じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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この素晴らしき世界

この素晴らしき世界

しゅうくりー夢

ザ・ポケット(東京都)

2019/03/13 (水) ~ 2019/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/03/14 (木) 14:00

座席C列6番

価格3,800円

2014年2月の「かやくごはんと煮っころがし」以来5年ぶりに観る本作はしゅうくりー夢の2本柱の太い方(私見)であるハードボイルド系クライムサスペンス。(ちなみにもう1本の柱は「ハートウォーミングもの」)
よく練られたストーリーとその語り口、キャラクター設定ならびに人物造形、特徴的な照明効果を含む演出などどれをとっても丸ごと「This is しゅうくりー夢」な感覚で「あー、これこれ!」と懐かしさもあり頬が弛む。

当日パンフレットの松田主宰の文にもあるようにいろんな意味での「いたい」部分もありつつ(特に「耳」はイヤだなぁ)、大変満足。
来年の次回公演(バックステージコメディ?)も行くことになりそうだ。

しかしその次回公演予告での「アレ」、一定以上の世代じゃないとワカらないんじゃないか?(笑)
あ、でもしゅうくりー夢の客層なら大半はオッケーか。(爆)

なお、「初めて見る方に」が「どちらともいえない」のは「いたい」場面ゆえ。

ネタバレBOX

作中人物の死に関しては「どうせフィクションなんだから殺すなよ」派にして「安易な死」は批判の対象とするσ(^-^) であるが、「ちゃんと意味のある死」「必然性のある死」はもちろん認める。
本作における主要人物も含めた少なくない人物の死に関しては観ていて抵抗がなく……まではいかずとも「やむを得ない死」と容認できたし、こうういう風にきちんと説得力のある死が書ける作家は巧いと思う。

次回予告での「私、おじい様を殺してしまった!」なんて若い方はご存知ないのでは?(笑)
見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2019/03/13 (水) ~ 2019/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/03/15 (金) 13:30

座席H列4番

価格4,500円

作品そのものに関しては前年公演時の「観てきた!」に記したのでここでは今回気付いたことなどを。

まず、前年に初江を演じた廣瀬響乃さんが延ぶを演じ、初江は新たに小野寺ずるさんが演じたことで印象がだいぶ異なったこと。
今年の延ぶはトンガっているというか、自分の想いにひたすら最短コースで向かうというか猪突猛進な感じで、これもアリだな、と。

また、前年に感じた朝ドラ感に加えて「一種の学園青春もの」なのだなぁ、と改めて。志と挫折や友情・恋心などが描かれているんだもの。
なので時折リーチェの「オギヨディオラ」が脳内に浮かんだり。(ワカるヤツだけワカでばイイ案件)

それと、青田先生を筆頭とした「当時の男性」の考え方が何か最近の話題に通ずると思っていたが、それは「液体ミルク批判」。
液体ミルクで育児の手間を省くのは愛情の欠如だなどと批判する輩どもは本作の頃の旧態依然とした思考力のまま進歩していないのではないか?みたいな。

あと、前年のシアターグリーン BOX in BOX THEATER と較べて大きな空間となったことで音の反響が大きくなり早口の台詞が聞き取りにくく残念というのは他の方のご指摘の通り。これ、明日からでも改善できないものか?

「すがれる」2012/2017

「すがれる」2012/2017

鳥公園

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/06 (木) ~ 2017/07/12 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/07 (金) 19:30

価格3,000円

通い慣れた道なので油断していたらどこかで曲がり間違えて「ここ、何処?」であったり、一見普通なのにどこかパースが狂っている騙し絵だったり、な感覚に似た不思議世界。いつの間にかあれこれが変容している夢の中にも似ているか?
そんな感覚の鳥公園の作品って「ある種のファンタジー」あるいは「ファンタジーの変奏」と言えるかも。

しかし2012年に観ているのに「あ、これこれ」感がなかったということはだいぶ改変したのか?
2012年の横浜の会場のサイズでは今日のあの水音は客全員に届かないだろうし。

