じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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パンドラの悩み

パンドラの悩み

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・ポケット(東京都)

2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/15 (水)

座席E列1番

「よろず相談所」に持ち込まれる変テコな3つの悩みとは?……実際にあった事件・事故・社会問題などを取り入れて考えさせつつ娯楽性もたっぷりという劇団離風霊船のお家芸的作風炸裂。
一方で珍しく連作オムニバスだし、「まさかのアレ」は演るしと新味もあり、詳細はネタバレBOXに収納するが「見事な演じ分け」もあって大満足♪

ネタバレBOX

コミカル……どころかマンガチックなほどの喜劇風のプロローグからの第1話は最近「戦闘」を「紛争」と言い換えるなどで話題の自衛隊派遣問題でその落差にドキリ。

2話目では子孫の意識が入り込んだ役を演ずる女優お二方の瞬時に人格(?)を切り替え、しかもそのことが観ていてすぐに観客に伝わる演じ分けに感嘆。

それにしてもまさか劇団離風霊船で恋ダンスを見ようとは!(笑)……欲を言えば伊東さんや山岸さんにも踊っていただきたかった(半分真顔)。
さらに「前前前世」まで使うとは!!

ラストシーンには「レイダース 失われたアーク《聖櫃》」のラストを連想。

よろず相談所とは世を忍ぶ仮の姿、その実態はパンドラの匣から飛び出した厄災を回収するナニカでは?
希望のゆくえ

希望のゆくえ

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2017/02/14 (火) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/14 (火)

価格2,700円

定時制高校の20代、30代の生徒を中心とした物語……と言っても学園ものという感覚はなく、小学校の道徳の時間に観た教育テレビの番組や「中学生日記」のオトナ版なオモムキ。
典型的な憎まれ役にニヤリとしたり(「こいつゲスだなー!」なほどのベタな悪役・ベタな憎まれ役ってけっこう好きらしい)終盤のある人物の追い込まれた心情は似た憶えがあったり。
最終場なしのバージョンも(「明日に向かって撃て」風で)面白いかも、とか。
「あの音」が最終場以外ずっと流れているのもヤな感じで効果的(笑)。

これはペンです

これはペンです

H-TOA

gallery to plus(東京都)

2017/02/08 (水) ~ 2017/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/12 (日)

価格2,200円

円城塔の小説の部分部分を時に読み上げソフトによるものも挟みつつ2人の女優が読み上げ、観客はマーカーで読む部分を示した文庫本(各自1冊ずつある)を見ながら聞いたり考えたりメモを文庫に書き込んだり(!)という自由参加型(?)パフォーマンス。

ある意味「文章の洪水」の中に身を置くことになる訳で、目で元の文章を追ってはいるものの、次第に耳から入ってくるものが言葉や文章ではなく単なる「音」に感じられてしまうという「文章や言葉のゲシュタルト崩壊」を経験し、「これは文章ですか?」「これは言葉ですか?」を経ての「これは演劇ですか?」になるという……。

また、テキストに忠実だが句点がほとんどなく文章がダラダラ続く自動読み上げと部分的に意図してノイズ風にする(←子音だけ発音するらしい)生身の役者が読む文章のどちらが「文章らしく聞こえる」か?という実験のようにも感じられる。

芝居(に限ったことではないが)にはすべて用意されていて出てくるものを享受しているだけで楽しめるものと、観る側が想像力や思考力を駆使して積極的に参加(?)して楽しむものがあるが、本作は後者の極限に近いのではないか。

観ている最中にアタマの中に浮かんでは消えてゆくあれこれを楽しむ、みたいなものもアリ。そしてその場その時間の中で生じては消え行く観客の「想い」を残す文庫本というのも粋。
しかしそうするといろんな人の書き込みがある千穐楽が一番面白いんじゃね?(笑)

もれなく漏れて

もれなく漏れて

ぬいぐるみハンター

OFF OFFシアター(東京都)

2017/02/22 (水) ~ 2017/02/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/22 (水)

