tamagawaya_ucの観てきた!クチコミ一覧

241-260件 / 450件中
芸創CONNECT vol.7

芸創CONNECT vol.7

大阪市立芸術創造館

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2014/02/11 (火) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

芸創CONNECT vol.7観ました
 地元・愛知から孤独部出場ということで、応援に行きました。押忍!

 次代を担う表現・創作のコンペ。
 全国から参加の6団体が、15分のパフォーマンスを次々に上演。
 芸創による審査員(やなぎみわ、東野祥子、服部滋樹、谷口純弘)のセレクトも、この企画の大きい要素。


【各団体の感想 (☆は私の個人的評価)】

 
[虫の息](東京)

 ローカルな土地の姉妹の記憶を、独特な装置や映像も交えて。
 表現への試行錯誤が伺えた。
 見せ方、映像などの詰めがまだ甘いか?
<☆☆☆>


[したため](京都)

 言葉による自分の定義の積み重ね。
 昨年末に京都・gateで観た、試作パーツ的な発表とほぼ変わらず。
 さすがに、コンペでこれは物足りない…
<☆☆>


[空(うつぼ)](東京 主宰はアメリカ在住、スカイプ参加)

 日本に住む中国人の老人の半生を、これまた年齢も人種も違う二人の役者が観客に伝達。
 全てが違うピースだが、流れるような語り・動作に、磨き上げを感じる。見世物としては物足りないか?
 昨年、愛知・京都合同公演・AAFリージョナルシアター「Bungakuコンプレックス」で観た、村川拓也さんの「羅生門」を思い出す概念作品。
<☆☆☆☆>


[孤独部](愛知)

 男女二人、ほとんど動きのない場面のリフレインを繰り返しながら、その微妙な誤差で、観る人に想像を促す。
 観客によって、何を読み取るかの幅が広い。
 愛知以来、観るのは二回目の作品だけど、前回よりゾクゾクきた!
<☆☆☆☆☆>


[濱中俊](東京)

 過去の自分の記録した声を、リアルタイムで聞きながら、それを元にした映像の前で、現在の自分の言葉・身体に変換。
 映像が弱いとの評価だったけど、私には、この作風ならちょうどいいかと。
 むしろ、舞台上にある身体の弱さが気になった。
 試みは最も興味深い。
<☆☆☆☆>


[モンゴルズ](兵庫)

 寸劇・ダンスを交えながらの料理パフォーマンス。(←ここだけすごい違うww)
 見せ所を押さえた親子の寸劇、意外なほど切れのいいダンスの合間に、ホットプレートで親子丼を完成!(↑ww)
 出来上がった料理を審査員が食べなかったのは残念だけど、むべなるかな。客いじりはTPOが命。
 劇場以外での公演でこそ、見世物・体験作品として、生命を感じる表現。(ふだんは、主に淡路島のレストランで活動)
<☆☆☆☆>


【審査員の講評】
 「プレゼンテーションの傾向。
 サーベイに基づくソーシャルデザインや地域のケアという社会性を重視した作品が多かった。
 そこは前提であり、表現の出発点。
 最後にものを言うのは、表現の強度」



 そして、最優秀賞は…



 「空(うつぼ)」に決まりました!おめでとうございました!

 (孤独部とモンゴルズは別枠で卓越w)



 愛知・孤独部は、地元では他に類を見ない尖りぶりだけど、全国レベル・昨今の潮流から見れば、むしろ古典的なクリエイトの扱い。
 枠の外に出てみないと分からないものだなあ。

 やなぎみわさん始め、審査員がみんな、孤独部を審査とは別扱いで気に入ってくれてたのが、わが事のように嬉しい\(^o^)/


 今回は傾向が偏ったという事で、次回はダンス等バラエティあるラインナップを期待!

第3回SP創立記念祭

第3回SP創立記念祭

SP火曜劇場

天劇キネマトロン(大阪府)

2014/02/11 (火) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

第3回SP創立記念祭に行きました
 こりっちで関西の公演を検索していたら、偶然発見したイベント(笑)

 SP水曜劇場は、関西の劇団を中心に、ユーストで定期的に映像配信している企画。
 時間堂「ローザ」全国ツアーの大阪公演・前哨戦として配信された「星の結び目」で、初めて観ました(「星の結び目」は、東京・こまばアゴラで観劇。黒澤世莉さんと初めてお会いした時) 
 いろいろコメントできて楽しかったw

 2/11に京都・アトリエ劇研→大阪・芸創への移動の途中で、大阪・天劇キネマトロンに寄り道できる事を発見!(地下鉄・谷町線沿い)
 「一時間ちょっとしかいられないけど、行くしかない!」


 で、行ってきました。
 いかにも現代アートの人たちが集いそうな、趣ある古い建物(笑)の一角。

 滞在一時間ちょっとだったというのに、関西トークをぎっちり全身で浴びてきました。(ヒイヒイ)

 私のいた時間は、今年度配信した舞台・劇団について映像を交えながらのトーク。
 圏外の私が知らない劇団ばかりでしたが、とにかく盛り上る盛り上る。
 というのも、

 【ルール:サイコロを振って、奇数ならいい話・偶数なら悪い話】

 かてて加えて、映像記録の仕事もしている主催者・武信さんはじめ、参加者がみな、手広く核団体の公演に関わってる人たちばかり。

 裏も表も知り尽くした彼らが(明日以降の仕事を心配しつつ、真昼間からビール片手に)赤裸々に裏話を語り明かす様子は、内情を知らなくても釣り込まれて、思わず笑ってしまう!
 
