itomasa7の観てきた!クチコミ一覧

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シカク

シカク

企画演劇集団ボクラ団義

サンモールスタジオ(東京都)

2014/12/18 (木) ~ 2014/12/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

栗田「まあ!これはただの『会話劇』なんかじゃないわ、『ボクラ団義の会話劇』なのよ!」
山岡「ああ、これをそんじょそこらのスーパーで並んでる会話劇と
  一緒にしてもらっては困る。
  これはあの企画演劇集団ボクラ団義が丹精込めて作った、
  ロジカルミステリの傑作会話劇なんだ!」
と美味しんぼネタは置いておいて・・・


編成:竹石さん、沖野さん、大神さん、平山さん


何を書いてもネタバレになってしまうので内容には触れられないのですが、


普通、(特に少人数の)会話劇と言うとその登場人物達の
言葉のキャッチボールの楽しさ、悲しさ、怒りなどの感情劇とその深さと、
その裏に刺し込まれた脚本/演出家のメッセージ/テーマに対して
共感出来るかどうか、で面白さが決まるものと思ってました。


しかし企画演劇集団ボクラ団義の「ほぼ4人芝居『シカク』」の会話劇は、
いつものダイナミックな殺陣その他がなくても
見事に観客の感情・思考をがっつり掴んで自由自在に動かしまくって、
というロジカルミステリ脚本の第一人者久保田唱と
情熱のベテラン役者陣が揃ったボクラ団義だからこそ、

そしてならでは!と言いたくなるほどに
「思考迷路」(攻殻機動隊の用語( ´ー`))に
陥りそうなくらいに心を物語に動かしまくられた、

「ハイパー脳トレ(アクションなし版)」とでも言うべき
見事な会話劇(会話物語とでも言うべき)でした。


あとこちらに書ける感想として、
前公演「耳があるなら蒼に聞け!」の時、
初めてのスタンプラリーイベントという事で
5回までは観劇してみたのですが、

何度観ても「名作である」とは思うものの、
1週間1ヶ月1年と間も空けずに連続で観劇していると、

何回目かで「伏線回収などの面白さ」を越えて、
同じネタを繰り返し観ている事により
感動度合いが減ってしまうのを正直感じていました。

※ はっきりいって「同じお客さんに10回観劇させる努力より、
  新しいお客さんを開拓するのが正道なのでは?」と思いました。


しかし、今回のスタンプラリーイベント(再観劇のお誘い)は、
それとは一味も二味も、その意味が異なります。

スターシステム?(看板俳優を中心として、脇役もバイプレイヤー(脇役としてのベテラン)を配置した形)の
構成を中心にいつも編成してきたボクラ団義、

正直「この俳優さんのもっと深いお芝居を長く観てみたい!」と思っても、
それは「客演舞台でどうぞ」という形になっていたかと思います。
(まあ集客の為には観客を呼べる看板俳優を中心に据えない訳にもいかないのですが・・・)

しかし、役者ファンというより劇団自体のファンの自分には、
全役者の芸幅とその力量が見れない
(脇役の方は出る場面やその背景設定などが限られていて表に出てこない)、
というのは非常に残念でした。


特に最近ENGのTHRee'sで

※ あのお芝居は人が主役というよりも
  「三国志序章 新案」とでも言うように
  物語自体が主役という形式だった事もあり

ボクラ団義のベテランから若手演者までが
「それぞれの場面まるごと」をもらって
そこでかなりいい演技をしていたのを観て、

「ああ、こういう舞台が観たかったんだよなあ」
と(お父さん的心情で)涙腺を緩ませてしまいました。




そして今回の「シカク」、
「耳があるなら蒼に聞け!」の時、
「次は会話劇かつ4人芝居」という情報にも驚きましたが、
その4人を劇団員フルアサイン(竹花さんはお怪我の関係で今回は残念でしたが)と聞いて

「これこそ劇団員というより劇団自体のファンである自分や
その他の観客が何度でも色々なキャストで観劇したい、
全劇団員フルコンプリートする為に再観劇したくなるタイプの舞台、
そしてスタンプラリーが活きる舞台だ!」と思いました。

また、ゲスト様についても
ボクラ団義本公演でも何度も絡んでいるベテラン演者陣
(中野さんはENG THRee's共演ですが?)の出演に、
これまた観たかった組み合わせ、と期待させられました。


残念でならないのが、こんなにレベルが高い舞台だと知っていたら
もっと早くフライヤーでキャスト編成を確認して、
全キャスト登場回をフルコンプリート狙えば良かったかな、という事です。

※ 正直、「4人の会話劇」と聞いた時から
  普通に会話劇をやっちゃって、
  感想「突拍子もないタイトルの割に案外普通でした」という事に
  ならないか心配で様子見の4回予約でした。

とりあえず、予約間違いで押さえられなかった一部演者様の舞台は
この感想書き終わったらすぐ予約します。


表感想がこんなに長くてすいませんm(_ _)m

ネタバレBOX

※ 今まで感想は1舞台に対して1投稿にしてましたが、
  やっぱり何度でも観ているものについては
  その回その回で感想があるので
  (特に今回のようなキャストの異なる芝居では)
  別々に感想を上げる事にします。


2014/12/18(木)19:00観賞

編成:竹石さん、沖野さん、大神さん、平山さん

・ 舞台開始の白幕裏、影絵での暴行シーンから、
  もうボクラ団義マジックは始まってたのかな

  あそこで「あれ?暴行してるの沖野さん?」と沖野犯人説、
  が頭の片隅に置かれました。
  それがまさかここまで動くなんて・・・

  ある意味沖野さんは犯人でしたが、物語としては被害者でもあるんだなあ・・・


・ 会話劇というと=静の舞台
  というイメージでしたが、本当に(いつも以上に)
  動きまくる物語でした。

  アクションがない、間と闇を有効活用していた事などから、
  物語自体の展開の多さがよく感じられました。

  最初、暴行事件、彼氏との突然の別れ、はあれども最後新しい彼氏と
  楽しくバーベキューする、愛のある終わりを迎えたのか、
  と思わせた次の瞬間

  男B沖野さん「死んだのは俺だった!」(彼女に殺されたのは俺だった、だっけ?)


  と物語が思わぬ方向へ展開し
  (手袋は確かに気になってましたが、今が丁度冬だったのであの伏線は読めませんでした)


  今度はヒロインとの仲がずっと偽の恋愛だった、演技されていた、という話から
  失明自体が嘘、犯人を探している、という話へ。


  この頃に気になりだすのが、
  あくまでも男A竹石さん(彼氏)、男B沖野さん(犯人)、女平山さん、
  の3人(の三角関係)が目立ち、
  「恋の話である」と何度か繰り返される台詞からも、
  これだと男C大神さん(ヒロイン兄)は目立たず、
  「シカクじゃなくてサンカクなんでは?」

  と思わせておいて(きっとこれも久保田唱流人心操作術なんでしょうね・・・見事に騙されました)


  更にヒロインと兄、そしてヒロインの過去の悲しい物語、
  更には犯人が「犯人ではない(心臓の記憶に操られていた、かつレイプはしていない)

  と動き出して、


  現在~未来のバーベキューまでの間のいくつかのシーンが何度も
  リプレイされる度に
  観ているこちらの感情と思考を
  ・ 恋の話?
  ・ 殺された?
  ・ 犯人探し?
  ・ 過去の悲しい記憶と兄妹のいびつな関係、
    そしてヒロインの本性(復讐心)
  ・ でもみんな「生きる」決意をした?
  と何度も何度も自由自在に思考操作されてしまいました!

  最近ご無沙汰だった事もあり、
  「ああ、これぞボクラ流ロジカルミステリ
  (演劇スタイルは今回は会話劇ですが)」
  と、ちょっと懐かしさも感じました。


・ 最後の締め、男B沖野さんがヒロインを助けようと(実は自殺しようと)川へ飛び込むシーン、
  その叫びを男A竹石さんが
  「生きる資格じゃなくて、あいつは(ヒロイン兄の記憶も蘇った)俺には死角はない!と叫んだんだ」
  という言葉が胸にグサリと刺さりました。


・ かなり小さめの劇場(椅子も小さい)でしたが、
  演出方法が面白いものばかりでした。

  白幕の影絵による暴行シーンに始まり、
  いつものような映像、
  プロジェクションマッピング?(でしたっけ?あの箱に映像投影する技術)、
  群舞的なダンス、
  そしてヒロインの失明した世界を表す為の真っ暗闇での会話劇、
  最後の群青色の川を表す天井落ち、
  などなど。


喉を痛めてしまっていて咳をして舞台の邪魔をしてしまうのが大変申し訳ないのですが、
ぜひ出来るだけ出演キャストをコンプリート出来るよう
更に観劇数を増やしたいと思いますm(_ _)m
風雲!チキン野郎城Ⅳ~導かれし者たち~

風雲!チキン野郎城Ⅳ~導かれし者たち~

ポップンマッシュルームチキン野郎

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2014/12/15 (月) ~ 2014/12/16 (火)公演終了

満足度★★★★

大人のハメはずしって大事だなあ
お芝居じゃなくぽっぷんの役者さん、脚本/演出家のふっきーさん達と
ファンとの交流会的イベントの4回目。
※ おもしろさは★5つなんですが、お芝居じゃないので一応4つで

自分は2回目ですが、毎度毎度の裸祭りを見てると
「おいおい、大人になったらそんな事やっちゃダメだよ」と
TVの放送コードにも引っかかりそうな事を
毎回毎回ただシモに走るだけでなく
「笑い」として見せてくれるのは秀逸でした。

大人になってから、お酒に飲まれても何しても、ここまでハメは外せないよ、
っていうリミッターを外してぶっ飛んでいく役者陣と自分達との間には、
何か観客と劇団という壁のようなものを
ぶち壊してくれる力強さがありますね( ´ー`)

僕も目を皿にして?監視したけど、モロ出しは今回もありませんでしたね、
良かった良かった。

あと、社会人になって仕事の事ぐらいしか頭を使わなくなってしまった自分にとって、参加型ゲームとかをやってくれるのも楽しいなあ、
人見知りな自分には今一番至近距離な劇団です( ´ー`)刺さるッス


あと、劇団のイベントをCoRichにあげてくれるのもありがたいです。
ここで話せるから感想も書けるし新しい情報も知れるしと
他の劇団さんでもどんどんやってほしいなあ、こういう企画。

ミラージュ・イン・スチームパンク

ミラージュ・イン・スチームパンク

X-QUEST

王子小劇場(東京都)

2014/11/27 (木) ~ 2014/12/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

劇団X-QUEST、『トクナガワールド』は健在!!
ネタバレはこちらに書けないので、
「自分の求める劇団X-QUESTとその『トクナガワールド』な
物語展開は今回も健在でした!!」とまず言っておきましょう。


自分はまだX-QUEST歴は短い方なのですが、
トクナガヒデカツさんの作る物語は
普通の(1本2本の本筋で進む)お芝居とはかなり違い、

人間の脳の動きにより近い
「あの事を考えていたけど次の瞬間全く別の事を考えている」
みたいな支離滅裂というか超展開的な進行をしながらも、

話の筋でなく舞台上観たまんまを脳に刻みつけていくと
いつの間にか物語が脳裏に刻まれ
その中でトクナガさんが語りたかった(と思われる)
テーマ的なものにも触れている、
という「感覚的なもの、フィーリング」がすごく面白い、
というか「気持ちいい体験をしている」と感じています。


今回の

ミラージュ・イン・スチームパンク
─最終兵器ピノキオ、その罪と罰─

も見事、
「トクナガワールド」のアハ体験的なものを
感じさせていただきました( ´ー`)

ネタバレBOX

・ チラシのキャスト表時点でほぼ判明していましたが、
  ベニクラゲマンシリーズとは無関係で
  「マーベラス」に出てきたピノキオとも
  (多分)別人で無関係でしたね
  (地球を滅ぼす最終兵器なんかじゃないし)。

  当日まで本劇はベニクラゲマンの続編、
  あるいはサイドストーリー的なものを想像していたので
  いい意味で裏切られました。

  ピノキオの衣装が全然違う時点で「アレ?」と思ったんですよね。


・ 王子小劇場の見上げる舞台で殺陣を観ていて、自分も
  「X-QUESTさんの王子小劇場での殺陣をこれで3回?観て目が慣れてきた」
  からか、ちょっとスロー目というか殺陣者同士の剣戟の振りと受けのタイミング、
  距離などが少し緩いのかな、と最初思ってしまいました。

  しかし良く考えてみると、
  普通の観客席と舞台が対面する形での芝居の殺陣は横でやりあうだけなのに対して、
  王子小劇場はそれこそ四方全てにこの殺陣をちゃんと観せなければいけない、
  その為に剣戟しながら少しずつ角度や立ち位置などを円の形に変化させていて
  (簡単な横の殺陣のやりとりとは)レベルの違う事をやっているんだ、
  という事に気づき、改めて関心しました。

  ※ ただ、後半トクナガさん(コオロギ)が剣戟に加わるシーンで
    見事な立ち回りを見せていたので、
    やはり殺陣の技術的なものにも差があるのかな?
    という気がしないでもないです。

    X-QUESTでは「殺陣」といえば「誰」なんでしょう?


