美愁
The Vanity's
APOCシアター(東京都)
2018/04/24 (火) ~ 2018/04/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
”生”そのものが過酷な運命に翻弄された母と娘の残酷な物語。一見、中国風な舞台空間であるが、実は仮想世界であり、耽美な雰囲気を漂わせている。
物語も面白いが、アフタートークならぬアフターライブも楽しめる、という1公演で2度美味しい。
(上演時間1時間40分+20分)
ネタバレBOX
セットは、天井にあるサークルから何本かの綱を垂らし、部屋空間を作り出す。その円真ん中に腰高程のテーブルが置かれている。後景は葉が生い茂り森をイメージさせ、またこの家の別部屋のようなスペースも設ける。
物語は、家族という集団の愛憎渦巻く人間模様と(個)人の心に蠢く邪悪な思い。富豪・柳家に女の子・呉葉(作・瑞生桜子サン)が生まれたが、生れつき顔に痣があり父にして当主の龍仁は妻・美羽に始末するよう命じる。美羽は苦悩するが、美羽の姉・鈴の機転により別の生き方をさせる。後に呉葉の妹にあたる柚杞が生まれ、妹の付き人として呉葉を用いる。母・美羽は薬物中毒でそれが原因で呉葉の顔に痣が…美羽が苦悩する理由である。そんな時、新しく柳家にきた奉公人から立入禁止の森に住む魔女なら痣が消せるかも、そんなことを聞いた呉葉は…。
実母に愛されたい娘、痣がなければ愛するという言葉を信じ魔女と取引する呉葉、代償は生まれたばかりの自分(命)を助け、教育係として育ててくれた伯母・鈴の命。実は柚杞はこの鈴と龍仁の娘という錯綜した関係にある。家族という関係、身近であるが故に愛憎の増幅が見えてくるよう。ラストは呉葉が椅子に腰掛けたまま小瓶を落とすが….
惑乱-娘・呉葉の諦念、行き場のない衝動がある不確実な情報によって希望を芽生えさせる。母の”愛”という呪縛に捕われた_愛情を得るためモラルという心の壁を壊した行動が切ない。母・娘の愛情という普遍性を鮮明に切り取った骨太でありながら繊細な作品。
ラストは痣も含め自分自身を抹殺するような、生きていればこんな人生だったかもという、全ては夢の中-劇中劇のようにも思える不思議な展開でもあった。
「音楽劇」と謳っている通り、劇中歌も物語の雰囲気(耽美と寂寥)にマッチした選曲である。また呉葉が劇中から抜け出し、キーボード奏者と連弾するなど、謳い文句である音楽のバリエーションで楽しませてくれる。先に中国風のセットと記したが、楽器には二胡を用いるなど細かい配慮が観られるのも好い。
次回公演を楽しみにしております。
激熱
ユーキース・エンタテインメント
STUDIOユーキース(東京都)
2018/04/21 (土) ~ 2018/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ドッペルゲンガーのような心理劇またはパラレルワールドのような異世界の観せ方…等身大の女性の本音と苦悩が切実に伝わる。若い女性だけの芝居であるが、その熱量は半端ではなく、物語の中へ観客をグイグイ引っ張り込むような力強い公演であった。
(上演時間1時間30分) 【Aチーム】
ネタバレBOX
セットは、基本は左右対称であるが微妙に変化を加えている。物語は上手側と下手側に分かれ、その間に見えない壁のようなものがあることをイメージさせる。両側の登場人物や音楽活動を行っている設定は同じであるが、その活動スタイルや方向性が異なる。2グループ(どちらも「響屋」)の登場人物は姿かたちは異なるが、同一人物による心情吐露を描いている。自分自身の心を見つめるような合わせ鏡である。
上手側は音楽が持つ”力”でライブ活動を行っている3人(はるか、なな、ことえ)。一方下手側は、女性らしさを強調した”姿”でライブ活動を行っている3人(遥、奈々、琴絵)。それぞれに悩みがあり、グループ内でも喧々諤々という状態である。音楽の力を信じているが売れず、メンバーはバイトの掛け持ちでどうにか暮らしている。一方姿(外見)を売りに活動をしているメンバーは売れているが、歌は録音で水着姿になったりし自分自身を切り売りしている。音楽の力だけの売り方で良いのか、もっとアイドル的な魅せ方も必要では、一方のグループ内では魅せるだけで良いのか、エアバンドに対して疑問が出る。
この2グループ内の心情が交互に描かれ、それぞれの音楽活動のスタイル・方向性等がグループ内の喧々諤々の意見によって浮き彫りになる。
立ち止まったら、前進していなければ不安、押し潰されそうな気持になる。そこに25歳という女性の微妙な女心が揺れる。男優は登場しないが、恋に対する羨望・嫉妬などが垣間見え愛らしさを覚える。しかし女性である前に人間であり、その感情-焦燥・不安・願望、見えない壁…自分自身の限界という壁に立ち向かっている。女優陣による感情表現が豊か、そしてそれぞれの人物像をしっかり立ち上げており、思わず感情移入をする。
2グループによる共鳴するような同一曲の歌合せ、学校卒業時に見られる呼び掛けのような台詞の交差は、互いへのエールの交換のようであり、自分自身への励ましかも…。中学の時に聞いたライブの感動が忘れられない、その芯が失われない限り音楽活動は続けそうだ。物語では指を怪我したりグループ脱退などの試練も描いていたが、ラストには希望が見える。
劇場内は小さく、演技での大声が響き少し閉口するが、それでも自分は彼女たちの心の叫びとして受け止めた。
次回公演を楽しみにしております。
アラクネの恋
劇団もっきりや
ART THEATER かもめ座(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
見えない「神(正義)」という名の落とし穴、自分に素直に生きる難しさを突き付ける。からっぽな情景に濃密な気配と閃光。心の奥深くに語りかけるような奇妙な世界に誘われ、段々と孤独な心だけが観せられる。いつしか他人との関係は表面的になり、煩わしい事には関わらないという傍観者へ…。
(上演時間1時間30分)
ネタバレBOX
セットは、中央に小さなテーブル・椅子3脚。上手・下手に衝立風の幕が2つずつ掛け、下手側に2階段が置かれている。場面に応じて色彩ある毛糸が中央奥に放射状に張られたり、また入院ベットが運び込まれる。
物語は老いた元高校美術教師・サクタ先生(石渡孝サン)が教え子・ヒナドリ(作・演出:杉浦久幸サン)から恨み憎まれ口を言われるところから始まる。元教師は美術部の顧問をしており、ヒナドリともう1人女子生徒・ねえさん(門岡瞳サン)(部員は2人だけ)を指導していた。ヒナドリの作は絵画コンクールで絶賛されたが、いつの間にか評価されなくなり、逆に不遜絵画のような扱いに変わる。同時に教師も教え子を庇わなくなり、悲観した教え子は自殺する。教師も含めた3人の関係は、ねえさんの教師への思慕、ヒナドリのねえさんに対する恋心という表面的には三角関係を描いているが…。
