「安全区/Nanjing」ご来場ありがとうございました。
メメントC
Geki地下Liberty(東京都)
2016/03/17 (木) ~ 2016/03/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
今回も魅せた会話劇
旧日本軍の南京侵攻で、南京市街に設けられた「安全区」。ここを舞台に物語は展開する。
主役は日本や英国に留学経験もある中国人経済学者。日本軍の侵攻後、国民党幹部の兄から諜報活動を頼まれ、南京臨時政府にやってきた特務機関の中尉の下僕となって自宅を守ろうとする。そこに戦地を渡り歩いてきた従軍僧が訪れる。作・演出の嶽本あゆ美の手腕は、今回もこの3人の会話劇で遺憾なく発揮されている。
見どころは、この怪しげな従軍僧だ。中尉は日本軍が民間人も暴行、殺戮するなど暴虐の限りを尽くしたという欧米によるリポートへの反証をする任務を帯びていて、従軍僧に南京などの戦いの現場を聞く。だが、この従軍僧は「殺される前に殺す」「戦場になった場所にはそもそも慰安所などない。民間の女性を相手にするのは当然だ」などと、暴虐はさも当たり前だというようにうそぶく。そんな彼の傲慢とも言える言動が、何だかまっとうな話に聞こえてくるが、それが嶽本の描く戦争の狂気だと思い知らされるわけだ。
日本軍は捕虜を取らない、という指令を出していた。日本軍に大量の捕虜を国際法に則って処遇できる能力などないからだが、捕虜を取らないというなら現場は、自分たちをいつ襲うかしれない敵国住民を殺すしかない。今回の戯曲では真正面から触れてはいないが、それが南京大虐殺につながったということは容易に想像できる。
前作の「太平洋食堂」「プロキュストの寝台」でも魅せたが、今回も戦争の狂気という大テーマに、戯曲の力でもある舞台での会話の応酬で、約二時間の上演に釘付けになる。
熊本の皆さん、ぜひ見てくださいね。
いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK『乱鶯 みだれうぐいす』
劇団☆新感線
新橋演舞場(東京都)
2016/03/05 (土) ~ 2016/04/01 (金)公演終了
満足度★★★★
古田さん、お疲れさま
50歳の古田新太の舞台だ。全編で登場し、冒頭とラストの殺陣までこなす。相当なハードさだと思う。同年代としては、敬服に値します。
劇団☆新感線初の本格的な時代劇という触れ込み。倉持裕の書き下ろしということで期待度も高い。劇団のテイスト維持したまま、笑いのツボも押さえ、楽しめる内容だ。特に、話が急展開する第二幕がいい。
古田新太あっての舞台だが、脇を支える人たちもなかなかの存在感。その中でも、江戸っ子の町人で居酒屋の女将役、稲森いずみが光っていた。この人は、しっかりした姉御肌だが繊細な面も持つという役はうまい。
家庭内失踪
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2016/03/11 (金) ~ 2016/03/23 (水)公演終了
満足度★★★
豪華メンバーなのだが
風間杜夫、小泉今日子、小野ゆり子。出演者は豪華なのに、いまひとつピリッとしない。なぜだろう。それぞれの複雑な胸の内を出し切れてないのか、脚本に難があるのか。
ベテランの風間杜夫が要所で締めてはいるものの、ちょっと違うかな、という微妙な違和感は解消されないまま、最後まで来てしまった。もっと何かあるはず、という期待感は、カーテンコールが終わっても消えなかった。
キョンキョンの色っぽさがうれしい。
おれたちは天使じゃない
無名塾
ももちパレス(福岡県)
2016/02/10 (水) ~ 2016/02/18 (木)公演終了
満足度★★★★
明るく笑える囚人物語
無名塾も40年。仲代達矢は83歳だ。世代交代が大きな課題だと思われがちだが、やはり無名塾は仲代による演劇道場だ。世代交代というより、若手俳優がいかに仲代から学ぶかという舞台であり続けるのかもしれない。
今回は、明るく笑える楽しいコメディだ。3人の囚人役では、役柄の差もあるけどやはり仲代が一番おもしろい。さすが師匠、なんである。
もちろん、脇を固める無名塾のメンバーも高水準だ。安心してみていられると言っていい。
そんな楽しいコメディに仕上げたのは、またも民藝から仲代に呼ばれた丹野郁弓の本領発揮だ。丹野ならではの演出に、仲代らがきっちりハーモニーした。
人が死ぬ場面もあるのに、明るい囚人物語。東京公演は今日が千秋楽だけど、地方の皆さん、これはオススメです。
ルンタ(風の馬) 〜いい風よ吹け〜
劇団態変
座・高円寺1(東京都)
2016/03/11 (金) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
そのまま受け止めた
東京公演は久しぶりとのことで、私は劇団態変は初体験。観るというより、体験する舞台だ。
