じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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将門

将門

劇団BOOGIE★WOOGIE

イマジンスタジオ(東京都)

2010/03/08 (月) ~ 2010/03/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

BOOGIE★WOOGIE 史の新たな1ページ
平安京へ上り藤原忠平に仕えた十代後半から朝廷への謀反のかどで討伐されるまでの平将門の生涯を描いた力作にして秀作かつ快作。BOOGIE★WOOGIE 史の新たな1ページを拓いたと言っても過言ではあるまい。
会場に入ってまず度肝を抜かれるのがステージの形状。本来の位置とその反対側にそれぞれ舞台があり、両者をつなぐ形で細長い舞台が会場中央を縦に貫いているという…。
言い方を変えれば対面式客席の間に狭い舞台があり、客席両側にそれとつながった一般的なサイズの舞台がある、的な?
合戦の場面で両陣営が睨みあいの後についにぶつかるなんてシーンを筆頭に、この形状を非常に有効に使っているワケさ。(と言うよりそのためにこの形状にしたのか?)
そのステージに30人近い出演者全員(映像のみの2(3?)人を除く)が登場し、男女2人のナレーターに先導されてのシュプレヒコール風というか多人数によってエコーのような効果を表現するというか、先日の『The Heavy User』とは似て非なる言葉のパフォーマンスに続いてお得意(?)のダンスでオープニングクレジットという幕開けにもうゾクゾク。
以降、前半(65分)は青年将門の青春記的でサワヤカ、後半(105分)は運命あるいは時勢に弄ばれる武人将門を描いて重厚、という構成も巧みで、休憩(10分)込み3時間の大作ながらその長さは感じず、体感的には2時間程度。
また、その内容(諸説ある動機・背景はともかく、起こったことは史実通り←観終えてから wikipedia で確認)からさすがにいつものように劇中の飲み物がホンモノの酒や青汁だったり(笑)はしないものの、『REVOLVER』(04年3月)のように全く笑いがないこともなく、緊張をほぐすのに程よいタイミングで笑える部分があったり常連客への目くばせがあったりするのも巧い。
また、全編を通じてナレーターの2人が、芝居の登場人物を見守ったり舞台上の出来事にリアクションをとったりするのも面白い。
さらに、秦修のギターを中心に和太鼓とvln.を擁した生バンドの演奏も◎。

~粋にイ・江戸・ロ「虎」でしょ成る~

~粋にイ・江戸・ロ「虎」でしょ成る~

イエロー・ドロップス

らくごカフェ(東京都)

2010/03/07 (日) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★

ヴァージョンアップな感じ
前年6月の『知新笑新』、11月の『い・江戸・ロ・サリヴァン・ショウII』に続いてここの「立体落語」を観るのは3回目。
今回は『い・江戸・ロ…』の発展型で、一般的なステージ形態だった前回と異なり、本来の高座(カフェなのに高座が常設)だけでなく、その反対側にもサブステージがあり、その間も演技スペースになるというスタイル。
「死神」も死神役がおぼんろの末原主宰に変わってまた別の味が出たのみならず、歌は歌うわ本物のローソクは使うわでヴァージョンアップな感じ。
ところで本作はOi-SCALEの林灰ニの脚色とのことだけれど、前回はどうだったっけ?

昆虫大戦争

昆虫大戦争

こゆび侍

RAFT(東京都)

2010/03/05 (金) ~ 2010/03/08 (月)公演終了

満足度★★★★

いつもとはかなり違った味わい
「世にも珍しい物語をこっそりお披露目」という「標本シリーズ」の第1弾、フンコロガシの世界を擬人化した物語。(約70分)
冒頭を除いて人間から隠れ住むための「シェルター」の中でストーリーが進行し、照明も暗めだし、あまりタッパのないこのスペースに床より高い舞台を作っているし、ということで圧迫感あり。
で、着ぐるみやそれっぽい衣裳ではなく普通の姿で演じられるフンコロガシたちはちゃんとそれらしく感じられるし、ストーリーにも起伏があってドラマチック。
さらに、ちゃんと食べられるものを仕込んである(!)フン玉(ベースはバランスボール?)やラストで光るウエディングボールなんて小道具も面白く、それまで別個に登場していたフンコロガシと人間(成島主宰だ)が同時に登場するラストで、照明を使って人間の手の大きさを表現したのもナイスアイデア。なるほどいつもとはかなり違った味わい。
あと、人間に捕らえられた妻が遺した乾いたフン玉から仏像を彫りだす夫、なんてアイデアには脱帽!