タイトルの「アラクネ」はギリシャ神話の人物で”神”と機織で腕比べをし、果ては蜘蛛の化身に変えられた娘の名。チラシの説明にその件…傍観者たることが書かれており、本公演ではそれをテーマに据えているらしい。物語は過去の出来事を心の奥深くに閉じ込め、忘却しようとしていたが、いつの間にか想いを巡らせ真実に近づこうとしていた。
冒頭の淡々とした描写から滲み出る喪失感と哀愁、人生における記憶の断裂と忘却を描いていたが、段々と現実とシュールな異界が共存する不可思議な空間・雰囲気に変わる。物語の”肝”は”神”であるが、物語には登場しないし正体も明かさない。
記憶と悔悟のような会話から呼び出される現実、過去に囚われ行き惑った男、魂が彷徨する教え子・ヒナドリが世の不条理に立ち向かう。全部さらけ出すのが誠実か、記録されたものだけで判断する。そんな問い掛けを感じる。
登場しない”神”は多数を占める意見、事柄のことであろうか。物事を決める上で多数意見等は重要であるが、一方少数の意見にも耳を傾けることの大切さ。例えば現代のインターネットの世界では瞬時に大量の情報収集が可能だが、内容は混合玉石でもある。世間という”神(風評)”に惑わされ、臆することの怖ろしさも感じる。
脚本的には正体を明かさない”神”をどう観客にイメージさせるか、その点が弱いような気がした。演出ではアラクネに因んだカラフルな毛糸を使用するところは観せ方として面白い。
次回公演を楽しみにしております。
逃げぬれて、夜
くちびるの会
調布市せんがわ劇場(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
「2017年 せんがわ劇場演劇コンクール オーディエンス賞」受賞団体の記念公演。
夢・希望と焦燥の挟間で生きる衝撃的な青春物語。社会・地域の澱んだ日常の中で、爆発寸前の不穏な何かを膨らませている。諦念と再生にちょっと冷たいが、希望の光が射し込むような…。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
セットは衝立のような仕切りを可動させ、アパートの一室、スーパーやコンビニの控え室を出現させる。その情景・状況を観せ、またラストにはブルーシートを利用し多摩川河川敷、川の氾濫というダイナミックな演出は巧み。場面に応じた舞台転換は観客を飽きさせず、物語に集中させていた。
物語は、ある雨の日に少し怪しげな女性が古いアパートの一室を訪れ、「あなたは今、幸せですか?」と問うところから始まる。部屋にいた女性・幸子(橘花梨サン)は少し考え、身近なものを説明した。絵本作家であるが売れずスーパーのアルバイトをして生計を立てている。生活圏内はアパート-スーパーの徒歩15分の往復で、世間から取り残されている。一方、新聞配達をしている伸夫(佐藤修作サン)は、世の中で起きている悲惨な事件(テロ・紛争等)が書かれている新聞を配るだけ。自分は何もしない・出来ないという忸怩たる思いを抱いていた(ロボット化し動けない)。ある日、幸子が捨てた絵本を伸夫が拾い、2人は絵本交換日記のようなことを始める。それぞれの職場で起こる不条理のような出来事、その愚痴ともつかぬことを書き綴り…。
焦らない、闘わない、無理をしないから生きられる。しかし、ある雨の日を境に覚悟を決めて一歩を踏み出す。人間心理のパラドックス。伸夫が乗っている自転車を”リンリン丸”と名付け、理不尽な社会へ警鐘を鳴らすため、「予言新聞」(場内で配布)を発行することにした。しかし大風呂敷的発想は、2人の経済的な破綻を招くようで…大空から鳥の目のように俯瞰すること、地を這いずり回る虫の目で見ることの大切さを知ることになる。少し長く、途中で終わりかと思わせるシーンもあったが、自分は”俯瞰”と”目先(近)”の両方を描きたいためと受け止めた。
舞台転換の巧みさ、タイトルの「逃げぬれて、夜」にある通り雨に象徴される水の音が印象的であった。また強調、余韻付けとしての照明もスポットライトの照射が効果的。どこにでも居そうな等身大の人物の心情を心憎いまでに映し出す。重く湿った雰囲気の内容であるが、演技は多少コミカルにし魅力的に見せ、人物像を引き寄せている。
”せんがわ”という場所を意識した地域設定も微笑ましく、先に記したコンクール オーディエンス賞への謝意が感じられる。
次回公演を楽しみにしております。
タバコの害について/たばこのがいについて
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2018/04/20 (金) ~ 2018/04/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
自分らしい生き方、これで幸せかという問いが投げ掛けられた公演。この公演はタイトルから分かるように「タバコの害について/たばこのがいについて」という2本立てであるが、上演順序は逆になっている。「タバコの害について」(1902年-チェーホフ)「たばこのがいについて」(2018年-劇団夢現舎)であり原作へ敬意を払っているのだろうか。
さて、「タバコの害について」は原作に近いが、「たばこのがいについて」は劇団のオリジナル短編だが、チェーホフへのオマージュが観てとれる。この公演は2編を通じて観ると、文章の倒置法のような構成で”がい”を巧みに描いていたようだ。
(上演時間1時間30分 途中休憩10分)
ネタバレBOX
セット…、「たばこのがいについて」は、真ん中・客席寄りに白い船形の置き物、上手側に丸テーブルと椅子、下手側に机、その上に灰皿が置かれている。また壁には描いた換気扇。入り口・場内まで「行灯パブ・ろびっち」と書かれた行灯が置かれ、吊るされている。
話は、食事に好き嫌いが多い男、何とか偏食なく食べてもらおうと工夫する女、その2人の不思議で愛らしい、そして時に激しい丁々発止の会話劇。男は悠然とタバコ燻らせるが…。害があるタバコを好む男、一方健康を考えた料理を出す女、その男女の思惑がいつの間か恋愛話へ変わっていく。
「タバコの害について」は、チラシにあるような和風女性が一人描かれた屏風が広げられる。場内は暗幕で囲われ、その中で屏風の女性は紅色の着物で一種の妖艶さが漂うよう描かれている。
話は、男の一人芝居…。
男は妻の言いつけで「タバコの害について」講演をするために人前に立つ。彼自身はタバコを吸うので、言われたから講演をする。だから後ろ向きな発言を繰り返し話は違う方向へ。そして段々、奥さんの悪口に繋がっていき…。人生を嘆いているとも、 妻への思い(想い)とも取れるような公演に聞こえる。
