聖火の献立〜青果編
タッタタ探検組合
テアトルBONBON(東京都)
2011/07/06 (水) ~ 2011/07/10 (日)公演終了
おバカ・・・がいい
とにかくおバカに徹した劇。
この中で、突然「教訓めいた」ものが入り込んだら白けるだろうなと思って観ていました。
そこはプロ集団のヨミでしょう。「クサイ」ものは皆無、しっかりおバカを最後まで貫いていました。
個性豊かな役者さんも少なからず。それぞれに華があって、じゅうぶんに楽しませていただきました。
遠くから見てるだけ
パセリス
サンモールスタジオ(東京都)
2011/06/23 (木) ~ 2011/06/27 (月)公演終了
満足度★★★
新鮮ですよ
演技自体は、まだまだこれからかなと思えましたが、これからの劇団だと考えれば、それも「成長の芽」として評価できます。
70分、ほとんど途切れることのない会話の連続、歯切れ良い台詞がストーリーを急展開させ、退屈はしませんでした。
また舞台の狭さを、ボックスの配置と、俳優の位置とでカバーしている点では、なかなか工夫しているなと感心しました。
もちろん客の嗜好により評価が分かれることは当然ですが、私は「これもありだろうな」と思って観ていました。
残念なことは、私が歳を食っているせいなのでしょうが、劇が軽いこと。(「軽く笑って観てください」という劇なら、それが信条の劇団なら失礼)
それは内容、そして「俳優の年齢構成」にあります。
前者は、見終わって、あまり心に残らなかった(別に人生の教訓を求めているわけではありません)こと。後者は、1人でも年長者がいるといるだけで面白くなるのだろうなということです。
まだ結成して2.3年の劇団。これからの変化、成長を期待しています。
『flying stage!』
風凛華斬
シアター風姿花伝(東京都)
2011/06/17 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
誠実さに惹かれた
これまでに見てきた、かなりの割合の劇団が使ってきたギャグや言葉遊びや、下ネタを一切排除して、
あくまで「夢」「友情」をまっすぐに表現しきったという点で拍手を送りたいと思う。
内容は、道徳の副読本のようで、現実の「階級差」について甘かったり、登場人物の設定がステレオタイプ
で、それはそれでまだまだ検討してほしいとは思うのだが、それを差し引いても、安心して観ていることが
できた作品だと言えた。
若い劇団員さんの集まりで、いつも感じてしまう「バランス」については、これからの課題。年長の、そして
深みのある役者が一人でも二人でもいれば、さらに味わいのある劇になっていたかもしれない。
原田知世似のミラ役も、真摯に熱演をし、最後の挨拶では、かみっぱなしであったほど、役に集中していた
のかもしれない。(かわいい役者には甘いか・・・)
飛行機の劇で、飛行機の模型も絵も使わない小劇団ゆえの大変さ(あえてそうしたのかもしれないが)もあるに
違いない。
公演を重ねて、さらに深く、そして心に残る劇を繰り広げることを期待。
音無村のソラに鐘が鳴る
演劇企画ハッピー圏外
TACCS1179(東京都)
2011/06/10 (金) ~ 2011/06/13 (月)公演終了
満足度★★★★
個性豊かな役者ぞろいですね
ひとつの「型」(個性・雰囲気とでも言い換えられる)を持った劇団の強み。
しかも、個々の役者さんが個性的であるとしたら、個と全体とがうまく調和して、観客はどんな劇も安心して
その世界に浸ることができるものです。
今回の劇は、そんな劇団の典型。
寝てしまうことなしに楽しむことができました。
内容は、かなりハチャメチャ、破天荒、ドタバタ、「ありえな~い」、荒唐無稽なものです。
開幕してしばらくは、「ああ、学校のお楽しみ会的なものなのか・・・」と思ったくらいですから。
自分たちだけが楽しんで演じている・・・当初の印象は、劇が進むにつれて変わってきました。
バカバカしいと思いながらも、私自身、思わず笑ってしまうのです。
ネタバレしない程度に書かないといけませんが、宇宙船の開発に携わる面々の自信に満ちた「頼りなさ」、奇妙な食堂、やくざもどきのヘッドハンター、茨城なまりの公安(親類が茨城にいますが、ちょっと違うような)、はまり役のスーパーヒーロー、走る・跳ぶ・・・汗だくの場面・・・・
冷静に考えれば、なんともアホらしいのですが、私も途中から、クスクス、フフフ、ケラケラ、ゲラゲラと笑ってしまいました。
きっと役者さん自身も「ノリにノッて」演じていたに違いありません。
劇団も、脚本家も、観客も、ともに楽しんだ。そんな印象でした。
前記の通り、個性豊かな役者が揃っています。(客演の方もいたのかな)
まだまだ伸びていく要素を、たくさん持った劇団だと思えました。
お願いだから殴らないで
MacGuffins
pit北/区域(東京都)
2011/05/19 (木) ~ 2011/05/22 (日)公演終了
満足度★★
役者をつぶしているのでは?
