骨唄 公演情報 トム・プロジェクト「骨唄」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    い、いかん!好きな芝居はレビューも長い!
    どなたでもご存知の高橋長英、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マドモアゼル モーツァルト」「マリー・アントワネット」でお馴染みの新妻聖子、「十二夜」で主演ヴァイオラ役を演じた冨樫真。そうそうたるキャスト陣に心躍らせながら観たエンゲキ!実に素晴らしい世界でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    セットは舞台いっぱいに置かれた白い風車と小屋。
    白い風車は舞台の上でカラカラクルクルと回り、それだけで黄泉の世界を思わせる。

    虐げられた人々が住む湾岸の長屋が舞台。千本村には「骨唄」とともに語り継がれた風習があった。海を見下ろす山に死者を土葬して風車を差し、掘り出した骨に彫刻を施す。長女・薫は、そんな村の不気味さと、身勝手な彫り物師の父・源吾を嫌っていた。薫はそんな父親と諍いが絶えなかったが、ある日、妹・栞が風車を手に取って遊んでいた近くで、いつものように源吾と薫は言い争って栞にぶつかってしまう。その瞬間、栞の左耳に風車が刺さって栞の左耳は聞こえなくなってしまうのだった。

    大人になった栞は、一度は千本村の家を出たものの失踪して故郷に帰ってきてしまう。心配した薫は、妹を探す為に18年ぶりに故郷の千本村に帰って来たのだった。しかし薫は栞の行動の異変に気付く。源吾から、「栞は外傷記憶症という病気にかかっている」という話を聞いた薫は自分が原因で栞の耳が聞こえなくなったことを激しく悔いるのだった。
    何度も同じ事を話す栞。村おこしで作られた「エミュウの里」のエミュウを逃がしていても、そのこと自体に記憶が無い栞。
    そんな栞を源吾は優しく面倒を看ていたのだった。

    「風車を千本飾れば蜃気楼が現れ、悲しみから解放される」という伝承を信じていた栞は白い風車を作り続ける。そんな栞を手伝って不器用ながら風車を作る薫。薫に作り方を教える源吾。二人の息の合った掛け合いが、何か通じるものがあり印象的だ。
    この場面がおかしくもあり、悲しくもあり、切なくもあり、豊かでもある。

    源吾も薫もエミュウ事件を栞に知られまいと思い遣るが、やがて栞はエミュウを逃がしたのは自分だと気付いてしまう。
    愕然とする栞は海の彼方の千坊に蜃気楼を見る。同様に源吾と薫も同じ蜃気楼が見えたのだった。
    栞は小屋の見晴台に上がってもっとよく蜃気楼を見ようとする。美しい光景だった。白いシャツを着た栞にだけ光が当たり、その光は神々しくもあった。
    風が強くなって、周りの白い風車はカラカラクルクルと勢いよく回りだす。栞は十字架のように手を広げて、今、この瞬間、悲しみから解放されて幸福だとでも言うように満面の笑みを浮かべると、風と共にその白い十字架は後に垂直に倒れて、フッと視界から消えたのだった。
    そして、ドンッ!!という鈍い音と共に栞はいなくなった。

    こんなシーン、どっかで観たよな・・?、と考えていたら・・・そうだ!「転校生」の自殺のシーンではなかったか。


    会場がシーーーン・・となる。


    そして栞の葬式が終わると、
    源吾は「いいか、薫、お前はババアになるまで生きろ。決して親より先に死ぬなよ。」

    「ああ、ババアになるまで生きて妖怪になってやる。」



    九州の方言が心地よく、あの世の手前の世界をホーフツとさせる舞台でした。家族の絆を表現した舞台だったと思う。
    流石は桟敷童子、素晴らしい舞台に至福感満ち溢れちゃったのであります!


