売り言葉 公演情報 Hal's Party「売り言葉」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    壮絶な狂気!
    何といっても今回の見所は千恵子が狂人と化した場面かと思う。
    猫なで声の千恵子、罵る千恵子、絶叫する千恵子、合間に見せる物悲しい視線。それらの狂気を凛と演じきった姿に鳥肌がたったほど。

    今回の物語は「千恵子抄」に対する売り言葉です。。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    視点が違えばこんなにも物語りの内容も逆転するかのような本。
    究極の純愛物語と言われた「千恵子抄」自体を覆すような内容に、愕然としつつも、書き手によって、また見方によって文学はどーにでもなるのだ、なんて妙に納得してしまった芝居でした。
    今回の芝居は千恵子の視点から高村光太郎という人物や彼の言葉に翻弄されて、自分自身を追い詰めてしまった千恵子の物語だったけれど、千恵子が高村を愛する情の深さを見事に演出した作品だったと思う。

    千恵子が美術学校に通うようになった経緯や高村と出会った場面を織り交ぜながら、色盲の千恵子が描いた緑色の太陽の絵を高村が「芸術には絶対の自由がある。」と言って褒めた行を通して、少しずつ千恵子と高村がお互いに惹かれあっていく様子も見事に描写していた。

    二人の結婚後、千恵子の裕福な実家が破産するまでの経緯や、金の無心をする母親、高村には迷惑をかけたくないという思い、そして、高村が千恵子を描写する詩の中の理想化した千恵子のようにならなければいけないという千恵子の思いや喘ぎが頂点に達したとき、千恵子は壊れる。
    更に高村の17歳の裸体のモデルとの関係や女流詩人との関係が千恵子を追い詰める。
    やがて千恵子は光太郎の気を引くために狂人のふりをしたが、そのふりが本当の狂人になっていくさまはお見事!

    愛する男からの興味が醒めたとき、女はみんな狂人になるのかもしれない。



    本当に素晴らしい演技でした。
    朝日はるかという女優に感動したひと時でした。。

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    2009/09/06 11:31

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