先生と呼ばれるほどの教師でなしの観てきた!クチコミ一覧

21-40件 / 123件中
夜を忘れなさい

夜を忘れなさい

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/06/02 (金) ~ 2017/06/06 (火)公演終了

満足度★★★

みなさん厳しいコメントが並んでいますが、私なりに楽しみました。役者さんも、それぞれの役柄を演じていたと思えるし、脚本も言葉に拘った部分が随所に感じられていて、ベッドという舞台装置をうまく活用したステージにも、劇団、演出の意気込みを感じ取ることができました。
「理解しづらい」という点では、他の方と共通した感想を持ちますが、「理解できない」というより、圧倒的に「情報不足」だからだと思いました。まず、55分の短さ。終盤になって、大きな展開を見せるのですが、かなり「唐突」の印象がありました。起承転結の「転」の前置きをもっとていねいに扱って欲しかった。
それとの関連で、登場人物の情報をもう少し盛り込まないと、見ている側が材料の少なさから、不安になってしまう。解釈の一人歩きも悪くはないのだが、あまりの情報のすくなさから、見ている個々が自信を失ってしまっていた。
別にせりふを増やすだけでなく、なんとか工夫して、登場した女性について、さらに肉付けしてほしいと思った。
「あっ、もうおしまい?」
けっこう面白かったのになあ。

疚しい理由

疚しい理由

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/05/12 (金) ~ 2017/05/16 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/13 (土)

楽しく、また「どう落とすのか」ハラハラしながら観ていました。50分の劇があっという間に終わってしまった。結局、真相は「教えないぞ」というままだったので、なんとなく前菜を食べただけのような食感で劇場を後にした。面白かったが、このあとも展開させてほしかったな。いやいやショートショートを読む感覚で、それはそれでいいんじゃないの。と葛藤しながら、西武新宿駅に向かった。軽食。

新入社員のイジメ方

新入社員のイジメ方

劇団カンタービレ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2017/04/06 (木) ~ 2017/04/10 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/08 (土) 13:30

初めての中目黒。なにかイベントがあるらしく、駅前は大量の若者であふれかえっている。
 へー、結構都会の中目黒。劇場に向かうまでの商店街は、なかなかのおしゃれな店が続いている。
 帽子、輸入雑貨、ブティック、おしゃれな居酒屋・・・ただ残念なことに古本屋は見あたらない。

 さて、歯医者の脇にある階段を下りて、思ったより広い受付のスペース、思ったより狭いホールのウッディシアター。
 1番前の左側。私の好きな座席のエリアに落ち着く。

 中堅企業の新人研修。山奥の寺での修行の風景だ。
 予想していた通り、非人間的な殺人的研修と、その癒しとなる、もう一つの世界。
 この2つが絡み合って劇は展開していく。
 俳優さんの演技は、テンポも歯切れもよく、うまく私たちを笑いに誘ってくれる。
 1人1人の役者さんのレベルは高い。
 研修の過酷さよりも、展開と演技とでの「面白さ」が印象的な1時間45分だった。
 私も、その都度、くすくすと笑いながら最後まで飽きずに観ることができた。

 しかし、しかしだ。
 一言で感想をまとめると、「何も残らなかった」のだ。
 「企業研修」と聞いて、その残忍さが登場することは予想できた。さてその後で、どう「落とし前」をつけるのか、興味津々であったが、私の予想は完全に裏切られた。それはそれで「意外性」としてかまわないが、それが残念なことに「失望させる」ものだったのだ。
 一応、社会的なテーマを選んだ以上、それを劇団としてどう考え、どう観てほしいかというものがあるだろう。
 それが感じられなかったのだ。
 「研修」を素材にした、「人情」と「笑い」の劇だったのだ。
 と考えるしかないだろう。

 ネタバレに限りなく近くなったが、後始末を「個人」にしてしまった。
 観た方以外分かりづらい表現になるが、「あの人も企業による被害者」なのではないか。
 そこに収斂してしまったために、研修という「社会的事象」の善し悪しが、個人のレベルのものとなってしまった。
 
 劇の見方はそれぞれでいいが、私には「終わらせ方」が大いに不満だった。
 

ルリの恋と昆布の森は千年つづく

ルリの恋と昆布の森は千年つづく

オーガニックシアター

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2017/03/24 (金) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/26 (日) 17:00

