1
目頭を押さえた
iaku
台詞にしても、小道具にしても、所作にしても、舞台に置かれるものがことごとく物語に紡ぎいれられて、世界を編み上げ、そこに理があり違和感がない。
役者たちの力もよく引きだされ、それは見事なものでした。
elepHANTMoonxiakuで上演された『人の気も知らないで』も秀作で、横山作劇から目が離せなくなりました。
2
東京ノート
東京デスロック
戯曲に忠実であり、とても実直な作劇を感じつつ
空間や映像からやってくるものにこれまでにない感触がありました。
3
新美南吉の日記 1931-1935
オクムラ宅
評伝的な外枠を失うことなく、役者たちの織り上げる時間に登場人物の日々を実感と共に観る側に伝える力もあって。
積木などの小道具も実に効果的。
観終わって柔らかく深い充足感がありました。
4
Mr. Fujino
世田谷シルク
言葉だけではなく身体の一つずつの動きや組み上げられたシークエンスで綴られる世界に、これまでに体験したことのないニュアンスのクリアさや立体感を感じる。
ひとつずつのシーンに、作り手ならではの表現の創意と役者のキレを感じることができました。
5
ファニー・ガール
シンクロ少女
作り手が俯瞰する生きる時間やその質感に、言葉では表現できない実存感がありました。
舞台美術や役者たちの演技に紡がれる一つずつのシーンに、観る側に積もる何かがありました。
6
モモノパノラマ
マームとジプシー
『cocoon』も圧倒的だったのですが、この作品は従前の連続上演で描き出した積もる日々の質感を一つに重ねさらに昇華させていて、その作劇の進化に目を瞠りました。
7
アクアリウム
DULL-COLORED POP
劇中のセリフの如く、見飽きることのない世界のありようとその中に息づくキャラクターたちの姿がありました。
初日に観て、我慢できずに中盤にもう一度観て、さらに大楽を観て、同じ風景の中にそれぞれに異なる感触に浸されました。
劇団の『Proof』3バージョン公演にも見応えがありました。
8
『アーサー記念公園の一角』『牛泥棒』
ナカゴー
今年のナカゴーに外れなし。
もう一歩の粘り腰や突き抜けがどの作品にもあり、
ほんと、がっつりつかまれ続けました
9
1万円の使いみち
monophonic orchestra
同じ会場で上演された『時々は、水辺の家で』のリーディングも含めて、なにか観る側が気付かない世界がすっと切り出されるような感じがあって。
それぞれに終わってみると、意外な感覚が訪れ満たされている。
作り手の描くものに目立たなく、でもとてもしなやかな感性を感じることができて、今後の作品がとても楽しみになりました。
10
サリー・キャロル
COLLOL
言葉やミザンスからやってくるものと、そこに残る感覚が異なることにぐいぐいと惹かれていく。
空間に置かれたものすべてを理解できたわけではないのですが、刹那ごとに魔法にかかったような気持ちになりました。