心は孤独なアトム 公演情報 “STRAYDOG”「心は孤独なアトム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「グリーンフェスタ2018」参加作品。
    心の彷徨…過去と現在を往還し自己再生を果たそうとする男、それを見つめる少女の心情が静かにそして激しく揺れ、ダイナミックに錯綜していく物語。
    (上演時間2時間弱) 【星チーム】

    ネタバレBOX

    舞台セットは、2階迄ある学校校舎のような外観(窓)、中央には歪な形をした時計。1階校舎前には木椅子が積み上げられている。上手側には男の事務所がある。

    梗概…女子高生が天涯孤独になった寂しさもあり、自殺しようとしていたがアトムに止められる。その後、女子高生は売れなくなった中年シナリオライター・ナオト(金子昇サン)の元にライターとして弟子入りするところから物語は始まる。この時点では女子高生(森岡朋奈サン)の名前は明かされないが、ラストに正体が分かった時には大きな感動に包まれる。
    場面が転換し、ナオトが小学校の時の苦い思い出を回想する。小学生の時、ナオトは東京からこの関西の学校に転校してきた女の子と仲良くなったが、クラスメイトの関係(強迫観念)によって自分も苛めに加担してしまった。その後、この子は他の学校に転校してしまい、最後まで謝ることも出来ず別れてしまった。
    青年期にナオトは演劇俳優をしていた。そして同じ劇団員の女性と付き合っていたが、女性は他の道も模索していた。そろそろ結婚も考え始め、女性はナオトの子を宿しているようなことを仄めかすが、その真偽は明かさなかった。そしてナオトの優柔不断な態度から黙して彼女と別れることにした。先輩劇団員の闘病と死、自分自身も俳優から脚本家になっていたが、以前のように情熱的に書けなくなっていた。そんな時、1人の訳ありな女性がお手伝い(宮地真緒サン)として住み込むことになったが…。

    一方、ナオトは小学生の時の苛めを後悔しており、冒頭の女子高生に励まされ自分の人生を取り戻そう、苛めた子を探し許しを得ようと心の旅にでるのだが…。
    現在・現実と過去の回想を交差させ魅力的な時間軸を描き出す。魅力的というのは観せ方であり、時々の心情をダンスパフォーマンスで表現する。ダンスも群舞やタップダンス等バリエーションがあり飽きさせない。

    人は後悔、その苦い思い出に決着をつけ前向きに生きるか、忘却として心の奥深く閉じ込めるか。ナオトも女子高生が現れるまでは自暴自棄になり自堕落な生活をしていたが、何かを契機に前を向く。人の心は孤独な時もあるが、熱(厚)い志が復活すれば立ち直れる、そこには子供の時のヒーロー・アトムが見守っているという自己暗示。脚本の面白さ、演出の立体的・躍動的な観せ方、舞台技術の効果的な表現そして役者の人物像の立ち上げとバランスの良さ、その全てが公演に集約されていたと思う。
    本公演は、明日への元気がもらえるような素晴らしい作品であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/04/18 18:58

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