公演は、前半の”タバコの害”は”妻そのものが害”のようにも聞こえるが、後半になるとその悪口に哀愁を帯びてくるようだ。2人会話に出てくる女は黒い服を着ており喪服のように思える。一方、屏風の着物女は対照的で薄暗い空間に別女性がいるようだ。
舟形は浴槽でありピラニアを飼っているというが、男は自分(女)の後輩と浮気をしているらしい。男は小説を書いているが売れない。先の恋愛、小説(芸術)は弱肉強食と言い、ピラニアは比喩のようだ。そんな会話を懐かしむ様子、繰り返される幾つかのシーンは本音等を垣間見せるためのようだ。
”害”のように思っていた女(妻)が亡くなり、煩く思っていた事が懐かしく思い出されるよう。そんな哀愁が感じられる「たばこのがいについて」(劇団夢現舎)である。その意味で、時の経過は逆転しており観せ方は妄想・回想の世界観が広がる。本公演は、チェーホフの「タバコの害について(1902)」に対し講演という形を借りた「ぼやき」「本音」等に対し、「たばこのがいについて(2018)」は「甘え」「慈しみ」で包み2編を通じた劇中劇のようで楽しめた。もちろん、その独特の世界観を出現させた役者2人の演技は素晴らしかった。
次回公演も楽しみにしております。
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/01/24 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
「グリーンフェスタ2018」参加作品。
心の彷徨…過去と現在を往還し自己再生を果たそうとする男、それを見つめる少女の心情が静かにそして激しく揺れ、ダイナミックに錯綜していく物語。
(上演時間2時間弱) 【星チーム】
ネタバレBOX
舞台セットは、2階迄ある学校校舎のような外観(窓)、中央には歪な形をした時計。1階校舎前には木椅子が積み上げられている。上手側には男の事務所がある。
梗概…女子高生が天涯孤独になった寂しさもあり、自殺しようとしていたがアトムに止められる。その後、女子高生は売れなくなった中年シナリオライター・ナオト(金子昇サン)の元にライターとして弟子入りするところから物語は始まる。この時点では女子高生(森岡朋奈サン)の名前は明かされないが、ラストに正体が分かった時には大きな感動に包まれる。
場面が転換し、ナオトが小学校の時の苦い思い出を回想する。小学生の時、ナオトは東京からこの関西の学校に転校してきた女の子と仲良くなったが、クラスメイトの関係(強迫観念)によって自分も苛めに加担してしまった。その後、この子は他の学校に転校してしまい、最後まで謝ることも出来ず別れてしまった。
青年期にナオトは演劇俳優をしていた。そして同じ劇団員の女性と付き合っていたが、女性は他の道も模索していた。そろそろ結婚も考え始め、女性はナオトの子を宿しているようなことを仄めかすが、その真偽は明かさなかった。そしてナオトの優柔不断な態度から黙して彼女と別れることにした。先輩劇団員の闘病と死、自分自身も俳優から脚本家になっていたが、以前のように情熱的に書けなくなっていた。そんな時、1人の訳ありな女性がお手伝い(宮地真緒サン)として住み込むことになったが…。
一方、ナオトは小学生の時の苛めを後悔しており、冒頭の女子高生に励まされ自分の人生を取り戻そう、苛めた子を探し許しを得ようと心の旅にでるのだが…。
現在・現実と過去の回想を交差させ魅力的な時間軸を描き出す。魅力的というのは観せ方であり、時々の心情をダンスパフォーマンスで表現する。ダンスも群舞やタップダンス等バリエーションがあり飽きさせない。
人は後悔、その苦い思い出に決着をつけ前向きに生きるか、忘却として心の奥深く閉じ込めるか。ナオトも女子高生が現れるまでは自暴自棄になり自堕落な生活をしていたが、何かを契機に前を向く。人の心は孤独な時もあるが、熱(厚)い志が復活すれば立ち直れる、そこには子供の時のヒーロー・アトムが見守っているという自己暗示。脚本の面白さ、演出の立体的・躍動的な観せ方、舞台技術の効果的な表現そして役者の人物像の立ち上げとバランスの良さ、その全てが公演に集約されていたと思う。
本公演は、明日への元気がもらえるような素晴らしい作品であった。
次回公演も楽しみにしております。
春の花びら3回転!!
チームまん○(まんまる)
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
オムニバス3短編で、共通テーマが”下ネタ”ということらしい。もっとも下ネタというよりは、身の上・身の下相談という「人間」観察したような物語で、笑いの中に感情_その悲喜交々が紡がれている。タイトルはもちろん通俗性を意味しているのだろう。
(上演時間2時間強)
ネタバレBOX
基本は全て素舞台。物語によって小道具(Box椅子)が運び込まれる。3つの話の間に1~2分のリラックスタイム(単に少し体を動かすだけ)がある。
3つの話(タイトル)は次のとおり。
①「おめこ星」
人付き合いが苦手なサラリーマン、それが電子機器(スマートフォンか?)で検索・調査をさせているうちに、頼りきってしまう。一方、電子機器も男に彼氏のような感情を抱きだし…という物理的には非現実的であるが、人間心理の悲哀、狂気、恐怖が観える。そして生身の彼女との関係が絡んで嫉妬、懐疑という機械が人間並みの感情を抱き…。
②「じ まんげ~自慢気~」
もっぱら男性が持っているであろうアダルトDVDの所在、その隠蔽方法に観る男女の駆け引きを面白可笑しく描く。その男女は「母と息子」という親子関係であり「彼と彼女」という恋人関係という観点の違いを用い上手く表現している。演出では隠すベット下、本棚等の場所を擬人化させているが、これが体力演技で笑える。
③「うんKO」
便秘という生理的現象…現実(シチュエーション)場面において”便秘”がもたらす悲喜交々を面白可笑しく観せる。もちろん便秘は歓迎(排便はオートメーション、人の意識はあまり関係)されない、だから簡単に「うん KO」などという肯定した言葉は出ない。むしろ感覚的には「う~ん固」に近い描き方だった。
3回転とも人間の生きる姿を描いている。「おめこ星」は電子機器(AI搭載?)という”性能”に依存したサラリーマンの”知性”の不足。「じ まんげ~自慢気」は”性春”時におけるエロ媒体を巡る”理性”の不足。「うんKO」は”生理”現象という習性のコントロールの不足といった描きであろうか。普遍的な行為のようだが、その日常にある、またはありそうな情景・状況を笑いと甘酸っぱい感覚で観せるところは巧み。人間は完璧ではない、それが共通の”不足”であり、その特徴的なことを下ネタ(材料)として観せていると思えば頷ける。
