みさの観てきた!クチコミ一覧

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波しぶき

波しぶき

バッカスカッパ

中野スタジオあくとれ(東京都)

2008/11/07 (金) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★

過去の闇
一言で言うとこんな感じ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

とある町工場の夫婦は子供が欲しかったが、中々出来ない。原因は夫婦の両方にあったが、この夫婦はお互いの事を思いやって本当のことが言えない。

妻は子供が出来ないのは自分の体が原因だと、同じサークル仲間の男に相談する。同じように夫も従業員の矢守に最近の妻の様子がオカシイ。子供が出来ないのは自分の体に原因があると、相談をする。

ここでの夫(社長)の気弱な仕草が観ていて楽しい!(^0^)
なんだかんだ言って夫婦はお互いを愛しているのだ。

一方で、従業員の矢守は金子社長の父親から暴力を受けて育った過去があった。矢守は仕返しとばかり、この工場を潰そうと画策した結果、工場は潰れかかる。

矢守の本来の目的を知ってしまった妻は、矢守の裏切りを心優しい夫に知られないように配慮するが、夫は全てを聞いてしまった様子で、夫の下した最後の決断がとても男らしい。

弱々しく見えた社長がいざという時にとった行動が何とも憎いのだった。
妻を最後まで守ろうとする姿勢は8年前の約束どおりこれからも、ずっと君を守っていくよ。と暗に正している。更に矢守が持っている過去への執着を、ここできれいに清算させる。

この作品に作家がどんな思いを託し、何を描こうとしたのか、そこを外してしまったら芝居をやる意味がない。
オリジナルは世の中にアピールしにくいという現実があるが、作家が自分なりに掴んだ「書きたかったもの」の根幹は人間の本質なのかもしれない、と私は思う。この作品は大きなうねりはない。派手さもなければ、パラダイスなはっちゃけたシーンもない。むしろ、地味で日常のどこにでもいるような夫婦と下町の潰れそうな工場なのだ。そんな普通さをとらえた物語で、暖かい作品だった。

どこにでもあるような言葉で語られる人生の断片。飾り気のないセリフ。いい意味でがらんどうで風通しのいい物語。乱雑な生活の匂いのするセット。お人よしの社長と従業員矢守の温度差。最終的に矢守はこの工場を陥れてしまった事に苦悩する。そうした自分の不誠実さをリセットし、もう一度やり直そうと改める。静かだが矢守の苦悩を爆発させる瞬間でもある。

この物語のもう一つの特徴は「平行線をたどる」ところにある。最後まで何も変わらないし、始まらないし、終わらない。

誰にでも自分の身の丈、自分の尺度の生活というものがある。誰でも最終的には落ち着くところに落ち着くのだと私は思っている。この人達にとって、それはたまたま元の場所に戻る事だった。表面的には後退かもしれない。でも自分の居場所を再確認したこと自体が、限りない前進なのだ。

この物語は傑作だからみんなにみてもらいたい、というのとはちょっと違う。舞台の出来不出来の評価なんてどうでもよくなってしまうような、個人的で身近でノスタルジックな感じがある。

ここの登場人物全員に、どうか挫折する事を恐れないで、と言いたくなってしまうのだ。さまざまな紆余曲折経て、遠回りしながらの過程こそが人生の面白さだと私は思う。


0号

0号

ゲキバカ

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/10/30 (木) ~ 2008/11/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

音響効果バツグン!
0号とは現像所から出来上がって来たばかりのフィルムの事をいう。


殺陣シーンの音響効果って大きい方が迫力があるよね?
それは大げさなほうがいい。
更に、ワイルドな音楽との相乗効果で私達の聴覚・視覚をこれでもかって、刺激した舞台。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

坂鶴の大げさなメイクがいい。大げさな立ち回りも。じーっと観ているうちにニンゲンじゃあないゾ、これは!

ってな気持ちになっちゃうから気持ちいい。

ボリューム高めの音響効果も大げさでその上殺陣シーンも相当な練習をしたんだろうなーと思わせるほどの壮絶なクライマックスだ。まさに樹海レベル。

そんな中、後藤(嶋アイランド)と千代子(ザンヨウコ)の回想シーンを織り交ぜながら、物語のナビ役を担う。

最近、こうゆうナビ的な語り部で劇中の説明をする芝居が多い。分かり易いのでワタクシは好きだ。それにしてもザンヨウコ・・、彼女は独特の雰囲気がありキキキリンに似たボケと語り口調が大衆の耳に優しく響く。毒が無い。どこまでも心地いい。
たぶん、観客は全員彼女が好きなんだろうと思う。


後藤は嶋アイランドの主宰で脚本家だ。以前、4月頃だったと思うが、『ザ・スネーク』を観に行った。勿論、コーヒーの劇団員が4人も客演していて、しかもホチキスの小玉さんまで客演してるという豪華賢覧の役者陣だったからだ。

個人的に後藤はいい役者だと思う。今回も年齢のギャップを乗り越えそれらしかった。もっとハジケテ、ザンヨウコの尻を触って欲しかった!(^0^)

物語はガッテンだ!みたいな極限状態から、1on1のサシ勝負に変わるかと思いきや坂鶴はダイナミックに倒れる。
倒れる前に坂鶴は「かめ(柿ノ木、またの名を一休さん)とケンちゃんを頼む。こいつらには身寄りがねえ、お前が面倒見てやってくれ。」と菊田に頼む。

ここでホロリ。(;;)


その後、若かりし頃の後藤と千代子は付き合うことになるが千代子は監督から抜擢され大女優へとのし上がる。それに引き換え後藤は相変わらず三流役者だった。


千代子の主役映画のキャバレー「愛は蟻地獄」のシーンで盛り上がる。
た、楽しい!(^0^)しかも・・若い頃の千代子(三枝)の大開足の際の足の長い事、長いこと!(超びっくり!)


