土反の観てきた!クチコミ一覧

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エオンナガタ

エオンナガタ

公益財団法人日本舞台芸術振興会

ゆうぽうとホール(東京都)

2011/11/17 (木) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★

3人で描く数奇な人生
ある時は男として、ある時は女として国家間の関係を取り持ちながら激動の時代を生き、孤独に死んで行ったシュヴァリエ・デオンの半生を、3人のパフォーマーが日本的要素をスパイスにダンスや魔術的な視覚演出で描いた作品でした。

冒頭にギエムさんのモノローグでエオンの人生が簡潔に語られ、それに続く様々なシーンで色々なエピソードが象徴的に描かれる構成だったので、馴染みのない人物についての物語でしたが分かり易かったです。
前半は色々な試みを盛り込み過ぎて、それぞれの要素のクオリティーが高いのに散漫な印象になっていて残念でした。終盤は物語的には盛り上がりのない内省的なシーンですが、内容と演出が合っていて、とても美しく魅力的でした。

文楽や和太鼓など日本文化の要素が用いられていましたが、懸念していた程には悪い意味でのエキゾティシズムが打ち出されていなくて、違和感を感じずに観ることが出来ました。
照明や衣装などのビジュアル面は良かったのですが、頻繁に用いられる効果音が安っぽく感じられました。これだけ高いレベルのダンサー達のパフォーマンスだと身体の動きだけで色々伝わってくるので、説明的な効果音は不要だと思いました。

ギエムさんの人間離れした身体能力が素晴らしく、ちょっとした動きにも細やかな神経が感じられて美しかったです。歌ったりコミカルなシーンもあり、チャーミングな一面も見られて楽しかったです。
マリファントさんも勇ましさから繊細さまで表現の幅が広く、品の良い色気があって素敵でした。ルパージュさんは演出のついでに少し出演する程度かと思っていたのですが、他の2人のダンサーと対等に渡り合っていて驚きました。

アレキサンダー・マックイーンの衣装は過去にパリコレで発表した作品を思わせるものあって、見応えがありました。もっと色々な舞台衣装を手掛けて欲しく思いました。若くして亡くなってしまったのが非常に残念です。

天守物語

天守物語

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2011/11/05 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★

スタイリッシュな演出
物語や台詞は改変せずに、程良くモダンなテイストを織り込んだ、スタイリッシュな演出が印象的でした。

手前に正方形のステージ、奥に左右や上下に動くたくさんの小さなステージが組み合わされた黒を基調とした奥行きのあるセットがクールで格好良かったです。照明と共に次々と形を変える様が圧巻でした。色や柄がモダンで美しい衣装も素敵でした。

前半は村岡希美さんを中心とした女性5人と3人のアンサンブルが主体となって物語を展開させて、歌やダンスなど飽きさせない要素が盛り込まれていて良かったです。特に小見美幸さんのダンスは躍動感があって際立っていました(本人曰く演出家から目立ち過ぎと怒られたそうですが…)。
富姫を演じた篠井英介さんは巧みな声色の使い分けで、女形ならでは魅力が出ていたと思います。亀姫を演じた奥村佳恵さんは他の出演者に比べて台詞回しがストレートな感じで少し浮いてしまっている箇所もありましたが、小悪魔的な魅力に溢れていました。

康本雅子さんの振付によるダンスがいかにも康本さん的なちょっとコミカルでありながら切れのある動きで楽しかったです。後半になると身体表現のメインが殺陣になり、ダンス的な表現がなくなってしまったのが残念でした。
ハープやオンド・マルトノを用いたフランス的な響きと和楽器を組み合わせた三宅純さんによる音楽は不思議なおどろおどろしさを醸し出していて興味深かったのですが、和のテイストが強過ぎると思いました。録音の音とは別にパーカッションの生演奏があり、殺陣のシーンで効果的に用いられていましたが、せっかくなので他のシーンでももっと演奏して欲しかったです。

全体的に高いクオリティの作品で満足しましたが、スタイリッシュな分、妖艶さが少々足りない様に感じました。このキャスト・スタッフであればもう少し突き抜けたものを見せて欲しかったです。冒頭と中程で新たな要素を付加して現代との繋がりを示唆していたのはいまいち意図が伝わって来ず、不要に感じました。

あなたに会ったことがある

あなたに会ったことがある

MODE

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/11/15 (火) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★

