2月文楽公演
国立劇場
国立劇場 小劇場(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/16 (金)
第一部「心中宵庚申」
上田村の段、八百屋の段、道行思ひの短夜
近松門左衛門の作で、夫婦心中の物語です。
八百屋半兵衛は元武士で、今は八百屋伊右衛門の養子となった。嫁のお千代とは仲むつまじく、お腹に赤ん坊がいる。しかし、養母はお千代を憎み、いびり、彼の留守中にお千代を離縁をしてしまう。
なさぬ仲の義母に逆らうことも出来ず、愛し合う二人は死を選んでしまうのです。
お千代の実家の上田村の段は、大好きなコンビの文字久太夫と藤蔵さんでした。ホント、良いです!!
文字久太夫の艶のある伸びのある声に藤蔵さんの深く響く三味線の音が、相性抜群だと思います。
この段では、お千代の父親の娘を思う気持が切ないです。
母親ではなく、父親と言うのが、なんだか切なさを増しました。
父親を遣ったのが、玉也さんです。玉也さんも大好きな人形遣いさんで、情が深く、動きが細やかです。
八百屋の段では、千歳太夫と富助さんが憎たらしい姑とのやり取りを聴かせてくれました。
まあ憎たらしい姑でしたね。
第二部では、8代目竹本綱太夫の50回忌追善と6代目竹本織太夫襲名披露の口上がありました。
竹本綱太夫の息子さんであり、織太夫の師匠の竹本咲太夫の口上は、亡き父を思う言葉、大事に育てた弟子へのはなむけの言葉は芸の厳しさの中に温かさがあって、とても素敵でした。
この後の摂州合邦辻の後に織太夫といつもは咲太夫と組む燕三が組み、素晴らしい義太夫と三味線を聞かせて頂きました。
渾身の舞台でした。
勘十郎さんが、一部と二部と出ずっぱりでした。
もうすごいとしか言いようが無いです。
感動をありがとうございました
夜、ナク、鳥
オフィスコットーネ
吉祥寺シアター(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/24 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/20 (火)
2002年に福岡県久留米市で実際に起こった看護士4人による保険金連続殺人事件をモチーフにした舞台です。
作は大竹野正典氏、演出は瀬戸山美咲氏です。
仲の良い看護師4人、他愛ない会話に悩み相談とどこにでもある女たちの付き合い・・・・だけど、彼女たちには深く依存しあっている感じがあります。そして、観ているうちにヨシダ(松永玲子さん)の巧みな支配と彼女の持つ闇がじわじわと辺りに広がるのを感じるのです。松永さんのちょっとした目つき、話しぶり・・・この人何?とずっと目が離せない。怖くて、凄いよ、松永さん。(;°皿°)
彼女の本質を知りながら、彼女の保護者のような気持ちを持つツツミ(松本紀保さん)の持つ闇はなんだろう・・・と考えると、自分の存在感を確かめるために、ヨシダを理解したつもりになり、協力していることに自己満足してる。このツツミの存在が無かったら、ヨシダの闇はそこまで深くならなかったかも・・・と考える。闇が闇を呼んで、深さを増した。
この二人の闇に取り込まれたイケガミ(安藤正恵さん)、疑うことをしない、流される・・・。
そして、最後に彼女たちの闇に飲み込まれていくイシイ(高橋由美子さん)の躊躇と追い詰められていく様子に苦しくなるし、この苦しみから早く解放して欲しいと安易に流されるかも・・・・・と、自分の中の闇をちょっと見る。
彼女たちの現実の重石となる男たち正岡泰志さん、成清正紀さん、井上幸太郎さんのゲスッぷりがお見事でした。
藤田びんさんとツツミのやり取りが、彼女の闇の深さを強調した気がします。
コの字型の客席、四角く作られた台、ずっと薄暗い照明・・・客席にいて、どんどん闇が深くなっていくようで、怖かったです。
でも、時間があったら、もう一度観てみたい舞台でした。
もう一度、せりふの一つ、一つ、役者さんひとり、ひとりの表情、目を噛み締めてみたいと思いました。
素晴らしい舞台でした。
ありがとうございました
Sing a Song
トム・プロジェクト
本多劇場(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/16 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/14 (水)
