UNIQUE NESS(ユニークネス)
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2014/08/01 (金) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
満足度★★★★
英国コメディ風のブラックな会話劇。でも結構ドタバタ要素も。。。/約110分
あの有名なネッシー写真に関わったことにより自身も数奇な運命をたどり、家族や親族、友達にまで因果な人生を歩ませたある男の物語。
…なんて書くと同情すべき不憫な男に思えるが、今は入院中のこの男ハロルド・グレイはひっきりなしに病室を訪ねてくる近しい人々に憎まれ口を叩いてばかりの偏屈者。
速射砲のように罵言を繰り出すこのハロルドとその周囲の人々がテンポよく互いをなじり合って紡ぎ上げていく物語はロンドンを舞台としているだけあって辛辣な英国コメディさながらで、アメリカンコメディよりブリティッシュコメディのほうがずっと好きな私にはとても楽しめた。
口は悪いがどこか憎めない、まるでルパン三世みたいなハロルドのキャラクターにも好感。
そのルパンよろしき軽やかさを持つ大家仁志さんにこの役は当たり役に思えました。
そして、大家さん演じるグレイのセリフの練られていること!
セリフの一つ一つが『世界のブラックジョーク集』みたいな本から引用されているかの如き完成度で、とても面白かったです。
す き と お り
miel(ミエル)
スタジオ空洞(東京都)
2014/07/30 (水) ~ 2014/08/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
人生讃歌!(とあえて呼ばせていただきます)
階段を下りて地下一階の会場に足を踏み入れた私を待っていたのは、AMではまず掛からなそうな洗練された音楽、そして、オシャレに装飾されたアクトスペース…。
“来る場所まちがえたかも…”
客入れ時はそんな居住まいの悪さを感じたものの、いざ幕が開いたら、始まったのはユーモラスなダンスと趣味のいい音楽に彩られた良質な短編集。
作家陣に実力者を揃えているだけあってどの作品も人生の機微を感じさせて面白く、また、振付家/ダンサーでもある金崎さんが演出をしているだけあって、ダンスは幕間に演じられるのみならず、6つの短編のそこここに浸食、その踊りというのがどれも愛嬌に満ちていて、妙な動きを笑顔で繰り出す役者さんたちを見ているうち、なんだか幸せな心地に…。
私は開演までの居たたまれなさをすっかり忘れ、心の底からこの公演を楽しんでいたのです。。。
6つの短編の中には重めの話もありましたが、全体としては“人生讃歌”の趣を強く感じさせる公演で、見終わったあと元気がもらえる95分でした。
照明含め“白”にこだわり抜いた美術も見逃せないポイント。
「すきとおり」というタイトルにどれだけ見合った公演かは観てのお楽しみということで(笑)。
それは秘密です。
劇団チャリT企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/07/24 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了
満足度★★★
無駄な枝葉が目立つ
私も多くの方と同様に直球すぎる印象を受けましたが、総理の腹痛をいじったりと、政治諷刺劇として皮相的に過ぎた前作『ニッポンヲトリモロス』よりは本作のほうがずっとマシ。
前作の観てきたコメントで私は
「本当にヤバい現政権を安易にお笑い草にしてはいけない。笑うことは許すことにつながるからだ」
といった主旨のことを述べたが、本作は現政権の上っ面をいじるのでなく、深部の急所にまで斬り込んでいて、現政権のおぞましさ、老獪さを抉出。
結果、時間を追うごとに笑いは薄くなっていくが、洒落にならない現政権を無理くり笑い草にし、笑えるものへと矮小化するよりはずっといいだろう。
笑いがほぼない最終盤は現政権が呼び寄せかねないゾッとする未来の写し絵にも見え、この場面を現政権の人間が見たらどう思うのかと想像。
情況に一石を投じないことには諷刺劇なんぞやる意味がない以上、本作はいっそのことyou tubeほかの動画投稿サイトに無償でアップし、現政権の人間が実際に視聴できるようにしてはいかがだろうか?
