ITOYAの観てきた!クチコミ一覧

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いい加減にしてみました3

いい加減にしてみました3

アタリ・パフォーマンス

本多劇場(東京都)

2010/03/05 (金) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

何と言ってもゲストの沢口靖子のコメディエンヌぶりが最高です!
伊東四郎さん、三宅裕司さんによるコントライブの第3弾!
今回はゲストに沢口靖子を迎えて、とっても華やか。
第1回「東宝シンデレラ」グランプリ、ゴジラ復活主演女優、今は先日テレビ放映の「科捜研の女」や、土曜ワイドの鉄道公安官など、事件ものが多い沢口さんですが、コント演技がとっても楽しい。
やはり女優さんが入ると、パァッと明るくなります。
基本的には、ボケる沢口さん・伊東さんに突っ込む三宅さん。
普通に真面目な沢口さんがとても可笑しくてチャーミング。

20分くらい?の3人を中心にしたコントが
5本あって、それぞれの間に、
楽屋を模したセットでの伊東・三宅二人が
着替えながらのトークがはさまれてます。
(コントのセットと楽屋のセットは、回り舞台になってます。)

沢口さんのフィリピーナが
ぴったりで、フィリピンっぽい日本語といい、
メイクと衣装といい、最高。
天然ぼけの秘書も、その間違った一生懸命さ、
健気さが可笑しくって可愛らしい。
まさに沢口さんのイメージ。

会場内も大爆笑の嵐で、あっという間の2時間でした。

上海バンスキング

上海バンスキング

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

上海の夢は、そのまま舞台の夢に。最高です!伝説の舞台が16年ぶりにコクーンで復活!
ふらっと客席に入ってきた笹野さんのバクマツが、トランペットでおなじみのメロディを吹き始めて、一人また一人が舞台に。
そこからはあっという間に舞台は戦前の上海、夢の世界へ。

やっと観ました!伝説の舞台!
私は深作版映画しか観たことがなかったんです。
ですからストーリーはわかってたのですが、
もう期待以上の感動でした。

決して楽しいだけの話ではないのに
これだけ愛され続けたのは、
やはり、歌とバンド生演奏の音楽の力と、
上海の夢のせい。

話自体は10年くらいの間の話。
そのなかでも楽しかったのは上海に初めて着いたときから、
ほんの2,3年くらい、混乱していても自由があった楽しい上海の夢。

そのときの上海は、そのままこの芝居の夢の時間、そして16年前の夢の時間につながっている気がします。


みなさんお歳は召していても、
串田和美さんは、声がかれて聞きにくかったりしても、
舞台の魔術でそんな細かいことは吹っ飛びました。
それにしても吉田日出子さんの個性は凄い。
コケティッシュな雰囲気は、そのまま、お嬢様。
しかし、歌いだすと声が違う。
さすがに長年歌われてきただけのことはあって、
他の女優さんたちとは格段の違いがあります。
そして、男優さんたちのバンド演奏は、
とにかくカッコイイ。


カーテンコール後、役者さんたちはロビーへ!
これが噂のお見送りか!
今では、皆終わるまでそのまま聞いていますが。
「林檎の木の下で」「上海バンスキング」が
歌われて終演となりました。


観終わったそばから、もう観たい!
2公演申し込んだのですが、さすが人気の舞台だけあって、今日1回分のチケットを買うだけで精いっぱいでした。
これでまた、しばらくは見れないんでしょうかねぇ…。

アンチクロックワイズ・ワンダーランド

アンチクロックワイズ・ワンダーランド

阿佐ヶ谷スパイダース

本多劇場(東京都)

2010/01/21 (木) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★

個性的な出演者。それほど難解ではなく時間と空間が錯綜した世界。
作家の苦悩から生み出された自作の小説の世界。
時間と空間が錯綜し、自我を持った登場人物たちが入り乱れる。

