満足度★★
惹きつける工夫がない
アロッタファジャイナさんは初見でした。良い評判を耳にしていたので、劇場に当日足を運んでみた。
舞台に入ると客席は対面式になっていて、簡易だがオシャレな舞台が作られていた。
何が起こるのか、たくさん想像しわくわくしてしまった。が開幕から、終幕までもう一度想像力をかきたてられることはなかった。
場面転換が多いと私も思うが、それは転換の仕方の工夫で何とかなるはずだろう。
転換が気になってしまうのは、やはり登場人物の多さに問題がある。
何か問題を抱えた家族や兄弟を紹介してるだけにしか思えない。さらには物語全体での人物の役割も、シーンの意味も薄く、意味ないじゃんと思わせるところもある。
これらは多くの問題を見せたいという、脚本を成り立たせるためのご都合主義を浮き彫りにする。
そしてそのことを毎度場面転換ごとに思ってしまう。
全く熱が感じられない。
TVニュースのように無機質なものをやろうとしているなら話は別(それならそそれなりの表現があるはず、しかしどうも今回は違うと思う。)
ニュースじゃ伝わらない深い部分や闇を表現するために舞台にしているんじゃないのか。
ニュースより人物の境遇を詳しく説明してくれているのに、生々しくない。むしろ見えないところの多いニュースのほうが怖い。
それはこの舞台が、まったく想像力を必要としないところにあると私は思う。
見たり聞いたりした社会問題を、そのまま全部紹介されても、演劇としては全くこちらに伝わってこない。
もっと想像して、イメージを飛躍させ、大げさでもいいから自分の考えや意見を観客に伝えようとするくらいの姿勢がなと、演劇ならではの熱は発生しないと私は考える。
なんか思い切りのよくない、保守的な芝居に感じてしまった。
やはり的をもっと絞るべきだった。
誰も溺れもがいているようには思えないし、いろんな家族が作用しない、物語の構成上関係が並行である。やはり想像力をかきたてない。
演劇なら観客の目線を離させない工夫をしないと、観てる人は一人ぼっちになってしまう。
そーなると目の前の人間は無力と化す。
舞台装置は無限の可能性を秘めていてよかったと思う。