満足度★★★
人生の旅
太田省吾の書いた様々なテキストを構成して、普遍的な男と女の関係を描いた作品で、人が存在することのかけがえのなさを優しく表現していました。
手書きのテキストが壁面に投影されて始まり、生と死、旅、男と女といったテーマがプロローグとエピローグに挟まれた連続する10のエピソードを通じて静謐な雰囲気だけでなく、シュールだったり、官脳的だったり、スラップステイックだったりとバラエティーに富んだ表現で描かれていました。
新聞広告や折込チラシを丸々台詞にしたシーンの台詞回しや動きの馬鹿馬鹿しさが意外で、印象に残りました。後半では熟年夫婦の愛情がユーモラスに描かれていて、暖かい気持ちになりました。エピローグの演出がスタイリッシュで良かったので、他のシーンでも洗練された格好良さを見せて欲しかったです。
段ボールを積層して作った縦横40cm、厚さ15cm程度のブロック48個をシーンに応じて並び変えて空間に変化を与えていましたが、空間の広さに対して規模が小さくてあまり効果が感じられませんでした。もっと大量に用いるとか、グリッド状に点在させる等、色々と使い方の可能性がありそうに感じました。