短編集
カフカの短編小説5本を続けての上演で、長編作品に見られるような、見えない力によって振り回される怖さはなく、ノスタルジーと孤独感が感じられる公演でした。

村人達に翻弄される田舎の医者の物語、ある土地に存在する奇妙な判決のシステムを描いた物語、生きているのか死んでいるのかがはっきりしない男の独白、孤独な中年男の部屋に奇妙な物体が現れる物語、田舎から都会に出た男の子供時代の回想の5つのエピソードは、劇的な展開もオチもない感じのものが多く、もやもやとした寂涼感が漂っていました。最後の話があっけなく終わるので、オープニングと対応する様なエピローグがあった方が良いと思いました。

様々な役を演じ、人間以外にも動物や無生物まで演じる演出は興味深かったのですが、もっと振り切った演技を観てみたかったです。子供の役が多く、意図的に学芸会めいた演出・演技にしているのは分かるのですが、それによって狙うところがはっきりせず、もどかしかったです。
オープニングはMODEいつもながらの演出でしたが、それでもやはり格好良かったです。

初日だったせいか台詞や動きの間が悪い所が見られ、なかなかカフカの世界観に入り込めませんでした。数名による会話のシーンより、福士恵二さんや西田薫さん等のベテラン役者の一人語りのシーンが印象に残りました。

ジェローム・ベル『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』

ジェローム・ベル『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2011/11/12 (土) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いの裏にある挑発
世界各国で上演されている話題作の日本初演で、日本で30人弱の出演者を集めての上演でした。想像していたよりも分かり易い内容で(悪意が込められた皮肉的な「分かり易さ」でもありましたが)、普通に楽しめるものとなっていました。
ベタなギャグで笑いながら観ることも、劇場という制度や、ポップカルチャーとハイカルチャーの関係、演者と観客の関係、作者とは、ダンスとは、等について考えながら観ることも出来る、懐の深い作品でした。

舞台奥に曲名表示用のスクリーンが吊られ、客席最前列と舞台の間に音響の操作盤がセットされていて、「DJ」が1曲毎にCDを入れ替えて再生し、その曲の歌詞やタイトルに合わせた動きが演じられるという構成でした。
冒頭の『Tonight』では、無人の舞台は真っ暗なままで、次の『Let The Sunshine In』で次第に明るくなり、3曲目の『Come Together』でやっとパフォーマーが現れるものの全く動かず、次の『Let's Dance』で急にノリノリに踊るという、あまりに曲のテキストに密着した展開が観客の笑いを呼び起こしていました。
『Private Dancer』では無人となった舞台にDJが上がり一人で踊り、途中で一旦卓に戻って音量アップとスポットライトを作って更に踊ったり、映画『タイタニック』のテーマ曲で有名な『My Heart Will Go On』では映画の例のポーズをした状態のままセリを使って沈んで行き、次の曲が『Yellow Submarine』だったり(しかも奈落からの合唱付き)、『Sound of Silence』では音量を絞ってタイトル通りに無音になってしまったりと、まるでコントの様でした。

ラストの『The Show Must Go On』までこの様な調子で計20曲近くが続くのですが、どの曲も最初から最後まで丸々1曲流し切ったり、1つの曲に対して1つのアイディアしか用いなかったり、全体の1/3程度の時間が無人で何も起こらない時間だったりと、禁欲的で意図的に退屈なシーンを作っていて、「何を期待して劇場に来ているのですか?」と問い掛けられているかの様でした。
ほとんどダンス的な動きの無い作品の中で唯一『Macarena』だけは全員のユニゾンで踊るのですが、16カウントで1サイクルの単調な振りを延々続ける姿に得体の知れない怖さを感じました。

終演後騒動になったという10年前のパリでの初演はプロのバレエ団によるパフォーマンスだったのことで、鍛えられたダンサー達が延々と馬鹿馬鹿しいことをするというギャップが鮮烈だったのだと思いますが、今回の日本バージョンではダンサーではない人が多く出演していたので、初演時に感じられたであろう程の衝撃は感じられませんでした。
また、既に本やインターネット上で作品や作者についての情報が出回っている環境なので、挑発的な内容がすんなりと受け止められている様に感じました。今となっては無理な話ですが、ベルさんの作風を知らないまっさらな状態で体験してみたかったです。

勅使川原三郎『私が思うこと』

勅使川原三郎『私が思うこと』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

自由学園明日館 講堂(東京都)

2011/11/12 (土) ~ 2011/11/12 (土)公演終了

満足度

ダンス無しの2時間トーク
勅使川原三郎さんが出演なので踊るものだと思っていたのですが、トークのみで全く踊らないイベントでした。トークの内容も勅使川原さんが人に見せる前提ではなく付けている日記の抜粋をネタに自由に話すというもので、得る所が無かった訳ではないのですが、行き当たりばったりの纏まりのない話が続くので、辛かったです。
上演予定時間が60分となっていたのに実際は110分程あり、勅使川原さんは1時間を過ぎたところでも全然時間を気にする様子がなかったので、制作サイドの伝達ミスだったのでしょうか?
『なにもない空間からの朗読会』のシリーズは通常の公演と変わらない高いクオリティーの作品が多く、この回も期待していたので、残念な内容でした。

