花咲くコウフクの庭 公演情報 ゲンパビ「花咲くコウフクの庭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人事とは思えない情景
    つくづく舞台は生ものなのだと感じる。ワタクシの観た回はキャストらもノっていたようで観ていてまったく違和感はなく、むしろ不条理感を絶妙に演じていたと思う。
    初見の劇団で期待度が低かっただけに、満足できた舞台だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    或る介護施設で起こる情景。

    どこにでもあるような施設の描写から始る。花を育てその花を元にハーブドラッグを作る男・相葉。祖父を見舞い、その介護施設のバイトになって祖父に毒を盛る女・つぐみ。真面目に介護スタッフのチーフとして働き、自分自身が疲れ果てて病んでしまう男・海野。母が施設に入所してマザコン度が増す息子・良一。その息子の愛情が欲しいために壊れていく妻・志麻。

    全員が自分の意思とは反対に闇の方向に突き進んでいく。物語は入所している高齢の男女が未来に絶望して無理心中をした場面からクライマックスに突入する。母が死んだ責任を妻の志麻になすりつける良一の暴言によって志麻が精神的にも破壊されて欝になっていく状況は壮絶だった。

    また、つぐみが己の罪の責任を感じて萎えていくさまも、更に合法ドラッグを作っていた相葉の屈折度も人間の本質を描いていたと思う。つぐみを慰める相葉の言葉「幻覚だよ、きっと・・。」は現実逃避そのものだが、窮地に瀕した人間はこれは夢なのだと思いたいものなのだ。

    良いと思う。観終わった後に決して晴れ晴れとした心もちにはなれないが、とにかく良いと感じた舞台だった。

    0

    2011/02/13 22:05

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大