やがて、後藤にも赤紙が届き、千代子との別れのシーンから場面は南の島グアムでの戦死のシーンまで動く。
ここでの南の島に雪を降らせる展開は劇団四季の「南十字星」でも「南の島に雪が降る」でも観劇してるから、決して新しくない。そういえば・・明石さんまも公演してた。確か途中、ざわわーざわわーざわわーー。とサトウキビ畑の導入歌が入っていた。

そして最後の場面では、戦死したと解っていながら、それでも後藤を日本で待つ千代子の上から冷たい雪がはらはらと舞い降りる。

「神様、雪降らす力があるなら、私のあの人をここに連れて来てください、雪・・。」



笑い、殺陣、ダンス、涙。盛りだくさんの内容は圧巻としかいいようがない。






最勇記

最勇記

super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船

ブディストホール(東京都)

2008/10/29 (水) ~ 2008/11/04 (火)公演終了

満足度★★★★

毎回元気!(^0^)
TEAM快賊船はいつも元気いっぱいの舞台を見せる。そうして毎回外れたことが無い。
今回はあの孫悟空をオリジナル化したもの。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

むかしむかい大昔の話。
とおいとおい海の果てに華果山という山があった。
ある日その山は大きな仙石を産み落とした。そして中から金色に光る一匹のサルが誕生した。…孫悟空である。

さてその孫悟空、5百年の月日を過ごした頃には下界に敵は一匹もなく。
とうとう天界に仲間と一緒に殴り込みをかける事にした。

意気揚々と天界の玉帝のおわす霊霄殿(れいしょうでん)へと向かう悟空達。
しかし計画は観音菩薩により失敗してしまう。
仲間は全て捕らえられ、悟空も捕縛。最後はシャカの右の手の平から抜け出せず、大きな大きな山の下敷きにされてしまうのであった。
かの有名な、五行山である。それから5百年の時が流れた…。

森の中、西へと向かう旅の一行がいた。法衣姿で錫枝を持つ人間の名は、玄奘三蔵。最高僧の位を持つ玄奘が向かう先は天竺。そして付き従う者が4匹。彼等は皆妖怪である。名を猪八戒・沙悟浄・白龍、そして孫悟空という。

それぞれの願いを胸に、彼等は天竺へ取経の旅へ向かう。
そんな彼等を待ち受けているのは、あまたの苦難…。



今回の舞台は西遊記を『最勇記』に変えてのオリジナル物語だったけれど、大体の筋は同じ。
何が違うって、玄奘三蔵が威勢のいい三蔵法師になってました!
でもって、この威勢のいい法師(金村美波)がすんごくいい。
とにかく気風のいい法師さまって感じで洗練された武芸を眺めるように見物しました。
悟空は悟空で法師に励まされているというよりも好き放題に小突き廻されているように見えて、あな恐ろしや。

目眩めく道程を悟空は滑稽とも思える形相で戦い、目を白黒させ、フザケ、声枯れした聞き取りにくい声で叫び、やり過ぎて法師にオシオキされ、観ている私達は一種不思議な荘厳さがあたりを包み愉快千万でした。

徳の高い法師の魂を食べると三千年長生きできるとか、妖怪は人間になれるとかの噂から法師は悪の妖怪たちに命を狙われるも、この法師、ちょっとやそっとでは倒れません。

舞台は殺陣の見せ場もあり、一方で水戸黄門のように印籠を出す瞬間のすっきり爽やか満足感たる悪を倒した後の満ちたりた心も体験できます。

猪八戒と牛魔王は愛くるしくて頬ずりしたくなる子豚のように可愛げのある男でもなかったけれど、声優のように声に張りがありました。
吉備津彦の殺陣シーンは凄い!

殺陣シーンでは「劇団バッコスの祭り」の丹波隆博が神がかりだったが、それに近い。

きっと終演後、打ち上げでの飲み会はまさに『妖怪の宴』なんでしょね。


ワタクシは、というと・・・霊験あらたかな気持ちになって築地で寿司を食べたのはいうまでもありません。

楽しくて愉快で元気で美味しかった!


そんな舞台。



Big Tree

Big Tree

ThreeQuarter

明石スタジオ(東京都)

2008/11/01 (土) ~ 2008/11/03 (月)公演終了

満足度★★★

クローン人間の物語
オープニングが素敵です。それにあわせた音楽も!

ちょっと中だるみな部分もあったけれど・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

クローン人間の話題がでて久しい。だから、ただのクローン研究の話題を物語りにしたところで私たち観劇人の興味を誘う事はできない。

だから、この物語はクローン人間になりきれなかったクローンとクローン研究所、そしてとあるモーテルに集まる人達の人間模様を芝居にした作品。

クローン研究所では戦争に借り出す為のクローン人間を大量に創作していた。ある研究者は二酸化炭素を増やしてしまう人間に対して酸素を吐き出すクローンがいたら地球上の空気が綺麗になるのではないかと考え、植物の遺伝子を持った二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す光合成で生きるクローン人間の実験をしていた。この実験段階途中のクローンが自分を代理出産した母を捜すために逃走した。

この逃走した植物クローン人間を探す為に研究所は動き出す。

脱走した植物クローン人間はあるモーテルに匿って貰い、世話になっているうちに、人間としての心や感情が宿っていくが、実はこのモーテルのオーナーの子供は人間とクローンの間に生まれた子で、その宿命は人間を全うした後、植物に戻ってしまうという命だった。

人間とクローンが共存していく思いや混ざってしまう血の系統。遺伝子の記憶を織り交ぜ、物語は進むが世界はいつの日かクローンが人間の指示から離れて人間よりも優れたものになってこの世を支配するようになってしまう。

全世界のあちこちで戦争は大規模になり世界の果てが近づいたその時、ノアの箱舟なる船に乗って人間とクローン人間8名は他の星に向かって地球を脱出する。

いつかきっと、何もない地球に戻って生命の営みが出来るようになるその時まで。

笑いのネタは古かった!(^0^)しかし、全体的に格闘シーンなど見せ場は多く上手くまとまっていたと思う。
ストーリーを無理に収束させた感があり違和感を覚えた場面もあったが、まあ、そこは最後のシーン、植物と化したノアの切ないシーンで全ては相殺される。

マスターはもうちょっと痩せないと格闘シーンの動きがヤヴぁイ!です(--;)