 残念ながらこの途中で抜けましたが、できれば最後までいたかった…来年も機会があれば、ぜひ行きたい!
 未知の異文化遭遇体験に五つ星(笑)


 ネットとリアルを等価に楽しむ姿勢、他の地域でユーストを活用している演劇関係者の皆さまも、SP水曜劇場に注目してみてはいかがでしょうか?

現代版・卒塔婆小町

現代版・卒塔婆小町

Quiet.Quiet

アトリエ劇研(京都府)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★

Quiet.Quiet「現代版・卒塔婆小町」観ました
 初・アトリエ劇研。愛知・七ツ寺とも縁の深い劇場です。意外に広い舞台…
 出演者が、突撃金魚・ピンク地底人・夕暮れ社・しようよ等、関西で観た劇団や会ったりことのある人が続々。
 開演前にピンク地底人3号さんと、第三種接近遭遇。またイメージが変わってる。。。(笑)



 並列して語られる三つの愛が、みな「男に都合よく気持ちいい、既製品」に感じてしまった…トレンディドラマみたいで薄い。
 そして、それらがひとつの「卒塔婆小町」の物語として収斂する様子が、気配として感じられない…
(私は、同じ男女の違う時空の物語、と捉えようとしたのだけれど。女性キャラ5人、実は全員小町、とか)

 原作・三島由紀夫とはなっているが、ほぼ無関係(100日とかのキーワードぐらい)。
 創り手の趣味志向は明確だけど、私には真向合いませんでした…。


 あの美術(コズミック!)で、時空の転移を感じられないのも…全てのっぺりとした同次元に感じてしまった。
 能面はとてもよかったけれど、最初しか使わず。


 役者陣の演技は、多くはよかった(特に老婆は絶品)。
 ただ、中には過剰というか、キャラが幼稚やカッコつけに見えてしまったケースも。うーん…



 事前の予想よりはエンターテイメント系。それが分かっていれば、まだ…
 となると、これを劇研でやる理由がよく分からない…
  観客は、あまり演劇を観なさそうな方も大勢みえてました。そういう人に向けたのなら、それでいいのかも。

 ただ私としては、こういうのを、「初めて観る芝居」には、あまりしてほしくないのです。
 演劇を見慣れた人向けの技法で、テレビドラマ的な作劇。
 初心者には混乱を招きやすいのでは?
 個人的な危惧ではありますが…

こりす池のともぞう

こりす池のともぞう

コトリ会議

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★

コトリ会議「こりす池のともぞう」観ました
 名古屋でもミソゲキ等でおなじみのコトリ会議、やっと本公演を観れました。会場で、名古屋・オレンヂスタ主宰とバッタリw
 (仙台の知り合いは、大雪で飛行機が欠航、こちらに来られず…)



 ナレーションや兼役など、舞台の約束事を逆手に取って、軽快に切れ味よく展開を運ぶ楽しい演出。

 大規模かつシンプルな舞台上を運動会のように駆け回る役者が、その勢いを体内に持ちながら会話劇へ即移行。そしてまたドタバタと動き回り、絵本のような様々な絵を作る。

 激しい運動量で、バカバカしい事を真剣に。ぶれないあり方、演技。


 いちおう時代劇だけど、ちょっとSF的設定が難しい?敵方の目的がよく分からなかった…
 ただ、この世界で何を描きたいのかはっきりしているので、それほど気にはならず。


 優しさと笑いと悲しみと愛。
 人によって異なるいのちの重み、死生観。

 ともぞうさんがつばめさんと二人で選んだあのラストを、大人にも子供にも、大切に受け止めてほしい。



 終演後お話した出演者の室屋さんは、「ふだんのコトリ会議とは違う舞台でした」と言ってたけれど、これまでに接した脚本・山本さんの作品(仙台・若伊達プロジェクト、大阪・インディペンデント)と共通した、柔らかい肌触りを感じました。

のにさくはな

のにさくはな

桃園会

AI・HALL(兵庫県)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/10 (月)公演終了

満足度★★★★

桃園会「のにさくはな」観ました
 集合住宅という日常の舞台と重なり侵食する古典物語の世界に、ニットキャップシアターを連想。不確かな手触り、薄皮一枚で隔てられた異界。

 歌のシーンで、(特に流山児事務所での)天野天街さん演出の舞台を思い出した。元が野外劇と聞いて納得。

 シンプルで可変的な美術も好き。ちょっと第七劇場を連想。アイホールの広いブラックボックスならではの、深い闇の中井を往来する人々。


 話はよく呑み込めなかったけれど(汗)、創り手の確固たる意志が感じられる、自信を感じる舞台でした。


 出演されていた知り合いの朝日山裕子さん(雲の劇団雨蛙)とは、この二日後の大阪・芸創CONNECTや、六日後の横浜・TPAMでニアミスの連続(笑) この後東京方面で新しいチャレンジをされる模様、がんばってください!

