居は千恵子の視点から高村光太郎という人物や彼の言葉に翻弄されて、自分自身を追い詰めてしまった千恵子の物語だったけれど、千恵子が高村を愛する情の深さを見事に演出した作品だったと思う。

千恵子が美術学校に通うようになった経緯や高村と出会った場面を織り交ぜながら、色盲の千恵子が描いた緑色の太陽の絵を高村が「芸術には絶対の自由がある。」と言って褒めた行を通して、少しずつ千恵子と高村がお互いに惹かれあっていく様子も見事に描写していた。

二人の結婚後、千恵子の裕福な実家が破産するまでの経緯や、金の無心をする母親、高村には迷惑をかけたくないという思い、そして、高村が千恵子を描写する詩の中の理想化した千恵子のようにならなければいけないという千恵子の思いや喘ぎが頂点に達したとき、千恵子は壊れる。
更に高村の17歳の裸体のモデルとの関係や女流詩人との関係が千恵子を追い詰める。
やがて千恵子は光太郎の気を引くために狂人のふりをしたが、そのふりが本当の狂人になっていくさまはお見事!

愛する男からの興味が醒めたとき、女はみんな狂人になるのかもしれない。



本当に素晴らしい演技でした。
朝日はるかという女優に感動したひと時でした。。
skc 『サンタのはし』 全国22都市公演

skc 『サンタのはし』 全国22都市公演

全国たび周りユニットskc

こった創作空間(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/05 (土)公演終了

満足度★★★

ゆるい喜劇
泉谷又次郎 とマゴの樅(もみ)の、説明に載ってるとおりの小屋での会話劇。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


祖父はパチンコ屋駐車場管理をしていたが社長の奥さんをただのパチンコ好きのばーさんと思い込んで暴言を吐きクビになってしまう。
そんな祖父の一人暮らしをを心配してマゴの樅(もみ)が遊びに来た。 じーちゃんを説得して自宅に連れ戻そうとするも、抵抗するじじい。笑

じじいのゆるいコミカルさが楽しいが全体的な物語が長すぎて中盤は飽きる。爆笑はない。もっと時間を短縮して内容の濃い笑いが欲しかったところ。
全部、アドリブなのだろうか・・?ヤラセ無し。ってあるから・・。
だとしたら、きちんと脚本して練りこんだ完成品をみせて欲しかった。

舞台の完成度が高ければ高いほど満足するのだから・・。

サラマンドラの虹

サラマンドラの虹

Jungle Bell Theater

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

とうもろこし(花豆)から始まったロマン
まさに壮大なファンタジー歴史ロマン!といった感!
マヤ文明、トルテカ文明、アステカ文明などの古代文明を背景にアステカ神話を織り交ぜながら神々が深く信仰されていた時代のメキシコでの物語り。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

ひじょうに良く出来た物語でした。
古代文明の遺跡という神秘的な題材にケツァルコアトル(羽毛ある蛇・白い大蛇)と呼ばれる三大文明で信仰された神の名前をモチーフにかつてのメキシコで君臨していた王族とそれより以前に君臨していた星読みの王族との間での争いが主軸。
凶暴な王族に追われた星読みの王族は、神殿に隠れて暮らすようになる。

一方で考古学者鳴海はその神殿を発見したが、再びそこを訪れる事が出来なかった。神殿を撮った3枚の写真だけが証拠だったが、学会で発表すると、捏造だと疑われて失意のうちに命を落としてしまう。鳴海の汚名を晴らそうと立ち上がった考古学者の巨勢と鳴海の娘・響子は3枚の写真を頼りに神殿を探す旅に出る。