ステージ上では孤高の人といったイメージの勅使川原さんが眼鏡を掛けてボソボソと話す姿が意外で親近感を感じました。照明は明るさではなく暗さを調整するために用いているという旨の話や、確定せずに躊躇し続けるダンスという概念が興味深かったです。

トラベラー(旅する人々)

トラベラー(旅する人々)

Uフィールド

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2011/11/10 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★

人生の旅
太田省吾の書いた様々なテキストを構成して、普遍的な男と女の関係を描いた作品で、人が存在することのかけがえのなさを優しく表現していました。

手書きのテキストが壁面に投影されて始まり、生と死、旅、男と女といったテーマがプロローグとエピローグに挟まれた連続する10のエピソードを通じて静謐な雰囲気だけでなく、シュールだったり、官脳的だったり、スラップステイックだったりとバラエティーに富んだ表現で描かれていました。
新聞広告や折込チラシを丸々台詞にしたシーンの台詞回しや動きの馬鹿馬鹿しさが意外で、印象に残りました。後半では熟年夫婦の愛情がユーモラスに描かれていて、暖かい気持ちになりました。エピローグの演出がスタイリッシュで良かったので、他のシーンでも洗練された格好良さを見せて欲しかったです。

段ボールを積層して作った縦横40cm、厚さ15cm程度のブロック48個をシーンに応じて並び変えて空間に変化を与えていましたが、空間の広さに対して規模が小さくてあまり効果が感じられませんでした。もっと大量に用いるとか、グリッド状に点在させる等、色々と使い方の可能性がありそうに感じました。

ノーション:ダンス・フィクション

ノーション:ダンス・フィクション

チョイ・カファイ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/11/07 (月) ~ 2011/11/08 (火)公演終了

満足度★★★

詐欺
筋肉に電流を流し、その刺激で身体運動をコントロールする技術を用いて、映像や言葉を使うことなく直接的に振付を人に伝達するシステムのデモンストレーションで、偉大なダンサー/振付家の動きを電流のオン/オフのデータに変換してアーカイブ化するという、刺激的なプロジェクトで、とても興味深かったです。

筋肉に電流を流す実験の歴史のレクチャーから始まり、システム開発の経緯、実験の過程が映像と共にユーモラスにプレゼンテーションされ、後半は女性ダンサーが装置を身に付けて、実演が行われました。
コントロールの精度が非常に高く、サンプリング対象となった、ニジンスキー、土方、ピナ等のダンスの映像と、電極を装着したダンサーの動きがほとんど同じで驚きました。

…というのは全部嘘で、実際は電流で動かされているのではなく、単純に動きを覚えてコピーして踊っているだけという、人を食った様な作品でした。
電流による身体制御の作品を作っているステラークさんや真鍋大度さんの仕事を知っていたので、装置を見た瞬間にこの程度の装置では全身を制御するのは無理だと分かりましたが、タイトルに「フィクション」とはあるものの、作中ではフェイクであることが明かされないまま終わるので、騙されてしまった人がいたかもしれません。

システムが偽物だったのにはがっかりしましたが、身体とテクノロジーの関係、振付の記譜法、本物と偽物、など様々なトピックについて考えさせられる、コンセプチュアルで愉快な作品でした。

いつも誰かのせいにする

いつも誰かのせいにする

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

スリリングな会話劇
映画製作会社を舞台に、それぞれ嫌な一面を持った人達を笑いをふんだんに盛り込みつつシニカルに描き、オーソドックスな会話劇ながらも脚本・演出・演技ともクオリティが高く、スリリングな展開に一瞬たりとも目が離せない、完成度の高い作品でした。

タイトルの通り、責任を人のせいにしようとする人達の物語をメインに据えつつ、芸術と仕事、デモ活動、匿名のネットコミュニティー、メディアによる煽動など今日的なトピックにも触れていて、それらが散漫にならずテーマに収束して行く脚本が面白く、かつ心に刺さる鋭さがありました。
緊張感のあるオープニングから、それまで俯瞰的な立場で観ている観客を終盤にフォーカスされる人物と同じ心境にさせる手法など、演出もスマートで素晴らしかったです。

