かずの観てきた!クチコミ一覧

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The Dark City

The Dark City

温泉ドラゴン

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2018/10/15 (月) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/10/16 (火) 14:00

座席1階

価格4,000円

終戦直後の埼玉県本庄町(現・本庄市)。銘仙の闇取引で暴力団が牛耳り、警察も検察もその仲間という小さな町。そんな暴力の街はおかしいと書いた朝日新聞本庄通信部の記者に対する元暴力団組員の町議による殴打事件をきっかけに、新聞がキャンペーンを張り、市民が立ち上がる。本庄事件と呼ばれるこの経緯を題材に、社会派劇作家シライケイタが今に暮らす市民に訴える。「本当に、生きているか。立ち上がっているか」と。
唐組で暮らした怪優・大久保鷹がひときわ、光を放つ。舞台が現代と70年前を行き来する構成で、出演俳優は一人何役もこなすのだが、70年後の今に生きる老人を演じる大久保が、この70年前の事件の意味をストレートに客席に問い掛けるさまは、圧巻だ。まさにぴったりの配役であると言える。
フェイクニュースなどが横行し、ジャーナリズムに背を向ける人が目立つ今。しかし、ジャーナリズムとは民主主義を支える基盤であり、書く自由はすなわち、私たちが生きる自由だ。これが政権や暴力団で切り取られていくとすれば、それは、生きる自由を制限された戦前・戦中に戻ることになる。
新聞は書いているのか。市民はそれを手に立ち上がっているのか。
民主主義であるはずのわが国で、独裁政権のようなやりたい放題が通る今。声を上げることの重要性を、見た人たちに強く訴えかける。70年前の市民の力を今、思い起こしたい。

ゲゲゲの先生へ

ゲゲゲの先生へ

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2018/10/08 (月) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/10/08 (月) 14:00

座席1階

作演出の前川知大は、徹底的に水木作品を読み込んだという。舞台はタイトル通り、全編が水木作品へのオマージュであり、とても人間的な妖怪が、いや、とても妖怪的な人間が舞台を駆け回る。
妖怪を恐れるのは、人間の心に自分たちにないものへの怖さとか、後ろめたさがあるからなのだろう。
水木作品がそうであるように、前川の舞台でも妖怪への怖さが笑いで彩られている。それは金にあざといところだったり、いかにも人間らしい浅はかさが笑いの種になっている。出てくる妖怪も現代社会への風刺を存分にまとっていて、このあたりは水木ワールドそのもの。詳しい人なら、この舞台は数倍楽しめる。
豪華な出演者たちも、きっちり期待に応えている。主演の佐々木蔵之介のおとぼけ詐欺師ぶりはさすがだし、白石加代子は妖怪そのものというかぴったりはまっている。松雪泰子はあまり動きがないようにみえて、存在感抜群だ。
とにかく楽しめる。

ネタバレBOX

舞台脇のドラムの音からスタート。ミュージシャンが途中で舞台に参加する場面あり。お見逃しなく。
母と暮せば

母と暮せば

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2018/10/05 (金) ~ 2018/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/10/05 (金) 19:00

座席1階

素晴らしい二人芝居だった。拍手鳴りやまず。見事というしかない。
山田洋次監督の映画もあり、こまつ座としてはチャレンジングな舞台であったと思う。作に、渡辺源四郎商店率いる畑沢聖悟を起用したのがすべてだったのではないか。パンフレットのインタビューで本人が語っているように、こんな仕事を受けて「こんな馬鹿は見たことがない」

だが、母子の言葉のやり取りは舞台中盤から降り注ぐように胸に刺さる。これは畑沢のなせる芸術だ。また、その高いレベルの要求を見事なまでにクリアした富田靖子はすごい。松下洸平も、事前の予想を覆す素晴らしい演技を見せた。
映画を見た人にこそ、必見の舞台である。見なきゃ損するぞ。

時を接ぐ

時を接ぐ

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2018/09/26 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/28 (金) 18:30

