夢遊トリップ
フィグス
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2017/10/13 (金) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★
2年後の東京が舞台であり、架空の教団など、細かい設定部分の作り込みが深度と粘り気を持っていて好感
出てくるネタや言葉のチョイスが、しっかりと作者の持ち物であり、作者の作品になっていて感心した
性癖というより文化であり、その世界を表す言語だなと
友達と「もしも○○だったら」みたいな話を細部まで掘り下げて話す時の面白さのような、フィクションが嘘である事を笑いにも叫びにも上手く消化した作品
劇場のキャパとかという意味じゃなくて、もっと大きな器の作品でも山田さんは作れそう。世界観や展開、人物造形とか
大田さんの何者でもない何者感は小劇場世界のど真ん中って感じで特筆すべき存在感
あと、岡戸さんの貫禄というか無敵感ってのはなんだろう。面白い作品には何故かいる人的な存在感が育っている
男優陣も三浦さん、國府田さんと初見だったけど、ひと目でわかる曲者感
君が決めてよ明日のことは
Moratorium Pants(モラパン)
ARTON(東京都)
2017/10/11 (水) ~ 2017/11/08 (水)公演終了
満足度★★★★★
MUの「GIRLS」で見て気になっていた、橋本昭博さんの劇団。
青春のあの夜と大人になった僕たち、という珍しくはない題材だけど、服と音楽と時間軸を踊らせる巧みな演出でとても面白かった。
橋本さんと篠原さんの兄妹みのある愛おしさ
今日にしがみつきたい気持ち、今日を否定したい気持ちはよくわかる
今僕が生きている今日が、あるあの日、自分で決めた明日なのか、誰かに決めてもらった明日なのか
そんな、自分が踏んで立つ月日が感情に覆いかぶさってくる感じの良い作品だった
万年床
制作「山口ちはる」プロデュース
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★
岩井秀人さんから演劇に入った僕は、なんだかんだいって演劇を作る人の中身を知ることができるタイプの劇が好きなよう。
観せ方も色々工夫していてなかなか面白かった。
てかPAPALUWAを観に行きたくなるダイレクトマーケティングな作品の気が、、
ヒラエス
たすいち
シアター711(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
脚本、演出、役者の力が折り重なって、ミステリー仕立ての展開を最後まで飽きさせない。
舞台上にはずっと月が在って、登場人物たちの心を照らしていた。地球にとって月は、兄弟であり恋人であり友達であり、もし月が無くなったら広い宇宙にひとりぼっちの星。それでも、それでも地球は回る、回れる
本当の自分の居場所とか。多分僕も思春期に探してて。ふわふわと宙を漂う種のように探してて。いつしか今の場所に根を張り生きてて。きっと僕はもう動けないから、虚構に、演劇に、その登場人物に、居場所を探してもらっている。そう思わされた作品。
コラプサー
あひるなんちゃら関村個人企画
live space anima【2020年4月をもって閉店】(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★
どんなシチュも役者も関村さんの手にかかると醸し出されるなんちゃら感。
ゆったりと浸かっていたい面白さ。
後藤さんの小愛らしさと渡辺さんの活断層のような地すべり感が超マッチ。
客席前列部にMCR系役者さんが並ぶ風景が個人的にツボだった
猫の失踪
創作ユニット タマニ
中野スタジオあくとれ(東京都)
2017/09/28 (木) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★
感情を伴わない文語調の台詞が、間を空けずに重なり合う箱庭的空間で露わにされるのは、他者を攻撃することで発見する自己意識。
分厚い古い小説を読んでいるかのような感覚になる疾走感は面白かった。
ただ、文語調だと台詞のミスが致命的。
また、120分という時間の必要性を感じられない展開だったのは残念
カーテン
日本のラジオ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★