別役実「正午の伝説」フェスティバル

別役実「正午の伝説」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2017/04/25 (火) ~ 2017/05/09 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/07 (日) 19:00

【劇団820製作所/激弾ショット】
劇団820製作所戯曲の、「白い舞台」の表現方法によって暗示するものを明確化したこと、暗転なしの場転で様式美のような味を出したこと、最後に「ある歌」を使ったことで印象付けた。ここもオーソドックスというかお手本のようでワカり易い。
激弾ショットは冒頭、ビニール傘、照明、「女」の立ち位置によって赤い色と日の丸を強調。
こちらもオーソドックス系で全体の〆に相応しい組合せ……ってことは、全10団体の組合せと上演順、完璧じゃないか? いやぁ、面白かった。
最後を飾った2団体はオーソドックスな演出に加えて日の丸を「見せる」のが共通か?
で、最初の団体から観ている中で気付かされたところなどもあって、それがこういう企画の良いところでもあろう。

皇宮陰陽師アノハ

皇宮陰陽師アノハ

レティクル東京座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/09/27 (水) ~ 2017/10/02 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/28 (木) 19:00

価格3,500円

【team白】
クライマックスのたたみかけはテンポもあってイイのだが、いくつか唐突/性急に感じられる行動がある。σ(^-^)の中にはそこまでするに足るほどネジが巻かれていなかったんだろう。
また、中盤に流れが滞る印象が無きにしも非ず。終盤の行動の原動力の蓄積と中盤のテンポアップは二律背反だけれども。

一方、冒頭部分、タイトルまでは完璧? 「説明台詞撲滅セオリー」を使いこなし、亡命してきたウシオに教える形で作品世界のあれこれを観客に理解させるのはテンポの良さも相俟ってお見事。ま、ここのテンポの良さが印象に残り、その分、中盤が割を喰ったのかもなぁ。

なお、謎多き野ばらの「中身」を描いたスピンオフを熱望!
そんな野ばらの設定にM.C.エッシャーの「婚姻の絆」を連想したりも。(神様級の漫画家のある作品も)

皇宮陰陽師アノハ

皇宮陰陽師アノハ

レティクル東京座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/09/27 (水) ~ 2017/10/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/27 (水) 19:00

座席F列14番

価格3,500円

【team黒】
実際の劇中設定はともかく、洋の東西を問わず中世の国盗り合戦を思わせる物語ゆえ前作のアメリカン・コミックス日本版のようなライトな感覚に対して本作はビター/ダーク系か。「非情」とか「重厚」とかの単語がチラつくような?

お馴染みの白塗りもキメが細かい印象でその上に施したメイクと共に完成度がアップした気も。

そうして、マンガやアニメを舞台化した所謂2.5次元の逆で、芝居でありながらマンガやアニメの味わいを持たせた「逆2.5次元」ではないか?とも。

ところでレティクル東京座の公演を観る度に思うが、巧みな「温故知新」だよね。物語の基礎的な部分はオーソドックスと言うか基本に忠実と言うか、昔からあるものの組合せ(たとえば今回は時代劇の当主/家督争いやアーサー王物語、ひいてはシェイクスピアの史劇など)で、それを多彩なアイデアによってイマ風に仕上げている感じ。

非常の階段

非常の階段

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2017/06/08 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/06/08 (木) 19:30

フリーパス(5000円)の恩恵に与り8日19時半(初日)、12日14時、15日14時、18日14時(千穐楽)の4回観劇。

【8日19時半】
アマヤドリ作品としては静的な部類に入る。フト気付けば大きな出来事は殆ど起こらず自然と快方に向かう、みたいな?
で、今回は特に家族パートが印象的に思えたのは宮崎雄真さんの演技に「大人としての説得力」を感じたからか?
吉祥寺シアターや東京芸術劇場など大きめの劇場での公演の時に近いムーブメントを風姿花伝で演ったのにも舌を巻いた。客席まで振動が伝わるし(笑)。
3つのパートの関連性が普段と較べて薄いようにも感じたので2回目以降はそのあたりを読み解こうと思う。

