あいAIなんだ
わらかどプロデュース
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2019/07/12 (金) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
現在よりちょっとだけ先の未来 という程合いが良いのか、あながちSFではなくなりそうな気がしてくる部分もあったりするストーリー。
公演時間約1時間、役者さん4人だけの作品なのに、それぞれが役どころを独自に膨らましていった創作経緯もあってか普通に見応えがあったし、本格的なダンサーさん(4人中の一人、役者としても活躍)のパフォーマンスのお得感も加わって、丁度良い満腹感。
紅一点の笑門福さんは、あめくみちこさんの匂いにも似たコメディエンヌ女優な佇まい。
旦那との息の合った(?)自己主張のぶつけ合い、つまりは夫婦喧嘩、お互いの言い草がなかなか笑えます
雇い主の感情を取り込めて理解できるまでに至ったAIロボットは、もはやほぼ人間ではないのか・・・一番感情移入してしまったのは何とAIロボットだったのでした。
煙を抱く
ピンク・リバティ
シアター711(東京都)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
妻が失踪・・・それに気づいた時から主人公の非日常は始まったのだけれど、妻を捜す そこからの時間は、おそらくこれまでの日常に比べて随分濃度の濃い時間になったのではないかと。
キーワードにあるのは「煙ーけむりー」
妻が「煙」のように消えた、工場から立ちのぼる「煙」、「煙」みたいに拡散して実体が無くなっていく諸々・・・
ひょっとして「ストーリー自体も曖昧模糊としていき煙に巻かれてしまう作品なのかも」という事前推測もあったりしたですが、そこのところは案外意図する面白さを充分汲み取れる作品であり、不思議なワクワク感を持って楽しめ、とても良かったです。
こんなに可笑し味ある作品だったのか!という意外性もありましたし。
妻を捜す旅。
「この好きな感じは一体!?」と思いながら観進めていたのですが、趣旨や世界観こそ違うものの、このスタイルはそう、まさしく『銀河鉄道999』!あぁ~そりゃもう大好き!
ご覧になった方には「なるほど、そうだったかも」と言ってもらえると思うのですが。
作者は30歳の方か・・・コミュニケーションの妙。色んな意味で感慨深いです。
アシュラ
平熱43度
ワーサルシアター(東京都)
2019/07/03 (水) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
権力を持つ者VS超能力を持つ者。
8人VS8人。
対峙する関係性での一人二役なので、なるほどこれは分かりやすい。
「このハイスピード演劇にアナタはついてこれるか!?」の謳い文句通り、瞬時にシーン(役柄も)が次々と転換していき、一々説明的な事には時間を割かれないので、これはもう「役者の瞬発力」VS「観客の頭の切り替え力」
実に挑戦的かつ刺激的な演出でありました。
と言いつつも、しりとり式な繋ぎ方やキャラクター設定、音響・照明等で観客側に向けては何かと手を差し伸べてくれるので、これからご覧になる方はそうそうご心配なさらずに。
程よく慣れてきた後半から何気に転換にも大胆さが加わってくるので、うっかり油断できないものの、最もこれだけハードでデリケートな芝居を要求されている役者さん達を目の前にすれば「これは最後まで食らいつかなきゃ!」という思いが一番大きかったかも。
ストーリー的には独創的な演出も相まってアニメにも似た感覚でもって楽しめたのですが、戦争に持ち込もうとしているのはいつの世もトップ同志「何故に争わなくてはならないのか」という理不尽さが常に付きまといます。
ノンストップで描かれる抗争SFサスペンス&ラブストーリー&笑いも少々。
これら全てを一気にのみ込んでいくラストシーンは圧巻の一言でした。
僕たちのヒーローショー
国学院大学演劇研究会
國學院大學渋谷キャンパス・百周年記念館地下二階演劇練習室(東京都)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
観劇日からちょっと日が過ぎましたが、それでもかなり印象に強く残った公演。
ヒーローショーがモチーフ、故に冒頭こそドタバタ一本鎗で攻めて来るのかと思いきや「ナイゲン」よろしく渾身の会議コメディ作品。