素舞台であるにも関わらず、情景描写が上手くとても楽しめた。
次回公演も楽しみにしております。
山の上のHOTEL・別館~2018~
劇団カンタービレ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2018/04/13 (金) ~ 2018/04/16 (月)公演終了
満足度★★★★
”山の上”のHOTEL・別館というタイトルは、観終わって納得。チラシ説明からは想像出来ない展開、そして秀逸なラストに感動する。
過去の記憶に囚われ彷徨い続ける魂…その人達が日本全国から集まって「第1回超常現象閣僚級会議」を開催するという。果たしてその会議の内容と行方は…
(上演時間1時間45分)
ネタバレBOX
舞台セットは、「山の上のHOTEL・別館」のフロアー。上手側に木棚とカウンター、下手側奥に窓、手前にソファー・テーブルのセット。メイン舞台以外に、出入り口脇に別スペースを設けている。HOTELは山奥にあり、ここなら津波で浚われる事もなかっただろう。
2つの物語が同時に進行し、ラストに交差し収束する展開である。まずチラシの説明にある、このホテルに特殊な能力を持つ若者が集まり「第1回超常現象閣僚級会議」を行う。その招集者はHOTEL支配人の妹・山中友里で、まず自己紹介を兼ねて、それぞれの超能力…透視、物体移動、念写、予知、スプーン曲げ、事象操作などが披瀝される。
一方、この山奥には刑務所があり脱獄犯が…。2つの物語は、東日本大震災・原発事故という共通した点で交わる。設定は事故4年後になっており、その傷が癒えていない。脱獄犯に拘束されたメンバーは、犯人の境遇や今後の行動を聞くことで、自分たちの思いと重なり…。
心痛に耐えない震災・原発事故を超常現象という比喩的な場(会議)を設け、その被害者をブラックユーモア、悲劇と喜劇を巧妙に混在させ観客の心を揺さぶる。特に物質・環境汚染によってもたらされた人、その普通の人の”思い”を神経を尖らせしっかり伝えようとしている。ちなみに会議開催にも意味(霊魂の昇天)があり、ラストに明かされる。
災害によって失われた夢・希望という未来、その悔しさが過去に捉われ、魂が彷徨し成仏できない。ラストは重い=想いを昇華させたようでホッとさせる。空想的な物語から社会的な物語に変化させ、面白さの中に今も、これからも考えさせるテーマをしっかり突き付けた秀作。
役者の演技は、それぞれの人物像を立ち上げ見事でバランスも良かった。また舞台技術、特に照明は時間経過を順々に感じさせ、雰囲気作りも巧みであった。
次回公演も楽しみにしております。
ドールズハウス
u-you.company
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
「グリーンフェスタ2018」参加作品。
家族という身近な人間関係を独特な観点から描いた作品で、雰囲気はメルヘン・ファンタジーといった感じであるが、内容は人間の深層心理…それも姉妹間の蟠り、確執を描くことで浮き彫りにする。全体の雰囲気はメルヘンチックに満ちているが、それは舞台技術、特に照明効果によってもたらされている。物語を強く印象付けるため、色違いの単色をスポット的に照射する。柄・文様ある照明で美しさで印象付ける等、照射バリエーションに富んでいる。
少しネタバレするが…。タイトルから連想できると思うが、登場するのは「人間」と「人形」という存在や役割の違いはあるが、人間を物理的に小さくし人形がいる空間へ投じることで、同じ世界観で物語が紡れていく。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
舞台セットは、二元的に創出することで人間世界と人形世界を区別し、異次元ということを分かり易く観せている。上演前は中央の通路奥に照明で十字架を写しだし、両側は衝立のようなもので仕切っている。それが人形世界になると、衝立の奥が現れ左右対称の階段状の立体感ある空間を演出する。
階段の上り下りという動作が躍動感を生み、軽快なテンポで展開していく。また役者の立つ位置、例えば姉妹(人間)は、立体空間に立たず板に居り、人形は階段を利用し色々な場所に出没し、空間の広がり=夢想をイメージさせる。
物語は、歌謡界のカリスマ的存在だった母が亡くなった。その葬儀に集まった四人姉妹は仲が悪く、嫌悪・憎悪に満ちている。その感情は母に対しても同様であり、四人の父親は全員異なり、母の奔放さが観てとれる。四人姉妹に葬儀を行わせたい、そんな思いから姉妹を宥めて仕切らせようとする亡母のマネージャー(脚本・杉山夕サン)、遺産相続で揉める事を心配し遺言を託した法律事務所の弁護士、この2人がストーリーテラー役を担っている。
母の葬儀で久し振りに会う姉妹であるが、葬儀より遺産相続のことが気になる。それぞれの性格が多少デフォルメして描かれるが、相容れないことがしっかり伝わる。葬儀の最中に落雷が…気が付いたら人形と同じ大きさになっており戸惑う姉妹。一方、マネージャーと弁護士は居なくなった姉妹たちが葬儀を放棄して逃げたか、誘拐されたか心配しだす。葬儀日程、マスコミ対策で探し出す猶予は3日間。物語は「期限」と「場所」を限定することで緊迫感を持たせる。
子供の時に遊んでいた人形、今ではその記憶も無くなっていた。姉妹の性格によって人形の好み種類(お姫様、兵隊など)が異なる。メルヘン・ファンタジーの世界観がリアルで地に足を付けた物語に変わる。元の人間(大きさ姿・形)に戻りたい思いを見透かすように一体の人形が囁く。その魅力的な言葉を信じて右往左往する姉妹の滑稽さ、悲哀さを思わせる姿が見所の1つ。
物語はハッピーエンドという予定調和で終わるが、底流には母の愛情、人間的成長を促す寓意的な要素も含んでいる。
少し気になったのは、人間・人形という括りで観れば動作・ダンスパフォーマンスの違いはある。しかし全員が女優という外見上の華やかさはあるが、物語の登場人物(人形)としての魅力(個性)は印象が薄くなったように思う。ストーリーテラーの役割を担う2人以外は同世代、濃いメイクという均一化したイメージを持ってしまったのが残念。
次回公演を楽しみにしております。
誰も寝てはならぬ
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/04/12 (木) ~ 2018/04/18 (水)公演終了
満足度★★★★
「『誰も寝てはならぬ』そんなオペラの一節の落書きがされた埃まみれの劇場跡で描かれる異色異端の楽屋モノ」という謳い文句…ミステリー・サスペンス仕立てにした多重構造の物語。