価格2,800円

初期のナイロン100℃のようなナンセンスなやり取りの合間にたまに哲学的だったり真理だったり風刺だったりの「ほぉ!」な部分を挟み込むが、その後の馬鹿馬鹿しさにいちいち覚えていられないのがクヤシイ。(笑)
とはいえ、そのもったいなくも儚いのがまたイイ。
そんな風に良い台詞を忘れさせてしまうのはリピートや台本購入を狙っての狡猾な戦略かはたまた三太さんの照れによるか?(笑)

ミラクル祭’17(ミラフェス’17)

ミラクル祭’17(ミラフェス’17)

新宿シアター・ミラクル

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/02/18 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/18 (土)

初日である18日にマチネのAversionとソワレのBversionを4500円のセット券で観劇。

【Aversion】
明るく楽しいいつも(いや、「いつも以上」か?)のたすいちと近未来の話なのに「昭和の文学臭(もしくは「あらすじ名作劇場」っぽさ(?))」がハンパないフジタタイセイ×アリソン・グレイスのダブルフィーチャー。

たすいち「堕天のスゝメ」
ポジティブなヒロインが次第に○○するが、最後にフッと○○されるという王道中の王道な物語。明るく楽しいたすいちど真ん中!
フェスティバルのオープニングに相応しい快作♪(嬉)

フジタタイセイ×アリソン・グレイス「Transcendent Express」
舞台は近未来だが、モノローグ部分と列車内の出来事という設定とで昭和の文学のような印象が強くそのアンビバレンツにトリップしてしまいそう(笑)。
そう言えばメーテルだけでなく車掌も……いや、何でもないです(謎)

【Bversion】
連作短編というよりは3場の中編に薄めの毒と笑いを盛り込んだハセガワアユムグループ、ロバート・ゼメキスの映画をキャラメルボックスが翻案したような劇団ミックスドッグスともに作家性丸出しあるいはモロ出し(笑)。

ハセガワアユムグループ「CANDY CITY」
3編の連作短編と言うよりは多少の時を隔てた3場で構成された中編、なオモムキ。
日常の「あるある」「ありそー!」を少しだけ誇張した絶妙な虚実のバランスと微かな毒(というか本作ではワサビ的なレベル?)がいかにもアユムさん作品。
女性を演ずる男優に違和感どころかコント感すらないのが不思議。

劇団ミックスドッグス「やねうらコスモス」
初期作品の短縮改訂版とのことでキャラメルボックスの影響がまだありありと出ている上にタイムマシンSFにさらに別のSFネタも組み合わせて、まさに「大人向けジュヴナイル」。
少年時代にSFものをを読んだり観たりしてワクワクした「あの気持ち」が蘇るよう。
時間ものでは定番の1つである「存在の輪」的なアレにもニヤニヤ。

なお、エレベーターの階床ボタンに「ミラクルは開場まで1Fでお待ち下さい」と書いた紙片を貼っておくの、妙案だね。

銀髪

銀髪

アマヤドリ

本多劇場(東京都)

2017/01/26 (木) ~ 2017/01/31 (火)公演終了

満足度★★★★

初日(26日)は後方ほぼ中央(M列11番)から、中頃(29日)は上手前寄り(G列18番)、千穐楽(31日)は下手前寄り(G列6番)と、フリーパス(8000円)の恩恵に与り3回観劇。
その結果、初日に物語(本作は初演・再演とも観ていず今回初見)と舞台の全体像を俯瞰、2回目は受け継がれる生命、母性などの言葉や某演劇作品、さらには芝居の構造(打ち上げ花火型、帰納型と演繹型)なんてことがアタマに浮かび、千穐楽は後半での静と動のコントラストをキッカケに甚く共感する部分あり男女の対比ありで最終的には本作の上演理由を深読み(誤読?(爆))するに至る。

【初日編】
広田さんってこういう「組織(踝コンドルとか散華とか)もの」(勝手に命名)がお得意だけれど、舞台となるのは今の日本の延長上の世界ではなく、もっと以前に分岐して違う発展のしかたをした日本(例えば太平洋戦争で勝った日本、参戦しなかった日本、鎖国状態が続いている日本、開国のタイミングがもっと違った日本、鎖国しなかった日本……そんなレベル)だな、と思い、それって釈由美子主演の「修羅雪姫」(佐藤信介監督、2001年)に通ずるなと思ったのだった。

