四番倉庫 公演情報 青年団リンク 二騎の会「四番倉庫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    四番倉庫に集ったダメ人間のお話。
    フリーターの速水の、どこまでも卑屈でマイナス志向な考えに反して、能天気な内田のいい加減さは、ある意味人間の大きさと勘違いしてしまいそうな光景だが、それは演じた島田曜蔵の身体だけだ。そんな内田に騙され振り回されても懲りない友人の磯崎の3人を主軸に舞台を回す。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    一見おとなしそうで排他的な速水は語彙が乏しいのか、無口だ。しかし突然キレたりする場面は現代の若者特有の描写だろう。一方でそんな速水を流暢な口車で転がしおちょくりながら自分を優位にしてしまう内田。その内田を友達だと信じ込み関係を切ることが出来ない磯崎。そんな彼らが居る倉庫に神沼あやめが行方不明になってしまった兄・一郎を探しにやってくる。

    一郎という人物も家族からはみ出し孤立してしまった男だ。一郎にこの倉庫を使っていいと言われてやってきた速水もまた孤独だった。彼は友達と呼べる人物は一人も居ない。「メシ喰って寝るだけ、生きてる意味ってなんだ?」と嘆く。
    一見、内田と磯崎は友人のように見えるがたぶん内田は磯崎を友人だとは思っていない。

    それぞれの孤独や悲壮感を引きずりながら物語りは進んでいくが、内田のパラダイスな感覚は、もはやコメディの範疇で、クスリ・・と何度も笑ってしまった。また速水を演じる菅原直樹の卑屈度が素晴らしい。その歪みっぷりが圧巻だった。磯崎の、たまに素に戻ってしまう演技が少し残念だったが、それでもこの不自然すぎる設定は演劇だからこそ成り立つ物語だ。この舞台の登場人物を観て自分は幸せだ、と思える人は幸せなのだ。

    本当の友人、あるいは信頼できる相手が一人でもいたら、人生は勝ちだと思う。そう考えるほどホンモノは少ない。

    舞台も勿論、楽しんで観たが、多田淳之介がツナギを着て前説をしたのは見ものだった。次回は多田が書いた舞台が観たい。


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    2011/06/15 18:24

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