武蔵野芸能劇場の小さな劇場で、半分弱の入り。楽日なのに、もっと来てもいいのになあと思いながら観劇。
 3.11を背景にした劇の制作は、きっと難しかったに違いない。
 震災、津波、原発・・・と、あまりにも「現在」に近いからである。そしてしかも音楽劇。さらには「ぺてるの家」を
重ねた設定である。おそらくは、どれか1つでも2つでも削除しておけば、「無難」な劇となるはずである。
 それを敢えて、すべて盛り込んだことに、スタッフの意気込みと熱意とが感じられ、それだけで敬意を表するものだ。

 総勢20数名の出演。ミュージカルとは違う。それぞれが歌の専門家ではないと思うくらい、「うまい・へた」にはばらつきがある。
 これも敢えてそうしたものだろう。音を聞いてほしいのではなく、心を聞いてくれと言わんばかりの構成であった。

 青年と、主人を震災で亡くした女性との恋愛が主軸となって物語は展開していくのであるが、先に挙げた原発やぺてるの家の実践なども、ぶれることなく、恋愛の推移の中に込められていて、2時間以上の劇も、飽きずに見終えてしまった。

 ときおり挿入される「笑いネタ」は、ことごとく失敗(笑)していたが、それはたいした問題ではなかった。

 理不尽な死のとなりにいて、運よく生き残った人たちが、「幸せになっては申し訳ない」といった考えに陥ることはよく聞くが(戦死した戦友に対する感情でもよく聞くことだ)、私にはよく理解できない面がある。むしろ「その分、幸せになろう」「理不尽な死を遂げることのない社会を作っていこう」とするのが、自然なのではないか。生と死とは紙一重だったとしても、そこで得られた「生」は、けっして自分のせいでも、おかげでもないのだから。

 この劇からは、もう少し考えないといけないことがあると思うが、これはまた・・・にしよう。
 ありがとうございました。素敵な劇、考えさせてくれた劇でした。
 俳優さん、みなさん表情が素敵でした。

歌わせたい男たち

歌わせたい男たち

劇団俳協

TACCS1179(東京都)

2017/02/17 (金) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/18 (土)

まずは、永井愛氏の脚本に感銘を受ける。
私も、「日の丸・君が代」について、もう14年も前になるが、似たような経験をしていていて、
この劇を観る前に、「いくら永井さんといえども、職員室の管理職とその取り巻き、そして少数派の反対派の険悪なやりとりが延々と続く劇ではないか」と、正直期待はしていなかった。
「12人の怒れる~」のような、討論が中心となり、きっと観客は途中で飽きてしまうに違いないとも思っていた。

そしてそれが、嬉しい誤算と知ったとき、脚本のすばらしさ、言い換えれば永井氏の取材力と、それに基づいた劇としての構想の力に圧倒されてしまった。
言葉のやりとりが、ほとんど私の現場で応酬した言葉そのものであった。

教育現場では、もう10年前に都教委から出された一通の通達のことなど、ほとんど話題にもなっていない。
その通達は、それこそ一方的で理不尽なものであるのに、今やそれが記憶を掘り起こされることもなく、舞台に全員が向かい、「国歌」を正々堂々と歌い、「国旗」が堂々と正面に飾られ、紅白幕で囲まれ・・・と、各学校の創意などの余地のない卒業式が「厳粛に」行われている。
「内面の自由」などの論議は皆無。

再び私の心に火を点けてくれた劇に感謝。

この劇は、「ノンポリ」の音楽教師を中心に、周囲の対立に右往左往することで展開されている。
おそらくそこがよかったに違いない。
準劇団員のものとはいえ、それぞれが目一杯の演技力を見せた好演であった。校長役も老けきれないという面もあるが、きっと台本が支えてくれているのだろう、違和感なく受け入れることができた。
Aチームを見ているわけではないが、ともに感動を与えるものとなっていったと推測。

現実から逃げるなといったメッセージをいただき、私は感謝。
劇団の意気込みにも感動した。

幸福のとき

幸福のとき

立花座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

 「暖かい心でこの劇場からお帰りになる様」というパンフレットに書かれた主宰者あいさつの希望通り、
ほかほかとした気持ちで、池袋の街に解き放たれました。
ここからは、「ネタバレbox」で・・・すみません