舞台セットと芝居セリフに”ある意味合い”を持たせ、ラストに観客に問い掛ける観せ方は実に巧みであった。
(上演時間1時間15分) 2018.4.29追記
ネタバレBOX
セットは、客席と同じようなパイプ椅子が雛壇状(客席に対して横4列×縦3列×2)に並んでいる。下手側壁にタイトルと同じ文字が落書きされている。
物語は、薄暗い廃劇場内に好条件のアルバイトで集められた男女7人と勧誘した女性の計8名、彼・彼女らによる取引会話から始まる。目的は「演劇が絶滅した世界を復活させる実験を行う」というもの。集められたのは遺伝子学的に演劇に適したDNAを持つ人達であり、何が何でも実験を成功させたいらしい。演劇とはどんなものか、台本の読み合わせから始まる。その台本がオペラ「トゥーランドット」の一部分を演じるもの。稽古を通じて演劇の魅力を感じ始めるが、次の台本は更に厚み(頁数)が増すが、翌日その台本が…。
公演は人間の本質を鋭く問う台詞「ありのまま映らない鏡」。この実験は演劇ワークショップという劇中劇という設定で、集まったのは現役役者ばかり。この実験を企てた人物は集められた中にいる。ラスト、その人物は観客に向かって「あたな以外は役者」という言う。セットは、客席と合わせ鏡のように配置されている。役者と観客は人間であるが、同じではない。人はそれぞれ違い本(音)質は分からず、信じられるのは自分だけ。人は役者に限らず見えない仮面を被り何らかの役を演じているのかもしれない。その意味で観客は他人-役名のない演技者として位置付けて実験に組み込まれていたのかもしれない。
一見、非現実の世界観のように思わせ、唐突に現実の世界に引き戻す。それまでの幻想・妄想というあやふやな雰囲気が一変し具体性を帯びる。公演全体にわたってどう展開するのか固唾を飲んで見守る、そんな緊張感に包まれていた。ひとつ間違えれば、白け通俗的になるかもしれない不明確な描写を極めて”劇的”に観せていた。
薄暗い廃劇場内、何もない空間に「誰も寝てはならぬ」という壁の落書き。空虚漂う中、流れるオペラ音楽は心地良く心に響く。しっかりとした構成とシンプルであるが情景・場景をイメージさせる演出、舞台装置は素晴らしかった。
次回公演も楽しみにしております。
円盤
BACK ATTACKERS
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/01/16 (火) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★
「グリーンフェスタ2018」参加作品。
表層はコミカルであるが、内容は現代日本の社会問題、特に労働問題を鋭く批判するような物語である。いくつかのシーンを組み合わせた定型パターンの繰り返しは、既視化した感覚になり、意識が意識を飲み込むような錯覚に捉われる。いわゆるデジャ-ブュと呼ばれるもので、全体的な印象はブラック・コメディといったところである。
(上演時間 2時間弱)
ネタバレBOX
セットは舞台奥、横一面に平板の衝立のようなものが後景として立てられている。その形は幾何学的なもので、そのまま観ていても何を表現(意味)しているか解らない。なお、平板に照射すると、その形状が廃墟=戦後のように映るよう印象付けしている。
物語は、ヤマト(生命)保険会社の社員食堂もしくは休憩室であろうか、そこで食事をしている新人社員の会話から始まる。宇宙人は存在するか、そんな会話の中から宇宙人、UFO(円盤)は地球人の過去や現在と交信か介在する存在ではないか?
場面は変わり、執務室を出現させ忙しく働く現場、取引先へのプレゼンテーション、またはクレーム対応などの日常風景が観える。突然に運動会シーンへ、さらに戦時中の戦闘シーンへ展開する。この社内・運動会・戦闘場面をワンセットとして繰り返す。企業戦士としての風景はプレゼン、ミスのフォロー、クレーム対応、パワハラ、セクハラそして長時間労働など、現在日本における企業風土の一端をデフォルメして描き出す。全体的な雰囲気はとにかく前に進めというもの。
場面転換した戦闘シーンは戦時中に使用されたであろう三八銃を構え敵前に進む、それは死を意味している。企業”戦士”と戦争”戦死”は掛け合わせたようで、共通した意識は逃避できないもの。その場面を繫ぐため運動会シ-ンを挟み込む。勝つのはいつも赤組で、白組(降参)が勝つことはない。同じパターンの繰り返しは既視感を生む。この風景・状況は前にも観たという記憶が掘り起こされるが、パターンは同じでも内容が少しずつ変化することで意識が意識を飲み込むように上書きされて行く。その結果、物語の核心に導かれる。
演出…奇妙な構成は、ごく普通の暮らしの中に深刻な内容を潜ませるが、それをビビッドな笑いで緩和させる。この深刻な問題を軽妙なタッチで描くギャップとユーモアが特長である。なお、場面ディテールには拘っておらず(乏しく)、それだけに伝えたい内容が鮮明・明確に表現できないと散漫だと思われる。
特に目立った個性ある人物は描いていない。その意味では社会(会社)の体制・組織の問題を抉る群像劇といった感じ。演出と演技は少し中途半端な感じがして感情移入をすることが出来なかったのが残念だった。
次回公演を楽しみにしております。
見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/02/14 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
祝 「グリーンフェスタ2018 BOX in BOX THEATER賞」受賞。
チラシの「明治時代を生きる”新しい女性の生き方”を模索した少女達の青春群像劇」の謳い文句通り、今の時代には考えられないような事ばかり。しかし100年後は、今の時代とは違った女性像が…そんな事を考えれば、”今をどう生きるか”という足元を見つめた秀作。
(上演時間2時間20分)
ネタバレBOX
舞台セットは、中央には別棟との扉・通路、その横は2階への半折返し階段、上手・下手にはそれぞれ部屋がある。特に下手は談話室になっており、芝居の中心になる場所である。上手側は給湯(調理)室に繋がる出入り口。また衣装や髪型は、当時を思わせる雰囲気を作り出していた。女性教師は着物、女子生徒は袴などを着ていた。
なお、初演も別の劇場で観ているが、この公演と劇場-シアターグリーンBOX in BOXの構造・空間はピタリを合っており、利用する劇場の重要性を思わせる。観応え十分であり劇場冠_BOX in BOX THEATER賞の受賞は肯ける。