淡谷のり子さんをモデルに、戦時中いっさい軍歌を歌わず、もんぺもはかず、無給で軍隊慰問をした女性歌手の物語でした。
背筋をすっと伸ばした戸田恵子さん演じる三上あい子のきりりとした美しさ、歌にこめた想いは胸を熱くし、涙が出ます。
そして、彼女が思いをこめて歌うその姿の前に、死を覚悟した若い特攻隊員たちが見えました。
「子どもは国の未来なのに、その未来を死に追いやるなんて・・。」
憲兵の葛西有道の高橋洋介さんが、あの時代の持つ非情さ、妄信さがもたらす頑なさを見事に演じられました。慇懃無礼な態度が、ホント憎たらしい!(高橋さんの大ファンで、彼目当ての観劇だったのですがWWW)威圧的な彼に負けない強さを持っていたあい子(淡谷さん)、凄いです。
高橋さんのイライラをぐっとこらえ目が光ってるのが、とっても怖かったです。
葛西の部下の中村正男を演じた岡本篤さん、命令に忠実で国のためにと一心に思っている、とても実直な様子に当時の多くの人たちが彼みたいだったんだろうな・・と、思いました。
情報を制限され、統制され、操作されたら、こういう風になるんだろうなと、だけどあい子に触れるうちにだんだんと音楽好きだった昔がよみがえってくるのが、切なく、温かく感じました。
高橋さんと岡本さんの対照的な二人の人物が、あい子の存在を際立たせ、あの時代の葛藤を見せてくれた気がします。
あい子を支えたマネージャー(大和田獏さん)、あい子を信頼してついてきたピアニスト(藤澤志帆さん)の存在も忘れてはいけません。彼らがいなかったら、あい子は自分の信念を貫くことは出来なかったでしょう。
そして、前線に部下を送る軍人の長内清美(鳥山昌克さん)の壮絶なる覚悟・・・・きっとこういう方も居たのでしょう。
侍みたいな人でした。
外国の歌は歌ってはならない、別れや哀愁ただよう歌は国民を弱くするから歌ってはならない・・・・嬉しい時に歌を口ずさむ、悲しい時に歌に癒される、元気が無い時に歌に元気を貰う・・音楽は人間の友であり、心の栄養です。それさえも制限されてしまう世界、音楽が洗脳に使われる世界、そんな世界だった時代があったと言うことが信じられないくらいに、色々な音楽があふれた現代に生まれた幸せを感じました。
ただ、現在もマスコミによる情報操作、印象操作があたりはばかることなく行われていて、こんなに情報量が多いはずなのに真実が見えなくなっていることが多いです。
マスコミは、まだあの時代から変わっていないように思います。
流されない自分でいたいと、強く思いました。
素晴らしい舞台をありがとうございました。
ハンブルク・バレエ団『ニジンスキー』
東京文化会館
東京文化会館 大ホール(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/12 (月)
凄いの一言!
第一部と第二部合せて、2時間20分、ほとんどリアブコさんは踊りっぱなし・・・・この方、本当に凄すぎます!
テクニックはもちろん素晴らしい方ですが、テクニックだけではこのニジンスキーは踊れないだろうなと素人の私でも感じました。
憑依しているという表現は違うかもしれないですが、ニジンスキーの魂がそこにあるように思いました。
予習でテレビ放送を観てから行ったのですが、とても、とても私には受け止めきれない・・・この舞台の持つ深みとか、濃さとか、圧倒されました。
振付のノイマイヤー氏、この方も凄いですね。
そう言えば、冒頭のリアブコさんの衣装は白無垢の打ちかけと襦袢のように見えました。
何しろ、ただただ圧倒され、リアブコ愛が深まった舞台でした
ホフマン物語
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2018/02/09 (金) ~ 2018/02/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/09 (金)
今回はゲネプロが当たったので、そちらも拝見させていただきました。
初日キャストでした。
ハンブルクバレエ団の公演も重なり、残念ながら菅野ホフマンの日はあきらめ、9日(金)ソワレと11日(日)マチネを観ました。
この物語は、男性が主役で、3幕の舞台で主役ホフマンとホフマンを陥れる悪魔の化身の敵役はほぼ出ずっぱりです。
どっちも技量、体力、演技力を要するすごく難しい役です。
まずは、とても素晴らしかったのが悪魔の化身リンドルフの中家正博くんです。
3日間彼を観ましたが、とても素晴らしかった!!!