座席1階

今更ながら感銘するのだが、日色ともゑさんという人は女優として時空を超えている。10代の女の子から実年齢近くまで、全く違和感を抱かせない。しかも今回の舞台では衣装もメイクも変えないままそれぞれの年代を演じ切っているのだ。
先の戦争のさなか、旧満洲に作られた国策映画会社満映の編集者だった岸富美子の半生を描いた。敗戦の混乱で中国に残らざるを得ず、その編集技術を中国共産党に捧げる。日色はモノローグもこなし、舞台を走る。若い役者を従えて、と書くのがぴったりの驚異的な力強さだ。
今回の脚本はかなり若手の黒川陽子。テンポがいい舞台運びは飽きさせない。開演前の時間の使い方の工夫は、ベテラン演出家の丹野郁弓のなせる技か。まさにタイトル通り「時を接ぐ」ように進み、岸の人生と、生きるとは何かということを思わせる上質な舞台に仕上げた。

ネタバレBOX

日色はしっかりしているが、脇をしっかり固めないと。単なるつぶやきですが。
映画製作の小道具はちょっとデフォルメし過ぎな感じも。難しい表現だが、何となく軽っぽく見えてしまった。
Out of Order イカれてるぜ!

Out of Order イカれてるぜ!

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2018/09/26 (水) ~ 2018/10/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/26 (水) 19:00

座席1階

舞台初日に見た。雨の中、混んだ電車に乗ってシモキタに行く価値は十分にあった。いやぁ、今回も強烈だ。カトケン事務所は期待を裏切らない。out of orderとは故障中という意味だが、その何倍もこのタイトルに意味を重ね合わせて、もう爆笑の連続なのだ。
日本語訳のイカれてるぜ、というのもぴったりだ。全員残らずイカれてる。さらに、これが政治を職業とする主人公だというのがまた、強烈なのだ。うそを隠すためにうそを重ねるというのは、どこかの国の総理、取り巻きのお友達、そして物語を忖度する官僚と同じ構図。そういう嘘つきたちに、叫びたい。お前らみんな、イカれてるぜ!

ネタバレBOX

最初は国家審議をサボって愛人と高級ホテルで密会しようとした、国会議員の他愛もない下世話な話から始まる。日本と同じように秘書に始末を押し付けようとし、ホテルのルームサービス、メイド、支配人まで巻き込んだ騒ぎとなる。話がどんどん大きく、複雑化し、収集がつかなくなる馬鹿騒ぎは、その過程で何度も笑える。笑うタイミングを重ね合わせたような台詞回しも抜群だ。
キーポイントは図ったように落ちてメンバーを気絶させる窓。死体、実は気絶人間をクローゼットにぶら下げる演出はどうやって作り出したのか、興味をそそられる。
彼女たち

彼女たち

劇団BDP

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/20 (木) 18:30

座席1階

嶽本あゆみ演出で、3度目再演のこの舞台はどんな変化を遂げたのか。この演出家は舞台を作り上げる為に徹底的に取材を重ねるから、かなり、ドラスティックな化学反応があったのではないだろうか。
10代の若い俳優たちの舞台だから、荒削りなところはある。だが、演技もダンスも歌も、完成度が高い。台詞もはっきりしているし、舞台上の動きもメリハリがある。学園ものだけに、ミスが出ると学芸会のようになってしまう危険性があるが、完成度の高さでクリアし、その分ハツラツなまぶしさを堪能することができる。

ネタバレBOX

劇中劇を知っていると、本題のいじめ問題とのクロスオーバーが楽しめる。事前にお勉強してから劇場へ行きましょう。
星の王子さま

星の王子さま

Project Nyx

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/09/16 (日) ~ 2018/09/21 (金)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/19 (水) 19:00

寺山修司の舞台をニクスがアレンジ。水島カンナさんによると、再演だが毎回新たな仕掛けがあるという。星の王子さまが見るシュールな世界を思い切り楽しめる。
あらためて感じるのは、この劇団の女性たちの身体能力は高く、かっこいいということだ。だからこそ、金守珍さんの厳しそうな演出に全力で応えられるのだろう。