もう一つの物語として、リゾート開発社長の半崎修平は、兄・修造が遭難した船の行方を追っていた。

上記の王族の争いと神殿探しと修造の歴史的背景をリンクさせながら、ファンタジーの世界を魅せる。生贄を嫌った神は山椒魚に化身して水に隠れて逃げ込んだとされるショロトル(アステカ神話での宵の明星の神)の話と舞台セットの大蛇をウーパールーパー(メキシコのサラマンドラ)の説話に載せて、物語は散りばめた伏線を少しずつ拾うかのように収束していく。
セットは簡単な大蛇のみの質素なものだったが、川の先の地底湖にあった神殿の風景や、石版の先にある船の景色や、サラマンドラが見えた大海原、古代遺跡の数々が容易に想像できて、脚本の素晴らしさに圧倒された。

最後は修造とヤム(虹の天女)が手を繋いでさつきが丘で一緒にとうもろこしを見ていた場面を想像させ伏線を繋げる。

その風景はまるで宮崎アニメを観てるかのような美しいシーンだったのです。コミカルな部分も存分にあり笑わせる。観て納得のいく舞台です。

S高原から

S高原から

南河内万歳一座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/08 (火)公演終了

満足度★★★★

関西の劇団だけあって
開演前の諸注意のノーガキがハンパじゃあないっす!(^0^)
S高原・・高原の一角にあるサナトリウムっぽい、療養所が舞台。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

入院患者はホームレスのみ。そんなだから舞台セットもホームレス独特の小屋や古びて壊れかけた椅子や雑多なもの。
すんごいです!客席より舞台の方が広そう!(苦笑!)」

何故ホームレスになったのかはこの場合、説明は無く、ただ彼らは病気らしい。その症状も人によって様々で死にそうなくらい衰弱しているホームレスもいれば、病気などと思えないホームレスも居る訳で、そこも雑多なのだった。入院は強制的なものでなく、彼らはいつだって自由に退院できる。
S高原から降りたくなったら降りればいいし、降りなくてもいい。
下(町)に自由に行く事だって出来るし、下に行きたくなかったら行かなくてもいい。
こんな風に聞くと天国じゃね?なんつって感じちゃうけれど、実際、いいなぁー・・、なんて思って観てたんだよね。

それでも難点は標高が高いからすぐに患者は息が切れる。笑
だから、激しい運動は出来ない。もっとも病気でここに居るのだから元々、激しい運動は出来ないはずなんだけれど・・。

ホームレスらにもここに入る前には恋人や婚約者や家族や友人が居て、彼らは見舞いと称してバカンス感覚でやってくる輩もいれば、心の真意を探りに訪ねてくる彼女もいる。中々退院しない本人を目の前にして、かつての恋人や婚約者の内面が少しずつ変化していく。

病気が進行してるのか、いつ退院できるのか、良くなってるのか、まったく解らない状況に、いらいらし、結論を急ごうとしてしまう。結果が見えないものにはニンゲンは常に不安を感じるものだし、目に見えないものが実は本当は価値があるのだと悟るまでには時間がかかる。そんなニンゲンの弱さや傲慢さや不安や限りのある命について、サラッと、本当にサラッと、表現した舞台だったと思う。
そんなサラッと感が観終わった後に、「あれ?これって特別でない日常のどこにでも転がってる風景なんじゃないの?」なんて思えて、リアルなんだか嘘話なんだかよく解らなくて・・・騙された。って感じた。

この療養所では患者自身が自由に客をもてなし、チン!とベルを鳴らすと執事ならぬ看護婦がジュースやらコーヒーやらをご主人様(患者)の要求どおりに持参してくれる。医者の威厳はあまりなくただただ患者を見守るだけ。
そんなだから、ここでの時間の流れはゆっくりで、この環境に満足しちゃってる患者は退院しようとしない。
好きなときに起きて、好きなときに寝て、好きなときに食べる。好きなときに散歩に行って好きなときに皆とおしゃべりをする。
退院する意思がないのだ。

だって天国に近い療養所だから。笑

ドクター役の荒谷が魅せる!流石、関西芸人!(失笑!)