【2度目編】
本作は「打ち上げ花火構造」ではないか。主人公が「踝コンドル」という組織に関わり、組織が成長して行くのが描かれる前半部分は地上から花火が打ち上げられてヒューっと音を立てて上昇している段階、そして「ノストラドン」なる一大イベント当日が中心となる後半は花火が炸裂して大きく花開いた状態。
今まで、前半であれこれ伏線を張り巡らせておいて、ある時点からそれを一気に回収して行くのを「ドミノ倒し構造」と称していたけれど、「打ち上げ花火構造」は初めて思い付いた……というか、初めて言語化できた。

また、全体が1つの流れというよりも「場」の積み重ねで構成されているような印象を受け、そこから思いついたのが以下。
演繹型:1つの柱がありそれを中心に場が並べられる。物語などを語るのに適している。
帰納型:場を見せてそれらの重なりの中から伝えたいものが自ずと現れ出てくる。物語よりも思想などを語るのに適している。

【千穐楽編】
後半、回想シーンの種吉とライカのやりとりの部分がとても静かでノストラドンの喧騒との対比がクッキリ。(終演後に聞いたところによるとその日の朝に演出の変更があったとのこと)
そのことにより過去の種吉が強調されて、冒頭の派手な登場のしかたから豪胆に見えた種吉も実は非常に繊細な人物ではないか?と気付き「そういえばノストラドン当日にトイレに篭ってしまうもんなぁ……」とも思う。
そこからさらに種吉(イッセーも同様)がノストラドンという一大イベント直前になって「こんなところまで来ちゃったよ、どうしよう……できることなら昔に戻りたい・逃げ出したい……」と思う気持ちに(似たような体験もあるので)共感を覚える。

そして、そんな不安に押しつぶされそうな弱気状態から「けれどももう先に進むしかない」と踏み出す種吉の気持ち/決意も察し、もしかすると初の吉祥寺シアター、初の下北沢と劇団が更に次の一歩を踏み出す時にこの作品を再演するのは、そんな気持ち/決意が意識下にあるのではないかと推測するに至る。

一方、そんな種吉とは対照的にライカは自分の死を悟りながらもそれを恐れず遺されることになる自分の娘に想いをめぐらせるなど泰然自若、堂々としており、「ああ、男女の差ってこういうものかも……」などとも思ったり。(笑)

あと、ラストの締め方(の他、いくつか)が野田秀樹っぽくて(←ここまでは2回目に思った)、作品で言えば「半神」かな、と思ったのは「生命の選択」(PPTでの広田主宰の発言より)の部分もあるが、むしろ「双子が出てくる」からか?と自己分析。

こんな風に観ながらいろいろな考えが浮かんでくる作品って、イイなぁ。

都道府県パズル2017

都道府県パズル2017

キリンバズウカ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/18 (水)

価格3,500円

北京喋々のオリジナル版を観ていながらもほとんど忘れていて、あのテーマは今の方がピンと来るのかあるいは70分程度に刈り込んだのでテーマが前面に出てきたのか?……と思ったが調べてみたら2012年9月のオリジナル版も70分程度だった。
ということは「あの問題」がその後ずっと継続しているので印象深かったのか?…と言うか当時はまだまるっきり他人事のように思っていたのかも?
当日パンフレットからBチームの配役も知り、一部の役はそちらの想像もしながら観ており、なるほどだいぶ印象が異なりそうだな、と思ったりも。
なお、関西感満載だった佑木つぐみさん、後から兵庫のご出身と伺って納得……ってか、逆に今まで関西っぽさを微塵も感じさせなかったのがスゴいな、と。

パル子の激情

パル子の激情

江古田のガールズ

本多劇場(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

座席N列5番

価格3,500円

地球で悪事を働く宇宙人の支部を舞台にしたコメディ、支部長役の平田敦子さんを大黒柱に主要客演陣と劇団員がそれを囲み強化する柱となり安定感がある。
また、題材ならびにそのパロディっぷりに往年のTEAM 発砲・B・ZINを思い出し「日大藝術学部のお家芸?」などと思ったりしながら大いに笑う。