劇場の形に対して斜めに配置し客席まで張り出したインパクトのある舞台に事務室と応接室が高低差を付けて区切られていて、その2部屋を照明効果と合わせて巧みに使って、時間軸をジャンプしていく演出が見事でした。それまでの世界観を変える、終盤の空間の使い方がとてもスタイリッシュで格好良かったです。
演出家自身の選曲による音楽もセンスが良く、テンションが上がりました。

役者達の個性的でかつ自然な演技が曰くありげな登場人物をリアルに描出していて、物語の世界にストレスなく没入出来ました。
菊池明明さんのボケキャラっぷりと小林タクシーさんの小物感が楽しく、片桐はづきさんの寂しさを感じさせる姿が印象的でした。

カオス*ラウンジ『カオス*イグザイル』

カオス*ラウンジ『カオス*イグザイル』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

秋葉原エリア(東京都)

2011/10/22 (土) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度

ディストピア、秋葉原
秋葉原にある2つの雑居ビルを使った作品で、役者がいて演技をするわけではなく、物や映像が展示されているインスタレーション作品でした。チラシとパンフレットからの情報だけでは作品の意図があまり分からなかったのですが、オタクの聖地、秋葉原の環境とオタクの生態を絶望的に描いている様に感じました。

第1会場はゲームセンターを模していて、アニメや漫画関連のアイテムや、ネット上の画像のコラージュで埋め尽された中に無料で出来るUFOキャッチャーがあり、それで景品を取るか500円を払うと第2会場の会員証を入手できるシステムでした。
第1会場から歩いて5分程の距離にある第2会場は人気の少ない場所にある雑居ビルの4階と5階にあり、4階は壁が鏡貼りになったキャバクラを模した空間で、奥にあるソファーで若者達がお互い干渉することなく音楽を聴いたり、本を読んだりしていて、ネット上では繋がっているのにリアルでは関係を持とうとしない姿を描いている様に見えました。5階は元々は住居だったらしく、押し入れやキッチンの痕跡が残っていて、照明の無い暗い空間の中にビニールハウスがありパソコンや色々な物が散乱している様子がタイトルにある「国外追放」を思わせ、得体の知れない怖さを感じました。

パンフレットに書かれた文章は興味深かったのですが、演劇作品として、あるいは美術作品としてはあまり印象に残りませんでした。会場での体験よりもむしろ第1会場から第2会場へ移動するときの秘め事めいた感じや、第2会場を出るときに1つ下のフロアに『あきば女子寮』という女子寮に遊びに来るというコンセプトの店があったり、駅の近くのガンダムカフェやAKB48ショップが賑わっていることに演劇的な要素を感じました。

Waiting ~とりあえず、黙って待ってみる…~

Waiting ~とりあえず、黙って待ってみる…~

いいむろなおきマイムカンパニー

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/11/02 (水) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★

明快なマイム
様々な「待つ」というシチュエーションをパントマイムでユーモラスに描いた作品で、分かりやすい表現が多く、親しみを覚えました。

海の中で生命が誕生し人間に進化するまでを数分間で表現するいいむろさんのソロで始まり、全員が装着した白い手袋がブラックライトで照らされ、魚や鳥の群れを模しているうちにタイトルの「WAITING」の文字の形になるオープニングが圧巻でした。
その後はトランクを持った男がおそらく行き先や指示が書かれている紙を手にして色々な人に出会う物語が断片的に続き、後半はそれまで無言だったのに、国籍不明な出鱈目な言語でコントの様なやりとりが始まり、面白かったです。
再びブラックライトを用いて紙飛行機が色々な場所を飛び回る様子を美しく描き、そして冒頭の進化の過程が逆回しで演じられて終わりました。

スローモーションやストップモーション、マイムで定番の動かない物体の表現等を用いた動きが素晴らしく、時間や空間が変容しているかの様でした。中盤は同じことの繰り返しに少々退屈さを感じました。技術があるので、もう少し実験的な表現をしても十分客席に伝わると思いました。

くるみ割り人形

くるみ割り人形

ABC・FACTORY

渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/05 (土)公演終了

満足度★★★

寺山修司脚本による『くるみ割り』
バレエの名作『くるみ割り人形』を子供用アニメーション化するために寺山修司が書いた脚本(結局アニメは作られなかったそうです)をバレエ化するという興味深い作品でした。台詞や歌もあり、振付もバレエ的な動きだけでなくコンテンポラリーやジャズダンスの動きが取り入れられて、親しみ易い内容でした。