プロローグでの紳士はただ座っているだけでも、すごい存在感があります。一幕の人形師のサイケデリックな博士(?)のコミカルで、人を陥れるような卑怯な雰囲気は、最高!表情も豊かで、踊りのキレキレ具合もすごい!!!二幕の魔術師のよう医者では、黒いもやもやオーラが背後にただよってました。無言の支配・・・怖かった~。
三幕の中東系の怪しげな男は猥雑な色気があり、辺りを睥睨するさま、ホフマンを誘惑するさまは悪党そのものでした。
こんな毒キャラ、強烈キャラも演じ、踊り、ノーブルな王子様も踊れるという中家くん、よくぞ新国立劇場バレエ団に入ってくれましたクラッカー
彼のダンスはとても美しく、キレキレで、雄大くんとのダンスは見ごたえがありました。ブラボ~!と、心の中で叫んでおりました。
次回は、中家くんのホフマンも観てみたいです。
雄大ホフマンは、結構一生懸命生きてきたんだけどなぁな感じがして、ホントお気の毒って感じがしました。
安定のダンスは観ていて、とても気持がいいです。
私は三幕の白髪交じりのホフマンが惑わされていく・・・の雄大くんがとても良かったです。
井澤ホフマンの一幕のピンクの上着と白タイツは、ザ・王子キラキラ
二人とも初演の時よりも、とても深くホフマンの存在を感じさせました。とくに年老いたホフマンの解釈が、しっくり来たものがあります。
この後の彼の人生はどうなって、どう終るのかなぁと思いました
ハンブルク・バレエ団『椿姫』
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2018/02/02 (金) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
産休明けのアリーナ・コジョカルさんとアレクサンドル・トルーシュくんです。
私のお目当ては、劇中劇で「マノン」でのデ・グリューを演じるアレクサンドル・リアブコさんですキラキラドキドキ
この演目はこちらが本家ですが、パリオペのものを来日公演とDVDで観ていました。同じようで、まったくの別物・・・そんな感じがしました。
パリオペのはとても華やかで、享楽的な社交界をすごく感じたし、なにより美しい!これは、これで大好きです。
ハンブルクのは、とてもシンプルに二人の感情が伝わってきました。
とても感情表現が豊かな振り付けなんだと、あらためて感心しました。
マルグリットのコジョカルさんは、ちょっとふっくらされて、柔らかな雰囲気が出てました。包み込むような優しさも感じました。
トルーシュくんが素晴らしくて、今回は彼の心情にどっぷりとつかりました。世俗の垢にまみれてない真っ直ぐさ、強引なまでの愛、彼なら生活にお金の要ることを察することの出来ない無知さが理解出来ます。
そして、マルグリットに捨てられたと思い込んだ彼の非情なマルグリットへの態度は、愛憎入り混じってつらい!えーん
狂おしいまでにマルグリットを想っているのが、伝わってきます。
だから、彼がたびたび気を失っちゃうのもとても自然。
表現力あふれるダンスは、心を打ちました。
この二人の心情を深め、舞台を深めたのが、シルヴィア・アッツォーニさんとリアブコさんのマノンとデ・グリューのダンスです。劇場場面では華やかに、マルグリットとアルマンの心情にそった場面ではその存在が深い闇や愛を与えて、素晴らしかったです。
ピアノ演奏は、ミハイル・ビアルクさんとオンドレイ・ドチェンコさんでした。感動でした。
この日の拍手は、実に見事でピアノの一音の響きが終わってからでした。
観たい、観たいと思っていた本家の「椿姫」、とても素晴らしかったです。
ありがとうございました。
いつもいつも君を憶ふ
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/19 (金)
ある家族の1921年から2021年の100年間の時間の流れを、大きな時計が見守っていた。
自分と重ね合わせ、なんだかせつなく、懐かしい気持になりました。
時計役の小笠原さんの存在がすごく良くて、こんな風に古い家で見守られながら人生を遅れたら・・・と、思いました。
戯曲リーディング『岸 リトラル』より
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2017/10/07 (土) ~ 2017/10/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/07 (土)
リーディングというよりは、岡本健一さんの一人芝居といった感じで、動きながら、そここに原稿がおいてあるという演出が面白かった。ライブのような岡本さんと国広さんとのセッションもすごく楽しかったです。本公演が楽しみです。
