ピアノピア 公演情報 インパラプレパラート「ピアノピア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    魂を持ったピアノ
    この物語はピアノから見た人間の歴史を綴ったものだ。ピアノを弾く中村千春をピアノの擬人化として配置し、彼女がピアノの魂とする構成はあまりにも上手い。
    十数人の役者のオリジナルの衣装と、舞台上に置かれた一台のピアノの魂の衣装が見事にマッチして、上品でおしゃれな舞台だ。姫を演じたキャスト・内山ちひろのキャラクターの立ち上がりも絶妙で、個人的に大満足な舞台だった。姫が泣き崩れるシーンでは一緒に泣いた。たぶん、今年一番のヒット作。終演後、拍手は鳴り止まず、今、思い出しても美しく荘厳な舞台で時代を超えたスケールの大きさを露呈していたと心から思う。ロマン溢れる大人のファンタジー。
    是非、多くの方に観てもらいたいなぁ。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    500年の時を生き続けたピアノ。ピアノの調べにのせてピアノが見てきた人間の歴史を紡ぎ出す。作品の中で物語と音楽が一緒に流れていくさまは、やはり観客としては贅沢で崇高な時間だ。こういった舞台は恋人と観劇するのが一番似合うのだろうけれど・・。

    スタンウェインが弾いていたピアノは、彼が死んだあと、沢山の所有者を転々と渡り歩いてきた。なぜかピアノを所有するとその主人が亡くなることから、「呪いのピアノ」と噂される。ある日、とある国王のもとへ買われたピアノはこの国に人質として嫁いできた姫と出会う。

    姫はピアノの調べを聞いて泣き崩れ「おかあさ~ん」と叫ぶのだった。ピアノが奏でる旋律は姫の故郷の子守唄だったのだ。姫はどんな辛いことがあっても明日もピアノを聞こうと思って死なずに頑張った。と後に告白するが、その頑張りようも劇中でこれでもか!とばかりに魅せる。

    しかし、ピアノを所有していた王国は戦争に負け続け、疫病は蔓延し暴動が起きる。国王は処刑され、姫は逃げるもその先の数奇の運命に翻弄された姫の所在がピアノ自身も解らなかった。

    時は流れて高校の音楽室に配置されたピアノは、かつての姫の生まれ変わりである女子高校生に出会う。彼女はピアノを覚えていなかったが「またわたしに会いに来てくれたね」と喜び、彼女の人生を見つめるピアノ。

    姫の時代も女子高校生の時代も彼女は相当、悪い星に生まれてきてるけれど、自分の力で突っぱねて生きる姿がなんとも美しく清らかだ。ピアノは彼女に問う。「将来の夢は?」
    「お嫁さんになって幸せな家庭を作ること」
    彼女の夢は実にシンプルだ。しかしそのシンプルこそが身近にある幸せなのだ。

    キャストらの演技力、構成、衣装、照明、終盤での鍵盤のセットとリフレイン、それらは幻想的で美しい童話の世界だ。
    だから舞台って素敵!

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    2011/02/05 12:28

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