満足度★★★
あまりにも素晴らしい!
ストーリーには奇想天外な展開はなく、スピード感溢れるアクションはワキがしっかり固め、GACKTさまさまの頻繁なため息「はぁ~」がエロティシズムっていうなら、そうなのかもしれないが、セットの殆どをCGで加工していたのはあまりにも美しい演出だった。客席に来ていた魔裟斗はダンディズムだったし、妻と一緒に来ていた姿は微笑ましい光景だった。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は裏でアヘンの取引をしていた備前屋と黒ミサの会員だった土方が手を組んで、武士の兄弟の父を殺したのは眠狂四郎だと騙して兄弟にかたき討ちをさせる筋。
物語は現代にも通じる虚無感はなく、しごくベタ。舞台の全てがガクトの為に作られており、いかにガクトをカッコよく見せるかに全てを注いだような舞台だった。ガクト自体の動きはあまりなく、終盤では流石に戦わせるが、どちらかというとワキの演技力があまりにも素晴らしく光った舞台だった。流石はプロ集団!
ガクトが刀を鞘にカチン!と収める度にバックに光の滴が放ち、切ったら切ったでこれまた光が花火のように舞い散る。円月殺法の見せ場では刀を半円に振ると同時に光も半円を描き、まるで変身したゴクウが放つスーパーボールのようだった。素晴らしい!なんて素晴らしい演出なんだとあっけにとられ、つくづく裏方のプロ集団のレベルの高さを実感した芝居だった。
ガクトファンにとっては毎度のため息「はぁ~」も綺麗に見せる為の立方も、下手な剣捌きも、メイクに力を入れすぎて演技力が?だったのも、そんなことはどーでもよくて観れて幸せだったに違いない。ファンの熱風は三階席まで満杯に埋め尽くし、手が千切れんばかりに拍手をし、幕落のガクトさまさまが登場するシーンでは観客全員が総立ちになった為に座ってるワタクシの周りが暗くなり、ちょっとした森林に迷い込んだうさぎのごとく訳もわからず必死にかき分けて場外に出たのでした。殺される騒ぎ!笑
ガクトグッズは列を作るほど売れまくり、その成り行きを知人に話したら、
「ガクトなんてどこがいいんかねぇ。歌もたいしたことないし・・。」
「何言ってんの!歌も演技も大したことないけど顔はいいじゃん!」
「顔だけ?」
「ん、顔だけ・・。」
けなしてんだか、褒めてんだか・・・。
満足度★★★
パペットの部分が実に面白い
カチカチ山のホントの話を演じるパペットのほうがとっても楽しかった。コメディは解りやすい実にベタなもので万人が楽しめる物語。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
子供文化フェスティバルではパペットキングが人形劇をやるはずだったが滝口の陰謀によって中止せざるをえなくなった。その代わり急遽、他の劇団が演じることになったのだが、これも滝口は妨害しようとする。
その裏には滝口を操る黒幕が居たのだが、滝口の挙動不審ぶりやコミカルな表情が笑いを誘う。舞台裏で織り成すブラックコメディだったがワタクシは人形劇が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
舞台は大爆笑はなかったものの、コネタで笑いを取っていた。物語に斬新な展開はなく、個人的にはもうちょっとセリフで笑わして欲しかったのだが・・。
満足度★★★★★
前「劇団掘出者」の田川の本
だから好みだ。母と娘の異常なまでの屈折度がいい。
その独特の世界感は偏屈で自己愛をどこまでも貫き通した、挙句、普遍的な愛情と勘違いしてしまう業のようなものだ。世の中の娘は皆、母親から平等に傷つけられているのだと思った瞬間だった。
面白い!ただただ、面白い。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
母・愛子は娘の市子を溺愛する。市子に対する愛情はまるで自分の一部を愛するようなものだが、それは決して市子の為ではなく自分の自己満足のためだ。そして市子をついついペットのように扱ってしまう。母の過剰なまでの愛情から逃れたい市子は出会い系サイトで知り合った男と家を出て行ったものの、結局、帰ってきてしまう。この母に育てられた市子もまた、母のミニバージョンなのだ。