TSUCHI-GUMO―黄昏の血族、暁の王―

TSUCHI-GUMO―黄昏の血族、暁の王―

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2010/03/04 (木) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

時代劇版トレンディドラマ(笑)
能楽をベースに現代演劇に仕立てるスタイルが特色のここ、今回の題材はタイトル通り「土蜘蛛」。
病に伏す頼光のもとに土蜘蛛・胡蛾が現れ、糸で絡めとろうというアクションシーン(笑)からいきなり入る。ここでは仕舞も入り、能が色濃く漂うものの、そのすぐ後の傷を言霊で治すシーンではミュージカルタッチの歌が入り、オリジナルエピソードである頼光の息子・頼国と土蜘蛛の妹・胡蝶が互いに相手の素性を知らずに出逢う場面は時代劇版トレンディドラマ(笑)のようでもあり、このイイトコ取りのクロスオーバーぶりが楽しい。
以降、土蜘蛛とは国家に従わなかった一族の暗喩であるということを踏まえつつ、頼国と胡蝶のロミジュリ的なものも交えての「土蜘蛛秘話」、頼光と胡蛾がともに「復讐の連鎖」を断ち切ろうとする(このテーマも好き)ばかりでなく一連の流れをすべて自分の死によって清算しようとするカッコ良さを経て、ややコミカルな後日譚で締めくくる100分(この長さもイイ)を堪能。
あと、クライマックスで傷を治す言霊の歌がリプライズされ、しかもそこでは胡蛾と胡蝶の重唱になるところにもツボを突かれる。

PerformenⅤ~Purgatorio~

PerformenⅤ~Purgatorio~

電動夏子安置システム

ザ・ポケット(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

両編の差的なもの
F編はニヤニヤクスクス系、M編はドッカンドッカン系の笑いな感じ。それにしても台詞の緻密さには舌を巻く。

サイゴ

サイゴ

Oi-SCALE

座・高円寺1(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

「生きろ!」
「講釈師、見てきたような…」で反語的に、また正面からも語る「生きろ!」がイイ。
終盤の電話による会話にもホロリ。
「林文法」による時系列的なシャッフルも当日パンフに目を通しておけば多分大丈夫。

※ 4月21日からスタイルを変えて、ツイッている一口レビューをまずアップして、後日加筆することにしました

SLeeVe~スリーヴ

SLeeVe~スリーヴ

DMF

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

再演と言うよりはリニューアル
Dear My Friend時代の初演に思い入れがある身として「これ‘も’アリ」な感じ。 が、キャラクター設定が巧み。

※ 4月21日からスタイルを変えて、ツイッている一口レビューをまずアップして、後日加筆することにします

PerformenⅤ~Purgatorio~

PerformenⅤ~Purgatorio~

電動夏子安置システム

ザ・ポケット(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

初めてでももちろん、IVを観ていればより楽しい
哲学的寓話をタテ軸に据えたコント(?)集。IVと基本は同じながら進化・発展させたコントが愉快。

※ 4月21日からスタイルを変えて、ツイッている一口レビューをまずアップして、後日加筆することにします

帝銀事件の頃

帝銀事件の頃

不消者(けされず)

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

生きることに懸命だった時代の匂い漂う

第二次大戦終戦から3年後のパンパン宿を舞台にしたいわば「昭和の廓噺」、生きることに懸命だった人々を、時にユーモラス、時に切なく、時にはあたたかく描いて「時代の薫り」が濃厚に漂う感覚。
前回公演『冬の鼠』(08年5月)と同じ有本貴博の作によるもの(ともに初演は未見)で、骨太・硬派なタッチは変わらないものの、前作が記者たちによる「男のドラマ」だったのに対して本作はどちらかと言えば「女のドラマ」で、そんなところは対照的かも?
パンパンたちそれぞれの生き様を見せ、最終的には柔らかに着地するかと思わせておきながら突如悲劇に転じ、突き放すように終わるのは衝撃的で、そのハードさゆえにカーテンコールもなく、客席の大半はボー然、みたいな。
が、σ(^-^) にはいわゆる新劇系の団体が上演する翻訳もののラストと似たニオイがして懐かしい。
それにしてもスネークオルフェノク、ガオブルー、元・OPD なんてキャストとは…(ってソレがワカるσ(^-^) がヘン?(爆))
で、3年半ぶり(通算7回目?)に観たナマ武内由紀子、落ち着きというか円熟味というかが加わって、ベテランの風格まで付いてきたような…?
ま、アラフォーとして年齢相応なのかもしれないが…。