殺し屋シュウ~シュート・ミー~

殺し屋シュウ~シュート・ミー~

projectDREAMER

博品館劇場(東京都)

2009/09/01 (火) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

それぞれの運命
殺し屋シュウと依頼人・椎名ゆかの物語。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX


母親をかばって実父を殺してしまったシュウは父の友人に引き取られ、殺し屋へと仕立て上げられていく。
ある日、人気絶頂のロックシンガー椎名ゆかは、コンサート中お気に入りの曲を歌っている瞬間に自分を撃ち殺してくれと頼む。彼女には愛するマネージャー・永田の心変わりと、頂点を極めたアーティストが絶頂期で殺される、という伝説を残したかった。というのが依頼の理由だったが、永田自身もゆかの提案に乗って、チャンスとばかりに伝説作りに没頭してしまう。

命をかけて愛を貫くゆか。それこそアーティストスピリッツだと後押しする和田。芸能界で活生きる二人の思惑と殺し屋シュウの「殺したくない」という思いが自身を苦しめる。

そうしてシュウは彼女の額に照準を定め、初弾し射止めるのだった。

畑中シュウ役の井坂俊哉が人の良さそうな面なのよね~。。
むしろ、父親役の吹上タツヒロのほうが凄みがあった。そんでもって、匠役の丹古母鬼馬二もなんだか迫力が無くて・・ww。

それでもまあ、楽しめた。客席は半分しか埋まってなくて、キャストもこれじゃあ、がっかりですなっ。チケット代が高いんだってば!(苦笑!)

骨の粉を海に撒くシーンが美しい・・。



ただいま

ただいま

イエローページ

小劇場 楽園(東京都)

2009/08/28 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

時空間を遡る!
すんごく面白い!(^0^)
何の因果か知らないが、自分の意思に関わらず祖先の記憶が鮮明になってしまう、つまり遺伝子の仕業としかいいようのないブラックコメディ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

邦夫(吉岡祐介)は歯医者で気を失ってから急に記憶が鮮明になってしまった。その記憶が日一日と遡り、やがて父親の所属部隊の映像や、出征の記憶、そしてその先の祖父の時代の記憶まで遡ってしまう。
それに費やすエネルギーは増大するばかりで邦夫はよく気を失う。

邦夫は病院に入院し、邦夫の母と妻は邦夫を心配する傍ら、彼女らの行動や発言がユーモラスで可笑しい。(^0^)

精神科の医師が遺伝子を通って過去戻りしているのではないか、と診断し、邦夫は妄想の世界で生きているらしい。とも言う。
しかし、この精神科医自身も狂人みたいな発言もあり、イッチャッテル!笑

それでも邦夫は過去戻りしながら多重人格のように過去に退行し続ける。
拙者と言ってみたり、信長に野球を教えたり、どんどん退行する。バック・トゥ・ザ・フューチャーのようなものだ。

そんな時、精神科医は過去の人物、邦夫の中の平塚宗次朗に呼びかけ、過去にシャッフルしている邦夫に戻ってくるように催眠をかける。この催眠の場面がものすっごく面白い。大爆笑!

壮大な歴史を彷徨った一人の男と家族の物語だったが、ひじょうに質の高い作品だった思う。笑いの質もなんだか崇高な感じがしたのだった。

先輩かっけーっす!!

先輩かっけーっす!!

劇団コラソン

シアター711(東京都)

2009/08/28 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★

Bキャストの回を観た。
面白かったけれど・・・それにしても1時間の公演でこの価格ww。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

小山田あつしと田中ひろしの師弟同士のバカッぷりが面白い。

試合のオファーかと勘違いしたあつしは合コンの会場に行ってしまう。
しかもプロレスの格好で。笑
そこには合コンに来ていた3人の女たちの建前と本音の感情を見せながらも、3人のバカップルが出来上がってしまう、どーでもいいようなゆるさと可笑しさと滑稽さが混在する。

何も考えずに楽しめる芝居。

新釈 ヴェニスの呆人 2009

新釈 ヴェニスの呆人 2009

コマツ企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/08/27 (木) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