自分はそうなのだが、周囲に障害者がいる人でないと特に、彼らがどう体を使って動くのか見たことがない。いや、想像だが、障害者が家族にいる人でも、このパフォーマンスは新鮮に映ったのではないだろうか。
本来、舞台芸術から感じるものは、一人一人違うはずだ。そんな観劇の原点みたいなものを思う。
ライ王のテラス
ホリプロ
赤坂ACTシアター(東京都)
2016/03/04 (金) ~ 2016/03/17 (木)公演終了
満足度★★★★
色あせない三島由紀夫
宮本亜門が熱望して実現したという舞台。初演時にできなかったのは、カンボジアの演者たちとの共演だろう。オープニングはそこから始まるのだが、やはり三島由紀夫が描いた世界観は、当地の人たちの姿があってこそ鮮明になるのだと思う。
主役の鈴木亮平が見事だった。鍛えられた肉体はいかにも三島のイメージ通りではないか。対照的な二人の王妃を演じた倉科カナと中村中にも注目だ。
舞台が成功しているのは、やはり宮本亜門の演出が最大の要因。影絵をうまく使った王妃の心理戦は印象的だった。
月の平均台
タテヨコ企画
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2016/03/09 (水) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
シュールなひととき
スペース雑遊にウッドチップを敷き詰め、深い森を演出。そこに迷いこんだ、妻を捜す男の一行が森の住人たちに翻弄される。結構、シュールな展開に不思議と引き込まれていく。
夢の世界のようで、現実感がある。そんな微妙なリアリティーがいい。
妻を捜しに来た男を演じた西山竜一の演技が良かった。理不尽さに振り回されながらも前に進む男の小さな勇気を、目線で感じた。
焼肉ドラゴン
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2016/03/07 (月) ~ 2016/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
見逃すと、損するぞ!
開幕前にも幕間にも、客席を楽しませる演出がある。そこで「以前にこれを見たことがある人」との問いに、驚くほど多くの人が手を挙げた。こんなに熱烈に支持されている舞台だということを、見終わって痛いほど思い知らされる。また明日も見たい、と心の底から感じる舞台はそう滅多にあるものではない。
歴史の流れに翻弄される在日韓国人家族たちを真正面から本音ベースで描いている。笑いもあるし、見ていて楽しく、元気が出る舞台だ。だが、本当に心を揺さぶる理由は、名もなき人たちが懸命に生きようとする姿を描き切っていることだ。在日の人たちの行き場のない怒りとか、さまざまな要素があるが、本当に泣けるのは、自分と等身大の人間として見ることができるからだろう。
鄭義信の三部作の一つだ。残り2作も、断然見たくなる。
サロメ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2016/03/06 (日) ~ 2016/03/15 (火)公演終了
満足度★★★★
目が離せなかった
囚われの身である聖職者を好きになり、言いよったものの袖にされた王女。「踊りを見せてくれたら好きなものをあげる」と義理の父に言われたので、その男の生首を要求する。義父は困惑するが結局は認め、王女は最後、生首にキスをする。こんな物語だけに当初は上演できなかったというのもわかる気がする。
しかし、かの有名な踊りの場面など、一幕ものの舞台から目が離せない。王女の心や周囲の人たちの恐怖を掻き立てるような不協和音交じりのオーケストラ。シュトラウスの見事な腕前だ。
中央に古井戸を配した演出も効果的だ。
池袋モンパルナス
劇団銅鑼
俳優座劇場(東京都)
2016/03/02 (水) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
今だからこそ見たい
「描きたいものが描けない」。その叫びがどこまで客席に伝わるかがこの舞台の鍵だろう。戦時色が濃くなり、従軍画家の話や、兵隊を暗いタッチで描くものは駄目だとかのエピソードは出てくる。若き芸術家たちの苦悩も描かれてはいるものの、何だが意外にそのあたりがさらっとしているところが気になった。池袋モンパルナスが芸術家たちで活気にあふれていた時代ともっと対比させて、次々に届く赤紙で芸術家たちが絵筆を銃剣に持ち替えていく、そうした時代の苦悩をもう少し強烈に出してあると、もっと胸に響く舞台になったと思う。
とは言え、今の時代に見るべき戯曲である。1997年に初演された台本が20年近くを経て今、上演されるのはとても意義深い。「描きたいものを描きたいんだ」とお国言葉で叫ぶ若者たちの姿は、とても印象的だった。
キキ役の土井真波、紅一点の画家役の向暁子。この二人の演技はとてもよかった。楽曲で声がかすれる場面があったのは、連日の舞台の疲れなのだろうか。千秋楽まで頑張ってほしい。
Be My Baby いとしのベイビー