厠の兵隊

厠の兵隊

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/04/26 (月)公演終了

満足度★★★★

現代の民話
一言で表現すれば「見事な現代の民話」。母に対する少年の思慕が生み出した幻想あるいは妄想が切ない。


昭和中期(推定)、夫に先立たれた月子は息子の透を連れて夫の郷里にやって来るが、そこには「厠神」を敬う風習があり…な物語。
土着的・民間伝承的なものをベースにした、地に足がついているというか底力があるというか…な人間ドラマと、ギミックまで仕込んである手の込んだ装置がいつもながらステキ。
で、月子に言い寄る(ちょっと違うか)人物たちの相次ぐ失踪というミステリー、母に対する透の思慕によるものではありつつ、もちろん子供1人でできることではなく、6人の厠神が手を貸しているようでもあり、しかしどうなんだろう?なところが幻想的と言おうか民話的と言おうか、桟敷童子の真骨頂かも。
また、そんな透と厠神たちに “ダークな「ユタとふしぎな仲間たち」” を感じたりもして…(笑)
さらに終盤、舞台上のたいこ橋をはねあげて登場する戦車は圧巻。それまで時々出てきたおわい屋の車(車体に書いてあった「シワイ屋」(=吝嗇)は屋号か?)もよくできていたし…。
あと、ベートーヴェンの交響曲第7番が、恒例(?)の歌のみならず、劇伴としてもいくつかのアレンジで使われており、こんなにもマッチするとは意外。
いや、もちろん「のだめ」でお馴染みの第1楽章ではなく、ジャック・ルーシェが様々なヴァリエーションでアルバムを作ったこともある第2楽章ですがね…。
ちなみに客入れ・客出しのBGMは第5番の第1楽章。

ミツバチか、ワニ

ミツバチか、ワニ

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2010/03/04 (木) ~ 2010/03/08 (月)公演終了

満足度★★★★

微妙にズレて可笑しい会話
主人公が彼女との今後を占ってもらおうとしたら占い師が頼みもしないのに「ミツバチかワニ……アナタの前世」と告げるところから始まるユルさ満載のコメディ。
基本的には下手のテーブル(占いの館)と上手側のテーブル(主人公の部屋)を交互に使って演じられる(そういえば舞台の中央を使わないのが新鮮)ので非常にわかり易く、フクザツなことなど考えずにただひたすら微妙にズレて可笑しい会話に笑っていればイイという。
「芝居として演じていること」を一部の登場人物が知っていて、設定上はいないハズの観客に「その人は出てきませんから」と断ったり、劇中人物に「そこは壁があるんだからちゃんとこっちを通って」とツッコんだりするのも好み。

汝、知り初めし逢魔が刻に・・・

汝、知り初めし逢魔が刻に・・・

project☆&p2

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

休憩なし160分余もさほど長く感じず
平安期、相手が鬼とは知る由も無く愛し合った姫が息子を産み落として十数年、領主(?)を恨む里の者たちや権力の座を狙う者の様々な思惑や欲が絡んだ物語、かつてしゅうくりー夢が上演した(未見)ものを当時出演していた田中精の演出(出演も)で、という企画、バカな男たちのカッコ良さ満載なのがいかにも松田脚本な感じ?
また、シンプルな勧善懲悪の物語ではなく、前述の如く複数の要素が絡み合っているのでドラマに厚みがあり観応えたっぷりなのも松田チックか。
だもんで初演時は誰がどの役だったか推測しながら観る楽しみもアリ。
さらに今まであっちやそっちでよく観て面識もある方々が出演されており、その顔合わせ(直接の絡みがないケースもあったが)も楽しんだし、松元環季の背がコハナ時代よりかなり伸びているのを見て「そういえばそういう年頃だよねぇ」などと親戚の子供へ向けるような目線になったり…(笑)
そんなこんなで休憩なし160分余もさほど長く感じず。

もう一回の、乾杯。

もう一回の、乾杯。

空晴

劇場HOPE(東京都)