論争メンバーはスーツ姿の運営会社VSコスプレ姿なままのヒーロー達、更にショッカーも応戦。
問題となる議題が生活感溢れる「出演料」というのも異色ポイント。
学生演劇
大人の「洗練された演技」に「洗練された脚本」が揃ったなら、そりゃもう鉄板の満足感を得られますが、それでは「学生相応の演技」でどの様な脚本が、どの様な演出が、どの様な演技が最も有効なのか、本公演ではそのヒントが沢山詰まっていたような気がします。
唸るような実力派〇〇でなくとも、個性を丁寧に描き分け適所に振り分けられ、その結果2時間の大作となるわけですが、それに応えるべく日々頑張ってきたと思わせる演者さん達の奮闘ぶり、そして何よりチームワークの力(スタッフワークも含めて)がガツンと心に響く、そんな公演でした。
連携プレーのやり取りで話をうねらせ盛り上がる会議室。
努力の成果が実って客席に笑いが起こっていたのを「良かったなぁ、よく頑張ったなぁ」と・・・自分だって観客のくせに(笑)
大作戦
BLUE TWO YEARS OLD
中野スタジオあくとれ(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
昔大ヒットした映画「セーラー服と機関銃」は女子高生とヤクザ組長との掛け合わせの妙でしたが、本作は女子高生と工作員。
さしずめ「セーラー服と情報横流し」といった感じでしょうか(笑)
工作員を送り込んだのは全くの架空国家の設定、なのに出てくる固有名詞がやたらと具体的すぎて笑ってしまいます。
防衛問題とか難しい事はうっちゃいといて、一貫して純度の高い学園コメディー。
花の高校野球。
ピッチャーの全力少年カケルと彼の球児仲間、そして女子マネージャー。
ヒロインは美少女にして中々の奇怪工作員キャラ。
おかげ様で学園名物?恋のドキドキ四画関係ではあるのだけれど、彼女にはときめきポイントをことごとくぶち壊して頂きました(笑)
さあ彼等の恋は成就するのでしょうか・・・というかそれより国の情報は如何に(笑)
キャラ立った登場人物が次から次へとテンポよく楽しませてくれる一方、特定の人物だけでもキャラクターをより掘り下げて、違ったトーンの場面もここぞというところに加わるとより良かったように思います。
若いエンターテインメントの卵・・・バイタリティー溢れる楽しい公演でありました。
みゆき食堂
ラビット番長
演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
3姉妹と長男、両親亡きあとの兄妹で切り盛りする「みゆき食堂」での日常。
明るく賑やかな中にも、うら寂しい昭和歌謡が良く似合う作品。
伏線と呼ぶには分かりやすい展開に「うん、やっぱりか!」にも素直に目頭が熱くなってしまうのは、生舞台の醍醐味が活かされていたから。
新人さんの健闘も頼もしく、期待を裏切らないアトリエ公演でした。
リングアウト
たま企画プロデュース(旧)
d-倉庫(東京都)
2019/06/27 (木) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
プロレスショーではなくリアルの試合を目標に立ち上げられた若きプロレス団体『RWF』
フィクションを織り交ぜながら「危険」と「安全」の狭間に揺れる興行ビジネスの難しさを改めて考えさせてくれる作品でした。
本作ではプロレス業界内に渦巻く政治的側面に強くスポットが当たっていましたが、同時にそこで戦う当の選手達がその時見ていた世界にも比重を置いて描かれていれば更に面白かったのではないかと。
というのも
現役プロレス選手の方々も共演しており、プロレス選手の演技といえば・・・何の広告なのか全然分からないのにやたらインパクトのある「ザ・リーヴ」のCM←これはイメージしないで下さい(笑)予想以上にしっかりとした演技をされていたからです。
ルックスは完全に役者で通用していました。
本業のプロレスと同時並行の舞台出演はシーンの量にも限界があったでしょうが、そんな中でもコラボを実現させたチャレンジ精神、
そして演劇というジャンルに新しい楽しみを広げていく可能性に対しては今後も大きく期待したいです。
星には期待も込めて。
山兄妹の夢
桃尻犬
シアター711(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
何気ないボソッとした呟きも全部全部ひっくるめて台詞ひとつひとつがことごとく面白い!
