満足度★★★
テアトロ・マジコ「千夜一夜物語」観ました
少々厳しい事を書きます。(仲のいい知り合いが出てるけど 汗)
原点・千夜一夜物語をアレンジ。
現代の孤独な少年と古代の傲慢な精霊の、物語世界を舞台にした心の交流を、大勢の登場人物のエピソードと共に編み上げた物語。
細部のエピソードのアレンジには秀悦なものもあるけれど、沢山ある話の位相に違いが見えず。
アラビアンナイトならではの売りである、複数のエピソードの並立(入れ子、並列構造)でなく、無理に直線状に乗せているようで、各エピソードの繋がりが感覚的に分からない。
物語として主軸となるはずの主人公のエピソードが出てくるのが遅く、編成的に他のエピソードに埋もれ目立たず。
主人公の存在自体にもうまく焦点が合わず、存在感が薄い。
誰の物語か、最後の方まで観ないと分かりにくい。
たぶんジュブナイル的な物語を見せたかったと思うのだけど、勿体ない。
オーディションで集まった若手出演者は、演技にバラつきはあるけれど、おおむね好感が持てる印象。
ただ、冒頭のシーンで全員がセリフを絶叫、何を言ってるのか全く聞き取れないのは、物語への導入としてはかなりストレス。
各種美術は、ファンタジックな衣装、派手な照明等、やりたいことがはっきり分かり、立っている。
特に舞台美術は、基本的に正面向きだけど、円形劇場のどの方向から観ても見応えあり。
欲を言えば、もっと何か、飛び出す絵本的な仕掛けがほしかった(煙ブシューとか壁バタンとか)
ネーミングはおおむね原点からとっているけれど、ジャスミンやエメラルドといった、ディズニーや英語圏の名前には違和感。
等等さんざん言いましたが、なんといってもキャラが輝いているのが魅力的!
一押しは傲慢な精霊イフリート。主宰でもある涙銀子さんの、張りがあって生命感あふ、れる声が円形劇場を席巻!
強欲な宝石商キルナスと、ボディーガードの女奴隷モルディアーナの名コンビも目を惹く
(↑じつはこの二人が私の知り合い。期せずしてコンビww 前者はクセックACTで練った身体と声に厚み。後者はなんと中学生!なのに大人っぽくてかっこいいww)
いろいろ書きましたが、少なくとも、名古屋では他に類を見ない個性が際立つ公演でした。
継続的に公演しているし、やりたいことは明確なので、これから見せ方をさらに詰めてほしいです。