・ 今回は序盤から終盤まで本当にダンス、ダンス、ダンスと
  クラブ王子小劇場、ダンスチームX-QUESTと言えるぐらいに
  群舞的なダンスの連続でした。
  ミュージカルや何かの「綺麗に見える」(だけの)ダンスとは
  また違う独創的なものが多かったのですが、
  観客席から見上げるこのダンスの「表現力」に
  
  「ダンスは単にお芝居に起伏をくわえたり、
  シーンの切り替えに使うだけでなく、
  ちゃんと物語自体の表現としても成立させられるんだな」
  (少なくともX-QUESTは)
  と改めて関心させられました。


・ まだX-QUEST観劇数が少ない自分にとっては
  「トクナガワールド」こそ求めているお芝居であり
  支離滅裂的超展開とその裏に隠されたテーマこそが魅力だと思っているのですが、
  本劇では

  ・ いきなりピノキオが空から落下し地上についたら地球が滅ぶ

  ・ 空でのバトル展開(まるで古き良き時代のファイナルファンタジー)

  ・ 落ちたと思ったらおじさんの網に掬(すく)われている、
    というこれまた超展開

  からの始まりにドキドキが止まらないながらも、

  ・ 基本「テーマ」部分の雰囲気が感じられない(見えにくい)

  ・ 喜劇的な流れが非常に多い

  など、
  「今回はいつもみたいに一見楽しげに展開する中に
  実は深いテーマが隠されている」という感じではなく、
  「単なるX-QUEST流喜劇なのかな?」
  とちょっと中盤辺りまで残念な想像をしてしまいました
  (舞台自体はとても楽しいのですが)。

  しかし、
  現実とファンタジーの世界の存在について語る者達、
  そしてそれがピノキオとしんきろう、
  どちらについての話をしているのか、
  という所から一気に深みにハマり、

  まさかまさかの
  ピノキオ(単なるロボ)としんきろう(子供時代)は
  出会ったばかりの友達で
  一緒に工場内をうろつくうちに、
  溶鉱炉に落ちそうになったピノキオを助けようと
  しんきろうが溶鉱炉に落ちてしまい、
  その際助けようという意志はあったにも関わらず
  「手が出なかった」というショックから
  ピノキオの後悔により(+意志崩壊しない為?)
  本劇のファンタジー世界という支離滅裂世界へ
  逃げ込んでいた、というとても悲しい話に
  つながっていきました。

  「人間になりたい」
  「今度はしんきろうの代わりに僕が溶鉱炉へ落ちる」
  「溶鉱炉の中で一緒に・・・」
  
  人間以上に人間らしい悲しみの気持ちを持ったピノキオに
  それまでの喜劇的展開がいっきに悲しみの物語に急降下(急変化?)して
  自分の感受性的に驚かされてしまいました。


やっぱりX-QUEST、「トクナガワールド」はすごいなあ、
なんとかドラッグじゃないけど、一度ハマると効果は絶大で
抜け出せないお芝居の世界なんじゃないかなあ、と思いましたね( ´ー`)

あ、DVDは今までの分も含めて次回買いたいと思いますm(_ _)m
月がとってもきれいです

月がとってもきれいです

はらぺこペンギン!

駅前劇場(東京都)

2014/11/26 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

全ての人が人生で1度は考えなければならないテーマかと
夏目漱石のちょっと奥ゆかしいようなタイトルと、
あらすじからアットホーム的かつちょっと重いネタも含まれる、
そんな物語を想像していました。

しかし描き方は明るめながらも、
その重厚というかするどすぎる切り口のこの「テーマ」について、
1人の人間として観劇しつつ打ちのめされてしまいました。

一生に一度出会うべき演劇なのかも知れません。

※ネタはネタバレの方に

ネタバレBOX

「殺人」

被害者家族に対しての苦しみは今までにも色々なジャンルで
数多く取り上げられてきましたが、
いざ「加害者」家族になってしまった時、

自分ではない血のつながった者の犯したその罪に
どこまで人は向きあえば許されるのでしょうか・・・


物語をだんだんと理解していくと

・ ある少女の殺人事件加害者(少年院受刑者)

・ その被害者家族
  (今まで誰にもこの話はしてこなかったという居酒屋チェーン店主兄妹)

・ (別の大人の殺人事件の)加害者家族(兄妹)
  (こちらは事件の事がバレるたびに転職、引っ越しを繰り返し逃げてきた)

・ この兄妹の次男に当たる、工場で働く元「加害者」

が、思ったよりも近い存在として物語中、描かれていました。


最初、殺人事件加害者が少女を追いつめ凶行に及ぶさまが
言葉で描かれる場面にかなり嫌悪感を覚えました。

そこから他の登場人物の素性が明かされるまでが長かったので
しばらく各人物間の紐付けは分からなかったのですが、


(あくまでも)「自分ルール」では

・ 弱者に対する暴力、性的暴行その他絶対に許す事の出来ない犯罪は
  加害者には極刑

・ 犯行に至る動機に理解を示す事が出来るもの(被害者側に問題のあるもの)は
  情状酌量の余地あり

と考えて生きてきました。

※ 多分他の観劇者も自分なりの「ルール」に
  照らし合わせて本劇を観劇していたのではないかと思います。


序盤の情報では、2つの事件それぞれ「許せる」余地のないもので
加害者自身は少年法を変えてでも「死刑」で当然、
弁護士女性のいう死刑廃止論など単なるキレイ事、としか思えませんでした。


(1)しかし「加害者家族はどうなるのか?」と言われると
  ・ 加害者が加害者になる所以を作ったのだから許せない

  ・ あくまでも加害者本人と別個の人間であり、
    別の人として考えなければならない

  ・・・自分の中でも答えは出ませんでした。
  (分かりやすい、加害者の性格をねじ曲げる原因となったとされる
  母親、父親などはともかく、その人格形成になんら関わりを
  持っていなかったと思われる兄弟姉妹までは・・・)


(2)つつましく生きる元加害者男性
  物語の中では、今の人生になんら楽しみを持たず、
  ただ仕事をして、被害者の一家に仕送り?を続ける青年。

  お芝居/演技としてもそうでしたが、この青年のありように
  残虐性その他は感じられず、
  「本当に彼が事件の加害者なのか?」と問わずにはいられませんでした。

  事件の被害者を知る遺族、その関係者はともかく
  「今」だけを見れば「彼」ほど人生をつつましやかに
  生きている人間はいないように感じられました。
  (それは自分が重い十字架を背負い、
  またその家族にも背負わせてしまった事を十分に理解しているものの
  行動に思えました。)


そういった意味で「殺人」の被害者家族、加害者家族、の
ありようとその顛末までは本当に重い「テーマ」が描かれていました。

今までこれほど重く「殺人」を扱ったお芝居を観た事がなかった事もあり、
「感動」とは別の意味で「自分の中に得るものはあった」と思いました。


人生で「答えのでない事」として
・ 宇宙の果てのその外側はどうなっているか?

・ 死んだら意識はどうなるのか?

というものがありましたが、

・ 「殺人」の定義で許される殺人と許されない殺人は
  法の元で規定されるのか?

というのもあるのだな、と思いました。


居酒屋で働く加害者兄と結婚の決まった加害者妹、
そして自分の婚約者が「殺人事件加害者」の家族である事を知ってしまった婚約者と
居酒屋店主達、
ここまでで十分「加害者」の家族には辛すぎる人生が待っているのだな、
という意味で

「このあたりで終わりなのかな?」

と思っていたのですが、

・ 同級生女子の父親を殺害した青年には理由があった

というのを示されてしまって、
これにははっきりいって「蛇足」感を感じてしまいました。

それまで「加害者」「被害者」としてはっきり線を引いてきた役者達が
ここで大きくバランスを崩されてしまう、と思いました。

※ まあ、これは「感動物語」としては
  許されない事件があったとはいえ
  最後の最後に
  兄弟妹が再び再会する、という
  「もし許されるならば」という物語だったのかと思いますが・・・

  自分はこの「許し」がない方が本テーマがより際立つものと思えました。

自分の胸に響いたのは、女性弁護士が被害者妹に対して、
少女殺人加害者の事を
「許さないで下さい」「一生、許さないで見届けてください」
と言っていた事です。

死刑廃止=許されてしまう、と自分も捉えていましたが、
死刑ではなく社会に戻れたとしても、一生「お前を見張っているぞ!」と
いう目で観ている事は、もしかしたら単に「死刑を与える」事よりも
重要で、そして「犯罪者・加害者」にとっても苦痛であり、
償いなのかも知れません。

※ まあ、自分は人を殺したいほど憎んだ事はありますが
  その行為に及ぶほどの勇気も狂気も絶望もなく、
  生きてきた人間なので、「何が一番犯罪者・加害者にとっての罪/償いとなるか」
  は想像も出来ませんが・・・

あと、殺人事件加害者だと知ってなお工場へ入れてくれた工場長や
「自分の子供が殺されたらどうするの!」と怒る嫁、
元同級生の弟が事件を起こした事を語る知人、
「そういう噂が立ったら困るから」とクビにした居酒屋店長や
殺人犯の家族でも「付き合って下さい」という妹、
そして最後吹奏楽演奏に参加させてくれた女性など、
それぞれの場面/立場で自分だったら、と考えると
やっぱり、良くも悪くも同じ行動を取るんだろうなあ・・・と思えました。


物語の「テーマ」自体がかなり考えさせられるものだった為、
観劇していたこちらも結構ダラダラと感想を書いてしまいました。

はらぺこペンギン!さんはこういう「局所的」テーマに絞って演じる劇団なのですかね、
あるいはタイトルのようなアットホーム展開もあるのでしょうか?
「局所的」内容でも観てみたいですし、
アットホームな内容ももう少し観てみたいと思いました。


PS.ちなみに何かで読んだんですが「月が綺麗ですね」は
  実際夏目漱石が言ったかどうかかなり怪しいそうです。
  日本人の奥ゆかしさを表したいい言葉だと思うのですが
月光条例

月光条例

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/11/13 (木) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

丁寧さとテンポの良さのいい塩梅(あんばい)
漫画「月光条例」が丁度週刊少年サンデーで始まった頃に
サンデーを買うのをやめてしまったのと、

当日パンフで確認した登場人物の多さ(30人以上?)とに
「ちゃんと物語理解できるかなあ?」という不安があったのですが、

いざお芝居が始まってみれば主人公始め数々の役どころと
その背景設定が観客を混乱させないぐらいの
ほどよいペースで登場していきつつ、
お芝居としてのテンポは中だるみさせずと

丁寧さとテンポの良さとが光るお芝居でした。


そして登場人物がお伽話の各役どころというこの舞台、
カプセル兵団のいつものビジュアルイマジネーション演出に
+αで衣装や(手作り)小道具がこれまた活きて各役が映える映える
、観劇のみでなく目にも楽しい舞台でした。
(鉢かづき姫がまさかスピニングバードキックするとはアクションにも驚きです。)

そして原作の良さなのでしょうが、「お伽話」の多くは
ただ楽しいではなく、悲しさの中に作者がテーマを語るものが多く、
そのテーマ性が本劇にも活きているので泣ける場面も多々、
原作をほぼ知らない自分でも
本作は思わぬ大作だった、と納得の出来る作品でした。

ネタバレBOX

原作設定なのでしょうが、主人公が実は
チルチルミチルのチルチルであり、
大罪を犯した罰として7日後には
「青い鳥」の世界から出る事を禁じられる、

しかしかぐや姫を幸せにするという「センセイ」との約束、
そしてかぐや姫に関わるであろう謎の集団、
後編が今から楽しみです。
 片恋。

片恋。

演劇ユニット ランニング

ザムザ阿佐谷(東京都)

2014/10/22 (水) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

まるで自分の事のように学生時代の懐かしさを感じる作品
場面と場面との背景的なつながりを
少しずつ少しずつ明かしていく事で
観客に「推理」する楽しみも与えつつ、

物語の中心は(自分には懐かしすぎる)
「(会話のネタにすらつまってしまう)初々しすぎる恋」。

年齢的にもど真ん中を攻められたので、観劇しつつ、
つい自分の昔を妄想したりと頭の中はフル回転、

でも優しさに満ちた(不良もいるけど)登場人物達の物語に
「せめてその終わりが幸せでありますように」
と祈らずにはいられませんでした。

よしざわくんの一途さに涙です・・・

ネタバレBOX

舞台セットの定食屋と公園らしき場面、
その2場面だけで


主人公(よしざわくん)が大阪へ転校しての

・ 高校生活の楽しさや淡い恋

・ 教師生活18年(?)の今

を描くのはすごいな、と感心しました。


開幕時点、

・ 昔の生徒だった売れないお笑いコンビと教師、
  定食屋の看板娘、といった取り合わせ



・ 同じ場所でありながら
  定食屋のとうが立った(別の)看板娘と入り浸る学生達

この2つの場面について繋がりを示す情報は少なく
(お笑い母親の名前ぐらい?)、

どうこの2つの場面と登場人物が繋がっている(く)のか、と
そこを推理せずにはいられませんでした。


そしてこれがよしざわくんの現代(教師)と過去(学生時代)の2場面であり、
更に登場人物達も過去と現代とで少しずつ繋がっている(く)、
その流れと観せ方に「上手さ」を感じました。


同じ埼玉の転校生女子、影のある彼女をつい助けて
そして惚れてしまうよしざわくん、
2人の初々しさに「この恋が実るといいなあ」と思いつつも、

最初の方の場面、転校生女子の妹という赤子を見に行っただけで
転校生女子をけぎらい(というか距離を置く)してしまった友人女子。

※ この時点で「赤ちゃんを見に行っただけでそこまで毛嫌いしてしまう要因とは・・・」
  と、転校生女子の子供の件が既に「見えた!」という状態だったのが
  「惜しいなあ」と思わせられました。
  もう少し上手くこのネタを隠して最後まで持っていけていれば・・・

そんな影を背負ったままの2人が、学生の身でうまく行く訳がない、
と先を読んでしまいましたが、

「そんな事は関係ない!」と在学中に9回もアタックしたよしざわくん、
そして「この子が大人になって結婚したら、
もしその時よしざわくんが独り身だったら付き合おう」という約束が、