隆(母の弟)のうざい台詞の応酬や父親役の強要は目障り極まりないのだが、当の本人はこんな正論がなぜ解らないのか?みたいな独自の常識を押し付け、市子の言葉に耳を貸さない。
母娘の独特の世界感を描くために男性の登場人物達をあえてきもくてストレスの溜まるようなキャラクターに立ち上げたのは絶妙だった。二人の神聖な世界に男は不要なのだ。
そして登場人物の全員が誰も好きになれない設定はこの舞台の限界ギリギリの不条理感を醸し出していた。
田川が描く壊れた人間関係や個人、精神の屈折度、偏った愛情は人間の底を見事に表現していたと思う。そしてキャストらの演技力でこの物語をギュッと濃密に吸引していた。
素晴らしいと思う。
満足度★★★
人間再生支援センターで織り成す人間?模様。
上演時間が長く感じた。もうちょっとまとめて90分程度だったらもっと楽しめたような気がする。
こういった題材を扱うということは生きる意味を考え人生は何度でもやり直せるよ。みたいあな応援歌だと思う。だから入居者が、まほろばの里に留まる意味をもっと掘り起こして欲しかった。
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ネタバレBOX
まほろばの里は人が死んで生まれ変われるまで、滞在する場所。つまり待機所だ。あの世とこの世の狭間がここだ。
そして彼らの執念や邪念を浄化し、来世へ送り出す手助けをする一方で死者の魂をこの施設に誘導する役目をするのが職員の仕事だ。
彼ら(死人たち)はまほろばの里で楽しく自由に暮らしていたから誰も生き返ろうとしなかったが、ある日、センターが閉鎖されることをきっかけに彼らの今後を真剣に考えるときが来た。
それぞれの死者たちは現世に戻るか天国に行くかを選択しなければならないが、この場面展開でパンチが弱い。コミカルな場面とオゾマシイ場面の両方を求めるのは過酷だろうか?
舞台は楽しめた。発想も面白い。更にセットの作りこみも上手い。
満足度★★★★
駆け抜ける千年女優
アニメをどうやって表現するのだろうと少々、不安だった。アニメや映画はワンカットワンカットを繋ぎ合わせて作られる分だけ、かなり有利だ。舞台は生だけにその表現方法も限られてしまう。
しかし、舞台はこれは誰役という説明も交えながら見応えがあった。導入音楽も素敵だ。
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ネタバレBOX
千代子(女優)を慕っていた立花は「千年女優」の制作の為、今は女優を引退した千代子に逢いに行く。ここから、若き日の千代子が一途に恋焦がれていた絵描きで運動家だった男との回想シーンや、女優だった時の情景の場面が始る。典型的な劇中劇だ。
たった数日の絵描きとの思い出だけを胸に秘めて何年も生きていた千代子の純愛はやはり胸を打たれる。千代子が大切にしていた鍵を見つけて絵描きを追い求める場面では、やはり泣ける。泣ける。かなり泣く。
たった5人の女優だけで何十人もの役をこなすのはさぞかし大変だろうと察するが、そういった難も完璧にこなしスピード感溢れる展開は充分に楽しませてくれた。強いていうなら優美な衣装が邪魔して空想できないおっさん役もあったが、まあ、仕方のないことなのだろう。
若き日の千代子役を前渕さなえが演じたのは功を奏したと思う。既に死んで、この世にはいない人の影を追いかけていた千代子の追いかける場面は「不思議の国のアリス」で疾走するアリスを想像した。
終盤、千代子が吐くセリフ「天国に行ったらあの人に逢えるかしら?でもどっちでもいいの。だってあの人を追いかけてる私が好きなんですもの。」
何でもいい。誰かを何かを追い求めるって素敵なことだ。
満足度★★★
石神井ポルカ~昭和編~を観た
昭和編に限っては入口に遠い場所のほうが伊村のキワドイ表情の転換が見えて面白かった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
平和荘の小山の部屋で飲んだくれた挙句、折り重なるように寝ているしょもない住人たち。彼らにはプライバシーというものがない。平和荘に住む住人たちが家族のような構成を保ってる現在、近所に住むお嬢様が気まぐれにやってきて、ここに住んでみたいと言いだす。