     


    8

    2009/09/08 19:33

    0

    0

  • あきら>
    はい。確かに自由にはなれないですね。ただ、自由のない日程でも少しの時間を割いて芝居を観る姿勢、好きですね。
    エンタメ好きな人って高尚な気がします。趣味としてはレベルが高いと思うの。
    大抵の輩は、会社→居酒屋・カラオケ→自宅のトライアングルでしょう?
    そういう人たちと比べたら、ここのメンバーは素敵です。そして皆、頭がいい。優秀な人たちですわ!(^0^)


    2009/09/11 10:59

    みささん
    私は、みささんやtetorapackさんほど日程は埋まってませんよ(笑)。でも、仕事のスケジュールもありますしねえ。なかなか自由にはなれないんです。

    tetorapackさん
    柿の感想は、観てテンション高くなったのではなく、舞台の感じに合わせてそれらしく書いてみただけです(笑)。まあ、書いているのは深夜ですから、独特のテンションの高さにあるのは確かですが。つまり、どの感想も同じテンションで書いてます。

    2009/09/11 04:46

    てとら>
    成る程、トム・プロジェクトの企画が素晴らしいのね。
    今度、えまお(さんの一人芝居もありますね。
    失礼しました。それでは東ワールドに言いなおしましょう。(^0^)

    >みささんの一言の鋭さ、お世辞ではなく、私の場合はまさにドンピシャです。

    お褒めに預かり有難う御座います。
    ワタクシも深谷さん、コロさん、玉置くんは大好きですよ。ですから彼らが客演する舞台は観たいです。

    >よくよく考えると、そういうのに私は痺れていたのです。

    おっしゃるとおり、同感です。

    >私も、柿に関しては、原則、みささん路線を取ることにします。まねではなく、あくまで私の感性として。

    解ります、演劇は感性勝負なのでまねでどーなるものでもないですし。
    いい舞台を観るとアドレナリン出まくりですわね?(^0^)

    いあいあ、てとらさん、ワタクシのブースでの意見交換は嬉しいことなのです、もっと、バンバンやって欲しいくらいです!(^0^)


    2009/09/10 12:19

    あきら>
    うふふ、貴方からもコメントがあると思ってましたっ!
    桟敷童子っていったら、てとらさんとあきらさんは必ず・・(^0^)

    早めに日程を埋めちゃうと無理がありますよね、最近のワタクシはどこかの日に1本は空きを作っておきます。何も観たいものがなければ映画を観ます。(^^;)

    >ただし、「死」がENDとか解決とか、悲しみをさそうだけのためにあるのではないところが、好感のもてるところですよね。

    まったき、その通りですね。あの舞台の持つ独特な香り、好きです。
    セピア色の香り!


    2009/09/10 12:06

    みささん

     第一報では書き忘れたことがあるので再び失礼します。このトム・プロジェクト。ここは、いわゆるプロデュース公演の企画製作会社で、この事務所の所属俳優は、あの下條アトムとか、えまお(女優)さんとか、たしか7、8人くらいいます。で、よく桟敷童子主宰の東憲司も使っているのですが、他にも東京乾電池の柄本さんとか、水谷龍二とか、マキノノゾミとかの作・演出公演もプロデュースしていますし、桟敷童子とは直接は関係ないと思うのです(今度、桟敷童子の知人に聞いてみます)。特徴としては、それなりにTVにも出演している知名度のある役者さんの一人芝居とかが多いようです。よって、桟敷童子と言うより、東憲司といった方がよいかも知れませんね。ま、作品の中身としては東ワールドには変わりありませんが……。ちょっと気になったので、ご参考までに書かせてもらいました。

    >ワタクシは柿の芝居は少人数の出演のみ観る事にしています。

    いやー、鋭い! なんか言い得て妙です。実は、私もよくよく考えると、柿というより、正確には柿所属の役者さんの個性として、好みの役者さんが多いというのが正確な認識だったと思います。みささんの一言の鋭さ、お世辞ではなく、私の場合はまさにドンピシャです。特に深谷さん、コロさん、そして男優では玉置くんです。このため、コロが立ち上げたユニットコロブチカや、玉置くんの立ち上げたカスガイとか、もしくは柿だけど独り芝居とか、あるいは客演公演とか、よくよく考えると、そういうのに私は痺れていたのです。
     私も、柿に関しては、原則、みささん路線を取ることにします。まねではなく、あくまで私の感性として。深谷、コロ、玉置の3人はすごく好みですが。いずれにしても、目からウロコだったので、心より御礼まで。

    アキラさん

    そうですか。アキラさんのいつになく飛んでる「悪趣味」へのコメントを読んで、そう思いました。私は、あのテンションというか、物語の中身があまりフィットしませんでした。どちらかというと、コロブチカのproofとか、カスガイの「リビング」(深谷さんも出ていた)とかには、ビンビン反応しちゃいましたが。まあ、私は、「ドタバタ的ハイテンション」がメインのものは、生理的に苦手なのかも知れません。例えば、桟敷童子がいい例で、アキラさんもご覧になった「黄金の猿」なんかは、かなりハイテンションのぶっ飛び系で、ギャグもふんだんにありましたが、でも、一本、芯が通っている。感動し、胸が痛んだり、踊ったり。そんなのが私の好みなのかもしれません。これは、もちろん良し悪しではなく、単なる好みの問題ですが……。
    (なんか脱線した話で、このコーナーをお借りし、みささん、ゴメンチャイ。)

