ブランデー!恋を語ろう
動物電気
駅前劇場(東京都)
2019/06/01 (土) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
動物電気さんの公演は10年近く、ほぼほぼ拝見していますが、当時から既に独自の笑いのツボを体得されており、それが積み重なった面白さはもう鉄板の領域。
初めて観た時の衝撃は今となってはお約束、それでも得られる新鮮味と満足感はホント大したものだなぁと今回もつくづく実感。
あらすじは、高校&カラオケ教室のダブル教師夫婦に降りかかる受難の数々・・・とでも言えば良いのか・・・テーマは中年男女の恋愛です(笑)
今回は女性陣も大奮闘。
客演・新人さんも加わって増々賑やかでした。
なんてったって
青春事情
OFF OFFシアター(東京都)
2019/06/05 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
正統派男性アイドルユニット。
身につけた衣装は確かに3人とも若い頃には似合っていただろうなと。
それにしてもアイドルとして現在に至るまで、いくらでもイメチェンのチャンスはあっただろうに、化粧という魔法を使えないだけにコレは流石にキツい御姿(笑)
いや、青春の面影が背景に見えるならば、ファンにとっては充分アリな光景か。
四十路の哀愁をスパイスに、かと言って辛辣な程には意地悪ではなく、四十路共感濃度メチャ高めの緩~い笑いに終始包まれてのイイ感じな舞台でした。
同年代だけでなく若い観客にはいずれ来たるべく風景として想像可な可笑し味もあったでしょうが、若手アイドルからの導入口も用意されていて、そこからも入りやすく、結果だれもが楽しめる内容に。
気楽にゆる~く楽しむのが正解。
かさぶた式部考
劇団櫂人(解散しました)
上野ストアハウス(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
これからご覧になられる方は充分体調を整えて観劇される事をお勧めします。
というのも人間が生き抜くという様・・・親子愛・夫婦愛・信仰心・執着心・情欲・・・あぁ数えきれない(汗)をこれでもかと受け止める事になるので。
更に親子愛・夫婦愛・信仰心どれを取っても綺麗ごとでなく(綺麗ごとなど言ってられない)泥臭く本能的なモノを剥き出しに描かれ演じられており、全く容赦がない作品。
男盛りの30歳で精神を病んでしまった豊市に彼の母と妻。
後に神々しく登場する教祖・智修尼。
この4名を中心とした想像を超えた愛憎の図式・・・・のみならず彼等を取り巻く人々の心の救済を求めるその渇望感。
本作では作中に登場する宗教団体に対して、かなり辛辣な視線で描かれているものの、これはひとつの解釈として日本政治の写し絵と受け取って良いのだろうか。
だとすると力弱い国民はその色に染まったまま縋って生きていった方が幸せだろうかと考えさせられます。
意志をもって自身の道を行くのが正しいと分かっていても何とも悩ましい虚無感が広がってくると共に、えーい負けてられるか!と力が漲ってくる作品でありました。
中女 ~あたりめ~
踊る演劇集団 ムツキカっ!!