最初、なんとか展開を理解しようと考えて難解にも感じ、
提示されたものを観る人なりに楽しめばいいや、
とも割り切れず、考えながら探りながらの観劇です。

それでも、池田鉄洋さん、光石 研さん、山内圭哉さん
ほか、個性的な俳優さんたちと、
小島 聖さん、馬渕英俚可さん、村岡希美さんと
好きな女優さんが3人も出てて、
それぞれの演技を楽しみました。

CLOSER

CLOSER

avex live creative

サンシャイン劇場(東京都)

2010/02/19 (金) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

鈴木勝秀いわく「性欲劇」! オシャレな雰囲気、荒れた心の愛憎、四角関係。
ロンドンを舞台に、医師(眞木大輔)、作家(福士誠治)、
ストリッパー(佐藤江梨子)、フォトグラファー(辺見えみり)、
4人の愛は交錯し、心と体を重ねあう。

この4人が、求めあい、仕掛け合い、だましあう、愛憎劇。
いかにもカッコイイ「パッケージ」なので上辺のカッコよさ
だけが前面に出てしまいそうですが、そうでないところが特徴。
これで舞台がニューヨークとかだともっと薄っぺらになりそうですが、
ロンドンだというところにも何か違いが出ているのでしょうか。
カッコイイ職業、スタイルの登場人物4人が、
頻繁に性的なことにこだわり、性的なセリフを連発。
常にやった、やらない、感じたか、とやりあう激しさが強烈。
確かに珍しくて面白いとは言えますが。

登場人物の錯乱したように複雑な心情。
自分は嘘や裏切りをしておきながら、他人には真実を吐き出させようとする自分勝手な思考は、感情移入はできなくとも、その「いびつさ」が人の弱さでだろうか。
常に殺伐としていた物語は、エンディングで一瞬だけ光がある。

会場はEXILEファンで満員。
男性は10人から20人位しかいなかったのではないか。
まるでananの「○○○特集」でも見ているような居心地の悪さが。

明日の幸福論

明日の幸福論

劇団HOBO

テアトルBONBON(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

落語のような貧乏長屋の人情話。中年男優6人と高橋由美子さんという構成も面白い。
劇団HOBOの第2回公演。
太宰治「貧の意地」をモチーフにしたそうですが、
まるで落語のような、貧乏長屋の人情話。
人情長屋もただ居心地がいいだけの、そこを
抜け出せない者たちの場所でしかないのか…
笑いの中にもドキッとするようなセリフが
突然出てきたりして凄いです。

中年男優6人と女優1人が出る芝居という構成
の話というのも珍しく、劇団員全員がすでに
実績のある俳優さんたちなので、安定した演技
を安心して楽しめます。

特に、高橋由美子さんは今回のような100人の
小劇場から、ミュージカルの大舞台まで、
本当にさまざまなスタイルの芝居に次々に
出演されていて、そのバイタリティと
各作品での的確な演技、何よりその笑顔。
本当に、勇気づけられるし、尊敬してしまいます。

なにわバタフライ N.V

なにわバタフライ N.V

パルコ・プロデュース

シアタートラム(東京都)

2010/02/07 (日) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

作演出:三谷幸喜×主演:戸田恵子によるミヤコ蝶々の波乱の半生。ひとり芝居を忘れさせる感動。そして、軽やかで、明るくて、楽しい!
ミヤコ蝶々の自伝「女ひとり」をモチーフに三谷幸喜が作演出した、
戸田恵子の一人芝居「なにわバタフライ」のニューヴァージョン(N.V)による再演。
舞台装置や小道具・生演奏など、より削ぎ落された内容にブラッシュアップされたそうです。

ふつう、一人芝居は、その制限を観るほうで意識してしまうものだと思いますが、
本作では戸田さんの話している相手の存在を自然と感じるほどの、その演技は見事です。
そして、軽やかで、明るくて、楽しい!
一人芝居どうこうは忘れて、自然と引き込まれ、舞台上の女優の半生に一喜一憂し、感動しました。