梗概…1911(明治11)年10月。名古屋の第二女子師範学校の女子生徒は教師を目指し勉学等に励んでいた。そして一部の進歩的(良妻賢母教育に懐疑的)な生徒が、有志による回覧雑誌「バード・ウィメン」の発刊を企画するなど、談話室に思春期ならではの話題に花が咲くようだ。そんな折、女子寄宿舎の下働きの息子が寄宿舎に忍び込み、談話室に居た女子学生に社会情勢を話す。そして退散間際に1人の女子生徒に...、後日、その女子生徒が男と2人きりで会っていた。それが理由で放校されることになり、女子生徒たちが抗議行動を計画する。しかし、教師たちの切り崩しにあい、次々と脱落して...。
女子生徒の思索または憂いのある表情、また明るく快活な姿...そこにはその時代に生きた少女が確かに存在していた。また、男性教師、女性教師の目線や立場がしっかり描かれ、感情移入ができた。公演全体としては、クオリティが高く、観応えがあった。
テーマについて、現在では男女が単独で会っているだけでは処分(退学)にされないと思うが、物語から100年以上経ているが、男女差別は依然として存在しているだろう。また文学…自然主義文学の「蒲団」(田山花袋作)は隠れて読む時代である。
少し逸れるかもしれないが、公演では(明治)女性の視点で捉えた見方であるが、実は人間としての平等を考えることではないか。男女平等に関する課題は、女性側の視点だけで考えればよいというものではない。性別によって「男だから…、女だから…こうしなければならない」という、潜在的な行動・役割パターンがあると思う。むしろ性による決め付けは、逆に生(息)き苦しさを感じさせると思う。公演を観て、改めて人としての平等とは何かを考えた。
舞台技術は、時間経過(夕日)や感情変化を表現するために諧調照明、音楽・音響は飛行音や不気味な効果音により物語を一層印象深く観せており、観客の感情を揺さぶり見事な演出であった。
次回公演を楽しみにしております。
綾艶華楼奇譚 『晩餐狂想燭祭~死~』
Dangerous Box
浅草六区 ゆめまち劇場(東京都)
2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
物語は、場面毎に人が持つ色々な感情等を紡ぎ出し、それを1つの女の独特な世界の中で展開していく。その観せ方が素晴らしい。劇場に入った途端、そのフュージョンした独特の芝居空間に魅了される。
(上演時間1時間45分)後日追記
ネタバレBOX
場内は、凹客席・段差を設けた凸舞台で、正面に少し歪んだ四面体型ポールが組み立てられている。また空中パフォーマンスを観(魅)せるため、場面に応じてエアリアルシルクが天井から吊るされる。
物語は、閉鎖的な女の園…その不思議空間は衣装やメイクから、劇場(浅草六区ゆめまち劇場)近くにある吉原界隈を連想する。もちろん現実世界ではなく、架空の場所である。台詞が聞き取り難いこと、物語の場面転換とパフォーマンス等が錯綜するような演出であるため筋が捉え難いが…。それでもダンス等は素晴らしい。
ファミリィゲーム
劇潜サブマリン
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/02/08 (木) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★
「グリーンフェスタ2018」参加作品。
復讐という”負の連鎖”を人間関係における空しさだけではなく、ラストの全てを無に帰する出口のないというか救いようがない方向へ…。
少しネタバレするが、いくつかの場面転換は、ストーリーテラー(アクマ=悪魔)によって説明されるが、その存在がなくても無理なく展開出来ると良かった。案内人がいると安易になり易く、例えば演出の巧みさではなく説明的になり観客の想像する楽しさ面白さを奪う恐れがある。
(上演時間1時間45分) 【Aチーム】
ネタバレBOX
舞台セットは、四隅に柱を立て立体空間を2つ作り出す。もちろん確執がある「タチバナ家」「ウシゴメ家」を現す。その内側の床は黒色、同色のBox椅子がいくつか無造作に置かれているのみ。空虚感が漂う美術である。室内の様子を観せること、家族の心の在り様を象徴させるということを主眼としているようだ。両家の間にある空間が道路というイメージで、それは客席も同様である。冒頭は客席後方からこの2分された道路(通路)を下りてくるところから物語は始まる。
「タチバナ家」と「ウシゴメ家」はある地方都市の向かい同士だが、前々から確執があるようだ。その理由は判然としないが、いずれにしても溝は深い。そして、それぞれの家族にはちょっとした家庭内のトラブルもあり、家庭内の不満・鬱積が向かいの家への憂さ晴らしという形で解消させている面もある。だから関係がさらに悪化するという悪循環を繰り返している。例えば菜園の野菜を盗む、家庭菜園を荒らすという行為、一方それを防ぐ対抗手段として防犯カメラを設置し警備を強化する。
実は両家の諍いの原因は「タチバナ家」の嫁カオリ、「ウシゴメ家」の擬嫁ポンチーナの仕業であり、それを近所の女性が実行している。そして徐々に家庭内における夫婦の力関係が逆転し、今までの家庭内の鬱積が爆発するという皮肉が…。
家族同士の諍いをアクマが俯瞰(別次元)する、ストーリーテラー的な立場・役割で眺めている。そして交差点でのすれ違いを人生、人の感情(気持)に重ね合わせ、さらには自ら家族の諍いを助長するよう能動的に動く。
語りたい事を盛り込み過ぎのようで、テーマが暈やけ物語の繋がりが感じられない時がある。辛うじて現実的な人物描写、視覚的な表現を試みることで克服しようとしているようだ。ラストは、東日本大震災と原発の影響でその地域に住めなくなり、街が無になるような空虚感を漂わせる。その情景は人の心の空虚さと重なり合う。
演出…柱のみの家は、外見ばかり取り繕った家族の姿を反映しているようだ。もちろん室内を見せること、ラストの大震災での揺れを表現する必要性があったと思うが、家(族)という土台の不安定さが如実に表れている。両家の諍い、そこへ近所の女性を登場させることによって地域の閉鎖性や弱みに付け込んだ興味本位的な側面も観えてくる。家族(小単位集団)から街(大単位集団)の問題へ視座が広がる演出である。
総じて若い役者であるが、人の心が徐々に壊れ狂気に変貌していく姿がしっかり観て取れる。特に柱囲いの家庭内は、ある種の密室であり2人ないし3人による濃密な会話が緊迫感を生んでいた。大きなアクションはない、または出来ない限定空間での表現は難しいと思うが、一人ひとりのパフォーマンス力が強く、最後までテンポ良く観(魅)せていた。内容は”復讐にはf復讐を”という台詞に象徴されるように、暗く塞ぎ込むような気持にさせるが、コミカルな動きは現実から距離を置くような和らぎを覚える。
次回公演も楽しみにしております。
カチナシ!