2010/03/02 (火) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

まぁるくてやわらかくてあったかい
「式」の当日、親戚たちが集まっている家のベランダにイトコたちが出入りしているが、そのうちの1人は他の皆からは見えていない様子で…なシーンから始まるホーム(厳密には「レラティブ」?)コメディ、今までの作品中で一番笑える部分が多い感じ。
もちろん終盤ではホロリとさせられて「まぁるくてやわらかくてあったかい」その作風はいつも通り。
妻から代理出席を頼まれたが「式」が慶事なのか弔事なのかわからず、さらに「ごろう」が周囲の人々に見えているのかいないのか悩む「とりい」(←登場人物6人の中で唯一血の繋がりがない)はそのまま観客の疑問を体現しており、設定の勝利で上手い。
そのあたりで存分に笑わせつつも、終盤で「とりい」に白いネクタイを貸す「いつき」とか、終盤で明かされる(冒頭のシーンで)「しょうご」が紙を凝視している意味とか、心が「ほわん」とあたたまるのがまたイイ。
そんな内容を盛り込みつつも80分という手頃なサイズにまとめているのも巧く、σ(^-^) にとって好きな女性劇作家(兼女優)って、「東ササミネ、西オカベ」かも。いや、イキオイで書いているので「あ、あの人もいた!」なんてこともありそうだが…。(←たとえばふっこさんとか)

猫丸先輩の演劇

猫丸先輩の演劇

O-MATSURI企画merrymaker

ザ・ポケット(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

脚色としても見事
倉知淳の原作(未読)を元にした短篇連作、オープニングエピソード(五十円玉二十枚の謎)に導かれての3編の短篇(空中散歩者の最期・猫の日の事件・寄生虫館の殺人)とそれらの合間に演じられる連続もの的なもう1編(日曜の夜は出たくない)という構成や探偵役の猫丸先輩を演じるのが各編でそれぞれ別人というツクリが独特で面白い。
さらにプロローグ以外の部分を劇中で(それも中野にある劇場で)上演されている芝居と明かした上で、「プロローグでの猫丸(=劇中でのリアル猫丸)」がそれまでの疑問点を指摘するエピローグ…というより最終エピソードが秀逸。メタフィクション的なものって好きなんだよなぁ。
実は原作ではそこんところど~なの?と思って後から立読みでナナメ読み(爆)したら、原作もそうなのね。ただ、原作では芝居ではなく小説という設定なのだけれども。
ちなみに「寄生虫館…」の謎解きで、点検中で使うことができないエレベーターを使ったトリックでは?と思いながらも実はそうではないのがひっかかっていたので「あ、やっぱり!」的なヨロコビもあり。
そんな部分に加えて、倉知淳の小説家デビューのキッカケとなった「五十円玉…」をオープニングエピソードに持ってきたり、「猫の日…」では猫を半ば擬人化しつつ役者に演じさせたりなど、脚色としても見事。

笑う女。笑われる男FINAL

笑う女。笑われる男FINAL

BIG FACE

シアターX(東京都)

2010/02/24 (水) ~ 2010/03/03 (水)公演終了

満足度★★★★

いわば「老舗の松花堂弁当」
両国らしき町の商店会のオジさんたちが東京国際マラソンに出場しようとする下町人情系コメディ。
内容的には決して意表を突くような展開はないものの老獪(爆)…もとい、円熟味のある作品で、いわば「老舗の松花堂弁当」。オーソドックスなネタを少しずつ取り合わせつつ、そのそれぞれに老舗ならではの味がある、な感じ。
全体の流れとか場面構成はもちろん、それぞれの家族(従業員も含む)の会話シーンにちりばめられた笑いなども実に巧み。
また、出演している女優が昨年完走しており、それをそのまま劇中に取り入れ(といっても劇中人物が、という設定だが)その完走祝いの宴会場面から始まって彼女に刺激を受けたロートル(失礼!)たちが「来年はオレも走るゾ」という導入部や、出演者が今年の大会で実際に走るなんてセミ・ドキュメンタリーな部分もあるのがユニークだし面白い。
しかも大会前日まで・当日・翌日以降で3バージョンあるということだし。
(当日と翌日以降は、当日に撮った大会の映像が加わり、前日までのものに「映像特典:もうひとつのエンディング」的な部分が附加された模様)
さらに、終盤で破乱もありつつ、親子ネタ(また弱点を突かれてしまった)を含めてすべてが丸く収まる結末もうまく出来ていて、ホントに巧い。