とりわけ男性に個性的な役者さんの集まっている劇団だと思いました。
最初の10分間は、「何がどう展開するのだろう」と、本当にわくわくしました。
ただ、それからがかなり興ざめ。
「金田一さん」が登場したあたりからは、ほとんど「宴会芸」(失礼ながら)と同じような「怒鳴り」と「走り回る」芸が
やたらと劇の展開を阻みました。
素人なりに評すると、
①役者の粒が揃っているのだから、あえて「ドタバタ」を入れる必要はない。
②しっかりとした台本であったなら、かなり素敵な劇になるたろうに。
③失望感は、劇場の狭さにもかなり影響していると思えた。
の3点です。
①はすでに述べた通り。②については、なにを狙ったのか不明な台本です。「ほのぼの」はドタバタで打ち消されていましたし、リストラが入っているといっても、現実味が感じられず。最後は「よかったね」くらいでいいのだろうかと疑問を抱きましたし。劇を観たあとで、どのような印象だったのかを自分に語るか、かなり困ってしまいました。
③は、小さな劇団共通の悩みでしょうね。
この劇団は、「古典」からスタートしてみてはいかがでしょうか。
そんなに「受け」を追求しないでも、じゅうぶんに楽しめる力があると思うのです。
PerformenVI~Paradiso~
電動夏子安置システム
吉祥寺シアター(東京都)
2011/05/07 (土) ~ 2011/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
意欲ある実験・・・かな
大きな展開の中に、オムニバスコントをまぶして、客を飽きさせない、長い上演時間(2時間ちょっと)を感じさせない工夫が
随所にありました。この「挿入」が意味あるものだったのかは、私にはよくわかりません。コントというよりも、「お笑い言葉
ゲーム」といった感じで、それなりに面白いのですが、「人間の運命とは」を追求する劇の中で、意義があったのかは、やや疑
問でした。(しかし、みなさんとともに私も笑っていましたが)
大人数の出演で、テンポの速さや動きの機敏さなど、よく練習していたと思わせるものでした。
「人間の運命」という大命題については、この劇を見終わったあとも、私には分からずじまいでした。これは当然のことですが、その手がかりをつかむきっかけを、先に述べた挿入コントが阻止してしまったのかもしれません。そのたびに思考が停止してしまうのですから。
大胆な実験としては、なかなか面白い劇でした。
ロング・グッドバイ
羽生一家玉組
ザ・ポケット(東京都)
2011/04/13 (水) ~ 2011/04/17 (日)公演終了
満足度★★★
ありがとうございました
歯切れのいい劇でした。たくさんの台詞(情報)を二時間の中に盛り込んでいるからでしょうか(かなり設定を複雑にしているので)、役者さんが(とくに女優さん)早口で、聞きづらいときもしばしばありました。一気に展開し、そして最後の20分を、ゆっくりとした謎解きに使って、古典的な推理小説のようだなと思いましたが、私はその流れを楽しむことができました。
素人なりの細かな注文はあるのですが、テンポがよく、「しんどいなあ、休憩をとってほしいものだ」「あ~あ、あと何分で終わるのだろう」などと考えることもなく、最後まで飽きることはありませんでした。
ひとつだけ注文。笑いをとることについて。ここに書いたように、みなさん早口のため、せっかくの「笑いをとる」箇所も、素通しせざるを得なく、自分にすとんと落ちる時間的な余裕がないことに、ちょっと苛立ってしまいました。
「間」とか「溜め」とかを、客を主体に考えてもらえれば、もっとめりはりの利いた劇となると思うのですが・・・
パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】
隕石少年トースター
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
満足度★★★★
観客動員 次回に期待!!!