そして、政権関係者に少し頭を冷やさせてはいかがだろうか?
私の観た回には作品のビデオ収録がなされていたが、無料公開して広く拡散させたほうが現状を変えようという諷刺劇の目的には適うはずだし、仮に記録用に撮っただけでも、得られた映像はネット上に広く流通させ、劇団の主張を政権関係者に、そして日本じゅうにあまねく知らしめるべきだろう。
それはそれとして、本作には作劇のレベルで気になる点が。
前作にも感じたことだが、余計な枝葉が多く、それがテンポを削いでいる。
テンポはコメディの命なので、こういう枝葉は極力削るべきだろう。
以下、不要だと思えたくだりを二点ほど、ネタバレに挙げておきます。
たまには純情
こゆび侍
駅前劇場(東京都)
2014/07/31 (木) ~ 2014/08/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
川田智美さんのやんちゃ娘ほか、配役の妙も見所
昔『コロコロコミック』あたりで読んだファミリーギャグ漫画のような一作でした。
ドタバタ色が強く、普通の日常の中にぶっ飛んだ出来事が起こるところも、その一方で家族愛をしっかり描いてホロリとさせるところも、あのころ読んだ少年漫画そのまんま。
さらに言えば、鑑賞後のカタルシスがハンパないところも往事の少年漫画さながらで、完全に持っていかれてしまいました。。。
遅ればせながら説明しておくと、本作の舞台となるのはみんなに愛されたお母さんを亡くして十余年を閲し、大学院生になった長女が母親代わりを務める父子家庭。
大佐藤崇さん演じる冴えないけど家族思いのお父さんも、たなか沙織さん演じる大らかな長女も、川田智美さん演じる男勝りでやんちゃな次女もみんなみんな魅力的で、素晴らしかった!
しかし川田さん、あんだけ激しく動き回って体もつのか!?
キープレス
劇団森キリン
アトリエ春風舎(東京都)
2014/08/02 (土) ~ 2014/08/07 (木)公演終了
満足度★★★★
ズシンときました。。。
断片的なやり取りとモノローグの積み重ねによって紡がれていく若者群像劇。
前宣伝では記憶をめぐる劇だということが強調されていたが、そんな甘ったるいものではなく、心にズシンとくる中身に圧倒された。
重い背景をしょっている主役の姉弟の独白には役者がまるで自身の境涯を語っているような生々しさがあって、劇の説得力を増強。
スタイリッシュな演出や軽めのBGMも話の重みをかえって際立たせていて、効果大。
静かな迫力を感じさせる一作でした。
あんたのことなんか誰も見てない
MCR
中野スタジオあくとれ(東京都)
2014/07/28 (月) ~ 2014/07/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
潔いフルチン主義に感服!
MCRの劇団員や元劇団員、劇団にゆかりの深い外部俳優など20人近くが集まって繰り広げた20周年記念興行。
いやぁ~、オモロかった!!
劇団の黒歴史をコントで振り返るコーナーあり、もう結構な年なのに団員歴が一番浅いというだけで古参メンバーからパワハラを受けているという伊達香苗さんがみんなに仕返しするコーナーあり、ワンステだけの公演なのに中身ギッシリで、しかも自虐ネタのオンパレード!
しかも主宰の櫻井さんは自らの劇団内恋愛体験を自筆コントで赤裸々に明かす始末で、何でも晒してやろうという潔いフルチン主義には頭が下がりました。
ただ、これらはあらかじめ用意されていたコンテンツで、言ってみればまだまだ安全牌。
あひるなんちゃら関村さん司会によるトークコーナーでは、上述の劇団内恋愛の他にも櫻井氏の思わぬ女性関係が暴露されたのに加え、劇団員でもない日栄さんのマジ恋話までがリークされて舞台上の役者たちも観客席も大盛り上がり!
笑いに重きを置く劇団らしい、破れかぶれで何でもアリの約100分を思いっきり楽しませていただきました!!