教師よしざわくんの意を決した当日の場面につながる流れがまた「上手い」なあ、と。


PS. 中森明菜、吉幾三、チェッカーズなど
  舞台上の学生達を演じていた演者さん達には
  ちょっと遠い時代だったんじゃないかなーと思いました。
  実際の所演じる上でそれらの歌手や歌をどう思ったのか
  (ダサい、あるいは何かしらの共感がある、など)
  そういった実際の自分達とのギャップ部分を聞いてみたいものです( ´ー`)
嘆きのベイルート

嘆きのベイルート

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2014/10/22 (水) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

満足度★★★

舞台として「何を観せたいか?」が整理できていなかったのでは?
原作ありきのお芝居では、

原作→脚本/演出の段階で、

(基本的に)単行本一冊の物語にしても
舞台演劇2時間程度におさめるにはとても長く、
脚本そして演出の時点で

「何を観客に観せたいのか?」

「どういう気持ちにさせたいのか?」

などを考えて見せ場とそうでない場面を分け、
削っていく作業があると思います。

しかし、本劇ではとにかく原作の場面場面を全て
盛り込もうとでもしたのか、
とにかく場面の転換が早過ぎる上に
観客の理解が追いつかない形で場面転換してしまう為、
置いてけぼりになる観客が多数だったと思います。

※ 僕は本作品の原作を読んでいないので
  これでも削った方なのかも知れませんが・・・

ネタバレBOX

【気になった点】
・ 当初、まるでサーカスのように高さと奥行きを持たせ、
  いくつものとても高い脚立(きゃたつ)で階段(?)を表現し、
  というセット構成を見て「何か期待させるもの」があったのですが、
  結局
  ・ 最後の船の場面
  ・ 主人公の1人バッサームの未来(旅路)を示すロープ(縄梯子)が落とされる場面
  以外なんの効果的な使われ方もしていなかったかと・・・

  お芝居中演者がかなりあぶなげに脚立を登り降りする場面に
  観ているこちらがハラハラさせられるぐらいなら、
  普通のセットを組んだ方が良かったのでは?
  (本劇内容からすると、このセット構成はまるで
  意味を持たなかったかと思います。)

・ 上に書きましたが最後のオチがバッサームの未来を予見させる
  「縄梯子が落とされる」だったのにはガックリきました。
  これは演出効果0だと思います。
  観せ方の工夫が足りません、道具に頼っても効果が低いと思ったら
  演技で観せて欲しいです。

・ あらすじを読んでいたので、始まり
  ・ 内戦下のレバノン
  ・ 荒んだ(すさんだ)国の中においても、
    生きる楽しみを失わないバッサームとジョルジュ、2人の青年の生き方
  には、本物語に対してこれからどう物語が展開していくのか?
  と期待させられるものがあったのですが、

  そこからが悪すぎました。

  ※ 上手(かみて)、下手(しもて)、
    どっちがどっちか忘れてしまったので
    右、左、と書きますが

  右上バッサームの部屋でのラナとのやりとりがあったと思ったら
  スタスタと左下へ移動し、そのまま「よく分からない」場面に転換するバッサーム。

  なんの説明もなしで主役が移動し、別の演技を始めるなど
  不親切にもほどがあると思います。
  ※ 本来なら前のお芝居のつながりで、次の場面に移動する(=観ていて分かる)、
    または同時刻の別場面を表現する、などが
    早い場面転換の上手い使い方だと思いますが・・・ 
  ※ もう少しだけ上手に「こういう場面である」という状況を
    演技や言葉で説明できなかったでしょうか?

  同様に場面場面の終わりも突然過ぎて、
  お芝居で言う「余韻」のようなものがまったくなく、
  観劇側の感情がまったくついていけませんでした。

  この場面転換がバンバン繰り返されていく様は、まるで
  「映画版 ハリーポッター 1作目」を思い出させるものでした。
  ※ 「映画版 ハリーポッター 1作目」は、
    とにかく原作に載ってるシーン全部を映像として入れ込んだあげく、
    (原作を知っている人間にすら)
    お話が見えない、と大変な不評を買った作品です。

・ 同じく観せ方として、
  空襲音とともにたまに(多分)戦時下のレバノンなどの映像を
  背景として登場させていましたが、
  これも「意図」が掴めませんでした。

  ・ 原作に当たる物語の背景に当たる国の状況を見せ、
    このような状況だからこそ人々の心が皆荒んでいった、
    という形でお芝居につなげたかったのでしょうか?

  ・ 単に原作の「戦時下の国」での「青年達の生き方」という事で
    戦時下である事をアピールしたかったのでしょうか?

  はっきりいって映像が使われるタイミングから何からが
  全然効果的ではなかったと思います。
  (お芝居を観る上で”邪魔だ”とすら思いました。)

  BGMやナレーションも同様でした。
  盛り上がりにかけている場面でなぜか「クライマックス」的な
  BGMがかかっても、観ているこちらは「訳が分からない」と思わせられる事多々。

  終盤、バッサームとジョルジュ2人の場面でジョルジュが
  「おれ(達)は戦場で1000人殺した」と語り、
  最後ロシアンルーレットで自らの命を断つ場面、
  あの場面ぐらいに本当のクライマックスだと分かる部分でないと・・・

  激しく盛り上げにかかるBGMが
  「この場面はこれから盛り上がるのか?」と
  誤解をさせてしまうだけだったかと・・・

・ 場面転換が早すぎて、色々な場面を描きすぎて、
  大事な場面を描ききれていなかったのでは?

  例.ラナという少女の存在について、観劇していて
    バッサームの彼女だったけど「国を出よう」とバッサームに言うたびに
    「まだだ(一攫千金してからだ)」と言う中、
    兵士になって金持ちになったジョルジュにいきなり
    しっぽを振っている、これではただのビッチに過ぎず、
    なんの深い背景もありません。
    あらすじに書くだけあって、もう少しラナの心がバッサームからジョルジュに
    動いてしまう部分にも深い何かがあったのでは?

  そういった部分を描かず、どうでもいい場面に時間をついやしたのは
  はっきりいって無駄だったと思います。


申し訳ないのですが、気持ちを引っ張ってくれる場面や
この観せ方は「上手い!」と思わせる場面などが見当たらなかった為、
【良かった所】をあげられませんでした。。。
※ ほんの少しだけ入れられた笑いネタについても、
  本劇の空気がまったく掴めなかった為笑うに笑えませんでした。


物語自体原作通りなのでしょうが、例えば
「ロシアンルーレットの場面、ジョルジュは実は銃に細工していて自ら命を断った」
とかだと、最後の最後にどんでん返し的に盛り上がったのでしょうが・・・

本劇を観ていて思ったのは、
「多分原作はそれなりに面白かったんだろうなあ
(ジョルジュが夜襲をスポットライトのように
「まるで映画俳優のようだったぜ」と語る場面などは少し気持ちを惹かれました)」
ぐらいでしょうか。


すいませんが、歯に衣着せず本音でズバリと書かせていただきました。

PS.観劇途中、他の観客のあくびが結構聞こえてきてしまいましたが
  「お芝居においてけぼりを食ったらそりゃああくびも出るわな」
  と本来ならマナーが悪い、と取る事にすら同意してしまいました。。。
  非常に残念です。
紅蓮、ふたたび

紅蓮、ふたたび

ACRAFT

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/10/08 (水) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場が大きくなった分だけ「観せ方」にもったいなさが残るかと
今回褒めるも否定するもネタバレなしでは難しいので、、、

「前作も観ていた自分としてはすごく面白かった」、
ただし、シアターKASSAI→笹塚ファクトリーという劇場の違いを
物語が大きくなった分だけもっと活かして欲しかったかな、と。

ネタバレBOX

まず否定から
・ 広くなった舞台を十分に活かしきれていない
  今回劇場がシアターKASSAI→笹塚ファクトリーになった事で、
  今度こそはボクラ団義得意の2段舞台による
  変幻自在の空間移動(色々な場面をすぐさまそこに描き出す)を
  観られるか、と思ってましたが、結局は
  ・ 刑務所(らしき場面)
  ・ BARシャトー
  ・ 王?さん達のアジト
  + 紅蓮達が元いた場所?
  の3場面中心で、ちょっと世界観に対して実際の舞台を
  狭く使っているのが残念

・ 良いのも殺陣、悪いのも殺陣
  元々殺陣上手なメンバーはともかくとして
  主人公その他について、
  複数人を相手にした殺陣では相手の剣を受ける為に
  「待って」いるのが見え見えだったりと残念に思いました。
  しかし、最後の大場面1:1の殺陣では、
  そういったものなしで剣を大きく振り回し、
  受けてそして「斬らない!」という見事な殺陣も観られました。
  (このメンバーで次があるなら)今後に期待。

・ 悪者王さんとBARシャトーのママの2人場面など、
  説明台詞が長すぎる。
  折角演技上手が揃っているのだから、1人2役やってでも
  その説明は演技で示して欲しかったかと・・・

・ 「歌」を印象的に使おうとしているのでしょうが、
  良さと悪さを両方含んでしまっているかと
  前作も歌1曲(2曲?)歌ってからのBARシャトーの物語スタートでしたが、
  今作でも「歌」が多い。
  それもミュージカル的に意味を持たせた歌というよりも
  単にBAR(スナック的?)の1要素として終わってしまっているのが
  残念かと。
  (途中、紅蓮の願いで歌っている場面がありましたが、
  ああいう使い方以外では1曲歌ってお芝居の方を
  間延びさせてしまうのは避けた方が良いのでは?)

・ 物語要素を詰め込み過ぎたかと
  ・ 過去のボス
  ・ 新しい敵
  ・ 更に謎の鉄仮面女子
    +BARに新たに入ったメンバーが新しい敵と鉄仮面女子の
    母親とみせて、更に「鉄仮面女子なんて知らないわ!」展開
    世界も広ければこれだけのネタも入るのでしょうが
    場面数が少なかっただけに、
    「ちょっと盛り込み過ぎかな」と思えました。
    もう少しノッポの人の過去に対する場面を
    用意しておけば胸にストンと落ちた気もするのですが・・・


面白かった所(小学生の読書感想文みたいですいません)
・ (前作を知っていたから、というのもありますが)
  前作のボスが刑務所に入っていて、そこに
  かつての部下とボス達に苦しめられた刑事の妹が
  登場して、過去語り的に本物語を語りだす、
  というストーリーテリングが面白く感じられました
  (最後に「ええっ!」と驚かせてこの続きがあると思わせる所まで)

・ 前作のボス的キャラが今作いきなり腕を斬り落とされてしまうシーン、
  想像だにしていなかっただけにここも「ええっ!」と驚かされました。
  ジャンプ的というかドラゴンボール的な
  悪いヤツを1人倒したら、更に悪いヤツが出てきて、
  という展開は大人心にもワクワクしました。
  (いや、でも腕を斬られちゃうのは嫌だけど・・・)

  今後続いたとして、次回はノッポの林野さんも味方になる??

・ 良さもやっぱり殺陣
  特に鉄仮面女子を盾にしてノッポ、紅蓮などを斬っていく場面、
  見事鉄仮面女子が盾の役割をしてて
  観せ方が上手いなあ、と

  そして最後の殺陣2組は、
  ・ 英語使いの見事な二刀
  ・ 紅蓮の締め
  までダイナミックにして魅力的な殺陣だったと思います。

・ その他演技上手が集まっていただけあって、
  鉄仮面女子が自分を娘だと信じて疑わないシーンなど、
  それまでの少年漫画的展開から急激に涙を誘われ、
  「おおっ!」と自分でも驚いてしまいました。

  ※ そういう意味でも今回のメンバーをもっと動かしても良かったかもしれません。
    最後の最後に過去のオカマが再度ボスへの忠誠を誓うシーンなど
    印象的で漫画で言えば「次が読みたい!」と思わせる展開だっただけに。


もう1回ぐらい観ておきたい、と思わせるお芝居でしたね。
トークショーも楽しかったし( ´ー`)


2014/10/13(月)
普段なら観劇後しか感想あげないようにしてるのですが、
他の方々の感想読んでて「かなり気になる」点があるので、
自分が本劇から感じたものをもう一度ちゃんと思い出し、
考えて追記してみようと思います。


仮面の少女の仮面が外れた時、
仮面の中に包まれていたがゆえの熱気によるものも
あるのでしょうが少女の汗と涙とその
「(偽の記憶だと本人は分かるはずもなく)兄と母を求める」熱意が
この舞台を初めて「感情劇」として引き上げたと思います。

・ 母だからこそその記憶から決してこの少女を「娘」だと認められない、
  という想い

・ 記憶には全くないがその想いを痛いほど受け止めてしまい、
  偽物と分かっていても剣を振り下ろせない兄の気持ち


ここまでドッキリネタをいくつか仕込んだだけの
武闘派演劇として流れてきた物語の中にあって、
(設定的にムリがあることは感じましたが)
この少女が仮面を取ってからの流れこそが
本舞台で唯一自分の涙腺をすごく強い力で引く、
「ドラマ」としての一場面、
いわゆる「見せ場」であったのかと思います。

それがあったからこそ、ラストまでの流れがまた
盛り上がりをみせるのかと( ´ー`)
黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

企画的に満点でしたヽ(´ー`)ノ
第2回との事ですが、
「コメディ」というテーマで演劇団体6団体が
それぞれに与えられた45分を使って短編芝居を行い、
それを審査員および一般観客で審査して大賞を決定するというこの企画。


まず、投票する為には全劇団観劇しなければいけないという
(当たり前ですが)このルールがいいですね。

自分のお気に入り団体だけ観劇して投票、
という偏った審査ではなく、
(心理的な公平性はともかく)
「全劇団を観劇した上で」投票する事になるという事は、

・ 各劇団に新たなファンの獲得チャンスを与える
  そして賞を狙う事により、更なる注目を集めるチャンスでもある

・ 観客側にとっても、新たな劇団を知るチャンスである

主催その他の方いわく「演劇自体は他と比べるようなものではない」
との事でしたが、こういう色々な劇団同士が自分達の
お芝居内容を評価/比較され、切磋琢磨しあう事は
劇団の為にもすごく良いのではないでしょうか?

