ちょぼくれ花咲男
文月堂
座・高円寺1(東京都)
2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了
満足度★★★
初演の方が濃密ながら、エンタメとしては進化
今回も、ご縁があって、ご招待で拝見させて頂きました。
初演より、登場人物も増え、熟練の役者さんも、加わったせいで、演劇としてのスケールは、大きくなり、キャストの質のばらつきもなくなって、エンタメとしての、舞台の見せ方は格段の進歩を遂げたとは思いますが、どうも、初演の濃密な人情劇のファンだった自分には、ストーリー構成的には、やや不満を感じる舞台でした。
登場人物それぞれの、抱える事情の、露呈シーンが、少なくなったせいで、観客が、それぞれの人物に感情移入する機会が薄れてしまった気がします。
ただ、あの扱いづらい高円寺の舞台機構をうまく使った、三谷さんの演出家としての才能には感心しました。役者さん達のパフォーマンスも楽しげで、大いに舞台鑑賞の喜びを感じさせて頂けました。
戯作者銘々伝
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2015/05/24 (日) ~ 2015/06/14 (日)公演終了
満足度★★★
如何せん長過ぎる!
確かに、井上ひさし風味ながら、東色も出した、芝居の造りには、なかなか賛同できたのですが、何しろ、あまりにもエピソードがてんこ盛りで、気楽に観られる限度を超えていた気がします。
だいたい、私は一応国文科卒で、研究テーマが近世文学だったから、各戯作者の名前も、作品も、それなりに、理解できますが、こうした世界に暗い観客には、何が何やら、誰が誰やらの展開ではないかしらと憂いてしまいました。
そういう、前知識が必要な舞台作品は、よほど、構成を巧みにしないと、観客は眠くなってしまうばかりです。
人間ドラマとしては、二幕の方が面白かったので、1幕は、登場人物の紹介程度で、もう少し、サラッと流した方が楽しめたのかもしれません。
ただ、熟練のキャストの役者技は、充分楽しませて頂けて、大満足でした。
特に、新妻さんのハッチャけぶりには、同性ながら、魅せられっぱなしでした。本当に、拝見視る度、進化する、女優さんですね。
蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~
グループる・ばる
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/06/12 (金) ~ 2015/06/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
お見事な構成に唸る
大好きなる・ぱるが、才ある劇作家である長田さんの書く芝居を上演するということで、かなり期待して、劇場に向かいました。
ただ、恥ずかしながら、茨木のりこさんの詩に全く不案内でしたので、人間関係や、背景を理解できるかしらとやや不安でもあったのですが、それは全くの杞憂でした。
茨木のりこさんの経歴を全く知らない私でも、実にわかりやすい構成で、それでいながら、芝居の進行に従い、観客を、知らず知らずに、茨木のりこファンにしてしまう、長田脚本の手腕に、感服しました。
キャストも、皆さん、熟練の手業師ばかりで、久しぶりに、じっくりと、舞台を堪能させて頂けた気がしています。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』
東宝
帝国劇場(東京都)
2015/04/13 (月) ~ 2015/06/01 (月)公演終了
満足度★★★★
新演出版初見
念願の海宝マリウスに会いたくて、新演出になってからの初観劇でした。
噂には聞いていましたが、これほどに変化しているとは、驚きでした。
何より、セットのリアル感に度胆を抜かれました。
まるで、ディズニーランドの、アトラクションセットのよう。
スタッフ技術も、並大抵ではなく、生の演劇だと忘れるぐらい、映画のような、リアルなシーンが続きました。
でも、これまででも、複雑な人間関係や歴史的背景が、スピーディに語られて、わかりにくかったのが、更に加速してストーリーが展開するので、初見の観客には、理解が難しいのではと感じました。
また、セットが、リアルになった分、奥行きがある舞台構造になって、席によっては、死角が発生しそうに思いました。
舞台も、常に暗いので、後ろの席だと、キャストを認識し辛そうにも、思います。
一番残念なのは、アンサンブルの方達の為所が極端に少なくなってしまった点。他のミュージカル作品と違って、「レミゼラブル」だけは、アンサンブルにも、各人の名前があって、役の人生を体現できるシーンが、随所にあったのに…。
でも、とにかく、この作品の持てる力には、やはり圧倒されます。
海宝マリウス、上山アンジョルラス、知念ファンテーヌ、笹本エポニーヌ、皆さん、溌剌と演じていらして、素敵でした。
