じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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小指と殺し屋たち

小指と殺し屋たち

Last Brand

アイピット目白(東京都)

2008/07/18 (金) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

力のある作品
一言で言えば「力のある作品」…「力作」でも「力のこもった作品」でも、ましてや「力んだ作品」でもなく、観る者をグイグイ引きつけるその力がスゴい。
傷害事件を起こした女性に接見する国選弁護人というオープニングから、黙秘を決め込む彼女の過去に移り、以降は昭和43年、東大の学生運動のセクトの1つが中心に描かれる、という構造。(その構造にちょっと『砂の器』を想起)
昭和43年にすでに物心ついており当時の世相も記憶にある身として「そうか、アレはあの頃のことだったんだ」と改めて認識するする一方、じっくりと描かれる学生運動の様子にも引き付けられ、さらにサスペンスフルで推理劇のような真相にはもうワクワク。
そんな過去が犯行に深く関わっていることが提示される終盤は、重さもありつつ、救いの余地をちゃんと見せて後味は決して悪くない、どころか、感動すら憶える。
この作品、これが三演目というのもよくわかるし、しかし「いつまでも過去の遺産に頼っていてはクリエーターとして失格」と今回で封印するという主宰の潔さもまた見事。封印前に観ることができて本当に良かった。

エブリリトルシング

エブリリトルシング

ネルケプランニング

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2008/07/11 (金) ~ 2008/07/20 (日)公演終了

満足度★★

もう一方を観ていないと意味が通じない
プロローグ、エピローグを伴う4編の連作短篇というスタイルの原作を2編ずつに分け、脚色で膨らませたプロローグとエピローグで挟んだ2つのバージョンとしての上演。どちらももう一方を観ていないと意味が通じない部分があるのは残念。

なお、Bは17列14番、Aは16列13番

ダブルブッキング

ダブルブッキング

K Dash Stage

紀伊國屋ホール(東京都)

2008/07/18 (金) ~ 2008/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

緻密に組み上げられた手工芸品を観るような感覚
オープニングのいかにもアングラ系な芝居のゲネ終盤部分に大笑いし、以降、トップス側での出来事を脳内で再生しつつそのリンクを楽しむ一方、こちら側独自で繰り広げられる新たな物語も加わり、緻密に組み上げられた手工芸品を観るような感覚。

ダブルブッキング

ダブルブッキング

K Dash Stage

新宿シアタートップス(東京都)

2008/07/18 (金) ~ 2008/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすが堤泰之作品
紀伊國屋ホールとトップスを役者が往き来して同時上演という「奇跡の作品」。主宰が紀伊國屋ホールの別劇団公演と掛け持ち出演することを知った劇団員が帰ってしまったという設定から始まるが、一方だけ観ても十分に楽しく、演劇讃歌的な内容も含めてさすが堤泰之作品という感じ。

戦国HEROES

戦国HEROES

YANKEE STADIUM 20XX

シアターサンモール(東京都)

2008/07/18 (金) ~ 2008/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

娯楽伝奇アクションコメディ時代劇
現代劇だが、信長、秀吉、家康を中心として、そこに「鬼龍軍」という悪役チームが絡む内容は確かに「娯楽伝奇アクションコメディ時代劇」。

おバカネタやしょーもないショートコント、さらには邪道あるいは反則と言えなくもない(笑)客いじり、劇団員いじりまであるので、ウッカリするとそちらに気をとられて忘れてしまいそうだが、毎回新たな楽しませ方(中にはかなりの技術を要するものまで)を編み出しているのはスゴい。

今回は刀を持たずに動きと効果音だけで表現するのにちゃんと刀が見える「エアーチャンバラ」が白眉。

THE GHOST STORY

THE GHOST STORY

ネオゼネレイター・プロジェクト

ザ・スズナリ(東京都)

2008/07/17 (木) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

ユーモラスで切なさもある幽霊譚
デビュー作を除いてパッとしないミステリー作家が噂を承知で移り住んだ家に、やはり「出て」…という基本的にはユーモラスで、ちょっと切なさのある幽霊譚。ホラー要素は無きに等しく、しかし独特の面白さあり。
特に劇中で作家が書いている作品も舞台上で演じられ、それが劇中現実とクロスするばかりでなく、終盤では(劇中現実の)ストーリーをまとめる一端まで担ってしまうという構造がユニーク。
また、ラスト前には劇団離風霊船並みの(笑)装置のシカケもあり、最後は日本神話の「黄泉の国」を引用するなんて、もう好きな要素がてんこ盛り、みたいな?(笑)