小山はこんな綺麗なお嬢様と住めて、その上、謝礼として5万円を頂けるなんて一石二鳥と考え暮らすことになったが、小山を密かに想っていた大家の娘・幸子はこれにショックをうけてしまう。
幸子に思い焦がれている超真面目な男子高校生、アパートの住人達が織りなす喜劇だが、昭和の時代に流行ったマルチ商法に引っかかりそうになりながらも貧乏のどん底で暮らす小山はいつしか、お嬢様に恋しちゃって一日で出て行ったお嬢を追いかけていくシーンで終わる。
ってことは平成編は小山の恋愛から始まるのだろうか。
あの時代の穏やかでノー天気な雰囲気の香りが充分に醸し出されていて良かった思う。不器用で上手く生きられない人たちの芝居はいつみても、観客に癒し効果を与えるものだから、ホッとするのだけれど、いかんせん目の前のセットが高すぎる。常に上を観てる状態で首が疲れた。あの部屋はもうちょっと低いセットでも良かったような気がするのだが・・。
全体的に笑いの小ネタは多かったものの、角度によっては観え辛かったと思う。
満足度★★★★
記憶にまつわる物語
まったく毛色の異なる2つの物語を堪能した。
一話目は本当に解りやすい描写で万人向けの芝居。二話目はパフォーマンスの強い斬新な描写。この二話目が終わった後、帰りのエレベーター内で「谷津さん、難しいのを作ったね、解んなかったわ」と口々に話していたところをみるとやはり難しかったのかもしれない。
それでもこの全く違う二話は終わり方で温かな甘水で満たされることに変わりはない。
良いストーリーなのだ。
当日パンフにはキャストの紹介はあっても役柄が載ってなかった。惜しい。役も載せて欲しかった。
ネタバレBOX
『赤よりも碧く、なほ、かがやく黄色』
1986年夏、S県の小さな田舎町で起きた「田辺翠ちゃん失踪事件」傍目には凶悪事件だが実はこの事件には正当な理由があったのだった。
翠ちゃんは父親から受けていたDVによって全身が痣だらけだった。これを見かねた担任の教師は翠ちゃんを匿うために正義の誘拐を決行する。これを知っていたのは当時の小学4年の同級生、井坂と上山だった。先生は二人と翠に、この秘密は4人だけのものだ。絶対に口外してはいけない。」と硬い約束をする。
それから25年後、精神科を訪れた井坂の奇妙な恐怖症の原因を探っていくと、それがあの事件に関わっていることが判明する。事件の真相と、井坂自身が先生との約束を破ってしまった罪の意識がトラウマとなって彼を精神的に追いつめていたのだった。
終盤、翠が上山に吐く言葉「あなたがいてくれたから私の人生は壊れずにすみました。ありがとう。」は物語をぎゅっと引き締め崇高なものにした。淡い恋心も美しい。
『晩鐘』
ある女性が結婚、出産、家族、離婚の危機を乗り越え晩鐘までの人生を描写した物語。
新婚旅行で空港に行った夫婦は老夫婦に出会う。この老夫婦の会話がなんとも穏やかで生きて来た人生の深みを感じる。老夫婦はお互いに、相手がパスポートを持ってきていると思い込んでいたため、二人はパスポートを持って来ていない。まるで公園のベンチにでも座って夕焼けを眺めているようなシーンだ。映画のワンシーンのよう。
一方で新婚夫婦は空港から飛び立ち、そして彼女らの人生の
軌跡を断片的に追っていく。その人生は子供達との関係で忙しく賑やかに、姑との関係でブチ切れ、夫との関係でたそがれる場面を絶妙に描写しながら、やがて、離婚の危機も訪れる。しかし、どうやらこの危機は思いとどまったらしく、こうして二人は空港で、あの時の老夫婦のようにパスポートを忘れて黄昏るのである。
ああ、人生とはなんと素敵なんだろう。と思わせるシーンだ。
真城千都世さんの髪型が凄く良かった。どうやって作るのだろうとじーっと見つめていたら頭のてっぺんにトイレットペーパーの芯のような形の筒が埋め込まれてあり、どうやら筒状に髪を巻いているようだった。後でマネしようと思う。
満足度★★★★★
マジおもろい
当日券を購入するのに1時間前に並べっていうから、真面目に並んでいたら、15分も遅れて販売していた。いったいなに様?と言いたい。しかし芝居はひじょうに面白かった。
