虚構の劇団 第13回公演「もうひとつの地球の歩き方 〜How to walk on another Earth.〜」
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2018/01/19 (金) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★
自分が大人になってきたのか、それとも・・。鴻上さんのホンの世界はやはり、「ここ」であって「ここではないどこか」なのかもしれない。「わたし」であって「わたしでないだれか」かもしれない。だから、刺さる。集団となる無意識の圧って、そこかしこに存在してるんだなと。気がついてないだけで、私もその32分の1なのかもしれないし、見物客気分の群衆の一人だ。そんな事を考えながら、観た。AI?良く聞くな~位の認識。科学的な云々よりも、「人の気持ち」って・・。と、物凄くシンプルな問いに立ち戻るような感じがした。いじめだって「悪い」事と認識はしてるけど自分がしてる事が「悪い事」とは認識してないのが今の時代なのかと。好き嫌いは人によってあると思うが
やはり、私は鴻上さんの書くホンが好きなので、きっと、これからも見続けると思った。珍しくパンフレット以外を購入。10周年記念だし。私はまだ7年位しか観ていないので、昔から応援してる方は色々思う所も沢山あるのでは。旗揚げは知っていたがどうしても、第三舞台からの切り替えが出来ず、観に行くのを躊躇っていた。鴻上さんが「若いメンバー」と言っている旗揚げメンバーも個々が成長して力強くなってきたのかと。
今作初めて虚構の劇団を観たという感想を多く目にする。客演のファンの方も勿論だと思うが、メンバーが他所での活躍で本公演に足を運んでる方が増えたのかなとも思う。
滅びの国
ロ字ック
本多劇場(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★
一番、怖かったのが日高ボブ美さんの役だった・・。「こんなはずではなかった・・」でも、誰しも、持っている感情で、決して他人事ではなくって、観ていて、怖かった。初見だったが、物凄く、ドロドロしてるけど、観終った後に、スパーンってちょっと、空が青く見える錯覚を起こす様な感じだった。
2時間半の長尺だが、あまり、気にならず。あとで、また、ゆっくり、感想を・・。マチネのみのアフターイベントはふと、Straw&Berryのおまけ演劇を想い出した。マチネのみのアフターイベントでは、犬と串のホリさんがはっちゃけてた。なかなか、余韻をぶち壊して頂いて楽しかったです。承認欲求って、誰しもが持っていて、どう、それを処理していくか、どの程度で満足するか。専業主婦に限った事でも、集合住宅に住んでいるからだけでもなく、本当に皆、持ってる感情だと観ながら思って、尚且つ、こうこじれたらこうなるのかと。私は主人公の主婦が可哀想だと思わないし、哀れだとも思わない。ごく、身近に感じるからだ。「ああ、きっと、これは私のもう一つの姿かな」と。前出でこの物語のラストは、青空がみるようだと表したが、うん、ほんとにそうだと思った。
面白かった。
今回東谷英人さん客演という事で観劇したのだが、三津谷亮さんの「祥示」の考え方、行動って、彼のダメな父親の事も関係してるんだろうなと。かなり、東谷さんが演じてたのが嫌な駄目親父だったので、更にもっと、駄目度数が高まる事を期待してます。
少年社中×東映 舞台プロジェクト「ピカレスク◆セブン」
少年社中
サンシャイン劇場(東京都)
2018/01/06 (土) ~ 2018/01/15 (月)公演終了
満足度★★★
初見。今回は大高洋夫さんご出演という事で観劇。群唱場面に大高さんがいらっしゃる姿にぞくぞく震えた。あまりにも、素敵だ。ホン自体は、権力を得るということ。それがゴールになる人間と、そこがスタートになる人間との違いを感じた。歴史上の人物たちは、様々な「ゴール」を廻って、更に、「自分が信じるもの」「憧れてるもの」「守りたいもの」そういった感情が混じりあった。「善」と「惡」、表裏一体なのか。登場人物も多かったが、以前虚構の劇団で拝見した佃井皆美さんの殺陣が私は詳しくないのであれですが、とても、キレがあり、短刀さばきが美しく、尚且つ、刀が人を殺す道具だというのが伝わる殺陣だった。この役は素敵だった。