なお、少し安くて後方の小市民席、20分弱の冒頭シーンは舞台に上がれる(そして劇中で「芝居に4000円も出せない人々」などとネタにされる(笑))特典も付いていて、なかなか見ることができない景色や後半で台詞に出てくる小芝居(?)を見ることができたり、戦う部下たちへの支部長の檄/声援を耳にできたりできて、ホントにお得。

フォトジェニック

フォトジェニック

鵺的(ぬえてき)

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/01/10 (火) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/10 (火)

死に瀕したモデルの表情を撮っていた写真家が探る模倣犯は誰?なサスペンスホラー、初日を観たがネタバレを避けるとSNSなどで洩らせないことばかりで「これはどうよ!」なレベル(笑)。

よって、さしあたってアップできたのはキャスティング・キャラクター設定・キャラクター作りの三位一体ぶりが見事ということと「たばかったな、高木登!(笑)」という叫び、そして以下。
4人の女優さんがたは本役の他に「その他名もない人たち」も演ずるが、そのギャップも見もの、と言うか愉快。高木さんは「モブはマンガチックに」と仰ったとのエピソードも後から耳にしたが、お一方に関してはむしろ本役の方がマンガチックでは?(笑)
(以降、公演終了後にしたツイートのコピペは念のためネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

序盤の映像は流れる音楽も相俟って70年代の日本映画のオモムキ、そして本編の大半は「ほんとにあった!呪いのビデオ」のようなB級(C級?)ホラー感満載でニヤニヤ。が、落としどころには漠然と「エンゼルハート」を連想。こういうの(=主人公が死んでしまうとか実は既に死んでいたとか)大好き!
しかし後から振り返ってみると、終盤の「あの人物」にまつわる設定や「ぬめっとした」感覚は「呪怨」「リング」などと通ずるまごうことなきジャパニーズホラーの系譜で、そのあたりを知っていると頬が弛んで仕方ない。

最初のカメラマンのモノローグあたりの段階では、カメラマンの連続殺人に便乗した犯人(?)は彼に殺された姉か妹の仇を討とうと謀った町田、早船、打村、三崎の中の誰かではないか?と思った。

映像出演者の豪華さに驚いていたらサプライズ出演者まであり、複数の意味で「それ、アリかよ!?」と思ったが、途中で出てきた「紙袋をかぶった人物」は誰が演じているのかという疑問が解消されてスッキリ。

そういや「床の間マングース」(←架空の劇団名)ってお座敷コブラのもじりだよね?(笑)
さよならシェルター

さよならシェルター

のびる

SOOO dramatic!(東京都)

2017/02/10 (金) ~ 2017/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/10 (金)

価格2,800円

時期を前後して同じ部屋をシェアしていた二組の女性(+α)を描いた85分。
冒頭部分で3つ(or more)の時制の出来事が相次いで出てくるので時期関係を把握するまでやや戸惑うし、導火線部分(伏線パート)がチョイ長(ではあるが吉田主宰のアタマの中をのぞき見するようで興味深い)ながらある人物の正体が明かされた時の爆発的な(=それまでのあれこれが短時間ですべてつながり「あれは何?」だったわずかなシーンやタイトルの意味も解る)伏線回収が快感。
また、黒い床に白でアレした美術(玄関が特に愉快)のセンスも良く、窓を開けるとか壁のスイッチを押して点灯するとかの身振りとの相乗作用アリ。
あと、壁がない(想像上の壁はある)装置につき、時として床からあおる照明で会場の白い壁に映る演者の影が独特の効果をあげて印象的。
なお、吉田主宰推しのお客様におかれましては入口に近いエリアを選択されますことをオススメ(爆)

女の壁/憧れの雪国

女の壁/憧れの雪国

劇団献身

スタジオ空洞(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/06 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/03 (金)

「女の壁」
ある高校の卒業式の日、2年前の卒業生が体育館裏によりによってタイムカプセルを掘り出しに来て……な状況から始まる物語。
今まで観た献身作品とはオモムキを異にするが、ベタなほどの「ありそー!」満載のキャラ合戦、再演ながら女優陣それぞれがハマり役な印象で愉しく、いくつか入るメタ系の部分にもニヤニヤ。

見どころは出だしの掛け合い漫才感(大竹、永井)、当り役的なぶりっ子キャラ(石澤)、2年間も待ち続けることで変化してゆく顔つき(武川)、典型的な手下(三下?)感(金)か?