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/03/01 (木) ~ 2018/03/05 (月)公演終了
満足度★★★★★
祝「グリーンフェスタ2018 BEAS THEATER賞」受賞。
ラビット番長が得意としている「将棋」と「介護」をテーマにした公演…今まで「天召し」(将棋の世界)と「ギンノキヲク(シリーズ)」(介護の世界)を観ているが、例えば将棋という命がけの勝負の世界、一方人生における終末期の悲喜の世界という異なった世界観。夫々の味わい(感慨)深い世界を深堀りしていたが、この公演はそれらを上手く融合、纏め上げた内容になっていた。劇団のファンであれば先の独特な世界観を描いた公演を好むか、もしくは本公演のように分かり易く観せる方(初見者含む)を好むに分かれるかもしれない。
自分はプロ棋士の友人もおり将棋の世界は何となく知っていたこと、介護にも少し携わったこともあり、それらを纏めた物語では少し物足りなかった。しかし、将棋勝負(勝ちあり)と人生勝負(人生にカチナシ)を物語でしっかり伝える面白さ、そこにはタイトル「カチナシ」などではなく、観るに「価値あり」の公演である。
(上演時間2時間) 【Aチーム】 2018.4.11追記
ネタバレBOX
セットは、2層で1階部の上手側には介護施設内の食堂やマージャン部屋、下手側は施設内の作業場やTV大盤解説場、2階部中央は対局場、上手側は施設患者部屋といった異なる空間を作り出し、2つの物語を分かり易く観せようと工夫している。
梗概…新進気鋭の棋士・谷木と重鎮棋士・大原九段(井保三兎サン)の対局中、大原棋士が倒れ後遺症が残りその治癒のため介護施設に入ることになる。その施設には大原棋士の弟子・北島(元奨励会・会員)がおり、将棋界から去っていたがまだ未練が残る様子。大原棋士には愛人との間に娘がおり、この娘が施設内で大原の世話をしている。そこに正妻が乗り込んできて…。
新進気鋭棋士は話題の藤井六段(2018.4.10現在)を、大原九段と将棋連盟の米山会長は中原・米長棋士を連想させる。インターネットという仮想の将棋世界、生身の男女の恋愛模様、深夜勤務・交代制という介護現場の苦労、そして夫婦の深い愛情など盛り沢山の話で紡がれる。
物語は色々な場面へ転換していくが、先に記したセットや人間関係の分かり易さも手伝って典型的な芝居として楽しめるよう創られている。主要人物のバックボーンもそれとなく説明し役者がしっかり人物像を立ち上げている。そして大原がもう一度(将棋)を指そうとし、弟子の北島がもう一度将棋の世界で生き(勝負し)ようとする。その諦めない人生訓(教訓臭くならない)が描かれる。太陽のような人物と言われた大原、そして真摯に生きようとする人は皆が輝いている。単色の照明を諧調し印象付ける舞台技術も巧み。予定調和のハッピーエンド…最後までしっかり芝居に惹きつける面白さがあった。
ちなみに「ギンノキヲク」の介護施設「紀陽の里」やそこに登場する人物、例えば池田も台詞だけでリンクさせており、思わず微笑んでしまう。
次回公演も楽しみにしております。
星の王子さま
もぴプロジェクト
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
子供のための物語か大人のための物語か、その視点を意識した公演。
小説「星の王子さま」は1人称で書かれた物語、「僕」という語り手は物語の中である役割を担い、作中人物としての語り手となっている。聞き手の読者への問いかけのようであるが、本公演でも観客へ問い掛けている。もちろん読者=観客は幅広い(年代)層を想定しており、人それぞれの感性の受け止め方が異なるのは当たり前であろう。
自分はファンタジーの中にもしっかりとメッセージを伝えており、芝居の雰囲気も好かったと思っている。
(上演時間1時間45分)
ネタバレBOX
セットは、ファンタジー風な観せ方にするため、ブルー、ホワイトの蛍光塗料を点描したようなストーン型オブジェを置き、客席内にも台座の別空間を作り同じような蛍光塗料が塗られている。場内全体の雰囲気は宇宙空間といった感じで、所々に小惑星をイメージさせる球体が吊るされている。
物語は小説(章立)と少し異なった順で展開していく。大筋は順々に時が経過し、語り手であり”星の王子さま”は自分の経験を語りながら王子としてのエピソードを語る構成にしている。先に記したように語り手であり劇中人物であることから、長台詞は説明風であり朗読劇のように感じた。
「物事を考え続けること」「本当に大切なことは心で見ること」という台詞は、子供・大人という枠を超えたところにあるのでは…。その意味では原作が意図しているであろう、物事の本質を問いただす質問を投げ掛けて、そこに潜む事柄の重要性_表面に捉われてはいけないという隠喩は、場面を細切れにしつつも上手く紡いでいたように思う。
雰囲気作りとしての衣装に注目。芝居の役柄へ変化させる重要なアイテムの1つが”衣装”。衣装は情景や背景・雰囲気を如実に映し出す効果がある。例えば薔薇(バラ)の花のシーンでは紅い衣装、また男優陣は白っぽい浮遊感ある衣装、逆に女優陣は黒っぽい硬質イメージの衣装という対照的なもの。メイクも独特で現実から遠ざける工夫をしている。その全体がファンタジーで「星の王子さま」といったことを表していた。
なお後部席壁際(両端近く)では、壁に描く絵のシーンが見切れになる。その舞台配置か、観せ方に工夫が必要だと思われる。
次回公演を楽しみにしております。
母が口にした「進歩」その言葉はひどく嘘っぽく響いていた
東京演劇集団風
レパートリーシアターKAZE(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
硬調演出ながら抒情的な印象の公演。
紛争で死んだ息子の遺体を捜す父と母_息子の声に導かれ土地の瓦礫の下で重なり合う死者たちの無念が…。そして夫婦を取り巻く奇妙な隣人や泣き女、街灯に佇む1人の娼婦という、不可視と可視を対比するような姿や情景を観客の心象に刻むかのような物語である。
特に不可視の象徴である息子や各時代における無念の死者たちを描く時空間、その不思議なところに父・母を存在させ、地中から響く過去からの<挫折を余儀なくされた希望>に寄り添うような心の幻影を精緻な眼差しと言葉で追いかけていく。もっともタイトル副題からすれば「その言葉はひどく嘘っぽく響いていた」のかもしれない。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
セットは、客席側へ斜めに傾くような板敷き(八百屋舞台のような)。両側はポールのようなものが立ち、その上部に照明具がセットされ街灯を思わせる。後方は薄い布が張られている。テーブルや椅子が倒れ、藁くずが散乱し荒涼とした情景を出現させている。物語の進展に伴って、板敷きの一部が開いたり、手押し一輪車が持ち込まれる。
裏切、幻想、ユーモアを通して表現された過去(歴史)と現在(思索)の諸相を見事に表現していた。文献史的ではなく(観客の)記憶史として残るよう力強く訴えてくる。物語は決して派手に誇張するものではなく、どちらかと言えば抒情的で心に染み入るような演出である。
梗概…紛争が終わり、国の解体と同時に、新たな国境線が出来た故国に帰ってきた父と母。その後景には多くの瓦礫が築かれている。 死んだ息子を待ち続ける母親、息子の遺体を探すため穴を掘り続ける父親。そして亡霊の息子が語るのは、この土地で重なり合い死んだ者たちの姿である。それは終わることなく繰り返されてきた紛争・戦争、生きる人々の姿の中に認め合うことの出来ない価値観、その人間の愚かさが見え隠れする。