【12日14時】
初日に感じた違和の理由や自分の受け取り方の分析、さらにはある人物の行動の解釈もできた。この「あ、そうか!」感はフリーパスの恩恵♪

終盤、報告書を読み上げる形で語られる「内部の関係性」によって詐欺グループについて共感できないどころか理解すらできなかったのは、そういう特殊な関係性の集団に属したことがないのでピンとこなかったのではないか、と気付く。
そんな関係性とは対照的どころか真逆のつながりをもつ「家族」という二つの集団が一つ屋根の下に同居しており、ナイトはその異質の二集団の唯一の接点であるために「歪み」のようなものが蓄積してしまったのではないか?とも……。
そしてそのような水と油のような集団ゆえ両者の関係性が希薄に感じられるもの当然か?と初日に感じたことを分析したりも。それが正解かどうかはともかくとして、ってか、フリーパスの恩恵に与りあと2回予約しているので、そのあたりの検証もしようかと。

【18日14時】
終盤、というかラストで2ヶ所「お、ためるねぇ(肯定的)」と思ったら案の定長くなっていた、そして芝居としての「彫りが深くなった」感じ。
上手側に座って初めて気付いた点があり、それどころか主題にもやっと気付くことができてフリーパスのありがたさひしひし。
前回「関係性の真逆な2つの集団が一つ屋根の下で同居」までたどり着きながらもそこまでだったが、各集団の中に様々な「人としてのつながり」があることに気付けたのがこの日の収穫。
各人の心にヒートンが付いていて、そこに両端がフックになっているロープ、紐、糸など様々な太さのものが引っ掛かったり外れたり、時には真ん中で切れたり……なんてイメージも浮かんだのだった。

【勝手にキャッチコピー】それは、人と人との、関係性のものがたり

morning sun 晩夏/初春

morning sun 晩夏/初春

第27班

テアトルBONBON(東京都)

2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了

満足度★★★★

11日19時:初春編
終盤で「そうそう、初演も最後に朝陽が 見えたな」と思い出した「(そんなにツラい夜どはないけれど)やはり明けない夜はないね」な青春群像劇。
いや、「そんなにツラい夜ではない」と思ったのは傍観者の立場であり、青春時代の真ん中で道に迷っているばかりのあの若者たちにとってはそれなりにツラい夜なのか?

しかし今回はあの会場ゆえ数ヶ所を「同居させる」ことを可能ならしめた舞台美術、初演は北池袋・新生館シアターですぜ。せいぜい手前と奥くらいで切り替えるくらいの表現しかできない小さな小屋であの物語を見せたんだから、それもスゴい。

12日14時:晩夏編
事前に見かけた他の方の感想からの先入観もあってかベーシックに感じた(初演メンバーが同じ役だったと後から伺ったのでアタリ?)。
「あ、そこはそうなるんだ」などいくつかの設定の違いにも気付いたし、前夜と続けて観て正解♪

AMERICA

AMERICA

大統領師匠

シアターシャイン(東京都)

2019/03/06 (水) ~ 2019/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/03/06 (水) 19:30

価格3,000円

出演者の多くが今回初で、演出も外部の熊坂さん(※)ということで、あれこれ新鮮……でありながらも「そうくるか!」な意外な発想はやはり大統領師匠の真髄?
内容も一般的(?)なコント(あるいはショートコメディ)にとどまらず、サスペンス風味、ホラー風味、アクション風味など多彩で、そんな10編を比較的おとなしく長目のものから始めて次第に触れ幅が大きくなりテンポもアップしてゆく(後半の方が1本あたりの時間が短いのでは?)構成も鮮やか。
さて、今回の新趣向を経て次回はどうなるのか、早くも期待♪

※ 中田さんご自身の演出だったら上演しなかったであろうものもあったとか

歪な球体における夢の再生

歪な球体における夢の再生

劇団Bケイカク

荻窪小劇場(東京都)

2019/03/05 (火) ~ 2019/03/10 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/03/07 (木) 14:00

価格4,000円

劇団Bケイカク「歪な球体における夢の再生」、
リアルでシリアスな従来とは異なるポップでベタ(笑)でファンタジックなテイストで描くネクラ少女の夢の中。
いろいろな世界・場を巡ることに宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、劇団四季「ドリーミング」を連想したし、全体の味わいに子供の頃に読んだ絵本あるいは児童文学を想起。また、ダーク気味なところはティム・バートン風か?