ああ、客が20人弱! 関西を拠点とする劇団とのことで、「義理」「伝手」でもたくさん来て欲しかったと、心から残念に思えたほど、楽しく、そして安心して見ることのできた劇でした。
「完全版というのは?」と、劇団員さん(?)に聞くと、「つまり完成度で完全という意味です」といった趣旨の答えをいただきました。それ言葉が示すように、登場人物1人1人を、「脇役」にすることなく、それぞれがそれぞれに関係しあい、絡み合うようにできています。
窓を使った場面転換にも、オオっと感激してしまいました。
ですから、1時間50分という上演時間が、少しも長く感じさせない刺激的な展開が次々と迫ってきました。(時々目をつむって寝てしまう癖のある私なのですが、今回は皆無!)
次回の東京公演では、私も客を動員しますので・・・
さらなる進化を楽しみにしています。
糞尿譚
劇団俳小
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/01/22 (土) ~ 2011/01/29 (土)公演終了
満足度★★★★
骨太です
父と一緒に観て、語り明かしかった。
一緒に行ったT先生と同じ感想を持ちました。
勧善懲悪でもなく、ハッピーエンドでもなく、1人の正義の味方のヒーローが登場するでもなく、徹底的に人の裏表をさらけ出す。
学生時代に感動した「どん底」を思い出させてくれました。
2時間半と、休憩をはさむ長い劇なのですが、そのパワフルな演技に眠気も生じることなく見続けてしまいました。
ずっとこの劇団は、注目してきた劇団です。一番気に入っているのは、その「真摯さ」。
きっと興行的には厳しいのでしょうが、いつまでもがんばり続けてほしい劇団でもあります。
THE DIAMOND DUST #2
劇団ダイヤモンド
ART THEATER かもめ座(東京都)
2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了
満足度★★★
ありがとうございました
劇団ガッシャブルム・作、演出 『がっしゃおむにばす』
の部を見せていただきました。
最初。開演したてで真っ暗になって、小さな子が泣き出すハプニングもありましたが、無事スタート。
歯切れのよい台詞で、楽しくショートコントを楽しむことができました。
それはそれでいいのてすが、これからの劇団の方向性として、どえなのかなあとも、ちょっと不安に思いました。
この手のコントなら、「吉本」のほうが断然面白いです。
あえて劇仕立てにして、笑いを追求していこうという「野心」「志」があるのならいいのですが、それならなおさら「オリジナリティ」をとことん追い続けていってほしいと思います。
正直言って、私は別の方向性をおすすめしたいですが。
草莽崛起
劇団宇宙キャンパス
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2010/09/17 (金) ~ 2010/09/21 (火)公演終了
満足度★★★
楽しく観ましたよ
普段とは趣の異なる「時代劇」に挑戦したとのこと。10周年と銘打っているだけの劇団だけに、そのギャップは上手にクリアーされていたと思いました。(所々「現代劇」しかも軽いノリ的な箇所もありましたが、それはそれで劇団の個性としておきましょう)
会場に入って手渡されたパンフレットに、いきなり「関係図」として、登場人物の関係、スタンスが紹介されていて、「これは複雑な人間関係に翻弄される劇なんだ」と心配されましたが、開演するとそんな心配も要らず、それなりに楽しくみせてくれました。
劇がおわっての挨拶では、出演者全員が舞台に登場し、なごやかな雰囲気を醸し出していたことも好感を持てました。
難を言えば、「サークル的」な雰囲気、演技であったこと。
どうも「上手な、劇好きの若者の楽しい集まり」といった印象でしかなかった点です。幕を上手に使っての効果、殺陣ではたくさん練習したのだなといったものもあるのですが、どうも全体の印象が「いまいち」なのです。
とくに「笑い」をとる場面では、まだまだ安っぽい感じがします。もっともっと研究しないと・・・
また、若い人が多いために、せっかくの「重い時代」の雰囲気が表出しきれなかったこと。
この二点は残念無念といった感想です。
