満足度★★★★
「家族のカタチ」を多面的に提示
若干類型的な部分もありつつ、複数の家族を同時併行的に描き、悲劇や軟着陸など様々な「家族のカタチ」を多面的に提示して観応えアリ。
また、序盤において直前の場の登場人物のうちの1人が次の場にも出てくる「しりとり」のような展開にすることで、各人物の相関関係を示すのはクレバー。その部分を観ているだけでアタマの中に「人物相関図」が描かれ、その後も脳内の相関図は補完されて行くシカケ。
さらにクライマックスで和郎の金沢時代の「真実」を3つの時空をクロスさせた証言によって浮き彫りにするのも極めて演劇的で好み。
ただ、音楽で泣かせようとするのはズルい?(笑)…ってか、序盤から「音楽の使い方がちょっと映画っぽいな」という気はしており、「観たい!」コメントに「園子温監督の『紀子食卓』的なものを勝手に漠然とイメージ」と書いたのはある意味アタリ、みたいな…(笑)
ところで、「美緒が美和にもっとキチンと説明しておけば…」なんて言うのはヤボ?(笑)(ま、ここんトコは軟着陸するからイイのだけれど)
満足度★★
惹きつける工夫がない
アロッタファジャイナさんは初見でした。良い評判を耳にしていたので、劇場に当日足を運んでみた。
舞台に入ると客席は対面式になっていて、簡易だがオシャレな舞台が作られていた。
何が起こるのか、たくさん想像しわくわくしてしまった。が開幕から、終幕までもう一度想像力をかきたてられることはなかった。
場面転換が多いと私も思うが、それは転換の仕方の工夫で何とかなるはずだろう。
転換が気になってしまうのは、やはり登場人物の多さに問題がある。
何か問題を抱えた家族や兄弟を紹介してるだけにしか思えない。さらには物語全体での人物の役割も、シーンの意味も薄く、意味ないじゃんと思わせるところもある。
これらは多くの問題を見せたいという、脚本を成り立たせるためのご都合主義を浮き彫りにする。
そしてそのことを毎度場面転換ごとに思ってしまう。
全く熱が感じられない。
TVニュースのように無機質なものをやろうとしているなら話は別(それならそそれなりの表現があるはず、しかしどうも今回は違うと思う。)
ニュースじゃ伝わらない深い部分や闇を表現するために舞台にしているんじゃないのか。
ニュースより人物の境遇を詳しく説明してくれているのに、生々しくない。むしろ見えないところの多いニュースのほうが怖い。
それはこの舞台が、まったく想像力を必要としないところにあると私は思う。
見たり聞いたりした社会問題を、そのまま全部紹介されても、演劇としては全くこちらに伝わってこない。
もっと想像して、イメージを飛躍させ、大げさでもいいから自分の考えや意見を観客に伝えようとするくらいの姿勢がなと、演劇ならではの熱は発生しないと私は考える。
なんか思い切りのよくない、保守的な芝居に感じてしまった。
やはり的をもっと絞るべきだった。
誰も溺れもがいているようには思えないし、いろんな家族が作用しない、物語の構成上関係が並行である。やはり想像力をかきたてない。
演劇なら観客の目線を離させない工夫をしないと、観てる人は一人ぼっちになってしまう。
そーなると目の前の人間は無力と化す。
舞台装置は無限の可能性を秘めていてよかったと思う。
病を描くのは難しい
病を扱おうとするなら、きっちりとした取材が求められると思う。
鬱でも引きこもりでも、ごく身近な問題であるから、観客の中には、自身や親しい人間がそうした問題に苦しんでいる(いた)人がいてもおかしくない。
そうした人を相手にして耐えうる内容だったかといえば、もろかったと思う。
「時間が無い中で何を書くか」を模索するのはコントや喜劇の場合であって、こうした物語を作ろうとするなら、「書きたい内容のためにどのくらい時間や手間をかけなければならないか」をまず考えるのが、作り手の姿勢に思うけれど、厳しい見方だろうか。