また、CoRich感想投稿者のように舞台を観て批評する、
という人達にとっても、いつものように
1劇団だけを観ての感想ではなく

複数の劇団についてそのお芝居の内容を(出来れば)公正に審査し、
批評する、という事に審査のプロ(?)と一緒に参加出来るイベントというのは、
今後の観劇人生にとってのなんかの指標になるような気がします。

自分は今回の自分の感想と投票内容、
そして実際の各賞受賞劇団/演者さんについて
とても満足しています。
またこのようなイベントに参加したい、と思いました。

ネタバレBOX

各劇団感想おば。

●アガリスクエンターテイメント
『出会わなければよかったふたり』

本イベントの最初を務めるにふさわしい劇団、そしてお芝居でした。
脚本/演出家そして演者が仕掛けた1つ1つのネタが見事にツボにハマり、
会場中が爆笑爆笑また爆笑。

そうやって爆笑で終わらせるようで、最後に主人公の見せる優しさが
アクセントを加えるという笑い9割涙1割、
演出/脚本家の方が言っていた「コメディがやりたくて自分はお芝居を目指した」という
言葉にふさわしい見事な正統派コメディ演劇でした。


●バンタムクラスステージ
『シャンタンスープ』

コメディ5割にシリアス5割、「お笑い」の世界そのものについて
切り込んだ力作でした。
お芝居としては一番上手に喜怒哀楽の緩急を使い分けていたと思います。
(「笑い」の世界でありながら時に緊迫の空気を作り、
最後にはお笑いの世界の仲間たちの「友情」的なものまで生まれるという)

ずっと投票で迷った劇団でした。
最後は今回は「コメフェス」という事で票を外しましたが、
大阪から東京に拠点を移したというそのお芝居を今後も応援したいと思います。


●ゲキバカ
『ゲキバカ・ディスティニーランド』

難しかったですね。最初顔をゴルゴ13調にした主人公の登場から、
ちょっと「狙いすぎか?」という疑問がつきまとっていました。

物語途中も「とにかく高いテンションで」という
”テンションコメディ”とでも言うような笑いの取り方で
観劇3劇団目でちょっと疲れていた自分やその他の観客には、
この笑いについていくのは辛かったかなあ、
順番が早ければまた違った評価になったかなあ、と。

なんとか賞を取られた女優さんいわく「まだ演劇経験は浅い」との事。
お芝居の枠内に留まらないこの熱を、今後うまく放熱させる事が
出来るようになったらきっと面白くなる、とは感じました。


●8割世界
『ハッピーちゃん』

2度のダンスなど、演劇構成にこだわった劇だったと思うのですが、
ちょっとコント仕立ての笑いネタで、1つ1つのネタが引っ張りすぎたかなあ、と。
例.ハゲネタなど

ゲキバカさんと同様、このネタ振りについて行けるだけの体力があるうちなら
もう少し笑えたかな?と思いつつ、「構成の流れは良いのにもったいない」
と思わせられた劇団でした。


●おぼんろ
『U&D&O』

前説的に会場に現れた俳優が、「物語」に対する自分達の考え方などを伝える場面は、
4時間以上観劇を続けてかなり疲れた思考に対して、
一種の清涼剤のように良く響きました(いい事言うんだもの)。
目が覚めた感じがありました。

しかし、2人芝居の方、「自分の感覚を研ぎ澄ませて思い浮かべて下さい」という事で
かなり2人の言葉が紡ぎだす世界を想像し、その映像を眺めていたつもりですが、
「テーマ」が良く分かりませんでした。

そして「コメディ」路線からは完全にハズレていたかなあ、と。

観劇後のコメントなどでもやはりいい事言うんですよね、
企画/演出兼俳優の方。

次は何か「テーマ」を絞って2人芝居に挑んで欲しいなあ( ´ー`)
2人のパフォーマンス付き朗読劇的なものと考えれば
自分の好きなジャンルなので。


●ポップンマッシュルームチキン野郎
『殿(しんがり)はいつも殿』

休憩中トイレに行って帰ってきたらもう前哨戦が始まっていた。。。
鶏メイクをする役者がメイク担当に対して、
「俺の鶏に対してチキンのあいつが合わせられてないと思うんだ、
なんで鶏がチキンに合わせる必要がある?」
ともう笑いの攻撃が始まってました。

この時点で
”本舞台前の攻撃は姑息だけど観客を喜ばせるという意味で上手いなあ( ´ー`)”
と思わされましたが、この時点ではまだ今日はグーチームの
・ 正統派演劇
・ 「笑い」の世界をリアルに描くお芝居
2つで決まりじゃないかな?
と思ってました。

しかし、何よりも本日の観劇コース的にも殿(しんがり)で、
一番疲れた観客達を相手にする一番辛い立場なのにも関わらず、
本日の演劇で一番「吹き出してしまった」(前の席の人には申し訳ないですが)
爆笑の上限まで達するお笑いの上手さ、そして物語の奇想天外さと
見事なコメディ、完全に「笑い」で観客席を掌握しておいて

最後に悲しみ、そして愛と優しさをもって落とすという、
すばらしい物語の起伏。

やっぱりPMC野郎は単にブラックネタを盛り込む危険集団ではなく、
ちゃんと邪道に正統派お芝居で泣かせてくれる集団でした。

最後まで見ちゃうともう自分の中でランク変動激しくて、
投票直前まですごく葛藤させられましたが、
「PMC野郎がトップ」は外せないな、と完全に思わせられました。

※ 「ドキンちゃん」「瀬戸内寂聴」「資格のオーハラ」その他、
  危険なネタを沢山盛り込んでいる為、
  「優勝してもTVには出れないんじゃないか?」
  とずっと思ってましたが
  明日(9/29(月))の収録ではそこは一部回避策を盛り込むそうです( ´ー`)


●その他
歌のイベントがある事は自分は知らなかったけど、
いきなりアイドル登場はちょっと辛かったですね。
応援したり直視したりしようにも、想定外の出来事だったので( ´ー`)


●表彰式
最後の表彰式、審査員および観客投票によるいろいろな賞の受賞、
多少手心?(というか優しさ?)を持った賞もあったと思いますが、
今回のフェスに参加された各劇団が今後再びコメフェスその他への出場や
演劇への思いを新たに切磋琢磨してくれればいいなあ、と。
図書館二居マス

図書館二居マス

GENKI Produce

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/09/17 (水) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★★

もう少し膨らませられるお話だったかと・・・
舞台開始そうそうに提示されるいくつかの設定、
これをどの方向に膨らませても面白いものになるんじゃないかなあ、
と思いながら観劇していましたが、
特になんの突出も観せることなく終わってしまいました。

脚本/演出は「観客に何を観せたいのか?」を
意識していたのでしょうか?

ネタバレBOX

舞台開始そうそう現れる本を破る男、
そして図書館セットが現れての物語スタート、
地元CATV局の弟の執拗な取材攻勢に対して
何か含みありげに口を閉ざす図書館司書達。

そこから

・ 図書館に現れた絵本作家の幽霊。
  生前自分の描いていた絵本を夜な夜な破く。

・ 幽霊と別に現れた本破りの便乗犯。

・ 絵本そのものの内容。

・ 図書館に住み着いている「虫」?を名乗る霊的存在

など、どれを使ってももう少しお話を深めて
演出していけば面白いものに仕上がったと思います。

しかし、予想に反してどの方向にも膨らませず、
折角張った伏線をほとんど意味がなかったかのように安易に回収し、

例.図書館に住み着いている霊的存在が、
  絵本作家の幽霊の妻(?)だった事を
  あっけなくバラしたり

観ている側にどんな気持ちを与えたいのか、
どんな感情を持たせたいのか、
が分からないままに終わってしまいました。

前作が良い出来だったので期待したのですが・・・
300年の絵画と鉄仮面の姫君

300年の絵画と鉄仮面の姫君

KENプロデュース

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2014/09/13 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

ミュージカルとしては発展途上、だけど舞台は最上級!
KENプロデュースさん、初のミュージカルとの事で
今までそれなりに歌もうまく面白かったミュージカルを観てきた自分
(全然初心者ですが)にとってツッコミ所は結構あったのですが、

まず舞台/お芝居として本劇が面白すぎる、
特に後半~終盤の流れは観客の「心」を完全に引き込んだと思います。

「感動」って言葉を最近使いませんが、まさに”感動”させられました。
ハートを射抜かれるいい舞台でした(´;ω;`)

ネタバレBOX

先に「ミュージカル」としての突っ込みどころ(覚えている所)

・ 序盤の合唱まではともかく、それ以降の歌とダンスの使い方について
  お芝居が延々続いた後に盛り上がりでちょこっと織り交ぜる、など
  ちょっと「ミュージカル」を名乗るには上手い構成だったとは・・・
  (この人をこの場面で歌わせる意味は?という場面もいくつか)

・ 初のミュージカル、そして座組メンバーもミュージカル初の方など
  多数(?)との事で、歌については上手い/下手が顕著に現れていました。
  ※ お芝居自体ではなく、あくまでも歌唱の発声が出来ているか、
    歌いながらの演技が出来るか、
     その後のお芝居に「歌い疲れ」(呼吸的に)がでていないか
    などの点で

  配役について、自分ははっきりいって(お芝居としての良さを除けば)
  合唱はともかく独唱するのは「(現時点で)歌がそれなりに上手い」
  メンバーに絞るべきだったと思います。
  (その演者自身に歌わせなくても、「ミュージカル」的に
  場面を表現する方法はいくらでもあったかと)

・ ほぼ全員でのダンスはちょっとまとまりに欠けたかと
  少数のダンスはいいものがあったのですが・・・


それらを突っ込んだ上で、本劇はお芝居としてとても面白かったです。

・ 序盤からの物語の流れ/構成

・ 後半主人公(?「砂漠の風」5人全員が主人公でしょうか)が
  「本当の愛」を知る場面

・ 数は多くなくともはられた伏線のその活かし方
  特に、実は元はキツネだったという仲間が最後、
  仲間たちを救った上でキツネの絵にされてしまい・・・
  という流れ

後半から終盤、いっきにすごい吸引力で観ているこちらの涙を誘いました。
(涙なしで舞台上を見つめる事が出来ませんでした。)


そして、終わりの演者紹介をしつつ、
更に物語の終わりがハッピーエンドであった事を伝えるシーン
(キツネの絵から仲間が救い出される場面)
「ここまで使ってくるかあ!」と拍手しながら
その上手さに驚きが隠せませんでした。

その上での合唱〆(しめ)もすごく良かったです。
(本劇では聴こえのとても良い「合唱」の方をもっと使うべきだったかも知れません。)


「ミュージカル」としてはまだまだこれからの劇団だと思いますが、
舞台としては最上級に面白く仕上がっていたと思います。

PS. トラブルで剣を落とした役者を別の役者がアドリブで上手くサポートする場面など
  役者としての上手さも感じました。
今はただ遠くからありふれた歌を-

今はただ遠くからありふれた歌を-

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

物語もお芝居もいい、ただ「笑い」だけが・・・
子役を擁立する劇団だからこその
子供とその親友だった2人の歳の差を超えた友情の物語。


本劇は8年前の初演からの再演版、
(パンフレットにも記載されていましたが)
脚本家いわくかつて想像した未来が
かなりの的中率で現実になっている、との事。

その更に先、現代から未来にかけての
「もしかしたらあるんじゃないかな?」
と思わせる設定をそれなりに複雑な構成にしながら、
うまく物語としてまとめている、と思いました。

後半の流れは非常に楽しめるものでした。


ただ、、、本劇団の前公演を観た時にも感じたのですが、
独特の「笑い」ネタだけが
自分には受け付けられませんでした・・・

ネタバレBOX

・ WEB人格
・ 人間の冷凍保存(コールドスリープ)

など、本当に近い未来にありそうな出来事を
うまく背景設定として、

病気の為にコールドスリープした友達(子供女子)と
50年の時を経て再開する2人の親友(老人男性)、

彼らが彼女との約束を果たす、という
物語の基本骨子は大変興味を引くものでした。


そして、役者の演技も悪い所はなく、
後半からクライマックスに至る流れでは、
場面と同様に興奮とそして涙を誘われました。




ただ、前公演でも自分は感じたのですが、
「笑い」ネタがコテコテすぎるのか自分には全然笑えない・・・


例.女医に絡むエロ助手から始まり~

他の劇団の「笑い」ネタでは、
それまでのシリアスな場面からいっきにギャップで笑わせる、
などの「上手さ」などがあったりと
結構笑い上戸なはずの自分ですが、

本劇団のお芝居で「これでもか!」と投入される「笑い」ネタの数々、
そのほとんどを脳がまったく受け付ける事が出来ませんでした。


吉本新喜劇的というか、
予定調和というか、
「この劇団がここで笑いネタを出したら笑う」という
ルールでも存在しているのではないか、と思うぐらい、
・ 常連と思われる観客
・ 高齢者層
は大笑いしていましたが、申し訳ない話、
自分は「笑い」ネタのほとんどに
「センスが感じられない」と感じ、
ちっとも笑いを誘われませんでした。


本劇は半分以上が喜劇的な場面の連続ですが、
そのほとんどの「笑い」ネタには
自分は「愛想笑い」を浮かべる以上の事が出来ませんでした。

その為、前半部分をほぼ素の状態で眺める事になってしまいました。


「笑い」ネタさえ、もう少し違ったものになったら、
きっと自分も満足出来るんだろうなあ( ´ー`)

とは思いますが、「笑い」も「泣き」も
それこそ「お芝居自体」も、それぞれの人に
合う合わないがあると思うので仕方ない事なのかな・・・


クライマックスでロボが少女達を助けた後、
老人2人は研究者として神奈川に(?)連れ去られ、
少女1人が取り残される事になってしまった場面、

それでも「約束」しているからきっとまた会える、
という少女と、
その後ろで少女への手紙(言葉)を送る老人2人には、
かなり涙を誘われました。

それだけに・・・残念(´・ω・`)