『熱狂』『あの記憶の記録』
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2017/12/07 (木) ~ 2017/12/19 (火)公演終了
満足度★★★★
再演というこの戯曲、お名前はよくみていたが、初・劇団チョコレートケーキ。
有名な独裁者の彼を中心に周辺の人々が描かれる。
私は、狂信的に誰かに服従するといった経験が無いが、あの渦の中に取り込まれた人間が実際に大勢居た事実。
タイトルのまさに「熱狂」という単語が言い当てていて、怖いし、一歩間違えると自分だってそういった国や、団体や、人間と接触することがあるかもしれない。
ただ、傍観している自分は、ストーリーテラーのリシャルト・ビルクナー(浅井 伸治さん)の最後の演説を見つめる切ないような、辛そうな、寂しそうな表情が印象的だった。
「壊れていく」「間違ってる」と感じている人がいる一方で、「熱狂」して、止める事が出来ない進み方をしてしまったヒトラー。
そして、その周りの人々。
遠い歴史の話かもしれないが、そうとは言えない話。
ヒトラーと同じ方法をする、情報を操作したり、難しい事は大衆には伝わらないが分かり易く伝えると支持を得る。
これは、物凄く、リアルである。
例え、その人が間違った思想だとしても、人々は熱狂すると思う。
ヒトラーを取り巻く人間が自分の感情を表だって見せない騙し合いのような中、人間臭い、血が通ってる感が良かったのが大原研二さん演じたエルンスト・レーム。
ヒトラーの古くからの同志。
彼は、粗野な感じだが、一番、温かさを感じた。
ハーケンクロイツを使った舞台美術が縄のような、和紙のようなタペストリーのようになっていた。
下手でエルンスト・レームが壇上で話す時、そのシルエットが映し出されて、物凄く、照明も綺麗だった。
今年最後の観劇がこの作品だった。善き観劇納めとなった。
ちゅらと修羅
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2017/12/07 (木) ~ 2017/12/13 (水)公演終了
満足度★★★★★
凄いし、苦しい。
知らなかったことを、つけつけられた。
いや、伝えて貰った。
大事に、感想を書きたいと思った。
まだ、心臓が痛く、苦しい。
あの森や、あの海や、あの場所で生きてる、生きていた人たちの事を。
ニュースで基地の問題をみたことはあった、戦争時の地上戦が行われたことも学校で習った。
でも、何も知らないに等しい。
知ろうとしないのは自分で、知る必要が無いと思ってた。
だって、私には関係ないことだと。
遠い場所の話だと。
でも、この作品を観た、今。
あの2時間10分の中に沢山の「情報」「想い」「悲しみ」「希望」「未来」。
「事実」としての「情報」には、女の私にはとても、耳を塞ぎたくなる事柄。
そして、「国」としての「日本」は余りにも「沖縄」にとって不誠実だ。
「日本」はどれだけ「沖縄」に対して「ゆくし」を重ねるのか。
セジ(沖縄の方言で霊力)が語る。
様々なドアを開けるのは、偶然なのか、必然なのか。
私は開ける事になったら、それを受け止めらるのか。
分からない。
劇中何度か涙、こぼれた。
私が女だからなのかもしれない。
戦時中、基地がある事によって起こった犯罪、その事が「女」に向けられた事実。
「なぜ?沖縄ばかり・・・」という思いが沸き起こる。
芝居の最後に、人々が叫ぶ。
その叫びにまた、涙する。
そして、これをみてこれを観ている私の街も、このまま、「国」の行う事に無関心なままでいると、同じようなことが怒るかもしれないと。
遠い国の話ではない。
同じ「日本」で起こってる「事実」なのだと。
劇中の音楽も良かった。
凄いホンだった。
凄い俳優陣だった。
「では、観たあなたは何が受け取って、出来る?」と問われると、何が出来るのだろうか。
抗議運動が出来るのか?