高田馬場ラビネスト(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
「ポワッと インチキオジサン登場♪」ってな感じで、おぉ~っ!出てきましたねオッサン天使が。なんか素敵な登場です(笑)
うん!100%この天使に関わるのはイヤだ!と私が思うところは、ホントどこにでもいそうな今どき女性主人公も間違いなく一緒。
しかし関わらざるを得ない、どうしようもなく不条理な状況からのスタートに思わず冒頭から前のめりです。
現在から過去へ、悪戦苦闘する主人公女性と、そんな事などあずかり知らぬ仲間達。
奇しくも先日拝見した「10分間2019~タイムリープが止まらない~」とも共通した、広がっていく面白味を含有しながらも全くの別物、流石のしっかりちゃっかりムツキカっ!!ワールドでした。
思わずズリッとなる予測不可能な仲間の行動に笑いつつ、うねり狂いながらもある一点に突き進む時空の何とも言えない不気味さ。微笑むオッサン天使。
まさにダークでキッチュ。
そしてニヤニヤ油断していたところで不意を突いてくる驚きのラスト。
「えっ エンディング!もうそんなに経った?」体感時間、めちゃ短く感じられました。
自由を我らに
カプセル兵団
ワーサルシアター(東京都)
2019/05/28 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
舞台上に続々と集まってくる言論・文章に長けた登場人物。
序盤にてその人柄が順々に伝わってくるのですが、 これは絶対揉めるわ(笑)
一般人にとって読解しづらい日本国憲法を分かりやすい口語文に書き換える為に集められたというのに皆発言が自由過ぎ。あぁ~だからッ 意味まで変えちゃいけないんだってばっ(笑)
文言の解釈と表現方法に対して、作家・歌人・随筆家、いわゆる文章で楽しませる職業人の発言は、ここでまかり通ったとしても、どうせ後で訂正されるでしょう的な微笑ましく笑えるものが多かったけれども、同じ文章を楽しませる職業人とはいえ広告文案家の発言はその笑いに紛れて「んっ?」どさくさにちょっと怖い事を言っている気が・・・
一番の見どころはやっぱり9条のくだり。
ここで一気に身が引き締まったし、そう!正にこんな論争が観たかった!という思い。
それこそ一言一言を噛みしめるように聞き入りました。
毎回役者さんが、その場の感情で自由に演じるという「フリー・リアクション演劇」
皆さん負けず劣らずの熱き言論・演技バトルを繰り広げられてていましたが、そこをあえての個人的熱弁賞は新聞記者・大町さんと政府の役人・生粋さん。
観る回、観る人によって変動する可能性が面白いです。
後家安とその妹
明後日
紀伊國屋ホール(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
プロデューサーに名を連ねる小泉今日子さんは、ずっとアイドル時代からどこに身を託すのかを含め映像・演劇を問わず自己プロデュースの天才。
今回女優として御自身は出演されてはいないのだけれど本作における重要な二人の女性
「極上の男をたぶらかす女性」と「下衆な男に弄ばれる女性」それぞれの役に想いを託されていたのではないかと思えた公演。
小演劇界から抜擢された役者さんに目を向けただけでも「なるほどコレは期待できる!」な顔ぶれ。
ただ期待したイメージがそのまんまそっくり舞台で具現化されるというのは難しいもので・・・音響・照明を含め、ここはもっとケレン味を身方につけた方が・・・と思いながら、狙いどころはどこを取っても理解ができるのでドキドキ心弾んだり、狙いが理解できるが故にもどかしく思える箇所があったり、中々こころ忙しい観劇となりました。
ドラマチックな殺陣シーン、要所要所における豊原功補さんの巧さ、毎熊克哉さんの人を思いっきり不安にさせる表情etc見どころは沢山。
なんだかんだ言っても観る価値充分にありました、私は満足です!
受付で観客を出迎えてくれる小泉今日子さん。
にこやかに、ごく当たり前といった感じで・・・うん、やっぱりキョンキョンはかっけーッ
10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】
中野劇団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
気心知れた仲間うちの飲み会と悪夢のような無限タイムリープの取り合わせが何とも絶妙!
気心知れているのと気が通じ合うのは別物なのですね、なんか逆に厄介(笑)
さり気なく関西弁効果も大きい。
何より見事だと思ったのがタイムリープの回数を重ねていく程に可笑しさも増し増し、更に話も広がっていくという展開。
止まらない笑いを増幅させたまま勢いで一気にラストまで・・・と思いきや途中からまた流れが変わってハッとしてしまうのもイイ感じ。
敢えて言うなら舞台に登場しなかったキーマンの人物像だけがいまひとつ実体としてイメージしづらかったのですが、舞台上の人物達は誰もが親近感湧く完全キャラ。
特に主人公の人間臭さが逐一味わい深く、そして可笑しい。
会場は序盤から笑いの起きる暖かい雰囲気だったので遠慮なく笑えるし、やり取りの妙はどんどん加速していくし、ええそりゃもう思う存分笑い倒してやりましたよ(笑)
お隣りのキャラメルボックスファンの女性も、ひとつ後席のコリッチメンバーミドル英二さんも負けずに笑っていて何だか楽しかった!