二人の高利貸しの21世紀

二人の高利貸しの21世紀

イキウメ

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2010/02/16 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

俳優自ら演出する自主企画が面白い。
俳優さんたちが、自ら演出する自主企画好演。
おなじ戯曲を、2人ずつのチームで演じます。
会場も50人以下で、狭いながら舞台は目の前という贅沢。
約1時間の公演ですが、面白くて値段も安くて楽しい企画です。

21世紀を迎える瞬間に、ぼろアパートに借金取り立てにきた高利貸し2人組の物語。

17時開演のBプロは、岩本幸子さん / 伊勢佳世さん出演の女性編。
お二人とも普段と違う役の雰囲気が良かったです。

19時開演のCプロは、森下創さん / 窪田道聡さん。
セリフでは「ボストンバッグ」といいつつ実際は
「アタッシュケース」だったり、
劇中では重さが非常に重要な「アタッシュケース」を
誤って蹴ってしまったりと、
細かいところが気になってしまって、ちょっとだけ残念。

共通して、無理やりな展開の脚本が、ちょっと私には
合わなかったですが、楽しかった。

飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

松竹

新橋演舞場(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★

なぜか最近多い学生運動もの。黒木メイサ、徳重聡のパワー。
「飛龍伝」が2010年ヴァージョンとして甦った!
最近、学園紛争、学生運動を描く舞台が多い気がします。
これは団塊の世代が当時果たせなかったことに対する後悔か、
現代の若者に対する憤りの表われでしょうか。

演歌・ダンスを交え、時代を錯綜して描かれる、
つかさんの世界は「学生運動のエネルギー」を訴えながら、
今の要素を取り込んだうえで、東幹久のCMネタなどの
アドリブ的なパートまで交えてサービス満点。
この世界感と新橋演舞場の和風、演芸の雰囲気の相性もいいです。

しかし、何よりも21歳とは到底思えない黒木メイサの
凛として堂々とした演技に圧倒されます。
他にも石原軍団の若手エースだった徳重聡を
鍛え上げて、ただただまっすぐなパワーを最大限に
発散させてます。

血は立ったまま眠っている

血は立ったまま眠っている

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/01/18 (月) ~ 2010/02/16 (火)公演終了

満足度★★★

「現代の渋谷の若者へ」寺山修二作品による蜷川幸雄からのアナーキーな挑戦状!
前にも一回やってましたが、開演前に舞台奥の扉を解放し、劇場真裏の搬入口?が舞台上に見えて、劇場内が同じ空気になる。
一般の通行人、普通に走っている車も見えて「渋谷の街」と一体になっている、つながっている感じがする。
その奥の駐車場から舞台上に、旗を振りながら若者たちが駆け込んできて、芝居が始まり、劇需要は一気に安保闘争当時の裏町の世界に。

蜷川さんがコクーンでやるときには、必ず「現代の渋谷の若者への挑戦」を意識しているよう。
しかも、演目が、安保闘争を舞台にした寺山修二の処女作というから強烈です。
舞台中央に公衆便所、首つり自殺、リンチで殺される男、登場してすぐに犯される女、苛立ちと行き場のないパワーがアナーキーにぶつけられます。

そして、俳優たちは、再び渋谷の空気に飛び出して行きました。

私の注目は、江口のりこ さんでしたが、さすがにこのメンバー
の中では普通に見えます。
出番は少なくて残念ですが、三谷昇さんの演技が楽しめたのも
良かったです。

監視カメラが忘れたアリア

監視カメラが忘れたアリア

虚構の劇団

座・高円寺1(東京都)

2010/02/05 (金) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

初の客演を迎え,劇団のカラーも一段と鮮やかに。監視されることの危険と安心。
劇団公演のいいところは、観客が、観終わって数ヵ月後にふたたびこの「おきにいりの雰囲気」の芝居の世界に「帰ってこれること。」
まるで家族のいる実家に帰ってきたらみんな相変わらずの生活をしている・・・みたいな。