嵐が丘
松竹
日生劇場(東京都)
2015/05/06 (水) ~ 2015/05/26 (火)公演終了
満足度★★★
スピンオフ作品の態
「嵐が丘」は、私の少女時代の恋愛バイブルでした。
こんな壮絶な、恋愛に心底憧れていたもので、大学生になるまで、恋人はできず仕舞い。
だから、このキャスティングが発表された時、小躍りして、観劇日を楽しみにしていました。
でも、拝見したところ、この「嵐が丘」の世界は、私の中に構築されていた激しい恋愛事情は、軽くあしらわれ、むしろ、キャサリンとヒースクリフに翻弄される、周囲の哀れな人間達に主軸を置いた、スピンオフ作品のような雰囲気でした。
演劇手法としては、面白いし、各人の後半の長台詞の競演は、演劇としての醍醐味に満ちていましたが、「嵐が丘」ファンとしては、やや不満の多い劇後感だったかもしれません。
戸田恵子さんの好演が、舞台の出来映えにずいぶん貢献したように思います。
それにしても、いつも、さすがの演技のソニンさん、初舞台から、常に、輝いて舞台に立てる堀北真希さんの、映像畑の女優さんとは思えない、持って生まれた鬼才振りには、感嘆のため息が出てしまいました。
昔、劇団四季が、世界名作全集舞台化的な上演を頻発していた時期がありましたが、堀北さん主演で、また他の名作舞台も、是非拝見したいなと、期待に胸が膨らみました。
七人のふたり
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2015/05/22 (金) ~ 2015/06/02 (火)公演終了
満足度★★★
何か淡白なクロムで、二味足りない感
折しも、ドローン少年が巷を賑わせている最中で、テーマとしては、時機を得ていたのですが、どうも、いつものような、心を鷲掴みにされるような、緊迫感は希薄な舞台でした。
いつもの疾走感もなくて、クロム独自の身体能力駆使した、あの癖になるような、ダンスの醍醐味も感じられず、何となく、限定何食の、そのお店の売り物メニューを食べそびれたような、消化不良な後味を感じてしまいました。
クロムの公演になくてはならない、役者さん達の不在が影響したのかもしれません。
もっと、毒気と、疾走感で、走り抜けるクロムが好きです。
聖地 X
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2015/05/10 (日) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★
熱量が緩和した印象
事前情報をチェックしていなかったので、すっかり新作を観るつもりで、劇場に入りました。
しばらくして、あーこれは、「プランクトンの踊場」なんだと気づきました。
個人的には、ずっと初演舞台の方が好みです。
笑いは増えたけれど、役者さんの演技も、そつがなくなったけれど、何だか、イキウメが普通の劇団になってしまった印象。
伊勢さん演じる要と、浜田さん演じる滋に、以前の熱量が感じられないのがやや残念でした。
一方、森下さんの島には、役としての存在感が増しました。
演出や装置の工夫も、初演の舞台の方が、無機質感があり、この作品の世界観にはマッチしていたと思います。
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
ロズギル上演委員会
OFF OFFシアター(東京都)
2015/05/04 (月) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
変則二人芝居の成功作
観たい観たいと思いながら、これまで、ご縁がなかった「ロズギル」。なので、はなから二人芝居用の脚本かと思いましたが、違ったんですね。
いやあ、とても、気の利いた趣向で、見せ方として、とても斬新で、面白かった!というのが、第一印象でした。
でも、帰りの電車の中で、自衛隊員は、ロズギルと同じ運命を辿るのでは?と無性に不安を掻き立てられ、内容はかなり深い芝居なのではないかと、思い直した、昨日の夕刻でした。
ART
松竹
サンシャイン劇場(東京都)
2015/04/28 (火) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
更に熟練の初演トリオに敬服
16年前の初演ステージには狂喜乱舞して、通い詰めました。
何度観ても、こんなに、良くできた芝居にはなかなかお目にかかれないと、いつも感激しています。
ただ、少し、心配もありました。
平田イワンのあの名調子は、健在だろうかと…。
ほとんどの場合、初演より優る再演舞台にはあまり遭遇できないので、期待外れになったらどうしようかと…。
全ては、杞憂でした。
演劇を愛する全ての方に、是非観て頂きたい舞台です。
人間関係の全ての機微が絶妙に描かれた作品を、3人の熟練役者が、軽妙洒脱に演じていて、これほど、珠玉の人間コメディドラマは、他にないのではと思う程です。
