1
グラデーションの夜 《群青の夜》 《黒の夜》 《桃色の夜》
KAKUTA
残念ながら「黒の夜」は観ることができませんでしたが、他の二本には観る側を惹きこむ圧倒的な力がありました。
特に桃色の夜で語られた物語には、
それがすっと沁み込み溶けていくような常ならぬ感覚があって。
この作品にとどまらず
作り手の2011年の作品たちには、いずれも心を捉われました。
「ひとよ」にしても「往転」の脚本にしても、
作劇の豊かな円熟と新たな歩みのようなものを感じることができました。
2
塩ふる世界。
マームとジプシー
作り手の一つのステージが満ちた作品のように思えました。
描きこまれていく世界の広がり方に
さらなる充実を感じた作品。
世界をそのまま流し込まれた印象がのこって。
作り手の作品たちにずっと惹かれ続けた一年でしたが、
同時に何かにとどまることのない
作り手の新しい歩みを感じつづけてもいて。
新しい年の彼の作品もとても楽しみです。
3
うつくしい世界
こゆび侍
絵本をめくっていくうちに
その世界に閉じ込められてしまったような・・・。
世界に対する不要な説明は一切なく、
シーンの絵面に編み込まれたニュアンスやイメージで
観る側に広がっていく世界。
そこには、これまでに観た演劇とは異なる踏み越え方での
豊かな奥行きがあって。
ひたすら魅了されました。
4
節電 ボーダー トルネード
クロムモリブデン
役者たちの震えが来るほどに密度を持った演技から
静止画ではなく動きとして描き出されていく
作り手の心風景の移ろい、
閉塞感や高揚、さらにはそのループに至る突き抜けに
ただただ引き込まれ見入ってしまいました。
劇団のこれまでの作品の表現力も凄かったのですが、
そこに更なる新しい筋肉がついたような感じ。
作品ごとの頂きからさらに進化し続けていることが驚きでもあり、
観客にとってのさらなる楽しみでもあり・・・。
観終わって、圧倒され浸潤されつつ、
なにかわくわくしてしまいました。
5
IN HER TWENTIES
TOKYO PLAYERS COLLECTION
2011年に観た中でも一番ビビッドな作品だったかもしれません。
一人の女性が生きる10年の肌触りがしっかりと感じられて。
一年ごとに生きる女性たちの想いやつながりにも心を奪われました。
作り手が彼でしか描きえない世界を表現の引き出しに納めたことを
実感した作品でもありました。
6
五反田の夜
五反田団
周りの評判を聴いてふらっと観に行った感じだったのですが・・。
やられました。
市井のちょっとしたことから、世界の縮図を描き出す
作り手の手腕の凄さ・・。
その腕力を改めて実感しました。
役者も上手いなぁとおもう。
「カダフィ大佐・・・」という台詞の切り出しの絶妙さや
作り手と役者の身体表現の凄さは
ちょっと忘れられそうにありません。
7
ロロvol.6 『常夏』
ロロ
抽象画をみるような作品でしたが、
なによりも
世界が一気に広がり解き放たれる後半の、
そのグルーブ感に圧倒されました。
この作り手の制御されていた底力が
解放されたような感じ、あっという間に世界に巻き込まれてしまいました。
8
パイナップルの食べすぎ
ナカゴー
この作り手が紡ぎ出すものには
観ていて愕然とするベクトルの方向性と
恐ろしい脚力での突き抜けがあって。
この劇団
人によって好き嫌いは出るのかも知れませんが、
私にとっては麻薬のような面白さをもった作品ばかりでした。
9
ハイヤーズ・ハイ
劇団ガバメンツ
関西的なテイストを保ちつつ、
一方で緻密に組み上げられていく物語に
観る側をぞくぞくと前のめりにさせる力があって。
それが破綻したりへたれたりせず
最後まで貫きとおされることに驚嘆。
15Minutes Madeで初めて見てから本公演を楽しみにしていたのですが、
その期待を凌駕する驚きがありました。
10
未亡人の一年
シンクロ少女
時間の繋がり方や因果の質感に
この作り手でなければ描きえないような
独特のテイストがあって。
観終わって、ちょっと逃げられないような残存感が残る。
この作り手の作品をもっと見たいと思いました。