「また帰ってきてください。僕らはいつもここにいます。」と、
キャラメルボックスで西川さんがカテコの最後に毎回言うように。

「虚構の劇団」の芝居をこれまで4公演観ましたが、
その特長は、若さ・爽やかさ・優しさ・甘さのある芝居に、
今の社会の問題点をリアルに取り入れている世界観だと思う。
鴻上さんのまなざしは、「常に暖かくて優しい」。
劇団に対しても、若者やこの世の中に対しても。

今回は「監視カメラ」「監視社会」「盗撮」の問題をとりあげながらも、
防犯・安全としての役割、「ネット中継」「Webカメラ」など
良い面もあわせて描いているところがさすがです。

最後も、後味良く、前向きに明るく終わるのもいい。

残念なお知らせ

残念なお知らせ

G2プロデュース

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2010/02/12 (金) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★

絶妙なバランスのある「ゆるさ」と笑いが心地よくいい感じです。
実力のある役者さんたちが集まっていて、
絶妙なバランスのある「ゆるさ」と笑いが心地よくいい感じです。

たしかに、芝居として、挑戦や冒険や新境地などとは無縁ですが、
よく考えると、この「バランス感覚」は結構難しいと思います。
出演者の方々の、経験と実力(大げさな意味ではなくて)が
集まって自然に作られる雰囲気のようなものと思います。

AGAPE store( =松尾貴史×G2)解散公演のタイトルが
「残念なお知らせ」というのがまた気が利いてます。
パンフを読みましたら、先に作品とタイトルが決まって、
そういえばそろそろ解散か、とあとから解散公演になった
というのもキッチュらしい。

このくくり(キッチュ+G2)・名前、では解散ですが、
きっと近いうちに、お二人を中心にした、同じような
空気を持った芝居が観れるだろうと思いました。

お代り

お代り

ラックシステム

THEATRE1010(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

100年の庶民の食べ物の話.やっぱコングさんの"大阪じめ"がないと新年が始まりません!
4代、100年にわたる庶民の「食べ物」の歴史を、いつものようなユーモアを交えて巧みに描く。
とどのつまりは、やっぱり大事なのは「食べ物」だということ。
リリパットアーミーIIのお芝居は、ゆるぎない安定感と軽さ、余裕の笑い、時にホロっとさせて面白い。

関西中心のラックスステム+リリパットアーミーII、わかぎゑふさんの芝居ですが、
関東大震災と阪神淡路大震災の両方を経験された方の話をヒントに書かれたそうで、
全編コミカルな中にも「気持ちはわかるけどなぁ、あんたは生きてるねやから、なんぞ食べや。」というセリフは重みがあります。

出演者はおなじみの顔ぶれですが、もっとも記憶に残ったのは、管理人さんとその子孫を演じた小椋あずき さん。
その軽やかで自然な物腰と関西弁に、自然と引き込まれます。うまいです。

世の中とある家に住む世代の移り変わりを、エピソードでオムニバス的につないでいく構成。
ラスト直前にちらっとアドリブ大会を入れるとは、自信があるんですね。
そして、カーテンコール、やっぱりコング桑田と「大阪じめ」をしないと、新年が始められません!

ANJIN〜イングリッシュサムライ

ANJIN〜イングリッシュサムライ

ホリプロ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2009/12/10 (木) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

満足度★★★

戦国の世,合戦,武将たちより,テーマである肝心の"按針"の心を描いてほしかった.
日本に流れ着き大名になったイギリス人、三浦按針の半生を
戦国時代を背景に描く。
この題材と、日英両スタッフ・キャストの共同作業が
非常に面白い。