不埒
TRASHMASTERS
駅前劇場(東京都)
2017/07/15 (土) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
琉球の風
劇団東演
東演パラータ(東京都)
2016/11/14 (月) ~ 2016/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
問題点をすごくよくわかることが出来ました。
国が抱えた問題、地域が買えた問題、一人ひとりの人間が抱えた問題・・・・難しいけどもそこに自分がいることを意識しました。
その人を知らず
劇団東演
あうるすぽっと(東京都)
2017/06/29 (木) ~ 2017/07/10 (月)公演終了
取引
オフィスコットーネ
シアター711(東京都)
2017/11/10 (金) ~ 2017/11/20 (月)公演終了
【東京公演】三の糸
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/12 (金)
最初はちょっと状況が飲み込めず・・・でしたが、観ているうちにだんだんとわかってきて、引き込まれました。現在から過去の話に変わるときに憑依から実際の人物へと2段階にした演出が、とても良かったです。
ラストの津軽三味線が良いです。できれば、劇中、袖にいた小山さんたちの演奏をもっと聴けたらよかったなと思いました。
ル・グラン・ガラ 2018
TBS
東急シアターオーブ(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/13 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/11 (木)
ガラと名がついてましたが、2幕ものの舞台のようでした。
1幕でまだまだ伸びしろのある若いエトワールたちとスジェのダンス、2幕でベテランエトワールたちのダンスを観て、パリオペの底力を感じました。
モーリス・ベジャール・バレエ団 Bプロ『ボレロ』『ピアフ』『アニマ・ブルース』『兄弟』
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2017/11/25 (土) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
モーリス・ベジャール・バレエ団 Aプロ『魔笛』
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2017/11/17 (金) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
キエフ・バレエ【ドン・キホーテ】
光藍社
東京文化会館 大ホール(東京都)
2018/01/04 (木) ~ 2018/01/05 (金)公演終了
満足度★★★
念願のサラファーノフのバジルを生で観れて、大満足。
ただし、キトリが苦手なマトビーの嫁さん・・・・やっぱり駄目だったな。
キトリにピッタリの上手いダンサーさんたちがたくさんいるのに、わざわざ他のバレエ団のダンサーをキャスティングするのは、とても不思議。
ニューイヤー・バレエ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2018/01/06 (土) ~ 2018/01/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
2日間観ました。
初春にぴったりの演目で、とても楽しく、素晴らしかったです。
バランシンの振り付けを、ここまで美しく、揃って踊れるのは、世界でもそうそう無いのではないでしょうか。今、のりにのっているバレエ団だと思います。
ふしぎの国のアリス
カンパニーデラシネラ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2017/06/03 (土) ~ 2017/06/11 (日)公演終了
非常の階段
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2017/06/08 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了
満足度★★★★
初演で衝撃を受けた作品です。一人、一人の持つ闇がより鮮明に感じることが出来ました。
ナイトが、一層孤独で、哀しい存在になっていた・・・・。
ナイトの友人の健ちゃんの沼田星麻くんが、すごく良かった。