支那の国の皇帝の娘、マリーがネズミの呪いによって歯がネズミの歯の様になってしまったのを治す物語を主軸に、コッペリウスやヘンゼルとグレーテル、ヨカナーン等、他のバレエやオペラの登場人物が現れ、コミカルな雰囲気でした。
プティパ版では第2幕は世界各国の踊りが続いて物語上の展開があまりないのですが、今回のバージョンでは物語としての流れがありました。ラストではプティパ版に比べて夢を積極的に引き受ける様な展開になっていたのが印象的でした。

ダンサーは技術的にはもうちょっとという感じでしたが、表情が豊かで魅力的でした。歌ったり台詞を話ながら踊る人が凄かったです。
それほど広くないステージなので、コールドバレエのシーンでも10人程しか踊らず、またその人数でも動きやポーズが揃っていなかったなが残念でした。

セットは舞台奥にマジックミラーのフィルムを張った可動式のパネルを5台並べただけと簡素でしたが、パネル越しに青白い幻想的なシーンを見せたり、回転させて出捌け口に使うなど巧みに使われていました。
コールドバレエの時はダンサー達の姿が反射してボリューム感を出していて良かったのですが、パドドゥの時は目障りに感じました。
ちなみに音楽はチャイコフスキーのバレエ音楽をほぼ全曲とチャイコフスキーの他の作品を使っていて、いくつかの曲にはメロディーに歌詞を付けて歌っていました。

砂の駅

砂の駅

NPO法人 魁文舎

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★

砂の上での出会い・別れ
台詞が一切無く、音楽もわずかで動きもゆっくりという静けさの支配する中で、少々エロティシズムを感じさせながら色々な男と女の出会いと別れが描かれた作品でした。円形の砂の中で無関係な人達がすれ違ったり、ちょっと佇んだ後にそれぞれの方向に進んでいったりと、タイトルにある「駅」を感じさせる時間でした。

手前に砂が敷き詰められた大きな円形の舞台、奥は3m程高くなった真っ黒な舞台、そして中央に階段というセットの砂の部分を主に用いて、若い男女のシーンから次第に年老いた男女のシーンへと移行し、生涯を通じての男女関係が静かに綴られていました。
老夫婦2人が地面に座り込み、妻がブラジャーを取り蝶々の様に操り、夫がぼーっと見ているシーンが暖かみがあって印象に残りました。
ラストでは全員が黒い服で現れて葬式を思わせ、作品全体が走馬灯の様なものに思えました。黒い服を着た女性が常に奥の方に佇んでいるの印象的でしたが、どのような意味を表しているのかが解りませんでした。

序盤、中盤、ラストに舞台上に出てくる小道具が小さくて、何なのかが分からず残念でした。小道具だけでなく、抑制されたわずかな動きの演技も世田谷パブリックのサイズでは客席に伝わらず、演出が会場に適していないと思いました。
音楽が叙情的過ぎで、同じ曲が何回も流れるので、安っぽいテレビドラマみたいになってしまうのが残念でした。特にラストの音楽はセンスが感じられませんでした。また、せっかく韓国のベテラン役者達が参加しているのに、その声や台詞回しを全く聞けないのは勿体ないと思いました。

昼食後に観た為、睡魔に襲われて色々と見落としてしまった所がありそうなので、意識が冴えているときに観るべき作品だと思いました。

地点『CHITENの近現代語』

地点『CHITENの近現代語』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

みらい座いけぶくろ(豊島公会堂)(東京都)

2011/11/04 (金) ~ 2011/11/04 (金)公演終了

満足度★★★★

多彩な声
8月に行われた『吾妻橋ダンスクロッシング』にて発表された『his master's voice』が倍近い時間に拡大され、空間を活かした作品にバージョンアップしていました。日本の近代化~戦争~戦後に関連するテキストが響き合い、心地よい緊張感がありました。

昭和の時代感が溢れるホールの18列ある客席の12列目以降だけが解放されていて、それより前の席はアクティングエリアとして使用されていました。開演時刻の少し前から役者がばらばらに入ってきて、離れた位置に座り、大日本国憲法が独特の抑揚とリズムで読みあげられて始まり、『家路』(朝吹真理子)、『象』(別役実)、犬養毅の演説、日本国憲法などのテキストが用いられていました。
基本的な構成は『his~』とほぼ同じで、各パートが拡張された形になっていました。誰もいないステージに向かって拍手とブラボーが送られ、そのまま観客の拍手に繋げるラストシーンが大きな変更でした。