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2016/03/03 (木) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
何とも幸せなコメディ
カトケン事務所のコメディの選び方は秀逸だ。クレイジーフォーユーなどで知られる米国の脚本家ケン・ラドウィッグの名作。カトケン事務所は初演時と同じメンバーで再演した。
翻訳がいいのか、鵜山仁の演出がイキなのか、あちこちでしっかり笑いが起きる。幸せ感で泣けるラストシーンなど、役者たちがきっちり仕事をしていて、翻訳劇にありがちなぎこちなさがない。
加藤健一の長男と高畑淳子の長女が若い夫婦役。カトケン事務所の加藤忍も、今回も面白い。
リビング
O-Parts
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/03/02 (水) ~ 2016/03/07 (月)公演終了
満足度★★
宝塚出身女優のドタバタコメディ
作・演出の荻田浩一は宝塚出身。だが、歌や踊りがメーンではなく、宝塚出身の女優がドタバタを繰り広げるという舞台だ。
アクションが得意な栗山航が、引きこもりという意外な役でうだうだの主役を務める。コメディと銘打ってはいるが、爆笑が続くわけではない。役者たちに入れ込んで見られる人でないと、残念な結果になるかもしれない。
『夜、さよなら』『夜が明けないまま、朝』『Kと真夜中のほとりで』
マームとジプシー
彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)
2016/02/18 (木) ~ 2016/02/28 (日)公演終了
満足度★★★★
再構築の妙
藤田貴大が少し前、寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」を演出したとき、この作品のパーツも含めさまざまな断片を用意し、それをつなぎ合わせるスタイルで新たな戯曲を演出した。寺山の言葉をなぞるように、藤田は「演劇の実験」として「いろいろ試す姿勢を引き継いでいる」と言った。
今回は「夜」「不在」をベースに三つの戯曲をつなぐだけでなく、おそらく個々の断片を再構築してつくりあげていったのだろう。繰り返されるせりふ、機敏でシャープな俳優たちの動き、そしてそれらの塊としてのリフレイン。劇場の奥行き、スポットや蛍光灯などの照明、スクリーンに映し出す映像。これらも断片として効果的に縫われていく。名作「cocoon」で見せたあの舞台芸術の原点は、ここにあるのではないかと想像する。
俳優に個性が見えない、という批判も出るかもしれないが、藤田はおそらく、舞台上で俳優が個性を発揮するのではなく、均質でかつ機敏で正確な動きを要求している。それは俳優も再構築されるパーツだと言えるのかもしれないが、かといって無機質な冷たい舞台ではない。
透明感のある、みずみずしい空気感がいい。客席の想像力を刺激し、さまざまな物語の続きを客に想像させる。
思い出を売る男
浅利演出事務所
自由劇場(東京都)
2016/02/24 (水) ~ 2016/02/28 (日)公演終了
満足度★★★★
夢が行き交う街角
加藤道夫作ということで、見たかった演目。先の大戦で前線に出て、生きるか死ぬかという思いをした人だから書ける物語だと思った。
戦争で荒れ果て、それでも人びとが行き交う街角。生き延びた人の思いがゆらゆらさまよっている感じだ。すれ違う人の大半がスマホを見ている今から考えると、人びとの心が濃密に行き交っている感覚だ。その街角に、音楽とともに思い出を売っているという男がいる。影絵をうまく使った思い出の数々がとても美しい。
終戦から6年で書かれたという。加藤道夫は米軍兵士の故郷の恋人の思い出も盛り込んでいる。そこには敵も味方もない。ただ思い出だけがある。心に触れる短編だった。
スーベニア 騒音の歌姫
「スーベニア」公演実行委員会
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/02/19 (金) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★
盛り上げた脇役たち
70代三田佳子の主演舞台。強烈な音痴なのだが誰よりも歌を、音楽を愛した女性の実話。最後はカーネギーホールでリサイタルをするに至るのだが、音を外して歌い続ける主演女優・三田佳子の力量に惜しみない拍手。しかも、70代でこのパワーである。
この舞台を支えた脇役たちにも注目だ。マネジャー役の京本大我、ピアニスト役の劇団鹿殺し・オレノグラフィティ。特にこの二人はよかった。
舞台は素晴らしいが、「騒音」に引いてしまう人も多いかもしれない。
オーファンズ
ワタナベエンターテインメント
