じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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time

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円盤ライダー

@quos(東京都)

2009/08/27 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

お得意の「現地芝居」
学生時代からの友人2人が脱サラして始めたバーの開店から閉店までの2年間を実際のカフェバー内で演じるという、お得意(?)の「現地芝居」、ここでの前回は観逃したのでこの店は初。広さから言えば Gallery LE DECO くらいか? そこにビリヤード台やダーツの的(って呼称するのか?)、レーシングカーのサーキットなどがある「おサレなカヘバー」。
内容的にはプロローグとして閉店の「その日」を見せてから開店前に遡り、いくつかのポイントをたどりながら冒頭の時点に達してそのほんのちょっと先まで行って終わる構造だけに「2年間で閉店」というのはわかっており、ホロ苦~い感覚。
それを(一部誇張されたキャラもいるものの)基本的にはほぼ等身大の登場人物たちが演じているので共感するというよりはダメなところが妙に身につまされたりもして、時々胸の古傷がチクチク…(爆)
いや、サナトリウム症候群っぽいところは古傷どころか現状のわが身そのままか?(更爆)
また、一見すると正反対のような2人の主人公、実は根底にあるモノは共通なのでは?と思ったり。学生時代に一緒にサークルを立ち上げたということもあるが、なんだか観ていてよく似ているように思えて。
作・演出の四方田祐輔は今回初参加とのことながら、なかなかイイ感じ。

白と黒とその泡と

白と黒とその泡と

KENプロデュース

池袋GEKIBA(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

鈴班のみ観劇
父親が亡くなり、三男が同居していた実家に次男夫婦、長女、叔父、祖父などが集まった通夜の日の昼から翌日の昼前までを描いた「どこか懐かしいホームコメディ」で、「天城越え」に重ね録りした遺言テープとかロックな読経(名場面!)で笑わせておき、辞世の歌の謎解きを経て家族愛で締めくくる構成が手堅く、毛利元就の「三本の矢」など途中でヒントとして出して遺言の鍵である「父が一番喜ぶこと」の正解を観客に読ませる匙加減も巧み。

Contagion

Contagion

SORAism company

SPACE107(東京都)

2009/09/11 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

単なるコメディではない独特の面白さ
「ヴァンパイアウィルス」によりヴァンパイア化した人々を隔離する一般人禁制の山寺で何やら不穏な動きがあるとの情報により、機関のエージェント2人が潜入捜査をすることになるが、奪われた金を探すヤクザ、観光客、占い師、学生なども現れ、成り行き上全員の宿泊を許さざるを得なくなり…という状況から始まる物語。
ヴァンパイア化といってもいわゆる「吸血鬼」のようなモンスターではなくほとんど一般人と変わらないのでホラーとは無縁で、むしろ全体はコミカル。
しかし「不穏な動き」をめぐるサスペンスから殺陣・アクションにダンス(題材が題材だけにMJトリビュートもあり)まで取り揃え、それらをバランス良く配合することによって、単なるコメディではない独特の面白さを出しているのがイイ。
また、穴吹一郎は登場シーンを筆頭としたコミカルな味やラストでの全体のまとめ方などさすが。

さよならノーチラス号

さよならノーチラス号

演劇集団キャラメルボックス

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/08/27 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

ジワジワと思い出す感覚
初演時にかなりひきこまれて思い入れが深い一方、11年も前なので記憶が風化しているという状態で観たら、観ながら「あぁ、そうだった」と次第に記憶が蘇ってくる、的な。
キャストについても事前にはサブリナ以外は全く覚えていなかったものの、観ながら何人かは衣装やメイクから「そういえば…」的に思い出す。このジワジワと思い出す感覚はちょっと快感。
他にキャスト関連ではクロムモリブデンのお二方もすっかり溶け込んでしっかりキャラメル系キャラになっており…(笑)

ネタバレBOX

で、主人公が少年時代を回想するというズルい(=σ(^-^) の好きな)パターン+ひと夏で少しオトナになる少年という定番あるいは鉄板の基本構造に加えて、ひき逃げの証拠隠滅をめぐるサスペンス風味も加えているのがまた巧いところで「やっぱりあの頃はアブラがのっていたんだなぁ」なんて気もして。(ありゃりゃ、またもやチョイ辛…(笑))
片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

