満足度★★★★★
鑑賞日2016/12/10 (土)
遅れての感想です。おそらく今年観た劇の中で、私の心を1番打ったものだと思う。
中東における内紛、テロ、自爆、空爆、貧困、飢餓・・・それを報道などで知りつつも、「まあ、本当に怖いよね。こんな世界にいる子達がかわいそう。さっ、今日は日曜日、なにか美味しいものを食べに行きましょ。あ、食べログで◎◎のパスタが美味しいと書いてあったわ」と、別世界の話は、単なる「話題」としての値打ちしかない。
私が6年生に歴史を教えたとき、15年戦争を教えると、中間の時点での感想を書いてもらうと、ほとんどの子が、「戦争中の暮らしはとても大変だったことが分かりました。それと比べて私たちは幸せです。あんな時代に生まれてこなくてよかったです」という感想を書く。まったく別世界の戦時中なのである。私の授業はここから、その「対岸の火事」観をどう破るかが勝負となる。
ありえない設定ながら、弟の「憑依」とも思える言動から、その「平和な」家族と惨く悲しい「戦時」とが対比されていく。
そしてそれは、私たちに向かって、「なら、お前達はどうなんだ」と問い続ける。
観ていて辛くなる劇、しかしその思いは、私たち人類としての根源的な生き様についての解答を求める。
久しぶりの「考えさせられる」「生き方を問われる」観劇となった。
ありがたい。