窓に映るエレジー
ジョンソン&ジャクソン
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2014/07/24 (木) ~ 2014/08/06 (水)公演終了
満足度★★★★
ブルー&スカイ×商業演劇
ブルー&スカイ作品を観るのは昨年こまばアゴラ劇場で上演された『音楽家のベートーベン』以来。
『ベートーベン』より会場がずっと大きく、役者陣も豪華なこの作品は『ベートーベン』よりエンタメ色、商業演劇色が強く、それに伴い、エンタメ劇らしい力強くメリハリの利いた演技が幅を利かせていましたが、ブルー&スカイと大倉孝二の共作による脚本だけは大衆迎合的でなく不条理な笑いに徹していて、その点、とても好感が持てました。
とはいえ、じわじわ、ひたひたと徐々に迫ってくるようなブルー&スカイ流のユーモアには抑えた演技がやはり似つかわしい。
この思いは最後まで拭えませんでした。
飴屋法水『教室』
吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
SNAC(東京都)
2014/07/25 (金) ~ 2014/08/02 (土)公演終了
満足度★★★★★
飴屋法水渾身の「授業」
飴屋法水とそのパートナー、そして2人の間にできた小1くらいの娘。
そんな飴屋一家が飴屋一家自体を演じ、人類全般、生物全般を視野に収めつつ一家の来歴を説いていく“飴屋流ヒト学講義”といった趣のセミドキュメント的公演。
この素晴らしさを一体どう伝えればいいだろう?
父、母、娘それぞれの独白と家族間の対話によって説かれていく、飴屋家ならびにそれをくるみ込む人類全般、生物全般のヒストリーは、平易なのに力強い言葉の数々とそれに随伴する音響の奇蹟的なコラボによってズシンと胸に突き刺さり、一時間強にわたって私を放心させ続けた。
そして、シャッター全開の会場側面から見えた夏の下町の美しかったこと。
さらに、たびたび外にまで躍り出て夏の白光のなか遊び、演じる飴屋一家の美しかったこと。
演劇作品の一部と化した町並みが普段歩く町並みとは相貌を異にし、ここまで美しく見えるのは一体どういうわけなのか!?
飴屋一家の放つ光は私の人生をも照らし出し、少なくとも本作を観ている一時間強の間、私は散文的で取るに足りないこの私のこの人生というものが愛おしくて愛おしくてたまらなくなり、必ずや来るこの生の終わりを思ってやりきれない気持ちになったのだ。
小劇場!中高生!大往生!2
花まる学習会王子小劇場
王子小劇場(東京都)
2014/07/25 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
稽古期間はわずか3日!
ワークショップの成果発表会というより、ワークショップそのものを見物している気分にさせられる公演。
ワークショップを指揮し、公演の構成・演出も務めた悪い芝居の山崎さんは教え子たる制服姿の中高生がゲームや演技をする様子を舞台隅から笑顔で眺めているのみで、さすがに本番、舞台に出てきて指導まではしないのだが、まるで稽古のごとく自由闊達に演じさせる工夫を凝らしてあるため中高生の演技はとても初々しくスーパーナチュラル、それを見ている非番の中高生たちも超自然体で、出番の仲間たちの演技が可笑しけりゃあクスクスウヒャウヒャと素で笑い出す有り様で、それを見ているこの私、彼らくらいの子供がいてもおかしくない年齢のこの私も、それを見ながら保護者感覚で“つられ笑い”を始める始末。
中高生の本物の保護者を含む他の多くのお客さんも私同様、頬を緩めて彼らを見ていて、会場内はそれはそれは幸福な空気に包まれていたのでした。
…なんて書くといかにも発表会然としたユルい公演を想像されるかもしれませんが、構成は実によく練られていて、その構成の妙が味わえるだけでも演劇好きには楽しいのでは?