作品のイメージとしては、「この人達、一体何の仕事をして、普段どんな生活を送っているのだろう」と、誰の身の回りにもいるであろう常々不思議に思っていた人達の生態が「ナルホドこんな人でこんな事やっていた訳ね!」と好奇心がみるみるうちに満たされていく!快感っみたいな。
叩けば変な埃もいっぱい出てきますね!みたいな(笑)
山兄妹を含めて二人に関わる個性的な登場人物が、揃いも揃ってそんな感じなので、もうどのシーンも香ばしくて美味しい。
もうひとつ頭に浮かんだ例えとして、下北沢の大きな雑貨店で発見した今まで見たことのない不思議なオブジェ風物体。
明らかに一点物。
よく見てみると細かい所まで非常に良くできている。
触ってみると色んな面白い細工が施されて逐一感心するし、思わぬ所から音楽まで流れ出てくる。
値段はそう高くない。
何コレ、絶対買おう!と思って財布の中を確認しているうちに、そこにはもう物体は無くなっていて・・・
紛れもなく此処にあったはずなのに決して家には持って帰れない。みたいな作品・・・あぁっ余計分かりにくいか(笑)思い浮かんだイメージです
特殊なセットがあるわけでもないし、衣装が奇抜なわけでもないのに、凄く斬新な舞台を観た感動がありました。
事前に配役表を見ておく事をお勧めします。
傷心る(えぐる)~愛を語る資格・改
獏天
Geki地下Liberty(東京都)
2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
事前に持っていたイメージは怨念渦巻く『モンテ・クリスト伯』
しかしそのイメージとは見事に異なり、まさかの えッ笑わせようとしている!?のアプローチに一瞬「ストーリー変えました!?」
着眼点の違いでこんなに作風そのものが予想を覆すなんて!と、まず驚きました。
犯罪者とて罪の意識を背負いながらも刑期を終え月日が過ぎれば、本能的に次の活路を見いだそうとするだろうし、図らずも恋に落ちてしまったのであれば尚更。
加害者と関わった登場人物には罪に囚われたままの者もいて、目を逸らしながら巧く世間を渡っている者もいる。
何より彼等はまだ若い。
当時の事件とは直接関わっていない人物も含め、そんな若いパワーが前面に押し寄せてくる作風に面喰ってしまったというところでしょうか。
俊敏な所作・演技捌きを含めて面白い劇団さんだと思える部分は多々ありましたが、それとは別に(自分が期待したところの)テーマの核の部分には共鳴出来なかったのがちょっと残念ではありました。
暗く重いトーンで占められた公演ではないかと敬遠されている方はご安心ください。
ただし観終わって感想を書いている今、ジワ~ッときてます。
舞台「アンフェアな月」第2弾 ~刑事 雪平夏見シリーズ~ 殺してもいい命
刑事・雪平夏見シリーズ製作委員会
サンシャイン劇場(東京都)
2019/06/21 (金) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
前作は未見、『アンフェア』に関しては真っ新な状態での観劇でしたが何ら問題もなく、その世界観を堪能できました。
本当に映画を観ているのと同じ感覚の演出、大劇場の生舞台でちゃんとした説得力と迫力を持たせるため、これだけ多数の役者さんが配置されたのだなぁと・・・それだけでも力の入った公演だった事を伺わせます。
暗転でこちらを照らしてくるライトに「眩しッ」と思った次にはもうセットチェンジされているのがイイ感じでした。
1幕目はとにかく事件の緊張感に包まれた時間。
(途中休憩があって本当に良かった)
2幕目で集中力をリセット、和めるシーンもあり、もはや事件がどうやって解明していくのか一刻も早く見届けたくて紐解かれていく急展開が私には有難かった。
元「上からマリコ」感情的にはならないキャラゆえ見せ場の難しい役どころではありましたが、長丁場での流暢な台詞さばき、不眠不休のクールビューティ雪平夏見刑事がとにかく頼もしい。
ベストアルバム(仮)
lovepunk
劇場MOMO(東京都)
2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
THE“女”スペシャルと言って良いくらいに“女”達がオンパレードの作品。
これは決して女性キャストばかり大勢出演されていた!という意味だけでなく、男からして見ると、その精神構造やら守るべき諸々やらが、何かと「うぅぅむ、そうかぁ、そういうものかぁ」・・・女性の業・ココロの塊たちが押し寄せてくる作品だったから。