ブラックジョークの世界
とにかく面白い!と思った。
どいつもこいつも狂人なのだ。どこか少し壊れてる人たちのイカレた物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

すんごく気に入ったのはイカレた看護婦。
医者に患者の症状を説明してる最中に寝る!目を開けたまま寝る!笑
その安眠を当の本人は気がついてないようで、目を開けたまま鼾をかいてる。
「お前、今、寝てただろ?」なんつって医者に指摘されると、「いえ、寝ていません。」なんつって、いけしゃあしゃあと涼しい顔でずけりと言い放つ!(大爆笑!)
この時点から、ああ、この芝居はコメディなんだなっ!と勝手に思い込み、吉田戦車みたいな世界観をホーフツした!(^0^)
患者から誘われれば「白衣の天使」を隠れ蓑にして誰にでも身体を抱かせるハニー看護婦。
そんな事をしておきながら医者の前で淡々とパンをカジル情景!笑
極めつけは医者が「オカシイだろっ!患者にセックスをさせるのはっ!ここは(自分と看護婦を指しながら)夫婦なんだから!」と、言ったセリフにウケル!笑

母が虐待をしていた太郎の入院から始まったこの物語の真相はどうやら、花子がしていた太郎への虐待だったことがだんだん解ってくる。
花子は過去に末っ子の次郎の口にティッシュを詰めて窒息死させてしまった事がある。そんな花子は母親から自分が虐待されると思い込み、弟の太郎を殴って怪我をさせることを思いつく。
母親の意識を太郎の怪我に集中させようとしたのだった。だから、太郎は花子によってしょっちゅう怪我をさせられていて、そんな太郎を脳障害のある子だと判断していた医者と両親。

しかしある日、太郎は正気に戻る。姉・花子が自分に虐待をしていた事実を花子に告げる。動揺した花子は入院していた太郎共々病院ごと放火してしまう。

全ては花子の独りよがりの物語だけれど、幼少の花子も大人の花子も根底に渇愛がある。
愛は地球を救えるのか!笑

斬新な切り口と登場人物のイカレ具合と滑稽さを充分に堪能したお芝居!

今回のアフタートークでのこまつは、猫の話と愛の無いセックスの話をしていた。あきらさんの投稿での「オープニングシーンやラストシーンの意味を語りだし・・・・ホワイトボードまで取り出して、10分では語りきれなかったようだ」は今回はなかった。しごく残念!こまつみちるの独特の講義を聴きたかったのだった。笑


いどばかいぎ

いどばかいぎ

各駅停車

OFF OFFシアター(東京都)

2009/08/27 (木) ~ 2009/08/31 (月)公演終了

満足度★★

要するに井戸端会議!
好みの物語ではなかったです。ですからこのしゃべり方と世界観が眠くなった。
ですから、ワタクシと感受性が合わない方にはむしろお勧めかもしれません。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


団地の一角にあるちっさな公園にゴミが捨てられている。「決まった日にちと場所に捨てない。」と怒るチバアケミ。誰が犯人か?なんて目力で脅す!(苦笑!)
アイダコウジ(兄)は弟のシンジの所に尋ねてきたが、シンジは自分の部屋に兄を通そうとしない。困った兄は通りがかったコスズの空き部屋に厄介になる事に。一方でシンジはコスズに密かに想いを抱いて、シンジが描いた絵をコスズに贈っていた。そんな状況下、兄がコスズの家に泊まってることを知った時点で兄を自分の部屋に呼び戻す。

相変わらず公園のゴミは増える一方で、ふと、コウジはゴミの中を開けて見てみた。そこにはシンジが一生懸命描いて、コスズに贈った絵が捨ててあったのだった。
「男の人ってバカね。誰も絵が好きだなんて言ってないのに・・。ただちょっと褒めただけなのに、毎回絵を持って来るんだもの、処分に困るのよ。でも、ここに捨てるのに意味があるの。決まった場所と時間に捨てないスリルがあるでしょ。」とコスズ。