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

うりんこ劇場(愛知県)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

うりんこ「妥協点P」観ました
 物語に飲み込まれていく現実、ループや上書きのメタ構造の中での、互いの精神の帰結点を賭けた真剣勝負。

 建前と現実の矛盾の前に、もがく人間性と、それを冷酷に見つめる視点。
 渦中の女子高生は、翻弄される教師たちに、もはや人間の領域を超えた位置から語りかける。台風の目、ブラックホールの特異点。
 真剣を喉元に突きつけるような、学校という枠も超えた、私たち全ての問題。


 物語が進むにつれ、独特の美術の中に置かれてイメージされる世界が、具象から抽象へシフトして見える。
 展開と共に馴染んでいく美術の概念性、それをサポートする繊細な照明。



 前衛的な手法は、あくまでもオーソドックスな舞台づくりに貢献。
 コテコテの笑いと、安易な逃げを許さない問題意識の両立した、質の高い舞台でした。これから全国ツアーもあります!



 ちなみに私は、美術を担当した杉原邦生さんがトークゲストの初日に行きました。客席には、木ノ下歌舞伎の木ノ下先生のお姿も。
 何かの手違いで、おーじ×先生・トーク一時間コースになるのではと、内心ヒヤヒヤ…(笑)

できることなら低空飛行

できることなら低空飛行

ビルヂング

ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)

2014/02/01 (土) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★★★

ビルヂング「できることなら低空飛行」観ました
 名古屋出身・加藤紗希さんの凱旋公演。
 紗希さんは、柿喰う客「失禁リア王」で観た凛とした立ち姿が印象的。(七味さんの演技と対称的w)
 あの時は、名古屋出身、しかも知り合い・菅井さんの盟友だとは…人の縁の不思議さ。



 紗希さんはじめ、4人のダンサーの立ち姿が全員いい。
 白黒の上下(ニッカポッカ)が、抽象化した民族衣装のよう。
 体型の違いも衣装の内。


 歌あり声ありコントあり、舞台からもじゃんじゃん出入りするし観客にも話しかける、バラエティあふれるショータイム。
 あまりの自由さに、「これはダンスなのか?}と戸惑う人もいたのでは?

 一方で、ときおり折り込まれる精緻で独特なダンスシーンは、まさに個性的な構造物(ヂw)
 信頼関係が見える鋭い動きの連動。
 滞空時間が微妙に長く感じるポージング。
 地に足の着いた低空飛行。


 最低限の美術が、ブラックボックスの空間を美しく仕切る。
(しかも安全第一。現場感覚)。



 ダンスの固定概念から外れた自由さとサービス精神に、2年ほど前に名古屋・芸文小で観たafterimage「鮨」を思い出しました。
(制作・菅井さんが、ダンサーとして最後の出演)



 ただいま横浜で公演中。
 おもしろくて美しいものを観たい方はぜひ!

テアトロマジコ版☆アラビアンナイト 「千夜一夜物語」

テアトロマジコ版☆アラビアンナイト 「千夜一夜物語」

劇団テアトロ☆マジコ

千種文化小劇場(愛知県)

2014/01/30 (木) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★★

テアトロ・マジコ「千夜一夜物語」観ました
 少々厳しい事を書きます。(仲のいい知り合いが出てるけど 汗)


 原点・千夜一夜物語をアレンジ。
 現代の孤独な少年と古代の傲慢な精霊の、物語世界を舞台にした心の交流を、大勢の登場人物のエピソードと共に編み上げた物語。

 細部のエピソードのアレンジには秀悦なものもあるけれど、沢山ある話の位相に違いが見えず。
 アラビアンナイトならではの売りである、複数のエピソードの並立(入れ子、並列構造)でなく、無理に直線状に乗せているようで、各エピソードの繋がりが感覚的に分からない。

 物語として主軸となるはずの主人公のエピソードが出てくるのが遅く、編成的に他のエピソードに埋もれ目立たず。
 主人公の存在自体にもうまく焦点が合わず、存在感が薄い。
 誰の物語か、最後の方まで観ないと分かりにくい。

 たぶんジュブナイル的な物語を見せたかったと思うのだけど、勿体ない。


 オーディションで集まった若手出演者は、演技にバラつきはあるけれど、おおむね好感が持てる印象。
 ただ、冒頭のシーンで全員がセリフを絶叫、何を言ってるのか全く聞き取れないのは、物語への導入としてはかなりストレス。


 各種美術は、ファンタジックな衣装、派手な照明等、やりたいことがはっきり分かり、立っている。
 特に舞台美術は、基本的に正面向きだけど、円形劇場のどの方向から観ても見応えあり。
 欲を言えば、もっと何か、飛び出す絵本的な仕掛けがほしかった(煙ブシューとか壁バタンとか)

 ネーミングはおおむね原点からとっているけれど、ジャスミンやエメラルドといった、ディズニーや英語圏の名前には違和感。



 等等さんざん言いましたが、なんといってもキャラが輝いているのが魅力的!
 一押しは傲慢な精霊イフリート。主宰でもある涙銀子さんの、張りがあって生命感あふ、れる声が円形劇場を席巻!