満足度★★
見せ転と私
舞台の転換がとても多かったです。
いくら薄明かりで音でつないでいるとはいえ、逆に役者が「転換する人」になった瞬間に客の意識は切れてしまうものじゃないかなと思います。
見えるか見えないかわからないかくらいのところで芝居しつつ転換してくれたらとってもかっこいいのに。
基本的に舞台って、そんなにひょいひょい場面をかえるものではないと思うのですよ。できるだけその「場」をひっぱって盛り上がって、そしてまたふっと途切れて次の「場」に観客が行く。
今回はさまざまな家族の形とその問題を描写するということで、その家族たちに合わせた舞台転換が必要だったのかもしれませんが、それを映像ではなく舞台でやる強みというかなんというか。
映像であれば、切り替えがききますから、複数の物語が絡み合って同時進行していく様というのはわかりやすく表現できる気がします。が、その表現をそのまま舞台でやってもそれはきちんと舞台にはまる表現なのか。
私は舞台の中で一番かっこいいのは転換の一切ない密室劇だと思っている人です。
それゆえに、複数の場面を必要とする芝居をどう演出しているのかは気になるところであるのです。
クライマックスに愛を感じました。
満足度★★★★
溺れたのか?浸かっただけなのか??
母と自分(娘)を棄てた父とその家族への復讐劇なのか?
一家族を崩壊させるべく、
その家族一人一人に関る人達の家族模様も描いていく問題作。
内容は重く楽哀しく悲惨かもしれない。
舞台と衣装はGood!
床の上にペンキ(の様なモノ)をぶちまけて飛び散った様子が
此れから始まる家族の物語を彷彿させる。
登場人物の衣装にも同じペインティングを施したのもマッチしている。
衣装の色分けも、各家族の表立って見える様が想像出来て此処も大変に面白い。
野口雅弘さん、長坂しほりさんの起用はとても良かった。
今迄のアロッタの舞台には無い間が感じられた。
各役者さんややシーン、疑問や不満を含めた
その他諸々は「ネタバレ」に気儘に長々と書かせて頂きます。
満足度★★★★
心に残る作品でした。
この舞台では,松枝さんの人生の一部をいくつか切り取って,創作に反映させているように思います。多分,多少,命を削って作ったのではないでしょうか。特に銀行員の息子や父親の演技から,そういう圧迫感を感じました。どんな家族でも,お互いに隠し事があるのは当たり前ですし,また,それを知らないふりして許し合うのが,家族の暖かみでもあるのではないでしょうか。あの家族はずっとそれに気がついていたと思います。ところで,照明が良かったですね。ダン・フレイヴィンの作品を思わせる蛍光灯や,床の蓄光シートなど。いずれにしても松枝さんと出演者のやさしさを感じた2時間15分でした。背中はちょっと痛くなったけど。
満足度★★★★
こんなに評価が分かれるんだ~
こんなに評価が分かれるんだ~。ちょっと驚き。
ここでのアドバイスとおり、入って右側の席をキープしてみる。
とくに前半の台詞をささやく様に小さな声でしゃべるってのは、ちょっとね、少なくとも聞こえないとね。
濃淡がついてるようで、あとから感じるとそうでもなかったりして。
主軸の母、娘、父はしっかりしてたよね。でもな設定というか、エピソードにグっとくるものが少なかったかな。それは、誇張してないリアルのままだからなのかな。
「今日も、ふつう」と「ルドンの黙示」と「水」(写真集ね)のDVDを購入。
はよ偽伝ジャンヌのDVDもも出して欲しいな
満足度★★★
初見です!
登場人物家族の名前、関係などプログラムで確認しながら観劇。展開は一つ一つ見ると案外ベタですよね(無くてもいいような話もあるけど)
「痛い」話になっていればとのことですが別の意味で体が痛い。
満足度★★★★★
観てきた!