沖縄の為に・・。
難しい。でも、心に留めておくことは出来る。
ならば、出来る事を。
「わたしが」出来る事をしよう。クラウドファンディング、私はこれに微力だけど参加しようと思う。
この芝居を観た数日後。
ウーマンラッシュアワーさんの漫才のネタが話題となる。
ある種、エンターテインメントの世界ではタブー視されるような題材。
内容も、至極、最も。
例えばそれを文章や
講演会などで大衆に伝える事も可能だ。
ただ、「普通のやり方」では駄目なのだと、あの漫才を観て思った。
あのやり方を選んだ訳があるのだと。
ただ、奇をてらった訳では無い。
あえての、あの媒体を使ったのだと思う。
この「ちゅらと修羅」とも通じる「無恥による暴力」と
最後、ネタの終わりに「おまえたちのことだ」と色んなターゲットに向けての言葉と取れる台詞であの漫才は終わった。
あれが、ある種、言いたかった事だと思った。
そう、「私、私たちの事なのだ」。
偶然かもしれないが、芝居の後、すぐのタイミングであの漫才。
かなり、強力だった。
ホテル・ミラクル5
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/12/01 (金) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
15 Minutes Made Anniversary
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
メモリ
戯画演劇団 少年♂アダルト
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2017/08/30 (水) ~ 2017/09/03 (日)公演終了
SFに馴染みの無い自分として、劇中の様々なワードは分かるモノ、分からないモノだったが、かなり、ホンの内容が色々な要素が詰め込まれた感じを受けた。柱が3本あると思うのだが、その絡ませ方必要な伏線を回収はしているのだが、もう少し、丁寧に3本の柱が描かれていると良かったかなと感じる。90分という制約があるようなのだが、少し勿体無い気がした。劇中、あるモノが使用されているのだが、象徴するにはとても、分かり易いモノだった。
どんどん、溜まるのか、捨てられているのか、膨大な「モノ」の果てに本当の人の幸せって何かな?と感じた照明の陰影の出し方が美しい場面が多い。開演前にも、映像が流れているのだが、それもちゃんと観たい感じに気になった。空調が若干強め。主役の海田眞佑さんがカッコよかった。
ウロボロス
Straw&Berry
新宿眼科画廊(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
きゃんと、すたんどみー、なう。
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
エフェメラル・エレメンツ
ティーファクトリー
吉祥寺シアター(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/10/03 (火)公演終了
『青いポスト』/『崩れる』
アマヤドリ
王子小劇場(東京都)
2017/11/04 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
始まりと、終わりにヤヨイが語りかける。没入するタイミングをある種、持たせない独特の入り方はアマヤドリらしいのか。私の住んでる街と違わない(ハズ)のもう一つの(カワッタ)街の物語を、今日、観た。それが「青いポスト」。その街では、国民投票で年一回、悪いヒトが決まる。「選ぶ」側と「選ばれる」側。民主的だ。多数決で「消える」人を選ぶのだから。民主的?本当に??その国のルールだから、OKなの?うまれた時からだとそこに疑問を持たない。ヒトはその集団の中で、点と点同士の関わり合いで異なる集団では違った「自分」がいる事が観て感じた。「家族」の中で、「友人」の中で、「仕事」の中で、どう立ち振る舞う事が正解か答えは様々な気もするが、自分はどうだろうかと思う双子の逃げちゃったお母さん(実際は出てこない)、双子の叔母(一川幸恵さん)が自分的に凄く気持ちが寄る役どころだった。お母さんの言葉が、今の日本の母親たちに凄くかせられてるというか、そういった「目」で見られてるし、その圧に耐えられない人もいるって、物凄く分かる。だからといって、お母さんの行動を肯定する訳では無いけど、あの「国」だったら逃げたくなるのかな。叔母は逃げず、二人を育てたというある種対極なんだけど、でも、彼女の本当の気持ち叔母の気持ちはどーなんだろうかな?と思った。縮図ぽいといったら確かにそうかもしれないけど、意識してないけど、やっぱり、自分も良く思われたいから、そうふるまってしまうし、そうでないヒトを排除しようと思うのかもしれないな。
「悪い」ってそもそも、何だろう?
劇中に殺人以外・・・みたいな台詞もあったが、「悪い」ってそれぞれ個人の捉え方で「善意」が「悪意」ってオセロみたいにひっくり返るものかなと。姉の「善意」は妹にとって「悪意」、「悪」と「善」は紙一重。あっという間に色すら変わる