 強欲な宝石商キルナスと、ボディーガードの女奴隷モルディアーナの名コンビも目を惹く
(↑じつはこの二人が私の知り合い。期せずしてコンビww 前者はクセックACTで練った身体と声に厚み。後者はなんと中学生!なのに大人っぽくてかっこいいww)



 いろいろ書きましたが、少なくとも、名古屋では他に類を見ない個性が際立つ公演でした。
 継続的に公演しているし、やりたいことは明確なので、これから見せ方をさらに詰めてほしいです。

さいごのうた

さいごのうた

孤独部

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/01/18 (土) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

孤独部「さいごのうた」観ました
 私が観たのは日曜11:00の回。こんな時間なのに、芸文小のロビーには演劇人だらけ。
 あらためて、かっしーが独力で築いた人脈の広がりを思い知る。


 
 動きも少ない地味な一人芝居なのに、広めの空間を自分の世界として掌握。体感時間も予想より短く意外。
 いやこれは、京都や仙台あたりで上演しても、高評価を得られるのでは?
 孤独部メソッドで、誰の人生もが作品として舞台に上げられそう。

 言霊を圧倒的に信じて身に纏う、死地に赴く戦士のような姿。


 「さいごのうた」というタイトルが意味深。
 彼の、これまでの生きざま(人として舞台人として)の集大成となる舞台。
 しかし、観た後の印象は、ここから彼の次が始まる「さいしょのうた」。


 舞台と現実の絡みで、アフタートークの存在に違和感を覚えた人も多いようだけど、私は賛成です。
 かっしーの存在そのものが作品のキモ。
 上演中と上演後で、ほぼ同じことを語っている彼の姿の、いったいどこが異なるのか。
 彼をもっと知りたい、もっと次を観たいと思わせる演出の一環だと感じました。



 今年は、大阪・芸創CONNECTやAAF・リージョナルシアターと、次々に大舞台を迎える孤独部。
 さらなる飛躍を期待します!



火の昔、ハレの日 幻色闘鱗記

火の昔、ハレの日 幻色闘鱗記

劇団 pH-7

千種文化小劇場(愛知県)

2014/01/17 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★

pH-7「火の昔、ハレの日 幻色闘鱗記」観ました
 名古屋のアングラ劇団・結成30周年記念の三本立て公演。私は初めてです。

 かなり手厳しい事を書きますが、団体への悪意や作品を貶めようとする意図はありません。
 クリエイトに関わるものとして感じた事・考えた事を、嘘をつかないように書いています。



 残念な事に、観劇の印象はかなりまずかった…。
 演出や演技というより、構成・劇場選びに問題があるのでは。


 問題は、最初の演目「ハレの日」。
 ちくさ座という円形劇場に、サイズ的にも特徴的にも合ってない感。
 舞台上に最大三人しかいない芝居を、周囲に群舞を入れて水増しした印象が。サイズとしては、七ツ寺など100人未満の劇場向きでは?

 家族三人の役者はよかったが、架空キャラ四人の、月よりの使者、ショタ以外の二人(G、eve)の取ってつけた感に、全く乗れず。
 伝統を重んじるアングラ劇団が、ちょっとトレンドもできるところを見せようとして失敗したようにしか見えない…
(20年以上前に通っていた豊橋・愛知大学校内で観た、アングラ芝居を思い出した…)


 この一本目の悪印象が尾を引いて、円形劇場を活かした見世物的な二本目「闘鱗記」、群舞が場のうねりを体現するスペクタクル感あふれる三本目「日の昔」までもが、すっきりと観れなかった…。
 これらは、円形劇場の広い空間や形を生かした作品だったはずだけど、とにかく一本目ですっかりテンションが落ちてしまい、集中して観れませんでした…



 今さらながら、ミニマムな「ハレの日」を、壮大な二作品の間に挟んで、アクセントとして構成すべきだったのでは?
 作品と劇場との相性、構成が作品の印象に与える影響は大きいと、痛感した公演でした…。
 自分自身の心構えとして。


サ××ド・オブ・ミュージック

サ××ド・オブ・ミュージック

SOM企画

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/12 (日)公演終了

満足度★★★★

SOM企画「サ××ド・オブ・ミュージック」名古屋凱旋公演観ました
 あいちトリエンナーレ2013での初演から3ヶ月、愛知芸文20周年記念公演「金の文化祭」での参加者合流から数えれば、じつに一年以上にわたるこの企画も、これでついに一区切り。


 私も出演した「金の文化祭」演出・杉原邦生おーじがゲスト出演の回を観ました。(この前日に、京都造形大「転校生」で会ったばかりw)
 客入れでは勢い余って一番乗り。(主にafterimage勢から)無駄に大歓迎がww

