十二夜 公演情報 東宝「十二夜 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ちょっとビターな味わいの十二夜
    ケアードさんの演出だから、きっと今までの「十二夜」とは趣が違うだろうと予想はしていましたが、まさかここまでとは!

    この作品、あれこれ、今まで観ているし、高校時代、自分で脚色、演出した作品でもあるので、台詞の暗誦も、未だに可能な程の記憶もあるので、同じ台詞と物語展開でありながら、ここまで、異質な作品に変容できるケアードさんの才に、改めて敬意を表したい思いがします。

    成河さん演じる、道化が主役のような芝居でもありました。もう、10年来のファンですが、彼が、こんなに、聴く者の心を捉える歌唱力を有していることを初めて知りました。
    マライアの西牟田さんの素晴らしさも、言わずもがな。

    最後のシーンが、成河さんの歌唱で、より色濃く、いつまでも印象に残りました。

    東京は、千秋楽になりましたが、これから、公演が行われる地域の方には、是非是非ご覧頂きたい舞台です。

    ウ゛ァイオラとセバスチャンの双子の兄妹を、演じる音月さんも、とてもキュートで、素敵でした。元宝ジェンヌにありがちな、あくの強い演技をしないので、大変好感が持てました。

    ネタバレBOX

    とにかく、皆さん、芸達者な方ばかりだし、安心して、舞台を楽しむことができました。

    石川禅さんが、サー・アンドルーを演じたことで、この役に深みが出ました。アントーニオの馬木也さんには、悲壮感があり、ラストの憂愁を帯びた立ち姿に、涙さえ誘われるほどでした。

    成河さんは、終始、舞台を活気づかせ、彼の一挙手一投足、歌唱の深みに、目も耳も虜に成りっ放しのステージでした。

    普通なら、生き別れの兄妹が再会を果たし、カップルがWで誕生し、めでたしめでたしで、結婚式で終わるハッピーエンドが、一般的だと思うのですが、これは、皆に嘲笑のおもちゃにされた、哀れなマルウ゛ォーリオのうめきを筆頭に、カップルになれなかった、独り身の面々だけが、舞台に取り残されて終わります。

    マルウ゛ォーリオは、自分に策略を嵌めた人々に、恨みを募らせ、それが憎しみの火種として、今後、どこかで、仕返しに発展しそうな佇まいで、舞台後方に去って行きます。
    勘違いをしてはしゃいでいた橋本さんの演技がとても愉快だっただけに、この後姿が、切なく胸に迫ります。

    普通なら、喜劇として、演じられることの多いこの作品を、たぶんケアードさんは、主役の陰で泣かされる側の登場人物に、視点を置いて、演出されたのだろうと思います。

    恨みの連鎖の連続である、人間社会の愚かさを、皮肉っているかのようなラストシーンでした。
    成河さんの哀調を帯びた歌声が、未だに、耳に残ります。

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    2015/04/04 05:25

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