The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

今回もその手法に舌を巻く
勤務中に突然自殺した女性の母に、娘の同僚だったと名乗る女性から「自殺ではない」という電話が入るが、それには時々ノイズが混じっており…という状況から始まるサスペンスホラーで今回もその手法に舌を巻く。
フランス公演作品の事前お披露目ということもあってか、まずカタカナのカンペを読んでいるような(笑)英語の挨拶から始まり、それを直す「リピート・アフター・ミー」的な2人のやりとりに他のメンバーがコーラスのように加わってリズムを形成し、「言葉のSTOMP」みたいだな…と。
そうして始まる本編、電話に入るノイズを会話をする2人以外の全員が声で表現して、その音の感じに『呪怨』などのジャパニーズモダンホラーを連想。
それはそのまま前半の物語に漂う雰囲気にあてはまり、事情聴取をした刑事も…なんて、モロに『呪怨』(笑)(あ、いけね、あっちのネタバレか?)
が、ノイズの正体というか、自殺させたモノの正体が明らかにされる後半は、実体を持たない意識生命体が登場するSF小説のオモムキ。
それに「自ら命を絶つ行動をする生物は人間だけである」なんてことも絡ませて、あっちもこっちもσ(^-^) の好きな要素取り合わせ、みたいな。
あ、「怪奇大作戦」や「BLACK OUT」に似たニオイもあるか?
また、冒頭の「言葉のSTOMP」以外にも「ソロとコーラス」的な手法が時折挿入され、それはある時は芸能山城組のパフォーマンスあるいはそのバックグラウンドであるバリ島のケチャを想起させ、ある時は「言葉(台詞)による交響楽(※)」のようで、これも面白い…ってか好きなんだな。
※ 提示したテーマ(台詞あるいは言葉)をソロやトゥッティ、カノンなどで奏し、他のテーマなどが出てきた後に再現したり、変奏したりなんてのが似ている
そんなワケで、アフタートークの質問でσ(^-^) のいきなりのシンプル・クエスチョン4連発は以下でカッコ内は回答。
1.清水崇作品などジャパニーズホラーはお好き?(NO:但し知っている)
2.芸能山城組は御存知?(NO)
3.ではバリ島のケチャは?(研究した)
4.交響曲はお好き?(交響曲というかオーケストラが好き)
質問と言えば「これまでの内容も踏まえてタイトルの由来を」という締めに相応しい質問も良く、それに対しての「女性からワタシのドコが好き?と訊かれるのと同様一番難しい」という回答も言い得て妙。
そのアフタートークでの話によれば、前回の海外公演作品『恋人としては無理』では「身体の模倣」を、今回は「言葉の模倣」「耳からの伝播」をテーマにしたとのこと。

機械城奇譚【当日券あり!1時間40分です】

機械城奇譚【当日券あり!1時間40分です】

少年社中

劇場MOMO(東京都)

2010/02/26 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★

「オトナのための童話」なオモムキ
壊れて役に立たない機械が大半の店に、深夜、店主と知り合いらしき女性が呼び出され、店主の言うことには深夜0時を過ぎると機械たちが人間のカタチになり動き出す…という導入部からの物語。
もともとファンタジー要素が強い上に今回は「アナザーワークス」と銘打っており、通常の冒険系ではなくメルヒェンっぽい味わいも加えた感じ。
午前0時を過ぎると…という設定に「おもちゃのチャチャチャ」を連想したこともあって「オトナのための童話」なオモムキ?
が、女性の正体が明かされる中盤からは一転。序盤に出てきた「今夜、死ぬ」という店主のメモがクローズアップされ、そういえば呼んだ理由も店の品たちのその後の依頼であったし…なんて思っていたら、一旦明かされた女性の正体が覆されてさらに新たなフェーズに入るという。
ここで記憶障害の人物のために芝居を繰り返すことに劇団離風霊船の『どいつもこいつも!』を連想しつつ、毎夜繰り返してきたループから新入りによって抜け出すハナシか、とようやく全貌を理解。
がしかしビターな結末を迎え、時計が時間を戻してくれないので自ら0時前を再現するラジオが切ない。
ではありながら、最終的には優しく…いや、必ずしもそうとは言い切れないか、「希望を残す」の方が的確か、な終わり方なので安心。