だいたいタイトルにも興味深々だったし、フライヤーのでっかい顔にも興味があった。決して怪物らしくない愛嬌がある顔は見ているとなんだかほっこりする。たぶんこの物語は脚本家の妻が3人目出産と言うことで発案した内容だと思う。
殆どコメディ。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
福田亜希子(姉)は妊娠を機に会社から独立し、生まれてくる子供と二人で生きていこうと決意するも、亜希子の妹・有希や有希の恋人・克哉、亜希子の元夫、元上司、タクシーの運転手がこれを放っておかない。しかし生まれてきたベイビーは「ジャイアントベイビー」だったのだ。笑
父親は「自分は宇宙人だ。」なんつってのたまって亜希子から金をせびり失踪してしまった宇宙人らしい。なんのこっちゃ!笑
しかも生まれてきたベイビーは母親の数倍もある体格で、いったいどこにコレが収まってたんよ。って突っ込みたくなるようなデカさ加減。笑
しかしこのジャンボは人間離れした怪力と人間離れした駿足力を持ち合わせていながら知能は3歳程度で(まあ生後3日だから凄いのだけれど)行動は幼児っぽい。
亜希子も有希や克哉もジャンボに振り回されながら、いつしか克哉はジャンボに対して母性愛に目覚めてしまう一方で母親の亜希子は、わが子は可愛いのだけれど末恐ろしくもなる心理状態にパニクり富士山の近くに捨ててきてしまう。
しかし持ち前の俊足で車を追いかけて帰ってきたジャンボを待ち構えていたのは有希から事情を聴いてジャンボを研究したいドクターだったのだ。ジャンボを連れ去ろうと麻酔を打ち数人で争ううちにジャンボはドクターをいとも簡単に殺してしまう。
人を殺したジャンボはここで本当の怪物となってしまうのだが、亜希子はジャンボと二人で何処かへ逃げる決心をする。
序盤から中盤にかけて色々なセリフで観客を笑わせる。ジャンボの登場の仕方もほの暗い洞穴から這い出てきたような描写で照明もこれに加味してホラー的に盛り上げる。ホラー喜劇といえばそうなのだろうけれど、終盤の収束の仕方は偏った母の愛情と、妹が妊娠をきっかけに結婚する場面は人間臭くてひじょうに良かったと思う。
強いていうならジャンボが50キロの道のりを裸足で駆け戻って来たのに足が泥まみれでなく綺麗だったのが違和感を感じたが全体的に涙が出るほど笑わせてもらった。
観てよかったとつくづく思う。
満足度★★★★
人事とは思えない情景
つくづく舞台は生ものなのだと感じる。ワタクシの観た回はキャストらもノっていたようで観ていてまったく違和感はなく、むしろ不条理感を絶妙に演じていたと思う。
初見の劇団で期待度が低かっただけに、満足できた舞台だった。
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ネタバレBOX
或る介護施設で起こる情景。
どこにでもあるような施設の描写から始る。花を育てその花を元にハーブドラッグを作る男・相葉。祖父を見舞い、その介護施設のバイトになって祖父に毒を盛る女・つぐみ。真面目に介護スタッフのチーフとして働き、自分自身が疲れ果てて病んでしまう男・海野。母が施設に入所してマザコン度が増す息子・良一。その息子の愛情が欲しいために壊れていく妻・志麻。
全員が自分の意思とは反対に闇の方向に突き進んでいく。物語は入所している高齢の男女が未来に絶望して無理心中をした場面からクライマックスに突入する。母が死んだ責任を妻の志麻になすりつける良一の暴言によって志麻が精神的にも破壊されて欝になっていく状況は壮絶だった。
また、つぐみが己の罪の責任を感じて萎えていくさまも、更に合法ドラッグを作っていた相葉の屈折度も人間の本質を描いていたと思う。つぐみを慰める相葉の言葉「幻覚だよ、きっと・・。」は現実逃避そのものだが、窮地に瀕した人間はこれは夢なのだと思いたいものなのだ。
良いと思う。観終わった後に決して晴れ晴れとした心もちにはなれないが、とにかく良いと感じた舞台だった。
満足度★★★
ファンタジーパンクの世界
ロロという劇団は今が旬!みたいな感覚が顕在する。それは若さを前面に押し出すアニメの世界感だったりする。使うセリフや行動はまさに少女マンガの中のようだ。