俺は間違っている。
空想実現集団TOY'sBOX
遊空間がざびぃ(東京都)
2019/05/22 (水) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
「育ち盛り」という言葉がピッタリに思える劇団さん。
通常より観客収容人数の少ない劇場公演なので多少こじんまり、かと思いきや、とんでもなくパワフル!メチャ伸び伸びと楽しんでいる感じが愉快爽快でした。
基本、下手が主人公の村上悠太さん率いる妄想軍団エリア(彼の幼馴染役、中舘早紀さんもこちら側)
上手が引っ越してきたお隣さん小田島凛さん率いるライバル(笑)妄想軍団エリア。
ただでさえ近いのだけれど、もしお目当ての役者さんがいて、その役者さんをより贅沢に観やすい席で楽しみたい場合は、早めに入ってスタッフさんにどのあたりに座れば良いのか尋ねれば教えてくれそうなので是非。
独り悦に入っている妄想の中に、偶然世界観が一致してしまったお隣さんの妄想が紛れ込んでくるという発想が面白いストーリー。
こんな感じの妄想、子供の頃自分も楽しんでいたかも(笑)
当時は我ながらバカバカしい事やってるなぁと思っていたけれど、妄想力が無くなった今としては何とも懐かしい・・・
パンフと一緒に入っている手紙の演出も小憎らしく、良かったです。
一段とキャラに磨きがかかった演出家さん。
前説兼ストーリーテラーとして何とも良い感じ・・・こちらもどんどん育っていくのではないかと楽しみ。
ねこのはこにわ
teamキーチェーン
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2019/05/17 (金) ~ 2019/05/21 (火)公演終了
満足度★★★★★
過去に拝見してきたteamキーチェーンさんのミステリーinの作品には、どうやったら創り出すことができるのかと思うほどにヒンヤリとした空気が流れ込みゾクゾクしながら引き込まれてしまうのだけれど、本作は番外公演。
また全然違った空気感でもって、大いに楽しむことができる作品になっていました。
家賃の安そうなアパートに6世帯。
それぞれの生活が時には交わったりするものの、それぞれに独立した営みがしっかりと描かれており、幸、不幸を推し量ったところでそれは本人にしか分からなく、道半ばの人達でもあるのだけれど、彼等の十人十色様々な人生模様に触れることで観劇後は喜怒哀楽、実にカラフルな感慨の風呂敷に包み込まれたようでした。
六つの世帯を見せる演出方法はいくつか考えられるのでしょうが、本作での見せ方は良く考えられていて、ちょっと視線を移すだけでどの部屋にも焦点を当てる事が可能。
見るべきポイントの誘導も巧みなので、観進めていくほどに自然と各家庭の内情が伝わってくるし、時にはスポットの当たっていない家庭をチラ見してみると思わぬ様子を垣間見てしまったりで舞台全体が実に表情豊か。
そう、ここのアパート住人はとても在宅率が高いのです(笑)
一言に群像劇といっても、こういう魅せ方もあるのだなぁと、素敵な「ねこのはこにわ」に酔いしれてしまいました。
musical『ジキル&ハイド』
Hell Cat Fire
ザムザ阿佐谷(東京都)
2019/05/18 (土) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
ドラマチックな名曲が多く、見どころ満載なミュージカル『ジキル&ハイド』
流石に帝劇のそれとは別腹モノとはいえ、その作品と真正面から向き合った実に誠実な公演でした。
特にジキルと深く関わり合う二人の女性、「婚約者エマの純潔さ」と「娼婦ルーシーの艶やかさ」のコントラストがとても良かった。
基本素舞台ながら衣装や調度品は細部にまでこだわった色とりどりなゴージャス感、綿密な群像の動きといい会社員役者の本気が沢山詰まっていました。
逆襲の花束
生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した
新宿LIVE FREAK(東京都)
2019/05/12 (日) ~ 2019/05/14 (火)公演終了
満足度★★★★★
大盛り上がりの千秋楽!