ネタバレBOX

原作なのか、訳のせいなのか、役者の演技の質なのか、はたまた演出なのか、よくは分かりませんでしたが、始まったばかりの10分20分は、「なんて固い演技なんだ」「進行も荒っぽい」(工場主の言葉にいとも簡単に周りが信じたこと、小屋を逢い引き専門のホテルにして稼ぐところ、簡単に一目惚れする場面など)と思い、少し不安なスタートだなと案じていました。
 しかし劇が進むにつれ、その気がかりも払拭するくらいに劇中の世界に入りこんでいました。
 同時に、チャップリンの「街の灯」を思い浮かべました。
 
 20年前の北京が舞台とのこと。さしずめ日本では、昭和20年、30年代と重なるのでしょう。
 私が、物心ついたころのことです。池袋の街では、地下道に傷痍軍人がアコーディオンを奏でて募金を所望し、芸術劇場の脇には、闇市があって、伯母もその中でいて、生きるのに必死だったころ。
 隣り近所、知人、町ぐるみが、ともに「貧乏人」として括れた時代でした。だからこそ、みな、互いに底抜けに優しい。
 そんな頃だと思って観ればいいのだなと思いながら、展開を凝視していました。

 劇に登場する者達は、なんと優しいのだろう。もちろん「淫売婦」も、意地悪なその息子も。
 あからさまな悲観も楽観もないラストのシーンなのですが、「暖かな心」になったことは、この劇の、劇団の力によるものでしょう。

 どなたかも書いていましたが、子役は、みな好演技。今の子は、素晴らしい力を持っているのですね。

 役者のみなさんの「固さ」はあるものの、チームワークとポリシーは、しっかりと伝わってきました。

 今年最初に観た劇。素敵なものでよかった。
ZASHIKI・WARASHI

ZASHIKI・WARASHI

A.R.P

ART THEATER かもめ座(東京都)

2016/12/20 (火) ~ 2016/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/12/25 (日)

「笑ってください」のご要望通り、たくさん笑えた劇でした。
絶叫とか、下ネタとかに(あまり)頼ることなく、間合いや会話の妙で、笑わせてくれたことに、まず讃辞を贈りたいと思います。
ただ、笑いの主流が、「場違い」「勘違い」が多く、それは、タカキさんが意識している志村けんと同類のものだったことに、やや独自性、創造性としてどうかなと残念に思えました。そう思って観ていると、やはり「へんなおじさん」の場面も出てきてしまいました。
ここしかない笑いの型、今後はそれを期待しています。
とはいえ、年末の1日を笑いで送らせていただいたことに感謝。
それぞれの役者さんも、それぞれの笑いのパターンを持っていて、そのバラエティさも楽しむことができました。
今年、3番目に良かった劇でした。ありがとうございます。
あ、チョコも。

弟の戦争

弟の戦争

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/12/07 (水) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/12/10 (土)

遅れての感想です。おそらく今年観た劇の中で、私の心を1番打ったものだと思う。
中東における内紛、テロ、自爆、空爆、貧困、飢餓・・・それを報道などで知りつつも、「まあ、本当に怖いよね。こんな世界にいる子達がかわいそう。さっ、今日は日曜日、なにか美味しいものを食べに行きましょ。あ、食べログで◎◎のパスタが美味しいと書いてあったわ」と、別世界の話は、単なる「話題」としての値打ちしかない。
私が6年生に歴史を教えたとき、15年戦争を教えると、中間の時点での感想を書いてもらうと、ほとんどの子が、「戦争中の暮らしはとても大変だったことが分かりました。それと比べて私たちは幸せです。あんな時代に生まれてこなくてよかったです」という感想を書く。まったく別世界の戦時中なのである。私の授業はここから、その「対岸の火事」観をどう破るかが勝負となる。
ありえない設定ながら、弟の「憑依」とも思える言動から、その「平和な」家族と惨く悲しい「戦時」とが対比されていく。
そしてそれは、私たちに向かって、「なら、お前達はどうなんだ」と問い続ける。
観ていて辛くなる劇、しかしその思いは、私たち人類としての根源的な生き様についての解答を求める。
久しぶりの「考えさせられる」「生き方を問われる」観劇となった。
ありがたい。