客席の陰に小道具のスイカやアコーディオンを隠していたり、役者自身も横になって身を隠して誰の姿もない中、ステージだけが妙に明るいホール内に声が響き渡るというシュールな光景が展開されたりと、会場の特徴が巧みに取り込まれていました。『君が代』をアコーディオンで演奏するシーンや犬養毅の演説はこの会場の雰囲気にまさにうってつけだったと思います。開演時刻を告げる昔ながらのけたたましいブザーや、館内放送のスピーカーから流れる注意の一節なども作品に取り込まれていて、近現代の日本というテーマにマッチしていました。

尺が長くなった分、少々密度も薄くなってしまった感もありましたが、『his~』ではあまり感じられなかったユーモラスな要素が時折浮かび上がってきていて楽しかったです。

不文律

不文律

643ノゲッツー

劇場HOPE(東京都)

2011/11/01 (火) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

医者としての不文律
アルコールや薬物やセックス依存症の人の更正の為の隔離施設を舞台にした物語で、医療に関する重いテーマを緊張感のある演出で描いていて、引き込まれました。
暴力的、狂気的シーンが多くて笑いもほとんどなく、後味も良くないのですが、印象に残る作品でした。

冒頭からテンションの高い暴力的なシーンで、その後も激しい口論や患者達の異常な行動が続く殺伐とした雰囲気で物語が進み、次第に施設の裏の顔が明らかになって行き、最後は医者としての信念の違いから生じる悲劇的な決別が非常に衝撃的な表現で描かれていました。

後から冷静に考えると物語としてはそれほど新味のあるものではないのですが、演出が素晴らしくて、観ている間は圧倒されっぱなしでした。先鋭的な作品に見られる様な、ユニークな演出手法自体をアピールするタイプではなく、少々実験的な手法も内容に沿っていて自然に感じられる、手法だけが突出しない絶妙なバランス感覚が良かったです。
特に音の使い方がとても良かったです。常にメトロノームの音や衝撃音でビートが刻まれ、不安感を煽っていたのがとても効果的で、後半で使われるホイッスルの音も切迫感がありました。
シンプルな設えで空間を仕切り、重層的な表現を可能にしていた美術も良かったのですが、妙にカラフルなのが安っぽくて残念でした。床の模様も含めて1つの色に統一した方が、空間に緊迫感が出ると思いました。

この劇団を観たのは前々作の『バニラ』で、笑いを狙い過ぎて空回りしている感じを持ったのですが、今回は直球勝負のヘビーな作品になっていて、今後の展開が楽しみです。

イロアセル

イロアセル

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/10/18 (火) ~ 2011/11/05 (土)公演終了

満足度★★★

メディアの(負の)力
現実の世界における様々な問題を、声が色として見えるという現実離れした設定や「カンチェラ」という新体操に似た架空のスポーツを用いて描いた作品でした。

声が色付いて見えてしまうので、人々が思ったことを言えずに暮らしている島に、罪を犯して収監されるために男がやって来て、その男の前では声が無色透明になって他の人に聞かれないことから、島の人たちが集まって心に秘めていたことを打ち明け、島の社会的システムが変容していく物語でした。
インターネットの匿名性によって起こる問題や、マスメディアの権力性をブラックユーモアを効かせて描いていて、寓話的雰囲気の中に怖さを感じました。

「島」「本土」という呼び方や囚人が入れられている鉄の檻から沖縄の基地問題を想起させたり、カンチェラの審査員の不正がフィギュアスケートの審査方法を巡るいざこざを想起させたりと、現実に起きている問題に関連するトピックを盛り込み過ぎたために焦点がぼやけてしまい、盛り上がりに欠ける様に思いました。

声が色として見えるという、表現の難しい設定をちゃんと可視化していましたが、あまり効果が感じられませんでした。出演している友人に確認したところ、役者ごとの声の違いを自動認識して反応しているとのことでしたが、手動で変化させている様に見えて残念でした。
映像や効果音にレトロ感を狙ったとも感じられない微妙な古臭さがあり、いまいちに感じました。転換の処理もスマートでなく勿体なかったです。

役者達はベテランの人も多く、安定した演技で見応えがありました。ベンガルさんのコミカルな演技が楽しかったです。

ロロvol.6 『常夏』

ロロvol.6 『常夏』

ロロ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/10/25 (火) ~ 2011/11/05 (土)公演終了

満足度★★★★

フィクションとしての夏
春から続いている夏シリーズのラストを飾る作品で、ここ最近の作品での試行錯誤している感じを払拭する様な、瑞々しい爽快感がありました。

探偵事務所の2人、甲子園好きな姉弟、世界征服を狙う2人、離れ離れになってしまう男女、1人佇む浴衣の女のエピソードが断片的に重なりながら描かれ、よく分からないながらも圧倒的な高揚感で感動させられてしまうラストへなだれ込む構成で、いつものパターンなのではあるのですが今までと異なる手触りがありました。
いかにも夏を思わせるアイテムがたくさん出てくるのですが、リアルな夏というよりかはイメージとしての夏という雰囲気で物語が描かれていて、うっすらと立ち上るノスタルジックな感じが心地良かったです。今までの作品に比べて文学性とエロティシズムが強く打ち出されていて、新鮮でした。