 初見が、大阪・藝術中心カナリヤ条約の、廃工場を活かしたコンパクトでどこか猥雑な空間だったので、愛知芸文小ホールの、やや広めできれいな空間ではどうなのかと思っていたけど、これがゆったりと美しくて意外にいい。



 空間が反映してか、主人公の脳内空間の色合いがより濃く感じられる演出に。
 希望を奪う現実に怒り抗い、非力で負け続けても、なお自分の方法で戦い続ける創作者。
 
 大阪に比べ広く整った空間を余さず動く身体と言葉。特にダンスは、こちらの方が空間とかみ合っている印象。ダンスと演技のリンクも、より意図がはっきりしていた。

 今回あらたに加わった生演奏のミュージシャンも、より舞台の「今ここにある感」を強調。漆黒の空間と相まって、ニットキャップシアター「少年王マヨワ」を思い出した…。


 ただ、演出で変更した箇所は、初見の観客には分かりにかったか?(私には、意識の混濁のようでよかったけど) さらに詰めが必要な気が。
 
 変わり続けていることと、稽古が長かったためか、不完全燃焼だったり少々ダレているように見える面も。
(むしろアウェイの大阪の方が受けていた場面も多々。愛知は再演だから仕方ないか…?)


 とはいえ、一年以上、未知の領域に対し何度もスタンスを変えて挑むチャレンジと熱量には脱帽。
 創作としてはまだまだこの先があるのでは!?と、今後にも期待したい企画でした。お疲れ様でした!

 

 あと、ゲスト・おーじは、初めて観客をスタンディングさせた(笑)
 名古屋ラブを謳ったハッピを着て湘南の歌を歌いながら京都土産・八橋を客席にばら撒くカオスっぷりww
 終演後には、演者や観客の金文メンバーで集まって記念撮影 ヽ(´∀`)ノ
 
 その後は芸文・唐津絵里さんと、ぞろぞろ金文お茶会。
 ああ、つくづく長い祝祭の日々!!


野良猫の首輪

野良猫の首輪

sons wo:

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

sons wo:「野良猫の首輪」観ました
 カゲヤマ気象台さん、パズル星団「短篇集 サランツェツェグ」で共演した芋さん(静岡・浜松市出身)の後輩だそうです(驚)
 京都造形芸術大で杉原邦生クラス「転校生」を観た後、京阪本線で移動。芸術創造館の最寄り駅へほぼ直通♪


 好きか嫌いか聞かれたら「好き」だけど、面白いか否かを問われたら言葉に詰まる。。。

 人形劇かゲームのNPCのような、強い意志を感じさせない動き。
 脳内電流のような、即物的で修飾されない台詞・発語・やり取り。


 チェルフィッチュを連想するも、よりプリミティブで抽象的な印象。
 子供の落書きのような風景。
 脳内世界(夢、白昼夢、妄想、既視感)の不気味な手触りを全身を使って掻き分けるような、不安な感覚。


 「転校生」もそうだったけど、こちらも、本来の舞台と逆転して演技スペースになった階段客席が、私たちの物理と一線を引いた別世界として当然のように存在。

 舞台上の観客席周辺に展示された、現代美術作家の作品も、コンセプトが哲学的で興味深い(芝居で使われなかったのが残念)



 じつはいまだに、何だかよく分からないけれど、世界を探る様々な手法の可能性を感じさせる、観た意義のある作品でした。

突然ダークネス

突然ダークネス

夕暮れ社 弱男ユニット

元・立誠小学校(京都府)

2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★★

夕暮れ社 弱男ユニット「突然ダークネス」観ました
 12/22、怒涛の京都観劇ツアー(gate→京極朋彦ダンス企画→GEAR→夕暮れ社 弱男ユニット)の、トリを飾る公演と相成りました。
 昨年夏の名古屋でのWSで、いろいろなスタイルを拝見しましたが(床を転がったりw)、さて今回は?


 劇場へ入るなり人を不安にさせる美術が(笑)


 それが決して見かけだけではないというのが、また夕暮れ社クオリティ。

 マンガのカット割のように鮮やかな場面転換。
 場の雰囲気やこころのもやもや・不安を質量を持たせて具現化。
 それらを実現する、実際に見るまで予想できないプリミティブな方法。

 他の追随を許さない独特さ。
 (じつは、ままごと・柴幸男さんが「日本の大人」の場面転換に、ちょっとだけ似た手法を)


 地鳴りのような音響が、劇場ごと観客を揺らす。
 本当にどうかなりそうでこわい。。。

 
 劇中ひとり、ミュージカル状態の女優が異様な存在。内海賢二ばりに無駄にいい声出しまくり。
 物語としても、最後まで謎を残す。
 (私の行った回では、終演後おまけリサイタルまで。女優の母が伴奏 笑)


 後半のテンポは、映画のようにサスペンス感をあおろうとして、かえってちょっともたついた気も。役者の身体能力の限界を要求される。。。



 とはいえ、京都演劇界の、孤高の存在をゲップが出るほど堪能しました(笑)つくづく、奥が深いというか層が厚いというか…
 京都観劇ツアー、これにて閉幕でございます。

『ギア-GEAR-』Ver.3.70

『ギア-GEAR-』Ver.3.70

「ギア」事務局

ART COMPLEX 1928(京都府)