ネタバレBOX

劇中劇というか、劇中ライブが注目だ。昭和の香りがする、ちょっと懐かしいようなエロス。寺山劇にふさわしい。
キネマの神様

キネマの神様

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2018/09/14 (金) ~ 2018/09/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/14 (金) 19:00

藤井ゴウによる遊び心満載の演出がいい。物語のサプライズもうまく扱い、原作を知る人も感動させる展開だ。サザンシアターという大きな客席を舞台に使い、映画館という小さな空間を世界に開くという見せ方をしている。
青年劇場という劇団のテイストとは少し違うのが、また、いいのかもしれない。
休憩を挟んで3時間というのは少し長いか。説明調の台詞まわしも少し気になる。また、初日の今日は、役者の硬さが抜け切っていなかった。

ネタバレBOX

ネットカフェのバイトを味方につけ、パソコン教室よろしく原稿を口述筆記させる場面は微笑ましい。これも、優しさ溢れる藤井さんの遊び心なのだろう。
かのような私

かのような私

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2018/09/07 (金) ~ 2018/09/21 (金)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/08 (土) 14:00

昭和、平成、さらに次の世代へ。絵巻のように時代を俯瞰できる。見る世代によってまったく違う感想が出るだろう。
文学座とチョコレートケーキの古川健という異色のタッグということで、楽しみにしてアトリエを訪れた。古川テイストが強く出ていてなんだか文学座じゃないみたいだが、それは余計なお世話というものだろう。青年座もそうだが、老舗劇団が当代きっての劇作家と組む舞台はこのところのトレンドなのだから。
素直に楽しめる。政治の季節にどっぷり浸かって闘争に前向きだった若者が時代に流されて政治色が消えてバブリーに生きるという姿は想定の範囲内。驚きはないが、ホッとするような気持ちにもなった。

ネタバレBOX

舞台は時を追って今年まで来る。これで終わりかなと思うが、舞台は未来に突入する。引きこもりの息子、LGBT、介護、夢を叶える熟年の海外生活など時代性に富むが、あっと驚くことはない。もともとそういうテイストで書こうとしたんじゃないのでしょうね。
死神の精度

死神の精度

石井光三オフィス

あうるすぽっと(東京都)

2018/08/30 (木) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/08/30 (木) 19:00

死神が人間の姿をして人間世界に来て、自分が担当する人間が死ぬべきかどうかを七日間で判断する。
この舞台でジャッジされるのはヤクザの男。ラサール石井が演じるのだが、やや台詞がはっきりしない。体調でも悪いのだろうかと思うのだが、死神役の萩原聖人との声量が違いすぎる。
このヤクザは死ぬことになると最初に明かされるが、物語の興味をそぐこの設定を上回る盛り上がりに欠けるのではないか。
ヤクザの手下役で、結構重要な役回りを演じる植田圭輔の演技もなんだかオーバーアクションで、何を言っているか聞き取れないところもあった。

記憶の通り路

記憶の通り路

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2018/08/28 (火) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/28 (火) 19:00

印象的な演出だ。
私はほぼ3年ぶりくらいに風の舞台を観たが、江原さんの演出は次のステージに上ったと思う。
この舞台は頭で考えては分からない。ただ感じるだけ、それでいいのだろう。海がすべての大地につながっているように、水面に映る役者たちに自分の来し方を投影したい。

ネタバレBOX

私は結構開演ギリギリにたどり着いたので出来なかったが、観客が折紙で帆掛け舟を折って客席前の水面に浮かべる。舞台はこの水面ですべて進行する。浮かべた舟を「大潮」さんが拾ってカゴに入れることで、客席の人生が舞台に溶け込んでいく。
3組の夫婦による「ぼたん雪が舞うとき」

3組の夫婦による「ぼたん雪が舞うとき」

劇団青年座

小劇場B1(東京都)

2018/08/22 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/08/25 (土) 14:00

高木達氏の原作台本を、3人の演出家がそれぞれアレンジ。3組の夫婦をそれぞれペアの俳優が作りあげた舞台だ。原作者の本を3チームが競うように演じる、意欲的な取り組みである。
私はB組を見ました。原発事故で屋内退避を強いられ、情報もないまま取り残されていく高齢夫婦。危機的な状況だが人間味にあふれた物語が展開する。子供の成長、結婚など夫婦の人生が、屋内退避の狭い空間で語られる。人生の最後の方の日々を思う、秀作だ。

