蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~ 公演情報 グループる・ばる「蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    お見事な構成に唸る
    大好きなる・ぱるが、才ある劇作家である長田さんの書く芝居を上演するということで、かなり期待して、劇場に向かいました。

    ただ、恥ずかしながら、茨木のりこさんの詩に全く不案内でしたので、人間関係や、背景を理解できるかしらとやや不安でもあったのですが、それは全くの杞憂でした。

    茨木のりこさんの経歴を全く知らない私でも、実にわかりやすい構成で、それでいながら、芝居の進行に従い、観客を、知らず知らずに、茨木のりこファンにしてしまう、長田脚本の手腕に、感服しました。

    キャストも、皆さん、熟練の手業師ばかりで、久しぶりに、じっくりと、舞台を堪能させて頂けた気がしています。

    ネタバレBOX

    茨木さんの業績や作品を全く知らない人間にも、わかりやすいエピソードを散りばめて、芝居を通して、人間として、女性として、詩人としての茨木さんを、舞台上に再現する技術が、素晴らしく巧みだったと思いました。

    茨木さん一人の人生を追うのではなく、輪廻転生で、何度も生まれ変わっている幽霊の、紀子(きいちゃん)と、典子(てんこ)を、成仏の水先案内人として登場させることで、より、茨木のり子という人間の、描写を鮮明にしています。

    3人ののり子をる・ぱるの3女優が演じ分け、主人公の、女としての恋情、人間としての不条理と闘う姿勢、詩人としてのプライドなどの、細やかなエピソードを積み上げて、最後は、「気がかり」とあだ名されていたノリコが、無事成仏できるらしき、エンディングの見事さは、最近の芝居の中で、群を抜いた、素敵な幕引きでした。

    何役も演じ分けた小林隆さんが、最後は、庭のミカンの木の精として、登場し、「気がかり」だったノリコも、「木がかり」に変身したのかもしれません。

    るぱるのお三人はもちろんのこと、小林さんや木野花さんなどの、共演者の好演も手伝い、観劇中、ずっと、心がほのぼのとさせられ、終わっても、しばらく席を立ちたくない余韻が残りました。

    照明の光の優しさも、終始、胸に残りました。

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    2015/06/18 15:39

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