満足度★★★★★
時代の重み そして苦悩
期せずしてタイムリーな公演を魅せていただきました。
私たちの世代から観れば、いったん咀嚼したものを、今度は改めてその確認と、時代の舞台裏での人々の苦悩とを結びつける機会となりましたが、若い世代の人にとっては、かなり難解であったのかと思います。しかし、その難解さは、どうしても観劇後の学習で埋め合わせてほしいとも願います。
日本が国際的に孤立し、さらに戦争に突き進んでいくことを、なぜ誰も止めることができなかったか。
この命題は、現在にも通じるものです。今も「先の戦争は、やむを得なかったのだ」とする人の多さ。さらには「日本は列強にはめられたのだ」と、肯定する考えも市民権を得ているむきもあるほどです。
優秀な外交官をもってしても、戦争への時代の流れは食い止められなかった。だからこそ、戦争につながる、どんな些細なことにも敏感になって、芽を摘んでいく努力を、国民の1人1人がしなくてはならないのだと思いました。
青年座は、大学生時代に、労演を通じて知った劇団です。40年ぶりの観劇でしたが、その真摯な劇団の姿勢は、相変わらずで安心して終わりまで観ることができました。
さて劇評です。
まず脚本。骨太で、よく練られた構成です。時代を前後させ、記憶をだどりながらの展開は、無理なく私の頭に入ってきました。
そして役者陣。それぞれ個性を持った外交官を、誰もが演じきっていて、これは役者さんの力量と、練習量、そして演出の優秀さに由来するものでしょう。
二時間半。ちょっと腰が痛くなりましたが、また、後部座席は鉄骨の上に設けられたもので、1人が動いても「横揺れ」が大きくて「もしや崩壊してしまうのでは・・・」と心配してもいましたが、それ以外は、長い時間もあっという間の凝縮されたものとなりました。
ありがとうございました。
また、代々木八幡に来ます。
戦争法案も、なんとか廃案にするための勇気ももらったものですし・・・