毎回思うのだが、本当にアマヤドリの衣装、素敵なのです。色のバランス感覚って本当に重要だと。あと、やはり、陰影の美しさ。壁に映る客席からは見えない影での表情みたいなものも感じる。そして、群舞からの頬に受ける、風。好き。
「崩れる」中盤から胃がキリキリというか、自分に過去に湧き上がった「怒り」の感覚が浮かんできて、苦しくなる。「許す」ってなんだろうかとも、思いながら、俯瞰でみるとしたら「許せる」事も同じラインに立った時点で「許せない」ものかと。
昨日観た「青いポスト」、そして本日の「崩れる」広田さんの新作はある種「アマヤドリ」が苦手だと思ってる方も一回是非、観て貰いたいと思った。特に針谷役石本政晶さんが、私が今まで拝見した中でダントツに良かった。そして、あの役、しんどいけど、石本さんがやる事によっての怖さというか、ぞくぞくするなんというか、刺さってくる感情の伝わり方が凄かった。江田役の倉田大輔さんが劇中の台詞をお借りするならば「人格が凄い(ある意味)」。物凄く、倉田さんならではの江田という役があの場所に存在する不快感や、でも、そういった人は現実には必ず存在して、あんな生き方で上手く生きていけるんだろうなと。園田役の宮崎雄真さんが発する台詞にキリキリした私の胃が緩和される。あの宿に集うヒトはもしかするもしかすると、意図しないけど、引き寄せられて糸にくるまれ、逃げ場所としてあそこに来てしまうのかもしれない。雨が降る。吐き出した怒りと、罠と、どうにもできない感情と。最後、雨の中。雨の中・・・。
PTA
ホチキス
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2017/08/17 (木) ~ 2017/08/21 (月)公演終了
米山さんのホンらしい、どうしても、ほんわかとしてしまう空気。どんなに面白くっても、どんなに下ネタでも、何故か「じん」としてしまう。
「ホチキス」という空間がきちんとあるんだなと。
今回はとある小学校のある会議のお話。
参加してる人々(保護者や教員など)次第に「ホンネ」を語りだす
「学校」という一個のコミニティにおける「ルール」は、ある意味、どの場面にも当てはまる。
「良かれ」と思い、様々な「ルール」を設けていく事が結果としてどうなのか。
観ながら、ふと、自分の身の回りを思う。「ルール」は必要だが、果たして「ルール」に縛られてしまうのは幸せなのかな?と観ながら、そんな事を考えてしまった。
事の発端は、自転車事故によって亡くなった教員の事から
子ども達が事故の危険性を理解し、更に事故を防ぐための自転車免許をルールとして作ろうといった
既に、ほぼ採決など取らなくてもほぼほぼ、決まるような流れだった・・・・ハズ。
しかし、徐々にルールの細かなチェックに始まり、最終的には
賛成派VS反対派になってのメンドクサイ会議になり始めていた。
そう、メンドクサイのだ。
いちいと、予定調和で決まった事案をひっくり返す労力なんて、日常ではメンドクサイ。
だから、人はイエスマンになった方が「ハナシ」は進む。
今作、第三舞台の大高洋夫さんがご出演。イエスマンとして、中間管理職となった教頭先生がある意味日本らしい象徴のような役柄だったかなと。
最終的には、亡くなった教師の事故死の真相が分かるまでとなり、本来、何が
子供たちの心を掴み、尚且つ、どういった行動をするのが良いのか。
その答えが段々と引き出されていった。
最後、ポストの場面は暖かい色の照明がまるで、天国と学校を繋げているような感じで、涙が出てしまった。
penalty killing
風琴工房
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2017/07/29 (土) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
7/19マチネ観劇
スポーツはまったく興味が無い。
応援する団体も無い。
でも、この芝居はそんな人もきっと、最後は月光アイスブレーカーズを応援したくなる。
2時間15分の中に熱い彼らの気持ちがずどんと胸に残る。
再演と言う事だが、前回を観ていないため
実際どうだろうか?
専門用語とか出ても、ルールも分からないし、
そもそも、スポーツ興味ないし・・。
劇中の様々な登場人物の対比が面白い。
特に新人3名とベテランの描き方が良かった。
鼓舞する彼らの根底にある「自分の為」に、「チームの為」に、そして、実際のモデルになってるチームの背景にある「チームを応援する多くのサポーターの人たち」の為に。
応援する人たちとのエピソードを語る場面で、泣きそうになった。
ただ、熱いだけではなく、アイスホッケーというスポーツを通じての人との物語だった。
ロビーから未来チックな通路で客席にむかい、劇場内に入った時、一瞬、足が止まった。
「あれ?劇場じゃない・・・、アイスリンク?かっっこいい」
上からみる光景は特にそう感じる。
良い舞台は、第一印象が良いのだ。
劇中の音楽や、照明、特に電飾の効果は本物のリンクに居る様な錯覚に陥る。
激しい試合の描写は、ダンサブルに表現されていてリズムを足で取りたくなる。
小島 悠平役のクロムモリブデンの森下 亮さん。
クールな感じかと思いきや、熱い、そして、ヒーローの様な人にも
プロの世界での厳しさを体験している。
穏やかに微笑んでるけど、視線が鋭く、ぴしっと空気を変える。