ALL STANDINGの回はガッツポーズしたいくらいに大正解。
大いに興奮して良い汗かいた!外の夜風がめっちゃ気持ちいい・・・しかしこれは観劇の感想か?(笑)
全身に響き渡る生演奏の会場は正真正銘のライブハウス。
もちろん演技パフォーマンスありきの構成ではあるものの、観客に向けての台詞が多用され、いわゆるストレートプレイとは一線を画する斬新な形態。
個人名では無く、どこか象徴的な名前と業を背負った囚人たち。
彼らの多少オチャラケが入った前半も良いが、看守が登場し雲行きが変わってからの後半戦がとても熱い。
通常、かねてからファンのアーチストライブでもなければ容易に盛り上がれるものでもないはずですが、この演技パフォーマンスあってこそのライブパフォーマンス、大興奮でした。
燃え上がる炎と血の赤。
もっと若い頃に観ていたならば、突き刺さり方もストレートに更にガツンときたかも。
ハッピー・new・メリークリスマス
劇団マリーシア兄弟
Geki地下Liberty(東京都)
2019/05/09 (木) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★
個人的に、前作『バンブーオブビッグ』で感激した者としては、かなりの落差でもって伝わってくるモノが少なかったです。
台詞が台詞としてでしか頭に入ってこなかったのと、台詞の中心にいない時の役者さんが目立たぬよう、きっちり動きを抑えられているのも逆に気になりました。
新参者ながら、等身大で自然体(少なくともそう感じさせる)な世界観がマリーシア兄弟さんの大きな魅力だと捉えているので、本作での作り込み感がどうしても馴染めなかった。
それでもシンプルな舞台の中、演技で魅せようとする心意気と気概ある劇団精神は充分に伝わってくるので期待値が高い劇団さんであることには全く変わりはなく、次の一手が楽しみではあります。
生ビールミュージカル
宇宙論☆講座
スタジオ空洞(東京都)
2019/05/01 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
本気で酔っぱらい、半ば狂人状態で演じる事を前提に構成された公演なので、しっかり只事ではありませんでした(笑)
観客も積極的にビールのサービスを勧められ、つまりは「酔っ払い」VS「酔っ払い」色々とリスクも考えられそうですが、何しろ演者さん全員が酔っぱらい軍団、毒は毒で制する方式にて最強。
舞台手前では阿鼻叫喚、奥では横一列に可愛い振り付けを踊り続ける役者さん達、ポツリとオムツ姿で佇む役者さん・・・イメージできるでしょうか
喧嘩上等ならぬ不謹慎上等、作品の全てを集結したかのようなエンディングで歌い上げられるテーマ曲がもう圧巻!
夢か現か、ほろ酔い加減で盛り上がり、半目でエンディングを見届けたあと眠りに落ちる・・・これが最高の鑑賞法かも
評価点つけるのも野暮な気がしますが、前人未到?の飲酒公演達成に星五つ。
はたして追従する(できる)劇団はあるのか(笑)
それからの夏
“STRAYDOG”
ワーサルシアター(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★
情感ある台詞に溢れた脚本がスンバラシイ!
個人的に今まで拝見してきた“STRAYDOG”さんの作品で、コメディーな笑いを一切ぶっこまなかった演出作品は初めて。
新鮮であり、本作においては伝わりやすかったと思います。
両サイド客席に挟まれた舞台からは、汗や草木の匂い、時には死者を弔う煙の匂いが香り立ち吹き抜けていくよう。
報われなくともひたすら走りまくる主人公。
その身体を通り過ぎる風もがこちらに伝わってくるようでした。
美しくて残酷、その中から強い生命力を感じる物語。
痛みこそが生きている証でもあるような切なさに胸を締め付けられました。
H&ERO
Peachboys
シアター711(東京都)
2019/04/23 (火) ~ 2019/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
『令和』一発目、ドッカ~ンと突き抜けたエロパワー大放出公演 凄かった~!