ちなみに会場に3~4歳くらいの子供が居て私語を満遍なく発してました。役者のセリフと被って、まったくもって劇中の空間に感情移入できませんでした。そういうう子に対してのスタッフの対応が悪い!ドア際に座らせてぐずってきたら出させるか、最初から入場させないようにするべき。あの年齢の子が黙って2時間も座っていられるはずがないです。親の常識も疑いますがスタッフの常識がないのにも呆れてしまった。

パトロネージュ、そして始まる恋

パトロネージュ、そして始まる恋

スタジオ絵夢

MY SPACE ASPIA(東京都)

2008/10/31 (金) ~ 2008/11/02 (日)公演終了

満足度★★★★

ピアノの演奏に重点をおいた音楽劇
最初から最後までリストの曲を奏で続けるという優雅な空間の演出。

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

老巨匠チェリストの姿をしたエヴァンゲリストの案内で芝居と生の演奏による舞台。

音楽家ってヤツは困ったヤツが多い。特に天才音楽家ってヤツは!(^0^)

フランツ・リストはマリーとの恋の逃避行の後、愛に満ちた同棲を経て3人の子供に恵まれるが、フランツの奔放さ浮気、多忙さから破局を迎えます。その後、フランツはパリの社交界で活発に演奏活動を行っていた。それでもフランツは「寂しくて満たされない。何をしても心が寒い。それでも天才は社会に奉仕しなければならない。この絶対的な感じがある限り。」と嘆いていたがキエフでカロリーヌに出会い恋に落ちる。

カロリーヌも悲劇の主人公のような顔立ちのフランツを好きになる。そして彼女はフランツに100万ルーブルの援助を申し出て彼らは恋人になる。やがて彼女の提案で演奏旅行は辞めて作曲活動に専念するように助言したことからフランツは世界的に有名な作曲家となった。


今回の音楽劇は演奏に重点をおいた劇だったから芝居の方は殆どがフランツの作曲に関する場面や苦悩が主だったが、それでも、これだけのリストの曲が聴けて尚且つ芝居付きなら満足です!(^0^)

紅き野良犬

紅き野良犬

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2008/10/31 (金) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★

素晴らしいじゃあないの!JACROW
芝居は前面の画面に説明文が流れるところから一気に始まる。この時点で今回はヤルナ!と感じたこの舞台。そんでもって説明文の内容が・・・(^0^)

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

その内容はキリスト教をちょっともじったモリシタン教とか、徳川をオクガワともじったり、年表に沿った説明を真面目にふざけて流すのであ~る!(^0^)

今回は時代劇という設定通り、何が素晴らしいかって百姓の衣装や人物の設定がリアルで素晴らしい。それから衣装だけ褒めてる訳じゃあない。役者の面々。どいつもこいつも(失礼!)とにかく百姓や浪人や野武士に見える!

もう最初からワタクシ、ニヤついてずう~っとニヤつきっぱなし!

どの役者も素晴らしいけれど特にお杉役の菊地未来、凄い役者です。チック症のようにホホをヒクヒクさせて演じるその百姓の女房役は神がかってました。

さて、内容です。
モリシタン教を敬う百姓数人がこの地に住みつくがこの教徒達は迫害を恐れて身を隠すようにひっそりと暮らしていた。ある日、教徒の一人の万造は深い井戸の中に隠された黄金を見つけたことから他の百姓達にそのことを秘密裏にして、その黄金を自分のものにしようと企む。黄金が見つかりそうになったり状況が不利になったりする度に邪魔者の村人たちは殺されてしまい、その結果、万造以外誰も居なくなってしまう。
井戸から顔だけ出して話すセリフが聞きとりにくい。それ以外は役者は迫真の演技で、ワタクシはひじょうに満足感がありました。

黄金の守り人である浪人と万造の戦おうとすうのシーンで芝居は終わるが、この終わり方に照明が絶妙に交じり合い美しいシーンだった。

ちょっと笑いを盛り込んだ不条理劇!お勧め!(^0^)


プラスチックレモン

プラスチックレモン

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2008/10/31 (金) ~ 2008/11/05 (水)公演終了

満足度★★

好みではない
ブレーンの宇宙学を軸に作り出した本。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

宇宙の光や音、科学や物理の説明などは確かに的をついている。家族や恋人がバラバラになって違う星にトリップしなければならない心の描写などを表現するさまは哲学的だった。

一度トリップされると戻って来られるのが一万年先という、もうその頃は死んでるじゃん!という理不尽劇だからこそ、離れ離れになる人達の緻密な描写を必要とするのだが、とにかく機械的な動きやセリフは幾何学的な冷たい空気が感じられて好みの舞台ではなかった。

芝居と言うよりも、説明に重視をおいた舞台だから、楽しめなかったと同時に、あまりにもマニアックになってしまうと、大衆からは支持されないのは常だと思う。趣味で劇団をやっていくならこれでもいいのだろう。しかし、趣味だけで終わらせたくない場合、違う視野を持つのも必要だろうなぁ、と思った舞台でした。

電車は血で走る

電車は血で走る

劇団鹿殺し

青山円形劇場(東京都)

2008/10/29 (水) ~ 2008/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しくて切ない!
ホント、素晴らしいですわ!確かに舞台はノスタルジックで賑やかでした。

大切にしまっておいたブリキのおもちゃ箱を開けると中から飛びでてくる古い絵本や三次元が見える鏡や何かのスペアキーや端っこがさび付いてしまったハーモニカ。それらを見つけたような感覚のお芝居です。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

大阪梅田と宝塚を結ぶとある路線沿線の「庄内」が舞台。

扉が開くとそこには汽車の最前にある大きな一つのライトを思わせるような光が飛び出す。やがて電車は登場する。ここでの電車は楽隊なのだ。円形劇場を巧みに利用して円を描きながら電車楽隊は踊りながら、ちんどんやのように練り歩く。ラッパやアコーディオン、笛を吹きながら。サーカス団の行進のようだ。そう、おもちゃのマーチ!(^0^)

電車が大好きな少年・鉄彦は 線路脇の工務店の仕事場に迷い込んだ。そこでは大工さんや電気屋さんが夜な夜な集まって歌劇を繰り広げている。彼らは「宝塚奇人歌劇団」という劇団名で舞台に立つ。そして少年は歌劇団唯一の客になり、やがて歌劇団の一員となり、舞台を踏む。