瀬川英一役の岡野康弘さん。劇中で唄を歌われるシーンがあって、「おおお」となる。
この方も、色んな役柄を演じる方だが、今作は黙っていれば優勝チーム
から、移籍してきた経歴で、他からみたら、「なんで?」となるのだが、このチームだからこその充実感を感じさせる演技だった。
劇中、スティックを手に取り、踊るとある場面でスティックにキスをしたような仕草があった気がした。ミーハーな発言だとは思うのだが、きゅんとなってしまった。
織田 寅雄役の犬と串の板倉武志さん。何回か、犬と串で観劇しているが今回は板倉さんらしいというか、物凄くアテガキのような役柄と板倉さんがしっくりきていたように感じた。
大きな体と反比例したメンタルという、設定。そこからのどう成長していくのか、劇中母のような気持ちで見つめてしまった。
ファルコンズのメンバーも、ベンチにいる時(舞台上からはけているとき)
でも、かなり、細かい芝居をしていた。
(上手だったので、よく見えた)
そして、ダンスの場面は流石です。
本当に、一緒にリズムを刻んで乗りたかった。
ただ、五十嵐 結也さんが目の前にいらっしゃると、つい褌姿がオーバーラップしてしまうというトラップが・・・。
今作は、「スポーツ」=「根性」という鉄の法則を
0%にも100%にもしない。
「熱い」想いは受け取るんだが、「暑苦しい」とはならず、
押し付けがましい「すぽこん物」では無い。
なんという形容が一番適してるのだろうか。
スポーツやアイスホッケーに興味ある・なし、
知識ある・なし、
俳優を知っている・知らない
そんなのは関係なく観るとワクワクして、ドキドキして、楽しくて
ほろりとして・・・。
人と人の繋がりや、頑張りっていいなと思うような舞台だった。
あとは、色んな葛藤を皆が抱えて、そこは年齢の層で色々ちがうんだなっていう演出も面白かった。
純惑ノ詩―じゅんわくのうた―
野生児童
小劇場B1(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
「死」だけが永遠に愛する人を愛する証となるのだろうか。
観ながら、そう感じ、悲しい想いが湧き上がる。
ただ、「恋しい、恋しい、貴方が恋しい・・・」
そう、お岩様は遠い昔に想いを伊右衛門に抱き続けた。
そして、2017年。
やはり「恋しい・・・」その想いがぶつかり、壊れ、崩れ落ち、辛い。
舞台は現代・下町なのだろうか。
夏の夜を彩る花火は、192年前も恋人たちを照らしていたのだろうか。
今年は奇しくも他公演でも、同じ「東海道四谷怪談」を観た。
お岩様の皮膚がただれて、醜い姿になっていく描写が今回も、涙が出てしまった。
怖いのではなく、気持ち悪いのではなく
「彼女」の気持ちが痛く、伝わってくる。その感情が伝わる事によって
「私」も悲しく、絶望的な気持ちになり、涙が出てしまう。
今作は様々な「想い」が入り組み、「想う」が故の悲しい物語だった。
田宮伊佐雄役:齋藤陽介さんの一途な「想い」も、三津谷石珂役:有田杏子さんのすべてを包み込むような「想い」も、みんなが自分の愛おしいと思う相手の事を考えて、「良かれ」と思ってる。
それは、ごく自然な事で、当たり前かもしれない。
でも、そこに「死」がひとつの解決策となるのは
本当の「愛」なのだろうかと。
人によっては、そう定義する人もいるかもしれない。
でも、「死」は続くものではないと私は思っている。
「死」は「無」になってしまう。
純粋にその人だけを想う事が罪なのか。
観ていると、切なさよりも悲しさが私は大きかった。
純粋に人を好きになると言う事はある意味、怖い事なのかもしれない。
いつも、明るい役柄でお逢いすることが多い齋藤陽介さんが今作はとても、鋭い
狂気すら感じる演技で怖くも有ったが、「愛」を感じた。
もう少し、こう、感じた事、書きたいのだが上手く「単語」に出来ない。
あの時間は花火みたいに一瞬の閃光の中の出来事だったんじゃないかって。
幻のような、何というか・・・・。
でも、悲しい気持ちになる物語は一瞬で消えてしまった方が良いのかもしれない。
人は、「生きて」こそ、大切な人と有限の時間を過ごすことが平凡だけど幸せじゃないかと。
虚構の劇団の木村美月さんも出演。
可愛らしい役柄であった。
今回お二人気になった方がいた。
伊藤槇子役:荻窪えきさんX-QUEST所属
不勉強で初見なのだが、かなり、劇中の空気を混ぜ込んで中和する役柄で大変素敵だった。
拓悦役:オザワミツグさん劇団居酒屋ベースボール所属
中盤からきっと、そうなんだろうなと思っていたが、あの感情のぶつけ方や、立ち位置はかなり、良かった。
あの中にあって、一番、ある意味均整の取れた役柄だったように思える。
きゃんと、すたんどみー、なう。
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
一日の流れだとは思うのだが、とてつもなく長い時間が流れていて、その中で色んな事が起こった・・・筈。
そして、何故か違和感の感じる笑いが起こる芝居だった。
それは自分の保守的な考え方からなのか、それとも、自分の中の差別的な考え方からなのか・・。
例えば、知的障害者の動作などで笑いが起こる。
「笑う所?」と私は感じる。
でも、「笑う」という動作を制御する本来の私の概念は何だろうか?