この日、会場で配布されたチラシで、平田さんと風間さんが、あの「熱海殺人事件」にご出演の情報をゲットして、これで、まだしばらくは、この世に未練と希望を持って、生き延びられそうな喜びを頂きました。
これだから、演劇熱は、冷めないのです。
真のアーチスト達に、感謝の念でいっぱいです。
ミュージカル『シャーロック ホームズ2 ~ブラッディ・ゲーム~』
キューブ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/04/26 (日) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★★
楽日の力の結晶に感動
初日翌日に観劇した時はどうなることかと感じた公演内容でしたが、スタッフとキャストのアイデアと努力で、かなり、楽しめるステージへとバージョンアップしていました。
小道具やアドリブに工夫を凝らし、客席を和やかな空気にしたのは、偏に、少しでも、この演目を観客に満足できるレベルにしようとする、真のエンタメ精神に満ち溢れた関係者の努力の賜物だと思いました。
別所さんの伸びやかな歌いっぷりに、また彼の演じるバルジャンが観たいななどと、芝居を離れた邪念も生まれてしまいました。
これだけのキャストが揃っているのに、演者としての持ち前の力を思う存分発揮できないような作品形態だったのは、とても残念でなりませんが、こうして、観客の視点に立って、作品に真摯に取り組むこのカンパニーの結束力には、大きな感動を頂きました。
もし、シリーズ3があるのなら、今度は、制作側にも、初心に立ち返って、芝居の本質として、もっと深みのあるミュージカル作品を制作して頂きたいと、切に思います。
ミュージカル『シャーロック ホームズ2 ~ブラッディ・ゲーム~』
キューブ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/04/26 (日) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★
かなり期待外れで、残念
前回の「アンダーソン家の秘密」が、浦井さんの好演もあり、素晴らしい舞台だったので、かなり期待して観に行ったのですが、今回の作品は、キャストは皆さん大熱演なのに、肝心の作品自体が、大変お粗末な作りで、楽曲、脚本構成、演出全てが、とても雑な仕上がりだという印象を受けました。
何といっても、ミュージカルなら、楽曲の良さが、舞台の良しあしを左右すると思うのに、どの曲も、耳に残るメロディラインではないし、ただ悍ましい歌詞が羅列されるだけの曲は、耳障りでさえありました。
前回作品のような、深い人間描写もなく、ただ、ストーリーだけを、都合よく繋げた感が否めませんでした。
でも、橋本さんと、別所さんの、お二人の存在感ある長身俳優さんの夢の共演は、見た目にも、観客心にも、嬉しい舞台作品ではありました。
たぶん、これまでは、同じ役での舞台出演ばかりで、同時に舞台で共演されるのは、初めてではないかなと思うのですが、またこのお二人の共演作を観たいと思いました。
エドガー役の小西さんの初日でした。今度は、良知さんの方を拝見する予定です。
正しい教室
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/04/02 (木) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★
完璧に近い構成が逆に欠点かも
蓬莱さんの作品だから、ある程度のクオリティは期待していました。
だけど、気分が良くなる芝居でもないだろうとも、想像していました。
案の定、想像通りの作品でした。
セットも、登場人物の設定も、キャスト選びも、構成も、全てにおいて、ほとんど申し分がありません。
でも、どこかで、作者の頭脳作戦が見え隠れして、意外性がないし、あくまでも、これは芝居だという、俯瞰での観客体験しかできなくて、その点が不満でもありました。
たくさんの舞台を経験された井上さんの演技が、素晴らしく、ストレートプレイの役者としても、存在感を発揮されていて、初舞台から拝見している身としては、嬉しい思いがありました。
近藤さんも、今や押しも押されもせぬ舞台俳優さんになられて、これも「柔道一直線」から知っているフアンとして、嬉しい観劇となりました。
前田亜季さんも、いつもながら、素敵な女優さんでした。
十二夜
東宝
日生劇場(東京都)
2015/03/08 (日) ~ 2015/03/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
ちょっとビターな味わいの十二夜
ケアードさんの演出だから、きっと今までの「十二夜」とは趣が違うだろうと予想はしていましたが、まさかここまでとは!
