激熱 公演情報 ユーキース・エンタテインメント「激熱」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ドッペルゲンガーのような心理劇またはパラレルワールドのような異世界の観せ方…等身大の女性の本音と苦悩が切実に伝わる。若い女性だけの芝居であるが、その熱量は半端ではなく、物語の中へ観客をグイグイ引っ張り込むような力強い公演であった。
    (上演時間1時間30分) 【Aチーム】

    ネタバレBOX

    セットは、基本は左右対称であるが微妙に変化を加えている。物語は上手側と下手側に分かれ、その間に見えない壁のようなものがあることをイメージさせる。両側の登場人物や音楽活動を行っている設定は同じであるが、その活動スタイルや方向性が異なる。2グループ(どちらも「響屋」)の登場人物は姿かたちは異なるが、同一人物による心情吐露を描いている。自分自身の心を見つめるような合わせ鏡である。

    上手側は音楽が持つ”力”でライブ活動を行っている3人(はるか、なな、ことえ)。一方下手側は、女性らしさを強調した”姿”でライブ活動を行っている3人(遥、奈々、琴絵)。それぞれに悩みがあり、グループ内でも喧々諤々という状態である。音楽の力を信じているが売れず、メンバーはバイトの掛け持ちでどうにか暮らしている。一方姿(外見)を売りに活動をしているメンバーは売れているが、歌は録音で水着姿になったりし自分自身を切り売りしている。音楽の力だけの売り方で良いのか、もっとアイドル的な魅せ方も必要では、一方のグループ内では魅せるだけで良いのか、エアバンドに対して疑問が出る。
    この2グループ内の心情が交互に描かれ、それぞれの音楽活動のスタイル・方向性等がグループ内の喧々諤々の意見によって浮き彫りになる。

    立ち止まったら、前進していなければ不安、押し潰されそうな気持になる。そこに25歳という女性の微妙な女心が揺れる。男優は登場しないが、恋に対する羨望・嫉妬などが垣間見え愛らしさを覚える。しかし女性である前に人間であり、その感情-焦燥・不安・願望、見えない壁…自分自身の限界という壁に立ち向かっている。女優陣による感情表現が豊か、そしてそれぞれの人物像をしっかり立ち上げており、思わず感情移入をする。

    2グループによる共鳴するような同一曲の歌合せ、学校卒業時に見られる呼び掛けのような台詞の交差は、互いへのエールの交換のようであり、自分自身への励ましかも…。中学の時に聞いたライブの感動が忘れられない、その芯が失われない限り音楽活動は続けそうだ。物語では指を怪我したりグループ脱退などの試練も描いていたが、ラストには希望が見える。
    劇場内は小さく、演技での大声が響き少し閉口するが、それでも自分は彼女たちの心の叫びとして受け止めた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/04/25 18:08

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