安易に「うん、わかるわかる」とは言えないけれども、思わず「うぅぅむ、そうかぁ、そういうものかぁ なんか説得力あるなぁ」とただただ唸るばかり。
ほんの一例を挙げると「出る杭は打たれてしまうのだから!ハミ出したくないっ」という気持ちと「できれば自分だけ特別に輝きたいっ」という気持ちが矛盾なく同居する心理バランス・・・他者の女性の波に揺れ動きながらも愛らしく滑稽に・・・その流れ着いた先が一見「成れの果て」の様な姿であったとしても、もしくは愚行であったとしても、何とも憎めない。(でも笑ってしまったりはする)
女性オンリーの公演は数あれど、これだけ普通の成人女性の葛藤やら希望やらが渾然一体となった作品は初めてかも。
(全然普通じゃない有名な性悪も出てきますが)
しかも格言級の台詞もサラッとした軽やかさで笑いありで。
おそらくベストアルバムという事で、通常より濃ゆい作品。
ただ普通ベストアルバムといえばシングルを羅列しただけであるけれども、本作は絶妙にそれぞれが繋がっていて、壮大な女のヒストリーとなっていました。
人生とはヒットがあろうがなかろうがベストアルバムのようなものか。
♨︎悪党温泉♨︎
劇団 EASTONES
駅前劇場(東京都)
2019/06/22 (土) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
悪党仲間から殺されかけた男を救出したのは温泉宿の人々。
その宿の名は「悪党温泉」
お茶の間に通じる往年の鉄板バラエティーパワーとめくるめく殺陣アクション、そして日本人ならではの人情味。
冒頭から既に「きっと作者さんは欽ちゃんの影響を受けている方に違いない!」と確信を持って拝見しておりましたが、帰って確認してみると、何と演出・殺陣 石田武氏は欽ちゃん劇団・時代劇ユニットで活躍されている方。(本公演で出演もされています)
もう一人の作・演出である清水東氏は放送作家としてバラエティ番組も手掛けられている方。
なるほどッと大納得! それはもう舞台に色濃く反映されておりました。
役者陣も女将に主人、二枚目、三枚目にマドンナに悪党等々・・・それぞれ役柄にピッタリな顔ぶれによる演技が・・・思うに、梅沢富美男さんや藤原紀香さんこそ出演されていなくとも明治座などでの公演と内容的には遜色なしではないかと。
加えて小劇場の臨場感と親近感。
普段大劇場に足を運んでおられる、おとうさん・おかあさん。お薦めです!
「Here we go!」のDJ赤坂泰彦氏が当日のゲスト。
中盤にて結構まとまった時間が赤坂氏(しっかり時代劇衣装で!)に分け与えられ、それを見事に仕切っておられました(笑)
今後も実に多彩なゲストが予定されている様なので、こちらも見どころの一つになるのは間違いないでしょう。
オフィス上の空プロデュース・トルツメの蜃気楼
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2019/06/19 (水) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
昔より格段に間口が広がった分、成功者になれる確率はずっと下がってしまったであろうアイドル界の現実。
そういった事は重々承知していながらも、より輪郭をハッキリさせた厳しさで突き付けてくるのが さすが!でありました、松澤くれは作品。
繰り広げられる沢山の「対話」、その一言一言は、持ち主の人間性を如実に表していて、それらの言葉達は時にはリアルな生活だったり無邪気な光であったり鋭いナイフになったり。
ひとつでも台詞を聞き漏らすとストーリーから脱落する、などという心配は無いにも関わらず、必死で咀嚼咀嚼の観劇だったので終演後は結構クタクタ・・・良質なモノを食べまくり挙句お腹一杯になりすぎましたというのも随分な言い草ではありますが。
オール女性キャストのみならず男性の影すらも極力排除したのには何か狙いが伺えますが、私的にはストイックな痛みがヒリついてくる、そんな印象を残す作品となりました。
「蛇姫様~我が心の奈蛇~」
新宿梁山泊
新宿花園神社 特設テント(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/24 (月)公演終了
満足度★★★★
「本公演は休憩2回を挟んで約2時間50分を予定しております」の告知にどよめく会場(笑)
一足早い「夏」を感じてきました。
今年も花園神社で熱~い空気を全身で感じる事ができて良かった!