衛星放送に殺意を、
ハイバネカナタ
劇場MOMO(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★★
熱意 白と黒
すべての衛星放送が検閲された閉塞の近未来。ジョージ・オーウェルを連想させるような、管理された社会にあえて挑戦する三人の男。着想がなかなかいい。ストーリー自体楽しんで観ることができた。
約二時間の劇で、おそらくは普通の劇の二倍はあろう台詞の多さ。よ~く聞いていると、その一つひとつの台詞の中に潜む言葉が実に豊かなのである。脚本家の言葉や表現に対するセンスの良さが伺われる。
言葉の量が多いことからして、役者はその分饒舌である。しかも早口、さらに絶叫する場面がかなりの部分を占める。
脚本家にとっては想定外だったと思うが、この豊饒な脚本ははたして成功したのか。残念ながら否。
良く言えば「宝の持ち腐れ」、意地悪に言えば「舞台を忘れたデスクワークの産物」であった。
二つの意味で、豊かな言葉は、観客の心を豊かにはしてはくれなかった。
一つは単純に、早口と絶叫で、聞き取りづらい箇所がいくつもあったこと。
二つめは、饒舌の場面で、役者の演技が停止してしまうこと。歌にたとえれば、メロディーを抜いたラップを聴いて、欲求不満になっているかのよう。
通して、役者さんの熱い演技は胸を打つものがあっただけに、それが「力み」として受け止められてしまったことは残念至極。
言葉を控えめにした、演技で勝負するものを次回以降に期待したい。
[ty.]
コメディユニット磯川家
こった創作空間(東京都)
2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しめました ありがとう
まだ粗削りの感はありますが、爆笑に近い反応をお客さんからもらっていたと思います。
9人の役者が、オムニバス調で13のコントを演じます。おそらくはたくさん練習しただろうなと思わせる公演でした。
パンフレットには「楽しかったらなんでもいいじゃない!」とありましたが、もちろん異論はないのですが、それを書かないでも十分に楽しい1時間半でした。
爆笑とはいかないまでも、各々の場面でよく笑いました。
コナンはややしつこいかな、「ハゲ」ネタは最小限にしてほしいなど注文はあるものの、まだまだ伸びるユニットだと感じました。
express
PLAT-formance
王子小劇場(東京都)
2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ありがとうございました
楽しく時間を過ごさせていただきました。以下、私のブログに書いた「劇評」てです。
「Express」 PLAT-Formance 第八回公演
8月14日 14時30分の部 王子小劇場
劇ではなくコント。
むむ、これはと心配したものの、最後まで飽きずに楽しく見ることができました。なにより掛け合いが絶妙でした。二人のキャラクターもうまく生かした脚本だったのでしょう。
しゃべくりはかなり速いのですが、言葉遊び、表情や動作の工夫、間のタイミングなど、笑いの要素が凝縮されたコントでした。
この手のコント集団は、テレビのバラエティ番組を安易に真似て、楽屋落ち、下ネタ、弱者・欠点あげつらいのような、退廃とも思えるほどレベルの低いものが多いのですが、そんな風潮に迎合することなく、「正統派」(?)の笑いをふりまいていました。
好感の持てる劇団です。
同行したTさんもニコニコして満足した様子。
ぜひ、「売れないで」いてほしいと思います。
テレビに出るようになり、「安っぽい」タレントになってほしくないのです。
テレビよりも生の劇場公演で活躍してほしいと願います。
切に・・・
イチマツ・タエコ
みかんピープル
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/07/22 (木) ~ 2010/07/25 (日)公演終了
満足度★★★
ありがとうございました
謎解き、お笑いの2つが基本構造。
ストーリーは奇抜と言えば奇抜なのでしょうが・・・
お笑いを軸にしていこうとするために、謎の部分が単純なものになってしまった感じがしました、