客席へ案内されて文字通り幕が開くまでニヤけて高まってしまう、眼前のカーテンと想像で広がる風景
事件の日々でもあるけど人生の一日でもあり、故意に切り取られた物語を僕らは観ることになる
切り取っているのは作家のエゴなのか、客席を見下ろす僕ら観客なのか
人生における刹那を切り取って喜劇にも悲劇にもいかようにもできる作家が神ならば
観客は想像の余地という福音を与えられた敬虔なる信者てな感じで
この作品を笑いたい場面で笑えて、感情を揺らされる時に身を乗り出せる、僕の幸せ
この劇団の作品はいつも、蛇口から一滴ずつ落ちる水滴のような情感の伝わり方なのに、観終わるといつのまにかその水は踝から膝上、胸を浸し、そして口から僕の中へ注ぎ込まれて、仄暗い水の底に溺れてしまう
騒がしくて笑えるのに、思い出した時にBGMが流れない不思議な感覚
死者と生者が混在する劇場内。非日常に置かれた生者は滑稽で、死者は常に全てを受け入れて。
誰かに殺されて踏み越えるのではなく、自分で線を踏み越えて向こう側に行く物語。
椅子の背が並ぶ光景が墓地に見えた。田中さんの語り口でその場に引かれる線が美しかった
幻の女
劇団天動虫
MANDA-LA2(吉祥寺)(東京都)
2017/09/17 (日) ~ 2017/09/26 (火)公演終了
満足度★★★
2面性の内1面のみ照射された、舞台上にかしましい登場人物たち。
仲間内の会話やノリ、関係性や人間性に居心地の悪さを感じさせられるのは、自分自身にもあるミーイズムのせい
自身の歓びの為に他者の存在を使ったことのない者のみ、彼女らに石を投げなさいってな感じ
悪くはないけど、ちょっと展開の緩慢さが気になってしまった
温井さんの変顔は金を払えるくらいの凄さ
自宅公演『動く物』
ウンゲツィーファ
ウンゲ荘(江古田にある民家)(東京都)
2017/09/16 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★
民家の2階6畳一間で行われる役者2人観客8人、史上最近距離で観た演劇、すげぇ面白かった。
蛇の足がきの時も思ったんだけど、舞台と観客の境界を上手く扱うなぁと。
家に帰って自分の部屋を眺めて、この場所でも演劇が行われる可能性を感じてちょっとゾクッとした
役者も生活感のある具象物も、触れられるような距離にあって、誤魔化しも効かなければ、観客がどこでも見れてしまう舞台。
それなのに見えないこと、想像に任す部分を上手く使った演出でとにかく感心した。
階段の振動、部屋の匂い、扇風機の風、4DX芝居がそこにあった
ケムケム#01「シン・家族」
ケムケム
SCOOL(東京都)
2017/09/16 (土) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★
演劇への憧憬や他人の目を気にした自意識が作品自体をきつく締め付けて、やりたいことをやらずに上辺の面白さばかり取り繕ってしまった感じ
所々に見どころ、笑いどころは有ったので、何か一つこれをやりたいって事を打ち出してくれれば観客もそれに乗っかれるのかなぁともったいなく感じた
ウロボロス
Straw&Berry
新宿眼科画廊(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
満足度★★★★
超口語調とでも言うべき普段使いの台詞がおぞましい程のリアリティ。それでいて芝居の重要な展開部分はきちっとした演技でまとめてくる構成がえらく面白かった
雲がかった物語が円環を描くうちに観客もいつしか気付いている過去へ進んでいく巧みな構成。
それはいつしか何でもない物語になっていくのだと。
小西耕一さんの声やしゃべり方、キャラは中毒性が高く、役者一人で舞台のテンポや色彩を変えられるのって凄い
土橋さんの良さは青春の綺麗なキラキラを漉き集めたようなイノセントな存在感だと思っているんだけど、過去と現在の対比の場面でその良さが効果的に使われていた印象。何でも無い現在が戻るべき未来なのか進むべき過去なのか、白い制服の土橋さんが印象的だった
この作品を観て以来「サマーヌード」がずっと、こめかみから額を巡る円周上で疾走し続けている。
残酷にキラキラと光る夏の物語がメロディとともに胸やけのように反芻を続けている。
学園恋愛バトル×3!