化かされているかの様な極彩色の妖しい女達のお色気。
あの少年探偵団の小林少年も成年になって登場・・・脳内では別モノと判定していますが(笑)
ケレン味ヤバ味たっぷり新宿梁山泊さんの世界を理屈抜きで楽しめる様になったのは、何だか“通”になったよう(なったような錯覚)で嬉しい。
愛鯛
鯛プロジェクト
OFF OFFシアター(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★★★★
開演ちょっと前、懐かしテイストのオリジナル歌謡ショーあり。
終演後のトークでオパンポンさんが『何やねんあれ~ッ』とお約束でツッ込んでいましたが絶対見ておいた方がお得です。
第1話『The Last Supper』
オープニングらしい王道コメディー
ちょっと女の怖さinだったけれど、うん王道のコメディー。
第2話『サンセット』
本公演の共通テーマ「愛鯛(会いたい)」 一体どの部分が(会いたい)やねん!?という謎を残しつつ、何より私自身が今回一番(会いたい)だったオパンポン創造社さんの作品。
やっぱりなぁ~の絶賛怪進撃中でした。
思うに、オパンポン創造社さんの作品には圧倒的な笑いの中に「哀しみ+α」が仕込まれており、この+αをどう表現すれば良いのか、どうにもこうにも心惹かれてしまいます。
素っ裸に近いけれど法には触れぬ工夫のオパンポンスタイル。と言えば良いのでしょうか、もうこのままだと無条件にこの格好を見ただけで泣けてきそう。
第3話『What is it?』
よ~く「笑い」を熟知したユニットで色々ショーアップされて盛り沢山。
最後にボリューミーな満足感を与えてくれる作品でした。
できあがらなかったカクテル
ファンタスティック学園
エビスSTARバー(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
正真正銘のBAR公演。
恵比寿の小洒落たBARで完全密室の小宇宙。
普段BARとは縁の無い生活をしているのもあり、入店した瞬間に「あぁ随分DEEPな空間に迷い込んでしまった」感がハンパなく、ちょっと緊張。
会場時から既に何かが始まっている感もあり、こちらはとても和やか。
壁際席やテーブル席、どこに着席しても良いので無難に壁際にすれば良いもののステージらしきスペースに着目し、これならテーブル席の方が観やすいかなと。
座って程なく分かりました・・・ステージスペースで演技を披露するスタイルではないのですね。
店内全てが演技空間でした。
という事は今座っているテーブル席、もろ舞台の中に座っているようなもの。
役者さんが演技される位置・・・近いっ!近すぎる!
普通にお店の中にいる感覚のまま、そのやり取りをマジマジ見るのは失礼にあたるのではないかという常識に基づいた遠慮があるものの手元ばかり見ていても勿体ない。
ええ見ましたよ、なるだけさり気なく(笑)傍からどう見えたか知らないけど。
テーブル席にはもちろん他にもお客さんが座っており、結構リラックスされていた気もするのですが、そこまで観察する余裕はとてもありませんでした。
ストーリーというよりBAR店内でのやり取りを楽しむといったスタイル。
その中にもちろん演劇要素は盛り込まれているわけで、もうこれはキングofライブ。
BARにあまり行ったことの無い方、お薦めです。
久しぶりにディープな体験をしました。
終演後、出番少なめの役者さんだと認識していたのが実は普通にお客さんだったと判明した方々、数名。
こんな事ってある!?