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/02/10 (水) ~ 2016/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
見事な舞台だった
ライル・ケスラーの名作である。あとは舞台の三人が宮田慶子さん演出でどう、これをこなしていくか。
結論から言うと、想像以上に見事な舞台だった。特に、柳下大さんが非常によかったのではないか。パンフレットによると、この演目は、彼が宮田さんを口説いて実現させたという。その意気込みがびんびん伝わってきた。彼はもう、単なるイケメン俳優だけではない。一皮むけたのではないだろうか。
ハロルド役の高橋和也さんはさすがの貫禄だ。見ている方が引き込まれる演技を展開している。もう一人、病弱の弟役平埜生成さんも、しっかり存在感を示していた。柳下の豪快さに負けることなく、一歩一歩自立へと歩んでいく姿を見事に表現していた。
若い二人をして、これだけ完成度の高い舞台に仕上げた、宮田さんの腕前もお見事でした。
猥り現(みだりうつつ)
TRASHMASTERS
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/02/18 (木) ~ 2016/02/28 (日)公演終了
満足度★★★★
今回も冴える中津留ワールド
商店街にあるパキスタン料理店を舞台に強烈な会話劇が進行する。ムスリム、同性愛、貧困。さまざまな個人の事情が交錯し、議論が展開される。荒唐無稽かもしれないが、それぞれの話には説得力がある。
こうした展開で、社会派劇の中津留ワールドが遺憾なく発揮されている。納得できる議論もあるし、「それはちょっと」と引いてしまう場面もある。
きっとこの戯曲でも、語る言葉を探し続けているのだろう。武力で一刀両断する現実が世界各地で絶えない中で、登場人物たちの言葉が宙を舞い、見るものにさまざまな思いを引き出してくる。
会話劇なのでやむを得ないかもしれないが、ムスリムになった女性弁護士のエキセントリックな会話は、もっと抑えた方が。
屋上のペーパームーン
オフィスコットーネ
ザ・スズナリ(東京都)
2016/02/10 (水) ~ 2016/02/17 (水)公演終了
満足度★★★
笑えるが、何だがなあ。
そういえば、そんな事件もあったっけ。偽の夜間金庫を作って金を奪おうとした事件。かなりの人がだまされて現金袋を投入したというから、犯罪史上注目すべき事件だった。しかも、犯人は捕まってないし。
この戯曲は、その犯人グループの後日談として創作されている。現金奪取に失敗したグループたちの、何だがしまらない反省会のようにもみえる。コテコテの関西弁の会話はおもしろくて笑えるが、何だがなぁ〜という締めくくりである。わたし的には、冒頭が一番おもしろかった。
奴婢訓
演劇実験室◎万有引力
座・高円寺1(東京都)
2016/02/05 (金) ~ 2016/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
寺山の時代を想像した
主人のいない館で狂宴を繰り広げる召使いたち。寺山修司は「天井桟敷」でこんな感じの舞台を作り上げたのか、当時を見ていない私には想像するしかないが、その想像力を大いに刺激する見事な舞台だった。
これは、役者たちの個人の力が試されるパフォーマンスでもある。座高円寺で舞台を広くとり(すなわち、きっと客席数を削っている)、その大きな空間を思う存分使うとともに、客席の空間も活用。さらに、人間の造形美とも評することができる動き、そして、ろうそくの明滅を効果的に活用した演出。
寺山の演出もそうであったのだろうか。万有引力は寺山劇を忠実に受け継いでいるというから、この戯曲は一見の価値がある。座高円寺は結構広い。これを例えば下北沢の小劇場でやったらどうなるのか。帰り際にそんなことも想像してしまった。
光の国から僕らのために―金城哲夫伝―
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2016/02/10 (水) ~ 2016/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
沖縄を考える舞台
ウルトラマンが登場する1990年代は既に戦争もなく、人類は国を超えて宇宙からの外敵である怪獣に対処している。沖縄県出身で、先の戦争では沖縄戦の鉄の暴風を生き延びた、ウルトラマンの生みの親、金城哲夫。彼がウルトラマンで描いた世界は、ある意味で人類の理想郷。もちろん、沖縄に米軍基地などない世の中だ。
この戯曲の中で、「我々はまだ、ウルトラマンを超えるヒーローを生み出していない」という作家たちの言葉が出てくる。その言葉の意味の通りなのだが、今も広大な米軍基地が存在し、さらに辺野古には新基地が作られようとしているそんな沖縄の今を思わせるせりふでもある。
光の国から僕らのために、来たぞ我らのウルトラマン。今の世の中にウルトラマンがきてくれたら、と願わざるを得ない、そんな思いで劇場を後にする。