【勝手にキャッチコピー】「乙女ゴコロは……フ・ク・ザ・ツなの♪」

「憧れの雪国」
疾走感……というよりはやはり暴走感(笑)がいかにも献身っぽい。
終盤で明かされる「あること」が古典的なネタと21世紀の技術の融合、な感じで面白く、また、「あるもの」の造形も(大道具的に)ステキ。(全体像が見えた時に構造?がワカった)

なお、奥村主宰の場内誘導、当たりが柔らかい感じで心地よく、なおかつ的確でお見事!

ネタバレBOX

「憧れの雪国」で降雪機に搭載されたA.I.が5年前に出ていった妻の姿で現れる、というのはいかにも21世紀っぽいハナシだが、鶴の恩返し的でもあり、古典的ネタと21世紀の技術という意外な二者の融合が面白い。
その降雪機、大きさの違うポリバケツ(?)を使ったと推察されるが、なかなかよきデザイン。
GO ON

GO ON

演劇企画 heart more need

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/04 (土)

価格3,500円

厚木の米軍基地そばにあるリサイクルショップで起きた事件の真相をめぐる「藪の中」的物語。
出だしから(外国人への偏見も含む)重めの内容に大半のお客さんがどよ~んとしているであろう中、JACROW臭に包まれて頬が弛みっ放し。
事態の全貌を見せた後に再びオープニング場面を再現して終わるが冒頭では飛行機の音(轟音)にかき消された会話を観客に聞こえるようにして、そこがちゃんと(?)ネタバレになっているのもJACROWっぽい。
公演情報を得た時に思った「この面々で中村作品!?」というのがまんまと成功していた、という印象。

ネタバレBOX

会場に向かっている途中に「まさかJACROWではやらなくなったタイトルコールをしたりしないよね(笑)」と思っていたらやるんだもん! 声をあげて笑いそうになってしまった。
○○癖

○○癖

劇団おねがいシスターズ

渋谷MilkyWay(東京都)

2017/02/04 (土) ~ 2017/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/06 (月)

価格3,300円

何らかの微妙な「癖(へき)」を持つ3人の女性が少しだけ前進する3編の連作オムニバス。
基本はコミカルな中、ちょっとホロリとさせる部分でアクセントをつけ、3編目にそれまで2編の主要人物を登場させて大団円とするのが巧み。
また、前々回公演「か・ら・だ♡」のように全員ではないにしても半数以上の出演者が二役を演じ、その演じ分けによる変化も見もの。

【藤吉作品に関する考察】
本作に限らず藤吉作品は良くも悪くもベタな題材/キャラ/物語をテンションの高さとテンポの良さで戯画化して「見せてしまう」のが特色。が、観る側に気恥ずかしさなどを感じさせないのは作家・演者とも照れや迷いがなく吹っ切れているからと思われ、つまり「確信犯的犯行」…もとい「確信犯的作風」と言えるのではないか?
そのベタさ(換言すれば王道)加減は「ドラえもん」などに通じ、「悪いヤツが出てこない」という面ではある時期までの演劇集団キャラメルボックスをも想起させる。
本作においても意外な展開/結末はなくむしろ予想通りに展開し案の定な結末を迎えるがそれでも「見せられて(←魅せられて、ではない)しまう」のはそれが王道であり、たとえば落語の人情噺に近いのではないか?