結末は性急でお約束っぽいが、そこに至るまでの雰囲気とおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさを愉しむ作品か?
先述の作品(等)の1つでもお好きなら愉しめるのではなかろうか?

登場するさまざまなキャラクター(とその衣装)や最終場での「あの効果」もイイ。

新宿コントレックスVol.21

新宿コントレックスVol.21

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/11/26 (月) ~ 2018/11/27 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/11/27 (火) 14:30

価格2,000円

劇団中馬式「主体的な学び」
出オチ的ビジュアル&「んなムチャな」状況からの「なワケねーだろ!」な展開はいかにもコント。が、出だしのインパクトが強烈過ぎて最後が弱く感じてしまうのが惜しい。

東京にこにこちゃん「魔女狩ララバイ」
コントの皮を被った諷刺劇? 最初は躊躇していても次第にのめり込んでゆく人間心理を面白可笑しく描いてなかなかに見事。

劇団ガバメンツ「モノケイン」
「半透明な」人間ではなく「半分が透明な」人間という「半透明人間」の発想とその舞台上での表現は大変素晴らしいが、芝居としての内容がそれに及ばなかった(私見)憾みアリ。

アガリスクエンターテイメント「私の父の軽トラが」「賽の河原」
タイプの異なる2編だがいずれも「いかにもアガリスクらしい」と感じさせるのは幹事と言おうか主催者と言おうか、そういう立場で毎回作品創り(時には再演?)を重ねて培われたチカラか?お見事!

トゥエンティ

トゥエンティ

矢崎純也プロデュース

北池袋 新生館シアター(東京都)

2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/03/01 (金) 14:00

価格2,800円

20歳を目前にしたタイチに「20歳までに云々」という都市伝説を聞かせて慌てさせた親友のカズヤが急逝する。タイチはカズヤが遺したカードを手がかりに「カズヤの軌跡」を辿ることになり……な物語。
前半は大学のサークル絡みの「青春もの」な味わいで実は伏線をあれこれ張っていて、後半はその伏線を回収しながら友達が少なかったタイチが「仲間」を得て行くという、カズヤの生前・死後で二部構成のようにしたのが巧み。
そして全体を通して会話がウイットに富んで面白く、内容もいろいろな要素を取り込んでワカればワカるほど愉しい。落としどころも上手いし、こういうのも好きなんだな。

なお、公表されたあらすじはカズヤの死後パートについてのものであり、事前に読んだ身には「ストーリー、変わったの?」な感が否めなかったのが難点と言えば難点……と言うか、あらすじの書き方が問題ではなかろうか。

『逆柱 ―追憶の呪い―』

『逆柱 ―追憶の呪い―』

鬼の居ぬ間に

小劇場B1(東京都)

2019/02/28 (木) ~ 2019/03/04 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/28 (木) 19:30

価格3,500円

第二次世界大戦末期、地方の旧家にかつての教え子の訪問を受けた民俗学者は30年前の第一次世界大戦中、ある一族に起きた出来事を語り始め……な物語。
家督相続に際し一族の「それまで隠されていたこと」が明かされて悶着が起こる、というのは横溝正史作品にもあるモチーフで、その意味で「猟奇性のない横溝正史」と言えるのではないか?そして「純和風悲劇」とも言えよう。

そんな物語が進んでゆく中、頭の中で膨れ上がってきたのは「(本作における)本当の呪いとは何か?」ということ。
「呪い」というのはまじないによって他者を不幸にしたりする超自然的なもの以外に、たとえば言葉などで他人を縛ることも含まれるのではないか?因習・制度などによって行動が制限されることも「呪い」なのではないか?などと考えた末に辿り着いたのは……(ネタバレBOXへ)