様々なサブカルチャーからの引用やベタな台詞が狙って配置されているのにスノッブな嫌らしさを感じさせず、とてもナチュラルに表現する、この劇団の特色が良く出ていたと思います。脚立やブルーシート、バスタブ、台車などの工業製品を他の物に見立てる演出も面白かったです。

毎回思うことですが、女優陣が魅力的で、それぞれの個性が引き立っていました。びしょ濡れになりながら演じる北川麗さんの不思議な色気が特に印象に残りました。

岡崎藝術座『レッドと黒の膨張する半球体』

岡崎藝術座『レッドと黒の膨張する半球体』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2011/10/28 (金) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★

移民、歴史
奇妙な世界観で将来の日本の姿を描き、歴史や移民について考えさせる作品でした。

某有名ミュージシャン夫妻や牛やダークマター等をモチーフにしたナンセンスに見える断片的なエピソードが時間が経過に従って次第に組み合わさって意味を帯ていく脚本が面白かったです。常に鼻をほじくっていたり、屁をしたり、セックスの露骨な描写等、人を不快にさせる要素と、スラップスティックな笑いの要素が並列して表現されていて、奇妙な雰囲気が漂っていました。前半は心動かされることがなかったのですが、歴史を書き換えて行くシーンでは少し笑わせられながらも現実の歴史もその様に扱われているのではないかと怖さを感じ、終盤の展開は何とも言えない感情を刺激され、良かったです。タイトルが内容とどう関連しているのかが全然分からず、モヤモヤ感が残りました。

元々体育館であった会場をそのまま見せる即物的な美術や、ステージ上の音をマイクで拾って増幅させハウリングを起こさせたり、可聴域ギリギリの高周波を流したりと不穏な空気を演出していた音響も独特の世界観の構築に大きく寄与していました。

絶えずニヤニヤと薄気味悪い笑顔でバランスを崩した激しい動きを行う成河さんと鷲尾英彰さんが印象に残りました。

カシオ

カシオ

ブルーノプロデュース

STスポット(神奈川県)

2011/10/28 (金) ~ 2011/10/31 (月)公演終了

満足度★★★

併置される要素
小学生時代の作文を基にして構成するという興味深い作り方の作品で、床も壁も真っ白で何もない空間の中に子供時代の様々なエピソードが重なり、感傷的になり過ぎることもなく、爽やかさが感じられました。

単純にテキストを読みあげたり再現するのではなく、音楽的な声の使い方、役の入れ替わり、異なるシーンの同時進行、開演前アナウンスの何度にも渡る挿入等、多彩な手法を用いてテキストを扱っていましたが、手法ばかりが目立っていて伝わってくるものがあまりありませんでした。前作の『ひとがた流し』の方がリアリズムではない手法を使うことに説得力があった様な気がします。
それらの色々な手法も、既視感を覚えるものが多く、先例を越える魅力を感じさせるまでには達していなかったと思います。
しかし、役者と役や物語との距離の取り方が独特で不思議な魅力がありました。テンポに対して意識的な音楽も良かったです。

まだとても若い演出家で、これからも色々と興味深い試みを見せてくれそうなので、今後が楽しみです。

白井剛『静物画―still life』

白井剛『静物画―still life』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

自由学園明日館 講堂(東京都)

2011/10/27 (木) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

物・空間との対話
様々な日常的な小道具や会場の空間とダンサーの身体との関係性を丁寧に掬い取り、静謐な表現にまとめあげられた、とても美しい作品でした。

スプーンを手や足の甲に置いた状態で動いたり、ビー玉の乗ったテーブルを落とさないように2人で運んだりと、人間の体が常に重力に対してバランスを取っていることを小道具を用いて顕在化していて、それが説明的なだけではなく、ユーモアや詩情を感じさせるムーブメントになっていました。ティッシュペーパーを掌に乗せて空気の抵抗とバランスを取りながら踊る姿が素敵でした。
中盤ではダンサー達が風船になったかの様な浮遊感のある動きがユーモラスで可愛かったです。
段になった床や奥まった部屋など明日館の特徴を活かした空間の使い方も良かったです。

