ミラージュ・イン・スチームパンク 公演情報 X-QUEST「ミラージュ・イン・スチームパンク」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    劇団X-QUEST、『トクナガワールド』は健在!!
    ネタバレはこちらに書けないので、
    「自分の求める劇団X-QUESTとその『トクナガワールド』な
    物語展開は今回も健在でした!!」とまず言っておきましょう。


    自分はまだX-QUEST歴は短い方なのですが、
    トクナガヒデカツさんの作る物語は
    普通の(1本2本の本筋で進む)お芝居とはかなり違い、

    人間の脳の動きにより近い
    「あの事を考えていたけど次の瞬間全く別の事を考えている」
    みたいな支離滅裂というか超展開的な進行をしながらも、

    話の筋でなく舞台上観たまんまを脳に刻みつけていくと
    いつの間にか物語が脳裏に刻まれ
    その中でトクナガさんが語りたかった(と思われる)
    テーマ的なものにも触れている、
    という「感覚的なもの、フィーリング」がすごく面白い、
    というか「気持ちいい体験をしている」と感じています。


    今回の

    ミラージュ・イン・スチームパンク
    ─最終兵器ピノキオ、その罪と罰─

    も見事、
    「トクナガワールド」のアハ体験的なものを
    感じさせていただきました( ´ー`)

    ネタバレBOX

    ・ チラシのキャスト表時点でほぼ判明していましたが、
      ベニクラゲマンシリーズとは無関係で
      「マーベラス」に出てきたピノキオとも
      (多分)別人で無関係でしたね
      (地球を滅ぼす最終兵器なんかじゃないし)。

      当日まで本劇はベニクラゲマンの続編、
      あるいはサイドストーリー的なものを想像していたので
      いい意味で裏切られました。

      ピノキオの衣装が全然違う時点で「アレ?」と思ったんですよね。


    ・ 王子小劇場の見上げる舞台で殺陣を観ていて、自分も
      「X-QUESTさんの王子小劇場での殺陣をこれで3回?観て目が慣れてきた」
      からか、ちょっとスロー目というか殺陣者同士の剣戟の振りと受けのタイミング、
      距離などが少し緩いのかな、と最初思ってしまいました。

      しかし良く考えてみると、
      普通の観客席と舞台が対面する形での芝居の殺陣は横でやりあうだけなのに対して、
      王子小劇場はそれこそ四方全てにこの殺陣をちゃんと観せなければいけない、
      その為に剣戟しながら少しずつ角度や立ち位置などを円の形に変化させていて
      (簡単な横の殺陣のやりとりとは)レベルの違う事をやっているんだ、
      という事に気づき、改めて関心しました。

      ※ ただ、後半トクナガさん(コオロギ)が剣戟に加わるシーンで
        見事な立ち回りを見せていたので、
        やはり殺陣の技術的なものにも差があるのかな?
        という気がしないでもないです。

        X-QUESTでは「殺陣」といえば「誰」なんでしょう?


    ・ 今回は序盤から終盤まで本当にダンス、ダンス、ダンスと
      クラブ王子小劇場、ダンスチームX-QUESTと言えるぐらいに
      群舞的なダンスの連続でした。
      ミュージカルや何かの「綺麗に見える」(だけの)ダンスとは
      また違う独創的なものが多かったのですが、
      観客席から見上げるこのダンスの「表現力」に
      
      「ダンスは単にお芝居に起伏をくわえたり、
      シーンの切り替えに使うだけでなく、
      ちゃんと物語自体の表現としても成立させられるんだな」
      (少なくともX-QUESTは)
      と改めて関心させられました。


    ・ まだX-QUEST観劇数が少ない自分にとっては
      「トクナガワールド」こそ求めているお芝居であり
      支離滅裂的超展開とその裏に隠されたテーマこそが魅力だと思っているのですが、
      本劇では

      ・ いきなりピノキオが空から落下し地上についたら地球が滅ぶ

      ・ 空でのバトル展開(まるで古き良き時代のファイナルファンタジー)

      ・ 落ちたと思ったらおじさんの網に掬(すく)われている、
        というこれまた超展開

      からの始まりにドキドキが止まらないながらも、

      ・ 基本「テーマ」部分の雰囲気が感じられない(見えにくい)

      ・ 喜劇的な流れが非常に多い

      など、
      「今回はいつもみたいに一見楽しげに展開する中に
      実は深いテーマが隠されている」という感じではなく、
      「単なるX-QUEST流喜劇なのかな?」
      とちょっと中盤辺りまで残念な想像をしてしまいました
      (舞台自体はとても楽しいのですが)。

      しかし、
      現実とファンタジーの世界の存在について語る者達、
      そしてそれがピノキオとしんきろう、
      どちらについての話をしているのか、
      という所から一気に深みにハマり、

      まさかまさかの
      ピノキオ(単なるロボ)としんきろう(子供時代)は
      出会ったばかりの友達で
      一緒に工場内をうろつくうちに、
      溶鉱炉に落ちそうになったピノキオを助けようと
      しんきろうが溶鉱炉に落ちてしまい、
      その際助けようという意志はあったにも関わらず
      「手が出なかった」というショックから
      ピノキオの後悔により(+意志崩壊しない為?)
      本劇のファンタジー世界という支離滅裂世界へ
      逃げ込んでいた、というとても悲しい話に
      つながっていきました。

      「人間になりたい」
      「今度はしんきろうの代わりに僕が溶鉱炉へ落ちる」
      「溶鉱炉の中で一緒に・・・」
      
      人間以上に人間らしい悲しみの気持ちを持ったピノキオに
      それまでの喜劇的展開がいっきに悲しみの物語に急降下(急変化?)して
      自分の感受性的に驚かされてしまいました。


    やっぱりX-QUEST、「トクナガワールド」はすごいなあ、
    なんとかドラッグじゃないけど、一度ハマると効果は絶大で
    抜け出せないお芝居の世界なんじゃないかなあ、と思いましたね( ´ー`)

    あ、DVDは今までの分も含めて次回買いたいと思いますm(_ _)m

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    2014/11/28 23:28

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