宝塚奇人歌劇団、流石に大阪からやってきた鹿殺しだけに、衣装は阪神タイガースのハッピ、それからTシャツの柄は虎!おまけに虎柄のタイツときてる。

あー、たぶん、アレだなっ!途中で帰ってしまったお客さんはGファンなんだと思う。関東に住み着いて関東で営業するならGシャツにGロゴ、Gキャラをプリントするくらいの気の使いようがないとダメですわ。やっぱ、野球はGでしょ、G。
関東では六甲おろしも歌わない。ってか聞いたことがない。そんな地域性で虎はないよね?思わず一休さんを差し向けたくなりました。


で本題、血で走る阪急電車は『宝電鉄』、桃鉄ではありません。
物語は突っ走って行くような勢いのある歌劇団としっとりした場面の展開を織り交ぜ魅了します。鉄彦は小学2年生で電車に轢かれて死んでしまった黄泉の国の住人だったことが物語が進むうちに解かれる。自分が死んでしまっていて現実の世界の住人ではない。という事が解りきってる鉄彦だったがそれでも、こうやって黄泉の国から楽隊電車を走らせてやってくる。小さい頃の夢だった運転手になって・・。


いじめられっこだった鉄彦とかつての同級生の絡みや7000系の絡みが切なく心に沁みました。ワタクシにとっては舞台というネバーランドを充分に楽しめた舞台!役者たちのエネルギーが満ち溢れて紫煙のように地面に垂れ込め、円形の舞台から流れ出るさまを想像した。

いあいあ、素晴らしいです!
学おじさん

学おじさん

アタリ・パフォーマンス

本多劇場(東京都)

2008/10/24 (金) ~ 2008/11/03 (月)公演終了

満足度★★★

まあ、そこそこ
本の内容はベタな解り易い物語。それほど笑う箇所も多くない。だから金額で小劇団と比較すると、小劇団のほうが観甲斐はあります。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

学おじさんが仲間を引き連れて米村家にやってきた。直也(平田満)が居候している家の主、おばさんに会う為だ。学おじさんはおばさんの元夫なのだが、ずうずうしく上がりこんでしまう。

事情を聞いた米村夫婦は海外旅行中のおばさんが帰宅するまで宿泊させる。

そして学おじさんの息子は直也だという事が芝居が進むうちに解ってくる。学おじさんは人目だけでも自分の実の子供に会いたかった、というのだ。

一方で米田夫婦は息子の克彦との間に確執があったが、学おじさんやその仲間のお陰で家族の関係が修復される。

そんな人情話なんだけれど・・・笑いのネタも少ないし、物語自体が薄っぺらい。無理無理にストーリーを収束させた感が否めない。

まあ、今回はそれなりのキャストが出演してたので、しょうがないかなー、程度の芝居でした。
片桐はいりと平田みつるの演技は自然で素晴らしいです。
やっぱ、役者が良くても本がアレだと足は遠のく。

改めて小劇団の素晴らしさを実感!

観客は壮年期恐竜時代の方たちが多かったです。だから、芝居中におしゃべるするわ、がさごそと飴をむいてたべるわ・・・・娯楽ですなっ。芝居を楽しむんじゃあなくて伊東四朗を観に来ただけかも。

だから、物語なんかどーでもいいんですなっ。

いあいあ、参りました!m(__)m
猫のサロン ~二組の夫婦~

猫のサロン ~二組の夫婦~

猫の会

オメガ東京(東京都)

2008/10/24 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★

「クツシタの夜」を観た!
リーディングの芝居を観たのはこれが初めてではない。
だから、脚本に相当な力がないと観客を想像の世界に誘っていくことはできない。

以下はネタばれBOXにて。


ネタバレBOX

クツシタというのはソックスをはいたみたいに足の部分が白い猫ちゃんの名前。

このクツシタの面倒を見ている夫婦とその夫婦の家に集まってくる人達の物語。
とにかく、退屈でした。舞台の上に椅子が置かれてあり、そこに座っての朗読。ナビ役が一人。

ゆるくてどうとでもとれる内容ってリーディングには向かない。初めて知った。
やっぱ、リーディングは物語自体にハラハラドキドキ感があったり、読み手が半分芝居がかってないと、辛いよね。だって、朗読だけなら図書館に行けばいい。
本の内容が身近でどこにでもある内容だったから空想も出来なかった。

人形の家

人形の家

ノアノオモチャバコ

王子小劇場(東京都)

2008/10/22 (水) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

夫婦の関係
舞台に白い仮面を被った役者が4人、登場する。つまり、顔が無いのだ。顔は自己主張の表れであり表情だ。たぶん、この顔ナシ4人は一つの家族と仮定する。テーブルを囲んで座っている4人。模擬家族だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


ノーラと弁護士ヘルメルは3人の子どもと共に幸せな結婚生活を送っていた。ノーラは、猫かわいがりするヘルメルの愛の性質に、気づいていながらも夫に大切にされていた日々を過ごしていたある日、事件が訪れる。

実はノーラには隠しておかなければならない秘密があった。夫が病に冒されたときに、借用証書に偽りの署名までして内緒で工面した借金があったのだ。その借金の相手は、銀行の頭取に出世したヘルメルによって職場をくびにされると、秘密の暴露とひきかえにノーラに、復職を夫に働きかけるよう迫る。ノーラは絶望する。自分を支配しているヘルメルがこのことを知れば、すべての生活は破滅することは目に見えているからだ。しかしその一方で、ヘルメルは彼女を愛しているので、真実を知ったとしても自分を犠牲にして彼女の行為にすべての責任を持ってくれるだろうとも確信していた。

事情を知らないヘルメルは、クロクスタを解雇してしまう。宣言どおりクロクスタは暴露する手紙をヘルメルに送り事実を知ったヘルメルは激怒し、ノーラに対する怒りと憎しみを露わにし、署名の偽造について責任を負うそぶりも見せなかったどころかさんざんに罵倒してしまう。すべての終わりがやってきたと思ったさなか、改心したクロクスタから捏造の証拠である借用証書が送られてくる。これでヘルメルの危機は過ぎ去った。先ほどまでの態度を豹変し、ノーラに再び微笑んで甘いことを言い放つようになるヘルメル。