※ 夜モヤモヤと考えていましたが、多分
  お芝居の筋(流れ)と全く関係ない形での
  「笑い」ネタをバンバン投げ込んでくるのが
  笑いネタも芝居の一部として観ている自分には合わないのかなあ、と。


PS. 場面転換の暗転ごとに椅子を色々動かしたりするのに
  かなり時間を取られてましたが
  あれははっきりいってお芝居への集中を途切れさせる
  レベルで無駄な間になってしまっていたかと思います。
  (それも真っ暗での作業はともかく、
  青照明で演者が丸見えの状態で
  この作業を行っている場面は
  これも「笑い」を取りに行っているのか?
  と誤解するほど微妙な時間でした。)

  それぐらいだったら椅子はそのままで良いのでは?
男ばかりの会話劇 『アベンジャーズ Ver2014』

男ばかりの会話劇 『アベンジャーズ Ver2014』

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

ますますの迫力で大人たちの会話劇がワーサルシアター八幡山を支配
昨年初演の「男たちの会話劇 アベンジャーズ」が
今年も帰ってきたヽ(´ー`)ノ

ビジュアルイマジネーション演出のカプセル兵団を
「動」のカプセル兵団としたら
会話劇シリーズはまさに「静」のカプセル兵団。

(特撮ヒーローについて)
吉久直志さんの信念のこもった脚本を、
実際特撮ヒーローに関わってきた
大人たちが”特撮ヒーロー自身”として、

タバコ部屋の雰囲気そのままに
時に熱く、時に笑い、
時に懐かしく、時に深く、語り合う。

ワーサルシアター八幡山で
その会話劇を眺める観客達も
同じタバコ部屋の住人として、

いつの間にか特撮ヒーロー達の感情(熱)に
引きこまれ、一緒に笑って一緒に考えて
一緒に涙腺をゆるませて、

非常に引き込まれる1時間30分でした。

ネタバレBOX

脚本については基本的には初演
「男たちの会話劇 アベンジャーズ」のネタを中心に
一部時事ネタその他見直しをかけた感じでしょうか?
(キャストの方は半分ぐらい初演と異なる模様。)


ド派手な炸裂音から始まる舞台に
「ああ、そういえばこうだったな」という
懐かしさがまずあり、

その後特撮ヒーロー達の
(台本の流れに沿うというより)
自分の言葉でしゃべっているかのような
感情のこもった会話劇に
気持ちを引きこまれ、
ワーサルシアター八幡山自体が
舞台上の6人の会話に夢中になりました。


会話の1つ1つのネタはたどりきれませんが

※ 今年は上演台本買っちゃいました、
  後で会話内容も振り返ろうと思います

特に
「アメリカでは国を守る人として軍隊/軍人は憧れの的である、
それに対して日本では敗戦、そして憲法第九条により
軍隊は悪、自国を守る為の自衛隊ですら叩かれる、
そうやって現実に憧れるべき対象を失った日本人達が
”日本独自の特撮ヒーロー達を生み出していった”」
という論に、ほんとーに深くうなずかさせられるものがありました。


特撮ヒーローの中の人(スーツアクター)に憧れた
(実際やられていたんでしたっけ?)の
吉久直志さんだからこその深い日米(日本対海外)の特撮ヒーロー考察、
その重みがあるからこそこの会話劇自体が
深みと観客の心に対する吸引力を持ったのだと思います。


・ 正義の特撮ヒーロー
・ 悪役
の会話劇をこなした次は、

出来れば「ガンダ○」「マクロ○」などの
「ロボットSF論」を語り合ってほしいなあ( ´ー`)

と願いますね。

※ 自分は特撮ヒーローについては、少年時代に
  そこまで深くはハマらなかった事もあり、
  出来れば自分のストライクゾーンど真ん中の
  「ロボットSF論」を一度吉久さんに斬ってほしいなあと・・・
THRee'S

THRee'S

ENG

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

すごい!丁寧!またすごい!
終幕後、演者全員勢揃いしてのご挨拶、
笹塚ファクトリーの閉館時間の都合もあり
すぐに全員ハケたのですが拍手が鳴り止みません
(自分も「これはWアンコール呼ぶべき」と拍手し続けました)。

いやー、お芝居途中に好感触を感じる部分は多々あったのですが、
ほんと終わってみるまでお芝居は分からない、
という好例と言える良作だったと思います。


ネタバレなしで何が書けるか(??)なのですが、
まずチケット購入時に貰っていたかっこいい1枚ものチラシの
劉備/関羽/張飛が実際に出揃った時、

今まで漫画、ゲームその他で色々と描かれている
3人が本当に現れたかと思うぐらい、
このお三方が適役すぎてなんだか不思議と涙腺が緩んでしまいました。


そして物語の描き方が非常に丁寧だと思いました。
黄巾党の乱から董卓の台頭、董卓征伐まで
いろいろと事象、登場人物も多く
複雑になりがちな部分や独自解釈その他を
うまく脚本/演出し役者陣もそれを見事に
演じて分かりやすく観せてくれたと思います。


そして何よりお互いを良く知る
脚本久保田唱&演出佐藤修幸コンビだからこそ、と言えるぐらい
「2人が力を出しきった作品なんだー!」
と大声で言いたくなるぐらいに感心させられ驚かせられの大展開でした。


2014/09/15(月)16:00 観劇二度目
───────────────────────
・ 三国志序盤を元に独自の物語を作るにあたっての、
  虚実の盛り込み方/事実の取捨選択のバランスの良さ
  (必要なものを必要なだけ、決して冗長にはなっていない)

  三国志を知らない人でも楽しめるし、
  知っている人は「ニヤリ」としてしまう場面も多々

・ 意味をもったダンス、映像などを上手く活用して
  早い段階から観客の気持ちを掌握

・ 場面場面の転換、シーンの差し込み方が上手い、
  観客の気持ちをお芝居から基本離さない
  スピーディーかつなめらかな展開

・ 各役者の技量の高さ(演技とそこへの感情の載せ方が上手い)、
  それぞれのキャラの個性の出し方が素晴らしい
  (他劇団公演などと比較しても若手から中年層まで
  本当に「芝居上手」が集まっているかと)

・ 体躯の大中小、殺陣の流派の違いなどを
  それぞれ出し合った夢の大立ち回り(まるで異種格闘技戦のよう)

・ それぞれの演者を知っている人をも驚かせる「配役の妙」

などなど、脚本/演出から実際のお芝居、照明/音響などに
至るまで演劇界屈指のドリームチームを結成した、と思いました。

これはひとえに演出兼総合プロデュース佐藤修幸さんの
DMF/ENGから他劇団客演などで得た
色々な素晴らしい繋がりを駆使したからこそ
生み出されたものと思います。

絶妙のバランスで作られてますね、THree'Sは。

ネタバレBOX

2時間45分の中で本当に色々な気持ちをいだきすぎて
全部は書ききれそうにないです。


1.「三国志」の雰囲気が出まくっている
  劉備/関羽/張飛に始まり董卓、曹操、袁紹(だっけ?)、
  その他多くの人々の、衣装からアクションからその他もろもろの
  演技までが見事に三国志序章の世界を表現していたと思います。

  衣装や武器も素晴らしい上、
  武器だけじゃなく武術も使う殺陣がこれまたかっこいい。

  猪突猛進の張飛や、そして何より関羽と呂布の大立ち回り
  (2人とも大体躯なのでこれがまた映える映える)、
  その他各演者陣の舞台段上1m以上の高さからの
  飛び降りを駆使してのやりとりも迫力でした。


2.思わぬキャスティングがまたいい(特に女性陣)
  光栄のゲーム三国志ではおじいちゃんだった董卓が
  本作ではめっちゃ若くてバイタリティに溢れ、そして悪で強い。

  不思議な力を持って台頭していく董卓、
  そして王允と董卓の2人が対極に並んだ場面が
  (2人とも星降る夜にタイムスリップしたものとして)なんとも印象的でした。


  また曹操も正義でありながらも、自らの野望を持っているのが
  表情から演技からに溢れてる。

  袁紹(だっけ?)のちょっと小物ぶりもイイ!

  そして何より、女性陣を大胆にキャスティングしたのが
  本作で何より素晴らしかったと思います。

  何進の妹かごう(でしたっけ?)に竹花さん、
  十常侍(字あってますか?)に客演多数で鍛えまくっている大友さん、
  今までのボクラ団義その他の作品でのキャスティングと違い、

  本作が三国志序章であり、
  ・ 中ボス
  ・ 中ボス
  ・ 大ボス(董卓)
  とゲームのように敵役が次々と控えているからこそ、
  単なる脇役ではなく重要な役回りを
  バイプレイヤーな女性陣に任せる事が出来る。

  観ていて、今までにない「面白さ、フィット感」を感じさせました。


  そして王允中村さんはもう「おじいちゃんのスペシャリスト」ですね。
  物語のストーリーテラーを年配の方が演じる事は多いと思いますが、
  実際若手の中村さんが安定の王允役、
  王允、シャンイン?(三田寺さん)、首切り役の3人が眺める形での
  物語展開とその説明について、観客席側からも
  非常に分かりやすく、そして共感しつつ眺める事が出来ました。



3.物語が非常に理解しやすく展開している(演じられている)
  先にも書きましたが、三国志序章とはいえ
  登場人物の多さ、それぞれの行動、出来事、
  そして独自解釈など色々な要素がありながら
  それを十分に丁寧に描いているからこそ
  混乱せずに観る事ができる。

  この優しさは重要だな、と思いました。
  ※ 特に本日子連れのお客さんが何人かいたので、
    「子供でも理解出来るといいな」
    と思っていたので( ´ー`)


4.思わぬ所でファンタジー
  始まりがファンタジーチックだった事を忘れさせるぐらい
  三国志の物語を展開させた上で、
  それほど大量ではなくも散りばめられた伏線が回収され始めた時、
  「ああ!そういえば最初ファンタジー展開してたわ!」
  と思い出させられるこの流れ、

  これは久保田唱さん脚本の頭脳パズルな面を見事に活かしている、
  それでいて三国志としての色も失わせていないのは
  自ら三国志大好きっ子(?)を名乗る
  佐藤修幸さんとの見事な連携プレーによるもの、と思いました。


ほんと物語に引き込まれた上で、
あっと驚くどんでん返しを用意して、
という展開、想像だにしませんでした。


? 董卓の逆さ字の「たくとう」って人は
  本当にいたんでしょうか?
  創作でもいいのですが、かなり気になりました。


ダラダラと書いてしまいましたが、
その他にも観劇中は色々な良さを感じていたのですが、
ちょっと思い出しきれません。

次の観劇(千秋楽)が楽しみです。
(その前にパンフレット読みが( ´ー`))


2014/09/15(月)16:00 観劇二度目
───────────────────────
・ 特に、董卓、張飛の衣装がかっこいい

・ 実際の殺陣だけでなく、
  立ち居振る舞いがかっこいい
  董卓が打撃後、スッと脚を引き姿勢を正す
  そのポーズは美しくすらある
  (身体能力の高さをうかがわせる)

  呂布は、当代最強を歌われるにふさわしい、
  (言葉忘れた)微動だにしない、剛の者にふさわしい振る舞い

  張飛は猪突猛進、剣と拳とで縦横無尽に暴れまくり、

  関羽は儀礼を重んじる中に呂布に負けないほどの
  剛の者である事を見せる、ダイナミックな剣使い

・ 二度観だからこそ分かる、表の演技とそこに隠された伏線(裏の意味)
  そしてお芝居自体の思わぬこまやかさ
  例.呂布が、貂蝉を董卓に斬られた場面、
    思わずそこに生まれる感情の動き

・ まずは壮大な世界観で観客を魅了し、
  そして最後には貂蝉と劉備、王允/イ・審判の悲劇、
  などにより急激に涙腺を刺激
  (本劇は感情劇主体とはいえませんでしたが、
  それでも世界観で魅了した上に
  悲劇、そして感動劇としての締めくくり)

クジカン×キカク

クジカン×キカク

シアターKASSAIイベント部

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/09/08 (月) ~ 2014/09/09 (火)公演終了

満足度★★★★★

観劇人生に残る想い出の1ページとして胸に刻みました
「役者は舞台準備9時間で実際舞台に立てるのか?」
というこの企画、
舞台制作の段取りを良く知る為には9/8(月)の
「1人の演出家と6人の役者」回を選択すべきだったのでしょうが、
僕は元々舞台観劇で初めて感動させてもらったのは
「脚本」「演出」の素晴らしさだったので、
迷わず「1人の演出家と6人の演出家」回を選択しました。

朝10時に集合した6人の演出家(今回は演者として参加)と
1人の演出家(劇団鈴木区鈴木さん)の7人で、
(前日の役者回よりは簡単と演出家陣自ら言う)
「なんとかコメディ(うわ、感想書く段になって言葉忘れてしまいました)」
※ シチュエーションコメディ、でした・・・
を演じるとの事で、
本当のご挨拶から、読み合わせ、キャスティング、
稽古(台詞からその立ち位置、アクションまで)、
通し稽古、ダメ出し、
そして本番と反省会まで
のべ10:00(稽古)~19:00(本番)~20:40(反省会終了)まで
立ち会わせてもらいましたが、
本当に自分の少ない観劇人生の中で、
単にお芝居を観て勝手な批評をするだけではない、
貴重な、そして重要な時間を過ごさせてもらいました。

この経験はきっと今後の観劇活動にも生きてくると思います。
(特に今回参加された7演出家の作品を観る上で( ´ー`))


ショーケン、まっちゃん、西やん、金子さん、
宮さん、そして社長、10時間以上眺め続けた
この6人の物語は一生忘れられません。
(まあ、刺激物を病人/病院に売るのはどうかしら(´∀`*))



反省会での演者(6演出家)の飲むお酒がほんと
美味しそうだったなあ・・・

次回はぜひ、「観客もお酒アリ」方式にして欲しいです!

