幸福のとき 公演情報 立花座「幸福のとき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     「暖かい心でこの劇場からお帰りになる様」というパンフレットに書かれた主宰者あいさつの希望通り、
    ほかほかとした気持ちで、池袋の街に解き放たれました。
    ここからは、「ネタバレbox」で・・・すみません

    ネタバレBOX

    原作なのか、訳のせいなのか、役者の演技の質なのか、はたまた演出なのか、よくは分かりませんでしたが、始まったばかりの10分20分は、「なんて固い演技なんだ」「進行も荒っぽい」(工場主の言葉にいとも簡単に周りが信じたこと、小屋を逢い引き専門のホテルにして稼ぐところ、簡単に一目惚れする場面など)と思い、少し不安なスタートだなと案じていました。
     しかし劇が進むにつれ、その気がかりも払拭するくらいに劇中の世界に入りこんでいました。
     同時に、チャップリンの「街の灯」を思い浮かべました。
     
     20年前の北京が舞台とのこと。さしずめ日本では、昭和20年、30年代と重なるのでしょう。
     私が、物心ついたころのことです。池袋の街では、地下道に傷痍軍人がアコーディオンを奏でて募金を所望し、芸術劇場の脇には、闇市があって、伯母もその中でいて、生きるのに必死だったころ。
     隣り近所、知人、町ぐるみが、ともに「貧乏人」として括れた時代でした。だからこそ、みな、互いに底抜けに優しい。
     そんな頃だと思って観ればいいのだなと思いながら、展開を凝視していました。

     劇に登場する者達は、なんと優しいのだろう。もちろん「淫売婦」も、意地悪なその息子も。
     あからさまな悲観も楽観もないラストのシーンなのですが、「暖かな心」になったことは、この劇の、劇団の力によるものでしょう。

     どなたかも書いていましたが、子役は、みな好演技。今の子は、素晴らしい力を持っているのですね。

     役者のみなさんの「固さ」はあるものの、チームワークとポリシーは、しっかりと伝わってきました。

     今年最初に観た劇。素敵なものでよかった。

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    2017/01/07 22:09

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