しかし、ノーラは、自分の結婚生活が考えていたものと違うことに気づき始める。ヘルメルが対等な人間として、絶望や悩みを共有し喜びを分かち合える存在「1人の人間」として自分を見ていないことにノーラは絶望し、ノーラは自分がやらなければならないのは自分の力で世の中に出て行き「自分を教育する」ことだけだと心に決める。ヘルメルの制止を振り切りそして彼女は夫と子どもたちのもとを去る。


イプセンは幼いとき父が破産し、暗い少年時代をおくった影響力が強いせいか、深層心理を得意とした戯曲が多いよね。
新たな時代の女性の姿を世に示した代表作だけれど、この戯曲を再読していったからひじょうに分かりやすかった。

戯曲はその後のフェミニズム運動と重なって更に有名になったけれど、今、改めて芝居を観ると・・・誰かに保護されながらゆるく生きるのもいいな~。なんてフトドキにも考えてしまう。前戦に立って対等に戦うという事がどんなに大変な事か。家の中でぬくぬくと暮らしてるノーラには分かるまい。なんて保守的な言葉を発すると顰蹙をかうだろうか・・?


キャストは素晴らしかった。特にノーラとヘルメルの会話での表情が。ラ・マンチャと同様ロープのない四角いリング場での芝居だったが役者の立ち居地を考えて貰いたい。重要なセリフの場面に役者の背面ばかり眺めていると、結構イラつく。役者の表情が見えないからだ。どんな時も一語一句聞き漏らしたくない、表情も見過ごしたくない。という真剣そのもので観に行っているからだ。(^^;)まさにリング!

ただ、この物語を80分程度で収めるのにはいささか無理があるように感じる。もっと綿密に書いても良かったんじゃないかと・・。いかがだろうか?

最後にヘルメルが女中とくっついてしまう場面、余韻が残る見せ方だった。

猫のサロン ~二組の夫婦~

猫のサロン ~二組の夫婦~

猫の会

オメガ東京(東京都)

2008/10/24 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★

『たんぽぽ』を観た!
売れない作家とそれを支える妻・ひなこの物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

まず、何が情けなかったって・・・売れない(才能が無い)夫のユキオはいつか売れると信じ込み全く働きもせず妻に働かせてその上借金まで作ってしまう。それでも妻は我慢してパートを掛け持ちしながら当面の生活費を稼ぐために働いている。

出版社に売り込みに行ったある日、そこでユキオの書いた本を詰られバカにされたユキオはふてくされてフィリピンパブに飲みに行ってしまう。この日は妻の誕生日だったというのに。妻は呆れて家を出てしまうが、代わりに住み着いたフィリピンパブの女2人が愉快旋盤なのだ!

リボン(徳元直子(劇団ぐるぐる牛))とジャスミン(中野架奈 )はお色気満点で特にリボンは胸のカットがハンパなく深くもしかして「こんにちは~」なんてお辞儀をすると谷間どころか全て見えちゃうんとちゃうの?(嬉しい悲鳴!)なんて想像力の羅針盤がハンパなくブレ切ってしまうほどのボディコンをお召しになって、更にその形の良い胸を作家の頭にすりすりしちゃうほどの子猫ちゃんなのです!(^0^)

更に更にこの二人、ユキオの本を売り込みに行くと見せかけ、出版社に行って自分達の営業をして顧客を増やしてるものだから、フィリピンパブはバブル真っ盛りの黄金時代なのだったらなのなのだ!

そんなこんなできゃわいい子猫ちゃんたちの営業力に舌をまいてお口をあんぐり開けっ放しで見ていたら、当然の事ながらユキオはその事に気付いて逆ギレして「出て行け!」となる。そこに妻が戻ってくるわけだけれど、結局薬局、またまたユキオは妻に甘えてダメニンゲンのままという、なんともイラつく内容でした。

この物語、リボンとジャスミンが居なかったら、ただの無能な作家の物語で終わってしまう。
次回、このフィリピンパブの物語だったら楽しそうだ~。
ノー天気なきまぐれな子猫ちゃん役のリボンとジャスミンが光ってました。

愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸

愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸

ノアノオモチャバコ

王子小劇場(東京都)

2008/10/22 (水) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

果てしない夢と裸族!
とにかく素晴らしいです。
終盤になって秘密が暴かれ、伏線は繫がり納得します。

色んな色がギュッと詰まってその色は混ざり合って何色にも見える。そんな舞台です。いあいあ感動だなー、観て良かった!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台の作り方が上手いです。2階のワタリの部分にベッドを置いてその上には患者が。この患者は後に精神を病んでしまった森村先生ということが解ります。

正面の舞台のセットはロープのないリングです。三方に観客席。

裸の王様と道化師とサンチョ・パンサはとある宿屋にやってきます。
ノーテンキな3人はこの宿屋で旅芸人の親子に会いますが、この子供たちは盗みをしても良心が痛まないほどにささくれ立ってしまっていた悪ガキでした。そもそも、こうなった理由は、10年前に裸の王様が居なくなってからというもの、この国はすっかり変わってしまい荒れ果てていたのでした。

裸の王様の一件から目に見えるものが全てで本当のことを言うようになった全ての子供たちは、攻撃的で野蛮になってゆき国全体が崩壊していたのでした。

この子供たちを立ち直らせようと、宿屋の主人を含む大人達は説得をしますが、その心意気をあだにして子供たちは宿泊代のツケを支払う為に自分の体を売って金を稼いできてしまいます。良心が届かないと理解した宿屋の主人は落胆しますが、更に子供たちに自分の秘密をばらされ傷つけられた主人は逆上し、憤慨し、そして自分の行為が無駄だった事を悟ってしまいます。

主人は儲からない宿屋を止めて、裸踊りを見せる「見世物小屋」に商売を替えると提案し、子供たちに見世物になって金を返せと逆ギレして脅しますが、脅された娘は何のおくびもなく衣類を脱ぎ捨ててしまいます。