例えば、その動作を健常者がわざとコメディーのようにやるのなら
笑ってもよい
障害者だから、笑ってはいけない
その境界線を自分が引っ張っているからなのだと思う。
「○○だから・・・」という葛藤は劇中でもワードとして出てくる。
私も、その線引きをすることによって差別をしているのだろうか。
劇中の3姉妹の姉は知的障害者。美談を語る必要は勿論無い。
第三者の気持ちと、身内の気持ちと、当事者の気持ち。
どこに心を置く事が出来るか劇中で「結婚」に関しての様々な葛藤は、当然起こり得る現実的な話である。
ただ、何か、違和感があった。
それを具体的に言葉に出来なくてもどかしいのだが、そのもやもやした感じで良かったのかもしれない綺麗ごとで、話が終わってしまうのなら24時間TVで良いのかもしれない。
ただ、きっと、こんな風に人は関わり合って、どこか、寂しい想いを溜め込んで、でも、毎日を生きてるのかなと思った。
そこには境界線はない。
色々考える種があった、芝居だった。
15 Minutes Made Anniversary
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
私はMrs.fictionsさんの事を知ったのがつい最近ですが、この15MMは本当に良い企画だと観劇する度に感激する。
今回は10周年ということで、参加団体も豪華。
今回ほどあっという間に時間が過ぎたと感じた公演は無かったかも。
どの団体も濃い15MM。
個人的にはキャラメルボックス、Mrs.fictionsが好きな内容だった。
柿喰う客
作品名: フランダースの負け犬
作・演出:中屋敷法仁
音楽:入交星士
出演:七味まゆ味、深谷由梨香、葉丸あすか、田中穂先
既にある戯曲を15分に。
24日のアフタートークで7000文字位詰め込んだと中屋敷さんがおっしゃっていた。
流石という言葉で括るのは大変失礼かと思うが、本当に、一瞬で「ぐっ」っと引き込む力が流石だった。
「次に本公演を観たい」と思わせるには十分すぎる。
吉祥寺シアター演劇部
作品名: ハルマチスミレ
作・演出:堀越涼
演出助手:金子侑加(あやめ十八番)、白石ほなみ(ましかく企画)
音楽:吉田能(花掘レ)
出演:市村友里江、伊藤美紅、内田幸花、紙屋陽子、齋藤龍之介、里吉うたの、庄司ゆらの、中野亜美、西室桃花、一楽、古川佑紀、室井美生
彼女たち、彼たちが、段々飛び方を経験を重ねると今は飛べなかったり、引っかかったりしてる「縄」も、飛べる力がつくのかなと。
ただ、若いとというだけではなく、それは、「大人」と呼ばれる年齢の自分も、そうなんじゃないかと、観ながら思う。
若いから純粋というのはある意味烏滸がましい大人の言葉かもしれない。
どうしても「高校生」が頑張って偉いという見方が出てしまうが、ある意味、舞台上にあがれば、そこは対等にみるべきだと。
そういった意味でも、とても見ごたえのある舞台だったと思う。
個人的に「ユラノ」役の庄司ゆらのさんが
目を引いた。彼女の中学時代に有った事柄が定時制進学を考えさえ、色んなバックボーンを巧く表現していたと思う。
梅棒
作品名: BBW
作・演出:伊藤今人、遠山晶司
出演:伊藤今人、飯野高拓、鶴野輝一、遠山晶司、遠藤誠、櫻井竜彦、野田裕貴(以上、梅棒)、池田遼(少年王者舘/おしゃれ紳士/ホナガヨウコ企画)、正安寺悠造(DACTparty/隕石少年トースター)、原田康正(劇団昴)、五十嵐結也、KENZO MASUDA(GANMI/X'RATED CREW)
梅棒はダンスは詳しく無い自分にとって、ある意味「びっくり箱」なイメージ。今回もとても、楽しく拝見出来た。
アフタートークでの梅棒の作品作りにおいての考え方など今人さんのお話を聞けたのも、良かった。
演劇集団 キャラメルボックス
作品名: ラスト・フィフティーン・ミニッツ
作・演出:成井豊
出演:筒井俊作、渡邊安理
今作は15MMの為の書下ろしとのこと。
中盤で、何故、この夫婦が動画を自分たちの娘にあてて撮っている意味が分かる。
限られた「15分」それは、この夫婦にとっての最後の「15分」
想いを伝えるには短すぎる時間で、でも、二人が愛する娘に届ける為に語り続ける。
愛が伝わった冬のある日から、二人の最後の瞬間に、雪は解けて涙となった。
観ながら、私は8/12に起こった日航機墜落事故を思い出す。
その時の乗客の方々は最後の時まで自分の大事なヒトへ想いを紙に残したという。
きっと、誰もが「何故、自分がこのような事故に巻き込まれなくてはいけないのか?」と理不尽さに絶望しているはずなのに
大勢の方は大事な、大事なヒトへの「最後の言葉」を書き残した。
そう、思うと、更に涙が出てしまった。
劇団「地蔵中毒」
作品名: 想いをひとつに
