満足度★★★
発展途上として・・・
奥深く、私にとっても興味あるテーマであったのですが、それを効果的に伝えきれなかったのではなかったか、に尽きます。
アイデアについては、近未来に予想される安楽死施行所での患者(来客ではおかしいし、囚人でもない)の過去、さらには職員の感じ方などを織り混ぜながら、面白い、考えさせる展開を予想していました。
私が消化不良となったのは、次の理由からです。
ひとつめは脚本の人物の描き方。登場人物の「今」を知るための「過去」をもっとていねいに劇中に出していただきたかった。入所していた女性について、最後まで「安楽死」する手がかりが情報ゼロに近く、よかれあしかれ、彼女の過去の重さをもってしても、安楽死は是か、それとも否定されるべきなのか、考える糸口を与えてはもらえませんでした。働く職員にしても然り。一般的な人物が、抽象的な人間が、「生か死か」を悩んでもなにも感動がないのです。
ふたつめは、間の取り方です。なめらかに展開されていかない。そんなもどかしさがありました。
みっつめは、叫ぶ場面の多さです。いくつかを「絶叫なし」で演じたらいいのにと残念に思いつつ見ていました。
よっつめは、笑ってもいいのかどうか迷った場面がたくさんありました。暴力的な場面、転げ回る場面。周りの方もそのように感じたようで、笑っていいのか(つまり笑わせようとしているのか)、そうでないか迷いました。気を使って劇を観るのは久しぶりです。
テーマ自体が深いものですから、さらに脚本を、演技を改善していけば、すばらしいものになると思いました。