えんやこら讃歌

えんやこら讃歌

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2016/11/02 (水) ~ 2016/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵な芝居をありがとう
あれだけの人数が舞台に立ちながら、1人1人が個性に充ち満ちていて、「群れ」ではなく、個々の集まりとして感じられる。そんなたくさんの見どころを持った芝居だと感じました。
 中心となる彼女(すみません、名前を忘れてしまいました)の熱演は言うまでもなく、その周辺の役にも、それぞれが人生が、物語があることまで想像させる、巧みな演技、演出、台本であったと感服してだるま座を後にしました。
 日本の終戦直後版の「どん底」ですね。
 何回か、だるま座の劇を観てきましたが、「外れ」ることなく、毎回、涙と笑い、そして人生の哀しさ、重さを抱えて帰路につきます。
 「劇」というよりも、「おしばい」といったニュアンス。親しみを込めて。
さて、ひとつ無理難題です。「現代版えんやこら讃歌」を書ける人はいないものでしょうか。
 

100人のタナカ!

100人のタナカ!

PocketSheepS

TACCS1179(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★

さてさて なんと言えば・・・
「ミクロの決死圏外」のVR版と言ったら失礼かもしれない。ロマンス、アクション、コメディの要素をふんだんに盛り込んだ内容で、観ている人に笑ってもらおう、楽しんでもらおうという意欲が肌で感じられる。
それはそれでいいのだが、周りの人たちが、大笑いしたり、クスクス笑いをしている半分も笑いを発することはできなかった。
感じたのは「身内の笑い」とも言えるものが大半で、一見さんの私には、「えっ、なぜここで笑いが?」というものが繰り返されていく。16回目の公演とあり、場数を踏まないと理解できないものかもしれないと思った。
コスプレのオンパレードも、私には観客に媚びを売っているようにしか感じない。
絶叫型の台詞の応酬も、私には辛い。
テンポはいいのだから、小さな劇場なのだから、そんなに声を張り上げなくても。
設定は面白いだけに、残念な思い。
役者もそれぞれ個性的。脚本と演出にさらなる精進と期待。

正安寺悠造×PATCH-WORKS『はじめての夜』

正安寺悠造×PATCH-WORKS『はじめての夜』

PATCH-WORKS

ひつじ座(東京都)

2016/10/05 (水) ~ 2016/10/09 (日)公演終了

満足度★★★

楽しめた そして一方で
ひつじ座も、PATCH-WORKSの劇も初めて。
セックスをコメディとして表現する劇も、久しぶり。
軽くいなした感じで、それなりに楽しめた劇でした。
観る側にとっての思いはそれぞれでよいと思うが(私も「はじめての~」を思い出しながら観ていたし)、この劇団が「どう観てほしい」んだという面が、よく分からなかった。
なぜ性をテーマに? いや、それに絡みついたドタバタを見せたかった? これだけ性に対しての価値観が違うことを?(あっ、劇中の登場人物にはその違いはなかったかな) 
それが見えてこなかった分だけ、やや私の反応は複雑でした。
いや、それはみなさんが考えること。そう言われるなら仕方ありませんが。
また、違ったテーマの劇を観てみたいと思います。
音楽と劇の融合・・・は面白い発想で、充分効果的でしたが、それは演出上のスタイルのこと。劇の中身についての、熱い思いを知りたかった。

AQUA

AQUA

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★

せつなく恐ろしい物語
「AQUA」を鑑賞しました。
途中まで、2人の会話から、いつそれが弾け、崩れてしまうのか・・・はらはらしながら見ていました。
AQUAも父も、その演技、台詞の表現力など、高い水準のもので、臨場感あふれる舞台となっていて、その時々の心理の推移を、私も共振していました。
後半の「破裂」も、無理なく受け入れることができました。
ひとつだけ・・・弁護士さん役の俳優さんへ。声が上に駆け上がってしまい、しかも早口のために、聞きづらく感じました。前に出す練習をぜひしてください。(すみません)

AchiTION! 『HIT CHART』

AchiTION! 『HIT CHART』

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

ワーサルシアター(東京都)