一方舞台は変わり、とある中学校の場面に移ります。
森村先生は新任として荒れ果てた学校に赴任しました。そこは校内暴力の嵐で何人もの先生が入れ替り崩壊してしまっていた学校でしたが、先生は学校を建て直そうと正義感に溢れ努力します。しかし、その正義は生徒に伝わらずやがて空回りし孤独になっていきます。努力しても努力しても生徒に裏切られやがて先生は一人の生徒をナイフで刺してしまいます。同僚の教師からも孤立し、気が付いたら一人ぼっちの裸の王様になっていました。

それでも生徒は森村先生を追い詰めます。中身の入ってない箱を持ってきて服が入ってるとプレゼントします。「先生、その服が見えないの?」と。

先生はやがて孤独の淵から突き落とされ精神が病んで入院することに・・。
最初の情景と最後の場面の伏線がつながり物語のなぞは解き明かされます。

深層心理をついたひじょうにレベルの高い作品でした。先生のしたことは正しいことだけれど、1対多勢の闇の勢力は一人の教師の力ではどうにもならなかったこと。最初は教師という正義感の為に突き動かされた清らかな精神も、徐々に生徒と言う残酷な塊を相手にしているうちに、他人が怖くて仕方がなくなっていくさま。ドンキホーテを気取っていながらも実は自分は裸の王様だったのではないか、と気付く過程・・・。
こうして先生は入院してる今でも夢の中でドンキホーテになったり、裸の王様になったりしながら旅を続けさ迷い歩いているのです。

キャストが素晴らしいです。ビンタのシーンは3回あったけれど、手を抜きません。本気で殴っていました。会場に音が響いて、その音が妙にリアルに耳に残りました。全員が迫真の演技で観ていて納得のいく芝居でした。

いあいあ素晴らしいです。これだけ観客を満足させたら感謝と拍手で役者出しするほかないでしょ。(^0^)

温暖化怪獣オカラ

温暖化怪獣オカラ

脱線劇団PAGE・ONE パートII

シアターブラッツ(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★

上演時間70分!
とにかくストーリーなんてどーでもいいような内容です。
子供が観ると喜びそうなレベルです。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

巨大怪獣オカラが現れたいきさつというのが、博士が都心にあるオアシスの中の一本の木に絡まれたことから始まる。

舞台は二酸化炭素を食らう怪獣「オカラ」が突如として現れ、東京のシンボル、東京タワーを壊してしまう。

マスコミやら総理やら防衛庁やら大慌てでのドタバタ劇だが、これといった落しどころはない。笑いのネタもイマイチぱっとしない。
オカラに立ち向かうウルトラマンやエコ戦隊グリーンズも登場し、ゆろゆろ~と戦い、正義が敗れるが、最後は隕石が怪獣に当たってオカラはメデタク死ぬ。という筋。

子供を連れて行くと喜びますね。大人は少々退屈です。
観れば解ります。

もうちょっと・・・言葉で笑わすネタを研究してホシなー(^^;)
おわりのいろは

おわりのいろは

ホチキス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

そのフライヤー
まんま、小玉さんよね?と思いっきり察知した舞台!
以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

野川家の父は発明家という肩書きだが、その発明をしているのは末っ子の三平だった。三平は幼少の頃から天才肌で彼が次々と発明したものを父の保が自分の発明と売り出し金にしていた。

そんな折、三平が発明途中だった空間転移装置を勝手に父・保が実験してしまい行方不明になってしまった。そうなってしまうと、今度は莫大な研究費を持ち逃げされたと疑いをかけたマスコミが騒ぎ、家族にも被害が及ぶ。

三平は自分のせいだと思い込みショックで引きこもりになり猫としか会話しなくなった結果、猫語しか話せなくなる。長女は三平を責めながらも父親を探すべくアルバイトでも金を稼ぎ、そしてその金が探偵に流れていく。長男は家出をし鍵屋をしながら危ない世界の仕事もこなし、その特性を生かして父親が居そうなドアを片っ端から開けていく。

父、保が金を生み出す三平ばかり可愛がった事で兄弟の3人の心はすっかり深い溝が出来てしまっていたのだった。

父の失踪によりバラバラになってしまった家族を母・いろはによって収束されていく過程や、父・保が異次元の空間の世界で客観的にかつての家族を見ることで、見えていなかった家族のあり方が見えてくるようになる。

出来の悪い父親が淡々と・・・なんだか自分を正当化しながら吐くセリフの数々が妙に愛しかったりする。悪気はなさそうだが、やってることは悪いのだ。(苦笑)そんな父親の子供たちなのに、この子供達が実に優しいのである。長女の睦美は抱え切れないほどの悩みを抱えすぎて壊れかかっているのに、それでも自分ひとりで何とかしようと頑張る。長男・ミツノブは父親から名前すら覚えて貰えない程、存在価値が薄いのに、それでも父親と一緒に居る時間を長くすれば名前を覚えて貰える。と考え努力する。三平は父親を取り戻すべく研究に時間を注ぐ。

今回も小玉、加藤の芝居は絶妙でした。大げさでコミカルな小玉の演に対し、加藤の淡々とした自然な動きが対照的で良いバランスを保っていました。
玉置(柿喰う客)の実力も見逃せません。彼がバイト仲間から殴られるシーンは鳥肌がたちました。殴られた反動で頭が後ろに仰け反る角度や蹴られた瞬間の体の反り返りが、まるで筋肉の収縮をも見たような気になります。照明と上手く融合してひじょうに素晴らしいです!(大絶賛!)

今回も濃いキャラの役者の品揃え(笑)で観甲斐がありました。
天才外科医とその外科医が死なせてしまった子供の母親のシーンはツボでした。

物語の流れとしてはつぎはぎだらけを合わせた感じが否めないけれど、最終章で母・いろはは「お父さんはいらない!」と言い切り、決着をつけます。
この一言で3人の子供達は救われる。

この物語は続くのでしょうか?そんな終わり方でした。

本日、米山和仁(ホチキス)と古川 貴義(箱庭円舞曲)のトークの日。
「いろは」とは物事の初め。母、生母という意味だそうだ。
米山は10歳で父親を亡くしたとのこと。当時父の仏壇の前で「チーン」を鳴らしたくて姉と奪い合って喧嘩になったら、母親が「もう、あんた達は!これからはお父さんが居ないんだから、自分達で生きていかなくちゃならないのよ!」とチン!チン!チン!と何回も連打した記憶があって、それを今回、いろはのガン!ガン!ガン!に活用したという。ちっさいころの記憶って大人になっても鮮やかだよね。

とにかく色の付いたクレパスをみている気分でした。お勧め!