華麗なる前説にて笑いの準備態勢は完璧、いつでも本編カモ~ン状態からの幕開け(つまり前説でもう大笑いしまくっています)
全く遠慮のない実名パロディーや容赦ない下ネタが受けまくって会場丸ごと正真正銘、大爆笑の渦が巻き起こりました。
(ただしパンチとボリュームあるラーメン二郎系公演なので少食の方はご注意を)
時代を駆け抜ける“童貞こじらせ3人組”はこの世に事件がある限り、今後もまだまだイケますね(笑)
見入っている間はひたすらスゲーなこの劇団!と、おもちゃ箱をひっくり返したような笑いの連打に現を抜かしていましたが、あらためて思うに本作の台本から下ネタやパロディーの数を拾い上げるとすれば、その作業だけで一体どれだけの労力を要することやら。
面白い面白くないは別としても(メチャ面白かったのですが)ひたすら観客を楽しませる膨大なエネルギーの陰に一体どれだけの努力と覚悟と本気が隠されているのかを思えばジ~ンと感動の念すら湧き起ってきます。
間違いなく根っからのサービス精神旺盛、楽しい事大好き集団。
大盛況の会場 楽しい処には人が集まってくる。という自然の流れが気持ち良かったです。
演劇♡顧問
神保町花月
神保町花月(東京都)
2019/04/26 (金) ~ 2019/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
これ本物の演劇顧問教師が観に来たらど~すんの(笑)
お馴染みといった様子のメンツが揃った教師たちの飲みの席、その一部始終。
舞台では序盤から程よく酒が入ってイイ感じの荒れ具合。
これはナイスな本音が飛び出してきそうな予感。
おっ!絶対いると思っていましたよ、作品に教育論を被せてくるキッツい女教師・・・まずは手堅く笑いをゲット。
しかしこれは嵐を迎えるほんの前触れに過ぎず、ほどなく審査員も席に加わったことを契機に・・・人間味丸出し。赤裸々ですね、赤裸々すぎるッ(笑)
会場全体が程よい熱気と笑いに包まれて、とても良い公演だったと思います。
しずるのお二人はお笑いコントで演技力がそこそこあるのは分かっていましたが、本作では更に深みが加わって抜群の安定感。
バイク川崎バイクさんはネタしか拝見した事がなかったので役者姿が新鮮でした。
もちろん□字ックの面々も全然負けてはおらず、もう芸人さんと役者さんの区別がつかないほどに渾然一体。
芸人さんの演技パワーと脂が乗った□字ックワールドが合体した完全ウィンウィンの企画だったので、今後の展開がとても楽しみです。
ランチタイムセミナー
劇団ジャブジャブサーキット
ザ・スズナリ(東京都)
2019/04/27 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★
実際に起こった人質事件。
前作とはこれまた大きく異なった題材だったなぁと思いきや、アフタートークにてゲストの方が観劇感想をシャボン玉に例えられており、ナルホド歴史的大事件勃発で世間は大騒ぎの嵐のなか、当の公邸内は意外なほどの無風状態、思わぬ共通点がありました。(境界線がとても壊れやすくはじけ飛んでしまう膜である事も例えられた理由のひとつ。とても上手い表現です)
とは言え舞台は人質となったまま3カ月も経過した状況からのスタート。
不思議な和やかさの中にも時折ピリッとした緊張感が走り、微妙な歪みを感じ取れるのが印象的であり、この事件の結末を知っているだけに感慨深く感じられるシーンも多々ありました。
吹き荒れる外部の政治的思惑はどうあれ、もしかすると外国人から見ればヘタレに映るかもしれない人質日本人の戦闘を戦闘でぶつけようとはしない人間性にはとても好感を持っての観劇でした。
疾風のメ
くちびるの会
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/17 (水) ~ 2019/04/22 (月)公演終了