MU

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

なるほど、表裏一体
とある結婚相談所にワケありで入った新人は、以前「亀戸の母」と呼ばれカリスマ視されていた「縁結びの神」で…というところから始まる、恋愛下手で見えない「ナニカ」にすがってでも成就させたい人々(『神様…』のつい宗教にすがってしまう人々と一脈通ずる)を描いたコメディ。
そういえばここまでコメディタッチのものってσ(^-^) が観始めてから3度目にして初めてかも?
そのためか客席も妙におとなしく「ココ、笑うトコでしょ?」と戸惑うことも少なからずアリ。ま、σ(^-^) はそんなことはお構いなしに吹き出したり笑ったりしていたのだが…。
また、赤い糸を最後に見せるのも愉快。
なるほど、文字通り表裏一体、一見対照的なのに奥深いところで繋がっていて、交互上演だとそれがよくわかる感じ。個人的には観る順もこれでヨカッタかな、と。

真久部卓の生活

真久部卓の生活

モンキーworks

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

四大悲劇リミックス
タイトルおよびチラシ等の説明から概略はわかっていたので、当日パンフの人物相関図を見てニヤリ。沙翁の四大悲劇の主要人物をうまく組み合わせて1つにまとめているんだもの。
当然本編もそれら4作を再構築…というよりはリミックスしてつないでおり、しかも三女デリアは父である王から放逐されるし、オジェロの妻は不貞をはたらいているし、羽村は王である父を殺した男に復讐するし、予言通りに王となった真久部はまさかそんなことが起こることはない(「森が動く」ではないが)と思われた予言が当たって王座を追われるし、と各作品のポイントはシッカリ押さえているという。
そんなワケで四大悲劇を知っていればいるだけ楽しめるシカケ。
今まで観た塩塚晃平作品はどうも苦手だったけれど、これはむしろ好み。
ただ、登場人物の名前が日本人風の漢字のもの(真久部、羽村、伴など)と洋風の仮名書きのもの(オジェロ、デリア、リルなど)が混在だったのは惜しい。どちらかに(漢字の方が面白いだろうな)統一すれば良かったのに。
あと、チラシあった近松はいずこへ? せっかく主要4作品をwikipediaで予習して行ったのに…(笑)

にぎやかフラワー

にぎやかフラワー

春の日ボタン

「劇」小劇場(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

今回はラブコメ
今回はラブコメで、一話完結のエピソードがそれぞれどこかでリンクしている構造は同様ながら、より緻密になり第五話に向けて各編で巧妙に伏線を張っているという…。
しかもそれがバレバレの伏線でなく、各編の中ではちゃんとネタ(笑)として機能している上に最終話でドミノ倒しの如く次々に開花して「あぁ、伏線でもあったんだ!」みたいな。
終盤でのなかなか肝心なことが言えず、お膳立てを整えられての「いざ」という時でも「ここまで言ったんだから後は察してくれよ」な男心(これも草食系の一派か?)なども非常によくわかり…どころか共感してしまい、古傷がうずくような気もして…(爆)
装置は蝶番でつながれた開閉できる板で作られており、エピソードが変わる度に本をめくるように転換するのだが、第二話での屋上の手すり、どうするんだ?と思っていたら飛び出す絵本的なシカケでたたまれて「あ、そうか!」と。(←手すりが出現する時に気付けよ!(笑))

長ぐつのロミオ

長ぐつのロミオ

昭和芸能舎

SPACE107(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/09 (水)公演終了

満足度★★★

「ネオ人情もの」
バブル真っ盛りの80年代前半、築地の場内外の人々に六本木のディスコをからめて描いた「ネオ人情もの」、当時の流行を身を以て体験した世代なので出来事やヒット曲など「あぁ、あれはあの頃だったのね」と再認識したりしつつ楽しむ。
また、そんな時代設定でありながらも六本木再開発や築地移転などイマに通ずるネタも入っているところが巧み。
さらに終盤の夏祭りシーンなぞ昭和の映画(『駅前シリーズ』とか)のラストを想起させて、改名効果か? いや、「新宿芸能社」時代も同系統だったので、内容に名称を合わせたんでしょうがね。
あと、ディスコのショータイムで見覚えのある衣装(夏に相鉄本多劇場で見た音域毎のレベルインジケータが蛍光塗料も使って胸にプリントしてあるTシャツと赤いLEDでデコられた大型アイシールドの付いたヘルメット)が出てきてニヤリ。