一方、街頭(灯)に立つ1人の娼婦、女装した男娼は現実の世界に生きる。重なり合う死者の遂げられなかった希望に対し、SEX・人種差別そしてマイノリティという観点で今を見つめる。人には「善・悪」「正気・狂気」「陽気・陰気」など対になる顔があるが、それは立場や状況によって変化し、一様に捉えることが難しい。その判別させない意味でのマスクやパペットの利用であろうか。黒衣装はまるで喪服のようであり、盥(たらい)での洗濯する姿(衣装)は生活感に溢れている。この公演は「生・死」、「現実・過去」という対比を強く感じさせ、この先(未来)に思いを馳せているのだろう。だからこそ「進歩」が強調されていると思う。
次回公演を楽しみにしております。
ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
寓意性ある公演だが、教訓的はなく華麗で楽しく元気がもらえるような公演。人の見た目は自分が思っているほどひどく(醜く)ない、個性を強調した描きは衆人をホッとさせるかもしれない。
本編後、アフタートークならぬカラオケ大会が披瀝された。
(約2時間)【春名風花チーム】
ネタバレBOX
セットは、左右非対称の階段状舞台で、上手側に試着室のような出入り口、下手側の出入り口にマネキン2体が不自然に傾いている。本公演、メインは女優で華があり、そこにピリッと男優陣が絡む絶妙さ。
物語は、モデルに憧れる主人公・河合由衣(大久保聡美サン)。 念願のオーディションに合格したものの、 そこは理想とかけ離れた世界があった。序々にスタッフやファンに支えられ人気を博していく、というサクセスストーリー。一方、この雑誌のボスであり、トップモデルの母親、その母娘の関係も絡む。この主人公の憧れを後押しする妄想、その分身とも言える女の子たちAmi、Bibi(macoサン、あずさサン)に話し掛け(独り言か妄想)、変人扱いされている。雑誌の撮影はGlieseという地球外の惑星で行うが、それには理由がある。
母と娘の関係は、父と息子や、父と娘の関係以上に難しいのだろうか。母は娘・流石可憐(<美>右手愛美サン、<醜>石川琴絵絵サン)を様々な仕方(今回はトップモデルの維持⇒意地?)で縛り、娘はそんな母の呪縛から逃れようとする。母娘の情景を女性の外見...美容(整形)技術というSF要素を取り入れて、ライトノベルのような観(魅)せ方をする。物語の所々でスタイリッシュなダンスパフォーマンスや歌が披瀝されるが、これが愛くるしい。こんなところが、ファンの心を掴むのであろう。そして客席通路を利用するなど身近に感じさせるファンサービス(親近感)が嬉しい。
美しさ(美人)の尺度は観る人によって違う。特別な材料を利用し顔面を変えてまで美しさに拘ること、そこには外見重視で本人意思が反映されない。もっと”私自身”を見てという切実な訴え、ユーモアを交えた観せ方の中に寓意性を潜ませる。
一方、公演としてはモデル雑誌という謳い文句から、外見…衣装変えも素早く華やか艶やかさも強調させるところは上手い。
次回公演を楽しみにしております。
Be My Baby
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
"生まれて来てくれて ありがとう”という愛しい台詞に凝縮された優しく心温まる公演。しかし現実には色々なことが…。
妊娠・出産に纏わる6組のカップルの物語、それを素朴な人物像として寄り添い、等身大で描写して行く。それぞれ置かれた立場・状況は異なるが、生(産まれてくる赤ん坊)に対し真摯に向き合うことによって生じる歓喜と悲哀、その悲喜交々が実によく描かれている。
ちなみに ♪歩こう 歩こう 私は元気~♪と劇中で歌われる「さんぽ」は、アニメ「となりのトトロ」でも歌われていた。その映画監督・宮崎駿と一緒にスタジオジブリ設立に参画した高畑勲監督が、自分の観劇日翌日に亡くなったのには驚いた。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
セットは、中央に大階段がありその上部に鈴鴨神社の赤い鳥居が見える。別名”子宝神社”と呼ばれ、祈願すると子宝に恵まれるという噂がある。その近くで だんご屋(いわき)を営んでいる岩城夫妻には皮肉にも子宝が授からない。どうやら妻・小梅に不妊の原因があるらしい。そのため”祈り”が”呪い”に思え、自分の名前も恨めしく思う始末(「小梅」=「子産め」)。この夫が優しく、子が授からないのは自分にも原因(乏精子症)があると言う。
一方、上手側には羽柴産婦人科の看板があり、そこに若夫婦、訳あり妊婦などが通院している。階段横に大きな木が立っており、”自然”と”生”を象徴しているようだ。
物語は、子宝に恵まれない岩城夫妻と小梅の両親、不実な男の子を妊娠した津村歩子とその両親、夫が仕事を辞めてしまい暮らしや出産の心配をする若い斉藤夫妻、そして産婦人科医の羽柴と看護師の織田信子(羽柴医師の内縁妻)という6組が起こす騒動。
それぞれの立場で出産に対する考えが異なり、そこに思惑や打算が絡んでくる。中心は岩城夫妻と望まない妊娠の津村歩子の赤ん坊の行く末が…。代理出産、特別養子縁組など、日本では法整備が進んでいない問題や生みの親・育ての親という、将来 子の感情に関わる課題等を含んだ公演。表層的には面白可笑しく観せているが、「全ての赤ん坊は望まれて産まれてくる」(小梅)に対し「記録に残らないが(出産)記憶に残る」(歩子)という子を手離す苦悩がリアルに伝わる。
物語は心情の変化、時の経過などを表すため照明に諧調工夫を凝らすなど巧み。この6組の各人物像の立ち上げは実に見事で、皆、はまり役で脚本・演出をしっかり体現させていた。特に歩子(平野尚美サン)の妊婦の歩く姿はリアルであった。
次回公演を楽しみにしております。
正しい顔面のイジり方
スマッシュルームズ
シアター711(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
チラシの説明_欲望のままに生きる罪深き女の逃亡生活。整形を繰り返しては男を手玉に取り、嘘を塗り重ねていく_から当日パンフに書かれている、ある事件を連想するが…。もちろんフィクションであり、1人の女性が逞しく、強かに生きる様を分かり易く描いた物語。1人の女を違う観点で多角的に観せるため、舞台セットに工夫が凝らされている。
(上演時間1時間45分)
ネタバレBOX
舞台セットは、セット中央にランウェイのような一段高い場所を設け、そこにBox4つ。上手・下手側に役者が座る(その場所は変わる)箱馬が置かれている。後ろ正面は収納Box棚のような壁面。演じる時以外は、両側の箱馬で待機し、第三者的立場もしくは俯瞰している感じだ。
梗概…5人の女が1人の女を描く、言い方を変えれば1人の女が生き延びるために色々な人生を経験する。その特異な生き様を先の舞台セットや演出でしっかり描き出す。本人_主婦・福田和子が殺人事件を起こし、逃亡生活を送ることになる。スナックのバイト、和菓子屋の若奥様、ラブホテルの従業員、保険外交員で寿司屋の常連客と姿を変えての逃亡劇。指名手配書(世間)を欺くため整形手術を繰り返し、男を手玉に取り嘘の上塗りをする。
当日配付された作・演出の中山純平氏の挨拶文にもあるとおり、「松山ホステス殺人事件」を元にしている。劇中では「整形は人生を謳歌するもの」と嘯く。
逃亡劇は必ずしも時の経過に沿って順々と展開する訳ではない。立場や暮らし、その時々の状況の変化に応じた女の強かさを印象付けるため、敢えてセットは作り込まずシンプルなものにしている。固定した舞台セットにすれば情景もそれに捉われ、時の経過や女の逃亡生活が浮き上がってこない。場面転換の容易さが、時々の女の逃亡生活_時間を行き来させ重層させ、テンポ良く観せるなどセットと演出を連携させる工夫は見事。
気になったのが、主人公・福田和子が逃亡期間(時間)中に子供と電話で会話をするが、逃亡期間と子の成長と辻褄が合っていたのか。もう1つは、目立つことを嫌い日陰者でいたいと自分で言いつつ、(地域)カラオケ大会へ出場するというある種の矛盾した行動が…。
次回公演を楽しみにしております。