みさの観てきた!クチコミ一覧

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KAG48 ノ Oedipus Tyrannus [公演終了いたしました、ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました!]〈静岡版の動画および舞台写真公開中です〉

KAG48 ノ Oedipus Tyrannus [公演終了いたしました、ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました!]〈静岡版の動画および舞台写真公開中です〉

一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド

atelier SENTIO(東京都)

2011/06/25 (土) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

リング
相変わらずの面白さ!誰もが想像していた情景を簡単に覆しプロレス技から入るオイディプス王の物語。さあよってらっしゃい、みてらっしゃい!笑


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

能のようなセリフ回しは相変わらず健在。それにしても前島謙一のなんと素敵な肉体美よ。しかもアニメに登場するような信長のような髪型も超イケメンさを強調し、ワタクシ、ノックアウトを喰らう。プロレスだけに・・。

独特なセリフで始る舞台は大真面目にセリフを吐きながら、見せてる光景はリングで戦うプロレスで、そのギャップがなんとも可笑しい。これってコメディじゃあないの?なんつって喜びながら前のめりになって観ていたけれど、やっぱりコメディの要素が強い。笑

四角いコーナーに張ったチューブは意外にもよくよく計算された張り具合で、なんやら罰ゲームのようにチューブでバチン!!とシバかれる光景にこれまた笑いが起きるのだ。あくまでもリングの中で苦悩しリングの中で己の運命を呪うオイディプス王の物語は結局薬局、戯曲の中のオイディプス王と上手くリンクして精神の開放すら出来なかったオイディプス王の世界感を表現していた。

KAG48の公演は突出した美術、演出の面白さが見ものだ。この劇団のこういった感覚が好きな人には堪らない舞台なのだ。次回は「悪霊島」をやるという。これも観たい。
復活!<八百比丘尼伝説>

復活!<八百比丘尼伝説>

柴崎正道プロジェクト

アトリエ春風舎(東京都)

2011/06/24 (金) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★

ちょっと待ったぁああ・・
公演のカテゴリは「演劇」になってるけれど、これって括りは「その他」や「舞踏」なんじゃないかなー。セリフは殆どなく、全てがパフォーマンスとダンスだった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

元々、ワタクシはパフォーマンスとかダンスが苦手だ。だから芝居が観たくて盛りのついたステゴザウルスのように、うろうろキョロキョロしながら劇場を求めて彷徨うのだ。

そりゃあ、バレエとかこの上もなく美しいダンスなら観たいと思うが、今回のパフォーマンスは陰気な歌と共に物語性の意味が半分も解らず、キョトン!状態だった。
きっとパフォーマンスを好きな人には堪らないのかも知れないが、ワタクシは堪らず外に出て玉ねぎでも買いに行きたかった。

だからこれを好きな人に感想は任せて、ワタクシはさっさとカレーを作ろうと思う。なんだかじゃがいものような岩が出てたし・・。

『Every Day』公演終了いたしました。ありがとうございました。

『Every Day』公演終了いたしました。ありがとうございました。

津田記念日

OFF OFFシアター(東京都)

2011/06/23 (木) ~ 2011/06/27 (月)公演終了

満足度★★★★

静かで美しい空間
まずセットが工夫された静謐な空間。ミッフィーの絵本をごぞんじだろうか?まるでミッフィーの部屋のようなカラー箱を置いた舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

生きるというのは自身の時計を刻みながら過去を少しずつ捨てていくようなものだ。ワタクシ達はいくつもの別れと出会いを繰り返し、時代を重ねて今がある。この物語は本当に大切だった人が突然の事故で生死を彷徨うのをきっかけに自身を見つめ直すストーリーだ。

生きている毎日はともすれば不機嫌だったり、楽しかったり悲しかったり喜びだったりするのだが、いつでも会える誰かが居るという事は日常の継続が当たり前のように存在するから安心するのだ。その継続が遮断され二度と会えなくなったとしたら、そこから後悔が始るのだと思う。

今回の劇はありきたりの日常に彼女の交通事故というショッキングな出来事から始った、夢枕のような情景だ。咲の父役の名取幸政の演技に胸を打たれた。毎回、感じることだがキャラクター設定に見合ったキャストらの相応の年齢というのは違和感なく観る事ができて自然だ。また会社の部長と他のキャラクターもとても良かったと思う。観終わった後に温かな心もちになれる舞台だった。



VAMPIRE HUNTER

VAMPIRE HUNTER

BLAM!!!