アマガエル

アマガエル

発条ロールシアター

タイニイアリス(東京都)

2009/09/03 (木) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★

今まであまり観たことのないタイプ
公園で知り合ったスーツの男、浪人生、ジョガー、ホームレスたちの前に「伝説の浮浪者」を探しているという少女が現れ…という状況から始まる物語、比較的日常に近い状況から思いもよらぬSFチックなスケールの大きなもの(「トンデモ系」ともゆー(笑))に変貌する展開に nomade second の『シンクロニシティ』(98年)を連想したりもする。
が、その地底人(!)のシークエンスが実は…というドンデン返しがあるのがアチラと異なり、さらに現実と連動しているのは上手い。
今まであまり観たことのないタイプだし、95分という上演時間もちょうどイイし、次回にも期待。

THE DEEP ~深き淵にて~

THE DEEP ~深き淵にて~

ネオゼネレイター・プロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

懐かしいったらありゃあしない
7週間前に消息を絶った海洋探査船を捜索していたサルベージ船が当該船を発見したが、34人いたはずの乗組員の姿は見えず…という状況から始まるSFホラー。
劇中に「そんなB級ホラーみたいな話、あるワケないでしょう」なんて台詞が出てくるし、チラシでも宣言している通り、B級SFホラーのド真ん中、かつて東京12チャンネル(当時)の木曜洋画劇場などで観た作品群のニオイがプンプン、そこにゾンビものの香りもちょっぴり加味されて懐かしいったらありゃあしない。
で、あちこち「お約束」的な部分があり、そんな中で「それは今は聞かないでおこう、帰りの船で聞かせてくれ」などというのは「死亡フラグ」を下ろしたな、とニヤリ。が、考えようによっては死亡フラグを立てたことにもなるんだな。「それさえ口にしなければ帰りの船で聞くことができただろうに…」なんて。
また、もともとコメディリリーフ的なキャラがいる上に終盤で笑いが増えるのが独特で、最終場で暗転明けに「侵略者(侵食者?)」の弱点である赤外線を「被害者」たちが自身であてているの図が可笑しくも哀しい。
さらに海が深くなるにつれて届く光の波長が減ってゆくという劇中の説明をふまえたラストの照明の変化も見事。
海洋探査船の船室(と言うよりは船倉に近い?)を再現した装置もよくできており、登場人物の大半が開場前から初登場シーンまでの間は舞台(装置)上方の空間で待機というのがまたスゴい。

キツネの嫁入り 他短編

キツネの嫁入り 他短編

小櫃川桃郎太一座

atelier SENTIO(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

まさに「ネオ大衆演劇」
短編2本(約45分)の後、10分の中入り、そして「キツネの嫁入り」(約65分)という構成。
使用曲が昭和の歌謡ポップスで、冒頭や劇中に歌うシーンがあったりするのも含めてまさに「ネオ大衆演劇」、以下、各編個別に…。
「怪談!饅頭怖い」
落語のアレを怪談仕立てにしたのではなく、地獄の亡者である主人公がある理由から饅頭が苦手という設定の新作落語風一人芝居。その語り口から「まんま落語で演ってもイイのでは?」と思っていたら、小道具なども出てきて「あ、そういうことなのね」と納得。また、「ハイテク精霊馬」なんて発想も楽しい。
「道具屋」
こちらは古典落語の立体化。桂九雀の「噺劇(しんげき)」(2月)、劇團旅藝人+イエロー・ドロップスの「知新笑新」(6月)に続いて今年3度目の立体落語、やはり落語側からのアプローチ(噺劇)より芝居側からのアプローチ(本作・知新笑新)の方が題材の選択、下げの処理など上手のような気がするが、10月13・14日の噺劇では挽回なるか?
また、菊池美里の「いかにも与太郎」な表現が秀逸。
「キツネの嫁入り」
前半では歌舞伎幕(?)で隠されていた障子戸が装置として登場。それだけの装置なのにもかかわらず、複数の場所を表現できたりするのが芝居の面白いところ。
前半2編からの雰囲気に加えて、衣装が全て和装(前半2編もそうなんだが)ということもあって、どこか懐かしい昔話的な空気が漂い「日本の芝居」を満喫。