公演を見世物として面白くすることはもちろん、演劇をやりたい中高生への教育的効果も考えてしつらえられたこの構成には唸らされました。
グッドモーニング、アイスパーソン
天才劇団バカバッカ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/07/24 (木) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
国際色の強い座組を生かした舞台
こんなにお遊びの少ないバカバッカは初めて(笑)。おなじみのダンスシーンは少なめ、脱線エピソードに至っては無きに等しく、ちょっとさみしくもあったけれど、お陰で話の呑み込みの悪い私にも物語がちゃんと消化でき、終盤に突きつけられるメッセージも深く胸に刺さりました。
ついでに言うなら、多国籍性の強い座組がここまで生かされたバカバッカを観るのも私にとっては今回が初めてでした。
朝日を抱きしめてトゥナイト
ロロ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/07/11 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
面白い!
初ロロでしたが、ぶっ飛びすぎてるギャグ漫画みたいでとても面白かったです。
いくつかのシーンではたまらず爆笑!
噂に聞く、イっちゃってる頃の赤塚漫画ってこんな感じだったのかも。。。
おかしな話の合間を縫って漂ってくる不思議な詩情、妙な後味を残す言葉遊びにも惹きつけられました。
マボロシ兄妹
悪い芝居
青山円形劇場(東京都)
2014/07/18 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
デタラメな家族関係が面白い
まずは苦言から。
青山円形劇場で上演された本作、役者が派手に動き回るシーンも多い反面、役者の向きや位置関係が固定されたままに演じられる静的なシーンも多く、後者の場合、役者によっては延々と後ろ姿を見せられる羽目になってとてももどかしい思いをしました。
舞台をぐるりと囲むお客さんにできるだけ顔が見えるようこまめに体の向きを変えながら演じるのが円形劇場での演技術なのに、悪い芝居はこのタイプの劇場での公演経験があまりないのか、一観客として上のようなストレスを感じる結果になったのは残念至極。
ただ、そこに目をつぶるなら、様々な観方ができる、演劇的豊かさに満ち満ちたとても良い公演でした。
現実と幻想、地と図の区別の不可能性に迫った哲学的な劇としても、演劇によって演劇を考えるメタ演劇としても、また、全キャストがド派手な装いで現れて駆け回ったり踊ったりする目に楽しい劇としても楽しめますが、個人的には、主人公の妹で奥歯という名前の娘がじつはどんな様態で存在しているのか、それが徐々に明らかになっていく過程がとても面白かった。
そして本作、チラシその他にもある通り、ドサ回り一家を描いた家族劇でもあって、そのムチャクチャな家族関係も堪能。
家族というものについての社会通念のみならず、生物学の枠組さえも踏み超えたデタラメな家族関係は、これまでとは異なる新しい人類のあり方を示しているようでもあり、単なる遊び心の産物のようでもあり、とにかく面白かった。
この一家が登場するスピンオフ作品があったらぜひ観てみたいです。
0号 -2014-
ゲキバカ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/07/17 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
大箱劇ならではの魅力を堪能
ドリフのコントのような出だしから、序盤からは想像もつかないようなラストまで、一気に運び去られた150分。合間合間に挟み込まれたショー的シーンも恐るべき完成度で、とても見応えがありました。
また、芸劇の広い舞台と、その大舞台に乗せられる限りの大勢の役者たちをフルに生かした、大箱劇ならではの輝きを放つ作品だとも感じました。
7月20日18時追加あり あゆみ
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2014/07/12 (土) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
青年座版はやや年輩者向け?/約90分
作者・柴氏の本人演出による『あゆみ』は、2011年暮れから翌年春のツアー公演以来、約2年半ぶり。