ネタバレBOX

16:00過ぎ時点の通し稽古を観た時点では、
「台詞覚えも半分(メンバーそれぞれが8割から4割)、
これは本番もひどい事になるな(本番オンリーの人はちょっとがっかりするかな?)」
と思ってたのですが、
その後、「本番まで1時間あるから一度通せる、上(2階)で練習してこよう」
と消えた演者陣。

そして19:20頃の本番、
まさかのほぼプロンプター(台詞忘れた時教える人)なしで
ミスはあるもののそこはアドリブと台詞の助け合いで
通して短編45分を見事爆笑の渦で終了させていました。

他の人の感想ですが、「本番は5割増しで面白かった」
自分も本当にそう思いました。
制作過程から見ているだけに、ここまでうまくハマるとは・・・
とちょっと不思議な気分でした。

元々アドリブに強い作/演出+役者も務める方々の助け合い&暴走も
ありましたが、全部が全部、本お芝居を面白くする方向に
働いていました。

ほんと、「人を楽しませる」、その仕切り役たる演出家達だからこそ
たった9時間で成し遂げられた事と思いました。


朝のおぼつかない読み合わせからを全部眺めていた自分には、
本編だけでなく、ここまでの過程すら愛してほしい、
そう思える今回のイベントだと思います。

演出家陣は半々で「次もやろう」「次はない」と言い合ってましたが、
この企画自体はぜひ次もまたやって欲しい、
絶対に面白いシリーズになると思いました。


PS.脚本/演出家にして劇団主催の久保田さんが1役者として
  台詞覚えからを苦しんで本番にのぞむのを、
  劇団員春原さんが観ていたのは良かったなあ( ´ー`)
  「鬼」と言われた3時間劇の大家も、
  これからは優しくなるのかしら。。。
ブラックジャックによろしく

ブラックジャックによろしく

トウキョウ演劇倶楽部(活動終了)

六行会ホール(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★

テーマの深さ/大きさはともかくまずはお芝居で観客を引きつけてほしい…
斉藤先生が暴走(斉藤節)してからが
「ブラックジャックによろしく」、
という感じでした。

ガンとの戦いについて、抗癌剤その他による辛く苦しい延命治療
(寛解(完全治癒)はない)か、
あるいは辛い延命治療ではなく残りの人生を
どれだけ有意義に過ごせるかを考える、
というクォリティオブライフの観点、

そしてそもそも「ガン告知」を本人にするかどうか、
という重いテーマについては考えさせられるものがありました。
(人の2人に1人がガンにかかり3人に1人はガンで死ぬ、という事実からも)

ネタバレBOX

クライマックス、ガンの石塚さん?(お母さん)が、
ガンとの辛い戦いを吹っ切ったかのように「強さ」を持って
家族を連れて宮古島の大木の前に立っての告白シーン、
はっきりいって今までの場面で全然気持ちを引っ張られなかった分、
急激に涙腺が緩みあわや号泣、というぐらいに気持ちを持って行かれました。


ただ、、、それだけでした。


あとは
・ 斉藤先生が「石塚さん?にTS1(日本国内未承認のガン治験薬)を
  使いましょう!」とかつての○○医師のように暴走を始めた場面、

・ OPと同じ夢?で10年前にガンで亡くなった妻と手をあわせ
  「手の大きいお医者さんは・・・」
  の下りをED間近に使ってきた所
  (あれで印象深く終わらせるかと思ったら
  更に話しを続けてしまったのが逆に締め方としてもったいない感が
  ありました)

あの辺ぐらいですかね、心に残ったのは。




原作の「ブラックジャックによろしく」は
本当に医療の闇や人間の尊厳その他に迫った名作でした。

その「ガン患者編」をお芝居にしようと思ったのは良いと思いますが、

・ 序盤、全設定を紹介しようととにかく盛り込み過ぎ
  テンポ早すぎ

  原作漫画で全何十話とかかったお話をたった2時間弱のお芝居で全て
  網羅できる訳はないので、まずはお芝居として
  どこをどう観せたいのか、を中心に構成すべきではなかったでしょうか?
  (はっきりいって前半特に説明パートだらけで
  肝心なお芝居が薄いかな、と感じました。)

・ 序盤、演者の台詞に感情が全くのってない、と感じました。

  例.斉藤先生と○○先生との会話
    「斉藤先生、自分がガンになったら告知して欲しいですか?」
    斉藤回答
    「では家族がガンになったら?」
    ここで「家族はちょっと」と即答しちゃう斉藤先生、
    お芝居でなく普通の会話と考えれば
    ここに「思考」が入ると思うのですが、
    何も考えずに即答しちゃう、
    これってただ覚えた台詞をポンポン出してくだけの
    まったく感情/気持ちの入っていないお芝居だと思うのですが…

  その他、長台詞や医療用語などの難しい単語が出る台詞など、
  台詞をとちらずに言う事に精一杯でそれぞれの演者、
  まったく「気持ち入ってないなー」と、観ているこっちも
  まったく気持ちを引っ張られるものがありませんでした。

  後半、クライマックスに向けて感情がのるほどに
  演者の皆さんの演技が良くなっていくのは観ていて分かりましたが・・・

・ 逆に抗癌剤治療を否とする××先生、
  10年前の後悔からまったく人が変わってしまっている、
  という設定は良いとして
  その雰囲気というより発声など、「ちょっと人としてどうか?」
  と思うぐらい変わりすぎではないでしょうか?
  (医者というか人して周りが怖くて近寄れないレベルだと思います。)

  ちょっと現代の方、役柄とはいえ誇張表現しすぎでは?
  (お芝居が上手いだけに浮いて感じました。)

・ 脇役がまったく立ってない、必要性すら感じない。
  メインとなる数名以外の脇役の存在について、
  ここまで物語に使われないと
  「いる必要あるの?」とまで思ってしまいます。

  彼女や同期、序盤の患者などほとんど出番なしな上、
  場面的に「実際に人が演じる」必要性すら感じられませんでした。
  (無理に原作に合わせようとせず、物語上必要性を感じないものなら
  大胆に切ってしまっても良かったのでは?)

  勝手な持論ですが、「脇役が立たない舞台は面白くない」
  せっかくメイン以外に人を置くのなら、
  うまく世界観を広げたり、深めたりする為に
  脇役の方々を活用して欲しい、と思いました。


石塚さん?奥さんの感動パートまでがあまりに長い
原作「ブラックジャックによろしく」の説明パート、
と感じられた為、「良さ」が見いだせませんでした。

終末医療に対する緩和ケア課の創設など(原作通りでしたっけ?)、
テーマとしての締め方は良かっただけに残念です。
PRIDE

PRIDE

劇団空感エンジン

両国・エアースタジオ(東京都)

2013/09/18 (水) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

「第二次世界大戦」、日本人に生まれた以上演じる側も観る側もこのテーマは「重さ」を持っているかと
※ 劇団空間エンジンさん、CoRichへの舞台登録をやめてしまった?
  ようなので昨年度の同タイトルに感想を投稿させていただきます。

※ 劇団空間エンジンさんは若い劇団なのでしょうか?
  あるいはこの座組がまだそれほどこなれていない
  (メンバーそれぞれが慣れ親しんでいない)?

特攻隊員達が現れて、1人の特攻隊員と女性との会話、
特攻隊として死ぬ事に誇りを持てなくなった、という時、

物語の重さが急激に増して演者の演技が熱を持ち、
観客側に対して強い吸引力を発揮したと思います。

そこから先1つ1つの笑い、泣きのネタがそれぞれ心の琴線を打つように感じました
(やはり「つかみが肝心」という事でしょうか)。

シリアスな場面での「情熱」だけでなく、お芝居全体において
演者が本来秘めているこの「熱」を
観客側に提供させられたら素晴らしいと思います。

ネタバレBOX

思った事をサラッと箇条書き(と思いましたが全然サラッとしてない・・・)

・ 両国Air studioという劇場について、入った雰囲気は良かったのですが、
  空調がイマイチ効いていない(少し暑い)、
  舞台途中流れる音響/BGMや音声(吹き替え的なもの)について音が非常に悪い
  (これは劇場機器ではなく、劇団持ち込みの音声に原因がある?)など、
  「ちょっともったいないな」と感じさせる部分がありました。


・ 若い劇団なのか、座組がまだしっくりきていないのか、序盤の若者たちの集まり
  (1人の女性が失恋?により自殺まで考えていたのに対してはげまそうと集まった)の
  やりとりが「今の若者」の軽薄な雰囲気を演じようとしてなのか、
  あるいはしっかり演出されていなかったのか、かなり薄っぺらいものに感じられました。
  台詞のやりとりや、台詞がない場面での各人の立ち姿、演技など
  (+序盤の情景にBGMも合っていないと感じました)。

  言い方が悪いですが(悪い意味での)「学生芝居」のような
  アマチュアな雰囲気が出ていました。


・ 序盤一部、各若者にスポットライトを当てて心情を
  吹き替え音声(自分の声を録音したもの)で表現させる、
  という部分がありましたが、音がかなり悪く、
  その上演技と噛み合っていないと感じ、はっきりいってしらけてしまいました。

  無理に録音声を使う必要はなかったと思います。

  普通にスポットライトが当たった部分で、
  演者にその心情の台詞を言わせるべきだったのでは?

  ※ そうでなくてもこの序盤、若者たちの演技が「浅い」「熱がない」と
    感じられていたので、少しでも見せ場にして欲しかったと思います。


・ 「レッドブルとバファリンを飲むと飛ぶ」

  今の若者が試しそうな行為ですが、
  これが若者たち(自殺を考えていた女性)が「特攻隊員が来た」という幻覚/夢を見ている、
  という可能性とつながる事がうまく示されていなかったかと思います。

  盛んに「自分の夢だ!」とは言っていましたが、
  どうも演技の流れからかこちらの感情移入不足か
  その前に行っていた行為(レッドブルとバファリンを飲む)と
  うまく紐付きませんでした。

  家に帰っていざ感想を書いていて、
  「ああ、特攻隊員達の夢、あるいはこの”飛ぶ”行為によって女性が見た夢、
  どちらの可能性もあるのだな」と初めて気付きました。
  ※ これは自分が鈍いだけかも知れませんが・・・(´・ω・`)
  ⇒
  よく思い出したら、若者たちが特攻隊員をコンビニへ連れて行く時、
  「明日コンビニ店員に特攻隊員が来たか聞いてみよう」
  のくだりがあったので、若者たち自身は「自分達がぶっとんでいる可能性」
  を示唆していたのですね。しまった、失念してました。


・ (順不同ですが)
  特攻隊員について
  ・ 言葉の端々に英語を散りばめてしまっているのはどうかと。。。
    第二次世界大戦中、英語は敵性語なので
    まず知っていても普通に使おうとは思わなかったと思います。
    ビル(これは和製英語なので良いのかとも思いましたが)に始まり
    最後の「プライド」という台詞まで。

    「サイゼリア」「コンビニ」という言葉に戸惑う特攻隊員が
    一部英語を普通に使ってしまうというのは
    ちょっとディティールの部分が甘かったかな、と。
    (観客への分かりやすさを狙っての事かも知れませんが・・・)

    主題である「PRIDE」、特攻隊員にそのまま言わせるのではなく、
    うまく若者たちの言葉として出せれば良かったと思います。

  ・ 同様に、ノートパソコンを覗き込み、どこかのホームページ(Wikipedia?)内容を
    特攻隊員自身が確認しますが、

    ? 自分もうろ覚えですが、昭和20年台当時は
      縦書主体、横書きは逆、更に文言も現代文とは違ったかと思います。

    それを特攻隊員がすぐに読めたとは思えません。
    それまでの説明同様にオタク君?がおそるおそる説明するべきだったのでは?
    (それこそが彼の存在意義かと)


・ 「タイムスリップ」の可能性に、特攻隊員が先に気づく、という違和感

  特攻隊員と若者たちの咬み合わない会話が結構長い時間を占めていましたが、
  そこで特攻隊員が「今は何年だ?西暦は?」と
  自分達の時間と異なる可能性に先に気づいたり、
  若者の「タイムスリップ?」という言葉に「それしか考えられない」と
  「タイムスリップ」という文言自体に納得してしまう所に違和感を感じました。

  ※ 実際「タイムスリップ」という言葉自体は戦争よりかなり前には
    あったとは思うのですが、昭和世代が先に納得してしまうのはどうかなあ、と。


など、特攻隊が登場してしばらくして、
大石さんと妹の孫にあたる女性2人の会話になるまで
ちょっと演技および物語の展開について、
つっこみたくなってしまう部分が多く、
うまく感情を引きこまれませんでした。


しかし、大石さんと自殺を考えた女性の会話からの流れについては、
序盤とは打って変わって非常に感情を引き込まれる良いものだったと思います。

・ 大石さんが「特攻と自殺は違う」と語り、女性を諭す場面


・ 「これから沖縄に特攻をかける」という特攻隊員に対して、
  「結局戦争に負けて沖縄は今もアメリカに占領されていて、
  あんた達の特攻に意味なんてないんだ!」と
  (いきなりですが)激昂する若者


段々と「第二次世界大戦」とその後の詳細な部分に物語が及んできて、
(自分も歴史/日本史に詳しい訳ではありませんが)