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/06/22 (水) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

永遠の命
舞台セット、音響、衣装、照明、小道具・・どれも素晴らしい。流石に劇団三年物語とのコラボらしく、どちらかというと三年物語よりの舞台だった。特に闇夜の帝王・ウェスペルティリオーの迫力に酔いしれ、闇夜の女王・ノワルーナの魔女ぶりにワクワクした。舞台は19世紀ルーマニア。バンパイアが支配する闇の帝国。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

この古く恐ろしい血族の、闇の支配下にある帝国を変える為に死神の手を持つ少年・ルキスオルトスとサンクティオの二人はバンパイアを狩りとる為に立ち上がる。しかしそういった不浄なものを成敗し、生きている限り血族と戦うことはいわば彼らの宿命だったのだ。

そして数百年続く陰の支配から飲み込まれるようにルキスオルトスはバンパイアと戦いながらも破れ、自らもバンパイアになってしまう。ルキスオルトスがバンパイアになり闇夜の女王・ノワルーナの僕となり、やがてノワルーナの命令通りウェスペルティリオーを殺してしまう。ももはや闇の帝王となったルキスオルトスがサンクティオと出会うも昔の勇士らが合い入れることはなくサンクティオをも殺してしまう。

血塗られた殺し合いの結果、バンパイア達は命果てるもルキスオルトスだけが孤独にも闇夜を支配する血族として君臨する。

バンパイアらに似合う大音響の導入、そしてアクション、キャストらのキャラクターの立ち上がり、シリアスの中にもコメディのコネタがしっかりと含まれており、とにかく楽しかった。公演時間2時間40分は決して長く感じずにフルフル、ワクワク、ドキドキしながら観られた。こういったファンタジーが元々、大好物だったのも効を奏した。キャストらの演技力もバッチリ!

さすらいアジア

さすらいアジア

壱組印

ザ・スズナリ(東京都)

2011/06/22 (水) ~ 2011/06/29 (水)公演終了

満足度★★★★

逆バージョン
青年団の『カガクするココロ』『北限の猿』を観たことのある方なら解ると思うが、これらの舞台は、猿を人間に進化させるプロジェクトを研究している某国立大学の生物学研究室を舞台に、生命倫理の問題や日本人論、そして現代の若者の姿を鮮明に描き出す、「科学シリーズ」2本立て公演だった。
今回の舞台は猿に視点を当て、猿側から人間を見たとき、人間に進化する為にはどうしたら良いかを描写したものだった。まさにダーウインの進化論!笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は猿山で生きる猿達。それらしきセットに梯子をかけてあり猿山の情景がなんともいえずのどか。キャストらの全員が猿の着ぐるみで登場し笑いを誘う。彼らは猿の生体やら猿同士の摩擦など人間世界とたいして変わらなく日々を暮らしていた。しかし彼らが6~10歳になっても結婚せず子供を生まない猿は価値がないとして間引きされてしまう、という噂が流れ、これに窮した猿達はこの猿山から脱出を試みようとする。

しかし、なかなかいいアイデアが浮かばない。そんな時、彼らの中には研究者らに研究材料として飼われていた猿の清八が居た。彼はその経験から自分は人間に少しだけ進化したと勘違いしていた。ペットのように飼われていた情景を進化と勘違いするその滑稽さや人間に憧れて進化したいと考える猿の描写が面白い。

後半になって猿の梅子が清八にお色気満点の求愛シーンはほのぼのとして可愛いらしい。結局薬局、アメリカとアジアの宗教の比較も絡め、猿も人間も自由がいかに幸せか、と括る。
逆説から入り込み猿の視点で舞台を作ったのは面白い試みだと思う。どちらかというとコメディ。

人涙(じんるい) ★ご来場、誠にありがとうございました。

人涙(じんるい) ★ご来場、誠にありがとうございました。

劇団印象-indian elephant-

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

虚構の夢物語
ものすっごく好みの作品だった。舞台の広さにマッチした可愛らしくも素敵な物語で舞台のスペースを充分に使いこなし大人のファンタジーとして充分に魅了された。また龍田知美(T1project)が演じる今日子はどこにでもいるごくごく普通のOLで他者の強引さにちょっと押され気味の多感な女子という設定も親近感を得た。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

この物語は本当に感性が合えばサイコーに楽しめるファンタジーだ。妖精がこっそりバイトするクリニックでレーシックの手術を受けた今日子はその目から見える世界が昨日と違う事に気づく。昨日まで見えていた世界に三人の妖精たちが見えるようになった今日の世界だ。