あぁ面白かった!
かわいいはつくれる、かわいいはつかれる、鏡に映ったわたしで泣ける
MacGuffins
サンモールスタジオ(東京都)
2019/06/11 (火) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
アイドル戦国時代・・・確かに戦国ワールドでした(笑)
さぞかしアイドル系の女優さんが大勢登場、かと思いきや主人公アイドルは何と!ゴリマッチョ系(笑)
(㊟対抗馬にはアイドル系女優さんも登場します)
アイドルといえば「熱狂的なファン」という事でハイパーハイテンションが物語に良く合うのですが、ここでは加えて事務所陣営も熱い!
そして何より一番熱いのは主人公アイドル小野寺マチコ(㊟ゴリマッチョ)
時折ワッキーが女装したらこんな感じ?(ゴメンなさい、もうちょっと綺麗です)と思わせつつ色んな液体を飛び散らせながら大奮闘でした。
・・・「もうちょっと綺麗」はフォローになっただろうか、ゴリマッチョと言った時点でアウトか
小さい劇場で、これでもかとエネルギーが炸裂するドタバタが苦手の方には不向きな作品かもしれませんが、バカバカしい事に完全燃焼の舞台から泣き笑いエネルギーを沢山浴びてみたいという方には珠玉の1作。
○○トアル風景
中央大学第二演劇研究会
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
都会の片隅で出逢った男女。
ひとつひとつのシーンが空気分解し、次へと転換していくような表現が素敵だなぁと思っているうちに流れは何やら怪しい方向へ。
傍から見ていると、もどかしいくらいに不器用に、着実に崩れていく関係性。
不条理な不運も重なって彼等は一体どこへ向かっていくのか・・・
沢山の役者さんが次々とリレーで紡いでいく演出とチームワークが爽快。
デタラメ描きのようでいて、ちゃんと役割を果たしていくチョーク絵の数々。
『○○トアル風景 』 ○○は最後に埋められるのですね。
精神世界とリンクしてくるような、本来の原点へと戻っていくような、不思議な面白味のある公演でした。
夜のジオラマ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
大人のSFファンタジーはイメージしていましたが、まさかこんな感慨を持って帰ってくる事になるとは思ってもいませんでした。
ファンタジーのオブラートに包まれながらも内容に関しては意外な程に手強い感触。
演技はSPIRAL MOONさんらしく情感が込められて実に丁寧。
全貌が分かった今、それらをなぞらえ噛みしめていますが、観劇途中にフォーカスをどこに当てれば良いのか、よく分からなくなってしまったのが残念です。
迷いの無い視点でのリピートで改めて発見する箇所も多いのではないかと思えた作品であり、脚本を手掛けられた はせひろいち氏を迎えたアフタートークがあると良かったなと思えた作品でした。
タイムトラベルアイドル 時空少女ピピ
タイムトラベルアイドル 時空少女ピピ 実行委員会
シアターブラッツ(東京都)
2019/06/05 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
ポップなコメディーとライブが融合。
ちゃんと演技シーンとライブシーンとで、素早くスイッチが適正モードに切り替わる観客が素晴らしい!(笑)
コンサート経験は数あれど、本作のような今どきなアイドルライブは初だったので新鮮でしたし、何より演劇からのライブなので敷居が低い。
ストーリーとしては恋愛色が意外と強くて何だか微笑ましく、舞台初の役者さんも何人かいらした様ですが、皆さん発声がとても綺麗で観やすかったです。
色んな個性あるアイドル登場、個人的に目を引かれたのはしっとりした曲も歌い上げた希崎叶和さんでしょうか、正統派です。
千秋楽挨拶にて舞台の役柄とはまた違った個性をそれぞれに観る事が出来、ここに至るまでやはり随分頑張ってきたのでしょう、思わずこちらまでウルッときました。