    2009/09/09 23:25

    やっぱり行きたかったなあ。セットも見応えありそうですし。

    私も日程的にどうしても無理なので断念しました。
    初演のときから気になっていた舞台なのに、縁がないようです(笑)。

    >そういえば・・・桟敷童子の芝居って、必ず死がテーマになってますね。

    確かにそのとおりですね。ただし、「死」がENDとか解決とか、悲しみをさそうだけのためにあるのではないところが、好感のもてるところですよね。

    >tetorapackさん
    私は柿は非常に合ってしまったようです(笑)。ただ、あのテンションにあと何年付き合えるかは微妙かもしれません。もっと小さいステージだったらキツかったかも(笑)。

    2009/09/09 19:54

    てとら>
    桟敷童子の芝居ですから、てとらさんからコメントが必ずあると思っていました!(^0^)
    東ワールド、毎回のセットが楽しみですね。この風景を観ただけでヤラレましたっ。


    >分かるような気がします。ここまで説明してくれると、目を閉じると情景が浮かびますから。

    そうおっしゃって頂きますと、とっても嬉しいです♪書いた甲斐がある!

    柿は観る方を選びます。ってか、柿は独特の空気感があって観客によって好き嫌いがはっきり分かれる劇団ですよね?ワタクシは柿の芝居は少人数の出演のみ観る事にしています。
    「11月15日の夜空に」はワタクシも観たかったのですが、骨唄を選びました。だって桟敷童子だもの!(^0^)
    「売り言葉」も素晴らしい一人芝居でした。久しぶりに彼女を観られて嬉しかったですよ。
    終演後の彼女の舞台挨拶はうっすらと涙を浮かべて「遠い所まで来て頂いただけで有難いです。」と、その黒い瞳を濡らしてたのが印象的でした。あんな素晴らしい芝居なのに空席が目立ってたのが悔しかったです。


    >でも、みささんの詳細な「観てきた!」を読んで、心が和みましたよ。サンクス!

    有難う御座います。ワタクシのほうこそ癒されます。

    「転校生」の死の場面、今回の死の場面、同じようにインパクトがあって記憶に残る名作ですね。
    そういえば・・・桟敷童子の芝居って、必ず死がテーマになってますね。
    生と死はメビウスの輪のようですね。

    2009/09/09 00:56

    詳細なネタバレ、うれしく拝見しましたです、はい。

    >セットは舞台いっぱいに置かれた白い風車と小屋。
    白い風車は舞台の上でカラカラクルクルと回り、それだけで黄泉の世界を思わせる。

    本多の舞台は自由な造りが効きますから、きっと目いっぱい東ワールドだったでしょう。東さんはホント、目いっぱいやりますから。

    >この場面がおかしくもあり、悲しくもあり、切なくもあり、豊かでもある。

    分かるような気がします。ここまで説明してくれると、目を閉じると情景が浮かびますから。

    >流石は桟敷童子、素晴らしい舞台に至福感満ち溢れちゃったのであります!

    実は私、3~6日の4日間は、スケジュール的に観られる芝居は5枠。最後の1枠を、これにしようか柿の「悪趣味」にしようか、悩んだ末、柿にしてしまいました(安い方です=笑)が、感想は「観てきた!」に書いた通りで、ああ……。ちなみに他の4作のうち3作は観て大成功でした。えっ、それは「売り言葉」「11月15日の夜空に」「AWAY TARGET」です。これは私も「至福感満ち溢れちゃったのであります」です、はい。「売り言葉」はみささんも☆5つでしたよね。

    でも、みささんの詳細な「観てきた!」を読んで、心が和みましたよ。サンクス!
    >そして、ドンッ!!という鈍い音と共に栞はいなくなった。こんなシーン、どっかで観たよな・・?

    おっ、こわ! すごい迫力だったでしょうね。 転校生は私も観ましたけど、あの音、すごかったですものね。

    2009/09/08 22:54

このページのQRコードです。

拡大