高校の教師だったコウジは女生徒に「家族からDVを受けてる。」と相談され、その生徒は服を脱いで何箇所ものアザをコウジに見せた。しかし、その現場を見ていた他の女子生徒から噂は広がって辞職する事になってしまう。

アケミの妹・ミカは2年前に男に刺された訳をコウジに話す。「私、男をとっかえひっかえしている時期があって・・・刺した男と他の男とかぶっちゃったのよ、それで・・・。」

会社の部長が私を必要としている、と勘違いして不倫しているミナコ。
そのミナコを好きなユウタをいたぶるかのように不倫の状況を語るミナコ。
シンジを好きなアケミ。

人間関係はグズグズだけれど、要するに怖い女の本質を描きたかったのだろうか・・?


役者の吐くべた~っとしたセリフがまず好みに合わないのと、ゆるい、一体何がいいたいの?みたいな良く解らない芝居自体が好みではなかった。
だって、芝居に勢いとかパッションがないんだもの・・・。


夕立に出会ったら・・・

夕立に出会ったら・・・

演劇集団Nの2乗

「劇」小劇場(東京都)

2009/08/25 (火) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

なんとなく感動!
知らなかったけれど、「Nの2乗」って吉本興業の養成所(俳優コース)卒業生からなる演劇集団だって。

今回の芝居は残された二つの家族が織り成す群像劇。

以下はネタばれBOXにて。。



ネタバレBOX


古道具屋・有沢文三の店にはいつも近所の輩が酒を飲みに来るたまり場だった。そこへ文三の娘と名乗るフリーライターの千夏が訪れる。店を手伝いたい、という千夏の申し出から、承諾した文三だったが、千夏が店を手伝ってから1年後、文三は急死してしまう。
そこに文三の家族が突然現れる。文三は10年前に家族を捨てて失踪し古道具屋を開店したのだった。

文三が結婚する前に付き合っていた女性との間に出来た子・千夏と、文三の家族が古道具屋をめぐってのしっとりとした会話がいい。

文三の妻役の大勝みゆきの存在感は流石!
彼女が登場するだけで女優の風格というか、凄みがある!笑
物語をギュッと締めながらも大人な妻の役を演じきる。

文三の古道具屋の相続は籍が入ってない千夏にとって権利がないと思っていたが、妻・良子の配慮「一通の手紙」によって相続できる事となる。その手紙には文三の意思として店を千夏に託したい。ということだったが、しかしそれは文三が書いたものではないことを千夏がみやぶる。
それでも良子は「嘘の手紙だけれど、こうゆう嘘は許される。勿論、それぞれの幸せの為についた嘘なら・・。」と。

それぞれの事情というか、それぞれが良く説明の出来ない心の襞を巧みに描写した作品だったと思う。
良子が千夏に向けて言った最後の言葉、
「あなた、もしかして・・・。」
千夏「なんですか・・。」
良子「いえ、なんでも・・。」

これがひじょうに気になって気になって、作者の永峰さんに聞いたらさ、そしたらさ、(・・!)
「その後は皆さんが観た考えで決めてください。そのために後に続く言葉を作らなかった。」とおっしゃいますの。(==!)

なんつーの、コレ。もやもや・・、。
結局薬局、千夏はどうだっていうのさ!みたいなもやもや・・、。

千夏は本当に文三の子だったのだろうか?
いきなり1年前に現れて、実は文三を好きだったのではないか?
それとも、他に理由があったのだろうか?