作・演出:大谷 皿屋敷
出演:栗原三葉虫、関口オーディンまさお、鈴木理子、かませけんた、宇都宮みどり、東野良平、フルサワミオ、hocoten、立川がじら(落語立川流)、武内慧(東京にこにこちゃん)、礒村夬(グッドラックカンパニー)
今回参加団体の発表後、かなり、話題になったこの劇団。
私も初見。
個人的には好きではないけど、面白いとは思う。
Mrs.fictions
作品名: 私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし
作・演出:中嶋康太
出演:岡野康弘、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、徳橋みのり(ろりえ)、森谷ふみ(ニッポンの河川)
もう、途中から涙が出てしょうがない。一回、一回、久太郎(岡野康弘さん)が指を鳴らし、月日が過ぎていくのと、優子(徳橋みのりさん)の想いが積み重なって、自分の涙が零れてしまう。
この場面、少しユーモラスな演出もあって、笑いも起こるのだが
逆にそれによって、更に泣けてしまった。
あの場面は、何となくドラマチックなことでは無く淡々と時が積み重なって、でも、その淡々とした中の切ない空気が漂うのが中嶋さんのホンの素敵さではないかと感じたそして、やはり、Mrs.fictions。「生」の側の人・「死」の側の人。優しいという簡単な語彙で括るのではない心の悲しさを鎮めてくれるような子守唄のようなホン。
劇中の台詞で優子さんが「溶けて乾いたみたいに忘れちゃうと思う」というと
久太郎さんが「早く、忘れちゃいなよ」って言うのです。
この台詞、ずきんとした。
残された側と逝ってしまった側。
久太郎さんは病死かもしれないし、もしかすると精神的な所からの自死かもしれない。
久太郎さんは「早く、忘れて欲しい」と思う。
残してきた人たちが大事だから。
優子さんは「代わりに景色をみて居たい」とも、言う。
逝ってしまった人が大事だから。
劇中使用された曲がまた、良い。
https://youtu.be/qL3LvKqQ06A
本当に各団体を一緒に観る事が出来るお祭りのような今回。
ロビーには過去公演のポスターや、フライヤー。
ウロボロス
Straw&Berry
新宿眼科画廊(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
始まりが終わりだった。終わりが始まりだった。
ずっと、ずっと、あの夜にいるのかもしれない。
でも、きっと、けしてHAPPYではないけど、皆の様に、彼も前に進もうとして、進もうとしたけど、でも・・・。
観ていて、物凄く胸が苦しくて、でも、みつめていたくて、まだ、感想はまとまらず、ぐるぐると。赤い星がみえる時間になったら、今一度、想い出そう。
何故?「シゲル」はあれだけ狼狽しているのか。
段々、時が戻されてるようで
進んでいるようで・・。
「シゲル」冒頭。タオルをもって
怯えるような、憔悴しきってるような、今にも
死んでしまいそうな、ココロが壊れかけてしまってる様な
すがりたい、叫びたい、泣き叫んで、消えてしまいそうな・・・。
「チエ」はもう、居ない世界で、「シゲル」は生きていて。
でも、まだ、始まりのあの一緒に音楽を聴いた時からぐるぐる、ぐるぐる
何度も、進もうとしてるけど、周りがどんどん進む中
あの「時」のまま。
でも、進んでしまったのかと。
あの狼狽した「シゲル」は
誰を殺したのか。
殺してないかもしれない。
殺したのかもしれない。
「チエ」を忘れ、前に新しく進もうと決めた「コバ」を殺したのかもしれないし、違うかもしれないし・・。
2度目の「シゲル」はタオルをもって、音にならない
呟きを続ける
「シゲル」はあの時、何といっていたのだろうか・・・。
「懺悔」なのか、「言い訳」なのか、彼があの時
なんと言っていたのか・・・。
知りたいと強く思った。
「コバ」は優しかった。
仲間の中で一番、大人になったのが彼だったのかもしれない。
人を許し、自分も許し、「未来」と呼ばれるものを
目指したのかもしれない。
「チエ」を間接的であるのかもしれないが
交通事故で死なせてしまった「ケンタ」と「ユッチ」。
(私はそう解釈している)
止まっていた時間を動かしたのは、「コバ」だった。
もう、前に進んでいいと・・。
「ケンタ」も、「ユッチ」も苦しんで、でも、二人で
進もうとしていた。
仲間の中で
「シゲル」だけ、ずっと、ずっと、止まったまま。
止まりたい訳では無いかもしれない
就職、結婚、過去を忘れる訳では無いが
仲間は皆、進む。
「シゲル」は過去に「チエ」と話した一度も行った事の無い「東京」にいて
好きな芝居も、もう、辞めている。
「自分」はどこにいるのか?
