満足度★★★
芝居ではなく前衛アートを観た
古典に疎い身としてジャン・ジュネの『女中たち』は当然の如く未見なので、一応ネットで探したあらすじを読み、当日パンフにそれよりももう少し詳しいあらすじが載っていて(これは有難い)それも読んで臨んだものの、あまり参考にはならず。
というのも、オリジナルアレンジを知らないままリミックスヴァージョンを聴いた…というより原曲を知らないままにフリージャズ化されたものを「聴いてしまった」な感じだったから。(そんなことから、岡崎藝術座の『オセロー』(07年10月)を観た時のことなども思い出す)
日本の伝統芸能的(最初にそういう印象を受けた)あるいは白石加代子っぽい(笑)台詞回し(ついでそう気付いた)で重々しく始まったかと思えば柿喰う客などのような早口に転じて、また重々しい調子に戻ったりという序盤から「今進行しているのはストーリーのどのあたりか?」と考えることはあまり意味がないと悟り、「考えるのではなく感じる」見方にしたのは正解?
緩急自在な台詞回しに、ここでその曲ですか?なこともあるサックス(テナー&ソプラノ持ち替え)の生演奏も絡んで、時々台詞は聞きとれないし、終盤では戦時中の日本軍の(かな?)文書まで登場するし、いわば「芝居ではなく前衛アートを観た」というところか。
これはこれで面白かったが、間違っても芝居を初めて観る人には勧められず。(笑)
ところで原典を知った上で観たらどうだったんだろう?
そしてまた、いつか原典を観る日は訪れるんだろうか?(DCPあたりが取り上げてもフシギはない気もするが…)