悪趣味

悪趣味

柿喰う客

シアタートラム(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

乱痴気っっ!!!
公演期間中2ステージだけの全キャストシャッフルという暴挙(笑)、初日を観ながら&観た後に「この人はあの役かな」「この役はあの人かな」などいくつかしていた予想はことごとく外れ、しかし「そう来ましたか!?」「そのテがあったか!」な面白さアリ…っちゅうか「うわっ、ヤラれたぁ!」の方が正直だな。
で、本来のキャスト(以下「本来版」と表記:内部では「ホンチキ」と呼称されている模様)と比べて反則気味(笑)なものから逆におとなしくなったものまで振れ幅が大きく、その意味で本来版は無難にまとめた(←あくまで比較論)感じ?
リスカへの「ブス!」発言とかカッパの棲家が「箱庭」とかにちょっと無理がある一方、狩奈なんか「柿200%」と言おうか「普段より長く回しております」状態で面白く(本来版は柿150%くらい?もちろんハマっていて面白い:念のため)、さらに没ネタをとりいれたりムチャ振りが少なからずあったり(ゆえに5分長い)するのも楽しい。
初日に「乱痴気のキャスト、また変えよう」などという発言も聞こえたので、恒例のアフタートークで訊いてみたら、配役は8月下旬に発表したものの、その後台本もちょくちょく変わり、本来版の稽古にほぼかかりきりとなり、結局乱痴気は通し稽古1回だけだったとのこと。が、各自が本来版キャストへのダメ出しを自分のものとして吸収していたこともあり、その通しでほぼオッケーだったというのはスゴい。
しかも実際のステージも完成度が高く、1回だけ出のタイミングがズレた程度。でも、そのハプニングもまた乱痴気ならではというか、ある意味お祭り騒ぎ的な公演として十分にアリでしょ、みたいな…(笑) え、優しすぎだって?

悪趣味

悪趣味

柿喰う客

シアタートラム(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

まずは本来版
後から振り返ると古典的な、どころかベタと言っても過言ではない和風ホラーで、たとえば「見つかった**が実は…」なんてのも常套手段なのに、あの独特の「柿節」とでも言うべき台詞回しとスピード感、リズム(ひと括りにして言えば「グルーヴ感」とか?(笑))にグイグイ引っ張られてそんなところまで思いを巡らせている余裕がない、的な。
しかも、「乱痴気」公演ではどの役を誰が演るんだろうなんて余計なことまで考えてしまうのでなおさら…。(すっかり術中にハマっていたワケだ)
また、スプラッタ系ホラー映画であればクライマックスになるであろう「大惨劇」を見せずにその直前でとどめ、すべての発端となったシーンをかぶせてから惨劇後(らしい)の様子で締めくくるのも演劇的で◎。

もう嫌んなるくらいハピネス!

もう嫌んなるくらいハピネス!

ポップンマッシュルームチキン野郎

吉祥寺シアター(東京都)

2009/09/03 (木) ~ 2009/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

チョコレートコーティングされた柿の種
ナンセンス、ブラックの2種類の笑いと昭和中期の松竹映画のような人情・ペーソスという一見異質なものが程良く配合されて意外な味を出しているのは「チョコレートコーティングされた柿の種」(←実在する)の如し。
ちなみに装置は吉本新喜劇風ながら内容はドタバタではありません。(笑)
で、その装置、舞台がラーメン屋だけに壁に短冊メニューがあり、半ばお約束のように「謎」が…。と言ってもドサクサに紛れて「ゲルググ」があったりする(←某公演で目撃)のではなく、「五点盛り」よりも高い「三点盛り」(高級素材を使っているのか量が多いのかはたまた…)とか、普通盛り280円に対して大盛が600円のチャーハン(値段がちょっと高いのに量が2倍というのはよくあるが、値段が倍以上ってどないやねん)とか、そういうタイプ。
また、「教授」とロボ妻(笑)のエピソードなぞ奥が深く、ふくらませればそれだけで1本の芝居になりそう。それ関連ではラストシーンもさり気ないがなかなかステキ。そういえば天馬博士がトビオ(「アトム」と命名される前のあのロボット)を手放した(というよりは捨てた)理由も連想。
欲を言えば時々挿入される回想場面がいつ頃のことであるのか(どころか回想であるかどうかさえ)しばし判断に迷うことがあったので、そこのところがわかり易ければより良かったのではあるまいか。