劇中劇、とくに「エチュード」とはいいながら、謎解きの寸劇はあまりに安易なものに思えました。
無理矢理、笑いをとろうとする役者さんの熱意ある演技が、逆効果になってしまったかもしれません。
マイナス批評ばかりでスタートさせてしまいました。
ここからは褒めます。
まず、コメディーでは多くの劇団が頻繁に採り入れる「下ネタ」に依存していなかったこと。
これは誇っていいものです。
それから、スーツ姿のメガネ青年(すみません名前がわかりません。アドリブがだめという役の方です。熊谷?西村?)の演技は光っていました。
1人1人の役者さんの個性はそれぞれにあり、まだまだ伸びる余地大、といった印象でした。
「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。
劇団印象-indian elephant-
吉祥寺シアター(東京都)
2010/07/16 (金) ~ 2010/07/19 (月)公演終了
満足度★★★★
心をふくらませてくれました
私のブログに書いた感想です。
「今年観た演劇の中で、一番独創的で、インパクトの強いものでした。(まだ半年近くも今年は残ってはいますが・・・)
最初、「いわなが」が飛ぶシーンから始まったときに、
「あ、不条理劇かもしれない、しまった!」と思ったのですが、それも杞憂。
のんびりとした時間の流れの中で、やさしい雰囲気の物語がすすんでいきます。
軽い台詞の連続ながら、無理なく耳に、頭に、心に入ってきます。
やっかいな、時間がテーマの劇でしたが、これもメルヘンのようなストーリーの中に
「隠喩」のようにさりげなく横たえているようで、押しつけがましく感じられることはありませんでした。
「日韓交流」と銘打った劇でした。ミカ役のベク・ソヌさんの演技も、それぞれの年代を、それぞれの魅力で演じていていたと思います。(在日の方?日本語も上手です)
関心したのは、場を転じる時の工夫です。暗転を使わずに、常に誰か一人を残し、それから次の場面が引き継がれる手法は、見事でした。
七人の役者が、みな個性的であったことも、劇団の強みです。
今朝の朝日新聞の「天声人語」に、ジョークが載っていました。
たびたび遅れる列車に腹を立てた客が、「こんなんじゃ、時刻表なんていらないじゃないか」 それに駅員が答える。
「お客さん、時刻表がなくなったら、遅れているかどうかわからなってしまいます。」
関係ないかな。いや、時間や「老い」や「死」もそう。
否応なくつきあわされているからこそ、制御できないからこそ、それはまた貴重なものなのだ、と。
示唆に富む、素敵な劇に出会えた感じでした。」
ありがとうございました。
サン・バルテルミ
劇団 M'sカンパニー
萬劇場(東京都)
2010/07/02 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★
ありがとうございました
ブログに書いたものを転載します。
2時間半の長時間公演。高校のとき、たしか、セント、バーソロミューとかいう名称で習った虐殺事件を題材にした歴史ものです。
カトリックとプロテスタントの対立と、宮廷内の愛憎とを織り交ぜながら進行していきます。
それでは感想をランダムに。
1 たぶん作者であり演出家であり主役である二宮瑞絵さんが、長年の構想を熟成させて、ようやく公演までこぎつけたものだったに違いありません。その熱意には敬服します。 その志は大事なことですよね。
2 全体として、まだこなしきれていない印象でした。ひとことで言えば、まだまだ演技や流れが「硬い」のです。長い劇を、普通の劇並に練習したくらいの(ではなかったかも知れませんが)完成度でした。とりわけ暗転中のダンスは、動きになめらかさがない感じがしました。たぶん公演を、これから何度も繰り返すうちに、それらは解消されてくるのかなと思いました。
3 苦言です。私は二宮さんはマルゴ役でないほうがいいと思いました。あなたの意気込みは買いますが、表にたたなくても十分気持ちは伝わります。だれか若手を抜擢したほうが、将来の劇団のためになると考えたのですが。ただ正直言って、今回の公演にマルゴを演じられる人がいたかと思うと、寂しいものがあります。客演でもいいから、どなたかを引っ張ることも視野に入れてもいいのではとも。