ネタバレBOX

各編とも冒頭で主人公が選挙戦の候補者よろしくタイトルが書かれた襷をかけて登場するのも分かりやすくてナイスアイデア。

「泣かない女」終盤で ももこ が リカ に言う「あなたの手、温かかったわよ」というのは巧い……どころかホロリとさせるキラーフレーズ。(お見事!)
弟兄

弟兄

ゆうめい

小劇場 楽園(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/02 (木)

価格2,000円

中学時代に受けたいじめの相手への演劇青年の復讐を通して描くいじめ被害者の「闇」…。
陰惨ないじめに対する強い憤りを表現しつつ娯楽性も持たせ(もちろん不謹慎さなどない)、心身の痛みを観客に感じさせながらも後味が悪くはないという奇蹟のバランスを成立させた秀作。これがたった3ステージなんて惜しい。

どうやらかなり実体験に近いらしく、それを晒すのはズルいという気もするが、それよりもこういう形で表現したこと(とできるようになったこと)がスゴいかも?
いじめに関して被害者は実名なのに加害者側が匿名なことについても考えさ せられる。が、個人でそれをやっちゃあマズくないか? 肉親を殺した相手を見つけて殺すようなもんじゃないのか?……というのはいじめられなかった立場だから言えるのか?とさらに考えさせられたりも。

また、常々思っている「悪役(憎まれ役・仇役)が巧いと芝居が引き立ち観客の感情移入を強める」は本作でも証明され、それどころか役者それぞれの表現力に舌を巻いた。

好き嫌いがあるだろうから一概にオススメとは言わないが、少なくともσ(^-^)をして観劇直後に多弁にさせた芝居ではあった。

なお、終演後の帰路にキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」と「ポセイドンのめざめ」を聴いたら、観終わって抱いた気持ちにかなりフィットしたことを蛇足ながら付記しておく。(笑)

ネタバレBOX

主人公の大学時代にできたカノジョが、やはり以前いじめに遭っていたが、かつての加害者が事故死したことを知って悲しむ、というのもイイし、主人公が「自分だったら躍り上がるのに」と思うのも解る気がした。
高校での「弟」を使ったラストも絶妙で巧いが、その「弟」が、よりによってほんの2日前に千穐楽を迎えたアマヤドリ「銀髪」でも使われていたセグウェイに乗って登場するとは! その再登場のしかたにふと「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダを思い出した。(ワカるかな?)
フェス

フェス

ゆうめい

スタジオ空洞(東京都)

2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/19 (水)

価格2,000円

登場人物がエキセントリック過ぎな上にストーリーは「やおい(ヤマはあるが代わりに病んでいる)」なのに各種表現が独特(「バカだねー!(笑)」を含む)で最後まで飽きずに見せてしまう変テコな芝居。
冒頭シーンのアイデア、「アレ」をプロジェクターで投影すること、わずかな転換で異なる場所を表現すること、当日パンフレットに役名が出ていない役者の使い方、全体を囲んだ美術などに感心。
独特のクセがあり好き嫌いが分かれるのでドリアン的?(笑)
【勝手にキャッチコピー】これが、美大出身者の、やり方かあ~っ!(おかずクラブ風)

二十一面相

二十一面相

フライドBALL企画

明石スタジオ(東京都)

2017/01/26 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/28 (土)

価格3,800円

外部との連絡さえもつかなくなり孤立したペンションという定番中の定番な状況での武石創太郎流「そして誰もいなくなった」と思わせておいての……なサスペンス系。
実は序盤の「?」な2場と「ある共通点」から劇中で明かされる前に真相を悟ったが、それでもその後の展開と落とし方で最後まで楽しめたし、「まさかソレとソレを結びつけるとは」な発想に感服。
また演技も全般に良い上に何人か特に巧い役者がいたのも良かった。

ただ、この会場の設備(前2列はベンチ席でそれ以外もパイプ椅子)で3800円というのはちょっと考え物だし、開場直後から「全席自由席でございます。前の方からつめてお座りください」という矛盾したアナウンスをすることにも疑問を感じる。

ネタバレBOX

多重人格者の人格をそれぞれ別の俳優が演じ治療が進むにつれてそれが減って行くという見せ方の芝居をいくつか観ていたので、死んだ者が持っていた数字がカウントダウンであること(=真相へのヒント)もあれが多重人格の治療であること(=真相)も劇中で明かされる直前に気付いたが、孤立したペンションでの連続殺人で治療を見せるという発想が鮮やか。
また、主人格だけになってめでたしめでたし……ではない終わり方も余韻を残して巧い。
日の脚、わづかに見えて