去年の京都での初演を観た時もティッシュペーパーのダンスが印象に残ったものの、他の小道具に比べてティッシュペーパーだけがタイトルの静物画らしくなくて唐突な感じを受けたのですが、今回は果物(たしか初演では使われていなかったと思います)が床を転がり回るダンサーによって押し潰され、その汁を拭き取るシーンがあったことで唐突感が薄まっていたと思います。終演後に出演者に聞いたところ、果物を潰してしまったのはアクシデントで、本来はティッシュで床を拭くシーンもなかったそうです。しかし結果としてはスムーズな小道具の導入になっていて、演出としてとても良かったと思います。

後半の白井さんのソロとそれに続くユニゾンでのダンスはスタイリッシュで格好良かったのですが、いわゆるダンス的ムーブメントが少ない作品なのでガッチリ踊るシーンも入れてみましたという風に見えてしまい、全体の構成の中で異質に感じられたのが残念でした。

シルヴィ・ギエム オン・ステージ2011 Bプロ

シルヴィ・ギエム オン・ステージ2011 Bプロ

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

多様な4作品
トップダンサー、シルヴィ・ギエムさんと東京バレエ団の合同公演で、現代バレエの代表的な振付家4人の作品をまとめて観ることが出来る、充実した内容でした。

『春の祭典』(モーリス・ベジャール振付)
原始宗教的な雰囲気の中、エネルギッシュな音楽に沿った生命感溢れる振付で迫力がありました。第1部は男性ダンサーによる群舞、第2部前半は女性ダンサーによる群舞で、それぞれ1人ずつ生餐が選ばれ、第2部後半でその2人が出会ってセックスを思わせる激しいデュオを踊り、それが全員に波及する展開で、終盤のダイナミックなデュオから全員の踊りになる勢いに迫力がありました。
前半のユニゾンで揃っていない部分が散見され、勿体なく思いました。録音を使っての上演で生演奏ではなかったのが残念でした。

『リアレイ』(ウィリアム・フォーサイス振付)
過去にフォーサイスさんとギエムさんのコラボレーションで作られた『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』を思わせる、クールな雰囲気の作品でした。黒っぽい格好をした2人のシルエットがうっすら見える程度の薄明かりの中、ストリングスの抽象的な響きが流れ、着かず離れずな関係性を保ちながら奇妙な流動性のある動きが淡々と紡がれ、各シーンが終わる寸前だけ明るくなるというのが繰り返される構成でした。
浮遊感のある不思議な動きを易々とこなすギエムさんとマッシモ・ムッルさんの身体能力が素晴らしかったです。

『パーフェクト・コンセプション』(イリ・キリアン振付)
緞帳をダンサーが開く印象的なオープニングで始まり、前半はバッハやケージの曲を用いた静謐な雰囲気で、後半はインダストリアル系のハードなビートで踊り、盛り上がりのないままさらっと終わる、ちょっと人を食った所のあるアイロニカルな作品でした。
男女それぞれ2名ずつのダンサーが座布団のような紺色のチュチュを片足で踏んで引きずったり、頭に装着したり、1人が4枚とも穿いてしまったりと、真面目な雰囲気で馬鹿馬鹿しいことをしているのが楽しかったです。ダンス自体は引き締まった動きで構成されていて、動きも整っていて良かったです。逆さに吊られた木や、スポットライトが取りつけられた天井で回転する鉄骨トラスがスタイリッシュでした。

『アジュー』(マッツ・エック振付)
有料のプログラムを買わなかったので、作品の内容を勘違いしているかもしれませんが、ギエムさんのセルフポートレイト的な雰囲気があり、ユーモラスで味わい深いソロ作品でした。ドア程度のサイズのスクリーンに実物大のサイズでギエムさんが映し出され、スクリーン内と現実世界が繋がっている様に見せるイリュージョンがユーモラスでした。
円形の照明に照らされる中でポワントを履いて踊り、途中で上着とポワントを脱ぎ照明も四角形に変化し、ギエムさんがクラシックの枠を打ち破りコンテンポラリーに積極的に関わる様になった半生を描いているみたいでした。映像の中で集う人々に招かれ、映像の中に入って去って行くエンディングが美しかったです。ベートーヴェンのピアノソナタ32番がとても作品に合っていて素敵でした。

作品自体はどれも素晴らしかったのですが、このBプログラムではオーケストラの生演奏がないので必要のないオケピットが空のままステージと客席を隔てていたり、遅刻者が多くて開演が押したり、上演中に物音を立てる人が多かったり、カーテンコールで機械的にブラボーを連発する人がいたり(関係者か仕込みでしょうか?)と、運営や観客に興をそぐ要素が多くあって残念でした。

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