あいどんとわなだい

あいどんとわなだい

エレクトリック・モンキー・パレード

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2008/10/18 (土) ~ 2008/10/20 (月)公演終了

満足度★★★

過去の闇
オープニングからハイテンションで物語りは流れます。

最後にはどんでん返しのどんでん返し。

罪深き者たちのレクイエム。

ネタバレBOX

久しぶりにかつての仲間がシンイチのバーに集まることになった。
妙にはしゃぐよしあきをよそに、冷静な弁護士のあきら。

次々と仲間は集まり変わった者や変わらない者がお互いに「今、何してるんだ?」なんて挨拶代わりにコメディっぽく物語りは流れる。

そんなおり、バカボンは今どーしてるんだ?と一人がぼんやりと言った一言がきっかけに、気まずい雰囲気になる。
そこへ、バカボンが登場し、ヨシアキとけいすけとしんいちはびびりまくる。

「何故、バカボンが・・?死んだはずなのに・・。」と3人は驚愕する。

やがて、バカボンそっくりに整形した北さんがバカボンを殺した3人を復讐する為にここにやって来たことが解る。
3人は卒業前日にバカボンを交えて飲み会を開き、罰ゲームと称して過剰になり失神させてしまった。
その場面のビデオを見た北さんがバカボンの仇を討つため、3人を殺しにやって来たのだった。

北はある病気の為、余命数ヶ月と医師から宣告されて決心したという。
「何故、今まで会いに来なかった?もう、お前に殺されるんだ。教えてくれ。」と質問したシンイチ。

「考えてみれば・・・卒業して社会に出てもパッとしなかった。自分がいかにクズかが解った。恥ずかしかったんだ。恥ずかしくて会いに来られなかった。そんな自分をだんだん嫌いになっていく。」と告白する北。

そうして、3人は北によって殺され、その北はシンイチを好きだと言ったユカに殺される。

全てが終わったかのようにみえた物語はどんでん返しがある。

ビデオの中のバカボンは死んだかのように見えたが息を吹き返した。そのとき、たまたま遊びに来たあきらに絞殺されたのだった。

本当は殺していなかった3人。バカボンを殺したと思い込んだ北さん、北を殺したユカ、真犯人のあきら。

それぞれがそれぞれの闇を抱えて生きていたのだった。

仲間だと思っていた人達のどこかねじれた物語。
前半は殆どコメディ。後半はスリルとサスペンスに変えての顛末は弁護士という肩書きを持ったあきらの病的心理をついた作品。


旗揚げとは名ばかりの魅せる役者たちばかりでした。
物語の内容も濃い。
明らかにニコニコしながら帰宅できる作品ではないです。
好みか好みじゃないか、はっきり分かれると思う。

前半のコメディ部分はセリフで笑わせる質の高さも加味し、好みでした。


次回の作品も期待できる劇団でした。


超人スリムスリムマン2

超人スリムスリムマン2

タッタタ探検組合

タイニイアリス(東京都)

2008/10/16 (木) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★

好き放題!(^0^)
いあいあ、めっさ楽しいですわ。アドリブあり~の、軽くセクハラあり~の。それでいて憎めない超人スリムスリムマン。
客席は超満員、とにかくぎゅうぎゅう。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

とにかく、ばかばかしいです。(^^;)
ばかばかしすぎて笑うしかない!という勇ましさ!(^0^)

このストーリーは延々と続くのでしょうか?(たぶんそうなのだろう)

前列に座った観客はなんやらスプラッシュマウンテンのごとくシートで身を守るように配慮がされてました。
舞台にはプールのようなセットが・・。(@@!)


アフリカにやって来たただしは、水脈が涸れてしまって喘いでいる村の親善大使に会う。
その水の流れを変えたのが、コポコポコーポレーションのコポコポコーポだった。
このコポコポコーポと水脈の取り合いで戦うことになるただし。

一方、手賀沼国際大学に進学したたけしは、研修旅行の名目で、やはりアフリカへ飛ぶのだったが、なんと、この大学の入学生はたけしだけだったのだ。
この大学もコポコポコーポレーションが一枚絡んでおり、「ただし」と「たけし」は二人でこの敵と向かい合う。

物語の筋はきちんとしているようにみえて、どーでもいいような感じです。
きっと観客はストーリー性なんか求めていないのかも。
舞台のサイドに4コマ漫画の画面が現れ、どこのどなたか解らないようなお人がいちいちめくりに来ます!(^^;)
その瞬間、舞台は停止します。(^0^)ピッと時間を止めたみたいに・・。

ただしやたけしがスリムスリムマンなるフンドシ一丁になる度に、どたばたと変身するわけだけれど・・・、この変身する過程が物凄く情けないです。
ここでまた私たちは苦笑するわけですよ。

舞台が水浸しになってそれで滑ったり、はたまた、いちいち拭いたりしながら、なんだかほのぼのとした舞台でした。

コポコポコーポを演じた井上美穂は最後はずぶぬれでプールで泳いでました。

お疲れ様ー。と言いたい。

「次回も頑張るんだよ。」

どんとゆけ

どんとゆけ

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/10/16 (木) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★

逆転の発想!
始終、ブラックジョーク的な要素が満載だと感じた。

それから、立ち居地を考えて欲しい。左側に座ると、死刑囚の妻がはだかって死角となり執行員の顔が全然見えません。全く見えない・・。ダメじゃね?(・・)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

セットは畳の部屋が一つ。周りには古いゴムボール、汚いリカちゃん人形、使えそうもない炊飯器、汚れた浮き輪、片方のブーツ、おもちゃのピアノ、薬缶、動きそうもない扇風機、電気ポット、びっこのサンダル・・・ガラクタが散在している。