妖精たちは主食として人間の涙を食する。この設定もなんて不思議で可愛らしいことよ。彼らは今日子が落とした涙をすくい「美味しい!」といって食べるのだが、涙はすくいあげるとキャンディになって彼らの口の中に納まる。これもマジックのようで夢がある。

3人の妖精たちはまるでティンカーベルのように悪戯でキュートだ。いつも今日子の周りにいて彼女の心を癒す役割も含んでいる。妖精は普通の人間が見えないものが見えてそれを今日子に教えてくれたりするのだが、今日子の母親が見た年下彼のお尻に生えたシッポという話も不思議な童話の世界だ。

コンタクトなしで世界を見た物語だったが、今日子とその母・陽子の関わりや陽子の恋人やその姉をめぐり終盤にきっちりと将来の家族像が見えてきたりする。観終わってほんのりと優しい気持ちになれるファンタジーだ。

ワタクシはこういった舞台を観て素敵だ!と思える人が好きだ。そしていつまでも心のどこかにこういった遊び心を忘れないようにしていたいとも思う。

リボンの心得

リボンの心得

本能中枢劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★

やれやれ・・
この劇団の前公演も観たがパフォーマンスな描写だった。今回はちょっと違う事を期待して観に行ったのだが・・。

主宰の『秩序だった物語には観客としても飽きているので、シーンを「物語ること」に代わる「部分」や「カケラ」のように並べ、わからなくても眠くならない舞台を作りたいと思ったのです。』という言い分通り、その描写は前作とまったく同じに「部分」や「カケラ」を並べたパフォーマンスだった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

たぶん頑固にもこの形は変わることはなく突っ走るのだろうと思う。それは劇団独自の変わろうとしない演劇の勝手だからワタクシはどうこう言うつもりはないが、この公演をアゴラで公演させるプロデュースに問題があると思う。アゴラは支援会員から成り立ってる劇場なので支援会員が満足し、またチケット代を払って来てくださる観客が満足しなかったなら、来季の継続はないという事だ。

かくゆうワタクシも昨年と比較してアゴラや春風舎に行く機会がめっきり減った。これはワタクシにとって魅力ある劇団や公演の誘致がないということに他ならない。今のワタクシの感情は来季の継続はない。



異説 疾風維新伝 ~龍馬と駆け抜けた四日間~

異説 疾風維新伝 ~龍馬と駆け抜けた四日間~

pure cross

萬劇場(東京都)

2011/06/17 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★

演技も素人
現代人が幕末にタイムスリップしてその時代の生きざまを綴るという物語は何度となく観てきた。だから舞台としてはなんら斬新さはない。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回は物語うんぬんよりもキャストらの演技力がイマイチだった。練習不足なのか、単に経験不足なのか知らないが、演出自体もライブと芝居の組み合わせ方がまずい。あくまでも芝居が主軸なのだから歌を芝居の前で歌わせるのは物語の進みを一旦途切れさせてしまうので、観ている方も物語に入れない。

また舞台の使い方もド素人だった。舞台の上下両方使って進行させる舞台設置にも関わらず、どちらか一方のみしか使っておらず、また殺陣も下手。もっと勉強してほしい。ワタクシはロックバンドも上手いとは感じず、映像もスクリーンに映し出されるキャストの顔が合っていないわで、全体的な総合芸術としてはレベルが低いと感じた。
人間嫌い

人間嫌い

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/20 (月)公演終了

満足度★★★

まだ未熟
役者が良く噛み、かと思えば棒読みのキャストも居るで、新人公演みたいなナリだった。
「人間嫌い」は、欺瞞に満ちた社会に嫌気がさして人間嫌いになる男の悲喜劇を描いた戯曲。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

世間知らずで頑固者のアルセストは、お世辞と欺瞞に満ちた社交界生活に我慢ならず、意のままの行動をしようとする。しかし、彼が恋に落ちた相手は、皮肉にもその社交界の悪風に染まった未亡人。相手にふさわしい態度をもって、相手に調子を合わせる女だったのだ。

恋をしても、自分のすべてが受け入れられず、アルセストは俗世間との調和を欠き、恋にも敗れて人間嫌いになってしまう。このときのアルセストは、自分では自分ひとりを気高いものとしながらも、実は良識のあるものから見れば、ただ世間知らずの片意地張った者でしかない。