満足度★★★★
前々作「逃げぬれて、夜」に続き、世知辛い社会に蔓延る闇の中、人間性がキラリと光る主人公をストーリーの中で泳がせるのが本当に上手い劇団さんだなぁと。
自分的には本作をヒーローものとして鑑賞しました。
とことん人間臭くて好感度ナンバーワンヒーロー。
ヒーローにはいつも葛藤と哀愁が伴います。
気持ちいい穴の話
劇団きらら
王子小劇場(東京都)
2019/04/19 (金) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
耳かきエステ・・・劇中で提示されていた料金は30分3千円、60分5千円(微妙な感じのオプション設定あり)
一種のエステティックサロンというにはインチキ臭く、かと言って風俗でもない中途半端さがどこか宙ぶらりんな業務形態。
ではあるのだけれど、そんな土壌だからこそ生まれる根無し草の人間ドラマが何とも可笑しく美しく切ない。
薄暗い雑居ビルの一室に何かを求めてくるお客・・・何かを求め、もがいているのは雇われ店長や女性従業員たちも同じ。
ひっそりと泡沫に消えてなくなってしまった楽しくもほろ苦い日々。
改めてフライヤーを眺めてみると、あのワンシーンが蘇ってくる写真であるのが心憎い・・・うん、あらためてあれは良いシーンだった・・・
本来は満点の作品だったのかもしれないのだけれど、数日前のオパンポン創造社「さようなら」の世界から未だどっぷり、全く抜けきっていない自分・・・それが何とも悩ましい。
さようなら
オパンポン創造社
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/04/18 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
人は健康で定職があって食うに不自由していないのであれば幸せと思わなければいけないのかもしれない・・・しかし幸せと思えないものは思えない。これはどうしようもない事。
そこに暮らす人間描写の鮮やかさに自然と笑ってしまいながらも同時に襲ってくるのは圧倒的な閉塞感。
楽しい事なんてひとつも無く愚痴ばかりが蔓延する生活には、いい加減前向きな気持ちも萎え萎えになってしまうのは容易に想像できるし「こんな狭苦しい地方からは出ていきたい!」と考えてしまう気持ちは自分にも身に覚えがあります。
ただ共感とはまた違う・・・ここまで呆れた人間環境に身を置いたことがないし、自分と似たタイプの登場人物が登場しているわけでもない。
それでもただの傍観者としてニヤニヤしていられないのは、舞台の生々しい世界へと引きずり込んでしまう役者さん達の力量に他ならないと思います。
そして追い打ちをかける様に強く心揺さぶられるのは「こんな現状から抜け出したい」「今の自分からサヨナラしたい」そんな時代を思い起こさせるからかもしれない。
にしてもサヨウナラの手段が、隠し金の横領って・・・絶対間違ってるし(笑)
間違っていても この状況この人達ではさもありなん、もう止まらないし止められないし、あぁもうどうなっても知らね~し(笑)
事が上手くいったかはさておき、兵どもが夢の跡・・・様々な想いが拡散していき、それぞれの人生に思いが巡ります。
とりわけ常々気の毒だと気にかけていた青年の心の内,落ち着く先を見届けたときには、他人の本音は表面を取っ払ってみないと本当に読めないものだなぁと単純ではない個の違いを思い知りました。
つくづく感慨深いです。
大納得のCoRich舞台芸術まつりグランプリ受賞作品。
どんなに書き連ねてもこの公演の素晴らしさを表現しきれなくて非常にもどかしいのですが、う~ん何故に空席が存在するのか?
公演はほんの数日すぐに終わってしまうのに・・・早く、どうにか情報伝達力っ!