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ネタバレBOX
天から自分の誕生日だからといってケーキを持って舞い降りた男子がぶつかる女子は真琴という。真琴は当然ケーキまみれになるが、このときに恋は始る。これも必ずといっていいほど少女マンガでの出会いのコマだ。笑
また博士博士が作るロボットは決して強くない草食系ロボ・秋冬だ。このロボの世話係がこれとは真逆にマッチョなイカツクでっかい男だ。秋冬が初めて恋した相手を守ろうとするために立ち向かう争いはなんだかすっごく切なくて悲しみに溢れていたりする。
秋冬が壊れて死ぬシーンで口から数個のボルトを吐き出す場面はまるで映画のワンシーンを観てるようだった。ずっとずっと昔見た映画でどう足掻いても人間になれないアンドロイドが人間に恋したばかりに傷ついて死んでいく場面と重なり、無性に哀れで悲しかった。
登場人物の全員に羽がついたような衣装も現実的ではないけれど、この舞台も現実的ではない。非現実の世界感をキャラクターたちと一緒に冒険するような舞台だ。
だから、アニメ好きには案外楽しく観られると思う。
ただ、主役は誰?みたいな散漫した感覚はあったのだが・・。
満足度★★★★
期待していなかったけれど
めっさオモロイ。惜しむらくはパンフレットにキャスト名はあるものの、役名が載ってない。パンフに拘っているちゃんとした劇団はキャスト名、顔写真、役名、少しの説明も入れるから良いところは見習ったほうがいいかも。
ネタバレBOX
売れっ子少女漫画家の〆切日の夜の話。〆切に間に合わないのに編集部や友人やら漫画家のファンやらが押しかけ、てんやわんやとなってしまう。そんな状況の中、原稿は上がるはずもなく試行錯誤を繰り返して全員で原稿を仕上げるという妙案を思いつく。
しかしそんな付け焼刃は到底、物語性はまったくなく継ぎ接ぎだらけのストーリーとなってしまう。結局薬局、漫画家のキューティーえのだが漫画家の秋山の代わりに書いてとりなす筋だった。
登場人物のキャラクターが実にいい。彼女のミヤ、ゲイの編集長などまんまアニメキャラだ。また作家が思い描く漫画を舞台前で劇中劇として見せるシーンは絶妙で、これだけでもオモチロ可笑しい。他のキャラクターがあまりにも独特だったためにキューティーえのだのキャラクターが少々薄れたが、全体的にコミカルで楽しい舞台だった。口の中で金魚が飼えるだろ!ぐらいの大口開けて笑い、楽しい時間を過ごした。
満足度★★★
30分公演はやはりもの足りない
「ねずみ男」というタイトルから「ゲゲゲの鬼太郎」バージョンなのかなと勝手に思い込んでいたら違った。幸福を追い求める人たちのお話。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は夢を売り歩いている男から夢を買おうとした者が、その夢とやらはどういったものなのか?と発したことから始る物語。
誰でも人間は幸福を追い求めるが、それは現時点で現況に満足していないという証でもある。ここで登場する女性グループは「婚活クラブ」と称してグループで結婚相談所にやってくる。単体ではなく団体でこうして婚活すること事態が既に本気ではなく遊びの延長のようなものなのだが女性の中に混じって男性が一人居るのは、まるで白鳥に混じった黒い鳥に思えた。苦笑!
彼女らは結婚生活に夢を追い求め、それがとっても難しいものなのだと気が付き、追いつめられると、ひとは夢でもいいから光をどこかに求めたくなるものだ。その光が結婚相談所なのだが、彼女らは禿げた男性は嫌、役者は金がないからダメ・・・となんだかんだ嫌って振り分けているうちにとうとう誰も居なくなったという結果になる。
劇中、宇貫の狂言が観られたのはお得な感覚になる。もしかしたら狂言が本職なのだろうか?発声の仕方と動きは流石に素晴らしい。
終盤「幸せの色は見えましたか?」で終わらせるが、公演時間30分ではやはりもの足りない。演劇コンクールという企画の30分枠なので仕方がないが、きょうび、高校演劇コンクールでも上演時間は60分だ。そのくらいは必要だし、そうでないと観客は満足できないのではなかろうか。
CMどうなんだろ?
