溺れる家族 公演情報 アロッタファジャイナ「溺れる家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 病を描くのは難しい
    病を扱おうとするなら、きっちりとした取材が求められると思う。
    鬱でも引きこもりでも、ごく身近な問題であるから、観客の中には、自身や親しい人間がそうした問題に苦しんでいる(いた)人がいてもおかしくない。
    そうした人を相手にして耐えうる内容だったかといえば、もろかったと思う。

    「時間が無い中で何を書くか」を模索するのはコントや喜劇の場合であって、こうした物語を作ろうとするなら、「書きたい内容のためにどのくらい時間や手間をかけなければならないか」をまず考えるのが、作り手の姿勢に思うけれど、厳しい見方だろうか。

    ネタバレBOX


    登場人物が多すぎ、そこでまずつまずいている気がした。

    父は銀行員になりたいという息子を指して「子供らしくない」というけれど、かくいう自分が銀行員なのだから、べつに不自然ではない。八百屋の親父と公務員志望の息子、とかいうなら分かるけど。

    秋葉原の事件で両親を殺されたという嘘にだまされ、しばらく家に泊めようとする(ここで「預かる」という言葉を使う。これも問題)友人が、次の場面では、家族の昔のアルバムなどを見せている。別の場面で引きこもりの人間に入れあげている(説得力不足)人間がするには、無神経すぎる。

    設定の上では家族や友人となっていても、台詞が設定を反映できていない。話を進めるために、人間が駒と化している。

    あと終盤に近づくにつれ、自己陶酔的な台詞が目立ったのがよく分からなかった。

    たかだか2、3時間の芝居で、病やストレスが解消するなら、それはスポンサーのうるさい映画やテレビでやればいいのであって、生身の人間が呼吸する舞台でやられては、癒しも救いもないように思う。

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    2009/08/01 14:43

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