2013/11/01 (金) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ギア-GEAR-」Ver.3.50観ました
 観劇二日前に名古屋で放送された「探偵!ナイトスクープ」で、GEARがネタになっていました。
(「GEARを観に行った三歳児が、出演者と一緒の写真をうまく撮れなかったので撮影し直したい」という依頼)
 いやあ、いい予習になったなあ(笑)

 その中で興味深かったのが、無人の劇場に来た子供が怖くて泣き出したシーン。
 TVの放送終了映像の怖さは「死」を連想させる。
 人のいない劇場は死んでいる…



 前振りが長くなりましたが、一年越しで念願かなってGEARへ。

 築80年以上の建物が、魅力的なレトロモダンオーラをはなつ放つ。
 内装もこりに凝っているし、(トイレの電気のスイッチまでGEARw)
 スタッフも、呼び込みから前説まで、隙がないステキな役割ぶり♪



 そんなこんなで観劇。


 圧巻。

 息をもつかせぬ70分。

 
 びっくり箱のような仕掛けがあちこちに施された、廃墟のようなステージが、プロジェクションマッピングなどの技術を駆使して、電気仕掛けの夢のような空間に塗り替えられる。

 テクノロジーと一心同体になって躍動する、徹底的に訓練された役者陣の、それぞれの得意なパフォーマンスが次々に観れる贅沢さ。
 
 それらを組み込んだストーリーも、言語を必要としない単純なものながら、心を掴む。
 いのち、コミュニケーション、繋がり、こころ、再生。
 ラスト近くでは、不覚にも泣きそうに…



 なんといっても、徹底したお客様の満足第一サービス精神が印象深い。(後半で飛び出す大量の紙吹雪にさえも仕掛けが)

 家族連れのお客さんが多く、役者がしばしばパフォーマンスで客席をいじりに来たり、いわゆる小劇場演劇とはあきらかに違うノリで、とても開かれた「普通の人たちがたくさん来て楽しんでいる」空間でした。


 来月も上演しているので、週末に京都へ行く舞台表現者は必見ですよ!

gate#11

gate#11

KAIKA

KAIKA(京都府)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

「gate#11」観ました
 gateは、京都で行われている試演会。
 私は、名古屋では「C.T.T試演会」をよく観に行っています。終演後には合評会を行い、観客から感想・意見を頂いてその後の創作に役立てるというもの。

 今回は、よそ様に足を運んでの試演会鑑賞。鳥公演と辻企画は、芸劇eyesやC.T.Tで観ました。したためは初見。



 鳥公園 『女生徒』 
 (原作:太宰治 構成・演出:西尾佳織 出演 森すみれ)

 影絵と自然体身体の淡々としたフラットさの向こうに、言いたいことを言えない女性の押し込めた感情。

 壁に映された四角いシンプルな光。そこを人が出入りすることで、違う位相(本、PC画面、自室等)が重なったり移動したりして見える。
 映像を多用する劇団でも、意外と見ない使い方。


 したため 『ひび』
 (演出・構成:和田ながら 出演:飯坂美鶴妃 出村弘美)

 言葉でのあまりに入念な概念確認が、聞かれた相手へ不安を感染拡大。もうすこしねちっこく工夫すると、オイスターズ・平塚さんチックな言語感覚にw

 聞かれた相手が、なぜ逃げたり無視したりせずに答えるか、その動機付けがほしい。


 辻企画 『もしもし、生まれる前ですか。』
 (作・演出:司辻有香 出演:浅田麻衣 黒木夏海 前田愛美 タイトル協力力・台詞協力:前田愛美)

 「生まれる前の声」という概念に着目。
 さて、この声が聞こえたのは、自分が死ぬ時か中絶しようとした時か。観ながら積極的に解釈したくなる。
 自分と自我との違い。アフタートークで、最も考えさせられた。



 全体として、完成度は鳥公演が抜けていましたが、したためや辻企画は、かなり概念的な実験をしていたように感じました。普通に演劇を観たい人には不満があったかも。

 せっかくの試演会なので、交流会だけでなく、もっと積極的に観た人の意見を聞くシステムがあってもいいと思いました。
 (合評会があるC.T.Tでも、まだ工夫の余地があるくらい)


 試演会を、ショーケースと見るか交流の場とするか出演団体・制作・観客の共同創造の場と取るか、また、観客の立場の違いによっても、受け止め方がずいぶん変わるかと思いますので、そのスタンスをはっきりさせてみてはどうでしょうか?(初見なので普段どうなのかは分かりませんが)



 …とかなんとか言いながら、しっかり交流してきました~ヽ(´∀`)ノ
 特にディレクターの方、私が昨年出演した愛知芸文20周年記念「金の文化祭」(構成・演出:杉原邦生)にも来ていただいたそうで、私のやった応援団やC-3POもバッチシ観られてたわ~(汗)