そのツアーを私は横浜赤レンガ倉庫で観て、『あゆみ』という作品に初めて触れたのですが、美しく感動的な公演と劇場周りの港の光景が渾然一体となって素敵な記憶をなしていて、今でも時々思い出すほど。
その美しい思い出を温存するべく、今回の青年座版『あゆみ』は観るまいかとも思ったのですが、どう違うのか確かめたい誘惑には勝てず、また、どんな姿勢で青年座版に取り組んだのか柴氏の口から聞きたくもあり、けっきょく早々にチケットを取ってアフタートーク付きの回を前方席で観てしまいました(笑)。
柴演出の『あゆみ』としては初めて男性キャストを起用し、しかも横長の広い舞台を持つ青年座劇場で13人もの大人数により、それも年輩者主体の座組で演じられた青年座版は、若手女優8人きりで演じられたツアー公演とは当然ながら違っていました。
平凡な日本人女性の一生を歩くことになぞらえて描いた劇であることに変わりはないものの、まず、男性役を男優が演じることで具体性が増していたし、青年座らしいメリハリの効いた演技体で演じられた今公演は口語演劇的だったツアー公演よりもずっとパワフルな印象。
柴氏いわく、「皆さん、まるで猛獣みたいで、あまりに自由に演技する皆さんを抑え込むのが今回のいちばん大きな仕事でした(笑)」とのこと。
また、若手女優だけで演じられたツアー公演はキャストと同年輩のお客さんをメインターゲットにしていたのか、若者が共感しやすいよう、幼年期から思春期にかけてのくだりに時間を割いていましたが、役者陣が年輩者主体の今公演では思春期までのくだりを端折り気味にする代わりに、壮年期以降のくだりがボリュームアップされていて、年輩のお客さんが感情移入しやすい作りになっていました。
より抽象度が高く、そのぶん客が自己投影しやすい上、こぢんまりしているぶん、“どこにでもある小さな人生”を覗き見ている感じがより強くしたツアー公演のほうが私好みではありましたが、パワフルでダイナミックな青年座版は役者陣のハジけた演技がツアー版では少なめだった笑い所を増やしていて、それはそれで楽しく、幸せな90分でした。
ちょっと意外だったのは、この演目の命とも言うべき、リズミカルなセリフと動きで作られる音楽性が年輩者主体の座組による青年座版でも損なわれていなかったこと。
役者陣が声と体のみで作りだす韻律が、ツアー版ほど鮮烈にではないにせよ、この青年座版にも確かに感じられたのです。
それにしても、やっぱり『あゆみ』は名作ですね~。
大概の人が経験する、人生の節目節目の出来事がリアルに、そしてユーモラスに描かれていて共感しやすく、観た後に人生というものが愛おしくてたまらなくなったのは、ツアー版を見た時と同じでした。
パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!
おぼんろ
王子MON★STAR(東京都)
2014/07/09 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
初おぼんろ。客いじりが壁に?
何百年も語り継がれているお伽噺のような、とても普遍的でよく出来た物語を、ピエロのような白塗りの役者たちが、それこそ軽業師のごとき図抜けた身体能力を頼みに、劇場じゅうを駆けずり、跳ね回りながら演じる臨場感満点の公演を大いに楽しみました。
これがおぼんろなのですね。
もしも私に子供がいたら、子連れで観たい劇団。
客いじりも子供は大いに喜ぶことでしょう。
ただ、大人はどうなのか?
正直、客いじりが苦手な客は少なくないと思いますし、私も苦手なほう。今回はいじられずに済みましたが、できることならそっとしといて欲しい口です。
そこで提案。
客いじりがイヤなお客さんには「客いじり不可」と書かれたワッペンをつけてもらい、ワッペン着用のお客さんはいじらないことにしてはどうでしょう?
あるいは客いじりOKの人とNGの人で客席を分けるとか。
作を追うごとに倍々ゲームで動員を増やし、いずれコクーンで公演を打つのがおぼんろの目標だそうですが、客いじりがハードルとなって動員増が思うように進まないという事態は大いに考えられます。
やはり上のような対策を講じたほうが良いのでないでしょうか?
それから、客いじりはもっと明るくカラッとやるべき。そう心がけてはいるのでしょうが、ツッコミの口調がドギツいことがままあって、短気なお客さんならキレてしまうのではないかとヒヤヒヤさせられました。
さらに気になったのが、会場の使い方。
他劇場での公演はどうだったのか分かりませんが、王子モンスターでの今回公演は会場の三分の一ほどがデッドスペースになっていて、どこかガランとした印象が否めませんでした。
密な感じを出すためにも、あのスペースは塞いでしまうなり、何らかの物で埋めてしまうなりしたほうが良いのではないでしょうか?