美貌の未亡人セリメーヌとそのライバルともいうべき女友達アルシノエの言い争いは、露骨で辛辣さを極めていく。 そして、散々他人をいたぶってきたセリメーヌも、八方美人の手練手管がばれて、ついには追従者たちに愛想をつかされてしまう。                                 
この戯曲は今でこそあまり奇抜な内容ではない。だからキャストらの秀逸な演技力なくして魅力はないのだが、その点で未熟さを感じた舞台だった。

クッキング!VOL. 02

クッキング!VOL. 02

とくお組

牛込箪笥区民ホール(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

前回のクッキングも面白かったけれど
今回のクッキングもまったくもって絶妙!本当に全部がアドリブなの?と疑うほど。そのレベルは留まることを知らない黒竜の勢いだ。笑
会場は殆どが女性客で、とくお組のファン層を物語っていた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

観客が携帯からその場で投稿する「お題」を使い、アドリブで演劇を作り上げる、という企画。つまりインプロなのだが、どのお題を振っても、そこそこ器用にそしておもちろ可笑しくコメディ化してしまうのは、やはり実力なのだとつくづく感じる。個人的には「天狗」「停電中」が好みで笑い転げた。今回は篠崎の表情や奇妙な動きに度肝を抜かれると共に人間離れした演技力が圧巻だった。笑

今回、初参加の本折も頑張った。投稿のお題に「本折さんカッコイイ」というお題ではなく感想があったのも笑いを誘う。

会場の観客から採用されたお題は5つあって受付で記念品を差し上げるという、とくお組だが当てられたお題はもっとあったはず。だとしたら以前からお題は決まっていたということなのだろうか?やっぱ半分はインプロじゃあないでしょ?などと疑問符するほどレベルが高い。公演ごとにお題が違うから同じコントは二度とない。こういった企画は連続で観るのもまた楽しい。
気分屋

気分屋

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/06/17 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★

学芸会のようなおかしみ
木村仁美の登場で懐かしさと嬉しさを感じる。彼女を始めて観たのは「漂流裁判」だったがその時のインパクトは今でも心にしっかりと残っている。だからワタクシの中では木村は「漂流裁判」なのだ。その後、数年を劇団から離れ彼女自身が漂流し、また戻ってきたことに「漂流裁判」との因縁すら感じてしまった!笑

舞台はにぎにぎしく笑いの溢れる公演だった。その賑やかさは学芸会のようだが、撒き散らかした伏線を終盤できっちりと回収してしまうさまは流石だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

笑った!笑った!その笑いの質は、近所の悪がきが悪戯して失敗したときに失笑するような、どうしようもない、それでいてよくやるわ~、みたいな大らかさの含んだ笑いだ。だからキャストらの一人ひとりに親近感さえ感じてしまう。

物語はマルコ(手嶋仁美)の母親を探す場面から始るが「母を捜して三千里」じゃあないけれど、母親に巡りあうまでに自身もいろんな経験をするという、マルコポーロもぶっ飛びの旅物語だ。笑
しかしマルコの設定はは男がいい、とか探すのは父がいい、とか横やりが入り、その度にキャストも設定もクルクル入れ替わりながら、まるで何処からセリフでどこからアドリブなんだ?みたいな風景になってしまうのだが、それでも半ば強引に観客の笑いを掠め取ってしまうのは、きっとキャストらのキャラクターの魅力かもしれない。

時代も設定もなんだかごちゃごちゃでありながら、結局薬局、偽作家が描く本の中での出来事だから、戦国武将や幽霊や気分屋が登場してもどうってことないわ。と納得させられてしまうのだ。笑

中でも息子と母親(人材派遣)の描写は心温まる場面でほろり・・とする。そして相変わらず木村仁美の存在感の強さに驚く。今回は少々はじけ過ぎた感は否めないが、やはり、そのオーラに意表を付かれた。
「13日間の罪と罰」

「13日間の罪と罰」

劇団アニマル王子

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2011/06/16 (木) ~ 2011/06/20 (月)公演終了

満足度★★★

タッチは軽い
原案が「罪と罰」だからもっと重厚でかつ壮大な物語だと勝手に決め込んでいたワタクシはタッチの軽さに唖然!どちらかというとコメディタッチなのだがやり投げ的な笑いで観客の心を掴むには至らず。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

東都大学主席のルカを主軸にルカ自身が犯した罪を悔い改めるまでの物語。
まずルカのキャラクターに河合優が合っていない。河合はどちらかというと可愛いアニメチックな顔立ちだから、ルカという主席で聡明なキャラクターには涼しい顔の役者が似合う。その点で大きく違和感があって物語の中に入れなかった。