考えれば考えるほど迷路に行き詰った羊のように、ここで止まって動けないのだ。



阿房列車

阿房列車

元祖演劇乃素いき座

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/27 (木) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく素晴らしい!
流石に19年間に亙り繰り返し上演されただけあって、老夫婦の人生の機微を会話の中に折込んだ傑作でした。

土井通肇と森下眞理演じる老夫婦に鄭亜美が絡むセリフも絶妙で時折見せるコメディな要素もひじょうに楽しかった。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


19年前の「阿房列車」は観ていないが、たぶん、初演よりも更に加齢した土井通肇だからこそ、この芝居で吐かれるセリフや演技に年老いた風格というか、人生の年輪たるものを感じるのだろうと思う。
これを若い役者が演じたらどうか?やはりそれは浅い演技になるだろうし、ここまでの深い感動もないような気がする。

「そういう事なら仕方ないんだけど・・・。」で始まるセリフから湧き出される次のセリフは夫婦の長くて濃密な他人には計り知れない時の流れを感じて、「ああ、老夫婦ってこんな感じなんだろうな。」と観ているワタクシまでもがその空気感に漂ってふわふわしたこころもちになりました。
その絶妙な夫婦の会話劇の中で織り成すセリフの笑わせ加減もいい。
夫がやたらと鄭亜美演じる女子に話しかける場面の情景もいい。
更に鄭の吐くセリフも老夫婦と噛みあわないちぐはぐさがいい。
鄭って普段でもあんな可愛らしい声をしてるのかな?なんて思って、終演後話かけたら、まったき同じ声だった!笑

セットはベンチだけだったが夫婦が座る距離が夫婦の距離ともとれて、またその距離感もいい。

名作の映画を観てるような感覚でなんだか美しく深いものを観ました。
役者の冥利なんていうけれど、名作を観た観客の冥利!
天翔ける風に

天翔ける風に

TSミュージカルファンデーション

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/08/21 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

ヒロイン二人の声
が本当に美しかった。他の役者も勿論、上手かったけれど・・。
それでも時代劇にミュージカルってなんとなく合わないなぁ・・。
後半は視覚と聴覚に馴染んで違和感が無くなったけれど。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

幕末の江戸を舞台に変革を求めてそれぞれの手段で理想を実行した三条英と坂本竜馬を軸に幕末を生きた男たちの物語。
英はかねてから、自分の理想や思想を実現する為には多少の犠牲は仕方が無い、と考えていた。誰か何をしなくては。誰かこの世を救わなくては。と正義の為に論じていた塾生だった。

しかし、彼女は父親の形見を質に入れてしまったことがきっかけとなって、質屋の女主人とその妹を殺してしまう。この時から英の苦悩は始まったのだが、世の中を良くしようとあがいた結果なのかも知れない。ただ、それぞれの方法論が違うだけで沢山の悲劇が起きてしまう。

大金で幕府が倒れる方にかけた溜水。口先三寸で騙された甘井。
彼らの生き様を存分に見せつけ、それぞれの大儀と名打った戦いを繰り広げる。

やがて自分の罪を逃れていた英は坂本竜馬によって自首するように説得される。「これから十字路に立って汚した大地に接吻して謝るんだ。そうして自分が殺しましたと声を上げて叫べ。その後は何も言うな。ただ時が過ぎるのを待て。俺が迎えに行く。塀の中で女が男を待つんじゃない。男が塀の外で女を待つんだ。」と。

しかし、坂本竜馬は英の実父に殺されてしまう。
理想に生きて思想に殺されてしまった竜馬のあっけない死に様が余韻を残す。

竜馬が降らせた金色の小判の風景が美しい。そして舞い落ちる雪のシーンも。それにしてもバックの全面鏡張りって、案外大きな公演で観てるけれど・・ちょっとマンネリ気味!(苦笑!)


野田秀樹が「ネット上に飛び交う情報まがいの批評、或いは批評まがいの情報を見ると、一体、誰が、何の根拠を持って、何を良いとか悪いとか言っているのか、ちっとも解らない。」と言っていたが、観客が自分の金でチケットを購入して観劇するのだから、悪いとか良いとかを自分の感性で評価するのは当然の事だと思う。ワタクシ達観劇者(大衆)が評価しなくて一体、誰が劇評すると言うのだろうか?評論家はそれなりのしがらみがあってホントの感想なんか話してないじゃん!

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