止まった時を動かせずに、居たのだろうか。
星に願いを呟いても
そこには、現実しかない。
私は、ラストシーンで
「チエ」が「シゲル」の頭を撫でたシーンが一番好き。
あのシーンで、やっと、息をつけた気がした。
きっと、私も「シゲル」の頭を撫でてあげたいと思ったから。
もう、いいんだよって。
もう、忘れてもいいんだよって。
弱くってもいいよ。
忘れちゃうと消えちゃうんだけど、
やっぱり、進めないのは見ていて辛い。
だから、忘れちゃっていいんだよって。
https://youtu.be/HKh6XxYbbIc
ああ、言葉が出てこない。
私が今まで体験した事の無い感覚だった。
考えるよりも、
感じる芝居。
「自然」に演じるって一番難しい。
でも、このStraw&Berryの俳優の皆さんは
それを具現化している。
そこに、今回、本公演を初めて観て
衝撃的だった。
同じ経験は無いけど
同じ痛感を感じる。
そんな、芝居だった。
心拍数が尋常ではないほど上がったのは
自分でも予想していなかった。
危険だ・・。
なんだよ・・・、これ・・。
サマデーナイトフィーバー
20歳の国
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/08/07 (月) ~ 2017/08/13 (日)公演終了
満足度★★★★
久々の新作。
数回観劇してるなかで、切なさの妄想が激しく高まった。
場面、場面が何故か今回、「美しい」と感じた。
照明が美しい場面が多かった気がする。切ないの定義は人さまざま。
ふと、この劇団をどうみるかによって、かなり差がある気がした。
「没入」で観るか、
「俯瞰」で観るか。
実際の高校生がどうなのか、何て野暮な事は言わないし、あくまでも「物語」をどう楽しむか。
自分は今回「俯瞰」で観ながらも、「言えない」切なさがかなり、パワーワードとして、心に残る。
きっと、これは小さいながらも「共感」出来る感覚なのだと。
目立つことが一個も無かった私の青春の中にもこの感情は共通項だと。
虚構の中の青春は花火のように、綺麗で、でも、あっという間に終わってしまうんだなと。
「こんな告白したら、良かったな」と切なさに妄想したり、でも、どっかに「昔の甘酸っぱさ」を世代を超えて感じた今作だった。
辻元(古木将也さん)と中やん(尾倉ケントさん)のコンビ、その関係性ちょっと、じんとした。
夏休み前の最後の学校。
台風がやってきた。
花火大会も中止。
なんだか、台風って非日常的で「ワクワク」する。
そう、「いつもは話せない」事も話せそう・・・・。
そでふりあうも
ブラシュカ
シアターブラッツ(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/17 (月)公演終了
満足度★★★★
ブラシュカ『そでふりあうも』@新宿シアター・ブラッツ7/14マチネ観劇
「縁」が見えない糸の様なモノだとしたら、舞台上に無数の色とりどりの糸がきっと、あったのかなと。
それは、ワタシにも、長く生きている時間の中にある一本の糸。
心の中がふわっと、温かくなる想いを紡ぐ糸。
袖振り合うも他生の縁という言葉が観終って過る。
登場人物の小さく、積み重なる時間の中での色んな物語。
ある意味、物凄くフィクションであってフィクションではない様な物語。
登場人物の一人に自分を重ねてしまう。
最後近くの届かなかった言葉がきちんと、音になって聞えて来た瞬間。堪えていた涙がこぼれてしまった。温かく、切なく、辛く、でも、観終ったら、すっきりするような気持ちの舞台だった。
再演ということだが、初演が2010年。
今から7年前のホン。