またセリフに頼りすぎるせいか、セリフの高低がなく単調で、その上、間の取り方が充分でない為にセリフ自体が聞き取り辛くなる嫌いもあり、演技力がイマイチのように感じた。また、それらのせいで笑いの部分でもスベッていた。だから全体的にコメディとシリアスな部分がごちゃごちゃになってまとまりがなかったように感じてしまう。

演技面では金貸しの老婆役を演じた曽谷郁実が素晴らしい。また独特の悪魔的なオーラをしっかり演じた佐竹海莉の存在も見逃せない。立ち姿といいセリフの吐き出す間隔といい、凄みといい充分に魅せた。思えば彼女を知ったのはアニマル王子の舞台だったが、俳協の劇団員なので基礎はしっかり鍛えてるのだろうと察する。

公演時間2時間30分の間に休憩があるが休憩を過ぎた頃まで、なぜ1930年代と古代を交錯させなければならなかったか?が理解出来なかったが、終盤でやっとこさ理解できる。それまでになんと長いことよ。笑
 
日本のジャンヌダルクと持てはやされて革命の夢を見ながら人々の生活を作り上げるはずだったが、帝都の内戦状態を引き起こしただけだったルカ。キャストらは頑張っていたが、舞台という総合芸術はそれだけでは駄目だ。ごちゃごちゃ感を一掃し演者の基礎をたたき上げてから再チャレンジして欲しい。たぶん、アニマル王子としては今回の舞台は実験的な要素もあったのかもしれない。確か、ダンス的な描写は初めてじゃあないかしら。全体的に迫力もなかった。

個人的にウケタのは「生まれる~~」部分。笑
惑星のピクニック

惑星のピクニック

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2011/06/15 (水) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

感受性の違い
このユニットの描く世界はいつもワタクシの心の奥底をチクチクと突く。そのチクチクは決して痛いものではなく人間同士の心の機微やふんわりとした情景を描写する。その中には取り返しのつかない後悔に似たドラマチックな輪郭も登場させるから、ちょっとセンチメンタルになったりするのだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台ははとある惑星の雑貨屋。この星では人間とネイティブ達が共存して住んでるらしい。普通の人間達にはイナゴのような姿をした彼らの声は聞こえないが、耳を澄まして静かにしていると彼らの声が聞こえるという特殊な人間も居るのだった。その特殊な人間が雑貨屋の店主の妻だった女と万引きの女、そしてこの雑貨屋を始めた、今は亡き店主の父だった。

聞こえる者と聞こえない者。それはきっと感受性の違いだ。僅かなベクトルの違いで人は違う方向を向いてしまうことが多い。この物語は雑貨屋での人間模様を通して過去に雑貨屋で起こったことを描写しながら、万引き女と店主の想いを表現した舞台だ。イナゴの声が聞こえると言った万引き女と店主の女房の憂鬱。相反して声が聞こえない店主。この惑星でピクニックをすることになった夫婦はお互いに遠慮しながらも少しずつ微妙にズレながら、やがて、ぐにゃりと折れ曲がってしまう。修正の効かなくなった夫婦関係はそこで終わってしまう。妻は地球に向かう船に乗り、離れ離れになるも店主はいつまでも過去を引きずりあのピクニックを思い出すのだった。

とにかく本が素敵だ。不思議な惑星の描写、片足のイナゴの話、白い一角獣の表現、湖の水の治癒力、移民ら。それらはやはりファンタジーだ。しかしそこで息づく人間達は現代の人間達となんら変わらない。夜のピクニックにも似た惑星のピクニックは感受性の違う二人が夫婦で居ることの難しさを暗示し教訓をも匂わせてるかのように感じた。その本を受けてキャストらの確実な演技力が光る、とても素晴らしい舞台だった。

観終わった後にちょっと寂しくなる舞台だ。


Jellyfish

Jellyfish

ウォーキング・スタッフ

シアター711(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

Jellyfish の意味はクラゲではなく
煮え切らない人、いくじなし、根性なし。のほうでしょうね。笑
実際、そういう人たちばかり登場して、その屈折度がひじょうに面白かった。
「そこでバシッと言ってやれよ!」なんつって思い、時にイラッとしながらも個人的にはとっても楽しめた。終盤に見せる山崎真実のパスタを喰らう演技力は目を見張るものがあった。壮絶にして美しい。