オープニング前夜祭を観た。開会式では市長及び関係者らの挨拶が短くて本当に助かる。その後本選出場劇団のCM大会が行われたが、こちらは2団体が稽古のため欠席。他の劇団も5分程度なのであまり意味はないように感じた。
また第一回グランプリ受賞作品の感想はトランジスタoneのほうに記録します。
公演時間30分ではやはりもの足りない。演劇コンクールという企画の30分枠なので仕方がないが、きょうび、高校演劇コンクールでも上演時間は60分だ。そのくらいは必要だし、そうでないと観客は満足できないのではなかろうか。
満足度★★★
う~ん??微妙だなぁ。
ブラックコメディが売りのようだけれど、それほどのコメディはない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
役者がどーのこーのではなく、本がどーのこーの言いたい。観終わった後にあまり何も残らない本だ。
2人の男友達は、憧れていた女のヤクザ風の男との別れ話に巻き込まれた。2人の男のうちの一人がその女に利用されてヤクザ風の男ともみ合った拍子に、ヤクザ風の男は後頭部を打ちつけてぐったりしてしまう。
しかし、その男は死んではいない。気絶していただけだったが、自分が殺してしまったと思い込んだ男は逃げ出してしまう。そんな男に惚れた女友達が彼をゲットするまでを描いた恋愛ものだったが、失笑とか苦笑い、あるいは爆笑、小笑はあまりない。
本に大したうねりがない場合、もっと笑わせてくれないとなぁ・・と感じた次第。
ヤクザ風の男が部屋に入ってきたシーンではあまりのキャラクターの凄味に笑えたけれど、それ以外、観客は静かだった。
満足度★★★★
爆笑悲劇
「夏の夜の夢」といえば、知らない観劇者はいないとおもうからあえてストーリーには触れないが、とにかく、笑った!
涙を流して笑った!観劇日は落日。
ネタバレBOX
魔性の森に住む妖精パックは西田敏行みたいだし、ティターニアは噛みまくるし、劇中劇のボトムは丸山まことだし・・。で、どんだけ奇獣劇として成り立ってんだ。と妙に感心してしまった。とことん、コメディ。
素晴らしいのは「夏の夜の夢」をこれだけ解りやすく表現できるのは、だるま企画ならではだ。筋はきっちりと、そしてコメディもきっちり。落日だったことからか、案外、自由にキャストらも演じていてどこまでがアドリブでどこまでがセリフだったのかは想像し難いが、それなりの騒々しさはこの劇団の持ち味でもある。
毎回のことながらスタッフの対応もひじょうに良く観劇前から気分は上々だった。
次回も勿論、観たい。
満足度★★★★
遅筆な台本の割には
完成度が高かったのはキャストらの秀逸さなんでしょうか?笑)
物語は一人の死んだ男性を軸に、彼に関わっていた残された人のお話。
ネタバレBOX
毬井が死んでしまった現実を解っているつもりのチサト(毬井の元恋人)だったが、ある日、毬井のブログが更新されていることに気付いた彼女は、彼がこの世から居なくなってしまった事がどうしても信じられない。
毎回、更新されるブログの内容も、本人が書いてるとしか思われない内容だったからだ。しかし、そのブログは毬井の旧友・武田が毬井のパスワードを使って彼になりすまして更新していたことがバレテしまう。
ブログの更新によって死んだはずの人間への想いが更に深まって傷つけられる人たちと、軽い気持ちで更新していた武田の心の機微を描いた作品だったように思う。それでも生きてる人間の道はずっと続いていくのだ。
導入音楽、演出、キャストらの演技力が絶妙だった。相変わらずゲキバカの伊藤のお母さんキャラが映える!このキャラが今回の笑いの全てを担っていた。
満足度★★★★
不幸という名の代名詞
セットに気合が入ってる。しかもピアノを奏でる音楽劇。こう書くと、ピアノの旋律を優雅に聞きながら絵画のような世界をホーフツと出来るんでしょ?なんつってそれこそ絵にも描けない美しさ的な舞台を想像するだろうけれど、そこはなんつっても磯川家。そうはとんやがおろさない。
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ネタバレBOX