2015/11/05 (木) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★

それなりに
流行歌を三題噺のネタにして、コントをつなげていく。しかも、それが一本のストーリーと成っている。その手法は、よくあるものだと思うが、そしてネタも斬新だとは思うなかったが、役者陣の個性と奮闘で、それなりに面白く見せていただきました。このくらいの力量がある劇団ならば、なにも歌謡曲を持ち出さずに、もっともっとオリジナルの激やコントができるのにと、ちょっと不満を抱えて帰りました。

最後に歩く道

最後に歩く道

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2015/11/01 (日) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★

辛い悲しい劇でした
いい意味で疲れる劇でした。途中何度も、「ならお前はどうなんだ」と言われているようで、辛く、そして悲しい気持ちで見ていました。
「愛護」とはなんなのか。人間の都合で飼われたり捨てられたり殺されたりすることが、どんな価値観でもって受け止めていったらいいのか、私自身、混乱します。脚本家の方の真摯な姿勢がうかがえ、ああこの劇団にはいつも「芯があるな」と思いながら足を運んでいます。
見慣れてきたせいもあるのでしょうが、見るたびに役者さんの「個性」も大きく成長してきていると感じます。
重いテーマではありますが、私の胸に押し込んで、考え考え生きていきたいと思えた劇でした。ありがとうございます。

あの日はライオンが咲いていた

あの日はライオンが咲いていた

PocketSheepS

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

せつない物語
ハッピーエンドにさせるには、いったいどんな終わらせ方をすればいいのか。劇中で課せられたテーマを考え考え観ていました。
この劇の場合では、どんな終わりを創りあげても、その先の残酷な現実が待っている。なんと辛く残酷なハッピーエンドなのだ。
そんなせつない思いで見終わりました。
「そんな動きを早めなくても」「そんな絶叫しないでも」と、演技に関しては、少し不満があります。笑いは充分に台詞のやりとりでまかなえたと思います。小島よしおばりのパフォーマンスは不要です。
それをもってしても、見てよかったと思えた劇。

人が流されていく川

人が流されていく川

The Stone Age ブライアント

サンモールスタジオ(東京都)

2015/08/11 (火) ~ 2015/08/16 (日)公演終了

満足度★★★

発展途上として・・・
奥深く、私にとっても興味あるテーマであったのですが、それを効果的に伝えきれなかったのではなかったか、に尽きます。
アイデアについては、近未来に予想される安楽死施行所での患者(来客ではおかしいし、囚人でもない)の過去、さらには職員の感じ方などを織り混ぜながら、面白い、考えさせる展開を予想していました。
私が消化不良となったのは、次の理由からです。
ひとつめは脚本の人物の描き方。登場人物の「今」を知るための「過去」をもっとていねいに劇中に出していただきたかった。入所していた女性について、最後まで「安楽死」する手がかりが情報ゼロに近く、よかれあしかれ、彼女の過去の重さをもってしても、安楽死は是か、それとも否定されるべきなのか、考える糸口を与えてはもらえませんでした。働く職員にしても然り。一般的な人物が、抽象的な人間が、「生か死か」を悩んでもなにも感動がないのです。
ふたつめは、間の取り方です。なめらかに展開されていかない。そんなもどかしさがありました。
みっつめは、叫ぶ場面の多さです。いくつかを「絶叫なし」で演じたらいいのにと残念に思いつつ見ていました。
よっつめは、笑ってもいいのかどうか迷った場面がたくさんありました。暴力的な場面、転げ回る場面。周りの方もそのように感じたようで、笑っていいのか(つまり笑わせようとしているのか)、そうでないか迷いました。気を使って劇を観るのは久しぶりです。

テーマ自体が深いものですから、さらに脚本を、演技を改善していけば、すばらしいものになると思いました。

外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉

外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2015/07/31 (金) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

時代の重み そして苦悩
期せずしてタイムリーな公演を魅せていただきました。
私たちの世代から観れば、いったん咀嚼したものを、今度は改めてその確認と、時代の舞台裏での人々の苦悩とを結びつける機会となりましたが、若い世代の人にとっては、かなり難解であったのかと思います。しかし、その難解さは、どうしても観劇後の学習で埋め合わせてほしいとも願います。
日本が国際的に孤立し、さらに戦争に突き進んでいくことを、なぜ誰も止めることができなかったか。
この命題は、現在にも通じるものです。今も「先の戦争は、やむを得なかったのだ」とする人の多さ。さらには「日本は列強にはめられたのだ」と、肯定する考えも市民権を得ているむきもあるほどです。
優秀な外交官をもってしても、戦争への時代の流れは食い止められなかった。だからこそ、戦争につながる、どんな些細なことにも敏感になって、芽を摘んでいく努力を、国民の1人1人がしなくてはならないのだと思いました。