11月15日の夜空に(演劇祭大賞受賞!)

11月15日の夜空に(演劇祭大賞受賞!)

劇団Peek-a-Boo

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

Aキャスト
主役である青年と竜馬、それにコトの元凶(笑)である博士とその助手などが違っており、竜馬は若返っているし(笑)、『BTF』のドクのようだった飯田橋博士は女性になっているし、当然の如く小ネタも変わっているしでけっこう印象は異なる。
また、前回書き忘れたが、音響が実に巧み。主な舞台となるマンションの一室、装置としてのドアはないのに、開錠してドアを開ける演技にSEがピタリと合っているので、ドアが見えるようだし、飯田橋博士の「知恵袋」的なロボット・サーチ君(実際はぬいぐるみ)の声がまるで中にスピーカーが仕込んであるかのように左右に移動して聞こえるし…。ホントに舞台音響も進化したなぁ。

11月15日の夜空に(演劇祭大賞受賞!)

11月15日の夜空に(演劇祭大賞受賞!)

劇団Peek-a-Boo

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

Bキャスト
ある夜突然、主人公の部屋のクローゼットから坂本龍馬、いや才谷梅太郎と名乗る男が現れ…という某社CMのような状況から始まる物語、従来の Peek-a-Boo にはなかったタイプの作品ながら上出来。
TVから流れる殺人事件のニュースをキッカケに不条理な死が多いのは幕末も現代もそんなに変わっていないのではないかと示唆したり、3年前の友人の自殺に責任の一端を感じて未だに立ち直れていない主人公の妹に龍馬が「兄にでも両親にでも甘えて生きてゆけばいい」と諭すなど、大好きな「死んじゃだめだよ、生きてなくちゃだめだよ」系なので高評価は当然と言えば当然?(笑)
いやしかし、そういう内容的なものに加えて、演劇表現的にもイイ。
いつもながらスローモーションの表現が巧みなばかりでなく、今回はそれに回転を遅らせた台詞もかぶせたりしているし(逆に早回しもアリ)、「素に戻る芝居」もほぼ毎度のこととはいえ楽しいし、ネタがネタだけに頻繁に出てくる土佐弁も(高知に住んだことどころか行ったことさえないのであくまでイメージながら)いかにもそれっぽく自然で、より作品世界に入り込ませるという…。
他に表現として、序盤で主人公が書いている小説内の龍馬たちを狂言の様式で見せた(当然、途中から普通の演劇表現に戻る)のも実験的で面白い。
内容に再び戻れば、この時代のことはお前に任せたと言い残して幕末に戻った龍馬が中岡に感謝の言葉を伝えるところもイイし、絶命直前の龍馬と少年時代の江戸に向けて旅立つ龍馬を同時に見せるのもイイ。
で、「キャラメル風味」も感じたのはタイムスリップして現代に現れた龍馬が主人公を成長させる、というプロットが『また逢おうと竜馬は言った』と近いこともあるか?
あと、龍馬ものと言えば、先日の『ねずみの夜』で「近江屋」をやっと覚えたが、この作品では慶応3年11月15日という日付をキチンと覚えることができそう。