家康の市村さんはさすがの貫録。
国外に夢をはせながらも果たせず、鷹匠と鷹の関係の
ごとく、漂着した英国人を手元に留める。

按針は、イギリスと日本に心引き裂かれているが、
家康は武将である立場と、冒険心に引き裂かれている。

そしてキリシタンである日本人青年ドメニコの藤原さんは、
キリシタンと武士の間で、心が引き裂かれる。

戦国時代の有名な武将や戦いが次々に登場して面白いのですが、
そういう派手で目立つ部分ばかりに引っ張られすぎたようです。
(外国人の方が描きたい、作りたいのはそういう部分かもしれないが。)

本当は、肝心の「按針」についてもっとウェイトを置いて
ほしかった。

ところどころ按針のセリフに現れる、彼が感じた日本の良さ
を見せてほしかった。
たとえばラフカディオ・ハーンの「日本の面影」のように。

心の葛藤や日本の家族、妻、自分の領地・領民・統治など
彼の心情、ごく周囲の人たちとのもっと細かいことを
描くべきではなかったかと思います。

ORANGE

ORANGE

劇団PEOPLE PURPLE

前進座劇場(東京都)

2010/01/15 (金) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

何よりも圧倒的な阪神淡路大震災の事実の重みを、日常のユーモアに重ねて観客に伝え続ける。
今年の1月17日で阪神淡路大震災から15年、その前日に観劇。
私の初「前進座劇場」、場内の赤い提灯が目立ちます。

作品は、劇団も出演者も作品も、すべてにおいて全く
何の予備知識もなくチラシのコピーに惹かれての観賞です。

神戸湊山消防署に働く消防・救急・救助に携わる隊員たちの
活躍を阪神淡路大震災の出来事を交えて描く作品。

とにかく脚本・演出・主演の宇田学さんが、神戸市の
消防・救助・救急隊や被災された人たち100人以上に
3カ月にわたって取材した内容に基づいて書かれた話の
重みが凄い。
(宇田さんも「消防士になろうと調べた」程にのめりこんだ)

消防署の日常に続き、小隊長から若い隊員に語られる
阪神淡路大震災の記憶。
15年前の1月15日突如発生した災害に、無線も使えず
何も情報がないまま救助活動を始める消防署の隊員たち。

鉄骨が数本置かれただけのシンプルな舞台に、
光と煙の演出だけで震災の現場が次々に再現されます。

漠然と考えていた震災というものについて、
1つ1つ提示される具体的に演じて提示される悲劇に、
圧倒されます。

あまりの要救助者の数に「呼んで返事がない人は助けない」
という本部の方針に、人殺し呼ばわりまでされる隊員たち。
それ以外は周辺住民自身が協力して助けるしかない現実。
実際に助けられる人は、ごく一部の人に過ぎないこと。

実際の話の迫力と重さは凄い。
また、当然ながらそれを毎公演ごとに再現し、演じる
という演劇としての意味なども考えます。



救助隊の小隊長高橋を演じた植村好宏さんは、
隊での普段の生活ではユーモラスに、
しかし、震災での救助の体験者で、
若い隊員を集めてその経験を話す重要な役。
まさに流暢なセリフと仕草がまさに救助のプロらしく、
安定感がある芝居が素晴らしい。

他に特に目立つのは、袋小路林檎さん。
コメディレリーフで、重い話を見やすくする重要な役目。
なにしろ白塗りに真っ赤な林檎ほっぺの濃い化粧で、
登場シーンはほぼすべてが彼女のギャグというか
コントになっていて、とにかくおかしい。
この芝居の役名を芸名に変えたのもうなずける適役で、
悲惨な事実と相反して、茶化さない(失礼にならない?)
ぎりぎりのところでバランスをとってます。

十二人の怒れる男たち

十二人の怒れる男たち

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2010/01/08 (金) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★

やはり、昨年の蜷川版に比べてしまう。
数年前に、同じく俳優座劇場で観て以来の再演・再鑑賞です。

そして、やはり、昨年の蜷川版に比べてしまいますが、
配役はそれに比べればもちろんかなり地味です。
(すみませんm(_ _)m)
数年前の俳優座劇場公演に比べても、
さらに普段なじみのない俳優さんが配役。