・ 特攻隊員達の時代の物語と若者が語る(敗戦後の)「今」

・ 結局日本は敗戦し、戦争に関わった自分達が「戦犯」扱いされてしまっているという事実

そのギャップに特攻隊員達は悩みます。


しかし、「天皇陛下が戦犯として処刑されなかった理由」を調べた事から、
「沖縄特攻」の持った意味、それが結果として
「日本」を今の独立国として保つ事が出来た事、


それらに特攻隊員達が「自分達の死ぬ(死んだ)事に対する意味と意義」を見出し、
特攻の為過去の世界へ帰っていく場面、
そして「わざわざ死にに戻る必要などない!」という若者たちの迫真の演技、

はっきりいって歯をくいしばっていないと涙に耐える事が出来ないぐらいに
物語に引き込まれました。


この中盤以降、「第二次世界大戦」をテーマに扱った場面での演者の演技とその熱は、
序盤「学生芝居」などと思ってしまったのを疑うほどに「熱」の入った、
いいお芝居だったと思います。

※ シリアスな場面、情熱的な場面ゆえに込められた「熱」だとは思いますが、
  序盤にもう少し演技としてなんらかの熱を感じられたら良かったのですが・・・

  それを特に感じたのは、この「熱」を感じ、気持ちを引っ張られて以降は、
  特攻隊員2人がおまんじゅうを食べる場面などの
  笑いのネタ1つ取っても引き込まれ、爆笑できた事からです。

  ※ それまでは感情移入できていない状態で投げ込まれる「笑いネタ」に
    どうも反応する事が出来ていませんでした。

  多分、気持ちを「掴まれた」事で、各ネタに正しく反応できるようになったのだと
  思います。

この中盤以降の良いお芝居のペースを序盤にも活かすか、
あるいは脚本自体の配分を少し変えた方が
「観る側にとって面白いお芝居」になったのかな、という気がします。


・ (特にもったいなく感じたのが)
  特攻隊員が「自分達の死の意義」を見出し、
  特攻へ向かっていく場面は非常に涙を誘うものでした。

  しかし、その特攻隊員が自殺を考えていた女性(妹の孫にあたる)に
  語っていた「自殺と特攻は違う、自殺してはいけない」との諭しが、

  最終的にこの女性にどう効果があったか、をなんらかの形で示して欲しかったです。
  (更に物語を深める事が出来たかと・・・)


・ 大石さんと静さんのお話が史実であった事を最後に
  特攻隊その他の映像演出の中で伝えるのは
  非常に良かったと思いました。
  何か物語に深みというか+αされるものがあったかと思います。


最後に、

・ このタイトル、もう3回演じられているのですね。

  「第二次世界大戦」、脚本/演出の妙に関わらず、
  このテーマは日本人にとって、心の琴線に触れる何かを持っていると思います。

  だからこそ、今回この武器を使ったという事は
  今後の公演にて「次は何で勝負するのか」が重要になってくるのでは?
  と書こうと思いましたが、

  既に3公演目となると、初めて観る自分はともかくとして
  本劇団を追っている人にとっては
  「使い古したテーマ」になってしまっていないでしょうか?

  また、日本人の心の中心に迫るような重く、
  誰もが考えさせられるテーマだからこそ
  多用してしまっては逆に劇団としての強みではなく
  「弱さ」を観せてしまう事にはならないでしょうか?
  (あの劇団は戦争ネタでしか涙をさそえない、などという)


序盤全然ハマれなかったのですが、
中盤以降の吸引力は素晴らしいものがありましたので
☆4つという所でしょうか。


長文失礼しますm(_ _)m
エデンの空に降りゆく星唄

エデンの空に降りゆく星唄

アリスインプロジェクト

六行会ホール(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

玉石混交、なれど努力が見えるお芝居
途中、あるきっかけ(となるお芝居)に「上手い!」と思わせられ、
そこからは物語と演じる皆さんの演技に引き込まれ
笑いあれど涙腺を引かれる部分もありつつ最後まで楽しめました。

ネタバレBOX

冒頭、前田さんその他の方々の演技に幼さ、拙さのようなものを感じ

「あれ?前田さんって以前客演舞台観た時
結構いいお芝居する方だったと思ったけど、
これが本来の姿なの(??)」と一瞬後悔しかけましたが、

なんとそれがこの物語のお芝居だった、
という事にいきなり(自分だけか??)騙されました。


宇宙船ノアの中の2つの学級の1つ「エデンの園」(だったかな?)の
少女達は感情と知性に乏しく、見た目は高校生ぐらいなれど
中身はまだ4、5歳の幼児レベル、という物語の背景設定を知り、

それと同時にいきなりの場面転換で前田さんとななさんのやりとりが
すごく大人びたものになったのを観て、

「ああ、今までのは幼稚さ、感情の乏しさ、知性の無さ、
などを示すお芝居だったのね( ´ー`)」と
いきなりの演技ドッキリにやられました。


ただ、「玉石混交」、20人近い出演者陣の中で

・ 本当にお芝居の上手い人

・ 若いながらも努力の色の見える人

と同時に、発声すらまともに出来ない
(息継ぎに失敗し、かすれ声で台詞を発してしまう)
役者といえるのかな(??)と思える人を見てしまうなど、
集中を途切れさせられる場面も多々あり、
中盤まで物語の設定や一部演者の演技に面白さは感じても
お芝居自体に吸い込まれる吸引力のようなものを感じられませんでした
(残念・・・)。


しかし、何度も何度も地球への旅を繰り返し、
その度に管理側(?)と学生側(エデンの園メンバー達)が
交代しているという事を、
いきなり管理側が学生時の演技をする事で示された時、

「あ、このタイミングでこんなお芝居を入れるとは演出/演技ともに
すごく上手い!」と自分のツボにハマったようで、

そこからは終わりまでずっと物語内容、お芝居自体にかなり引きこまれました。


引きこまれてみると、エデンの園学級の演者陣の

  幼児レベル ⇔ 一気に知性が高まった

の演技の切り替えなどにも「上手さ」を感じ、

更には謎の人物であった「ミドリ」が
(伏線の貼り方やダンスパートなどで予想はついていましたが)
実はロボ子の前回のループ時の姿であった、
という事が演技で示された時など、
かなり涙腺に来るものがありました。


あと女性のみの座組である事をうまく設定に取り込んでいる部分も
良かったと思います。

一度ハマると本当に最後の歌唱まで、
楽しく物語を眺める事が出来ました。


【良くも悪くもちょっと気になった点】
・ 最後、暗転ののち再び幼児化したエデン学級と
  とうとう崩壊する前の地球への到達、
  そして歌唱の場面で、幼児からいきなり大人モードに
  演者陣全員チェンジしての歌唱開始、
  観客は皆手拍子となりましたが、

  あの部分、もう少し(直前の暗転のように)
  余韻のようなものを持たせられなかったでしょうか?

  演技からいきなり素に戻る瞬間を見てしまう流れだった為、
  「お芝居の終わらせ方としては切り替え方が上手くない
  (いきなり現実に引き戻される)」という感じがありました。

  ※ 「久保田さんらしくないな」という感じもありました。

・ 宇宙船ノアが光速を越えて、過去の地球への旅を繰り返している、
  という事について、
  結構伏線その他が多々出されていたので、思ったよりも
  早いタイミングで観客全員気づいていたと思います。

  そこから更に十数分経過してやっと「この真実」を
  演者の口から示す、というのは少しタイミングが悪くないか?
  (観客が気づくか気づかないか、の場面で
  「実はこういう事でした!」と明かさないと驚きがない)と思いました。

  ※ ここもまた「いつもの久保田さんらしくないな」という感じもありました。

・ かなり早い段階で(平山さんの説明による伏線の見せ方でほぼ気付きましたが)、
  宇宙船ノアの乗員は全員アンドロイドである、という事を明らかにした事が、

  「え?そのネタをこんな早いタイミングで出すという事は、
  実はまだ重大な謎があるの?」

  と、物語に対する欲求/好奇心的なものを更に煽られて良かったと思います。


と、お芝居自体は大満足で終了まで観る事が出来ました。

特に
・ ななのんさんコンビは美と演技の上手さを兼ね備えてるなあ( ´ー`)

  ななさんの肝の座った演技(アンドロイドゆえ?)が素敵すぎる、ハァハァ(´∀`*)
  (超ドストライクなスレンダーバディーにアンドロイドから始まり
  人間らしさを獲得していく姿が素敵・・・)

・ ボクラメンバーは、やはり場数の違いもあり、
  演技に一本太い骨の通ったような上手さを感じる。
  ※ その他何人かの演者さんも同様に感じました。

と、幸せな気分でアンケートを書き、

(パンフは購入してましたが、自分はサインとか握手とか
そういうの求めてないので)
アンケート出してさっさと帰ろう、と思ったら、

運営側の人達に
自分「アンケートの提出はどこでしょうか?」
運営「あっち・・・」と入り口を指さす

サイン&握手会の準備で混み合う会場を抜けて入り口へ行くも
それらしき場所/人がいない為、更に

自分「アンケートの提出はどこでしょうか?」
運営「(無言)」

のように、
「これからサイン&握手会が始まるんだから関係ない奴
(物販購入してない奴)は帰れ!」とばかりに
ぞんざいな対応を受けてしまいました。

それからしばらくアンケートの出し先や
他の運営さんを探したのですが見当たらず、

お芝居の終わりに「これかよ・・・」とかなりがっかりな気持ちで
会場を後にしました。

※ その会場の様子を見て、
  「ああ、やっぱりアイドル劇団なんだな、
  お芝居どうこうより、その後の物販からの
  サイン&握手会とか、そういうものの方が重要なんだな」
  (今面白い!と思った舞台はなんだったんだろう・・・)
  とか、
  結局観客のほとんども「自分の好きなアイドル目当て」で来てて、
  お芝居なんてどうでも良かったのかな?
  とか、
  嫌な想像ばかり湧いてしまい、
  ちょっと「久保田さん脚本/演出かつボクラメンバーや
  前田さん達が出ているお芝居が観たかった」とはいえ
  アイドル劇団舞台を見に来るべきではなかったな、
  と思いました。

※ 前々日ぐらいの木本さんのツイートで、
  「集客に少々苦労しているが絶対面白いお芝居なのでぜひ来てほしい!」
  というものがあり、

  また、久保田さん脚本は初見だけでなく、二度観、三度観して
  伏線や演技の切り替わりのタイミングを知ると更に面白くなる、
  と思っていた事や、

  ひさびさの六行会ホールで、
  「六行会ホールって前の観客の頭に邪魔されず、舞台床まで視える、
  かなりお芝居の事を考えて作られたホールなんだな」

  ※ 以前観に行ったお芝居2本、床まで使った演技をするのですが、
    最前列以外その様子が全く観えず(演出側はこれを分かっていたんだろうか?)
    最前列での観劇以外では「面白さ」が何割かマイナスされてしまう

  そういう点の良さも感じていたので、
  あと数日の公演のうち、予定の合う日を予約しようと思っていましたが、

  観劇後のあの状況を肌で感じてしまうと、
  「もう懲り懲り」と思ってしまいました。

※ はっきりいって、
  (実際お芝居された演者さんや演出その他の方が悪いのではないのですが)
  「アンケートなんてどうでもいい」という運営の態度を見てしまうと、
  「だったらアンケートなんて求めるなよ」
  その方がこっちだって早く帰れる、と
  ちょっとご立腹な気分になってしまいます。


そういう意味でも、アイドル劇団の運営の仕方は
自分の性に合わないので、本劇団は「もういいや」と思いました。

俺は「面白い芝居」を観に来てんだよ!「アイドル」とかどうでもいいんだよ!
とか思ったり。。。

※ ただ、実際出演されていた方々については
  「次もお芝居観てみたい」と思う方々多数だった為、
  別劇団での客演などを追いたいな、と思いました( ´ー`)
痕跡 〈あとあと〉

痕跡 〈あとあと〉

KAKUTA

青山円形劇場(東京都)

2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

悲しい事故が各人に与えた様々な影響を淡々と、それでいて各人のその後の「人生」を太く描く秀作かと
開幕前に読んでたパンフでいきなり「加害者」「被害者」とか配役名出てきたので
「何かの事故/事件の加害者/被害者間のドロドロとしたものを描くのだろうか?」
(パンフのイメージ、”痕跡”のイメージから想像)と思いましたが、
そんな単純なものではなく、

その事故/事件に関わった人達のその後の悲しみ、救い、逞しさ、したたかさ、
そういったものを、過剰に盛り上げすぎずにあくまでも淡々と、
しかしそれでいて「人生」としての笑いや涙を織り交ぜて、

「最後一体どうなるんだろう?」という事をあくまでも観客に読ませきらない
(「こう終わって欲しい」という願いや
「きっとこう終わるんだろう?」という様々な推測を楽しませる)、

桑原裕子さん流(=KAKUTA流なのでしょうか?)のお芝居、
北九州芸術劇場の「彼の地」に続き、他の脚本/演出家にはない、
見事な「味」の出し方と締めくくり方でした。

まず、桑原裕子さんファンになりますね、この「味」を知ると( ´ー`)

ネタバレBOX

10年前、大雨の夜バーのマスターが窓越しに見たのは、
川へ投身自殺を図ろうとする男、
夜更けに1人出歩く黄色い雨合羽の少年、
そして、、、

車の急ブレーキと衝突音、空を舞い上がり川へと落ちる雨合羽の少年、
そして(加害者であろうドライバーが)少年の行方を必死で探し続け、
そして逃げ去る姿。


あれから10年、亭主の転勤でその地を離れていた少年の母親は
ガンを患い余命いくばくもない身体で、
(今も見つからない少年の遺体について)
「まだ息子は生きているかも知れない」と
再びその地へ戻り少年を探す事を決心します。