 お互いわざわざ相手のテリトリーへ足を運んで出会うのが、演劇交流の醍醐味ですね♪

第12回AAF戯曲賞受賞作 『豆』

第12回AAF戯曲賞受賞作 『豆』

公益財団法人愛知県文化振興事業団

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2013/12/13 (金) ~ 2013/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

AAF「豆」観ました
 演出・ごまのはえさんによるオーディションを受けて落ちました(涙)
 平塚直隆さん作「豆」、初演でシビれた私に語らせたら、ちょっとうるさいよ(←ただ語りたいだけ)



 初演「ことばによる時間操作」から、「ことばに基づく空間による時間操作」で、視覚的にもかなり分かりやすく。
 書き言葉の地層を掘り進むようだった初演から、書き言葉を置くポイント・話し言葉を伴う身体の移動・音楽を奏でるコロスが蠢く空間のパノラマへ。
 部屋の外まで世界が広がる。


 空間と一体のコロス達(全員女性。生演奏も)が、役者の流れを操るように空気を動かす。
 全体的に、動きや抑揚が多いためか、「部屋」より「街」に見えた(高さもあるし)。

 それにしても、本役のあの配役(年齢も性別も設定と違ってたり)は、いまだになんなんだかよく分からない。。。


 中盤から、じわじわとホラーテイストが。
 迫り来る過去、そして現在と重なり。
 衝撃のラストは、部屋がカナコの子宮になったかのよう。部屋に関わった全員が取り込まれてしまう…?

 不条理というより、伝奇的。
 生々しく神話的なごまワールド。ちょっと諸星大二郎を連想。
 これは、平塚さんにはできないっす。。。



 好みとしては、全てがむりやり一室に押し込められたオイスターズ版の方が性には合ってますが(笑)、今回のAAF版の方が、ふだん芝居を見慣れていない観客にも分かりやすかったと思います(あの独特さで 汗)。

 こうして、魅力的な戯曲を一年おきくらいで全くテイストの違う演出家で観る、というのもなかなか乙な体験。
 さあ、来年も「豆」を!←誰が

夜に埋める

夜に埋める

突劇金魚

アトリエS-pace(大阪府)

2013/12/06 (金) ~ 2013/12/10 (火)公演終了

満足度★★★★

突撃金魚「夜に埋める」観ました
 名古屋の女優・真臼ねづみ(二月の劇王Ⅹに、東海地区代表「劇王子」として、一人芝居で出場。同ブロックで勝ち抜いた柴幸男さんが感嘆)が客演、名古屋から大勢観に行ったようです。

 主宰・サリngROCKさんは、AAF「金色カノジョ」で知り、「富豪タイフーン」名古屋公演でご挨拶しました。
 受付には、先日ピンク地底人「家電の王子さま」でお会いした芸創・若旦那さんが。
 アウェイなのにどんだけ人の縁だww



 姉妹、親子、家族の幸せ・不幸せな過去にこころ捕らわれた人々が、傷をうずかせながら這いずるように前へ進もうとする、気持ち悪さを胸に抱えた喜劇。

 近しいはずの人と、決して分かり合えないことを分かってしまう悲しさ。
 現実や自分と向き合い、見つめ合えるか否か。


 見通しの利かない夜は全てを受け止め、包み込み、そして解放してくれる。
 一番強く救いをもたらすのは、何も考えてない(ように見える)バカかw

 
 地下空間、山中、実家、川、それらを見下ろす高層ビル…大掛かりな美術と切れ味のいい照明が、大胆に時空をコラージュ。
 予想外に小さな空間に予想外に作りこまれた美術の中を、縦横無尽に動き回る役者陣が、迷路を走らされるマウスのようにも。



 エンターテイメントでありながら、心の闇をえぐるサリngさんを、今回も堪能しました。
 まうちゅーの役は、かなりサイコだったぜ。。。
 
  「サ××ド・オブ・ミュージック」大阪公演、「“ INDEPENDENT:13”」岸☆正龍さん出場…
 大阪ー名古屋の交流が、今後もさらに深まる事を期待!

クラッシュ・ワルツ

クラッシュ・ワルツ

刈馬演劇設計社

G/Pit(愛知県)

2013/12/13 (金) ~ 2013/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

刈馬演劇設計社「クラッシュ・ワルツ」観ました
 五月の初演を観て、それまでの刈馬さんとの作風との違いに衝撃を受けました。
 今回、ほぼ半年でのスピード再演。キャストも全員初演と同じ。
 はたして集客は…と思いきや、早くから完売御礼の連続。すごいや。



 すでに話を知っているので、美術のそこかしこに強い意味を感じる。
 運命の交差点。絶やされぬ贖罪。逃げられない檻。


 初演よりそれぞれのキャラのエッジが立ち、人格ギリギリでの人生すらかけたやりとりを際立たせる。

 背中合わせのエゴと他者愛。
 罪悪感が生む、被虐・加虐への依存。
 目に見える死と、次に向かう生の誕生。

 そして、カッターナイフのように鋭くも壊れそうな、全てを許す聖母の姿が浮かぶ。
 (↑じつは初演では、「滲み出てくる狂気」「凄かった。壊れ具合が」「あの笑顔は正気の沙汰じゃない」「怖かった」との評判がww 長嶋さあ~ん。。。)



 単純な再演ではない、繊細な演出と演技の作り込みによる、物語の再生。
 改めて、緻密な構造や伏線に唸る。



 ※なお、刈馬カオスさんは、公演中にこの戯曲で、日本劇作家協会・新人戯曲賞を受賞されました!