自分を不幸と思っている足の不自由な女の子とバーテンの恋の物語。
物語はとあるバーに客として訪れた男にバーのマスターが話を聞かせる劇中劇。終盤、この客がバーテンの弟と判明する。
足の悪い可愛い女はバーの定位置のシートに座り、やってきた男性客をその気にさせて、ホテルに誘わせる。その気になった男はいざホテルへ!と鼻息荒くしてムラムラしながら行こうとすると彼女の足が不自由なことに気付く。男は急にその気がうせてお詫びに女の会計も支払う・・。そんな遊びを繰り返していた女郎蜘蛛みたいな女に恋をしたバーテンは女の僕となって自分を捧げていた。
一方でそのバーに訪れる常連客たちの賑やかさはピアノの音楽なんか聴いちゃいないわ!みたいな如く暴れまわる。苦笑!)ここで登場するバカップルがお馴染みのコメディ。しかもバカップルの男全部が草食系のなり。
いあいあ、草食系が悪いというのではない。ワタクシ、何を差し置いても草食系メガネ男子は好物中の好物で、三度の飯より好きだ。しか~し、ここの草食系はどちらかというとアニマル草食だ。笑
どんどん、どんどん、勝手にあらぬ方向に進んでいく皆の衆は軟派な男ばかりで硬派は一人も居ない。そこが磯川家といえばそうなのだけれど・・。笑
物語は足の悪い理香が実はかつて「世界で最も小さな歌姫」と騒がれた小橋理香だったが、ある日、車椅子の生活を強いられてから、健気にも人に頼らず何とかしようと異常なほど勝気に、我儘になってしまっていた。理香の閉ざされた気持ちをなんとかしようと姉やバーの店員、客らが奮闘し、彼女の意固地になっていた様々な気持ちを徐々に溶かして素直に戻させるような舞台だった。
ここで本来ならホロリ・・・。と泣ければいいのだろうけれど、なんだか彼らの顔を見つめていると、感動よりも可笑しみのほうがこみ上げてきて泣くことなんかできゃしない。
もはやもう、笑えればどっちでもいい物語。
2月15日だったかな~・・磯川家がシェアしてる家でパーティがあるらしい。劇団員が手料理でもてなしてくれるらしいので、興味のある方や、飲み倒したい輩は行くといい。
満足度★★★★
嫌いじゃないよ。
とにかく超満員!そして会場も暑い。更に舞台も熱い。というより暑苦しい!(苦笑!)
舞台はスターウォーズとウルトラマン太郎をミックスしたような舞台だった。でもってキャラクターはアニメ的。そんなバカバカしい舞台なのだからワタクシ的には好みで実に楽しめた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
月並みな日々を過ごしていた月波家の人々がある日、隕石落下による影響で超能力を得てしまう。やがて地球防衛軍にスカウトされた彼らは地球征服を狙う超凶悪なエイリアンと戦うことになる。つまり俗に言うヒーローもので月波家と一緒に戦うレンジャー部隊がJABOといわれる正義の味方だ。
しかしヒーローものに登場する隊長というと筋肉隆々でめっさ強そうで勇敢なのが常だが、ここでのハヤタ隊長は老骨に鞭打ってヨレヨレヨタヨタと足取りもおぼつかないような筋肉粒々の隊長だ。そんなだから戦うシーンでは肩で風切って凄むどころか、肩で息きってゼイゼイハアハア・・・、なのだった。(苦笑!)
いあいあ、これはもう、観ていてとにかくオモチロイ。
をいをい!大丈夫か!明日も公演があるんですぜ、ダンナ!なんつって小悪魔風に構えながら観ていたら、案の定、舞台でよろつく正義のヒーロー。正義の味方もある意味、観客が見方を変えなきゃ観てられないさまで、心配でドキドキしちゃったけれど、もう一方で、彼にビールが当たればいいのに・・。なんて密かに念じてしまった次第。笑
バカボンのパパみたいなキャラクターが登場したり、メットのてっぺんに星を付けて・・、それこそスターウォーズなのだけれど、超凶悪なエイリアンのイカツイ身体にウィンナーが繋がって装着していた姿はあまりにもイカシテて素敵じゃあないのっ!
次回も身体を壊さない程度に頑張って欲しいと願う小市民でした。地球が平和なのは君たちのおかげ!
