満足度★★
短編集
カフカの短編小説5本を続けての上演で、長編作品に見られるような、見えない力によって振り回される怖さはなく、ノスタルジーと孤独感が感じられる公演でした。
村人達に翻弄される田舎の医者の物語、ある土地に存在する奇妙な判決のシステムを描いた物語、生きているのか死んでいるのかがはっきりしない男の独白、孤独な中年男の部屋に奇妙な物体が現れる物語、田舎から都会に出た男の子供時代の回想の5つのエピソードは、劇的な展開もオチもない感じのものが多く、もやもやとした寂涼感が漂っていました。最後の話があっけなく終わるので、オープニングと対応する様なエピローグがあった方が良いと思いました。
様々な役を演じ、人間以外にも動物や無生物まで演じる演出は興味深かったのですが、もっと振り切った演技を観てみたかったです。子供の役が多く、意図的に学芸会めいた演出・演技にしているのは分かるのですが、それによって狙うところがはっきりせず、もどかしかったです。
オープニングはMODEいつもながらの演出でしたが、それでもやはり格好良かったです。
初日だったせいか台詞や動きの間が悪い所が見られ、なかなかカフカの世界観に入り込めませんでした。数名による会話のシーンより、福士恵二さんや西田薫さん等のベテラン役者の一人語りのシーンが印象に残りました。