また、ラストで「30年の歳月を隔てた二人」の対比を同じ舞台上で見せてさらに「あれ」で終えるのも巧い。

あと、赤猫座ちこさんがごく控えた役どころで、今まで観てきたものとは異なる面を観ることができたのも収穫。

なお、語り手の回想部分が物語の本筋で、語り手と聞き手がその回想場面に入って行く(あるいは回想場面をその場で見ている)演出を「千年女優(今敏監督による2001年製作の劇場用アニメ映画)方式」と思ってきたが、もしかすると「千年女優」以前から芝居などであった手法かも。

しかしこの前夜とこの日の昼にあたたかくて優しい気持ちになれる芝居を観ており、その2本の後のこれって……反動というか、全体のバランスは取れるものなんですね。(笑)

ネタバレBOX

「一族の血を絶やしてはならない」というのが一番の呪いかもしれない、そしてあの当時はそういう意味で「呪い」が多々あったのではないか、などと思った。その果てに「本作は実際にあったことをモデルにしているのでは?」とも……(笑)

死んだと思っていた我が子が生きていたことを知らされるばかりでなく、妻を殺めた後にその我が子が訪ねてきたところで終わるのがまた何とも言えない。
『ワンダーランド、跡地』

『ワンダーランド、跡地』

遠吠え

王子小劇場(東京都)

2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/02/27 (水) 19:30

価格2,800円

かつての観光地の民宿を改装したシェアハウス(というよりは下宿的なイメージか?)の住人と大家・隣人たちが織り成す物語。
個性的な登場人物たちは皆「芯は優しいのだがそれを表に出すことあるいは人づきあい自体がヘタ」という不器用な面々で、だから誤解やスレ違いが生じてしまうのにリアリティがある、と言うか内容を身近に感じる。
そこに近辺で続出している「人間消失(?)」というミステリアスなネタを絡めて虚と実が交錯するのも巧み。
そうして、人間消失の真相判明も含むあれやこれやの49日間を経て、事態が少し好転し、各人物が少し成長(?)して幕を閉じるのは清々しく、優しい気持ちになれる……こういうの、好きだなぁ。
あと、観た後にチラシを見ると「あ、なるほど」と納得。

ネタバレBOX

前週に「他の人には見えない猫」が出てくる芝居を観て、本作には「他の人には見えない犬(の霊)」が出てくるというシンクロニシティ。
まさか次は定番の「他の人には見えない人物」が出てくる芝居じゃないだろうな。(笑)
呪いならいいのに

呪いならいいのに

たすいち

シアター711(東京都)

2017/07/23 (日) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/25 (火)

価格3,300円

冒頭で「なるほどそれで白と黒か」と判明。結構違うキャラがいて、味わいが異なる感じ。
いやそれにしてもサディさん、勝負強い……(笑)(←アフターイベント)
思い返せばあの「家族」に関して各個人の背景や「生成過程」についてもう少し描き込んで欲しかったというか掘り下げて欲しかったというか……。
いやしかしそこは主題とやや離れているからアレはアレで?そうだ、いっそスピンオフを!(笑)

なお、観ながら浮かんだ単語は以下。
呪縛、思い込み、言霊、逆プラシーボ、言い訳・言い逃れ、逃げ道、自縄自縛

なお、観終わってから改めて考えるとタイトルが腑に落ちる。

呪いならいいのに

呪いならいいのに

たすいち

シアター711(東京都)

2017/07/23 (日) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/25 (火) 14:00

価格3,300円

テーマにしてもその表現方法(脚本・演技とも)にしてもたすいちど真ん中。本作における「呪い」とは何なのか自分なりの言葉で表現するとどうなるのか観ながら考えるとより理解が深まるかも。
今後、うまくいかないことや不都合があったら全部呪いのせいと思おうかな? ←テーマに逆らう発言(爆)

不思議の国でノックアウト

不思議の国でノックアウト

はらぺこペンギン!