 ネタバレBOXには、ツイッターでの刈馬さんからの速報を受けて、一時間後にこりっちへ聞き込んだ記事を再録しました。
 ほんま、すごいイベント性でしたわ…

ネタバレBOX

【刈馬カオスさん、「クラッシュ・ワルツ」劇作家協会新人戯曲賞おめでとうございます!】


 五月の初演から半年ほどでの再演、その最中に審査日が入るという計算してない奇跡。

 本日、12/15(日)18:00の回を観て来ました(刈馬さんは審査を受けるため東京へ)
 終演後は出演者全員で刈馬さんの居ぬ間にアフタートーク(笑)、あわよくばトーク中に結果報告を…とはいかず、20:00頃終了。

 そして、21:00過ぎにツイッターで、受賞報告が!
 おめでとうございます!


 ということで、まずは取り急ぎ報告まで。
 感想は後日、編集して書きます。

 なお公演は明日、12/16(月)まで。すでに満席(スゴイ)
 刈馬さん、どんな顔で帰ってくるかなあ(笑)
 
『花鋏』『指先から少し血が流れ始めた』

『花鋏』『指先から少し血が流れ始めた』

三角フラスコ

ウイングフィールド(大阪府)

2013/12/07 (土) ~ 2013/12/09 (月)公演終了

満足度★★★★

三角フラスコ「花鋏」「指先から少し血が流れ始めた」観ました
 昨年、東京にいながら東京公演を見逃したあの悔しさ…ついにリベンジ!

 劇場では、プロデューサーの森さん(仙台)宣伝美術の清水さん(京都)、東西のお知り合いががそろい踏み!w
 (森さんは板橋・サブテレニアンや長久手・文化の家で、清水さんは愛知芸文20周年「金の文化祭」でお知り合いに)
 劇団と劇場・ウィングフィールドの間にも、なじんでいる空気が。



 上演二短編、作者は別だけど、どちらも子どもを主軸に、人との繋がりの断絶・きしむ心の亀裂・自身への嫌悪が首をもたげてくる様子を描写。
 見えないところで育まれる闇が、噴き出す瞬間・ぶつかり合う時に焦点が。

 リアルな感性で、論理的に心の闇へ切り込むiakuとも違う、ぬるくでも逃げられないように縛られる生理的嫌悪感。他人事ではない…
 
 人を信じるか否かの隙間に、僅かな光が。
 一作目はこころの谷間に落ちる瞬間で終焉。
 二作目ではかろうじてスキマから光差すような救いが。


 繊細な照明で浮かび上がる、意識の断片のようなセット。
 二作目はもっと具象的なほうがいいかと思ったけれど、話が進んでいくと良く似合うように見えてきた。
 舞台の不思議。



 研ぎ澄まされた舞台は、精神を消耗するけどそれに見合う返りがあります。
 仙台・三角フラスコ、他の地域の皆さまも、機会があればぜひ!



 ※関係ないけれど、開演前や終演後に、この週の頭に名古屋で観た仙台・短距離男道ミサイルの話題で華やいだ…(元・三角フラスコ代表も出演w)

 主宰・主演の瀧原さんは、ツイッターでミサイルにかなり過激なエールを送っておられました。。。いやあのツイートからは想像もつかない素敵なお方でしたよ(爆)

江口君と私

江口君と私

トライフル

ナンジャーレ(愛知県)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★

トライフル「江口君と私」観ました
 団体としての活動は二年ぶり、本公演は三年ぶりとなるトライフル。
 主宰の片山雄一さんとも久しぶりにお会いしたけれど、じつに丸くなっておられました(見た目も中身も)。



 パッと見ただけでは気づかない要素がたくさん詰まった舞台。

 基礎を踏まえつつそれぞれが自分の持ち味で立った役者、関係の段階を探るように進展していく会話、能舞台からアート系まで古今の舞台表現からミックスされた様式、空間を塗り変えるような美術・美術・音響。

 特に美術は、劇場に入ったとたん、ふだん見慣れたナンジャーレという空間を見違えた…広々と見えて、しかも幻想的…(ちょっと京都演劇的センス?)


 他人との関係に難渋しながら生きている男女二人の、関係の構築の段階をもっと見たかったけれど、それでも、不器用な彼らがもどかしく織り成すラストシーンで、充分切なくなった…俺もぬくもりほしい(´Д`)

 観る人によってかなり見え方が違いそうな舞台。



 主宰の体調不良・不在(劇団は名古屋だけど主宰は東京在住)という環境で、二年間の休止状態でも求心力を失うことなく(逆に団員が増えたw)、次へ向けてこつこつと積み重ねてきたトライフルという団体の再スタート。
 今後の活動に期待。

このページのQRコードです。

拡大