VOICE ACTOR

VOICE ACTOR

劇団6番シード

萬劇場(東京都)

2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

アフレコの特質が活かされている
よくあるバックステージものの声優版、あるいは『ラヂオの時間』の声優バージョンかと思いきや、単にシチュエーションを置き換えただけでなく、舞台やラジオ収録と一線を画すアフレコの特質が活かされているところが独自。
もちろん、バックステージ系ではお馴染みの(?)ギクシャクしたりもしながら1つのモノを創り上げるという軸は外さず、その意味で「一粒で二度オイシイ」と言えるか?
アニメの音録り風景は時々紹介されていて漠然と知っている気になっていたが、実際には生身で演じるのとはこんなに違うんだ、的なオドロキも多数。

アルケミスト

アルケミスト

少年社中

ザ・ポケット(東京都)

2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

パウロ・コリーニョ原作
旗揚げ公演作品の改訂版でパウロ・コリーニョ原作の舞台化。夢を諦めない主人公よりも彼が旅の途中で出逢う夢を追う資金調達のために就いた仕事に本分を見出す者や、意図的に夢を追わなくなった者などに共感してしまうのは守りに入った証拠か?(爆)

ハギトル

ハギトル

劇団†勇壮淑女

ウッディシアター中目黒(東京都)

2008/07/15 (火) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

「世にも奇妙な物語」的不気味さ
小屋に住み込みのストリッパーたちといつも文句を言いに来るオバちゃん3人組、それとまだ見ぬ伝説のストリッパーに憧れる少女や隣町から引き抜きに来た女性などが織り成す人情系?…に見えながら、どこかアンバランスな「世にも奇妙な物語」的不気味さ・不安感が漂っていて、いつもと同じ日常から脱け出ることの難しさ(危なさ?)が次第にジワジワと湧き出てくるような感覚が独特。

恋人ができないが、もういい

恋人ができないが、もういい

箱庭円舞曲

OFF OFFシアター(東京都)

2008/07/12 (土) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

まるで自分もそこに居合わせているよう
初見であった前回公演『お前がダメな理由』同様、会話がとてもリアルで、広告業界の内側を覗いているような内容も「あぁ、そういうものなんだぁ」と妙に納得。
 
また、仕事と絡んだ人間関係も実生活でそうであるように「これが正解」というものがないので、それぞれの考え方に「その通り!」と共感したり「それは違うのでは?」と異論を持ったり、まるで自分もそこに居合わせているように錯覚させてしまうのは上手い。脚本と演じる役者陣のリアルさの相乗効果か。
 
雨降って地固まる、なハッピーエンドかと思わせておきながらも安易な結末にせず、まだまだ続いて行くんだよ、とする終わり方も上手い。(ってかこれまたリアル?)
 
そんな中、終盤で出てくるキャッチコピーに関する「作り手側だけ良いと思っていてもダメで、クライアントの評価が第一、そしてライターも楽しく思えるのがベスト」という内容の台詞が印象的。これってつまるところ劇作に関してのものでもあり、「劇中で宣言したな」的な?(笑)
 
さらに「でも、こうしている時が一番楽しい」というラストの台詞にはイタく共感。さりながら「稽古している時が一番楽しい」では観客としては困るのだが…(笑)

新宿番外地

新宿番外地

椿組

花園神社(東京都)

2008/07/12 (土) ~ 2008/07/22 (火)公演終了

満足度★★★

何ともオツ
オープニングで幕に投射される年号がどんどん進んで行き、2038年になるので「近未来ものか?」と意外に感ずるも、荒廃した30年後、歌舞伎町近辺が一種の隔離地域になっているという設定に納得。
 
途中に出てくる「かつてのゴールデン街」あたりは『新宿ブギウギ ~戦後闇市興亡史~』(05年)で舞台となった終戦直後のヤミ市にむしろ似ているほどで…
 
そんな近未来とはいえお得意の(?)一種ドロ臭い物語、90歳となった外波山文明が出てきたり、30年以上前の路上パフォーマンスの映像があったりしつつ、毛皮族の江本純子演出によるショウ場面もあり、夏のイベント的な独特のノリを堪能。やはり夏の風物詩、汗をかきかき、時々わたる風に涼を感じたりしつつ観るのが何ともオツ。

現代忍法 ぼんやり絵巻

現代忍法 ぼんやり絵巻

KUSARE芸道R

シアターブラッツ(東京都)