「劇団おぼんろ」の元劇団員の 阿久澤菜々を観られたのはとても嬉しかった。まだ学生だった頃の彼女がこうして元気そうに頑張っている姿を客席から観るのは、まるで身内のように喜びもひとしおなのだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は教師・辻さゆり(山崎真実)が住んでいるマンションが舞台。彼女の婚約者との仲睦まじく幸せそうな光景から始まるが、いきなり上の回に住んでいる男が酔っぱらってさゆりの部屋に闖入してくる。そんな酔っ払い男の言いなりになって煮え切らない態度のさゆりは、自分の意思とは反対に、この後もずっと部屋に居座り続ける他者の言うがままに動かされてしまう。笑

更にかつての生徒だった恵美(現在キャバクラ嬢)がさゆりに復讐するために仕掛けた罠にまんまと嵌ってしまったさゆりは婚約者の啓介も盗られ、教師の職も失い自堕落になってしまう。この終盤での自堕落さ加減、さゆりが不潔な姿でパスタを喰らうシーンの演技力があまりにも素晴らしいのだ。まさに使用前使用後のギャップに慄き、そしてシビレル。

登場人物の全員がどこかしか欠けており屈折している。それぞれが持っている得体のしれない闇がさゆりの部屋で蔓延しうごめいているようだった。キャストらのキャラクターの立ち上がりも個性的で面白かったこともあって最後まで全く飽きることはなかった。

序盤、清楚な感じで登場した女教師が終盤で大いに崩れる場面は圧巻でお見事だった。パスタをチュルチュルと啜りながら、時にはモシャモシャと喰らいつくその演技力に女優魂を観た。素晴らしい!!
四番倉庫

四番倉庫

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/06/04 (土) ~ 2011/06/15 (水)公演終了

満足度★★★★

四番倉庫に集ったダメ人間のお話。
フリーターの速水の、どこまでも卑屈でマイナス志向な考えに反して、能天気な内田のいい加減さは、ある意味人間の大きさと勘違いしてしまいそうな光景だが、それは演じた島田曜蔵の身体だけだ。そんな内田に騙され振り回されても懲りない友人の磯崎の3人を主軸に舞台を回す。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

一見おとなしそうで排他的な速水は語彙が乏しいのか、無口だ。しかし突然キレたりする場面は現代の若者特有の描写だろう。一方でそんな速水を流暢な口車で転がしおちょくりながら自分を優位にしてしまう内田。その内田を友達だと信じ込み関係を切ることが出来ない磯崎。そんな彼らが居る倉庫に神沼あやめが行方不明になってしまった兄・一郎を探しにやってくる。

一郎という人物も家族からはみ出し孤立してしまった男だ。一郎にこの倉庫を使っていいと言われてやってきた速水もまた孤独だった。彼は友達と呼べる人物は一人も居ない。「メシ喰って寝るだけ、生きてる意味ってなんだ?」と嘆く。
一見、内田と磯崎は友人のように見えるがたぶん内田は磯崎を友人だとは思っていない。

それぞれの孤独や悲壮感を引きずりながら物語りは進んでいくが、内田のパラダイスな感覚は、もはやコメディの範疇で、クスリ・・と何度も笑ってしまった。また速水を演じる菅原直樹の卑屈度が素晴らしい。その歪みっぷりが圧巻だった。磯崎の、たまに素に戻ってしまう演技が少し残念だったが、それでもこの不自然すぎる設定は演劇だからこそ成り立つ物語だ。この舞台の登場人物を観て自分は幸せだ、と思える人は幸せなのだ。

本当の友人、あるいは信頼できる相手が一人でもいたら、人生は勝ちだと思う。そう考えるほどホンモノは少ない。

舞台も勿論、楽しんで観たが、多田淳之介がツナギを着て前説をしたのは見ものだった。次回は多田が書いた舞台が観たい。


ワールドエンド、スーパースター。

ワールドエンド、スーパースター。

劇団エリザベス

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★

確かに不条理ファンタジー
物語は現実味のない空想の怪物もの。笑
ふざけた社会派といえば、まあ、言えない事もないが女の淡々とした言動に面白味がある。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、何処からか逃げてきた女と逃げていく男が出会う。どうやらメールの風評によって彼らは動かされていたようだった。そしてどこか飄々としたテイの女が996人のマイミクは友達ではなく単なるツールだとのたまう場面から始まる。男は女のマイミク数に驚き、次に女が言う「ツールとして人生というゲームを楽しむ」とのセリフにも驚く。つまり男はマイミクは友達だと思っていたのだろうか?むしろ、ワタクシはマイミクを友達だと勘違いしている男に驚いた。会ったこともない本名も知らない相手を友達などと思えるわけがない。