内容が非常に重い!そして濃い!そして長い(2時間15分)!あまりにも生々しくて正直観ててしんどかった。観たくもない現実を無理やり見せられてる感じで決していい気持ちはしなかった。
でもスゴイ、最後まで引き込まれてしまったし、話しがテンポ良く流れていくので上演時間の長さをまったく感じなかった。基本的に映画や舞台は観に来てくれたお客さんに、ほんのひと時現実を忘れてもらうもの、観終ったあといい気分で帰ってもらうものと思っているので、こういうタイプの作品は個人的には嫌い。でも作品としては本当に素晴らしかったと思う。
満足度★★★
初アロッタ
初めて、アロッタファジャイナさんの舞台を観せて頂きました。
難しいテーマだと思います。
色々な問題を抱える家族が出てきて、考えさせる内容でした。
場面転換も、それはそれで面白いとは思いますが。
ちょっと、慣れないと、場面転換の回数が多いような気がします。
2時間ちょっとという時間なので、
家族はもうちょっと少なくして、一つ一つ丁寧に描いた方がいいと思います。
確かに全ての家族に対して繋がりがあって、関係があるのですが。
場面転換でぶつぶつ途切れるので、
最低限の家族だけでも良かったのではないかと思います。
あの劇場で2時間は個人的に辛いので(腰が痛くなって;)、
もうちょっとスッキリさせて、短い方が良かったかもしれません。
満足度★★
がっかりです。
観客に見せれるものでは無いと思ってしまいました。
この劇場で、この芝居時間は辛すぎます。
問題をなげかけたいのはわかったのですが。
あまりにも描きかたが稚拙というか、浅いのは演出のせいなのか、俳優のせいか。
群を抜いていた太田守信さんのお芝居と、舞台照明や音響などのスタッフさんのがんばりに☆ふたつで。
刹那のシーンが醸成する全体像
前半のランダムにも思えるシーンたちが
お互いの色を深めあいながら
これだけ大きな社会感や家族感へ導かれることに
瞠目しました。
重なり合う刹那から様々な現代のアスペクトが
しなやかに浮かび上がってくる・・・。
深く淡々としたラストシーンには
切なくともしっかりとした広がりが生まれていたと思います。
満足度★★★★
家族の崩壊と誕生の物語
一言でまとめるなら、投稿タイトルの通り。
何らかの事情により、どこか精神的に追い詰められている複数の家族の物語を、断片的に描写し、それぞれの家族の相関関係を劇の進行とともに明らかにする手法がとられえる。
ある家族は崩壊へとむかう一方、新しく家族となるものたちの誕生も描かれており、題材自体は古いものの、よく2時間強で、あれだけの家族を描き分けたものだと感心した。
登場人物は、だれが主役ということなく、並列で描かれているため、当然、人物の描写に濃淡が発生しているため、見るほうにとっては誰に感情移入していいのかわからず、混乱を来たす懸念はある。
また、登場人物の年齢は10代から50代まで幅広いことから、誰に感情移入するかによっては、芝居の評価は異なるのではないか。
満足度★★
ある意味、難しいですね
正確には☆2.5です。
平均点の割に、評価は正反対に分かれてますね~。
やっぱり松枝さんの映画風な手法(転換=カットイン・アウトの多さ)
や特徴ある台詞まわし(平板だったり)にも原因があるのでしょうか?
・
「今日もふつう」よりはファンタジー色が少なく現実味があり解りやすい
あんまり演劇を見ない方は転換多さに戸惑うでしょうけど、順番は
あまり変化ないのでよく見てれば大丈夫だと思います。
だた、家族・ペアが多すぎて「永遠の家族」だけは丁寧に描かれてても
後は雑(人によっては浅いと書かれていた部分)なので
もう少し人物を減らして丁寧に演出して欲しかったですね
・
強引に秋葉原事件を入れたりしたのは、残念です。(今回は笑も不要)
でも、色んなおかげて「大人二人」の俳優さんは引き立ちました。
人によっては、色んな意見が出るのも見方が様々出来る作品って事かな
個人的には妹が、あの後どう感じたのかも描いて欲しかったです。
・
アリスの椅子で2時間超えはお尻がキツイですから、覚悟してみましょう。