2008/07/10 (木) ~ 2008/07/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

ほぼ絶賛状態
1億年(笑)にわたって山中に隠れていた忍者グループの一員が存在を世間に知らしめるべく禁を破って町に出、それを阻止するため長老一派が刺客を送るというナンセンスコメディ。
 
その設定によって何もかもアリで(爆)かなりベタなのに、要所要所では客席から「おーっっ!!!」と声があがるほどの立ち回りを見せる(←女性も含む)し、感動要素(ホントか?)もあるし、連作短篇風というか連続活劇の一挙放映のようにほど良く区切りがあってテンポ良く見せるし、これまたほぼ絶賛状態。
 
また、レギュラーメンバーはもちろん、今回初参加なメンバーも含めて台詞回しがとても自然で、内容的には思いっきりフィクションなのに妙にリアル(!)なのがフシギ。

“Kiss me, deadly”

“Kiss me, deadly”

smartball

王子小劇場(東京都)

2008/07/04 (金) ~ 2008/07/14 (月)公演終了

満足度★★★

ごく身近なイケナイ世界を垣間見る
日常と隣り合わせたごく身近なイケナイ世界を垣間見る感覚。以前はアメリカ映画などでごく普通な人物が犯罪に関わっていてヤバい連中とトラブるような設定があったが、その日本版、的な?
 
日本も進化(でイイのか?)したモンだ。…ってか、こういう設定がさほど絵空事っぽくなくなってしまったのはイイことなのか?。(戦後間もない頃にもありそう)
 
なお、『hg』で勝手に創り上げた宮嶋美子像がガラガラと音をたてて崩れ去る。(笑)

審判員は来なかった

審判員は来なかった

ペンギンプルペイルパイルズ

シアタートラム(東京都)

2008/07/10 (木) ~ 2008/07/20 (日)公演終了

満足度★★★

笑いの多いスタイル
04年秋の『246番地の雰囲気』以降観てきた不条理系・不思議系・不安系の作品群とは一線を画した笑いの多いスタイルで、それにちょっと戸惑いつつも「こういうのもアリなのね」と納得し、さらにケラリーノ・サンドロヴィッチとますます共通項が増えたようにも思う。(そもそも小林高鹿はナイロン100℃にいたワケだし)
また、7人の出演者だけで4箇所の出来事を演ずる(=1人で最大4役を演ずる)ので、その早替わりが見もの。装置もそれを可能ならしめるため、初の盆使用。これもまたデザインがイイ。
なお、この盆、かなり頻繁に回すので、出演者たちは稽古中に酔いそうになったり帰宅後もまだ床が動いているように感じたりしたこともあったそうで…(驚)
さらに倉持裕とPPPP古参(?)3人(小林、玉置、ぼくもと)、それに客演2人(片桐、安藤)によるアフタートーク(約35分)もあり、前述の稽古中のハナシや、古参3人が劇団員になった経緯とか、モロモロの裏話も聞くことができておトク感もアリ。

LOA

LOA

K.B.S.Project

千本桜ホール(東京都)

2008/07/10 (木) ~ 2008/07/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

ほぼ絶賛状態
キャッチコピーは「サスペンスタッチの学園恋愛ファンタジー」、ジュヴナイル系で往年のNHK少年ドラマシリーズを想起させるどこか懐かしい感覚と女性作家ならでは(?)の切なさを併せ持った秀作。
笑いの配分とそれをさしはさむタイミング(特に「メッセージを消去します」は絶妙)も申し分なく、ほぼ絶賛状態。
演出面ではハーフミラーの使い方と鏡の中の世界のダンス表現(ダブルキャストのもう一方が顔まで隠した銀の全身タイツで出演)が特に印象的。
また、キャストではエキセントリックなオカルト研究会部長を演じた竹中愛が、ヘアメイク、演技両方で「いかにも “そっち系”」を体現していて○。
特にステージを早足で横切るだけの短い(5秒未満?)シーンにおいて葬儀で経を間違えた僧に対する怒りを顔だけでなく全身の表情で表現したのは見事。
あと、「合わせる」「会わせる」ダブルミーニングの副題もセンスがイイ。
強いて言えば、観ている間は気付かなかったが観終わってから死者・正者を問わず会っただけでなく触れてしまえばアウトってどーよ?という疑問が湧くも、ギリシア神話のオルフェウスや日本神話の「黄泉の国」の「振り返っちゃダメよ」と同様、そういうルールなのか、と納得。

Last Sceneはさりげなく

Last Sceneはさりげなく

劇団S.W.A.T!

