満足度★★★★★
スリリングな会話劇
映画製作会社を舞台に、それぞれ嫌な一面を持った人達を笑いをふんだんに盛り込みつつシニカルに描き、オーソドックスな会話劇ながらも脚本・演出・演技ともクオリティが高く、スリリングな展開に一瞬たりとも目が離せない、完成度の高い作品でした。
タイトルの通り、責任を人のせいにしようとする人達の物語をメインに据えつつ、芸術と仕事、デモ活動、匿名のネットコミュニティー、メディアによる煽動など今日的なトピックにも触れていて、それらが散漫にならずテーマに収束して行く脚本が面白く、かつ心に刺さる鋭さがありました。
緊張感のあるオープニングから、それまで俯瞰的な立場で観ている観客を終盤にフォーカスされる人物と同じ心境にさせる手法など、演出もスマートで素晴らしかったです。
劇場の形に対して斜めに配置し客席まで張り出したインパクトのある舞台に事務室と応接室が高低差を付けて区切られていて、その2部屋を照明効果と合わせて巧みに使って、時間軸をジャンプしていく演出が見事でした。それまでの世界観を変える、終盤の空間の使い方がとてもスタイリッシュで格好良かったです。
演出家自身の選曲による音楽もセンスが良く、テンションが上がりました。
役者達の個性的でかつ自然な演技が曰くありげな登場人物をリアルに描出していて、物語の世界にストレスなく没入出来ました。
菊池明明さんのボケキャラっぷりと小林タクシーさんの小物感が楽しく、片桐はづきさんの寂しさを感じさせる姿が印象的でした。