日の脚、わづかに見えて

空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画

小劇場 楽園(東京都)

2017/01/24 (火) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/26 (木)

価格2,500円

序盤に出てくる動きはまさに「森脇ムーブメント」だし、テーマの表現方法や言葉遊びにやはり野田好きっぽさが感じられてニヤリ。(以降、再演や映像でご覧になる方などの可能性からネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

リジッター企画流の、そしてやや過激な「この世界の片隅に」(すずさんはあんなに毒づいたりしないもんね(笑))なオモムキ。
太陽はある場面では旭日旗(ひいては大日本帝国)の、そして他の場面では原子爆弾の比喩、そしてあの家族は一つの家族ではなく「あの夏」を経験した複数の家族の複合体的なものあるいはそんな人々の残留思念?と解釈。
2008年に観たLastBrand「言葉の消えゆく街で」で使われていた筒井康隆「残像に口紅を」の「文字消し」に想を得た手法を想起したが、その手法で物資が手に入りにくくなり、訳のわからないものまで食べなくては生きてゆけない状況を表現したのは妙案。
か・ら・だ♡

か・ら・だ♡

劇団おねがいシスターズ

渋谷Milky Way(東京都)

2016/11/18 (金) ~ 2016/11/23 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/11/21 (月)

価格3,000円

ヒッキー、アイドル、美容整形の三題噺。短編3本をリレー形式で繋ぐだけにとどめず最後に3本をまとめることに往年の深夜ドラマ「Heartに'S」を思い出す。
また、全員が二役をこなすが演じ分けが見事で「あれがさっきのあの人!?」状態。
あと、当然の事ながら随所に藤吉味が感じられ……と言うより全編藤吉味満載で、一部キャストには時々藤吉主宰の生き霊が憑いたよう…(笑)

アイランド

アイランド

劇団Peek-a-Boo

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

座席A列8番

価格3,300円

心の傷を隠し続ける女性がネットで募った仲間と無人島生活をすることになり……な物語。
「2年間の休暇」的なものかと思っていたが、それぞれが抱える心の傷が「今の日本の醜い部分」から来るものであったり、「罪と赦し」が描かれたりして攻めた感じ。
2011年5月上演の「トリプル」に雰囲気が近いが、それよりもハードな分、武末主宰の社会への危機感は強いものかとも思われる。
昭和史に残るある出来事も思い出した、というかその現代版的な印象も。

ネタバレBOX

思い出したのは旧日本兵の小野田さんや横井さんが終戦を知らないまま島に隠れて生き延びていた、ということ。
本作の人物もある意味での「戦争」当事者であり、島に隠れていた訳で。
花園RED / 花園BLUE

花園RED / 花園BLUE

20歳の国

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/01/19 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/22 (日)

【RED】(22日昼)
王子小劇場での初演以来継続しての「それだけでも元を取ったと思えるオープニングのラグビーシーン」からの高校生青春物語、回を重ねる度に完成度が上がっている感じ。で、ほろ苦い幕切れが余韻を残す。
あと、今回は3人の出演者の所属団体や前回出演作の役柄を知っていたのでニヤニヤも。

【BLUE】(22日夜)
ストレートな友情と屈折した友情、明るいトーンとダークなトーン、作家で言えば高橋三千綱と軒上泊(喩えが古い?)……とあれこれ対照的で、いわば「基礎編のRED、応用編のBLUE」な印象。
あ、こちらは「ヒリヒリする」感覚かもなぁ。
3人でパスの自主練習をする場面で巧い2人と下手な1人でちゃんとパスの出し方を変えているのも芸が細かくてイイ。

ネタバレBOX

【RED】のネタバレ
Peachboysではメインの童貞トリオの1人である山川さんが「もちろん童貞じゃない」役だったり、前回出演作の日本コメディ協会作品では老人役だった前田さんが高校生だったり、津和野さんがやはりコメディリリーフではあるもののオープニングなどではアガリスクの時には見せない顔を見せていたり。

あと、序盤でカラオケでの歌をバックのダンスシーン、何人かずつは似た動きでありつつ、基本的にはそれぞれ別の振り付けなのも個性が出ているようでイイ。

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