満足度★★★
どちらかというと昭和のコメディ
ベタで解りやすいワンシチュエーションコメディ。笑いのセリフにセンスはない。ナンセンスでもない。かといってつまらないかというとそうでもない。万人向きなコメディ。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は妹の家と勘違いしていた勘介が、ここでドラマの撮影をすることから始った勘違いによる、まさに勝手にひとんちを舞台にしちまったコメディだ。中盤まで雑多な人がひとんちに入り込むも、当の家主とは鉢合わせにならず、そのまま進行していく。
こういったコメディはけっして珍しくはない。よく観るパターンだ。だから他の似たような芝居と差をつける為には、どんな言葉で観客を笑わせるかが差の付け所なのだろうけれど、ガラパはむしろ巧みな言葉で観客を笑わせるのは苦手のようでキャストらの動きや身体で魅せる昭和のコメディだった。
最近、ナンセンスコメディや不条理コメディのシュールで上質なセリフで笑わせる類の芝居を観てるから、全体的に古いな~。というのが印象だが、まあ、こういった古さも必要なのかもしれない。
終盤、家主と鉢合わせになった勘介らは、全てを吐露して家主をうまく丸め込んで撮影となるも、それぞれのキャラクターがドラマの設定に会わないというオチでちょっとしたイザコザになり相変わらずドタバタで終始したコメディだった。
結局薬局、勘介が自分の人生を見つめなおすきっかけになったという指標を提示したのもパターンどおり。
初心者向けだし大衆向け。たぶん誰にでも受け入れられるコメディだろう。新鮮味はない。
満足度★★★★★
魂を持ったピアノ
この物語はピアノから見た人間の歴史を綴ったものだ。ピアノを弾く中村千春をピアノの擬人化として配置し、彼女がピアノの魂とする構成はあまりにも上手い。
十数人の役者のオリジナルの衣装と、舞台上に置かれた一台のピアノの魂の衣装が見事にマッチして、上品でおしゃれな舞台だ。姫を演じたキャスト・内山ちひろのキャラクターの立ち上がりも絶妙で、個人的に大満足な舞台だった。姫が泣き崩れるシーンでは一緒に泣いた。たぶん、今年一番のヒット作。終演後、拍手は鳴り止まず、今、思い出しても美しく荘厳な舞台で時代を超えたスケールの大きさを露呈していたと心から思う。ロマン溢れる大人のファンタジー。
是非、多くの方に観てもらいたいなぁ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
500年の時を生き続けたピアノ。ピアノの調べにのせてピアノが見てきた人間の歴史を紡ぎ出す。作品の中で物語と音楽が一緒に流れていくさまは、やはり観客としては贅沢で崇高な時間だ。こういった舞台は恋人と観劇するのが一番似合うのだろうけれど・・。
スタンウェインが弾いていたピアノは、彼が死んだあと、沢山の所有者を転々と渡り歩いてきた。なぜかピアノを所有するとその主人が亡くなることから、「呪いのピアノ」と噂される。ある日、とある国王のもとへ買われたピアノはこの国に人質として嫁いできた姫と出会う。
姫はピアノの調べを聞いて泣き崩れ「おかあさ~ん」と叫ぶのだった。ピアノが奏でる旋律は姫の故郷の子守唄だったのだ。姫はどんな辛いことがあっても明日もピアノを聞こうと思って死なずに頑張った。と後に告白するが、その頑張りようも劇中でこれでもか!とばかりに魅せる。
しかし、ピアノを所有していた王国は戦争に負け続け、疫病は蔓延し暴動が起きる。国王は処刑され、姫は逃げるもその先の数奇の運命に翻弄された姫の所在がピアノ自身も解らなかった。
時は流れて高校の音楽室に配置されたピアノは、かつての姫の生まれ変わりである女子高校生に出会う。彼女はピアノを覚えていなかったが「またわたしに会いに来てくれたね」と喜び、彼女の人生を見つめるピアノ。
姫の時代も女子高校生の時代も彼女は相当、悪い星に生まれてきてるけれど、自分の力で突っぱねて生きる姿がなんとも美しく清らかだ。ピアノは彼女に問う。「将来の夢は?」
「お嫁さんになって幸せな家庭を作ること」
彼女の夢は実にシンプルだ。しかしそのシンプルこそが身近にある幸せなのだ。
キャストらの演技力、構成、衣装、照明、終盤での鍵盤のセットとリフレイン、それらは幻想的で美しい童話の世界だ。
だから舞台って素敵!