サラマンドラの虹

サラマンドラの虹

Jungle Bell Theater

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了

満足度★★★

「マインド・スリップ」もの
メキシコ古代文明の末裔(日本人主人公の名前とそれを漢字で書けたことからそう思っていたが、つらつら考えてみると石板に文字を残すってことは末裔でなく古代そのものか?)と日本人との邂逅譚に『THE WINDS OF GOD』的な「マインド・スリップ」(←造語:よろしかったら皆さんご使用下さいませ(笑))を組み合わせた物語、そこここにヒントをちりばめ、観る側に先を予測させる匙加減が巧い。
また、大国の少数部族に対する侵略・支配なども描きつつ、締めくくりがロマンティックなのもイイ。
が、ラストで現代の面々が気付く「コトの順序」、誤読によって(いや、モロモロ考えるとむしろその方が自然では?)元々そういう順だと思って観ていたので「ヨカッタヨカッタ」感が半減だったかも?(笑)
あと、山椒魚の英語名やオオサンショウウオの別名を知っていた身としてタイトルや主人公の苗字に「あぁ、なるほど」と…。
ただ、07年の『DOGのBLUES』(もちろん未見)をベースに今年3月にLIVEDOG PRODUCEが上演した『DOG'S』(これが面白かったのが今回観たキッカケ)の方が個人的には好み。(←刷り込み効果もあるかも?)
『DOGのBLUES』、再演してくれないかしら?

もののけがたり’09

もののけがたり’09

こかげかずひろプロデュース

喫茶・谷中ボッサ(東京都)

2009/08/30 (日) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

「「怪異譚」を人間ドラマっぽく
亡霊が出たりする「恐怖譚」ではなく、人の心のコワさあるいは不条理さを描いた「怪異譚」、ホラーというよりは心理サスペンスのオモムキ。
元ネタが古典(古文書?)に僅かな記述があるという程度のものはもちろん、ラフカディオ・ハーン原作のものも独自の脚色がなされており、それによってより人間ドラマっぽくなっているような。
また、会場の構造・キャパの関係もあってか今回は1人語りが3編で、2年前の「もののけカフェ」の1人語りが講談あるいは落語風だったのに対して限りなく朗読に近いスタイルだったが、むしろそれが内容に合っているような気もして。

双界の高き神座

双界の高き神座

projectMISSLING

シアターブラッツ(東京都)

2009/08/28 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

日本神話と仏教系の相互乗り入れ
神無月の1日、通天閣のはぐれ神・ビリケンのもとに高天原の三貴神(アマテラス、スサノオ、ツキヨミ)が「家出してきた」と突然訪れたところに四神獣のうちの朱雀も現れ…という出だしから始まる物語、日本神話の世界と仏教系キャラの融合…と言うよりは「相互乗り入れ」、それぞれの元ネタの性質を活かしたキャラクター設定が面白く、中でもウズメとフドウ、それにヒルコのキャラ設定が特に○。
また、腐敗した世の中に疑問を抱き何とかしようとする若者たち、というテーマはありがちではあれ、それをこういったキャラ及び設定で寓話的に描いたのもアイデアとして見事。
欲を言えば以前ここを観た時の『西遊記アンリミテッド』(07年)のようにヒーローものやアニメからの引用も欲しかったが、2~3あったからガマンしようか…。
あと、『西遊記…』同様衣裳のセンスもイイ。

アジミ祭

アジミ祭

味わい堂々

atelier SENTIO(東京都)

2009/08/28 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

しょーもねー(笑)
「アジミ公演」と銘打った番外公演の2回目、今回は内輪モメ的寸劇をプロローグにこゆび侍、バジリコ・F・バジオ、リボルブ方式、サンチャゴの作家が1編ずつ書き下ろすという趣向。
全体的には「しょーもねー(笑)」とか「なんてベタなの(爆)」なれど、いわば味わい流「ラフカット」なオモムキ、既知・初見含めて各編それぞれに特色があった上に、最後の一編がプロローグと対を成すような内幕系であることに加えて3編目に出てきた放火ネタまでとりこんであり(←偶然か?)感心。
ちなみに外注4編の中で個人的に一番気に入ったのが「ふたくちめ」の「マッチ売りの少女たち」だったのは、中では一番多く作品を観ている成島秀和によるものだったからか?
なお、ここのもう1つの特色でもある荒船恭廣による映像もいつもながら見事。ギリギリまでかかったというだけに、作品内容もシッカリ反映させているのがスゴい。

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