劇団だるめしあん
王子小劇場(東京都)
2017/09/07 (木) ~ 2017/09/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
3本の作品とも脚本も良いし、演出が特に面白く、役者さんたちの動きを見て楽しむことができるエンタな作品。
文学的なテキストが言葉という音になり、それぞれの立場を示し、舞台に表示される律となって美しい振動で心を揺らされた。満足度の高い作品
特に3本目の「絶対恋愛王政」が好きで、中盤からなぜだか涙がこみ上げてきてた。
小劇場作品によくある、オタクや2次元VS3次元といったテーマにおいてやっとブレイクスルーした作品を観た気がする。
そうなんだよその土台に立った話であるべきなんだよ!と思わず叫びそうになった。
能澤佑佳さんの思わず同調させられる多彩な表情が好きなんだけど、今回の作品でも充分魅力を発揮しており、さらに今回はそのスタイルの良さと顔の小ささがさながら2.5次元な感じで、3次元VS2次元の作品中に存在する2.5次元な存在にくすぐられた
弟兄
ゆうめい
STスポット(神奈川県)
2017/09/08 (金) ~ 2017/09/12 (火)公演終了
満足度★★★★
事前知識無く行ったが、こ、これは岩井秀人メソッド!池田亮さんって、ワレワレのモロモロとかもよおすにも出てたあの池田亮さんか!と、岩井秀人作品に演劇のイロハを教わった岩井秀人大好きっ子として、青天の霹靂がSTスポットを直撃
岩井秀人さんと同じく、作者の痛みや過去を咀嚼して時に口噛み酒として、時に消毒液として観客に振る舞う作品。
観客に乾いた現実を投げつけて、剥がれ落ちるかさぶたをめくり流れ出る感情を僕らは一緒に嗤う。
僕は演劇をこういうものだとして育成されたんだから好きに決まってる作品
くちびるぱんつ/愛はタンパク質で育ってる
ぬいぐるみハンター
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了
満足度★★★★
「愛はタンパク質で育ってる」
ファンシーな衝動で疾る疾る疾る。場面場面、グループの持つ事情や感度は違えども、時に入り混じって走る走る走る。
結論はいつだって単純で、この世に生を受けて続く営みは永遠で、若く未来ある役者たちが回り目指すのは結局、光の差す未来
ナイゲンでおばか屋敷やってた足立さんとか、壱劇屋に出てた高安さんとか、遠吠え出てた永田さんとか、魅力的な役者さんたちがあんなキャラやこんなキャラ、あの人との組合せこの人との組合せと、なんか確かに楽しく学芸会に参加させてもらった感があった
「くちびるパンツ」
特別を生み出してロマンで包んだ物語。知っていたぬいぐるみハンターっぽさ、色も動きも役者のキラキラもそういえばこうだった。
時間感覚のぐんにゃりとした感じがそのまま視覚にもゴリゴリ来んのが不思議な劇後感に繋がる。ガリガリくん買って帰ろうってなる
役者さんだとべろべろガンキュウ女にも出てた小島あすみさんが良い感じだった。ああいうテンポの早い群像的な人の入れ替わりの有る展開での若くて飛んでしまいそうな、でも明るい存在感のキャラが上手くハマっていた。
尾崎さんはやっぱあの声、ローレライのように惹き込まれて巻き込まれてしまう。時間空間が覚束ない作品に凄い適役だなと。
大田さんはラクエンノミチとかしあわせ学級崩壊とかでもそうだけど、強烈さとかアクの強さが皆無で逆に稀有な存在感。観客の視覚に優しい
かわいいチャージ
人間嫌い
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/09/08 (金) ~ 2017/09/11 (月)公演終了
満足度★★★★
女の子という存在が持つアビリティを主軸に据え、「かわいい」を内包したこの世界の哲学に触れる作品。
女の子たちの会話から生み出されるパンチラインが含まれた掛け合いはまさにキラーチューン。
「かわいい」のゲシュタルト崩壊から自己再生を紡ぐ物語
かわいいを含有していない自分から見るとかわいいは空を飛ぶ翼や岩を砕く筋肉と一緒、憧れ。
BeautyPlusやSnowでは作れない覚悟や生き方を舞台上で拾う。
かわいいタンクの容量が小さい自分は土橋さんのメイド姿だけで容器が壊れて心身ともにかわいいまみれ
土橋さんは去年の「(戦場に)行けたら、行くね」の時のような雰囲気。イノセントなキャラの立ち位置が持たざるものを踊らせる。
星澤さんの綺麗で可愛い場末感(褒め言葉)が今回の役にハマってた。
土橋さん、岩崎さん、星澤さんで三位一体のかわいいのブラフマンだなと思った
めいろめいろめいろ
制作「山口ちはる」プロデュース
下北沢 スターダスト(東京都)