テアトルBONBON(東京都)

2017/12/14 (木) ~ 2017/12/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/14 (木) 19:30

座席H列12番

価格3,500円

少し未来を描いたSF系。いやしかし舞台装置にある「アレ」に気付いた直後の導入部分があまりにもまんまなのでワロタワロタ。
そうして始まる本編はボクシング、アリス、ロボットの三題噺だが、併行する複数の流れに仕掛けられた罠の巧妙さたるや。終盤で全体像が見えてきた時の「たばかったな!」感……もとい、見事に騙された感覚の心地好さよ!
あと、ブレードランナーのレプリカント等とは違い、ゴツゴツした機械人形的なロボットも生身の人間が演じなければならないという演劇での弱点(制約?)を逆手にとった終盤の「ある場面」は巧いよなぁ、これぞ舞台芸術!と言ったら褒めすぎか?(笑)
演劇集団キャラメルボックスのSF系作品や劇団ミックスドッグスのファン(並びに関係者)は気に入るのではないか?とも思った。

軽い重箱

軽い重箱

殿様ランチ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/02/22 (金) ~ 2019/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/25 (月) 14:00

価格2,500円

一般庶民のいかにもありそうな日常の1コマや特殊な(?)仕事に従事する人の人生の転機になりそうな1コマを絶妙のバランスでサクっと掬い取ったスケッチ6編。
いずれも語りすぎず余韻を残しその後を観客に想像させる手口が「食材の一番旨い部位だけを切り出して供する名人板前」の如し。
連作が1組あったりかすかなリンクがあったりするのも愉しく、長編(前回公演)を経た「はりこみ」シリーズの新局面もイイ。
あと、演者の複数の役の演じ分けも毎度ながら鮮やか。

月に瞳のあこがれて。

月に瞳のあこがれて。

perrot

王子小劇場(東京都)

2019/02/20 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/22 (金) 14:00

価格2,500円

どことなく品がありユーモラスでもある全体のトーンにシェイクスピアっぽさを感じるのは当日パンフレットにその旨の記載があるからだけではなかろう。(元ネタであるシェイクスピアの「尺には尺を」「から騒ぎ」は見たことがある筈だが記憶がないに等しい)
また、人物名や言葉遊びなどに野田秀樹の影響も感じられ、そんな作風で紡がれる物語は神話・伝説(国籍不問)を思わせるもので、出だしと結末が東西の童話ネタなのも愉しい。
さらに、月の女神(候補)三姉妹・太陽の女神を筆頭に「無国籍神話」っぽい衣装や装置など舞台美術チームも良い仕事っぷりだったと言えよう。

AFTER塩原JUNCTION

AFTER塩原JUNCTION

塩原俊之自主企画興行

イズモギャラリー(東京都)

2019/02/15 (金) ~ 2019/02/19 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/02/15 (金) 19:30

価格2,500円

#塩原jct
再演とはいえ、相手役・作家(=作風)とも違う3編に続けて出演、それもほぼ出ずっぱりで別人格を演じ分けるというのはなかなかのもの。しかもそれを観ている側に意識させないとは高等技術では?などともあとから気付いたりも。

「笑の太字」、「何らかの改変によって新たな付加価値が生ずればパクりではない」という定義は某作品で出た理屈と同じ、劇中で提示された問題の一つの解答が本作、の2点は初演時に抱いた感想と同じだが、今回は「三谷幸喜に対しては抗議だけではなく擁護論も展開して中立」なことに気付いた。

「天気予報を見ない派」、3編の中では一番現実的で、時々古傷が痛むような……(爆) そして、停電場面や窓を開けた時の外光やラストのスマホの液晶の明かりなど光に関する多彩な表現が印象的。

「いまこそわかれめ」、ミラフェスで一度観ていたため序盤から切なさ満載。また、真相の「ヒント」がチラチラあることにも気付く。
さらに、「3人目の出演者(二人芝居なのに(笑))であるマスターも実はいないのではないか?」という感想を目にして「耳なし芳一」など思い出す。

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