同じ頃その地のクリーニング工場で働いている中年男性とその恋人の女性、
そしてもうすぐ20を迎える男性の連れ子の青年、

青年は「今度の誕生日はすごいプレゼントをあげる!」と言う女性
(ほぼ母親として慕っている)からの言葉に「弟でも生まれるのだろうか?」と推測します。


そして、かつてその地でブラック企業に務め精神的にもまいっていた男性、
それが妻の勧めもあり、名古屋へ引っ越しして回復し会計士になろうと猛勉強、
身ごもった妻が実家のあるその地へ先に帰ると言い、
試験が終わったら後から追うから、とホームで別れます。


※ この時点で本座組の役者陣の顔をまだちゃんと覚えていない自分は、
  誰が実は誰で、という事がよく分かっていませんでした。
  (分かっている人にはこの時点でもうある程度の
  物語の筋/背景は読めたものと思われます。)


・ まず、青山円形劇場の使い方が良かったです。

  当初客席前の円舞台淵(ふち)をうめつくす薄汚れた小道具の数々に、
  「場面転換ごとにここから舞台へセットをあげていく?
  だとしたらとても場面転換の遅い/悪い舞台になってしまう」と想像してしまいましたが、
  これはあの川の汚れ具合(ドブ川に近い?)を表す為の小道具でした。

  物語が進むにつれ、かつて少年が轢かれて落とされたこの川の様子が
  よく分かり、またこの「川」がある意味キーとなってきました。

  そして、他劇団ではあの円形にこだわり過ぎる所も多いのですが、
  あくまでも本劇では全方位観客に囲まれた劇場、として
  どの方向から観てもよく分かる舞台、
  としての使い方に徹していたのが非常に良かったと思います。
  (この形なら、北九州芸術劇場での公演でも、特別な変更はなしで演じられるのかな、
  と思いました。)


・ 伏線の貼り方が分かりやすいが使い方がとても良い
  クリーニング店社長が前のチラシに中年男性の働く姿を、
  それを中年男性に止められた社長は
  新しいチラシにその息子の写真を載せて、
  色々な人々が交わる場所となる韓国焼肉店にそれを置きます。

  これがその後
  ・ バーのマスターがかつて見た自殺しようとしていた男性(中年男性)
  ・ そして車に轢かれて死んだものとされていた息子の(成長した)姿(青年)
  として、それぞれの登場人物に見つけられます。

  登場こそ非常に分かりやすい伏線でしたが、
  そのタイミングや使われ方がとても良かったです。
  思ってもいないタイミングで、「おお!ここでそれに触れるのか!」と。

  これも「後々関わってくる」という意味での”痕跡”なのでしょうか。


・ ”痕跡”とは、事故に関係したそれぞれが負った傷跡でもあり、
  そしてその後の10年で築いてきた人生の「痕跡(こんせき)」でもあるのでしょうか。

  物語が展開するにつれ、
  単なるひき逃げ事件から、
  実はそれに救われた人がいた事、
  そして、それを忘れる為に逃げ、しかし逃げきれなかった人が存在していた事、
  
  更には物語途中で度々語られる「後々考えると・・・」
  という台詞にもかかっているかと思います。


そして、
・ 会計士を目指す男性こそがかつてのひき逃げ犯人であり、
  10年経っても子供を探す少年の母親の姿に耐え切れず、
  とうとう妻にその事実を話してしまいます。


・ 轢かれた少年は川へ落ちた所を死に場所を探していた中年男性に助けられ、
  しかし記憶喪失に陥っていた事などから
  少年はいつしか中年男性の子供として(※戸籍を持たず)育てられる。

  これが借金苦で自殺を考えていた中年男性にも、
  「新たな素性で人生をやり直す」きっかけをあたえる救いでもありました。


・ 少年の母親は韓国料理店にて、それまでの情報やクリーニング店のチラシなどから
  「かつてひき逃げされた少年を助けたのが中年男性で
  少年はきっと記憶を失っていてそれを自分の子供として育てた、
  それがこのチラシに写っている青年だ!」と全てを本人達の前で言い当てます。

  しかし、そこでのクリーニング店社長や恋人達の証言からそれは間違いである、
  とさとされ、「全ては自分の妄想にすぎない」と認め、母親は去っていきます。

  ※ この時点、普通のお芝居であれば、推理モノなどのように
    解決編に向かってしまうものと思いましたが、
    全てが判明したからそれで終わり、
    にはしないのがこの脚本のすごい所だと思いました。


そして、
・ 会計士は妻にひき逃げの事実を告白し、
  それを少年の母親に告白しに行くが・・・

・ 少年の母親は自分の推測が外れたものとして、
  (それまでに他の家族から勧められたこともあり)
  少年の捜索を打ち切り、少しでも長く生きる為に入院する、と決心し

と物語は結局、
「解決ではなく、それぞれがそれぞれの傷跡を抱えたまま生きて行く」
事になるのかと思いましたが、

・ 会計士の妻は亭主の告白を止め、子供を無事出産する。
  しかし「2度とあなたには子供を抱かせない」と言い捨てる。

・ 中年男性は青年に「出て行け!」と金を渡して一時的に追い出し、
  自分は10年前の事件からの全てを警察に行って
  自供してくる、という別れ。

最後、青年とその彼女が「川」沿いを散歩している所へ
その(本当の)母親がおっかなびっくりに自転車を漕いでやってくる場面、
転倒しそうな自転車を青年が助け、そのまま去っていく。
そしてそれを見送り、何かに気づく母親。

場面暗転して、倒れた自転車がポツンと残された場面。


結局、
・ 母親は青年を追ったのか?
・ 青年を見た事で安心した母親は急死してしまったのか?
・ 中年男性が警察へ言って自供したとして、
  母親の元へ真実は届いた(間に合った)のか?

など、最後の最後については述べられないまま物語は終了します。


物語途中から涙や鼻をすする音などから、
「泣いている方がいるんだな」とは思いながら
自分は(泣かせる場面、内容は多くても)
淡々と進む物語の流れに、
笑いはしても、実際涙は出ませんでした。

そして、この締め。


しかし、この「淡々とした感じ」「人達のしたたかな姿を描く」
「分かりきった結末ではなく、余韻とでも言うべき何かを残して物語を終わらせる」
そこが桑原裕子さん脚本/演出の素晴らしい所なのかな、と思います。

多分、夢で「こう終わったんじゃないかな」とか妄想する事になると思いますが、
そういう観劇の後の楽しみを残す終わり方こそが桑原さん、そしてKAKUTAさんの持ち味なのかなあ、
と。


自分の妄想だと、
「青年と母親は再会しますが、青年の記憶が戻る訳でもなく
青年は自分を育ててくれた中年男性の無実を主張し、
母親もまたそれを良しとして最後を迎える」
という形でしょうか。

会計士の人は「ひき逃げ」した相手が生きていた、という意味では
救われるでしょうが、多分奥さんは「ひき逃げ」の事実を隠した事より
自分に言って楽になろうとした主人を一生許さないのだろうなあ、と。
relife

relife

LOVE&FAT FACTORY

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/07/23 (水) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

「犯人は誰だ!」的ドキドキミステリ
パンフに書かれたあらすじから
「死刑囚としての過去・消された記憶の行方」と
「真実の愛の形」的なものを組み合わせた物語になるのかなあ、
と想像してましたが、
(想像は当たっていながらも)
ある連続殺人事件の「犯人は誰だ!」的なミステリをうまく絡めていた為、
一癖も二癖もある登場人物について、
「この人は違うな?」
「この人の行動怪しくないか?」
と終盤までずっと自分なりに推理しつつ物語を楽しむ事が出来ました。

ネタバレBOX

(パッと見売れてなさそうな)アイドル3人組の前説から、
いきなり部屋で寝ている男とその隣にいる妻(恋人?)とおぼしき人物、
「記憶がない(昨日の、ではなく今までの)」という男に対して、
「昨日ベロンベロンに酔って帰ってきたのよ」、
と自分達が夫婦(恋人?)である事などを
それとなく納得させての物語スタート、と思ったら、


場面転じてゲスい敏腕プロデューサーに
先のアイドル3人組(パストラミ)の
プロデュースをお願いするマネージャーと、

ゲスいが故に3人それぞれの身体を要求するプロデューサー、
更には一番年下の未成年ながら自ら「アイドルになる為に」と
身体を差し出すリーダーなど、


案内パンフにあった人間関係構成図が段々と紹介されていきますが、
いきなりそこになかったはずの線が登場し始め
(妻と敏腕プロデューサーの関係など)、


ニュースで流れていた「顔面ミンチ殺人事件」を
追う刑事達の登場から更に物語が動き始めます。


・ 場面転換のテンポが(全部が全部ではないですが)
  基本的に良かったです。

  物語中(鑑識の人が愚痴ってましたが( ´ー`))、
  必要な小道具である椅子や机を自ら持ち込み
  場面を演じた上で小道具を片付けつつハケる役者と
  次の場面に入る別の役者達、

  シアターKASSAIは大道具、小道具をクルクルと
  入れ替えするのが難しい為、
  下手な?お芝居では場面転換ごとに暗転して
  いちいち総入れ替えを行ったりとする所を、
  前述のようにサクサク進行してくれた為、
  物語への集中が全く妨げられずに済みました。

・ 刑事が追っている以上、登場人物の誰かが関わっている(犯人?)であろう、
  「顔面ミンチ殺人事件」、
  通り魔的犯行かつ顔面をナイフでめった刺しにするという
  この恐怖の事件について、

  本劇の登場人物それぞれがそれぞれ一癖も二癖もあった為、
  「この人が犯人でもおかしくない!?」
  「この人はあいのりしての模倣犯になろうとしてるので違う?」
  「普通の人かと思ったら実はコイツも悪い奴?怪しくなってきたぞ!?」
  など、(今では珍しくなった)犯人が誰か分からない状態での
  ミステリ小説的な物語展開に、
  舞台観劇と同時に推理ゲームを楽しむ事が出来ました。

・ 「脳の記憶は消したが身体の記憶は残っている」という言葉に始まり、
  主人公が段々と元殺人鬼にして死刑囚「松本」であった事を
  断片的に思い出していく場面、
  (元殺人犯が今回も犯人、では普通すぎる物語になってしまう、と)
  「主人公は犯人ではない」とは思いつつ、
  最終的にこの主人公はどうなってしまうのか?
  序盤での「普通の人」としてのリサイクル人生(relife)を
  生きられるのか、
  あるいは殺人犯「松本」の復活になってしまうのか、
  物語の流れが非常に興味深かったです。

・ 殺人犯「松本」については、
  当時通り魔的犯行で被害者に致命傷を与えながらも、
  「自分が一番大切だと思う人に電話をかけ、その人が来たら助けてやろう」
  (致命傷なのでどちらにしろ助からないのですが)、
  というゲームを楽しんでいた、という過去から

  「愛情」が分からずにいたサイコパスな殺人犯、としての過去と
  終盤の妻とのやりとり、「松本」化してしまいながらも
  「(ナイフで刺して、愛を)試してもいいか?」と妻に問いつつ
  実際には自分を刺して自分自身の気持ちを確かめる、
  伏線からエンディングにかけて
  「うまくつなげてきたな」と思わせられました。

・ そもそも今回はボクラ団義中村さんの客演を観に行ったのですが、
  ボクラ団義での「善のおじいちゃん」や
  「悪役中高年(志士や悪徳政治家)」役とは大きく違う、

  本物語の中で「こいつが一番悪いんじゃないのか?
  (物語が悪い方向へ進む全ての引き金になっている)」
  ある意味主役すら食いかねない、
  エネルギッシュさとゲスさと弱い心も持った、
  敏腕悪徳プロデューサーを見事に演じてました。

  パストラミ3人が大接近してのアピールなどに対して、
  まったく表情を崩さず「くだらないね」と流す演技など、
  やはり演劇経験の長さ/深さが色々な面で生きてるんだなあ、
  と改めて感心しました。

・ 本物語の導入の更に前にあたるプロローグ
  (殺人犯「松本」改め人畜無害になった主人公が
  ヒロイン(妻)の家に来るまで)を
  無声芝居で演じられていたのが良かったと思います。

  家族といえる人を全て失った元アイドルが「金の力で」とはいえ、
  再び「家族」を得ようとする行為部分、
  下手に普通のお芝居で描いてしまうより、
  無声芝居で演じられる事で、実際表現されている内容以上に
  「きっとあんな事こんな事があったのだろうなあ」と
  想像力を膨らませるきっかけになりました。


自分としてはひさびさのドキドキ「推理劇」を組み込んだ
物語展開に本劇を心から楽しめた、と思います。


ただ、数点気になった所

・ パストラミのリーダーにして、
  「顔面ミンチ連続殺人事件」の犯人について、
  今回のプロデューサー殺人未遂の理由はともかく

  ・ どうして連続殺人を行うようになったのか?

  ・ なぜ、パストラミの缶バッジを毎回犯行現場に残したのか?

  などの部分について、出来れば物語中で描いて欲しかったなあ、と。

  本筋は「ここではない」っていう意味で
  蛇足にならないように削ったのかも知れないけど

  同様に

  ・ 元刑事で殺人犯「松本」の検挙を機に鑑識へ転属した
    (実際の刑事/警察機構でそんな異動が出来るのかはともかく)
    その理由(わけ)も知りたかったですねえ。

  その辺、ラスト前、あるいはラスト後のエピローグ的に語られたら
  (自分としては)更に良かったかなあ( ´ー`)

と、「この部分もっと深く観せて欲しかった」という部分はありましたが、
観劇中ずっとドキドキさせられたミステリ要素などが非常に
面白かったので★5つ、とさせていただきます。


PS.感想書き終えてご飯食べてて気付きましたが、
  「顔面ミンチ殺人事件」、最後の被害者はプロダクション社長だったような?
  となると、
  ・ リーダーは無差別殺人ではなく「パストラミ」の障害になる
    人物を殺していった?
  ・ しかし、分かりやすい繋がりが見つかれば
    すぐに犯人にたどり着いてしまうのでは?
  など、ちょっと振り返り考察も楽しめるのがいいですね。

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