2017/09/05 (火) ~ 2017/09/10 (日)公演終了
満足度★★★★
馬鹿馬鹿しくもしっかりと出口の有る物語、僕は好きで笑った。誰でも心に惑星を持っていて、星の王子さまのように物語を巡る内に自分に有る物無い物を迷路の中で探してく。効果的に使われる「まよえまよえまよえ」ってフレーズが凄い好き
袖山さんの前回作品からの振り幅とか、青木さんの動き全般とか、ラブシャトル4名の歌の上手さが、どれくらいとかは言えないけど好き。彼女ってやつはいつだって面倒くさい存在だけど、その迷路の中に自分は居るし、彼女の中の物語の一部の自分ってのが一番面倒くさい
涙は雨に
空想実現集団TOY'sBOX
シアター風姿花伝(東京都)
2017/08/31 (木) ~ 2017/09/03 (日)公演終了
満足度★★★★
青春コメディとしてとても面白く役者のキャラも濃くて凄い笑わされた。ご都合主義的な部分も有ったが、それまでのパートですっかり登場人物たちを好きにさせられてたので、何でもいいから彼らを幸せにしてくれって感じで気にならなかった
演者と登場人物のキャラのハマりっぷりが、舞台に笑いと楽しさとずっと見ていたいと感じさせる空気を生み出していた。三好さんのヒロインっぷりとか、門倉さん、百日さん、風巻さん、武田さんと脇を固める癖の強いキャラたちの憎めなさが心地良い
お祭りやってるらしいよ
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2017/08/31 (木) ~ 2017/09/04 (月)公演終了
満足度★★★★
ここ最近で一番の爆笑。条理に反する人達の言動にキチッとツッコミ役が機能しているのでしっかりと笑える。宮本さんに笑いつつもキュンときてしまった。堀靖明さんは相変わらず全身全霊が面白くて大好き。MCRやシンクロ少女好きな人はきっと好き
スターターピストル!
さひがしジュンペイのゲイジュツ茶飯
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2017/08/25 (金) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
満足度★★★
実質4つの短編集。古典戯曲にはさまれた2,3番目の銃声の鳴る街の話は、内容が同じなのにそれぞれが持つ未来の余力によって見え方が異なる。銃声=死を暗示すると考えると日常における死との距離によって受ける印象も変わるのかなと
あとやっぱり舞台上の言語ってのは、発声や抑揚を含めて普通の日常会話の日本語とは違うのだなと。観客としては登場人物に場に合った舞台言語で話してもらうと安心するし、それ以外の言語だとそこに意味があるのかと思ってしまい、ノイズにもなってしまう。古典戯曲の会話が物語以外のノイズを発生させてしまっていて、物語が滞ってしまっていたのが残念
洗面器と銃声の話はエチュードのお題っぽさもあるけど、日常における違和感を膨らましてかき混ぜて焼き焦がすのは嫌いじゃない。ポエムとか歌でしか発散できない感情はたしかにある。
15 Minutes Made Anniversary
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
10周年ということでキャラメルボックスや柿喰う客から地蔵中毒まで、フーコーの振り子的な振り幅の豪華なラインナップ。
・柿喰う客「フランダースの負け犬」。膨大なテキストを独特のリズム・話し方でギュッと握り固めて塊にして投げかけてくる感じ。流石の観せ方だし流石の力量。モニター映えする場面場面と陰影が印象的だった
・吉祥寺シアター演劇部「ハルマチスミレ」。我々大人が懐かしむエモい時代をまさに今生きている高校生たちの中にも有る、過ぎていった時間。彼らの時代の跳び方を今ならわかる気がするけど、彼らにその跳び方は教えられないんだろうと感じた。直情的な面白さだった
・梅棒「BBW」。踊りと音楽と演劇と、って絶対自分の好みだけど、底のない沼にハマるのが怖すぎてあえて避けていたのに、ついについに観てしまった、、、やっぱり凄まじく好きなタイプの激楽しい作品だった、、
距離を置いてお付き合いしないと地獄まで落ちるタイプの面白さ
・劇団「地蔵中毒」。いつもの地蔵中毒だった。吉祥寺シアターという場所に、インスタ映えする舞台装置の中に置かれて観る地蔵中毒は、なんか超高級ホテルで観るペイチャンネルのような感じだった。まぁでもラジオリスナー同士の妙な連帯感的なノリのいつもの雰囲気もやっぱり好き
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