九月、東京の路上で

九月、東京の路上で

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2018/07/21 (土) ~ 2018/08/05 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/08/05 (日) 14:00

朗読劇である。慣れてない人には、教科書か何かを掛け合いしているように見えるかもしれない。そこから効果的に強烈なメッセージが発信される。
この波状攻撃のような舞台にどう向き合うかが試される。心地よい舞台とは言えないが、2時間余りがあっという間にに過ぎていく。

ネタバレBOX

ラストで観客席が鉄条網で囲まれる。追い込まれた観客席は激しい攻撃にさらされるが、相手は何なのか。異端者を虐殺しようとする自警団か。自国民に武器を向ける自衛隊か。五輪開催を控え多様性を許さない国家か。どう向き合うかは観客席の一人一人次第だ。
煙が目にしみる

煙が目にしみる

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/04 (金) 14:00

カトケン事務所の真骨頂。涙と笑いの舞台は本当に得意なのは分かっているのだけど、しっかり期待に応えるというか、安定感抜群なのである。
毎回のことだが、加藤健一の立ち回りがいい。今回は老女姿で派手な動きや台詞はないが、舞台が進むにつれ主導権を握り、存在感がぐっと増す。加藤の淡々とした台詞一つ一つに涙と爆笑を絞られる。ハンカチは必ず持っていきましょう。

ネタバレBOX

加藤健一の役はボケ老人。そのボケに何とイタコをやらせる。その脚本も秀逸と言わざるを得ない。
坂の上の家

坂の上の家

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2017/11/03 (金) ~ 2017/11/10 (金)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/03 (金) 14:00

座席1階

岐阜県可児市で制作されたということで、名産のバラが一輪ずつ、客席にあった。たくさん舞台を見てきたが、こんなプレゼントは初めてだった。
さて、長崎の夏、精霊流しを頭に浮かべながらの舞台である。淡々と進む家族の会話劇だからこそ、客席での想像は膨らんでいく。それを狙った演出だろう。何かを力を持って伝えていくという舞台ではない。それが何となく心地よい。
何というか、優しく効く薬のような舞台。じっくり反芻したい。

ネタバレBOX

長男の恋人は、被爆者の娘で貧血症ということで、それを長男に伝えず身を引いてしまう。長崎であるという意味を、心に留める。家族になるという葛藤を思う。
幻の国

幻の国

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2017/09/12 (火) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/18 (月) 14:00

劇団チョコレートケーキの古川健さんは、歴史の舞台を切り取る演劇脚本では定評がある。今回、見に行った動機の一つは古川作品であるからだし、同劇団の日沢雄介さんの演出というのもある。
舞台は東ドイツ崩壊の前夜。一般家庭であるが、夫は秘密警察シュタージの幹部であり、妻は一般住民を監視する役目を夫から請け負っている。普通の人が普通の人を監視するという世の中は、珍しくない。日本では秘密保護法や安全保障関連法案ができても戦前の密告社会には戻らないだろう、と言う人は多いが、この舞台で描かれている悲劇は、昭和から平成に変わる直前の東ドイツでの出来事だ。日本人だけが「歴史の過ちは繰り返さない」と言い切れるはずはなく、そのあたりをこの舞台は訴えかけている。
二つのステージを切り取って2画面テレビのように連続していくテンポのいいステージだ。東独の歴史を知らなければ少し難解かもしれないが、分かりやすい舞台であることは、客層がかなり若いことからも証明できる。
主役のマリアを演じた落合るみさんの迫真の演技は涙を誘う。全身を振るわせて恐怖する瞬間を実に見事にやり切っている。女優主体で物語は動くのだが、シュタージの非正規雇用職員ララを演じた舘田悠悠さんも出色であった。