なお、私の観た回の上演時間は前口上を含めて約150分でした。
うちの犬はサイコロを振るのをやめた
ポップンマッシュルームチキン野郎
駅前劇場(東京都)
2014/07/04 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
重厚な物語に目一杯のギャグ!
本来ギャグなど寄せつけなそうな重厚な物語に目一杯のギャグを詰めこんだ、サービス精神MAXな一作。
今作は戦争が絡んだお話とあって、ブラックなギャグ、体を張ったギャグがいつにも増して多かったような。。。
中でも、とある役者さんが昭和史に名を刻む大物に扮して繰り出す笑いは体を張っている上にブラックでもあり、そのハチャメチャな可笑しさに爆笑!
私は歴史に疎いのでよく分かりませんが、実はああいう人物だったという根強い噂でもあるのでしょうか?
私たちのイブたち 蝕~岸田理生作・戯曲「私たちのイヴたち」より~
ユニットR
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/07/05 (土) ~ 2014/07/07 (月)公演終了
満足度★★★★
セリフが立つ演出
“アングラ劇=ビジュアル偏重”のイメージを大きく裏切る一作。
衣裳や美術へのこだわりを最小限にとどめる代わりに役者が織り成す陣形=フォーメーション、そして舞台隅の楽師による音効を兼ねた打楽器演奏で美を生みだし、それらとセリフのみで魅せるシンプルな劇世界にグイグイ吸いつけられました。
そうした演出はおのずから役者のセリフに聞き入らせ、リオフェス参加作のうちアゴラで上演された三編の中では、巧み抜かれた理生言語を最も堪能できた。
その美しい言語に酔えたのは、年輩者主体の役者陣による重厚で説得力あふれるセリフ回しによるところ大だったことは、ここにしっかりと記しておきたい。
物語はアナーキスト・大杉栄の一代記。
その女性関係を軸に話が展開するのは、その革命思想について知りたかった大杉初心者としてはやや物足りなかったけれど、そのような戯曲の上に本作が成り立っている以上、これは致し方のないことなのでしょうね。
カタロゴス-「数」についての短編集-【5454次回公演は11月後半!!】
劇団5454
劇場MOMO(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
好舞台/約100分
数がテーマの短編集。話が硬軟さまざまでどれも皮肉が効いていて、観ながら『世にも奇妙な物語』が頭をよぎりました。
数をお題に物語を作るのはやはり大変だったのか、ややネタ数は少なめでしたが、どれもまったく違うアプローチで数というお題に挑んでいて、とても楽しめました。
可能ならばマイムショー付きの回が観たかった身としては、佑樹丸さんのマイム芸を生かした一編があったのはめっけもんでした(^_^)v
ツヤマジケン
日本のラジオ
王子小劇場(東京都)
2014/07/01 (火) ~ 2014/07/06 (日)公演終了
満足度★
キャストはいいけど...
話が茫漠としすぎていて、まったく楽しめませんでした。
また、その背景説明が粗いため、田舎の宿泊施設へ部活合宿に来た女子校生徒達のネトついた人間関係にもまるで興味が湧かず、したがって百合演劇としてもまるで楽しめませんでした。
とてもとても長く感じられた約95分でした。
命名騒動!
劇団おおたけ産業
北池袋 新生館シアター(東京都)
2014/06/27 (金) ~ 2014/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しいひとときでした♪
可笑しな名前を夫婦で出し合う展開だと途中でタマ切れして苦しくなるのでは?と危惧したが、その方向性で盛り上げるのは程々にとどめ、名付けにまつわる社会的諸問題に踏み込む作りにしたことが奏功していた印象。
とはいえ、あくまでベースはコメディ。約60分という短尺ではあったものの、ミュージカル仕立てのバカバカしいシーンやくだらない展開に満ち満ちていて、楽しいひとときが過ごせました。
それにしても日高ゆいさんはいい女優さんですね。彼女が舞台にいるだけで場が温もり、ハッピーオーラに包まれる。