そこに死刑囚と死刑執行員が入ってきて、ここで、死刑の執行をするという。
どうやら、死刑囚の妻の自宅らしい。妻は死刑囚と5年前から文通を始め、めでたく1年前に獄中結婚をした。

この家に被害者の家族が訪れて、死刑囚の死刑執行に関する決まりごとを確認する作業に入る。

被害者の家族は勿論、被害者なのだが、この物語は死刑囚の死刑執行を被害者の家族が実行するという事と、死刑にする判断も被害者の家族がするという設定で、何だか、被害者が加害者で殺人者が被害者のように見えてくる。
許しを請い、助けて下さいとすがる加害者。
許さない。という被害者の妻。

そう、この物語は逆転劇なのだ。ブラックジョークにコミカルな要素も加味されて、笑えるシーンもある。

最後の受刑者の望みを叶える決まりとか、最後の晩餐には受刑者の希望を聞くとか、最後の瞬間を心安らかに行けるように、受刑者の神経を逆なでしないように。とか・・・流れは受刑者の機嫌をとる形に動いていく。

受刑者の絞首刑に直接、手をくだす。という時点で被害者は被害者でなくなって、人殺しとなり、被害者自身もそのような感覚になっていく。

しかし、受刑者は「助けてください。どんな事をしても償いきれないと思いますけど、それでも何でも償います。お願いします、助けてください。」と哀願していたにも関わらず、妻と二人きりになった途端、「逃がしてくれ。今なら逃げられる。どっか遠くへ行って二人で暮らそう。俺はまだ若い。やりたい事は山ほどある。パチンコもゲームもしてみたい。何で死ななきゃならないんだー」と泣いてみせる。

バカは死ななきゃ直らない!のだ。(^^;)

それを聞いた妻は「大丈夫、大丈夫だから・・・貴方の前にもここで二人死んでるの。貴方と同じ死刑執行で。」と。
天使のような妻を演じてた妻は、先のない死刑囚というペットを可愛がって、愛し、慈しみ、マリアになりたかっただけだったのだ。


それにしても・・・凄い物語を考えたものだー。
もし、ワタクシの家族が殺されたら、勿論、殺しにいく。
しかし、遠巻きで見てる分には「何もそこまで・・。」と受刑者に同情してしまう。

要するに・・・結局薬局、主体的にしか考えられないのが、ニンゲンなんだよねー(^^;)


今のように一人暮らしになってしまうと、かつて、わずらわしいとすら思ったことがある家族との生活が、実に幸せな時間だったということが、よくわかります。

人間、死ぬときは一人ですが、たった一人で死ぬのと、家族に囲まれて死ぬのでは、全然違います。意識を失う最期の瞬間に人生のゴールがあるとすれば、後者の勝利はあきらかでしょう。それまでの人生がどうであろうと、やはり終わりはハッピーエンドにしたいものです。

エヴリデイ・エヴリナイト

エヴリデイ・エヴリナイト

丸顔

江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/20 (月)公演終了

満足度★★★

そこそこ
芝居自体はベタで解り易い物語です。
物語は楽屋裏の様子を描いた作品。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

三味線バンドを組む女の子3人は『三味線ガールズ'』の名前で演劇場では人気を博していた。
ところがその人気に甘え行き過ぎた行動を度々重ねて先輩達の反感をかう結果になる。都の母親でもある演芸場の支配人は見かねて暫くの間、三味線ガールズを出場禁止にする。

一方、結華は結婚する事を決め、事後報告に二人の下に訪れるがショックを受けた鈴子は解散宣言をする。計らずも3人がそれぞれの道を歩む事になってしまうが、その事で都は自分の将来を真剣に考えるきっかけとなる。
高校生のときから家元を継いでいた都は今までそんなに真剣に考えずにここまできてしまっていた。

ところがその決意に母親の支配人は反対をする。
「芸能界は人気が出てるときはいいが、落ちるのも一瞬だ。人気が上がれば上がるほど、今度は落ち目になるまいと考えタレントは苦しむ結果になる。毒を飲むのと一緒だ。毒を飲みながら人気を維持し、それでも気の強いタレントはどうにか生きていくが気の弱いタレントは自殺したり失踪したり、行方不明になったりする。この世界はお前が考えてるほど綺麗じゃあないんだよ。」と。
この支配人役を演じた山野海。演技派です。ひじょうにいい。セリフのテンポといい雰囲気、しぐさ、完璧です。

楽屋裏の人間関係や展開を描いた作品だから、落語や漫才、漫談を舞台上で披露していたけれど、「まっちょマン」はひじょうに良かった!(^0^)
最初から飛ばしまくって、小ネタもおもろい!
会場の空気を一瞬にして和やかにしてた。(^-^)


結局薬局、都の固い意志に支配人も認めて、公演の企画をする。都は今回の三味線ガールズを最後の舞台として一人でやるjことを決意していたが、それを聞きつけた結華と鈴子はそれぞれ舞台に駆けつけて参加する。

三味線も漫談も落語も・・・と確かに盛りだくさんではあるが、本の内容が薄い。人気のタレントを起用したみたいだけれど、ワタクシはこの人達を知らない。
ただただ芝居が好きで足を運んでいるだけだからだ。

はっきりいって、全体的に退屈な芝居でした。


『光る女』

『光る女』

Hula-Hooper

OFF OFFシアター(東京都)

2008/10/16 (木) ~ 2008/10/20 (月)公演終了

満足度

観客は楽しめたのか?
とにかく、眠かった!以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

照明は薄暗いし、音楽の導入もあまりなくて、物語自体もSFって感じではないし、七転八転もしてない。割りに静か。
世界観って大層なものではないし、どちらかというと、好き勝手に演じてた印象が強い。

も・もしかしてあれが宇宙人?!(・・!)ただアルミホイルの帽子を被ってるだけ・・ww

ダンナを探してる人とか・・・姉妹の肉体が入れ替わってるとか・・・何が言いたくてどうしたかったのかが全く理解出来ない物語でした。

そんなだから、はっきり言って時間を無駄に過ごしてしまった感が否めない。来なければ良かった!切に思いました。。

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