青年座は、大学生時代に、労演を通じて知った劇団です。40年ぶりの観劇でしたが、その真摯な劇団の姿勢は、相変わらずで安心して終わりまで観ることができました。

さて劇評です。
まず脚本。骨太で、よく練られた構成です。時代を前後させ、記憶をだどりながらの展開は、無理なく私の頭に入ってきました。
そして役者陣。それぞれ個性を持った外交官を、誰もが演じきっていて、これは役者さんの力量と、練習量、そして演出の優秀さに由来するものでしょう。

二時間半。ちょっと腰が痛くなりましたが、また、後部座席は鉄骨の上に設けられたもので、1人が動いても「横揺れ」が大きくて「もしや崩壊してしまうのでは・・・」と心配してもいましたが、それ以外は、長い時間もあっという間の凝縮されたものとなりました。

ありがとうございました。
また、代々木八幡に来ます。

戦争法案も、なんとか廃案にするための勇気ももらったものですし・・・

BARに灯ともるころ

BARに灯ともるころ

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★

それなりに・・・
題名からして、ハードボイルドのようなものを思い浮かべて入場したのですが、最初のマスターの所作から、「あっ、これはコメディに限りなく近いのだな」と、気持ちを切り替えて観ることにしました。
それなりに楽しめた。しかし、劇団全体の方向性が空回りしているかも。そんな思いを抱きました。
役者さんの熱い思いに裏打ちされた熱演には好感。
しかし、それが空回りしてしまっているように感じました。私の演技に「笑え!」とばかり、客に反復して押しつけるような印象。大きな声と、繰り返す大きな動作、これが笑いを望むための基本の考え方になっているのならば、それは大きな誤解だと思います。淡々とした高度な笑いを研究してほしいと思います。
ストーリーにも、やや不満。後半の展開が安直ではないだろうかと思いました。そんなにうまくいかないよ、そんなに人は変わらないよ、とつぶやきながら観ていました。
BGM、あまり場面とフィットしていないようにも思えましたが、いかがでしょう。
苦言は多いのですが、私なりに楽しく魅せていただきました。

そういう目で見ないで

そういう目で見ないで

パセリス

シアターシャイン(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しく観させていただきました
「死ぬまでにしておきたいこと」以来の「パセリス」さんの観劇です。
今回は、いくつかの劇団の競作?とあって、単純に比較できませんが、今回は、演技というよりも、せりふに重点が置かれているようで、そのテンポの良さ、論理のおもしろさなど、楽しく「聞かせて」もらった感があります。
役者さんも、ほんど噛むことなく、練習してきたなと感じさせる好演をしていたと思いました。
今日は、三作を観劇したのですが、ひとつめはちょっと奇をてらいすぎたかなと。私は最後の「循環」を楽しみました。
ありがとうございました。

誘拐

誘拐

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2015/01/19 (月) ~ 2015/01/25 (日)公演終了

満足度★★★★

アナログ的な笑いをいただきました4
矢代静一氏の劇は、何十年ぶりの観劇となるはずです。たしか大学時代に「労演」の会員として、彼の劇をいくつか観たと思うのですが、いざ、その演目は・・・と考えると、まったく思い出せないのです。
私のイメージとしては、彼は「社会派」のカテゴリーに入っているのですが、Wikidataで調べてみると、プロ野球のヤクルトファンであったり、宝塚を支援していたり紫綬褒章、勲四等旭日小綬章をもらったり、と、けっこう「俗的」(悪い意味で使っているわけではありません。人間くさいというほうが近いかもしれません)だったことに驚いています。
さて劇はとても楽しく見せていただきました。なによりも、しっかりとしたアナログともいってようほどの脚本、個性豊かな俳優陣と、うまいブレンドによって、あっという間に2時間が過ぎてしまいました。
だるま座の財産は、どのような劇にも対応できる、層の厚い役者陣だと思えました。もちろん、企画力、主宰の熱意などもあるとも思いますが。

このページのQRコードです。

拡大