ネタバレBOX

自由席なので、早めに行って中央の席を押さえたい。どっちカニ偏ると首や腰が痛くなります。
アトリエ

アトリエ

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/17 (日) 14:00

座席1階e列11番

価格5,500円

藤井ゴウさんの会話劇、キレはいいがちょっと長いなと感じる人もいるかもしれない。戦後のパリ街中の仕立て屋さんが舞台だが、あまりフランスっぽくないのがぴったりくる感じだった。
いつもの青年劇場と少しテイストが違うのが興味深い。しかし、舞台からはちゃんとメッセージは伝わってくる。働くということ。生きていくということ。自分で生き抜いていくということ。このあたりは、やっぱりこの劇団と私のお約束のようなものだ。
厳しい現実ではあるが、何となくホッとする。みんな、元気なんだな、と。

ネタバレBOX

劇中、女優たちが歌う場面がある。さすがの歌唱力。聴きどころ満載だ。
旗を高く掲げよ

旗を高く掲げよ

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2017/07/28 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/06 (日) 14:00

座席1階

ピリッと心を突く社会派舞台を堪能させてくれる劇団チョコレートケーキの古川健さんに、老舗劇団青年座が声を掛けた。化学反応が起きた。青年座のテイストとは違う、新たなステージに融合したと言っていい。
テンポよく、分かりやすく進む舞台は、第二次大戦の歴史に疎くても入り込んでゆける。歴史を庶民の目で見ているからだ。そして、何よりも、庶民が歴史の流れを作っていることを教えてくれる。
知らなかった、ナチスにだまされた、と語らせている。だまされた原因は無関心であり思考停止であり、想像力の欠如だ。青年座の黒岩亮さんの演出も、うまく客席をリードしている。
硬派なタイトルはとっつきにくいかと思ったが、客席には若い人が多かった。新劇の老舗が化学反応で新たな道を持った、それを目撃した舞台だった。青年座の役者たちも見事に反応してみせた。

ネタバレBOX

ラジオ、じゃがいも、たんぽぽ。小道具が効いている。
どうでもいいことかもしれないが、ラストの前、「えっ、生き延びたの?」という場面がある。劇場型がお好きな方は少ししらけるかも。
キョーボーですよ!

キョーボーですよ!

劇団チャリT企画

新宿眼科画廊(東京都)

2017/06/09 (金) ~ 2017/06/13 (火)公演終了

満足度★★★★

圧倒的におもしろい‼︎
国会審議が大詰めの共謀罪。法律ができたらどうなるかを笑いと共に学べる。チャリTは、この国の危ない未来を見せるのが最高にうまい。しゃれも効いていて飽きさせない。

ネタバレBOX

普通の料理サークルがテロ集団⁇
警察は自らの見立てで捜査するから、共謀罪法案が成立すれば、十分あり得る話。逮捕、不起訴後に市民が黙り込んでしまう様子も現実感がある。
MOON

MOON

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 野外劇場「有度」(静岡県)

2017/04/29 (土) ~ 2017/05/03 (水)公演終了

満足度

鑑賞日2017/04/30 (日) 18:30

価格4,100円

観客がフルフェースのヘルメットを着用し、役者と舞台を作り上げる。しかも、夜の野外劇場だ。いやがおうにも期待は高まる。開園時間となり案内された劇場入り口にはずらりと並んだ白いヘルメットが。何が起きるのか。ワクワク感は最高潮に達した。
ここまで書いておいて申し訳ないが、はっきり言って期待外れだった。
勝手に盛り上がった私が悪かったのか。岸田国士賞を取ったばかりの最近売り出し中の異彩の劇作家という期待感もあったかもしれない。
演出家のメッセージは確実に伝わったと思う。だが、このワクワク感を2倍にも3倍にもして返してくれるのが演劇なのではないか。特に期待をせずに見れば(参加すれば)「なるほどそうか」という納得は得られると思います。

ネタバレBOX

私が受け取ったメッセージは、「みんなで地球を作ろう!」
意外感がない。さらに言えば、舞台などに散らばって地球を作り上げた観客が席に戻って終わり、という形なのだが、席に着いた観客は当然のことながら次の展開を期待した。ここで終わりなんて、えーっそりゃないぜよ。

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