この作品、あれこれ、今まで観ているし、高校時代、自分で脚色、演出した作品でもあるので、台詞の暗誦も、未だに可能な程の記憶もあるので、同じ台詞と物語展開でありながら、ここまで、異質な作品に変容できるケアードさんの才に、改めて敬意を表したい思いがします。
成河さん演じる、道化が主役のような芝居でもありました。もう、10年来のファンですが、彼が、こんなに、聴く者の心を捉える歌唱力を有していることを初めて知りました。
マライアの西牟田さんの素晴らしさも、言わずもがな。
最後のシーンが、成河さんの歌唱で、より色濃く、いつまでも印象に残りました。
東京は、千秋楽になりましたが、これから、公演が行われる地域の方には、是非是非ご覧頂きたい舞台です。
ウ゛ァイオラとセバスチャンの双子の兄妹を、演じる音月さんも、とてもキュートで、素敵でした。元宝ジェンヌにありがちな、あくの強い演技をしないので、大変好感が持てました。
鑪―たたら (残席僅か)
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/03/20 (金) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
相性抜群、心に沁みる芝居に感謝
大好きな大好きな脚本家が、信頼する劇団の芝居を書きおろし、しかも、好きな役者さんが勢ぞろい。演出も、新進気鋭の才能ある方。
ずっと、拝見できる日を楽しみにしていました。
期待通り、早船作品は、今回も、裏切らない佳作。しかも、青年座の熟練役者さん揃い踏みで、笑って泣いて、演劇ファンでいることの喜びをたくさん頂きました。
生まれた時から、演劇世界の家庭で育ったので、あまりファン心理を表に出すことはなく、シャイに過ごして来ましたが、この日ばかりは、思わず、早船さんに、お声を掛けてしまいました。
本当に、長きに亘る演劇ファンとして、早船さんが、演劇に携わって下さったことには、感謝の気持ちで、いっぱいになりました。
また、早船さんと、青年座のタッグに期待したいと、心から思います。
クリエ・ミュージカル・コレクション 2
東宝
シアタークリエ(東京都)
2015/02/20 (金) ~ 2015/03/11 (水)公演終了
満足度★★★
高揚感を感じられないのが残念
初回の公演は、チケットが取れず、今回初クリエミュージカルコレクションでした。
楽しみにしていたのですが、楽曲が、クリエ公演作品中心で、東宝やホリプロ公演の楽曲に限られていたせいで、何となくマイナーな選曲に思えました。
たくさん歌って下さるのは嬉しいのですが、出演者同士のトークがないのは、やや淋しく感じました。
せっかくのコンサートなのだから、もう少し、和気藹々ムードが演出されていたらと高望みしました。
父との旅
劇団銅鑼
俳優座劇場(東京都)
2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
清々しいラストに好感
青木豪脚本のファンであることと、息子の友人が出演しているという二つの理由で、初銅鑼でした。
青年座の演出家ということで、舞台装置が、青年座風で、始まる前から、結構安心して観劇できる予感がしました。
青木さんは、いつも思うのですが、本当に群像劇がお上手!