上海バンスキング

上海バンスキング

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

若手バージョン的なものでも上演して欲しい
よくもこれだけのメンバーが集結したモンだ。まさに奇蹟?
それだけに一部若い頃のシーンで登場した時に笑いが起こったり、設定年齢に見えなかったり、そうでなくてもロビーコールで間近に見たら「老けたなぁ」な方もいたりするワケで…(笑)
考えてみるとファイナル公演当時、大半のメンバーは現在のσ(^-^) より若かったハズで(自分も含めて)時の流れというものをヒシヒシと感じる。
そんな作品だけにステージ上・客席ともに同窓会みたいな?(笑)
あるいは往年の人気バンドの再結成コンサート的な?(演奏シーンもあるので、それじゃほぼまんまか…)
で、一部新たな部分や改変された部分アリ。
新たな部分は「あの日の**」という役名で7人ほど装置の2階部分(これも新設)や舞台の端で進行を見守っている役者がいること。これが衣裳やメイクによっていかにも登場人物の若い頃に見せていて○。
一説によるとメインの役者に「万が一のこと」があった時の保険でもあるそうなんだそうだけれど、さもありなん。(その日の配役は上演1時間前に決定するそうだし)
改変は以前あった舞台横の「クラブの客席」がなくなったこと。
これはクラブの場面での臨場感的なものが欠けるし、リクエストを出すシーンがわかりにくいし、「海ゆかば」で兵士がかけつけるのも客席通路を走ってくるので不自然(『HAIR』で警官がかけつける場面を連想)だし、なんだかなぁ…。
とはいえ、声高ではないながらもジワリと反戦を訴える内容、終盤の幻想シーンの切なさ、演奏そのものの楽しさなどやっぱりイイものはイイ。
が、ムリにオリジナルメンバーにこだわるのではなく、若手バージョン的なものでも上演して欲しい気がする。

二人の高利貸しの21世紀

二人の高利貸しの21世紀

イキウメ

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2010/02/16 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

こんなにも違うのか、的な
1,000万円という巨額の回収(しかも現金)を終えた2人の高利貸し(というより取り立て屋的な感じ)の中篇(50分程度)会話劇、チェルフィッチュ(未見)の岡田利規が前世紀末(←こう書くと大袈裟だな)に書いた戯曲を前川知大が脚色し、演出は各チーム(A~Dの4つ)の出演者自身が行なうという企画で、女性のみ(B:岩本幸子、伊勢佳世)と男性のみ(C:森下創、窪田道聡)ということだけでなくガラリと違った味わい。
同じ台本を使いながらも人物のキャラが違っているのはもちろん、小道具の札束まで違っている(広告などを使ったものと色画用紙(?)を使ったもの)し、オリジナルは男性2人なのだろうが、部分的に女性の方が合っていたりもするし、もうこんなにも違うのか、的な。
やはり「テキストに直球勝負」というA(浜田信也、盛隆二)、男女ペアのD(緒方健児、加茂杏子)も観るべきだったか。(通し券6,000円なんてのがあったら観たな、きっと)
また、前説も他チームのメンバーが行う趣向で、Bは緒方健児がBチームから客に宛てた手紙を読み、Cは盛隆二が自ら描いたCの二人の似顔絵(けっこう上手い)を披露するという…これも楽しい。
そんな内容といい、「ひみつ(←平仮名なのがミソ)集会」的な小規模の会場(笑)といい、何となく「ファンクラブイベント」のようなオモムキもアリ。
なお、会場は11年前に劇団SEINの『MIDNIGHT RADIO STATION』(あぁ懐かしや!)を観に来た後に改装(新装?)されてギャラリーっぽく(実際ギャラリーもある)なっており…。

好きよキャプテン

好きよキャプテン

Theatre劇団子

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/02/24 (水) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

テッパンなネタな上に好みのストーリー
高校時代のボート部の面々が同窓会で30年ぶりに顔を合わせて回想する高校時代…という定番中の定番、テッパンなネタな上に好みのストーリーなので135分の上演時間もアッという間。
それに加えて中心となる'80年にはシッカリ物心がついていたので、「アレは80年の出来事(やヒット曲)だったか」などと回顧に耽る。
(本編で曲が流れたりはしないが、ザ・リリーズも30年くらい前のアイドルだということに今更ながら気付いたりも…)
また、練習台を4台並べての最後の練習の見せ方(劇中でも練習台を使っている設定)に『ペダルをめっちゃ漕ぐ』のレースシーンの演出の原点も見る。
さらにその背後の壁に水面の映像を投影する演出に敷村良子原作(もちろん読みましたとも!)、磯村一路監督の『がんばっていきまっしょい』(98年)のクライマックスシーンが重なって「久々にアレもまた観てみようかな」(DVD所持)とも思う。
で、劇団SEIN時代から贔屓の田澤佳代子が08年4月の『トレジャーのある街 '08』に引き続き外国人キャラなことにニヤリ…。
あと、冒頭で母から同窓会に代理出席を頼まれている女性が終盤で登場してメッセージを代読するのも上手い。
…ってなワケで満足度高し。

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