何度見観ているストーリーですが、
今回気付いたのは、三号と十号の重要性です。
この二人をどの程度観客が共感できるかどうか。
昔は、この二人をはじめ最初有罪と言った人たち
のほうが普通で共感できたのではないか。
でも今では偏見が先に鼻について、最初っから
共感できない。

特に今回は、最初から最後まで十号は、
極端な嫌われ者になっていた。
服装はだらしなく、風邪もひき鼻をすすり、
ふらふらと歩きまわり、がなりたてる。

今の時代では、三号と十号は観客がより共感でき、
身近で好意の持てるキャラクターにしてはどうか。
好人物なのに、自分の身の回りの者を
被告の少年に投影して思い込み、偏見を持って
しまうという感じに。


他に印象的なのは、役者さんの個性から二号が
ひょうきんでユーモラスな感じに。

そして何より、最後、三号が無罪を言うまで、
苦悩の無言の時間が長かったこと。

沈黙が何分あっただろうか。
この無言で静止した時間に、三号と同じ想いが
観る者にも自然と伝わってきた。

シャドーランズ

シャドーランズ

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2010/01/06 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

静かな純愛物語。「この世は影にすぎない」宗教だけでなく様々な偏見も描かれる。
本年初観劇は、これ!
『永遠の愛に生きて』という邦題の映画にもなった、
「ナルニア国物語」の作者C・S・ルイスの最初で最後の恋の物語。
中年の純粋な恋愛物語に泣きましたが、そのベースには、
C・S・ルイスとイギリス国民の宗教観が大きく横たわっています。
それだけではなく、 離婚歴があるユダヤ系アメリカ人であるジョイや、
女性の自立に配する偏見も描かれていて、深い。

加藤さん、春風さんも自然で良かったのですが、
他には、特に本当に穏やかで静かな斎藤晴彦さん、
偏屈さがよく出ていた新井康弘さん、そして
意外と重要な役回りの少年役の石田麻織恵さんが印象的でした。

はじめての食卓

はじめての食卓

むーとぴあ

駅前劇場(東京都)

2010/01/08 (金) ~ 2010/01/14 (木)公演終了

満足度★★★★★

おっかー共演!全編,武藤さんの「ほっこりとしたあったかさ」が心地いい!
武藤晃子さん1人のユニット「むーとぴあ」第2弾!
第1弾の西川さんに続き、今回はキャラメルボックス岡田さん、
そして、あの濃~いナイロン100の廣川さん、と、
個性的メンバーが集合、わかぎゑふさんが脚本を描いた
「家族三世代物語」。

武藤さん演じる主人公が、岡田さん演じる夫の家族に
お嫁入り、引っ越してくるところから始まる、
家族の歴史・ホームドラマです。

ある意味、外から見ればありふれた、しかしその家族
にとっては大切な大切な、日常のエピソードが
年を追って積み重ねられていき、小さな笑い、ユーモアに
笑いながらも、大いに泣かされちゃいます。

全編から伝わってくる武藤さんの「ほっこりとしたあったかさ」
が、とっても心地良くて、改めて観てよかったなと思いました。

今から次回作が楽しみ!

東京月光魔曲

東京月光魔曲

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2009/12/15 (火) ~ 2010/01/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

バラエティ豊かで最高に楽しめる!!昭和四年,憧れの都”東京”を彩る人間模様.レトロで豪華絢爛な猟奇サスペンス!
回り舞台の凝ったセットをフルに活用して、回りながら
キャスト全員で歌う冒頭の「東京ラプソディ」も豪華絢爛
にぎやかな昭和四年大震災後の大都会が舞台。