そうこうしているうちにサイトが繋がらなくなるが出会い系サイトだけは繋がる。ここで女は小笠原課長なる人物と10万円で逢う約束をするが男はそんな女の行動も信じられない。やがて、男2が透明人間から逃れるようにやってくる。透明人間に噛みつかれた人間は透明になって彼らの仲間となる、というのだ。この設定が惜しい。透明人間は古すぎだろ。鴨川ホルモーのような奇抜なちんちこりんな怪物が欲しかった。笑

突然発生した透明人間に怯え、彼ら3人は立てこもりを始めたものの、外部からの情報は全くない。情報がなければ人は不安になるが、何故か出会い系コミュニティだけは繋がりが良かったという、この後に及んでふざけたナンセンスコメディだった。とにかく不思議感いっぱいの作品だったが、女が吐くセリフの数々は、割と現実味を帯びていて緩くて楽しめた。3人芝居。
一輪の、華をはなむけ・手向けることも赦されず★無事終演。ご来場どうもです。

一輪の、華をはなむけ・手向けることも赦されず★無事終演。ご来場どうもです。

劇団ING進行形

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

中盤、ホラー的な感覚
ジャンヌダルクの記憶を持った女の物語。舞台は裏方をはじめ、総合芸術だと日ごろから考えているので照明、音響、衣装などのスタッフの氏名表示がパンフに掲載して欲しかった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、被験者(中山茉莉)が白い衣装を身にまとい複数の人々に囲まれている場面から始まるが、この光景がひじょうに美しい。ここで流れる音響は教会やキリストを連想される調べだ。だから厳粛で静かな風景となる。

やがて女は中世ヨーロッパを生きたジャンヌの記憶をそのまま引き継いでいるようなのが解る。そして彼女を取り巻く者たちは、彼女を被験者とし、その経過を実験する者たちだ。
女はジャンヌの魂が入り込んだような瞑想に陥り、そこには黒と白の相反する2つの魂が現れるがこの相反する2人は一人だ。つまりお前は私で、私はお前だ。

中盤、被験者が悪霊に魂を乗っ取られる場面ではホラーな展開になり、被験者の声色も変わりなんやら悪霊のお告げの描写になるも、これはジャンヌの内なる恐怖が悪霊を引き起こしたのかもしれない。被疑者は夢(妄想)の世界に入るとき、必ず意識が無くなって気絶し倒れるが、その繰り返しによって魂が過去の出来事と繋がっての描写となる。

やがて被験者は自分を取り戻し過去の悪霊から解放されるも、ジャンヌのように「生きる」事を望むのだ。それは命を懸けた選択だが死んだように生きるか、それとも人として誇りを持ちながら死ぬかのどちらかだ。

この物語はジャンヌの内面を掘り下げて、それを現代風にアレンジし被疑者をジャンヌの媒体として表現した物語のようだ。だから被疑者がジャンヌのように命を落としたとしても、誰一人、華を手向けることが出来ない。

劇団ING進行形の表現は芸術的だけれど解り辛い描写が多い。それはストレートに表現する舞台ではなく被験者から過去を穿りだすという捻じ曲がった視点から見ているからだ。いつものように舞台上で切り広げられる奇怪で芸術的なダンスシーンはワタクシ的には好みだったが、もう少し解りやすいようなストーリーにしたほうが万人受けすると思うのだがいかがだろうか?とかく劇団というのは他劇団との描写の違いを表現したがる(そうしないと個性がなくなる)が、基本は観客あっての劇団なのだ。その折り合いを上手くつける劇団が生き残れるのだとも思う。

マッチを擦ったほの暗い舞台は幻想的であった。
ローズィーの食堂

ローズィーの食堂

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/06/08 (水) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

不当な人種差別
かつて日系カナダ人がカラード・マイノリティーとして絶えず受けた不当な差別や偏見を伴いながらも、様々な苦難にもめげず、育った街で食堂を営みながら闊達に生きる彼らを綴った物語。なんでもこの物語は新国立劇場で公演された「焼肉ドラゴン」との相似性もあるとのこと。「焼肉ドラゴン」を観た方は解るかも。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

まず、新人のキャストらの演技力がイマイチ。ギクシャク、ギクシャク・・。まあ、新人だから仕方がない。なんて解釈は通じない。だって料金の発生する公演だからだ。それに引き換え、サム(村松立寛)とジョナサン(伊藤達弘)の語彙に長けた会話劇で観客を魅了する。こういったお茶目なセンスのあるセリフが特に好きなワタクシは、その情景と共に充分に空想しながら堪能したのだった。この二人のタッグがなかったら本当にごくごく普通の芝居だった。