4 若い方の多い劇団ですね。劇中の役者のバランスを考えると、竹神さんのような雰囲気を持った人が、それなりに劇団を「重く」するものだと思います。最初に書いた「硬さ」もそのあたりが原因かもしれません。
5 周りで「腰が痛い」という声も多々ありましたが、私は長いとは感じませんでした。
若いだけに「伸びしろ」の大きな劇団だと思いました。 今後の成長に期待。
第一回○○の人東京大会『かっこいい宇宙人のぼく』
○○の人大会
タイニイアリス(東京都)
2010/05/18 (火) ~ 2010/05/24 (月)公演終了
満足度★★★
不思議な劇団です
なにやらおかしな劇団です(笑)。
おそらくは、みなさんで劇を楽しんでいるのでしょう。ついでに観客が楽しんでもらえれば、まあおまけに嬉しいな。そんな感じの劇です。
不条理劇とも、少し違いますし、一応ストーリーもありますから、それなりに楽しむことはできます。
夢の島が、仮想「夢の星」となり、そこに棲む「宇宙人」の家族。なんとも風変わりの人々なのですが、この以上ストーリーには踏み込めませんが、正直「よくわからないや」の感想を書き留めておきます。
このような劇を評する規準を、私は持ち合わせていません。
今宵 片眼は死に場所を探す
Island
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/05/13 (木) ~ 2010/05/16 (日)公演終了
満足度★★★★
構成に妙あり
たぶん脚本を書いて演出も手がけた今泉さんが一番楽しんでいたのではないかと思われるほど、登場人物に色をつけ、しかけを駆使した、なかなか面白い劇だと思いました。
占いに支配された中国にある、とある国の、豪族の家に起きた、二つの「毒殺」 (?)事件の真相が、占い師により徐々にあきらかにされていく。
終盤になって、展開はやや煩雑になっていきますが、それでも役の一人一人に彩りを加えるためには納得できる範囲。
最後まで眠ることなく、楽しませていただきました。
役者さんもまだ若く、これから伸びていく劇団だと予感できました。
一つだけ、不満。
それは劇団の年齢構成です。みなさん、若くて・・・
それはそれで、活気、元気が豊富なのですが、一人でも二人でも「年長者」が欲しいと思います。
今回の劇にしても、台詞のテンポがみな速くて、同じ調子なのです。(ラウにしても、ゆったりとした台詞なのですが、会場を重くはできません)
ここに、齢を重ねた俳優が一人でも入っていたら、もっと味のある雰囲気になったのにと思いました。
それは、公演を重ねていくうちに、「客演」という形で解消できるかなとも思いましたので、あまり心配はしていませんが。
次回の公演も楽しみです。
大家族、はじめました。
ひつじ同盟
タイニイアリス(東京都)
2010/05/01 (土) ~ 2010/05/04 (火)公演終了
満足度★★★★
すがすがしい劇団ですね
ありがとうございました。以下、私のブログに載せたものを。
「この公演をもって最後となるひつじ同盟の第四回公演です。 四回で劇団員がそれぞれの道を歩きはじめるというのは、早いのか遅いのか、頃合いだったのか、よくはわかりませんが、もうしばらく見つめていたかったなというのが実感です。私にとっては残念でした。
中身は清々しく、とにかくまっすぐな志だというのが第一印象です。
過去二回のハズレの劇は、脚本がこなれていないのと、必然性のない下ネタの濫用で辟易したのですが、今回はそれも全く感じることのない、フィナーレを飾るにふさわしいものだったと思いました。
再婚した親が二人とも事故で亡くなり、それぞれの連れ子がやむなく同居することに。対人恐怖、不登校などを抱えた両家族は、はたしてうまく共同生活に軟着陸することができるだろうか。
劇は、ひかりという自傷の傾向を持つ高校生をめぐって展開するが、へんにきれいごとにすることなく、素直に受け入れて見ることができました。
役者さんも、格別のオーラを放つ方はいなかった(ごめんなさい)けれども、みな個性的な役作りができていました。
観劇後の気持ちが清々しいのは、この劇団全体の底に流れる真面目さなんだろうなあと思えました。
それぞれの道で活躍されることを祈念!」
もう劇団として活動されないことが残念です。