震災の傷跡を負いながら支えあって生きる姉弟、
憧れをもって上京する兄弟、きらびやかなレビュー、
カフェ、動物園、新興宗教、霊術、コカイン、私立探偵、
そして連続猟奇殺人事件!
愛憎入り乱れる魔都「東京」の暗部にはびこる怪事件と
それを取り巻く謎めいた人々。

これまで以上の人数・豪華な俳優陣が、非常にうまく絡み合って
大都会の夢と憧憬、闇と怪奇の数々のエピソードが入り乱れ
物語が展開します。
これだけ大人数の俳優陣だと、おのずと各人の出番は減って、
見せ場の大小はあれど、皆の演技が実にぜいたくに味わえます。
特に松雪泰子さんの二面性がなまめかしい。

おなじみの「東京ラプソディ」「月光値千金」、そして
エピローグ的に流れた劇伴など、音楽も印象的。

時にロマンティックになまめかしく、時にシリアスにおぞましく、
時に面白おかしく下らなく、時に華やかにバラエティに豊んだ、
2009年の総決算のごとく、実に見事な作品に仕上がっていると
思います。

マレーヒルの幻影

マレーヒルの幻影

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2009/12/05 (土) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

演出:岩松了+主演:初舞台の麻生久美子 観客がセリフに酔いながら組み立てて観る芝居。市川さん好演。
麻生久美子さんの初舞台、市川実和子さんも出演なので鑑賞!
演出:岩松了+主演:麻生久美子は、時効警察コンビです。

「グレイト・ギャツビー」をベースにしているそうですが、
舞台をアメリカでの”日本人コミュニティ”に設定して、
そこで織り成される日本から渡米している男女の人間関係、
破滅的な運命に翻案されています。

岩松作品なので、今回は特にストーリーがわかりにくい。
観客がセリフの洪水に酔い、楽しみながら組み立てて観る芝居。
英語のセリフも結構あっても訳が無いのは、わからないところは、
わからない状態を受け入れて観るものだということでしょう。
登場人物のうちキタ(三宅さん)を除くほぼ全員が何かをたくらんで
ぎらぎらしている。
出てくる皆が激しい言葉を突きつけていて、しかも深いので
いろいろ考えて、観ているほうも消耗して疲れる。

男は皆女々しくて、給仕さんを初め^^)女は逞しい。
変わらぬ本質かも。

そして、突然訪れる意外なラストが哀しい。

麻生久美子さんの初舞台なので鑑賞!表面では強がって皮肉
めいたことばかり言うが、それでも内面は違うであろうことが
想像できる。
また、市川実和子さんも現実的でさばさばした役を好演し、
2人とも非常に魅力的、また別の舞台を観てみたい!!

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/12/25 (金)公演終了

満足度★★★★

エンジェル・イヤーズ・ストーリーキャラメルボックス
キャラメルらしいハートウォーミングストーリー。

なんとチラシやポスターにいる女の子(社員の娘さん)は登場しない!
勝手に想像していたストーリーは
「小さい頃にすでに亡くなった娘の、生前の声やメッセージが
10数年の時を超えて聞こえてきた…」
みたいな感じだと思ってましたが、違ってました。

事故で頭を打ってから、人の心の声が聞こえるようになって
しまった父親と、その家族の物語。

各登場人物の心の声は、ふつうなら録音で流すところを、
その時登場していない他の役者が後ろに立ってしゃべる
というのが面白い。

それに加えて1人は、ろうの人なので、手話をしながら
後ろに別人が心の声を言って、さらにその手話を
訳す人が話す。さらにその通訳者の心の声が・・・
この複雑な表現方法は実に面白い。
前代未聞だと思います。

今回は全編コメディー。(容疑者Xの反動らしい)
西川浩幸さんが出ずっぱりで大活躍。
前田綾さんの美人っぷり、も最高。
小林千恵さんのおばあちゃんっぷりも良かったです。

ちなみにライブハウス「ドクトルゲー」の元ネタは
地獄のロックバンドのほう?それとも
「仮面ラ~イダーV3」の敵大幹部の名前?

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