キャストらの半分以上は新人だったのではなかろうか?試験的公演なら、それなりの料金設定というものがある。それでもこの劇団の本公演は毎回、魅了してくれるので次回も観に行くのだが・・。


【ご来場ありがとうございました!】Loss / Recover

【ご来場ありがとうございました!】Loss / Recover

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2011/06/07 (火) ~ 2011/06/15 (水)公演終了

満足度★★★★★

Recover二人の女優が脱ぐ!
こう書くとなにやら電車の中吊り広告か、はたまたプレーボーイあたりの雑誌の見出しのようだが、本当なのだから仕方がない。序盤、裸族が登場したときは「あれ?ここはアゴラか?」なんつって駒場アゴラ劇場を思い出しちゃったよ。笑
Lバージョンと比較してとかくRバージョンは危険だとか戦慄だとか言われてるけれど、観方によってはナンセンスコメディとか不条理コメディの類の描写が多く、個人的にはこちらの方が好みだった。女優の裸体をとくと観たい場合はやはり前列に座るべし。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

短編15編の全て、1編1編をこれだけの内容と描写で充実させたことはやはり高い評価をしなくてはならないとワタクシは思う。オープニングでいきなり裸族が登場した時は面食らったが、照明を落としての薄暗がりでの描写なので、むしろ暴行シーンなどは臨場感ありまくり。

その後の「ロープ」では男女の意地と微妙な愛憎のゆくえの描写が絶妙だったし、ごくつぶし男が「天井裏」に住み着き稼ぎどころの女のあれこれに意見するさまもうっとおしいけれど愉快だった。「タイガーバームガーデン」では、こういった人間家具を構想する演出家の頭の中をかち割って見てみたいと真剣に思ったし、それらをオドオドと見つめる友人(伊達由加里)の表情が実に滑稽だった。実はこれが一番好みの作品だった。

「ぬいぐるみ信仰の守護神」では可愛いぬいぐるみになりたいと宗教信者のように疑うことをしらない女が後半で切り刻まれ死ぬ展開はやはり教祖にコントロールされてしまった信者のようだったし、極めつけは「トルソーは芸術だ」とホザイテいた輩が結局薬局、ダッチワイフ代わりにしていた情景はナンセンスコメディだった。笑

15話目の「ほんの遊び心」に到ってははまじとひろしの間抜けな刑事タッグがバカ馬鹿しい限りで、とにかく笑った!笑った!

ワタクシにとってはドキドキワクワクの15話でこれだけ楽しめたら、もういう事はありません。日程に余裕があったならRは再見したい。ちょっとしたワンダーランドだった!
【ご来場ありがとうございました!】Loss / Recover

【ご来場ありがとうございました!】Loss / Recover

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2011/06/07 (火) ~ 2011/06/15 (水)公演終了

満足度★★★★

Lを観た。愛だな、愛!
ジョン・ミルトンによる旧約聖書の『創世記』をテーマにした壮大な初期近代英語の叙事詩。バトルの中に生まれる愛と堕天使のルシファーを主軸に綴った舞台。客席はベッドに近いほうが良く観られる。しかもベッドを前にしたお席が好立地かも。人の頭が気にならないし。笑
公演後、劇団ひろしの寸劇があったがこちらも相当緩くて面白い。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は誰が敵で誰が味方なのか解らない状況の中で一つの部屋に強引に放り込められた数人が恐怖のうちにバトルする格好になる。与えられた記憶の中で個々のキーワードを組み合わせ、それぞれの持つ数字を解明することに意味があるのだが、いったいそれをどうやって見つけ出すかに謎が集中しハラハラドキドキさせられる。

モレク(太田守信)が前の対戦の記憶があると言い出した辺りから、想像以上に面白くなってゆく。こういった複数でのバトルな展開の場合、大抵はその場を仕切る輩が登場するが、この仕切りやがチェンジするさまも面白い。そうしてこれまた大抵、愛が生まれちゃうところも人間臭いのだが、あくまでも彼らは人間ではないのだ。そう、悪魔と天使の名を持った神々なのだから・・。

ダンテの「神曲」と「楽園喪失」はキリスト教文学の代表作として有名だが、今回の「Loss」は人間臭い描写を強調していたように思う。レストランから始まりレストランで終わる舞台は主役の女(川添美和)がサタンとは過去世でも繋がっていたように想像させられロマンを感じた。バトルは女の夢の中の出来事だが、それらを誘う演出があまりにもお見事だった。

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