満足度★★★
やはり、昨年の蜷川版に比べてしまう。
数年前に、同じく俳優座劇場で観て以来の再演・再鑑賞です。
そして、やはり、昨年の蜷川版に比べてしまいますが、
配役はそれに比べればもちろんかなり地味です。
(すみませんm(_ _)m)
数年前の俳優座劇場公演に比べても、
さらに普段なじみのない俳優さんが配役。
何度見観ているストーリーですが、
今回気付いたのは、三号と十号の重要性です。
この二人をどの程度観客が共感できるかどうか。
昔は、この二人をはじめ最初有罪と言った人たち
のほうが普通で共感できたのではないか。
でも今では偏見が先に鼻について、最初っから
共感できない。
特に今回は、最初から最後まで十号は、
極端な嫌われ者になっていた。
服装はだらしなく、風邪もひき鼻をすすり、
ふらふらと歩きまわり、がなりたてる。
今の時代では、三号と十号は観客がより共感でき、
身近で好意の持てるキャラクターにしてはどうか。
好人物なのに、自分の身の回りの者を
被告の少年に投影して思い込み、偏見を持って
しまうという感じに。
他に印象的なのは、役者さんの個性から二号が
ひょうきんでユーモラスな感じに。
そして何より、最後、三号が無罪を言うまで、
苦悩の無言の時間が長かったこと。
沈黙が何分あっただろうか。
この無言で静止した時間に、三号と同じ想いが
観る者にも自然と伝わってきた。