脇役に至るまで、必ず登場人物全員に命を吹き込む脚本で、嬉しくなります。
初見の劇団でしたが、役者さんの演技に、変な癖もなく、皆さん芸達者で、終始、身を委ねて観劇できて、幸せでした。
特別の事件が起こるわけでもない、ある家族の日常の一コマの、丁寧な描写が、大変心地よい舞台でした。
ミュージカル『タイタニック』
梅田芸術劇場
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/03/14 (土) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
濃密な人間劇へと昇華していた
何年か前に、初演版も観ていますが、その時の公演内容とは、似て非なる作品になっていました。
初演版は、ワサワサと気忙しく、人間描写も、底が浅い感じを受けたのですが、今作品は、全体的に、落ち着いて、それぞれの登場人物の精神描写も、機目細やかでした。
戸井さんが、思いの外、ご活躍で、個人的に、大変嬉しく拝見しました。
韓国のセオール号の事件や、先日発見された武蔵の船体など、船への想いが、現実的な昨今の事情もあり、卑近な出来事として、胸に迫るものがありました。
拝見したのが、初日なので、できれば、もう一度、舞台が熟成した頃に、再度観劇したい気もします。
六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事(ちきゅうなげごろううちゅうのあらごと)』
松竹
EX THEATER ROPPONGI(東京都)
2015/02/03 (火) ~ 2015/02/18 (水)公演終了
満足度★★
かなり期待外れ
以前、歌舞伎ファンには至って評判悪かったクドカン歌舞伎も、私はとても気に入っていたので、今回も楽しみにしていたのですが、かなり拍子抜けの作品でした。
内容は、俳優祭でやるお遊びパロディ芝居の域を出ないし、劇場の音響は悪いし、獅童さんの台詞は、はっきり聞こえても、肝心の海老蔵さんの台詞は不明瞭。お二人より、むしろ、加藤清史郎君の活躍が目立ち、加藤清史郎オンステージにお二人の歌舞伎役者が華を添えた感のある舞台になっていました。
亡き勘三郎さんのアイデアを取り入れたストーリーのようでしたが、何だか、後半尻つぼみだし、あくまでも、余興の域を出ない演目だったように感じます。
とは、言え、相変わらず、クドカンさんの歌詞は愉快。囃子方の下座音楽の歌詞は、「あまちゃん」の挿入歌や、「ごめんね、青春」の校歌に引けを取らない、面白さでした。
ミュージカル『メンフィス』
ホリプロ
赤坂ACTシアター(東京都)
2015/01/30 (金) ~ 2015/02/10 (火)公演終了
満足度★★★★
歌の力が圧倒するステージ
以前、トニー賞の授賞式のパフォーマンスで、この作品を目にした時から、観たいと思っていたので、念願叶ってラッキーでした。
しかも、30年来、ファンでいる、山本耕史さんの主演舞台で、やっと彼に見合う実力の相手役を得てのミュージカルですから、観る前から、大満足のステージでした。
圧倒的な歌唱力のキャストが集結して、音楽の力を、感じる作品でした。
血なまぐさい、紛争や、人種差別や、宗教戦争の絶えない世の中ですが、こうして、音楽や芸術や文化の面で、少しでも、世界中の人々が、心を通わせることができたらと、痛切に感じてしまいました。
蛍の頃
ペテカン
あうるすぽっと(東京都)
2015/02/06 (金) ~ 2015/02/11 (水)公演終了
満足度★★★
今年初芝居でした
生まれてこの方、1か月、芝居を一度も観ないことはなかったのですが、何故か今年は、2月になるまで、劇場に行っていませんでした。
だからか、ずっと、体調が悪かったのですが、久しぶりの、私の特効薬の効き目があって、観劇後の足取りが軽くなりました。
ぺテカンのお芝居はいつも安定していて、観ていて、心地よい思いになります。
今回の作品も、愛情に溢れた素敵な舞台でした。
ただ、少し、残念なのは、現在の絹子と、若かりし絹子が、あまりにも、容姿や体型がかけ離れていたこと。
元々は、他の劇団への書下ろし作品とのことで、無理からぬという気もしますが、お二人が、あまりにも似ていないせいで、どうしても、これは芝居なんだという感覚が抜けず、今一つ、劇世界にのめり込めないところがありました。
客演の宮原さん、いつ拝見しても、とても小劇場の俳優さんとは思えないイケメンぶりに、ビックリさせられます。
ネガティブステッカーが、たった2枚で、2000円以上もして高すぎると一瞬思いましたが、おまけが、ある公演のDVDだったからなんですね。「そうか、あれがあるから大人の事情でね」とすぐに納得しましたが、でも事情を知らない人は、単にステッカーにあの金額は出しません。せっかくの苦肉の策でしたが、たぶん売れ残ったのではと、ちょっとお気の毒に思ったりもしました。