紀伊國屋ホール(東京都)

2008/07/09 (水) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

芝居に対する想い・愛情を如実に反映
恒例の東京での演劇祭参加に向けて稽古中の地方劇団の主宰が病に倒れ、代わりに呼ばれた主宰の東京での劇団時代の後輩演出家は暴力事件を起こしてホされたと言われていて…というバックステージ系。
作家や劇団員たちの芝居に対する想い・愛情が如実に反映されるだけにやはりこのテの作品にハズレなし。ダメなヤツらがまとまってひとつのものを創り上げるというプロットが大好きでもあるのでなおさら。
そういうプロットだけ良いのではなく、現実での公演Tシャツを劇中でも公演記念Tシャツとして使い、終演後に物販コーナーで売ると劇中でさり気なく宣伝する、とか、演出家の回想シーンでは、それがいつ頃のことか一目でわかるように工夫されている、とか、ほとんどの役者が実名で出ており、某客演者など「この前に出ていた芝居で特攻隊役だったので頭を丸めた」という事実まで劇中に取り入れられている、とか、いろいろこらされたアイデアも楽しい。
また、ネットTV(「Nyao」だって (笑))の中継用にメイキングのカメラが入っているという設定で、各人のコメントが本編に差し挟まれる終盤もそれぞれの芝居に対する想いなどが効果的に使われているし。
序盤で、劇団員と演出家の間にあった溝が比較的アッサリと埋まってしまうような気もするけれど、約2時間のワクに収めるためにはやむを得ないし、むしろその後の展開が中心なので個人的には許容範囲、と言うか納得。

サムリーマン ~ト音記号~

サムリーマン ~ト音記号~

劇団虎のこ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/07/04 (金) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★

休憩込み2時間50分
鎖国により、未だに帯刀している設定の日本を描いたシリーズ(とは言え各話完結で続編とか連作とかではない模様)の3作目。(1作目は未見)
今回は10周年記念特別公演ということもあってかレビューカンパニー サルメという女性中心のパフォーマンス集団が参加しており、華やか、艶やか、煌びやか、賑やか。
がしかし、前半が主人公父娘の父を中心とした社内覇権争い、後半がその15年後に同じ会社に就職した娘の話で、それに父娘に飼われている金魚たちがストーリーテラー的に絡み、さらに金魚界の物語も展開されるという欲張りな構成のために休憩込み2時間50分もの大作になったのはちょっといただけない。個別にはそれぞれそんなに悪くはないのになんだかもったいない。

表と裏と、その向こう

表と裏と、その向こう

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2008/07/02 (水) ~ 2008/07/06 (日)公演終了

満足度★★★

新機軸
近未来、IDカードで個人情報がすべて管理されるようになったある町での出来事を描いており、何やら得体のしれないものが背後で蠢いていそうな不安感や理詰めでクールにじわじわと追い込まれるような感覚、それにたとえばM.C.エッシャーの作品のように細部に至るまで理路整然と描かれているので一見すべて正しく見えながらも実は大きな部分であり得ない…的な作品世界などは毎度ながら、今回は笑える部分も少なからずあるのが新機軸。

夕ーゆうー

夕ーゆうー

東京セレソンデラックス

シアターサンモール(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

脚本がやはり巧み
3年前にも感じたことだがプロローグで現在の様子を見せた後は一気に主人公たちの高校生時代に遡り、それから10年以上にわたる彼らの交友の要所要所を見せて再び現在の様子で締めくくることによって登場人物たちを身近に感じさせる脚本がやはり巧み。

ネタバレBOX

また、ヒロイン・夕の切ない気持ちを次第に強調して行き、そちらが主題だと思わせている背景で元弥の存在感を着実に浸透させて最後の場ではあたかも知人が亡くなったかのような喪失感を抱かせるツクリは絶妙。
ヤマ魂 YAMATAMA ~2016~

ヤマ魂 YAMATAMA ~2016~

ACファクトリー

ザ・ポケット(東京都)

2008/07/02 (水) ~ 2008/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

東京オリンピック!
8年後の東京オリンピックの選手村が舞台で「あり得る!」「なワケねーだろ!」双方なネタ(あちこちに毒(笑)も仕込んである)が満載のコメディ。
 
ひたすらコメディ一直線だし、番外公演と銘打っていることもあり「今回は抜きか?」と思ったアクションは終盤に炸裂。これがまた、ヒーローもののスーツアクター(女性も含む)、アクションコーディネーターもいるんで見事なモノ。そこまでのコメディ路線とコレで「一粒で二度オイシイ」な感じ。

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